JPH0613785A - 電磁遮蔽膜 - Google Patents

電磁遮蔽膜

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JPH0613785A
JPH0613785A JP23268292A JP23268292A JPH0613785A JP H0613785 A JPH0613785 A JP H0613785A JP 23268292 A JP23268292 A JP 23268292A JP 23268292 A JP23268292 A JP 23268292A JP H0613785 A JPH0613785 A JP H0613785A
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JP
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film
powder
resin
resin layer
electromagnetic shielding
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JP23268292A
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English (en)
Inventor
Masato Sagawa
眞人 佐川
Hiroshi Watanabe
寛 渡邊
Hiroo Shirai
啓雄 白井
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Intermetallics Co Ltd
Original Assignee
Intermetallics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量、シールド性能が良好、廃液処理不要、
皮膜形成の予備処理が簡単、皮膜の付き回り性が良好、
外観が良好を満足する電磁シールド膜。 【構成】 導電性皮膜が、導電性物質の粉体より構成さ
れた骨格構造を持ち、その空隙の少なくとも一部分に樹
脂が充填された粉体圧縮層と、粉体圧縮層の下側の樹脂
層とからなること電磁遮蔽膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気機器、電気部品の
外面及び/又は内面の全部または一部を覆うことによ
り、内部の一定の領域もしくは空間を電磁遮蔽する皮膜
に関する。
【0002】電磁遮蔽は電磁波の発生源がある空間を電
気伝導体や強磁性体で覆うことにより、静電遮蔽もしく
は強磁性体の電波吸収などの作用を利用して、空間内へ
外部から電磁波が侵入したり、逆に空間内部から発生す
る電磁波が外部へ漏洩するのを防止するものである。強
磁性体が物品の空間を取り囲むように磁気回路を構成
と、空間内部への磁束の侵入が防止される。これは電磁
遮蔽の一つであり特に磁気遮蔽と呼ばれる。
【0003】電磁遮蔽は古くから電波障害や妨害電波の
侵入防止などのため、建物やアンテナ・ケーブル等に施
され利用されてきたが、最近電子機器作動中に電子回路
から発生する電磁波妨害(Electro Magnetic Interfere
nce, EMI) が大きな問題になっている。
【0004】
【従来の技術】こうした機器類に対する電磁遮蔽方法と
しては次のような技術が公知である。
【0005】金属遮蔽板 コンピューターやワープロなどの機器の筐体を金属板に
よって構成し、電磁遮蔽機能を持たせるものである。こ
れは遮蔽性能は最も優れているが、重量がかさむという
欠点があり、近年生産量が伸びているノート・ワープロ
やパソコンなど、小型軽量機器には全く使用されていな
い。
