JP3435556B2 - 固体潤滑皮膜形成方法 - Google Patents

固体潤滑皮膜形成方法

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JP3435556B2
JP3435556B2 JP13522394A JP13522394A JP3435556B2 JP 3435556 B2 JP3435556 B2 JP 3435556B2 JP 13522394 A JP13522394 A JP 13522394A JP 13522394 A JP13522394 A JP 13522394A JP 3435556 B2 JP3435556 B2 JP 3435556B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種々の産業分野で使用
される各種機械、機器、構造物或いは部品等の固体同士
の接触部分に、低摩擦化、耐摩耗性の向上、耐錆性の向
上等のために形成される固体皮膜(以下、このような固
体皮膜を、単に、「固体潤滑皮膜」という。)の形成方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、二硫化モリブデン系、四フッ化エ
チレン樹脂系、グラファイト系或いは窒化ほう素・二硫
化タングステン系等の固体潤滑剤粉末と、固体潤滑剤粉
末を結合させると同時に、各種機械、機器、構造物或い
は部品等の固体潤滑皮膜が形成される下地面に固体潤滑
皮膜を付着させる機能を有するバインダーとを、適当な
溶媒に配合して液状としたもの(このような液状とした
ものを、以下、単に、「塗料」ともいう。)を、上記の
下地面に、スプレー、刷毛塗り、浸漬、タンブリング等
によりコーティングし、その後、自然乾燥、焼き付け等
して固体潤滑皮膜を形成する固体潤滑皮膜形成方法が知
られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の固体潤
滑皮膜形成方法の問題点は、部品表面に、用途により数
μmから数10μmの皮膜を、均一に形成できないこ
と、また、高歩留りに形成できないこと、更に、このよ
うな皮膜の形成が自動化できないこと、更にまた、この
ような皮膜を公害問題を惹起することなく形成できない
こと等である。
【0004】従来のはけ塗りによる固体潤滑皮膜形成方
法は、膜厚の均一な皮膜を形成することが難しく、従っ
て、精密部品に対する固体潤滑皮膜形成方法としては不
適当であることは自明であり、また、浸漬法は、多数の
部品を一度にすばやく処理できるので生産性は高いが、
液だれが発生したり、部品同士が重なったところに膜が
形成されなかったり、乾燥時に部品同士がくっつくとい
う問題がある。スプレー法は、従来法の中では精密部品
に最適の方法であり、数10μmの固体潤滑膜を比較的
均一に形成できる。しかしながら、スプレー法は、部品
の上面に先ず塗膜を形成した後、部品を裏がえしにひっ
くりかえして反対側の面に塗膜を形成する必要があり、
ひっくりかえし工程等のために生産性が落ちる等の問題
がある。また、スプレー法は、20μm以下の薄い皮膜
の形成が比較的難しく、10μm前後の皮膜を均一に形
成することは極めて困難である。更に、スプレー法は液
だれの問題がある。スプレー中又はスプレー後の硬化処
理中に液だれが発生して膜厚の著しい不均一を引き起こ
したり、皮膜欠陥の原因になる。そしてスプレー法の最
大の問題は多量の溶媒飛散による労働環境の汚染の問題
と、部品以外の空間へのスプレー飛散による塗料歩留り
の低下の問題である。一般に固体潤滑物質の粉末は高価
であるので、歩留り低下は重大な問題となる。
【0005】最後にタンブラー法は、部品をかご状タン
ブラーに入れ、タンブラーごと固体潤滑粉末を含む液状
の塗料に浸漬するか、スプレーによりこの液状の塗料を
部品に塗付し、タンブラーを回転又は振動させながら温
風により塗料を乾燥硬化させるものである。タンブラー
法の欠点は、第1に温風乾燥中に部品同士がくっつきや
すいことであり、そのために、液状の塗料中の顔料成分
濃度を小さくして塗料粘度を下げる必要があり、また、
塗料中の樹脂等のバインダー成分濃度を下げ、接着力を
小さくおさえることが必要である。このような制限のた
めにタンブラー法では顔料濃度を高くできず、とりわけ
バインダー不足による膜強度低下が大きな問題となる。
実際のタンブラー法の適用は、リング形状、円柱形状等
の平面部の少ない部品にのみ行われており、薄板状部品
等に対しては、部品同士のくっつきの問題のためほとん
ど実施されていない。第2に、部品同士のくっつきのた
めに、均一な膜形成が困難であることである。どうして
も均一な皮膜をこの方法により形成するためには、少し
塗付しては乾燥硬化させ、また、少し塗付しては乾燥硬
化させるというような工程を多数回くりかえして皮膜の
均一化を図る必要がある。これは生産性の低下を招くと
ともに、部品への損傷等の問題が発生することもあり実
用的ではない。
【0006】上述したいくつかある従来の固体潤滑皮膜
形成方法は、いずれも一長一短があり、膜厚の不均一、
粉体飛散による歩留りの低下、労働環境の汚染、部品の
ひっくりかえし操作や塗付・乾燥のくりかえしによる生
産性の低下、部品のくっつきによる自動化の困難さ、バ
インダー不足による膜強度の低下、固体潤滑剤粉末の皮
膜内における濃度不足による潤滑効果の低下等、いずれ
か1つ又は2つ以上の欠点を有している。
【0007】本発明の目的は、上述したような従来の固
体潤滑皮膜形成方法が有する課題を解決することにあ
る。即ち、膜厚を数μmから数10μmにわたり、用途
に応じて変えることができるとともに、多数の部品を同
時に又は連続的に処理しても膜厚が均一で、しかも、充
分な量の固体潤滑物質の粉末とこれらの粉末同士及びこ
れらの粉末と部品表面との密着性を向上させるためのバ
インダーを含む皮膜が形成でき、更に、自動化が可能な
固体潤滑皮膜形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、第1には、固体潤滑皮膜が形成される部品と粒子
からなる粘着層均し媒体とに液状物質を付着させるとと
もに振動又は攪拌処理を施すことにより、固体潤滑皮膜
が形成される部品に粘着層を形成する工程、粘着層が形
成された部品、固体潤滑剤粉末、バインダー粉末及び粒
子からなる皮膜形成媒体等により構成される混合体に振
動又は攪拌処理を施すことにより粘着層が形成された部
品の表面に粉末皮膜を形成する粉末皮膜形成工程とによ
り固体潤滑皮膜形成方法を構成したものであり、第2に
は、固体潤滑皮膜が形成される部品に粘着層を形成する
工程、粘着層が形成された部品、固体潤滑剤粉末、バイ
ンダー粉末及び粒子からなる皮膜形成媒体等により構成
される混合体に振動又は攪拌処理を施すことにより粘着
層が形成された部品の表面に粉末皮膜を形成する粉末皮
膜形成工程、該粉末皮膜が形成された部品を加熱し、固
体潤滑剤粉末或いはバインダー粉末の一部或いは全部を
溶融或いは軟化させる中間熱処理工程、該溶融或いは軟
化した上記粉末に粒子を衝突させて粉末を高密度に凝集
化させる粉末凝集化工程とにより固体潤滑皮膜形成方法
を構成したものである。
【0009】以下に、本発明の実施例について説明する
が、本発明の趣旨を越えない限り、何ら本実施例に限定
されるものではない。
【0010】本発明の固体潤滑皮膜形成方法を構成する
重要な工程は、以下の3工程である。 (a)固体潤滑皮膜が形成される各種機械、機器、構造
物或いは部品等の表面(以下、各種機械、機器、構造物
或いは部品等を、便宜的に、「部品」と称し、また、こ
のような部品の表面を、単に、「部品表面」と称す
る。)に、固体潤滑剤粉末或いはバインダー粉末等の粉
末(固体潤滑剤粉末或いはバインダー粉末等の粉末を総
称して、単に、「粉末」ともいう。)を付着させるため
の粘着層を形成する工程(以下、単に、「粘着層形成工
程」という。)。 (b)粘着層が形成された部品、固体潤滑剤粉末或いは
バインダー粉末等からなる粉末及び後述する皮膜形成媒
体等からなる混合体に振動又は攪拌処理を施して、部品
表面に固体潤滑剤粉末或いはバインダー粉末等からなる
粉体皮膜を形成する工程(以下、単に、「粉末皮膜形成
工程」という。)。 (c)粘着層物質の処理工程又はバインダー粉末の結合
工程(以下、単に、「後処理工程」という。)。
【0011】また、上述した重要な工程に、必要に応じ
て適宜付加することによって、更に、固体潤滑皮膜の諸
性能を向上させる付加的工程としては、 (d)固体潤滑皮膜或いは粉末の剥離を防止するため
に、上記の(b)の粉末皮膜形成工程により粉体皮膜が
形成された部品に熱処理を施して、粉末の一部或いは全
部を溶融或いは軟化させて、粉末同士の結合力を強める
工程(以下、単に、「中間熱処理工程」という。)、 (e)上記の(d)の中間熱処理工程により、粉末の一
部或いは全部が溶融或いは軟化状態にある部品に粒子を
衝突させて、粉末を凝集化、高密度化する工程(以下、
単に、「粉末凝集化工程」ともいう。)がある。
