JP3482225B2 - 皮膜形成方法 - Google Patents

皮膜形成方法

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JP3482225B2
JP3482225B2 JP21500293A JP21500293A JP3482225B2 JP 3482225 B2 JP3482225 B2 JP 3482225B2 JP 21500293 A JP21500293 A JP 21500293A JP 21500293 A JP21500293 A JP 21500293A JP 3482225 B2 JP3482225 B2 JP 3482225B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、種々の産業分野で使用
される各種部品の表面に皮膜を形成する皮膜形成方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】各種部品の表面に皮膜を形成する技術は
工業的に広く利用されている。皮膜は部品或いは製品の
表面性能の改善或いは諸性能の付加等の機能を有すると
ともに、部品或いは製品の外観の改善等にとって非常に
重要であり、従って、皮膜形成技術には極めて高い信頼
性が要求される。また、皮膜形成技術は、上記の要求を
満足するとともに、皮膜形成費用が部品或いは製品コス
トの主要部分を占めないように皮膜形成費用を低減する
ことが重要な課題になっている。
【0003】皮膜形成方法について、樹脂による皮膜形
成方法の例を挙げると以下のような技術が現在の主流で
ある。 (1)電着塗装方法 電荷を持つ樹脂粉体が懸濁された液体に部品を浸漬し、
外部電源により部品に電圧を印加することにより、電荷
を持った樹脂粉体が部品に引きつけられ、部品を樹脂粉
体で覆い、その後、樹脂粉体で覆われた部品を加熱し、
樹脂粉体を溶融又は/及び架橋して部品の表面に皮膜を
形成する。
【0004】(2)静電塗装方法 電荷を持つ樹脂粉体を飛散させた空間に、電圧が印加さ
れた部品を置くことにより、樹脂粉体を部品に引きつけ
て部品に樹脂粉体皮膜を形成し、その後、樹脂粉体皮膜
が形成された部品を加熱し、樹脂粉体を溶融又は/及び
架橋して部品の表面に皮膜を形成する。
【0005】(3)スプレー塗装方法 樹脂を溶媒で希釈し、これをスプレーで部品に吹き付け
ることにより皮膜を形成した後、溶媒を蒸発させ、樹脂
を溶融又は/及び架橋して部品に皮膜を形成する。
【0006】(4)浸漬塗装方法 粘度の低い樹脂液或いは粘度の高い樹脂の場合は溶媒で
希釈して粘度を下げた樹脂液の槽内に部品を浸漬して、
部品の表面に樹脂を付着させ、その後、樹脂を溶融又は
/及び架橋して皮膜を形成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したような従来の
皮膜形成方法は、以下に記載するような課題を有するも
のである。 (1)電着塗装方法 部品を電極に取付けるための作業が必要であり、ま
た、電極を取り付けた部品には膜が形成されないの
で、皮膜形成後、その部分に樹脂を盛り付けるためのタ
ッチアップと呼ばれる作業が必要となる。これら及び
の作業は、共に、人手又は複雑な動きをするロボット
等の導入が必要であり、従って、皮膜形成のための費用
の増大を来すことになる。更に、使用済みの電着液は
産業廃棄物として処理しなくてはならない等の問題があ
る。
【0008】(2)静電塗装方法 上記(1)の及びと同じ問題があり、また、粉体が
飛散するため、粉塵爆発等の危険性があり、粉塵飛散防
止や爆発防止のための大掛かりな装置が必要となる。
【0009】(3)スプレー塗装方法 スプレーガンの操作に熟練が必要であり、また、ロボ
ット等による操作も可能であるが、複雑な動きをしなけ
ればならないために、皮膜形成のための費用の増大を来
たしている。皮膜の膜厚がスプレーガンの操作に大き
く依存するので膜厚が不均一になりやすい。部品の一
つの面にスプレーした後、他の面にスプレーするために
部品をひっくり返す操作が必要である。スプレー化す
るため樹脂を多量の溶媒で希釈しなければならず、ま
た、塗布後、この溶媒を蒸発させる工程で公害対策処理
が必要となる。
【0010】(4)浸漬塗装方法 多数の部品をかご等に入れて、短時間で一度に塗装でき
るので、上記(1)の及び、上記(3)の及び
等の問題がなく、最も能率がよく安価な塗装方法であ
る。しかし、この方法では、浸漬浴漕から部品を取り出
した際の液だれ、液だまりが不可避的に発生し、また、
逆に液がつかないか極端に薄いところができやすく、皮
膜形成方法としては他の方法に比べ遙に信頼性が低い。
【0011】本発明の目的は、上述した従来の皮膜形成
方法が有する課題を解決するとともに、皮膜を形成する
粉体が高密度に詰まった、部品に強固に結合した皮膜を
形成する皮膜形成方法及び生産性、作業性に優れた公害
問題等のない皮膜形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するために、一つには、皮膜が形成される被処理部