【0006】導電性塗料 Cu,Ni,Agなどの導電性フィラーをアクリルやウ
レタン系樹脂などのビヒクルに分散させ、これをプラス
チック筐体の内面あるいは外面や、基板に塗布して導電
性皮膜を得るものである。後述のめっきに対しては価格
的には安いが均一な皮膜を得るためのスプレーが難しい
こと、また導電性フィラーの量を特に40体積%以上に高
めることができず、シールド性能がめっきなどに比べ劣
るなどの欠点がある。また塗着率が50%程度と悪く、
高価な塗料の多くがムダになるのも問題の一つである。
【0007】無電解めっき CuやNi皮膜を無電解めっき法により筐体表面に形成
させる。Cu,Niなどの皮膜は極めて高いシールド性
能をもつが、浴管理、膜厚やピンホール制御などが難し
くまた、廃液処理にも高いコストがかかる。さらに、め
っき膜の密着力が小さく、はがれやすい。特に、プラス
チックの材質によってはめっき膜の密着力が小さすぎ
て、めっき不可能な場合がある。(例えばポリウレタ
ン、ポリカーボネート等は無電解めっきできず使用でき
るプラスチックの種類が限られる。また、ABS樹脂に
対するブタジエン等はめっきが可能であっても密着力を
上げるために特殊な添加物をプラスチックに添加した
り、エッチングやサンドブラスト等により化学的、物理
的に表面を荒らす必要がある。加えて、筐体の外面にも
めっき膜がつくので、化粧塗装をする必要があるがめっ
き面と相性のよい塗料は非常に限られていて、しかも価
格が高い。内面のみにめっき膜をつければ化粧塗装は不
要であるが、無電解めっきのときに外面をマスキングす
る必要がある。これらすべてがコスト高の原因となって
いる。
【0008】蒸着膜 Al蒸着が主に用いられている。乾式法なのでめっきの
ような公害の問題もなく、導電塗料よりは性能がよい
が、蒸着源に対する角度に対する膜厚の依存性が大き
く、かつ深い穴の内面などのつき回りが悪く、膜厚が不
均一であり、また密着力も悪い。基本的にバッチ処理で
あり、一回の処理量が少ないと特にコスト高になるのも
問題点の一つである。
【0009】導電性コンパウンド(プラスチック) Cu繊維、 Alフレーク、ステンレス繊維をフィラーと
し、これをプラスチック中に混合もしくは織り込んで作
った導電性コンパウンドで筐体を構成し、筐体そのもの
に電磁遮蔽性能を持たせるものであり、後で導電性皮膜
を形成させる必要がない利点を持つ。欠点は成形したコ
ンパウンドの表面にフィラーの模様が浮き上がり、外観
が悪く化粧塗装が必要になる点である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述のように従来の電
磁遮蔽膜は、(イ)軽量、(ロ)シールド性能が良好、
(ハ)廃液処理不要、(ニ)皮膜形成の予備処理が簡
単、(ホ)皮膜の付き回り性が良好、(ヘ)外観が良好
などをすべて満足するものがなかった。本発明はこれら
のすべてを満足できる電磁遮蔽膜を提供するものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の電磁遮蔽膜は、
導電性物質の粉体より構成された骨格構造を持ち、その
空隙の少なくとも一部分に樹脂が充填された粉体圧縮層
とこの粉体圧縮層の下側の樹脂層とからなることを特徴
とする。以下、本発明の構成を説明する。
【0012】本発明においては樹脂としてはメラミン樹
脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ウレ
タン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、
尿素樹脂などの熱硬化性樹脂、アクリル樹脂、ポリエス
テル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコー
ル、ナイロン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル等の熱可
塑性樹脂、セルロース誘導体などを使用することができ
る。また液状プレポリマもしくはモノマー、一般に粉末
成形に用いられる有機結合剤、例えばパラフィン、樟脳
などを用いることができる。また樹脂としてゼラチン、
ニカワ、ウルシ等天然物を使うことができる。さらに樹
脂に替えてあるいは樹脂と共に水ガラスで代表されるケ
イ酸塩等無機粘着物質を使用することもできる。また皮
膜中での樹脂の役割を防げない程度に、顔料等の物質が
配合されていてもよい。
【0013】樹脂は樹脂層の構成物質であるともに粉体
圧縮層の骨格の間隙の一部に含浸されるか又は充填され
る。次に粉体物質は粉体圧縮層の構成物質であり、電磁
遮蔽に必要な導電性あるいは導電性と強磁性を備えてい
るものであれば何でもよく、ほとんどの金属又は合金粉
末を使用することができる。一例をあげれば、Al,C
u,Mg,Fe,Cr,Co,Ni,Zn,Pb,S
n,Rh,Zr,Pd,Pt,Ag,Au,Mo,Wな
どの粉末及びそれらを主成分とする合金粉末である。F
e,Ni,Co系の合金粉末は導電性と強磁性を兼ね備
えており、磁気遮蔽性も良好である。特にパーマロイに
代表されるFe−Ni合金、センダストなどは高透磁率
であり、低周波電磁波の遮断に有効である。これらの粉
末により構成される皮膜を防護皮膜なしで用いる場合
は、Agその他貴金属類など耐食性が優れている金属を
使用することが望ましい。この場合、一例を挙げればC
u粉体の表面をAgで被覆(コーティング)したCu−
Ag粉体などを使用することが更に望ましい。また金属
や合金粉体を使用する場合、好ましくは水素還元法など
による表面酸化皮膜除去処理、カップリング剤や各種有
機、無機物質などによる表面被覆処理を処した後の粉体
物質を使用することが望ましい。さらに粉体圧縮層を作
成する工程を不活性ガス(窒素ガスなど)雰囲気化で行
うことも望ましい。
【0014】これらの粉末は複数種を複合して用いるこ
とができる。また二種以上の材料で粒子が構成されてい
る複合粉末を用いることができる。さらに粉体物質は美
観向上やその他の性能の付与あるいは低コスト化の為に
その40体積%以下を非導電性の粉体を使用することが
できる。金属合金粉末は結晶質のものでも非結晶質のも
のでもどちらでもよい。特に低周波の電磁波を遮断する
には、透磁率の高い材質が有効であり、Fe−Ni合金
などのアモルファス磁性粉末は非常に優れた性能を発揮
することができる。
【0015】粉体物質の粒度は、被処理部材の大きさ、
皮膜の厚さ及び粉体物質の材質により変わる。導電性セ
ラミックス粉体など硬質で変形しにくい粉体の場合は粒
度が小さいことが望ましく、延性に富む金属粉などの場
合はこれより大きくてよいが、一般には 0.01 〜 500μ
m の範囲内が好ましい。より好ましくは 0.01 〜300μm
である。さらに望ましくは 0.01 〜 100μm の範囲内
である。
【0016】本発明に係る皮膜の構成物質の説明につづ
いて皮膜構造を説明する。粉体圧縮層では粉体の粒子が
面接触して三次元的につながった、粉末冶金法における
圧粉体のように骨格(skeleton−スケルトン)を作って
いる。骨格では粉体粒子の延性が低いときは粉体は製造
時の粒子形状をほぼ保ったまま圧縮されており、一方延
性が高いときは粉体は片状に変形して小片が積み重ねら
れるように圧縮されている。粒子又は小片の間隙には微
小の空隙が存在する。この空隙は粒子の体積割合に比べ
て非常に少なく、また樹脂が空隙に充填され空間がなく
なっているかもしくは含浸され非含浸部は空間となって
いる。空間が残ることはあるが、その体積は骨格に比べ
て極めて少なく、強度等に及ぼす影響は実用上は少な
い。このため本発明の皮膜中に存在する粉体圧縮層は従