【0012】以下に、上述した各工程(a)〜(e)に
ついて説明するが、先ず最初に、本発明を構成する重要
な工程(a)〜(c)について説明する。
【0013】(a)粘着層形成工程 本発明の固体潤滑皮膜形成方法においては、先ず、固体
潤滑皮膜を形成する所定の部品表面に、粉末の付着に必
要な粘着層を形成しなければならない。このような粘着
層の形成方法としては、未硬化状態の樹脂やその他の液
状或いは半液状物質等を部品表面に塗布して或いは部品
を未硬化状態の樹脂やその他の液状或いは半液状物質等
に浸漬して、部品表面に粘着力を有する粘着層を形成
し、このような粘着層に粉末を付着させる方法、また、
部品表面を適当な有機溶媒等で溶かして、粘着性を有す
る粘着層を形成する方法等の種々の手段がある。
【0014】未硬化状態の樹脂やその他の液状或いは半
液状物質等を部品表面に塗布して粘着力を有する粘着層
を形成する方法において、未硬化状態の樹脂やその他の
液状或いは半液状物質等としては、未硬化状態のエポキ
シ、フェノール等の樹脂、各種モノマー或いは水硝子等
を使用することができる。また、これらの粘着層を形成
する物質は、バインダー粉末を使用しない場合には、室
温で或いは加熱により硬化する物質を使用する。しか
し、バインダー粉末を使用する場合には、固体潤滑剤粉
末は、加熱によるバインダー粉末の溶融や焼結によって
皮膜中に結合されるので、粘着層を形成する物質は、必
ずしも硬化しなくてもよいし、加熱により分解又は蒸発
してしまう物質であってもよい。このような未硬化状態
の樹脂やその他の液状或いは半液状物質等による粘着力
を有する粘着層は、粉末皮膜形成工程以前に予め、部品
の表面に浸漬或いは塗布等により形成しておく。
【0015】(b)粉末皮膜形成工程 粘着層が形成された部品は、固体潤滑剤粉末或いはバイ
ンダー粉末等からなる粉末及び粒子等からなる皮膜形成
媒体等が充填された加振装置或いは攪拌装置に投入され
て、部品表面に粉末皮膜が形成されることになる。
【0016】上述した粘着層が形成された部品及び粉末
等とともに、振動又は攪拌処理が施される皮膜形成媒体
は、粘着層に付着した粉末を打撃し、粉末を粘着層内に
押し込むとともに、粉末の下の粘着層を構成する物質を
粉末の表面に押し出し、更に、押し出された粘着層を構
成する物質に粉末を付着させ、多層に、しかも、高密度
に粉末を部品表面に付着させる機能を有する。更には、
粉末が付着している皮膜形成媒体が部品に衝突すること
により、皮膜形成媒体に付着している粉末が部品に移さ
れという、一種の転写的な作業が行われ、粉末の部品表
面への強力な付着が促進されるという機能を有するもの
である。なお、部品表面に上記のような粘着層が形成さ
れた場合には、粘着層に付着した粉末を皮膜形成媒体が
打撃しても、粉末の下の粘着層を構成する物質が表面に
押し出されなくなった時点で、部品への粉末の付着が停
止する、即ち、粉末皮膜の形成が終了することになる。
【0017】以下に、上述した皮膜形成媒体について説
明する。皮膜形成媒体は、打撃力を発生して、固体潤滑
剤粉末或いはバインダー粉末等の粉末からなる粉末皮膜
の形成の媒介をする機能を有するが、それ自身は実質的
に粉末皮膜の成分にはならない。
【0018】皮膜形成媒体は、部品よりも寸法が実質的
に小さく、且つ、粉末よりは寸法が実質的に大きいこと
が重要である。部品より大きい皮膜形成媒体は、部品の
表面に均一な打撃を加えることができず、また、粉末よ
りも小さいと皮膜形成媒体自体が、形成される粉末皮膜
中に捕捉されてしまうことになり好ましくない。但し、
皮膜形成媒体の全体の体積比で70%以下の範囲であれ
ば、部品よりも大きな皮膜形成媒体が含まれていてもよ
い。
【0019】打撃力をある程度集中させる方が、粉末の
粘着層への圧入或いは押圧が促進されるために、例え
ば、球状の皮膜形成媒体を使用する場合は、その直径が
0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ま
しい。他の形状の皮膜形成媒体を使用する場合もこれに
準ずることが好ましい。また、皮膜形成媒体が部品より
も小さいとは、皮膜形成媒体の一つ一つを同体積の球で
置き換えたとき、その直径が部品の差し渡しのうち最大
のものよりも小さいことを意味するものである。更に、
粉末に対して、平均寸法で上述したような要件を充たし
ていれば所望の打撃力を発生することができる。即ち、
皮膜形成媒体となる粒子の一部が粉末より小さくても、
平均寸法で皮膜形成媒体が粉末より大きければ所望の打
撃力を発生することができる。但し、これら粉末より細
かい皮膜形成媒体は粉末皮膜中に取り込まれる恐れがあ
るので、できるだけ含まれないことが望ましい。
【0020】また、上述した皮膜形成媒体の材質は次の
要件を満たしていることが重要である。即ち、粉末皮膜
形成後に皮膜形成媒体を観察して肉眼で認められるよう
な大きな形状変化がなく、且つ、粉末皮膜形成過程にお
いて弾性変形が極端に大きくならないことが重要であ
り、従って、例えば、軟質ゴム等の材質で皮膜形成媒体
を製造することは好ましくない。また、長期的使用によ
る若干の摩耗は避けられないが、割れ、欠け、急激な摩
耗等が発生しないことが重要である。これらの要件を満
たさない材質の皮膜形成媒体を使用すると、部品との衝
突により、皮膜形成媒体が塑性変形を起こしたり或いは
軟質ゴムのように極端に大きな弾性変形を起こしたりす
ることになり、従って、部品に与える打撃力が不足して
所望の粉末皮膜が形成されないことになる。また、割
れ、欠け、急激な摩耗が起こると、皮膜形成媒体の耐用
寿命が短くなり、粉末皮膜が形成された部品の生産性、
作業性或いは経済性等の面から好ましくない。
【0021】皮膜形成媒体は、鉄、炭素鋼、その他合金
鋼、銅及び銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合
金、その他各種金属、合金製或いはAl2 3 ,SiO
2 ,TiO2 ,ZrO2 ,SiC等のセラミックス製、
ガラス、更には、硬質プラスチック等を用いることがで
きる。また、粉末皮膜形成の際に充分な打撃力が加えら
れるのであれば、硬質のゴムも使用することができる。
これら皮膜形成媒体のサイズ、材質等は部品の形状及び
サイズ、使用する粉末の材質等に応じて適宜選択するこ
とができる。更に、複数のサイズ及び材質の皮膜形成媒
体を混合して使用することもできるし、また、皮膜形成
媒体に表面処理、表面皮膜を施して使用することもでき
る。更には、複数の上記材料によって構成された複合皮
膜形成媒体を用いてもよい。
【0022】打撃力の緩和及び平均化を行い、形成され
る粉末皮膜の均質性、膜厚のばらつきを抑えるために、
木粉、軟質ゴム、軟質プラスチック等軟質の皮膜形成媒
体を前記硬質の皮膜形成媒体に対し適宜混合することも
できるが、このような軟質の皮膜形成媒体は、使用され
る全皮膜形成媒体の体積比の50%以下であることが好
ましい。これら軟質の皮膜形成媒体は、単独ではほとん
ど有効な打撃力を発生することができないので、上述し
た硬質の皮膜形成媒体と併用されることになる。また、
皮膜形成媒体の表面に硬化した樹脂、未硬化樹脂又は揮
発性液体の皮膜を形成することもできる。このような皮
膜は、一旦は粉末を皮膜形成媒体表面に均一に付着させ
ることを助長し、その後、振動又は攪拌作業中に粉末を
皮膜形成媒体表面から離脱させて部品に粉末を付着させ
る。このような過程により粉末が部品表面により一層均
一に付着する。
【0023】上述した皮膜形成媒体は、球状、楕円形、
立方体、三角柱、円柱、円錐、三角錐、四角錐、菱面
体、不定型体、その他各種形状のものを使用することが
でき、これら形状の皮膜形成媒体を単独で、或いは、適
宜混合して使用することもできる。
【0024】(c)後処理工程 粉末皮膜が形成された部品に施される後処理工程の1つ
として、このような粉末皮膜が形成された部品に熱処理
を施す工程があるが、このような加熱処理を施す目的
は、粘着層をどのような方法により形成したか、粉末皮
膜を形成する潤滑剤粉末或いはバインダー粉末がどのよ
うなものであるか等により異なる。
【0025】熱硬化性樹脂液を、部品表面に塗布するこ
とにより或いは部品を熱硬化性樹脂液に浸漬することに
より、部品表面に熱硬化性樹脂の粘着層を形成し、ま
た、粉末皮膜を構成する粉末が固体潤滑剤粉末のみの場
合には、熱処理により熱硬化性樹脂を硬化させて、硬化
された樹脂により固体潤滑剤粉末が結合された状態の固
体潤滑皮膜が形成されることになる。このとき、熱硬化
性樹脂が常温硬化性の場合には、粉末皮膜形成工程中
に、又は、粉末皮膜形成工程後に、室温で放置するだけ
で熱硬化性樹脂の硬化反応が進行する。特に、固体潤滑
剤粉末がテフロン(登録商標)粉末の場合には、テフロ
ン粉末が、焼結又は溶融するまで熱処理を施すこともで
きる。このとき、熱硬化性樹脂が蒸発或いは分解するこ
とがあり、このような場合には、固体潤滑剤のみからな
る固体潤滑皮膜を形成することもできる。
【0026】シリコン樹脂液を粘着層形成物質として用
いた場合、又は、シリコン樹脂粉末をバインダー粉末と