品、該被処理部品に粘着層を形成する物質、粉体及び皮
膜形成媒体からなる混合体に振動又は攪拌処理を施すこ
とにより被処理部品の表面に皮膜を形成し、その後、前
記粉体を溶融するようにしたものである。
【0013】以下に、本発明の実施例について説明する
が、本発明の趣旨を越えない限り、何ら本実施例に限定
されるものではない。
【0014】先ず最初に、本発明を実施する際の特徴あ
る構成(1)〜(3)について説明する。 (1)本発明の皮膜形成方法においては、先ず、皮膜の
形成が必要とされる被処理部品の所定の表面には、後述
する粉体の付着に必要な粘着力を有する粘着層が形成さ
れなければならない。粘着層は、未硬化状態の樹脂やそ
の他の液状或いは半液状物質等により形成することがで
きるが、未硬化状態のエポキシ、フェノール等の樹脂、
各種モノマー等を使用することが好ましい。これらの粘
着層を形成する物質は、加熱により硬化する方が好まし
いが、必ずしも硬化しなくてもよいし、加熱により蒸発
してしまう物質であってもよい。また、被処理部品或い
は被処理部品の表面層が樹脂の場合には、樹脂の表面を
溶媒で溶かし粘着層を形成することもできる。被処理部
品の表面に形成される粘着力を有する粘着層は、被処理
部品、粉体及び後述する皮膜形成媒体とともに粘着層を
形成する物質に同時に振動又は攪拌処理を施すことによ
り形成することができるが、予め、被処理部品の表面に
粘着層を形成しておくこともできる。予め、被処理部品
の表面に粘着層を形成した場合には、振動又は攪拌処理
は粘着層が被覆された被処理部品、粉体及び皮膜形成媒
体に施すことになる。また、粘着層の厚さは、形成する
皮膜の厚さ、粉体或いは皮膜形成媒体の材質等により適
宜設定する。
【0015】(2)被処理部品、粉体、粘着層を形成す
る物質とともに振動又は攪拌処理が施される皮膜形成媒
体或いは粘着層が施された被処理部品、粉体とともに振
動又は攪拌処理が施される本発明の重要な構成要件を構
成する皮膜形成媒体は、被処理部品の表面の粘着層に付
着した粉体を打撃し、粉体を粘着層に圧入或いは押圧
し、より強固に粉体を粘着層に付着させる機能を有し、
また、粘着層に付着した粉体を打撃することにより、粉
体の下の粘着層を構成する物質を粉体の表面に押し出
し、更に、押し出された粘着層を構成する物質に粉体を
付着させ、多層にしかも高密度に粉体を被処理部品の表
面に付着させる機能を有し、更には、粉体が付着してい
る皮膜形成媒体が被処理部品に衝突することにより、皮
膜形成媒体に付着している粉体が被処理部品に移されと
いう、一種の転写的な作業が行われ、粉体の被処理部品
の表面への強力な付着が促進されるという機能を有する
ものである。粘着層に付着した粉体を、皮膜形成媒体が
打撃しても粉体の下の粘着層が表面に押し出されなくな
った時点で被処理部品への粉体の付着が停止する、即
ち、皮膜形成が終了することになる。
【0016】皮膜形成媒体に付着している粉体が被処理
部品に移されるという、一種の転写的な作業による被処
理部品の表面への粉体の付着は、後述するように非常に
多くの皮膜形成媒体が万遍なく被処理部品の表面に衝突
するので、被処理部品の表面に均一な粉体の付着層が形
成されることになり、従って、被処理部品に均一な皮膜
を形成することができる。
【0017】上述したように、皮膜形成媒体は打撃力を
発生して皮膜の形成の媒介をする機能を有するが、それ
自身は実質的に皮膜の成分にはならない。また、皮膜形
成媒体は、被処理部品よりも寸法が実質的に小さく、且
つ、粉体よりは寸法が実質的に大きいことが重要であ
る。部品より大きい皮膜形成媒体は、部品の表面に均一
な打撃を加えることができず、また、粉体よりも小さい
と皮膜形成媒体自体が、形成される皮膜中に捕捉されて
しまうことになり好ましくない。但し、皮膜形成媒体の
全体の体積比で70%以下の範囲であれば、部品よりも
大きな皮膜形成媒体が含まれていてもよい。
【0018】また、打撃力をある程度集中させる方が、
粉体の粘着層への圧入或いは押圧が促進されるために、
例えば、球状の皮膜形成媒体を使用する場合は、その直
径が0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより
好ましい。他の形状の皮膜形成媒体を使用する場合もこ
れに準ずることが好ましい。また、皮膜形成媒体が被処
理部品よりも小さいとは、皮膜形成媒体の一つ一つを同
体積の球で置き換えたとき、その直径が部品の差し渡し
のうち最大のものよりも小さいことを意味するものであ
る。更に、粉体に対しては、平均寸法で上述したような
要件を充たしていれば所望の打撃力を発生することがで
きる。即ち、皮膜形成媒体となる粒子の一部が粉体より
小さくても、平均寸法で皮膜形成媒体が粉体より大きけ
れば所望の打撃力を発生することができる。但し、これ
ら粉体より細かい皮膜形成媒体は皮膜中にとりこまれる
恐れがあるので、できるだけ含まれないことが望まし
い。
【0019】また、上述した皮膜形成媒体の材質は次の