来の導電塗料などによる樹脂塗膜では実現できなかった
高い体積割合の粉体を含んでおり、めっき又は蒸着膜と
同等に近い高い電磁遮蔽性能を得ることができる。
【0017】粉体粒子どうしの接触面は、粉末冶金法の
圧粉体と同様に塑性変形による圧接、摩擦力などにより
結合力が発生しているが、溶融や大きな熱拡散による溶
接接合力は生じていない。ただし、特に軟質もしくは低
融点の金属粉末の場合は若干の熱拡散が起こる。この結
合力が骨格の機械的性質をほぼ定める。従来の導電性樹
脂塗装膜の機械的性質は導電性フィラーが少ない場合ほ
とんど樹脂により定められ、粉体は骨格を作らず分散し
ていることと量が少ないことが原因となって樹脂塗膜の
機械的性質に対する影響は少ない。また、一般の樹脂塗
装膜ではフィラーの体積率が高くなると、フィラーの分
布が不均一で疎密の差が大きくなり、クラスター状の集
合体が形成されることもある。このような集合体は、前
記した骨格構造を作るほどには結合力が強くなく、また
集合体内部には樹脂が充分行きわたらないため、集合体
は極めて脆くくずれやすいものとなる。従ってフィラー
比率が高くなるほど皮膜中のこうした集合体の数が増え
るため、膜の機械的性質、特に耐摩耗性が低下するとい
う欠点がある。また、樹脂の比率が減少するばかりでな
く、その分布も不均一となるため膜の密着力は急速に低
下する。特に筐体内面に皮膜を形成させる場合、フィラ
ー粒子や膜の一部が脱落して回路部に落ちたりすると、
回路短絡などトラブルの原因になる。
【0018】これに対して本発明の骨格は粒子分布の疎
密が少ないので、前記集合体のような脆弱部がないた
め、粉体物質の配合比率が高いにも拘らず、膜が均質と
なり、優れた機械的性質を有するものとなり、とりわけ
耐摩耗性や密着性が向上する。骨格中に存在する空隙部
は多くが皮膜表面に開口部をもつ開放気孔であり、皮膜
中の樹脂はこの開放気孔を通じて樹脂層とつながってい
る。その結果、粉体圧縮層では空隙中の樹脂があたかも
長いピン又はボルトのように作用して強力な固定効果を
発揮する。しかも空隙中の樹脂は直線状ではなく曲がり
くねっているので、このことによっても固定効果は高め
られる。従って前記した導電性樹脂皮膜やめっき皮膜に
比べはるかに密着性の高い皮膜が得られ、膜はがれなど
のトラブルもほとんど起こらない。
【0019】骨格構造の空隙部に含浸もしくは充填され
た樹脂は、樹脂層との密着力を高める役割の他、骨格構
造を補強して、粉体圧縮層の強度を高める役割をもつ。
粉体は骨格構造の結合力により結合されまた骨格構造の
空隙に存在する樹脂によっても結合されるので、フィラ
ーが多い塗膜のように粉体の脱落はほとんど起こらな
い。
【0020】本発明のスケルトン構造の空隙は皮膜の外
面に通じる連続孔であるので、樹脂で空隙部を充填する
必要がある時は、皮膜の外部から樹脂を浸透させること
ができる。さらに、この空隙を利用して樹脂層とのアン
カー効果を発揮させて強固な皮膜接着力を作り出すこと
ができる。
【0021】粉体圧縮層の厚さは特に限定されず、部品
の大きさや要求される性能によって適宜選択する必要が
あるが、500μmが通常上限となり、これを超える粉
体圧縮層は膜厚増大に伴う利点がなく、コスト高などを
招く。膜厚は100μm以下であることが望ましく、よ
り望ましくは50μm以下である。
【0022】粉体圧縮層中の粉体物質の体積比率は40
%以下であると骨格中の空隙割合が多くなり、また粉体
粒子の面接触が減小するので、充分な防食性などの性能
が得られなくなる。より望ましい範囲は50%以上であ
り、さらに望ましい範囲は60%以上である。最も望ま
しくは70%以上である。
【0023】本発明においては空隙は樹脂を含浸または
充填させる場所としての役割をもつ。したがって骨格の
空隙には多少でも樹脂が存在している必要があり、好ま