して用いた場合には、加熱温度300°C程度以下で
は、これらの液又は粉末はシリコン樹脂の状態のまま形
成された固体潤滑皮膜中に存在して固体潤滑粉末を結合
する結合剤として働く。加熱温度が300°C程度以上
になると、シリコン樹脂はガラス化していき、高温にな
るほどガラス化が進む。こうして固体潤滑皮膜はガラス
により結合された高耐熱皮膜になる。
【0027】粘着層として水硝子を用いた場合には、加
熱によりガラスを結合剤とする固体潤滑皮膜を容易に形
成することができる。また、バインダー粉末としてガラ
ス粉末を使用することにより、加熱後のガラス結合剤成
分が多くなり、固体潤滑粉末が皮膜中に強固に結合され
るようになる。
【0028】更に、バインダー粉末として金属粉末を使
用すると、金属結合型固体潤滑皮膜が形成ができる。金
属粉末としては、Su、Pb、ハンダ、Al、Cu、F
e−P合金、Fe−Cu合金、Ni−Cu合金等の比較
的低融点の金属又は合金で形成された粉末が好ましい。
バインダー粉末として、上記のような金属粉末を使用し
た場合には、金属が焼結又は溶融する温度まで加熱する
必要があるが、一般に、これらの温度は大変高温であ
り、且つ、金属粉末と固体潤滑剤粉末の組合せによって
は反応して固体潤滑剤物質が分解又は変質してしまうこ
とがあるので、これらの金属又は合金は、使用する固体
潤滑剤粉末の種類によって注意深く選択されなくてはな
らない。上記の金属結合型固体潤滑皮膜は耐熱性が高
く、且つ、機械的強度が強いので、エンジン等の苛酷な
条件下で使用される部品に固体潤滑皮膜処理を施す場合
に特に最適である。
【0029】なお、上述したガラス結合型や金属結合型
固体潤滑皮膜の形成において、粉末皮膜形成のために最
初に部品上に形成する粘着層は、加熱時に蒸発したり分
解してしまい、固体潤滑皮膜中には残留しないこともあ
る。このような場合には、ガラスや金属結合物質が、直
接、固体潤滑皮膜と部品下地との結合に与かっているこ
とになる。
【0030】このように粘着層、固体潤滑剤粉末及びバ
インダー粉末からなる粉末皮膜に熱処理を施すことによ
り、粘着層を構成する物質を蒸発或いは分解して、固体
潤滑剤粉末及びバインダー粉末からなる固体潤滑皮膜を
形成することもできる。また、固体潤滑剤粉末は溶融し
ないが、バインダー粉末が溶融する温度にまで加熱する
ことにより、溶融したバインダー粉末により強固に結合
した固体潤滑剤粉末からなる固体潤滑皮膜を形成するこ
ともできる。更には、固体潤滑粉末としてテフロン粉末
等を使用した場合には、固体潤滑剤粉末及びバインダー
粉末の両方を溶融して固体潤滑皮膜を形成することもで
きる。なお、バインダー粉末を複数の種類の混合バイン
ダー粉末で構成し、特定のバインダー粉末を溶融しない
ように構成することもできる。
【0031】上述した加熱処理等を含む後処理工程は、
大気中で行うこともできるが、粉末が耐錆性の低い物質
の場合には、真空中或いは不活性ガス中で行うことが好
ましい。
【0032】(d)中間熱処理工程 次に、上述した重要な工程に、必要に応じて適宜付加さ
れる付加的工程の一つである固体潤滑皮膜或いは粉末の
剥離を防止するために、上記の(b)の粉末皮膜形成工
程により粉末皮膜が形成された部品に熱処理を施して、
固体潤滑剤粉末或いはバインダー粉末等の粉末の一部或
いは全部を焼結、溶融或いは軟化させて、粉末同士の結
合力を強める中間熱処理工程について説明する。
【0033】上述したように、この工程は、粉末が付着
した部品を、粉末の焼結温度又は融点付近或いは融点以
上に加熱して、少なくとも部分的に粉末を焼結、溶融或
いは軟化することにより、或いは、種類の異なる粉末か
らなる混合粉末の場合には、少なくとも一種類の粉末を
焼結、溶融或いは軟化させることにより、粉末が皮膜か
ら離脱するのを防止するとともに、粉末同士の結合を強
めて皮膜を強固にする。また、皮膜中の空隙を溶融した
物質で埋めることにより、空孔の少ない高密度の固体潤
滑皮膜とする。この工程は、次の粉末凝集化工程のため
の準備工程であり、粉末凝集化工程を効果的にするため
の工程である。即ち、もし、この中間熱処理工程を実施
せずに粉末凝集化工程を行うと、粉末の離脱等の問題が
発生することになる。
【0034】(e)粉末凝集化工程 上述した(d)の中間熱処理工程により、粉末の一部或
いは全部が焼結、溶融或いは軟化して、結合がある程度
進んでいる皮膜を有する部品に粒子を衝突させて、固体
潤滑皮膜中の粉末を更に凝集化、高密度化する粉末凝集
化工程について説明する。
【0035】上述した中間熱処理により、粉末同士の結
合力は増大するが、粉末と部品との結合力或いは粉末同
士が強固に結合した最終皮膜の状態ではなく、言わば、
粉末が仮り固定された状態にある。
【0036】このような、粉末が仮り固定された状態に
ある部品に、粒子を衝突或いは投射させて、粉末が仮り
固定された状態にある固体潤滑皮膜を圧縮させて、固体
潤滑皮膜を構成する粉末が、より凝集化し、より高密度
化した状態となるような粉末凝集化処理を施す。
【0037】粉末凝集化工程には、後述する粉末皮膜形
成工程に使用する加振装置と同様の加振装置を用いるこ
とが好ましい。また、粒子としては、上述した皮膜形成
媒体と同様に、各種金属製、セラミックス製、ガラス製
或いは硬質プラスチック製等の粒子が用いられ、粒子
は、粉末が仮り固定された状態にある固体潤滑皮膜に衝
突して、仮り固定された粉末をより凝集化し、より高密
度化することが可能な打撃力を加えるような重さ、大き
さ及び強度を有することが必要である。
【0038】加振装置により振動している粒子が、固体
潤滑皮膜に衝突して固体潤滑皮膜に打撃力を与え、固体
潤滑皮膜を構成する粉末を,より凝集化し、より高密度
化し、粉末が凝集化した高密度な固体潤滑皮膜が形成さ
れる。また、焼結、溶融或いは軟化された粉末が粒子に
より叩かれることにより、空孔(ボア)が消失するとと
もに、溶融した粉末が固体潤滑皮膜全体に行き渡るの
で、均質な強固な固体潤滑皮膜が形成される。更に、仮
り固定された状態にある固体潤滑皮膜が、粒子により万
遍なく叩かれるので、固体潤滑皮膜の表面が平滑化さ
れ、より平らな表面を持った固体潤滑皮膜が形成される
ことにもなる。
【0039】上述したように、粉末皮膜形成工程及び仮
り固定された粉末の凝集化工程の両方において、固体潤
滑皮膜に打撃力が加えられるので、より強固で、より平
滑な固体潤滑皮膜を形成することができる。なお、粉末
凝集化工程において、少し加熱することにより、粉末の
凝集化、高密度化を更に促進することができる。
【0040】次に、本発明の固体潤滑皮膜形成方法に使
用される固体潤滑剤粉末及びバインダー粉末等の粉末の
一般的な形状等の特性について説明する。
【0041】粉末の粒度は、振動又は攪拌の強度、部品
のサイズ、形成する固体潤滑皮膜の厚さ及び粉末の材質
等により変わる。硬質で変形しにくい粉末の場合は粒度
が小さいことが好ましく、延性に富む金属粉等の場合は
これより大きくてよいが、一般には0.01〜500μ
mの範囲内であることが好ましく、0.01〜300μ
mの範囲がより好ましく、0.01〜100μmの範囲
内であることが更に好ましい。また、粒度が小さい粒子
は、粘着層に分散している粉末の間に打撃により押し込
まれ易く、従って、塑性変形による粉末同士或いは部品
との圧着や結合が起こり易いので、粉末の粒度が小さい
ほど、打撃力が小さくて済み、また固体潤滑皮膜の表面
の粗さも小さくなる。
【0042】粉末は、上述した粘着層を構成する物質、
例えば、未硬化樹脂より固いことが重要であり、この結
果、振動又は攪拌処理中に粉末が未硬化の樹脂等の粘着
層に押し込まれることが可能となり、より強固な固体潤
滑皮膜を形成することができる。一般に、粉末は粒度が
小さいほど粘着層に捕捉されやすい。
【0043】上述した粉末として、偏平な粉末を使用す
ることができる。ここで、偏平な粉末(以下、単に、
「偏平粉末」という。)とは、実質的に平坦な面をもっ
ており、かかる面が粉末の主たる構成面となっている円
板、平板、わん曲板等である。好ましくは、対向する平
坦面の間隔Hとその平坦面の平均直径(同一面積の円に
換算したときの直径)Dとの関係が、H/D<1/2で
あり、より好ましくはH/D<1/4であり、最も好ま
しくはH/D<1/6のものである。このような偏平粉
末は、粉末皮膜の膜厚を均一化する効果がある。偏平粉
末の直径Dは300μm 以下が好ましく、この寸法を越
えると膜厚の均一度が低下する。より好ましい寸法は1
50μm 以下、最も好ましくは70μm 以下である。ま
た、直径Dが小さいほど膜厚の均一度が高まるが、あま
り小さすぎると偏平粉末の膜厚均一効果が減少するの
で、偏平粉末の直径Dは、0.1μm 以上、好ましく
は、1μm 以上とすることが望ましい。
【0044】更に、粉末には、粉末同士が凝集しないよ
うに、ブロック化防止材を混入させることが好ましい。
このような作用を有するブロック化防止材としては、カ
ーボンブラック、ミクロンサイズの合成シリカ、テフロ
ン粉末(1μm以下)、ステアリン酸亜鉛粉末等を使用