要件を満たしていることが重要である。即ち、皮膜形成
後に皮膜形成媒体を観察して肉眼で認められるような大
きな形状変化がなく、且つ、皮膜形成過程において弾性
変形が極端に大きくならないことが重要であり、従っ
て、例えば、軟質ゴム等の材質で皮膜形成媒体を製造す
ることは好ましくない。また、長期的使用による若干の
摩耗は避けられないが、割れ、欠け、急激な摩耗等が発
生しないことが重要である。これらの要件を満たさない
材質の皮膜形成媒体を使用すると、被処理部品との衝突
により、皮膜形成媒体が塑性変形を起こしたり或いは軟
質ゴムのように極端に大きな弾性変形を起こしたりする
ことになり、従って、被処理部品に与える打撃力が不足
して所望の皮膜形成が起こらなくなる。また、割れ、欠
け、急激な摩耗が起こると、皮膜形成媒体の耐用寿命が
短くなり、皮膜が形成された被処理部品の生産性、作業
性或いは経済性等の面から好ましくない。
【0020】皮膜形成媒体は、鉄、炭素鋼、その他合金
鋼、銅及び銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合
金、その他各種金属、合金製或いはAl2 3 ,SiO
2 ,TiO2 ,ZrO2 ,SiC等のセラミックス製、
ガラス、更には、硬質プラスチック等を用いることがで
きる。また、皮膜成形の際に充分な打撃力が加えられる
のであれば、硬質のゴムも使用することができる。これ
ら皮膜形成媒体のサイズ、材質等は被処理部品の形状及
びサイズ、使用する粉体の材質等に応じて適宜選択する
ことができる。更に、複数のサイズ及び材質の皮膜形成
媒体を混合して使用することもできるし、また、皮膜形
成媒体に表面処理、表面皮膜を施して使用することもで
きる。更には、複数の上記材料によって構成された複合
皮膜形成媒体を用いてもよい。
【0021】打撃力の緩和及び平均化を行い、形成され
る皮膜の均質性、膜厚のばらつきを抑えるために、木
粉、軟質ゴム、軟質プラスチック等軟質の皮膜形成媒体
を前記硬質の皮膜形成媒体に対し適宜混合することもで
きるが、このような軟質の皮膜形成媒体は、使用される
全皮膜形成媒体の体積比の50%以下であることが好ま
しい。これら軟質の皮膜形成媒体は、単独ではほとんど
有効な打撃力を発生することができないので、前記硬質
の皮膜形成媒体と併用されることになる。また、皮膜形
成媒体の表面に硬化した樹脂、未硬化樹脂又は揮発性液
体の皮膜を形成することもできる。このような皮膜は、
一旦は粉体を皮膜形成媒体表面に均一に付着させること
を助長し、その後、振動又は攪拌作業中に粉体を皮膜形
成媒体表面から離脱させて被処理部品に粉体を付着させ
る。このような過程により粉体が被処理部品の表面によ
り一層均一に付着する。
【0022】上述した皮膜形成媒体は、球状、楕円形、
立方体、三角柱、円柱、円錐、三角錐、四角錐、菱面
体、不定型体、その他各種形状のものを使用することが
でき、これら形状の皮膜形成媒体を単独で、或いは、適
宜混合して使用することもできる。
【0023】(3)次に、重要な本発明の特徴ある構成
は、粉体が付着し粉体で被覆された被処理部品を、粉体
の融点以上に加熱して粉体を溶融させることである。粉
体が付着した被処理部品を粉体の融点以上に加熱して、
少なくとも部分的に粉体を溶融することにより、或い
は、種類の異なる粉体物質からなる混合粉体の場合に
は、少なくとも一種類の粉体物質を溶融させることによ
り、(i)粉体が皮膜から離脱するのを防止し、(ii)
粉体同志の結合を強めて皮膜を強固にし、(iii )皮膜
中の空隙を溶融した物質で埋めることにより、空孔の少
ない高密度の膜にし、更に、(iv)皮膜を平滑にする等
により、皮膜の種々の性質が改良されて高品質の膜にな
る。
【0024】ここでいう融点とは、物理学的に明確に定
義された融点である必要はなく、粉体の軟化点以上で粉
体同志が表面張力によって互いに合体を始める温度以上
であればよい。また、加熱により、粉体全体が溶融する
必要はなく、粉体の表面付近だけが溶融して粉体同志が
合体してもよい。
【0025】一般に融点が低い物質からなる粉体は、そ
れ自身で強い衝撃により接着しやすい性質を持ってい
る。低融点の粉体のみで本発明の方法により皮膜形成を
行うと、皮膜形成媒体の打撃頻度が高い部分には皮膜が
厚く形成され、打撃頻度が少ない部分には皮膜が薄く形
成され、被処理部品がリング状等のように中空部分を有
しているような場合には、膜厚の内外周差が大きくなっ
たり、部品間の膜厚のバラツキが大きくなったり、或い
は、皮膜表面の凹凸が激しくなったりする。加熱により
溶融しない粉体は、付与した粘着物質によらない、粉体
同志の直接の接着を抑制し、膜厚の無制限の増大を抑制
し、膜厚が最初に付与される粘着物質の量によって決め
られるようになる。このようにして膜厚のバラツキが少
なくなり、膜厚管理がしやすくなる。
【0026】ところで、皮膜形成後加熱処理を施した際
に、加熱しすぎて溶融した粉体の粘性が低下しすぎる
と、溶融した粉体が液状となって垂れたり、或いは、部