しくは完全に樹脂が充填されているのがよい。
【0024】粉体圧縮層と部品の間に介在する樹脂層
は、その上部に粉体物質の量が下部に向かって徐々に少
なくなる遷移層を含むことがあり、また通常の塗装膜の
顔料の量程度に粉体物質を含有することもあるが、樹脂
を主体とし部品の全面もしくはほぼ全面を被覆してお
り、粉体圧縮層を部品表面に接着する役割をもつ。粉体
圧縮層と部材表面の間に介在する樹脂層は部材表面側で
はその微細の凹凸に入り込んで固定効果(anchoring ef
fect)と粘着力により部品との密着力が優れた層を作
る。樹脂層の粉体圧縮層側では粉体物質のスケルトンの
空隙中に樹脂が含浸され樹脂の粘着力と固定効果により
粉体圧縮層が部品に接着される。樹脂層の厚みは通常
0.1〜20μmであり、この下限未満では上記の作用
が十分に発揮されず、一方20μmを超えると皮膜全体
の厚さが増大し、粉体凝集層と同様の問題を生ずる。ま
た0.5μm以下であると充分な付着力が得られなくな
る。より望ましい範囲は1.0μm以上10μm以下で
あり、さらに望ましくは1.0μm以上5μm以下であ
る。
【0025】上記した膜厚はいずれも平均値でその要件
を満たしていればよく、局所的に望ましい範囲外にある
値をとってもよい。しかしながらそのばらつきの範囲は
粉体凝集層については防食性および寸法精度の点から、
樹脂層については密着力の点からできる限り小さいこと
が望ましい。樹脂層における粉体物質の量が少ないほ
ど、粉体・部材間直接接触が減少するため、より密着力
は向上する。
【0026】本発明に係る皮膜を二層以上形成させるこ
とができ、この場合粉体及び/又は樹脂の種類が異なる
二層以上の皮膜を形成してもよい。皮膜の層数が多くな
ると膜厚が大きくなりすぎること、工程が長くなり不経
済なので、全体の層数は三層以下が好ましい。
【0027】従来の塗装法では粉体粒子が分散するかあ
るいは粗密の差が大きいクラスターとなるので、本発明
の皮膜は粉体粒子が凝集して結合するが、連続体となら
ない程度に粉体皮膜形成時の成膜力を調節する方法によ
り形成される。その一つの方法としては、本出願人が平
成3年8月9日付特願平3−224782号(以下「先
願」という)で出願した被処理部材、皮膜形成過程の少
なくとも初期において少なくとも部分的に未硬化の状態
にある樹脂(あらかじめ被処理部材に被着されることも
ある)、粉体物質、および前記被処理部材よりも寸法が
実質的に小さくかつ前記粉体物質よりは寸法が実質的に
大きい皮膜形成媒体に容器内にて振動または攪拌を加え
る方法がある。
【0028】部材表面にあらかじめ樹脂皮膜を形成し、
その皮膜が未硬化の状態で上記方法あるいは上記方法に
おいて樹脂を除いた方法を実施してもよい。
【0029】樹脂、粉体物質及び被処理部材を皮膜形成
媒体とともに容器内で振動又は攪拌すると、被処理部材
表面にまず樹脂の層が形成される。この樹脂層の厚み
は、粉体物質、樹脂、皮膜形成媒体、被処理部品の投入
順序や混合の仕方によって変わり、例えば、樹脂と粉体
物質の投入が同時に行われる場合は、部材表面と樹脂及
び部材表面と粉体粒子の接触が同時に起こるために、部
材表面に形成される樹脂単独の層は非常に薄くなるか、
光学顕微鏡では検出困難になることがある。樹脂皮膜形
成に続いて、粉体物質が樹脂層の粘着力により樹脂層に
捕捉・固定される。同様に樹脂層が被処理部材表面で硬
化する時に粉体物質を捕捉して硬化する。振動又は攪拌
を受けている皮膜形成媒体は、同様に振動又は攪拌を受
けている粉体物質に打撃力を与え、粉体圧縮層が作られ
る。
【0030】皮膜形成媒体は打撃力を発生して皮膜の形
成の媒介をするが、それ自身は実質的に皮膜の成分にな
らない。被処理部材より大きい皮膜形成媒体は前者の表
面上で均一な打撃力を発生することができず、また粉末