することができる。このようなブロック化防止材を混入
することにより、粉末の凝集が防止できるので、凝集し
た粉末が粉末皮膜中に取り込まれて,粉末皮膜の膜厚が
不均一になるようなことが防止できる。
【0045】ところで、粉末皮膜形成後に加熱処理を施
した際に、加熱しすぎて溶融した粉末の粘性が低下しす
ぎると、溶融した粉末が液状となって垂れたり、或い
は、部品の表面の平滑さが損なわれる等の問題が生じる
ことになる。従って、好ましくは、粉末皮膜形成後、所
定の温度に加熱した際に、溶融しない粉末を、該所定の
温度による加熱により溶融する粉末に混合し、溶融し液
状となった粉末が固体潤滑皮膜内に浸透し、溶融した粉
末が液状となって垂れ下がることを防止するとともに、
より強固な固体潤滑皮膜を形成するように構成すること
が好ましい。
【0046】また、加熱により溶融しない粉末が固体潤
滑皮膜の形状安定材の役割を果たし、部品の表面の平滑
さが損なわれたり、或いは、部品の底部表面に、部品の
支持のために配置された支持部材、例えば、網状支持部
材の網状の跡が付くようなことが防止できる。更に、加
熱後も溶融しない粉末は、固体潤滑皮膜中に分散して、
固体潤滑皮膜の固さを向上させる。加熱により溶融しな
い粉末としては、各種塗装に用いられているTiO2
ベンガラ等無機物顔料或いは種々の金属粉末等がある。
【0047】次に、上述した各工程の具体的な手段或い
は具体的な装置について、以下に、説明するが、先ず最
初に、粘着層形成手段のうち、一般的に広く適用可能な
未硬化状態の樹脂やその他の液状或いは半液状物質等を
部品表面に塗布して粘着力を有する粘着層を形成する手
段について説明する。
【0048】図1は、所謂、浸漬方式による粘着層の形
成手段であり、網かごt1に収容された部品Wを、粘着
層を形成する上述した液状或いは半液状樹脂等の液状物
質が収容された液状物質槽t2に浸漬し、その後、網か
ごt1を液状物質槽t2から取り出す。部品Wに付着さ
れた液状物質は、自然乾燥或いは送風機から送り出され
る空気により乾燥され、部品Wの表面に粘着層が形成さ
れる。
【0049】図2は、スプレイ方式による粘着層の形成
手段であり、ベルトコンベヤーt3により搬送される部
品Wは、内壁に螺旋突起t4’が突設された網製の回転
ドラムt4に投入され、部品Wには、網製の回転ドラム
t4内の入口付近に配設されたスプレイ装置t5の噴霧
口t5’から噴霧された液状物質により液状物質が付着
される。液状物質が付着された部品Wは、回転ドラムt
4の螺旋突起t4’に沿って上方に移送され、自然乾燥
されるか或いは送風機t6から送りだされる空気により
乾燥された後、回転ドラムt4から搬出されてベルトコ
ンベヤーt7上に載置される。その後、後述する粉末皮
膜形成装置に搬送される。勿論、ベルトコンベヤーt7
を配設することなく、回転ドラムt4から搬出された粘
着層が形成された部品Wを、回転ドラムt4の出口に配
設された粉末皮膜形成装置に、直に、供給することもで
きる。なお、必要に応じて、ヒーターを内蔵した送風機
t6を用いて、液状物質が付着された部品Wを、温風に
より適宜乾燥することもできる。
【0050】ところで、上述したような液状物質槽t2
から取り出した部品Wの表面に付着された液状物質が、
部品Wの表面に部分的に溜まり、所謂、液溜まりを形成
し、粘着層の厚さが不均一となる一つの原因となってい
る。このような粘着層の厚さが不均一であると、部品W
の表面に形成される固体潤滑皮膜の厚さが不均一とな
る。
【0051】以下に、上述したような粘着層の不均一な
厚さを解消し、粘着層の厚さを均一化する手段の一例に
ついて説明する。
【0052】粘着層を形成するこの実施例においては、
部品と後述する粘着層均し媒体の両方に、粘着層を形成
する液状物質を付着させ、次いで、液状物質が付着され
た部品と同じく液状物質が付着された粘着層均し媒体を
混合した状態で、液状物質が付着された部品と粘着層均
し媒体に振動或いは攪拌処理を施しながら液状物質を乾
燥させて、部品に粘着層を形成するものである。
【0053】粘着層を形成する液状物質が付着された部
品と、同じく液状物質が付着された粘着層均し媒体とを
混合した状態で、液状物質が付着された部品と、同じく
液状物質が付着された粘着層均し媒体に振動或いは攪拌
処理を施すことにより、粘着層均し媒体が部品にこすり
つけられるので、部品の表面にできた液状物質の液溜ま
り等が除去されるとともに、乾燥過程にある或いは乾燥
後の粘着層が粘着層均し媒体にこすりつけられて粘着層
の厚さの不均一さが解消され、従って、均一な粘着層を
形成することができる。
【0054】この工程において、粘着層均し媒体にも液
状物質を付着させた理由は、液状物質が付着されていな
い粘着層均し媒体と、液状物質が付着された部品を混合
して振動或いは攪拌処理を施すと、部品に付着した液状
物質が、液状物質が付着されていない粘着層均し媒体に
移し取られ、部品に形成される粘着層が薄くなったり或
いは部品の表面から粘着層が剥離される等の問題が惹起
されるからである。
【0055】粘着層均し媒体に関しては、上述した皮膜
形成媒体と同様のものを使用することができ、粘着層均
し媒体の材質、大きさ、重さ等については、部品の材
質、大きさ等或いは液状物質の種類等を考慮して、適
宜、選択することができる。勿論、皮膜形成媒体の場合
と同様に、何種類かの粘着層均し媒体を混合して使用す
ることもできる。
【0056】次に、上述した粘着層形成手段の工程図で
ある図3を用いて、より具体的な粘着層形成手段につい
て説明する。図3において、t8は、粘着層均し媒体m
の供給口t8’を有する樋状或いは筒状の搬送装置であ
り、搬送装置t8には振動装置t9が取着されており、
振動装置t9により搬送装置t8に振動を与えることに
より、粘着層均し媒体mを搬送するように構成されてい
る。t10は、搬送装置t8の途中に配設された部品供
給装置であり、部品供給装置t10は、搬送装置t8の
部品投入口t10’に部品Wを投入できるように配置さ
れており、ベルトコンベヤー或いは公知の部品供給装置
等で構成することができる。なお、上記の搬送装置t8
をベルトコンベヤー等の搬送手段により構成することも
できる。
【0057】t11は、搬送装置t8により搬送されて
くる粘着層均し媒体m及び部品Wに粘着層を形成する液
状物質を吹き付けるための噴霧装置であり、噴霧装置t
11の噴霧口t11’は、搬送装置1の粘着層均し媒体
m及び部品Wの排出口t8”の付近に配設されており、
搬送装置t8の振動により、排出口t8”から飛び出て
くる粘着層均し媒体m及び部品Wに万遍なく液状物質を
吹き付けるように構成されている。上記の液状物質の噴
霧に代えて、液状物質の適度な流れを作り、この流れを
部品Wと粘着層均し媒体mに当てるように構成すること
もできる。
【0058】t12は、部品W及び粘着層均し媒体mを
通さない大きさの網み目を有する網製の円筒体t12’
の内壁に螺旋状突起t12”が配設された、図示されて
いない適当な駆動手段により回転される回転搬送装置で
あり、回転搬送装置t12は、円筒体t12’の軸線が
上向きに傾斜するように配置されている。t13は、回
転搬送装置t12の外部近傍に配設された送風装置であ
り、回転搬送装置t12により搬送されてくる粘着層均
し媒体m及び部品Wに付着された液状物質を乾燥させる
ために、粘着層均し媒体m及び部品Wに室温風或いは温
風を吹き付けるためのものである。回転搬送装置t12
が、粘着層均し媒体m及び部品Wに付着された液状物質
を自然乾燥するのに十分な長さを有する場合には、この
ような送風装置t13を省略することもできる。なお、
上述した搬送装置t8の排出口t8”及び噴霧装置4の
噴霧口t11’は、回転搬送装置t12の網製円筒体t
12’の入り口側内部に配設されている。
【0059】粘着層均し媒体m及び部品Wに付着した液
状物質以外の余分な液状物質、例えば、回転搬送装置t
12の網製円筒体t12’から滴として落ちる液状物質
等は、適宜回収され再使用されるとともに、また、蒸発
する溶媒や液状物質も回収されリサイクルされて、繰り
返し使用される。
【0060】t14は、回転搬送装置t12から搬出さ
れてくる粘着層が形成された部品Wを収容する、粘着層
均し媒体mは通すが部品Wは通さないような網み目を有
する部品受け装置であり、部品Wと粘着層均し媒体mの
篩い分けを容易にするために、適当な振動装置t15に
より振動するように構成されている。t16は、部品受
け装置t14の下方に配置された、部品受け装置t14
により篩い落とされた粘着層均し媒体mを収容するため
の収納箱である。なお、収納箱t16に集められた粘着
層均し媒体mは、洗浄工程等を経て、再度、搬送装置t
8の供給口t8’に戻されるように構成することが好ま
しい。t17は、上述した加振装置V上に配置された容
器Cを有する粉末皮膜形成装置であり、部品受け装置t
14から搬出される粘着層が形成された部品Wが容器C
に落下するような位置に配設されている。
【0061】以上のように構成されている粘着層形成装