品の表面の平滑さが損なわれる等の問題が生じることに
なる。従って、好ましくは、皮膜形成後、所定の温度に
加熱した際に、溶融しない粉体物質を該所定の温度によ
る加熱により溶融する粉体物質に混合し、溶融し液状と
なった粉体物質が皮膜層内に浸透し、溶融した粉体物質
が液状となって垂れ下がることを防止するとともに、よ
り強固な皮膜を形成するように構成することが好まし
い。また、加熱により溶融しない粉体物質が皮膜層の形
状安定材の役割を果たし、部品の表面の平滑さが損なわ
れたり、或いは、部品の底部表面に、部品の支持部材、
例えば、網状支持部材の網状の跡が付くようなことが防
止できる。更に、加熱後も溶融しない粉体は、皮膜中に
分散して、皮膜の固さを向上させる。加熱により溶融し
ない粉体物質としては、各種塗装に用いられているTi
2やベンガラ等無機物顔料がある。このような顔料
は、加熱後の皮膜中で美観や防食等の機能の向上をも発
揮する。
【0027】以上説明したように、本発明の皮膜形成方
法においては、上述した(1)〜(3)の特徴ある構成
が重要であるが、次に、皮膜を形成する重要な構成要素
である粉体について説明する。
【0028】粉体は、被処理部品の表面に形成される粘
着層を構成する物質、例えば、未硬化樹脂より固いこと
が重要であり、この結果、振動又は攪拌処理中に粉体が
未硬化の樹脂等の粘着層に押し込まれることが可能とな
り、より強固な皮膜を形成することができる。粉体はあ
らゆる種類の樹脂粉体、金属粉体又は無機物質粉体を単
独で使用することも或いはこれらを2種類以上を混合し
て使用することが可能である。また、粉体が被処理部品
の表面に形成される皮膜中に取り込まれるためには、皮
膜形成媒体よりは小さいことが重要である。
【0029】加熱により融ける粉体としては、エポキ
シ、アクリル、ポリエステル等の樹脂粉体、低融点の金
属又は無機粉体を使用することができる。また、このよ
うな低融点粉体に、各種塗装に用いられる樹脂粉体のよ
うに、樹脂粉体中にTiO2 やベンガラ等の高融点で加
熱によっても融けない無機物顔料を含ませることも可能
である。このような顔料は、加熱後の皮膜中で美観や防
食等の機能を発揮する。
【0030】粉体の粒度は、振動又は攪拌の強度、被処
理部品のサイズ、形成する皮膜の厚さ及び粉体の材質等
により変わる。セラミックス粉体等硬質で変形しにくい
粉体の場合は粒度が小さいことが好ましく、延性に富む
金属粉などの場合はこれより大きくてよいが、一般には
0.01〜500μmの範囲内であることが好ましく、
0.01〜300μmの範囲がより好ましく、0.01
〜100μmの範囲内であることが更に好ましい。一般
に、粉体は粒度が小さいほど粘着層に捕捉されやすい。
また粒度が小さい粒子は、粘着層上に分散している粉体
の間に打撃により押し込まれ易く、従って、塑性変形に
よる粉体同志或いは被処理部品との圧着や結合が起こり
易いので、粉体の粒度が小さいほど、打撃力が小さくて
済み、また皮膜の表面の粗さも小さくなる。
【0031】上述した粉体、粘着層を形成する物質、皮
膜形成媒体、被処理部品(以下、これらを「皮膜形成混
合物」ともいう。)の各成分の皮膜形成混合物に対する
割合は、各成分の所望の作用を発揮するように、いずれ
かの要素に偏らず全体がバランスするように定める。粉
体及び粘着層を形成する物質の量は、主として、被処理
部品に形成される皮膜の厚みと、被処理部品の表面積の
合計等によって定まるものである。但し、粘着層を形成
する物質と粉体の比率は、粘着層を形成する物質の硬化
後の体積に換算して該物質を0.5%以上に設定するこ
とが好ましい。これ以下であると、粉体の被処理部品へ
の付着が不充分となる。また、皮膜形成媒体と被処理部
品の混合比率は、被処理部品の形状等によって異なる
が、少なくとも見掛け体積比で皮膜形成媒体を50%以
上、好ましくは1:1以上配合しないと、被処理部品表
面への均一且つ充分な打撃が行われず良好な皮膜を形成
することが難しい。
【0032】以上説明した本発明の実施例の振動又は攪
拌処理に代えて、粉体及び粉体を付着させた皮膜形成媒
体を被処理部品に向かって衝突させることにより、粉体
を被処理部品に付着させることもできる。
【0033】この方法は、被処理部品が箱又は筐体等の
場合に、振動又は攪拌処理によっては皮膜形成媒体が接
触しがたい場所、例えば、箱又は筐体等の内側のコーナ
ー等に皮膜を形成するのに適する方法である。皮膜形成
媒体に粉体を付着させ、衝突により粉体及び皮膜形成媒
体に付着した粉体を被処理部品の表面に施された粘着層
に押圧し、また、押し込むことにより、被処理部品に皮
膜を形成することができる。なお、粉体と皮膜形成媒体
を別々に衝突させることもでき、また、衝突させる方法
はガス流を利用する方法や機械的方法等がある。
【0034】次に、上述した振動又は攪拌手段につい
て、図を用いてより具体的に説明するが、振動又は攪拌
手段はこれら以外でも種々の手段を使用することができ
る。
【0035】図1に示されている容器2内に設けられ回
転軸4に固着されたアーム3、図2に示されている回転