よりも小さいと皮膜形成媒体が皮膜中に捕捉されてしま
う。ただし、極端に多くない範囲、例えば体積比で70
%以下の範囲であれば、被処理部材よりも大きな媒体が
含まれていてもよい。また、打撃力をある程度集中させ
る方が粉体の圧入がよく進行するため、例えば球状の媒
体を使用する場合はその直径が0.5mm以上、より望
ましくは1mm以上が望ましく、他の形状の場合もこれ
に準ずる。また被処理部材よりも小さいときは、媒体の
一つ一つを同体積の球で置き換えたとき、その直径が被
処理部材のさしわたしのうち最大のものよりも小さいこ
とを言う。また粉末に対しては、平均寸法で要件を充た
していれば、所望の打撃力をつくり出すことができる。
すなわち、皮膜形成媒体となる粒子の一部が粉体物質よ
り細かくとも、平均寸法で前者が後者より大きければ所
望の打撃力を作りだすことができる。ただし、これら粉
体物質より細かい媒体は皮膜中にとりこまれる恐れがあ
り、できるだけ含まれないことが望ましい。
【0031】皮膜形成媒体の材質は次の要件を満たして
いる必要がある。 塑性変形により皮膜形成前後に皮膜形成媒体を観察し
て肉眼で認められるような大きな形状変化がなく、か
つ、皮膜形成過程において弾性変形が極端に大きくなら
ないこと。したがって軟質ゴムなどはこの要件を満たさ
ない。 割れ、欠け、急激な摩耗などがないこと(長期的使用
による若干の摩耗はあってもよい)。 これらの要件を満たさない材質の皮膜形成媒体が被処理
材との衝突により塑性変形を起こしたりあるいは軟質ゴ
ムのように極端に大きな弾性変形を起こしたりすると、
後者に与える打撃が不足して所望の皮膜形成が起こらな
くなる。また、割れ、欠け、急激な摩耗が起こると、媒
体の耐用寿命が短くなり、不経済である。
【0032】粉体物質は皮膜中に取り込まれるために
は、皮膜形成媒体よりは小さくなければならない。粉体
物質の粒度は、被処理部品の大きさ、皮膜の厚さ及び粉
体物質の材質により変わる。一般には0.01〜500
μmの範囲内である。望ましくは0.01〜300μ
m、より望ましくは0.01〜100μmの範囲内であ
る。一般に、粉体は粒度が小さいほど樹脂により捕捉さ
れやすい。また粒度が小さい粒子は、樹脂皮膜上に分散
している粉体物質の粒子の間に打撃により押し込まれ易
く、塑性変形による粉体同志あるいは被処理材料との圧
着や結合が起こり易い。したがって粉体物質の粒度が小
さいほど、打撃力が小さくて済み、また皮膜の表面粗さ
も小さくなる。
【0033】皮膜形成媒体は鉄、炭素鋼、その他合金
鋼、銅および銅合金、アルミおよびアルミニウム合金、
その他各種金属、合金製、あるいはAl23 ,SiO
2 ,TiO2 ,ZrO2 ,SiC等のセラミックス製、
ガラスさらに硬質プラスチック等を用いることができ
る。また皮膜成形に充分な打撃力が加えられるのであれ
ば、硬質のゴムも使用することができる。これら媒体の
サイズ、材質は部品の形状およびサイズ、使用する粉体
の材質に応じて適宜選択する必要がある。また複数のサ
イズ及び材質の媒体を混合して使用することもできる。
また場合によっては金属、樹脂などによる表面処理、表
面被覆を施して使うこともできる。また複数の上記材料
によって構成された複合媒体を用いてもよい。また、打
撃力の緩和および平均化を行い、皮膜の均質性、膜厚の
ばらつきを抑えるため、木粉や軟質ゴム、軟質プラスチ
ック等軟質の媒体を前記媒体に対し体積比の50%以下
の範囲で適宜混合することがある。これらは単独では打
撃力をほとんど生じないので、必ず前記皮膜形成媒体と
併用される。
【0034】皮膜形成媒体の形状は、球状が好ましい
が、楕円形、立方体、三角柱、円柱、円錐、三角錐、四
角錐、菱面体、不定形体、その他各種形状を使用するこ
とができる。皮膜形成混合物の各成分(要素)の割合は