置の作動について説明する。搬送装置t8の供給口t
8’から供給された粘着層均し媒体mは、振動装置t9
の振動により順次搬送され、また、部品Wは搬送装置t
8の途中に配設された部品供給装置t10から部品投入
口t10’に投入され、適宜、搬送装置t8に供給さ
れ、搬送装置t8上で粘着層均し媒体mと部品Wが混合
され搬送装置t8の排出口t8”方向に搬送される。
【0062】搬送装置t8の排出口t8”から搬出され
た粘着層均し媒体mと部品Wには、噴霧装置t11によ
り液状物質が吹き付けられ、粘着層均し媒体mと部品W
に液状物質が万遍なく付着される。
【0063】液状物質が付着された粘着層均し媒体mと
部品Wは、回転搬送装置t12に送られ、回転搬送装置
t12の回転により、粘着層均し媒体m及び部品Wが攪
拌されながら、粘着層均し媒体mと部品Wに付着された
液状物質が乾燥される。この工程において、粘着層均し
媒体m及び部品Wが攪拌されることにより、液状物質が
付着した部品Wが、粘着層均し媒体mによりこすりつけ
られるので、部品Wの表面上の液状物質の液溜まり等が
除去されるとともに、乾燥中の液状物質或いは乾燥後の
粘着層も粘着層均し媒体mにより万遍なくこすりつけら
れるので、液状物質或いは粘着層の不均一な部分が除去
され、均一な厚さを有する平滑な粘着層を有する部品W
が得られる。
【0064】均一な厚さを有する粘着層が形成された部
品Wは、粘着層均し媒体mとともに、回転搬送装置t1
2から搬出され、次いで、部品Wと粘着層均し媒体mの
篩い分けを行う振動している網製の部品受け装置t14
上に移行し、粘着層均し媒体mは部品受け装置t14の
網み目を通過し、下方に配置された収納箱t16に収容
され、その後、粘着層が形成された粘着層均し媒体m
は、粘着層の除去工程に送られ、再利用される。一方、
部品受け装置t14により粘着層均し媒体mが篩い落と
され、残った粘着層が形成された部品Wは、加振装置V
上に配置された粉末及び皮膜形成媒体等の混合体Tが収
容されている容器Cに投入され、粉末皮膜形成工程が開
始される。
【0065】図4は粘着層形成装置の別の実施例を示す
工程図であり、本実施例においては、粘着層均し媒体m
及び部品Wを通さない網み目を有する網かごt18を、
ベルトコンベヤー等の搬送帯t19上に載置し、網かご
t18には粘着層均し媒体供給装置t20により粘着層
均し媒体mを投入し、また、部品供給装置t21により
部品Wを投入する。
【0066】粘着層均し媒体m及び部品Wが投入された
網かごt18を、液状物質槽t22に浸漬し、粘着層均
し媒体m及び部品Wに液状物質を付着させる。次いで、
液状物質槽t22から出た網かごt18に収容されてい
る液状物質が付着された粘着層均し媒体m及び部品W
は、搬送帯t19の下部に配設された振動装置t23に
より振動されている搬送帯t19により振動処置が施さ
れるとともに、液状物質が自然乾燥或いは送風装置t2
4により乾燥される。その後、図示されないロボット等
の自動機により、網かごt18に収容されている均一な
粘着層が形成された部品W及び粘着層均し媒体mが、網
かごt18から上述した網製の部品受け装置t14上に
移行され、粘着層均し媒体mは部品受け装置t14の網
み目を通過し、下方に配置された収納箱t16に収容さ
れ、また、粘着層が形成された部品Wは、加振装置V上
に配置された、固体潤滑剤粉末或いはバインダー粉末等
の粉末及び皮膜形成媒体等の混合体Tが収容されている
容器Cに投入されて粉末皮膜形成工程が開始される。図
3に示された実施例と同様に、液状物質、溶媒或いは粘
着層均し媒体mは、リサイクルして、繰り返し使用され
る。
【0067】粘着層形成装置としては、連続処理により
部品Wに粘着層を形成するように構成した上記の実施例
に限定されることなく、バッチ処理により部品Wに粘着
層を形成することもできる。また、適当な振動装置によ
り振動している網状のコンベヤー上に、直に、部品W及
び粘着層均し媒体mを載置し、移送途中で網状のコンベ
ヤーに載置された部品W及び粘着層均し媒体mに液状物
質を噴霧するとともに、コンベヤーの振動により部品W
及び粘着層均し媒体mを振動させながら、送風装置によ
り液状物質を乾燥することもできる。その後、粘着層均
し媒体mは通すが、部品Wは通さない大きさの網み目を
有するコンベヤーに、粘着層が形成された部品W及び粘
着層均し媒体mを移し、粘着層均し媒体mを篩い落と
し、コンベヤー上に残った粘着層が形成された部品W
を、加振装置V上に配置された粉末及び皮膜形成媒体等
の混合体Tが収容されている容器Cに投入するように構
成することもできる。
【0068】なお、図1に示されている網かごt1に部
品Wとともに、粘着層均し媒体mを入れ、液状物質槽t
2に浸漬し、その後、網かごt1を液状物質槽t2から
取り出した後、粘着層均し媒体m及び液状物質が付着し
た部品Wに振動或いは攪拌処理を施して、部品Wに均一
な厚さの粘着層を形成するように構成することもでき
る。
【0069】次に、粘着層が形成された部品、粉末及び
皮膜形成媒体等の混合体を振動させる加振装置について
説明する。
【0070】粉末皮膜形成工程において使用される加振
装置は、一例として図5に示されているように、加振装
置V上に配置された容器Cに、表面に粘着層が形成され
た部品W、固体潤滑剤粉末或いはバインダー等の粉末及
び皮膜形成媒体等の混合体Tを入れ、加振装置Vにより
容器Cに振動を与えて、部品Wの表面に粉末皮膜を形成
するものである。上記の容器Cは、硬質合成樹脂或いは
金属等の硬質材で形成されており、一例として図5に示
されているように、上部に開口部c1を有する碗状に形
成されており、また、容器Cの底部c2の中央部を上方
に膨出させることにより、開口部c1付近に達する柱状
部c3が突設されている。
【0071】図5において、Fは加振装置Vの機台であ
り、機台Fには、コイルスプリングv1,v2を介して
振動板v3が配置されており、振動板v3上に突設され
た垂直軸v4の上端部に容器Cの柱状部c3が取着され
ている。また、振動板v3の下面にはモーターv5が取
着されており、モーターv5の出力軸v6には重錘v7
が偏心して取着されている。従って、モーターv5を回
転させることにより、偏心した重錘v7が回転されるの
で、振動板v3上に取着された垂直軸v4を介して容器
Cが加振されることになる。
【0072】上述した粉末皮膜形成工程においては、表
面に粘着層が形成された部品に直接に或いは皮膜形成媒
体を介して付着された粉末は、皮膜形成媒体により叩か
れて、粘着層に圧接或いは圧入され強固に付着するとと
もに、皮膜形成媒体により叩かれることにより、粉末で
覆われた粘着層を構成する物質が粉末の表面に押し出さ
れ、更に、押し出された粘着層を構成する物質の上に,
皮膜形成媒体に付着している粉末が,皮膜形成媒体が部
品に衝突することにより部品側に移行し部品への粉末の
付着が進行する。そして、部品が皮膜形成媒体により叩
かれても粘着層を構成する物質が粉末の表面に押し出さ
れて来なくなったところで、実質的な粉末の粘着層工
程、即ち、粉末皮膜形成が終了することになる。
【0073】図6には、加振装置Vとして、螺旋管路を
有する加振装置Vが示されている。v8は、加振装置V
の基台であり、また、v9は、有底の外筒であり、基台
v8と外筒v9とは、適当数のコイルスプリングv10
で連結されている。v11は、外筒v9の底部の下面v
9’に取着された加振モーターであり、加振モーターv
11の出力軸には加振体v12が取着されている。v1
3は、螺旋管路本体であり、螺旋管路本体v13の最上
部の螺旋管路v13’からは、上向きの略直線状に延び
る排出管路v14が連設されており、排出管路v14の
出口v14’は、粉末皮膜が形成された部品W、皮膜形
成媒体及び粉末等の排出口を形成する。出口v14’の
下方には、皮膜形成媒体及び粉末等は通過することがで
きるが、粉末皮膜が形成された部品Wは通過することが
できない程度の大きさの網み目を有する、皮膜形成媒体
及び粉末等から粉末皮膜が形成された部品Wを選別する
網状ベルトコンベヤーv15が配設されている。
【0074】v16は、螺旋管路本体v13の最下部の
螺旋管路v13”から上方に延びる粉末供給管路であ
り、粉末供給管路v16の上端開口v16’は、粉末な
どの投入口を形成する。v17は、粉末供給管路v16
の途中に連設された回収管路であり、回収管路v17の
端部の開口v17’は、上述した排出管路v14の出口
v14’と網状ベルトコンベヤーv15を対峙して配置
されている。v18は、同じく、粉末供給管路v16の
途中に連設された部品供給管路であり、部品供給管路v
18の端部の開口は、部品Wの投入口v18’を形成し
ている。
【0075】上述したような螺旋管路本体v13等に
は、皮膜形成媒体及び固体潤滑剤粉末或いはバインダー
等の粉末が充填されており、螺旋管路本体v13等は、
上述した加振モーターv11を駆動し、加振モーターv
11の出力軸に取着されている加振体v12を回転させ
ることにより振動されている。
【0076】このような皮膜形成媒体及び粉末等が充填