軸4に固着された羽根5、又は、図示されてはいないが
インペラ、ブレード等を配設した攪拌機により攪拌処理
を行うことができる。なお、図中10は皮膜形成混合物
である。また、図3に示すように、ドラム又はポット状
容器自体をローラー6上で回転してもよいし、更に図4
に示すように、回転軸に固着されたドラム状容器2を回
転させてもよい。振動又は攪拌装置の振動又は攪拌を皮
膜形成混合物に伝える皮膜形成混合物が収容される収容
部材は、上部が解放されている容器のようなものでもよ
く、また、密閉されていてもよく、更にはコンベヤーベ
ルト等のような搬送部材でもよい。加えて図5に示すよ
うに容器2を揺すってもよく、振動中に攪拌を行っても
よい。また、図6に示すように、回転軸4に対照的に固
着されたアーム7の先端に取りつけられた容器2内に皮
膜形成混合物10を入れて遠心力で皮膜形成混合物を混
合してもよい。このとき容器2を自転させることが好ま
しい。容器の動作が同じであれば、回転の機構はこれに
限らず、例えば、ディスク状のホルダーを使ってもよ
い。或いは、図7に示されているように、容器2内又は
容器外に設けられた加振器8により皮膜形成混合物に振
動を加えてもよい。なお、振動、攪拌の条件は、市販の
振動バレル、遠心バレル、ジャイロバレル等の通常の運
転条件で良い。
【0036】粉体が圧入、付着される粘着層に高密度に
粉体を挿入し圧縮するためには、比較的小さな打撃力を
被処理部品表面に均一に加えることが好ましい。このよ
うにすることにより、均一に粉体が粘着層に圧入、付着
されることになり、且つ、一旦粉体が圧入、付着された
場合には、粘着層からの粉体の脱落が起こらず、また、
皮膜層における粉体の密度が高くなる。
【0037】一方、比較的大きな被処理部品や被処理部
品としての板材の被覆を行う場合には、図8に示すよう
に、容器1を間仕切り板30で仕切って、仕切られた区
画31のそれぞれに被処理部品33を投入し、容器を振
動させてもよい。また、図9に示すように、被処理部品
33を釣具36で容器1内に釣り下げてもよい。
【0038】図8で間仕切り板30の代りに金網を用い
ると、皮膜形成媒体が金網の網目を通り抜けて槽内を自
由に行き来できるため、粉体が均一に行きわたり、従っ
て、均一で良好な皮膜を得ることができる。また、図1
0に示すように、被処理部品33を容器1内に固定し
て、容器を加振し及び/又は被処理部品33を加振器8
に接続して被処理部品33を加振させてもよい。図11
に示すように、被処理部品33を釣り下げて被処理部品
33の片面にのみに皮膜形成媒体を接触するようにし
て、容器1を振動させると被処理部品の片面のみに皮膜
を形成することができる。
【0039】被処理部品がプラスチック筐体等である場
合には、被処理部品に溶剤を塗布し、被処理部品のプラ
スチックを溶かし出して粘着層を形成してもよい。この
方法によれば、溶剤の塗布された部分にのみ粉体が付着
し皮膜が形成されるため、例えば、筐体内面にのみ皮膜
を形成させること等が極めて容易に行える。被処理部品
に皮膜を形成させる場合に、所望の表面全体を一回では
皮膜できない場合があるが、こにような場合には、被処
理部品を一度いくつかの部分に分割し、それぞれ必要な
部分に皮膜を形成させた後、組み立てる方法が有効であ
る。また電波暗室等の大きな空間に皮膜を施したい場合
は、上記の方法により片面もしくは両面に皮膜を形成さ
せた板で空間を囲うことにより遮蔽を行うように構成す
ることができる。
【0040】被処理部品が単純な板やあるいは細長い線
材である場合に、このような被処理部品に皮膜を形成さ
せるには、図12に示すように容器1の底に穴28をあ
け、ここへ板や或いは細長い線材等の被処理部品33を
通し、皮膜形成媒体7を容器1に入れる。容器1に振動
を加えながら、粘着層を形成する樹脂等の物質及び粉体
を少しずつ連続的に投入し、被処理部品33をパッキン
グ39に対して滑らせながら下へ引き抜いてゆく。容器
1に入る前に、被処理部品33の表面に予め粘着層をつ
けこれを容器1内に引きこみ、容器1内へは粉体及び皮
膜形成媒体7を投入してもよい。図12のように板状の
被処理部品33を容器1の片側に寄せ、板状の被処理部
品33の片面のみに皮膜を形成することもできる。ま
た、図13のように、被処理部品33を水平に引き抜き
両面に皮膜を形成するようにしてもよい。
【0041】筐体の隅部等には、図1〜13を参照して
説明した方法によっては皮膜を形成することが困難な場
合がある。この場合は図14に示すように、鋼球42等
の皮膜形成媒体の表面に未硬化の樹脂等の粘着層を構成
する物質を予め付着させ、そこに粉体41を付着させ、
そして、ノズル45から皮膜形成媒体としての鋼球42
を噴出させる。筐体40には予め未硬化の樹脂層等の粘
着層43を形成しておく。鋼球42が粘着層43に衝突
すると、粉体41は粘着層43に捕捉され、且つ、押し
込まれる。粉体41が離れた鋼球42は落下し、次々に
鋼球42の衝突が起こるから、粉体41は粘着層43内
にますます押し込まれ、圧縮され、密度が高まり、面接