され、振動状態にある螺旋管路本体v13等に、部品供
給管路v18の部品Wの投入口v18’から、表面に粘
着層が形成された部品Wを投入する。投入された部品W
は、粉末供給管路v16を経て下降して螺旋管路本体v
13の最下部の螺旋管路v13”に達し、その後、螺旋
管路本体v13に沿って上昇する。その後、部品Wは、
排出管路v14の出口v14’から皮膜形成媒体及び粉
末等とともに、網状ベルトコンベヤーv15上に排出さ
れるが、表面に粘着層が形成された部品Wには、螺旋管
路本体v13等に沿って移送される間に、上述したよう
な粉末皮膜形成原理に基づいて粉末皮膜が形成される。
【0077】粉末皮膜が形成された部品W、皮膜形成媒
体及び粉末等は、排出管路v14の出口v14’から搬
出されるが、網状ベルトコンベヤーv15の網み目を通
過することができない粉末皮膜が形成された部品Wは、
網状ベルトコンベヤーv15により皮膜形成媒体及び粉
末等から選別されて網状ベルトコンベヤーv15上に載
置され、次いで、網状ベルトコンベヤーv15により後
続処理工程に搬送される。また、網状ベルトコンベヤー
v15の網み目を通過した皮膜形成媒体及び粉末等は、
回収管路v17の端部の開口v17’に入り、螺旋管路
本体v13に戻される。
【0078】部品Wへの粉末皮膜形成工程を連続して行
う連続運転中には、加振装置Vの螺旋管路本体v13等
に存在する固体潤滑剤粉末或いはバインダー等の粉末
は、部品Wに粉末皮膜として付着されて消費されるの
で、螺旋管路本体v13等に存在する粉末が常に略一定
となるように、粉末を一定速度で、粉末供給管路v16
の上端開口v16’から連続的に供給する。このように
して、部品Wへの粉末皮膜形成を連続して行う場合にお
いて、粉末皮膜の厚さや品質を一定に保つことができ
る。
【0079】図7には、加振装置Vとして、攪拌板を有
する加振装置Vが示されている。v19は、加振装置V
の基台v20に載置された容器であり、容器v19内に
は、モーターv21により回転される攪拌羽根v22が
配置されている。従って、容器v19内に、粘着層が形
成された部品W,皮膜形成媒体及び粉末等を投入し、そ
の後、モーターv21を駆動して攪拌羽根v22を回転
させることにより、上述したような粉末皮膜形成原理に
基づいて粉末皮膜が形成されることになる。
【0080】次に、中間熱処置工程及び後処理工程にお
いて、1例として使用される熱処理炉について説明す
る。
【0081】熱処理炉としては、箱型の通常の熱処理炉
を使用し、所謂、バッチ式に、粉末皮膜が形成された部
品の熱処理を行うこともできるが、図8には熱処理装置
Hの一例が示されており、熱処理装置Hは、図8に示さ
れているように、両側に入口及び出口が配設されたヒー
ターh1が内蔵された熱処理炉h2を使用し、熱処理炉
h2内に、粉末皮膜が形成された部品を搬送するベルト
コンベヤーh3を配設することにより、連続的に熱処理
を行うことができるように構成されている。なお、h
1’は、ヒーターh1の温度制御可能な電源である。
【0082】ヒーターh1としては、通常の抵抗加熱式
の他に、赤外線放射式の加熱方式も使用することができ
る。後者の場合には、例えば、部品Wの片面のみを先ず
加熱処理して、次に、部品Wをひっくり返して他面を加
熱処理することができる。このようにして、部品Wの重
力により、加熱中に、部品Wを支持している支持部材の
跡が、部品Wに付くことが防止できる。
【0083】次に、上述した本発明の重要な工程である
(a)粘着層形成工程のうちの未硬化状態の樹脂やその
他の液状或いは半液状物質等による粘着層形成工程、
(b)粉末皮膜形成工程、(c)加熱処理等の後処理工
程及び必要に応じて適宜選択的に採用される(d)中間
熱処理工程、(e)粉末凝集化工程の組合せについて説
明する。なお、上記の組合せにおいては、後処理工程と
して、加熱処理が施される場合を例に説明する。
【0084】(1)先ず最初の組合せは、上述した重要
な工程のみからなるものである。即ち、上述したような
粘着層工程により部品の表面に粘着層を形成した後、粘
着層が形成された部品を、固体潤滑剤粉末或いはバイン
ダー等の粉末、皮膜形成媒体等が入った加振装置に供給
して部品に粉末皮膜を形成する。その後、粉末皮膜が形
成された部品に加熱処理を施して、硬化された固体潤滑
皮膜を有する部品が形成される。このような工程のみか
らなる固体潤滑皮膜形成方法は、処理工程が少ないので
簡単な、低コストの固体潤滑皮膜の形成に使用される。
【0085】(2)次の組合せは、(a)粘着層形成工
程+(b)粉末皮膜形成工程+(d)中間熱処理工程+
(e)粉末凝集化工程+(c)加熱工程の組合せであ
る。即ち、粘着層形成工程により部品の表面に粘着層を
形成した後、粘着層が形成された部品を、粉末、皮膜形
成媒体等が入った加振装置に供給して部品に粉末皮膜を
形成する。その後、粉末皮膜が形成された部品を加熱
し、固体潤滑剤粉末及びバインダー粉末の一部、例え
ば、バインダー粉末或いは粉末全体を焼結、溶融或いは
軟化させ、固体潤滑皮膜を仮結合させる。次いで、加振
装置により振動している皮膜形成媒体と同様の粒子が、
上記の溶融或いは軟化している粉末皮膜に衝突して、粉
末皮膜に打撃力を与え、粉末をより凝集化し、より高密
度化した粉末皮膜が形成される。その後、粉末皮膜が形
成された部品に加熱処理を施して、硬化された固体潤滑
皮膜を有する部品W得られる。このような、上述した重
要な工程に、中間熱処理工程及び粉末凝集化工程を付加
することにより、耐蝕性に富んだ比較的薄い、しかも、
表面のより平滑な固体潤滑皮膜を形成することができ
る。
【0086】(3)次の組合せは、(a)粘着層形成工
程+(b)粉末皮膜形成工程+(d)中間熱処理工程+
(b)粉末皮膜形成工程+(c)加熱工程からなる組合
せである。この組合せにおいては、粘着層形成工程によ
り部品の表面に粘着層を形成した後、粘着層が形成され
た部品を、粉末、皮膜形成媒体等が入った加振装置に供
給して部品に粉末皮膜を形成する。その後、粉末皮膜が
形成された部品を加熱し、上述したように粉末の一部或
いは全部を溶融或いは軟化させる中間熱処理工程と粉末
の一部或いは全部が溶融或いは軟化された部品、粉末及
び皮膜形成媒体等からなる混合体に振動又は攪拌処理を
施すことにより部品の表面に粉末皮膜を再度形成する粉
末皮膜形成工程とを1回或いは複数回実施し、最後に、
上述した加熱工程を実施するものである。このように、
2回以上の粉末皮膜形成処理を施すことにより、例え
ば、1層目の粉末皮膜に発生した空孔等の欠陥が、2層
目の粉末皮膜により除去される等の効果により、きわめ
て欠陥の少ない、耐蝕性に富んだ、しかも、厚い固体潤
滑皮膜を形成することができる。
【0087】(4)更に次の組合せは、(a)粘着層形
成工程+(b)粉末皮膜形成工程+(d)中間熱処理工
程+(b)粉末皮膜形成工程+(d)中間熱処理工程+
(e)粉末凝集化工程+(c)加熱工程の組合せであ
る。この組合せは、上述した(3)の2回以上の粉末皮
膜形成工程の後に、中間熱処理処理を施し、2回以上の
粉末皮膜形成処理により形成された粉末の一部或いは全
部を溶融或いは軟化させ、その後、加振装置により振動
している皮膜形成媒体と同様の粒子が、溶融或いは軟化
している粉末皮膜に衝突して粉末皮膜に打撃力を与え、
粉末のより凝集化し、より高密度化した粉末皮膜が形成
される。その後、粉末皮膜が形成された部品に加熱処理
を施して、硬化された固体潤滑皮膜を有する部品が得ら
れる。このような組合せによる固体潤滑皮膜形成方法に
より、更に、耐蝕性に富んだ、厚い固体潤滑皮膜を形成
することができる。
【0088】本発明の実施例として、上記の4つの組合
せが示されているが、何ら、このような組合せに限定さ
れることなく、固体潤滑皮膜が形成される部品の用途、
使用条件等に応じて種々の組合せを採用することができ
る。
【0089】次に、一例として、(a)粘着層形成工程
+(b)粉末皮膜形成工程+(d)中間熱処理工程+
(b)粉末凝集化工程+(c)加熱工程が連結された固
体潤滑皮膜形成装置を、図9を用いて説明する。なお、
粘着層の形成工程までは、図3を用いて説明した装置と
同じであるので、説明は省略する。
【0090】図9においては、図5に示されている容器
Cを振動させる加振装置Vに代えて、図6に示されてい
る螺旋管路を有する加振装置V1が使用されており、加
振装置V1により粉末皮膜が形成された部品Wは、加振
装置V1からの排出後、網状ベルトコンベヤーv23に
より粉末及び皮膜形成媒体から選別され、中間熱処理装
置Hiに搬送される。なお、図9においては、網状ベル
トコンベヤーv23が中間熱処理装置Hiのベルトコン
ベヤーを兼用している。
【0091】網状ベルトコンベヤーv23上に載置され
た粉末皮膜が形成された部品Wは、中間熱処理装置Hi
のヒーターh4により、粉末の一部或いは全部が溶融或
いは軟化するまで加熱され、その後、連結コンベヤーv
24を経て、皮膜形成媒体と同様の粒子が収納されてい
る螺旋管路を有する加振装置V2に投入され、粉末凝集