触しそして皮膜を形成する。
【0042】上記の方法とは別に、粉体41と鋼球42
を別々に同一個所に向かって噴射してもよい。鋼球42
の噴射はガス流を利用してもよく機械的に噴射してもよ
い。また特に、隅部に皮膜を形成させるために、隅部に
面取り(コーナー取り)を施すことが好ましい。面取り
はその曲率半径Rで一般に表わされるが、好ましくはR
=0.1〜5mm、より好ましくはR=0.25〜3m
m、更に好ましくはR=0.5〜2mmのコーナー取り
をする。
【0043】本発明の皮膜形成方法は、振動・攪拌処理
をバッチによらず、ベルトコンベヤ等の搬送部材上にお
いて連続的に行うことができるので、電着塗装や静電塗
装のように、被処理部品を1つ1つ電極に引っかける作
業、タッチアップ作業或いはスプレー塗装のように片面
塗布後1つ1つの被処理部品をひっくり返す作業等も不
要であり、更に、被処理部品に電圧を印加するための大
がかりな電源も不要となる。
【0044】また、攪拌又は振動処理と加熱処理により
皮膜を形成するために、スプレー塗装のような作業者の
熟練も、高度なロボット等も不要であり、皮膜の膜厚が
均一で信頼性の高い、強固な皮膜形成ができる。また、
浸漬塗装のように液だれや液だまりもできない。
【0045】更に、攪拌又は振動処理を容器内で行うこ
ともできるので、電着塗装方法等の欠点の1つである粉
体の飛散、多量の溶媒蒸発等の公害、作業環境汚染等の
問題がない。同様に、残存粉体や皮膜形成媒体は再使用
が可能であるために、電着塗装方法の欠点の一つである
使用済み浴液等の廃棄や処理の問題はない。
【0046】以下に、本発明のより具体的な実施例を列
挙する。
【実施例】
実施例1.容積2.8リットル、深さ150mmの円形
ポットに、表面には黒色エポキシ系樹脂粉体が2体積%
付着している。直径2.0mmの鋼球を10kg投入
し、振動数3、600c.p.m、振幅1〜5mmの振
動を加えた。その後、直ちに内径10mm、外径12m
m,高さ10mmのNd−Fe−B系急冷薄帯樹脂結合
ボンド磁石を20個、20mm×10mm×15mmの
焼結電磁軟鉄片10個を、それぞれ、10%エポキシ樹
脂−MEK溶液(エポキシ94%、硬化材6%をMEK
で10%濃度に希釈したもの)に浸漬し、表面に樹脂を
つけた後、ポットに入れ、10分間振動を加えた。その
後、各試料を取り出したところ、各試料表面には厚さが
平均8μmの黒色エポキシ樹脂粉体圧縮層ができてい
た。以上の成膜工程時間は25分であった。
【0047】その後、試料を170℃で10分間熱処理
を行ったところ、各試料表面には、7μm±0.5μm
の樹脂層が形成できた。全試料にピンホールは全く無か
った。全試料に80℃、95%の耐湿性試験を1000
時間程施したところ、全数に発錆がまったく認められな
かった。
【0048】実施例2.平均粒径が10μmのエポキシ
樹脂粉体、平均粒度が40μmの白色エポキシ樹脂粉体
(白色顔料入)、平均粒径が3μmの黒色エポキシ樹脂
粉体(黒色顔料入り)、平均粒径15μmのグリーン色
ポリエステル系樹脂粉体(緑色顔料入り)、平均粒径1
μmの赤色アクリル系粉体(赤色顔料入り)の各々によ
り20×20×5mmのNd−Fe−B系焼結永久磁石
表面に、粉体圧縮層を形成せしめた後、140℃〜18
0℃で30分間樹脂の熱処理を行った。
【0049】粉体圧縮層は以下の工程により作成した。
容積2.8リットル、深さ150mmの円形ポットに直
径2.0mmの鋼球(表面にはNiめっきコーティング
が処してあるもの)を10kg投入し、振動数3、60
0c.p.m.、振幅0.5〜5mmの振動を加えなが
ら、各種粉体をそれぞれ、30g入れ、10分間振動を
加え、鋼球表面に粉体を万遍なく行きわたらせた。その
後、エポキシ樹脂液(10%MEK溶液)に浸漬して表
面を樹脂で覆った部品をポットに入れ、15分間振動を
加えた後取り出した。その結果、部品表面にはそれぞれ
平均膜厚が5μm、20μm,4μm,10μm,6μ
mの皮膜が得られた。
【0050】各試料を同じ部品に電着塗装で平均膜厚3
0μm(比較例)、静電塗装で平均膜厚40μm(比較
例)の皮膜を形成し耐食性を比較したところ、本発明の
実施例が膜厚が薄いにもかかわらず、比較例と同等以上
の耐食性を示した。
【0051】実施例3.直径1.0mmの鋼球の表面に
10μmのNiめっき皮膜及び5μmのエポキシ樹脂皮
膜を設け、その上に更に、平均粒系2μmの白色系エポ
キシ樹脂を3体積%付着させた。開口500×30m
m、深さ100mmの容器内(下面に500×1.5m
mのスリットが開いている)に7kgの鋼球を入れ、そ
の容器に振動数5000c.p.m.、振幅1〜5mm
の振動を加え、上部から幅498mm、厚さ1mmの自
動車用鋼板を20mm/分の速度で下降させた。容器下
面のスリット出口下部には焼付用ヒーターを設置し、そ
の下部で鋼板を巻き取っていった。その結果、膜厚10
μm±0.2μmの皮膜を持った自動車用鋼板が1.2
m/時の成膜速度で得られた。
【0052】実施例4.容積2.8リットル、深さ15