化処理が施される。なお、h4’は、ヒーターh4の電
源である。その後、加振装置V2により粉末凝集化処理
が施された部品Wは、網状ベルトコンベヤーv25によ
り粒子から選別され、加熱処置装置Hfに搬送される。
なお、上記の網状ベルトコンベヤーv23と同様に、網
状ベルトコンベヤーv25が加熱処理装置Hfのベルト
コンベヤーを兼用している。網状ベルトコンベヤーv2
5上に載置された粉末皮膜が形成された部品Wは、加熱
処理装置Hfのヒーターh5により、粉末皮膜に存在す
る樹脂等が硬化或いは除去され、固体潤滑皮膜が形成さ
れた最終部品Wとなる。なお、h5’は、ヒーターh5
の電源である。そして、最終部品Wは、適当な収納箱B
に収納される。
【0092】次に、より具体的な本発明の実施例につい
て説明する。
【0093】部品をエポキシ樹脂液に浸漬することによ
り粘着層を形成し、次いで、テフロン、MoS2 、グラ
ファイト等の固体潤滑剤粉末と皮膜形成媒体からなる混
合体に振動を与えて粉末皮膜形成処理を施して粉末皮膜
を形成し、次いで、180°Cで加熱処理を施してエポ
キシ樹脂を硬化させて、硬化した固体潤滑皮膜を形成し
た。この固体潤滑皮膜方法は、固体潤滑皮膜の簡便な安
価な形成方法であり、各種機械部品やゴム製オーリング
等の表面に固体潤滑皮膜を形成する方法として有用であ
る。
【0094】なお、上述した実施例或いは後述する実施
例において使用されるテフロンに代表される四フッ化エ
チレン等のフッ素系樹脂の中には、四フッ化エチレン以
外にも潤滑効果を向上させる樹脂があり、このような樹
脂を、必要に応じて適宜、使用することができる。特
に、フッ素系樹脂の中でも固体潤滑剤粉末としてはポリ
テトラフルオロエチレン(PTFE)が優れている。
【0095】部品をエポキシ樹脂液に浸漬することによ
り粘着層を形成し、次いで、固体潤滑剤粉末としてのテ
フロン粉末と皮膜形成媒体からなる混合体に振動を与え
て粉末皮膜形成処理を施して粉末皮膜を形成し、次い
で、350°Cで加熱処理を施してエポキシ樹脂を硬化
させるとともに、テフロン粉末を溶融して固体潤滑皮膜
を形成した。テフロン粉末を溶融し、テフロン粉末同士
が結合されるので、より強固な固体潤滑皮膜が形成でき
る。
【0096】部品をエポキシ樹脂液に浸漬することによ
り粘着層を形成し、次いで、固体潤滑剤粉末としてのテ
フロン粉末、バインダー粉末としてのパーフルオロアル
キルビニルエーテル共重合体(PFA)粉末と皮膜形成
媒体からなる混合体に振動を与えて粉末皮膜形成処理を
施して粉末皮膜を形成し、次いで、250〜350°C
で加熱処理を施して固体潤滑皮膜を形成した。250〜
300°CではPFAのみが溶融し、また、300°C
以上ではPFAとテフロンの両方が溶融し、共に、強固
な皮膜が形成された。
【0097】部品をエポキシ樹脂液に浸漬することによ
り粘着層を形成し、次いで、固体潤滑剤粉末としてのテ
フロン粉末、バインダーとしてのPFA粉末とAl、T
i、マイカ、TiO2 等の350°Cでは溶けない粉末
及び皮膜形成媒体からなる混合体に振動を与えて粉末皮
膜形成処理を施して粉末皮膜を形成し、次いで、350
°Cで加熱処理を施してテフロン粉末とPFA粉末を溶
融して固体潤滑皮膜を形成した。溶融したテフロン粉末
及びPFA粉末が、溶融しないAl、Ti、マイカ、T
iO2 等の粉末中に浸透するために、溶融したテフロン
粉末及びPFA粉末の液垂れの発生がなく、従って、平
滑で、しかも、強固な固体潤滑皮膜が形成できる。
【0098】部品をシリコン樹脂液又は水硝子に浸漬す
ることにより粘着層を形成し、次いで、MoS2 、グラ
ファイト等の固体潤滑剤粉末、バインダーとしてのシリ
コン樹脂、硝子粉末、必要に応じて、Al、Ti、マイ
カ、TiO2 等の粉末及び皮膜形成媒体からなる混合体
に振動を与えて粉末皮膜形成処理を施して粉末皮膜を形
成し、次いで、500°C以上の温度で加熱処理を施し
て、シリコン樹脂液、水硝子、シリコン樹脂、硝子粉末
を硝子化して固体潤滑皮膜を形成した。このような固体
潤滑皮膜形成方法により耐熱性に優れた高強度の固体潤
滑皮膜が形成できる。
【0099】部品をエポキシ樹脂液又はポリビニルアル
コール液に浸漬することにより粘着層を形成し、次い
で、テフロン、MoS2 、グラファイト等の固体潤滑剤
粉末、バインダーとしてSn,Pn,Al等の低融点金
属粉末と皮膜形成媒体からなる混合体に振動を与えて粉
末皮膜形成処理を施して粉末皮膜を形成し、次いで、低
融点金属粉末の少なくとも1つが焼結又は溶融する温度
で加熱処理を施して、低融点金属粉末が連結した状態の
固体潤滑皮膜を形成した。このような固体潤滑皮膜形成
方法により耐熱性に優れた高強度の固体潤滑皮膜が形成
できる。
【0100】次に、オ−リングに固体潤滑皮膜を形成す
る実施例について説明する。
【0101】内径5mmと内径30mmのニトリルゴム
製オ−リング(以下、単に、「リング」という。)を各
20個を用意した。各リングを、図1に示したタイプの
かごに入れ、イソプロピルアルコールに1〜3回浸漬
し、表面をよく洗浄した。次に、各リングを、エポキシ
樹脂(ポリサルファイド変性型)を5%濃度にMEK
(メチルエチルケトン)で希釈した溶液に30秒間浸漬
した。浸漬している間中、溶液及び各リングには超音波
振動を加え、部品表面と溶液のなじみをよくさせた。浸
漬後は各リングにおよそ80°Cの温風を送り、乾燥ム
ラが生じないように風の向きを変えながらMEKを蒸発
させた。MEKが蒸発した後の各リング表面には、エポ
キシ(ポリサルファイド型)の1μm以下の粘着層が形
成されていた。
【0102】次に表面に粘着層が形成されたリングを、
図5に示したタイプの振動容器に入れた。振動容器は、
2.8リットルの容積を有するものを使用し、中には平
均直径1mmのセラミックス製(アルミナ−シリカ混合
型)ボールを1リットル分、皮膜形成媒体として入れ
た。更に、平均粒度0.3μmの四フッ化エチレン微粉
末を固体潤滑剤粉末として20g入れ、30分間加振
(振動数3600c.p.m.、振幅1〜2mm)を加
え、セラミックス製ボール表面に四フッ化エチレン微粉
末を万遍なく行き渡らせておいた。各リングを入れた振
動容器に約3分間の振動を加えた後、リングを取り出し
た。各リング表面には、平均3μmの四フッ化エチレン
微粉末が圧縮された層ができた。次に、各リングに80
°Cで4時間の加熱処理を施した。加熱処理後の四フッ
化エチレン粉体層は、リングとの密着性に優れ、潤滑性
にも優れていた。
【0103】上記工程を繰り返し、内径が30mmのオ
−リング1000個を作製し、自動組み立て機に入れ、
直径30mmのシャフト挿入試験を行った。その結果、
表面処理をしないオ−リングを使用した場合には、シャ
フトとオ−リングの間でかみ込みが起こる不良が5%発
生していたが、本発明の固体潤滑皮膜をつけたオ−リン
グの不良は0%になった。また、組立後の運転試験で
も、本発明の固体潤滑皮膜をつけたオ−リングは、耐摩
耗率の激減が確認され、オ−リングの寿命が5倍以上に
なることが確認された。
【0104】また、エポキシ樹脂としてビスフェノール
A型エポキシ樹脂を5%濃度にキシレンで希釈した溶液
を浸漬液とし、他は上述した工程と同一工程で本発明の
固体潤滑皮膜を形成した。その結果、同じ膜厚の固体潤
滑皮膜を作ることができ、シャフトの自動組み立て工程
時の不良率は0%になることが確認されたが、オ−リン
グと固体潤滑膜の密着性が、ポリサルファイド変性型エ
ポキシ樹脂を利用した場合よりもやや劣るようで、オ−
リングの寿命向上は固体潤滑皮膜がない場合と比較して
3倍程度にとどまった。
【0105】次に、ボールべアリング用樹脂リテーナー
に固体潤滑皮膜を形成する実施例について説明する。
【0106】内径が15mmのボールベアリング用フェ
ノール樹脂製リテーナー(ボールの固定ガイドで、以
下、単に、「リテーナー」という。)を200個準備し
た。リテーナーを、図3に示したタイプの自動機に入
れ、本発明の固体潤滑皮膜を形成した。粘着層均し媒体
として、直径1mmのセラミックス(ジルコニア製)ボ
ールを用い、また、液状物質として、エポキシ(ビスフ
ェノールA型)樹脂を2.5%濃度にMEKで希釈した
溶液を使用した。粘着層形成装置内の送風は、50°C
の温風を用い、加振装置として容積4リットルの容器内
に1リットル分の直径0.8mmのsus−316製ボ
ール、1.5リットル分の直径1mmのセラミックス製
(溶融酸化アルミニウム系)ボールを入れ、固体潤滑剤
粉末として平均粒度2μmの四フッ化エチレン樹脂粉末
を50g、平均粒度5μmのアクリル樹脂粉末を50g
入れた。粉体皮膜形成工程を終えたリテーナーは、15
0°Cで4時間加熱処理を施し溶融、硬化させた。
【0107】その結果、リテーナー表面に平均8μmの
固体潤滑皮膜が形成できた。このリテーナーを使用し、
ベアリングを組み立てたところ、初期摩擦係数が半減
し、その後の摩擦係数が20%以上減少し、寿命が2倍
以上になることがわかった。ベアリング内の他の部品
(リテーナー以外のシール用ゴムパッキン、メタルパッ