0mmの円形のポットの中に表面にニッケルめっきした
直径0.2mmのセラミックボールを2kg投入し、そ
の上にエポキシ樹脂10%(樹脂97%、硬化材3%)
を溶かしたMEK溶液30ccをセラミックボール表面
に振りかけた。容器に10分間振動(振動数3600
c.p.m.、振幅0.5〜2mm)を加え、セラミッ
クボール表面に万遍なく樹脂を行き渡らせた。その後、
平均粒系10μmの黒色エポキシ系樹脂粉体を25g投
入し、同じ振動を20分間加えた。
【0053】その後、上記処理後のセラミックボールを
ショットブラスティング装置に投入し、ノズル径3m
m、圧力6kg/cm2 距離10〜60cmの条件で自
動車用鋼板に30分吹きつけ処理を行った。その後14
0℃で20分間焼付処理を行った。その結果、平均膜厚
20μmの膜ができた。
【0054】実施例5.容積3リットル、深さ150m
mの円形の容器の中に直径2mmのセラミックス製ボー
ルを容器の八分目まで入れた。その容器中にエポキシ樹
脂粉体(平均粒度2μm、未硬化のもので120℃〜1
30℃以上の温度下で融けた後に硬化するもの(以下の
実施例及び比較例でも同様である。))、チタニア粉体
(平均粒径0.8μm)を重量比6:4の割合で混合し
た粉体を20g入れ、容器に3分間振動(振動数100
0〜4000c.p.m,振幅0.2〜5mm)を加
え、セッラミックス製ボールの表面に万遍なく粉体を行
き渡らせた。加振容器はバレル機(チップトンエスボ社
製、振動バレルVM−10(230W))を使用し、加
振の制御にはインバータ電源とスライダックを用いた。
【0055】外形2mm、内径20mm、高さ10mm
のNd−Fe−B系超急冷ボンド磁石及び外形3mm、
内径20mm、高さ1mmのNd−Fe−B系焼結磁石
各10個をエポキシ系樹脂10%(未硬化のもので硬化
材を樹脂に対して5%含む)を溶かしたMEK溶液に浸
した後取り出し、30秒温風で乾燥させて粘着層を形成
した。次に粘着層を形成した磁石を振動容器中に順次投
入した。5分間振動を続けた後に20個の全部品を取り
出した。これらの磁石をフッ素樹脂板上で150℃で2
時間加熱したところ、エポキシ樹脂がいったん融解し、
またほとんど同時に硬化した。
【0056】このようにして形成した皮膜は、(i)膜
厚が内外周ともに30μm±15μmで均一であり、
(ii)融解−硬化処理時の部品を支持する下板との接触
跡が小さいこと、(iii )表面硬度が5H(鉛筆による
硬度テスト)で硬く、強固であることが確認できた。こ
の膜の断面を電子顕微鏡写真で観察した結果、TiO2
粉体は融けていないが、エポキシ樹脂粉体は跡形もなく
融けた後硬化していた。チタニア粉体をまったく加えず
にエポキシ粉体のみを使用して上記部品に同一処理を処
した結果、膜厚が内周は30〜60μm、外周は40〜
80μmで膜厚の差が大きく、融解ー硬化処理時の部品
を支持する下板との接触跡が明瞭に見られた。試験した
リング形状の磁石の下面にはバリが張り出し、このバリ
の大きさは精密モーターの部品として使用する際には除
去が必要な程度であった。また、皮膜の硬度は1H〜2
Hであった。なお、上記の接触跡やバリは大型部品等で
は余り問題にならない。
【0057】上述した本発明の実施例においては、被処
理部品の表面に皮膜を本発明方法により直に形成した場
合について説明したが、予め本発明による皮膜形成方法
とは別の方法により皮膜が形成された被処理部品に本発
明により皮膜を形成することができるものであり、更
に、本発明方法により予め皮膜を形成した被処理部品
に、更に、本発明方法により皮膜を形成することもでき
る。
【0058】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0059】粘着層が形成された被処理部品に、粉体及
び粉体の付着した皮膜形成媒体を接触させるとともに、
粉体が付着した皮膜形成媒体で粉体が被覆された被処理
部品を叩くことにより、粉体を高密度に強固に被処理部
品に付着させることができるとともに、粉体を皮膜形成
媒体により叩くことにより、被処理部品に施された粘着
層を構成する物質を表面に押し出し、押し出された粘着
層を構成する物質に、更に、粉体を付着させることによ
り、多層に被処理部品の表面に粉体を付着させることが
できるので、強固な皮膜を形成することができる。
【0060】粉体を溶融することにより、粉体同志を結
合することができるので、皮膜をより強固なものとする
ことができるとともに、粉体の離脱をなくし、皮膜中の
空隙も少なく、しかも、皮膜の平滑性を向上することが
できる。
【0061】粉体を所定の温度では溶融しない粉体物質
と所定の温度で溶融する粉体物質とで構成し、所定の温
度で溶融する粉体物質を溶融し、液状となった該粉体物
質を皮膜層内に浸透させることにより、溶融した粉体物
質が液状となって垂れ下がることを防止するとともに、
より強固な皮膜を形成することができる。また、加熱に
より溶融しない粉体物質が皮膜層の形状安定材の役割を
果たし、部品の表面の平滑さが損なわれたり、或いは、
部品の底部表面に、部品の支持部材の跡が付くようなこ
とが防止できる。
【0062】更に、加熱により溶融しない粉体物質は、
加熱により融ける低融点粉体同志の、予め付着した粘着
物質を介さない直接の接着を抑制し、このため膜厚の無
制限な増大を防止しするとともに、中空孔等を有するリ
ング状被処理部品の場合等に起こりやすい内周面と外周
面の膜厚差を小さくしたり、各部品間の膜厚差、バラツ
キを小さくし、膜厚の管理をしやすくするという効果を
発揮する。
【0063】部品の位置変換等を省略することができる
と共に溶剤等の使用がないので、皮膜技術のコストダウ
ン、環境保全などが向上する。
【0064】振動・攪拌処理をバッチによらず、ベルト
コンベヤ等の搬送部材上において連続的に行うことがで
きるので、電着塗装や静電塗装のように、被処理部品を
1つ1つ電極に引っかける作業、タッチアップ作業或い
はスプレー塗装のように片面塗布後1つ1つの被処理部
品をひっくり返す作業等も不要であり、更に、被処理部
品に電圧を印加するための大がかりな電源も不要とな
る。
【0065】攪拌又は振動処理と加熱処理により皮膜を
形成するために、スプレー塗装のような作業者の熟練
も、高度なロボット等も不要であり、皮膜の膜厚が均一
で信頼性の高い、強固な皮膜形成ができる。また、浸漬
塗装のように液だれや液だまりもできない。
【0066】攪拌又は振動処理を容器内で行うこともで
きるので、電着塗装方法等の欠点の1つである粉体の飛
散、多量の溶媒蒸発等の公害、作業環境汚染等の問題が
ない。同様に、残存粉体や皮膜形成媒体は再使用が可能
であるために、電着塗装方法の欠点の一つである使用済
み浴液等の廃棄や処理の問題はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による攪拌をアームにより行う実施例を
示す図である。
【図2】本発明による攪拌をアームにより行う実施例を
示す図である。
【図3】本発明による攪拌を回転容器の回転により行う
実施例を示す図である。
【図4】本発明による攪拌を円筒容器の回転により行う
実施例を示す図である。
【図5】本発明による攪拌を円筒容器の振動により行う
実施例を示す図である。
【図6】本発明による攪拌を容器を回転軸の回りに回転
させて行う実施例を示す図である。
【図7】本発明による振動をポットの加振により行う実
施例を示す図である。
【図8】皮膜を形成する方法の一例を示す図である。
【図9】部品を吊って皮膜を形成する方法の一例を示す
図である。
【図10】加振により皮膜を形成する方法の一例を示す
図である。
【図11】部品を吊って皮膜を形成する方法の一例を示
す図である。
【図12】板に皮膜を形成する方法の一例を示す図であ
る。
【図13】板に皮膜を形成する方法の一例を示す図であ
る。
【図14】筐体に皮膜を形成する方法の一例を示す図で
ある。
【符号の説明】
2・・・・容器 3・・・・アーム 4・・・・回転軸 5・・・・羽根 6・・・・ローラー 8・・・・加振器 10・・・皮膜形成混合物
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−221476(JP,A) 特開 昭61−181567(JP,A) 特開 平2−172566(JP,A) 特開 昭55−47164(JP,A) 特公 昭62−39082(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/24 B05D 1/12 B05D 3/02 B05D 7/24 301

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め粘着層が施された被処理部品と粉体と
    皮膜形成媒体とに、振動又は攪拌処理を施して、前記被
    処理部品に、粉体が付着している皮膜形成媒体を衝突さ
    せて、前記皮膜形成媒体に付着している粉体を、前記粘
    着層に付着させるとともに、前記皮膜形成媒体の被処理
    部品への衝突により、前記粘着層に付着された粉体の下
    の粘着層を構成する物質を粉体の表面に押し出し、該粉
    体の表面に押し出された粘着層を構成する物質に、更
    に、粉体を付着させることにより、前記被処理部品の表
    面に粉体の付着層を形成し、その後、前記粉体の付着層
    が形成された被処理部品を、粉体の融点以上に加熱して
    粉体を溶融することを特徴とする皮膜形成方法。
  2. 【請求項2】前記粉体を複数の種類の異なる粉体物質の
    混合により構成するとともに、少なくとも粉体物質の一
    種類を溶融することを特徴とする請求項1に記載の皮膜
    形成方法。
  3. 【請求項3】前記粉体を複数の種類の異なる粉体物質の
    混合により構成するとともに、粉体物質の少なくとも一
    種類の粉体物質は溶融しないことを特徴とする請求項1
    又は請求項2に記載の皮膜形成方法。
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