キン)にも同様の処理を行った結果、同じく摩擦係数の
減少と寿命の向上に効果があることがわかった。
【0108】次に、ウレタンゴムパッキンに固体潤滑皮
膜を形成する実施例について説明する。
【0109】外径30mm、内径20mm、高さ3mm
のカーエアコン用ゴムパッキンを100個準備した。上
述したリテーナーに用いた装置と同じ装置を使用し、固
体潤滑皮膜を形成した。但し、固体潤滑剤粉末として平
均粒度5μmの四フッ化エチレン粉末を80g入れた。
粉体皮膜形成後のゴムパッキンは80°Cで6時間熱処
理を行い、粘着層の硬化を行った。その結果、ゴムパッ
キン表面には平均8μmの膜厚が均一な皮膜が形成でき
た。このカーエアコン内に使用されているゴムパッキン
は、従来は1000時間程度の連続運転試験でパッキン
がシール面と融着したり、パッキン表面に粘着性が発生
し、シール性に不良が出たり、動作不良を起こすトラブ
ルがあった。しかし、本発明の固体潤滑皮膜が形成され
たゴムパッキンでは、上記のような融着、粘着等による
トラブルは、10000時間連続運転を行っても何ら発
生しなかった。
【0110】次に、エンジニアリングプラスチックギア
(以下、単に、「ギア」という。)に固体潤滑皮膜を形
成する実施例について説明する。
【0111】外歯の外径が20mmで内径が3mmのナ
イロン系樹脂製ギア及び外歯の外径が25.5mmで内
径が5.5mmのエポキシ系樹脂製ギアを、各20個用
意した。各ギアを、ポリイミド系樹脂を3%濃度にME
Kで希釈した溶液に浸漬した。浸漬後、各ギアを直径2
mmのジルコニア製ボールの中に入れ良く攪拌した。攪
拌中にMEKは蒸発し、ギアの表面には、0.1〜2μ
m程度の薄いポリイミド樹脂系未硬化樹脂層が形成され
ていた。
【0112】次に、各ギアを、内径が36mmのホース
を直径350mmに4層に巻いた螺旋管路を有する加振
容器の下から次々に入れた。加振容器には、容積の65
%に直径1.0mmのセラミックスと平均長さ2mmの
不定形セラミックス片を入れておいた。また、加振容器
中には、平均粒径3μm、アスペクト比20の二硫化モ
リブデン固体潤滑剤粉末と、平均粒径3μmの四フッ化
エチレン粉末(ブロックポリメイゼント製)を4:5の
比率で合計60g入れてよく分散させておいた。また、
両固体潤滑剤粉末の表面には、ポリイミド系樹脂用のカ
ップリング処理を施しておいた。加振容器に振動数18
00c.p.m.、振幅1〜5mmの振動を加えたとこ
ろ、加振容器の上方の開放口から1分後に次々に粉体層
が形成されたギアが出てきた。次に、各ギアを250°
Cで30分間処理した。この結果、平均膜厚3μmの固
体潤滑皮膜ができた。
【0113】各ギアを、プリンター又はコピー機に組み
込み、運転を行ったところ、次の効果が確認できた。 (1)従来は、最初の数百回の運転(初期運転)時に大
きな負荷が発生し、運転が遅くなったり、停止するトラ
ブルがあったが、このようなトラブルがなくなった。 (2)従来は、1000時間の連続運転後にギアのかみ
合わせ部分の摩耗による運転異常が30〜60%見られ
たが、1500時間の連続運転後も運転異常が全く見ら
れなかった。 (1)の効果は、初期摩擦係数の低下により説明でき
る。(2)の効果は、運転中の摩擦係数の低下に加え
て、耐熱性のあるポリイミド樹脂が固体潤滑剤とともに
ある結果、運転中の発熱に伴う焼き付きや摩耗等が著し
く減少したためと考えられる。
【0114】次に、耐錆ポンプ用部品(ベーン)(以
下、単に、「部品」という。)に、固体潤滑皮膜を形成
する実施例について説明する。
【0115】20×20×3mmの大きさの部品(四フ
ッ化エチレン樹脂製)を25個用意した。次に、各部品
を、PFA粉末(平均粒度0.3μm)がよく分散し
た、フッ素系樹脂を5%濃度にMEKで希釈した溶液に
浸漬させた後、よく乾燥させた。乾燥後、各部品表面に
は、0.3〜1μmのフッ素系未硬化樹脂層の中にPF
A系樹脂粉末が分散された皮膜ができた。
【0116】次に、各部品を、上述したエンジニアリン
グプラスチックギアに固体潤滑皮膜を形成する実施例と
同じ加振装置に入れた。容器中には、直径2mmのスチ
ール製ボールを容器の容積の50%入れた。また、容器
の中には、β型炭化ケイ素ウイスカー(直径0.3〜
1.4μm、アスペクト比10〜40)とPFA粉末
(平均粒度0.8μm)を3:2の割合で混合した粉末
を40g入れておいた。加振容器に振動数3600c.
p.m.、振幅0.5〜3mmの振動を加えながら、容
器内に部品を次々に投入した。1分後に粉体層が形成さ
れた部品が次々に出てきた。次に、各部品を310°C
で1時間熱処理を行い、フッ素系樹脂の硬化、PFAの
溶融、硬化を行った。その結果、平均10μmの炭化ケ
イ素ウイスカーを多量に含むフッ素系樹脂固体潤滑皮膜
ができた。
【0117】各部品を耐錆ポンプに組み込み、連続運転
を行った。その結果、以下のことが明らかになった。 (1)ベーンの寿命が従来の5倍以上になった。 (2)ポンプ動作時の気密性が上がり、排気量が10%
増えた。 (3)ベーンの摩耗に伴う摩耗した粉末の排出がなくな
り、汚染が減った。 (4)シリンダー部の寿命も従来の5倍以上になった。
【0118】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0119】膜厚が均一で、しかも、膜厚を、数μm程
度の薄いものから厚いものまで、用途に応じて適宜変え
ることができるとともに、粉末の飛散による歩留りの低
下、労働環境の汚染、部品のひっくりかえし操作等によ
る生産性の低下、バインダー不足による膜強度の低下、
固体潤滑剤粉末の皮膜内における濃度不足による潤滑効
果の低下等の従来の固体潤滑皮膜形成方法が有する課題
を解決することができ、更に、固体潤滑皮膜形成の自動
化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明方法の実施に使用される一例とし
ての粘着層形成装置の概略図である。
【図2】図2は本発明方法の実施に使用される他の粘着
層形成装置の概略図である。
【図3】図3は本発明方法の実施に使用される他の粘着
層形成装置の工程図である。
【図4】図4は本発明方法の実施に使用される更に他の
粘着層形成装置の工程図である。
【図5】図5は本発明方法の実施に使用される一例とし
ての加振装置の一部断面を含む正面図である。
【図6】図6は本発明方法の実施に使用される他の加振
装置の一部断面を含む正面図である。
【図7】図7は本発明方法の実施に使用される更に他の
加振装置の一部断面を含む正面図である。
【図8】図8は本発明方法の実施に使用される熱処理装
置の概略図である。
【図9】図9は本発明方法の実施に使用される固体潤滑
皮膜形成装置の一例を示す工程図である。
【符号の説明】
C・・・・容器 Hf・・・加熱処理装置 Hi・・・中間熱処理装置 V・・・・加振装置 W・・・・部品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 板谷 修 京都府京都市西京区松室追上町22番地の 1 エリーパート2 401号 インター メタリックス株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−302176(JP,A) 特開 昭58−24619(JP,A) 特開 昭55−25402(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/24 B05D 7/24 301 C23C 26/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体潤滑皮膜が形成される部品と粒子から
    なる粘着層均し媒体とに液状物質を付着させるとともに
    振動又は攪拌処理を施すことにより、固体潤滑皮膜が形
    成される部品に粘着層を形成する工程、粘着層が形成さ
    れた部品、固体潤滑剤粉末、バインダー粉末及び粒子か
    らなる皮膜形成媒体等により構成される混合体に振動又
    は攪拌処理を施すことにより粘着層が形成された部品の
    表面に粉末皮膜を形成する粉末皮膜形成工程とからなる
    ことを特徴とする固体潤滑皮膜形成方法。
  2. 【請求項2】固体潤滑皮膜が形成される部品に粘着層を
    形成する工程、粘着層が形成された部品、固体潤滑剤粉
    、バインダー粉末及び粒子からなる皮膜形成媒体等に
    より構成される混合体に振動又は攪拌処理を施すことに
    より粘着層が形成された部品の表面に粉末皮膜を形成す
    る粉末皮膜形成工程、該粉末皮膜が形成された部品を加
    熱し、固体潤滑剤粉末或いはバインダー粉末の一部或い
    は全部を溶融或いは軟化させる中間熱処理工程、該溶融
    或いは軟化した上記粉末に粒子を衝突させて粉末を高密
    度に凝集化させる粉末凝集化工程とからなることを特徴
    とする固体潤滑皮膜形成方法。
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