各成分の所望の作用を発揮するように、いずれかの要素
に偏らず全体がバランスするように定める。粉体および
樹脂の量は、部品に付与する皮膜の厚みと、部品の表面
積の合計によって定まる。ただし、樹脂と粉体の比率
は、樹脂の硬化後の体積に換算して樹脂分を0.5%以
上に設定することが望ましい。これ以下であると、粉体
の部品への付着が不充分となる。また、媒体と部品の混
合比率は、部品の形状によって異なるが、少なくとも見
掛け容積比で媒体を20%以上配合しないと、部品表面
への均一かつ充分な打撃が行われず良好な皮膜を得るこ
とが難しい。
【0035】容器内での振動又は攪拌は物品もしくは部
材が比較的小さい場合は以下述べるような種々の方法で
実施することができる。容器2内に設けられ回転軸4に
固着されたアーム3(図1参照)、回転軸4に固着され
た羽根5(図2参照)、または図示されてはいないがイ
ンペラ、ブレードなどの撹拌機により為される。なお、
図中10は皮膜形成混合物である。また、図3に示すよ
うにドラム又はポット状容器自体をローラー6上で回転
してもよい。さらに図4に示すように、回転軸に固着さ
れたドラム状容器2を回転してもよい。容器は上部が解
放されていても、また密閉されていてもどちらでもよ
い。加えて図5に示すように容器2を揺すってもよい。
揺動中に撹拌を行ってもよい。また図6に示す回転軸4
に対称的に固着されたアーム7の先端に取りつけられた
容器2内に粉末混合物10を入れて遠心力で粉末混合物
を混合してもよい。このとき容器2を自転させることが
好ましい。容器の動作が同じであれば、回転の機構はこ
れに限らず、例えばディスク状のホルダーを使ってもよ
い。
【0036】あるいは容器2内又は容器外に設けられた
加振器8により皮膜形成混合物に振動を加えてもよい
(図7参照)。以下振動を加える方法に例を取って皮膜
形成混合物に加える力(加振力)の大きさを説明する。
加振力を容器及び皮膜形成混合物の重力(以下「振動重
力」という)で平均した値(以下、「加振比」−無次元
数−という)が皮膜形成媒体が被処理部品に加える衝撃
力の指標になる。具体例として、2.8リットルの容器
の重量−1kgf,スチールボール(皮膜形成媒体)の
重量−10kgf、被処理部品の重量−1kgfである
場合は、振動重力は12kgfとなる。このとき40H
z周期の好ましい加振力は20〜50kgfである。し
たがって加振比は1.67(=20/12)〜4.17
(50/12)となる。
【0037】より大きい容器を使用する場合、具体例と
して20リットルの容器の重量−4.5kgf,スチー
ルボール(皮膜形成媒体)の重量−70kgf、被処理
部品の重量−5.5kgfである場合は、振動重力は8
0kgfとなる。このとき25Hz周期の好ましい加振
力は150kgfである。したがって被加振力は150
/80=1.88である。加振比の上限は電磁遮蔽を施
す物品もしくは部材が破壊もしくは損傷しない程度に定
める必要がある。例えばプラスチック筐体などの場合は
5以下に設定することが望ましい。また、加振比の下限
は1以上、特に1.5以上であることが好ましい。加振
比がこの下限より小さいと皮膜成長速度が遅くなる。振
動の周波数は特に限定されないが、2Hz〜200Hz
の範囲であることが好ましい。この時の振幅が0.5〜
10mmで上記被加振力の範囲に入る。
【0038】続いて、撹拌方式の場合は、回転により発
生する遠心力が皮膜形成混合物と容器の合計重量に対し
て上記加振比の範囲に入っていることが望ましい。しか
し回転数が大き過ぎかつ/または容器中における皮膜形
成混合物の体積割合が大きすぎると、皮膜形成混合物が
容器壁に押し付けられて混合が十分に起こらない。した
がって回転数は150rpm以下かつ/又は前記の体積
割合は80%以下の条件を満たすことが好ましい。
【0039】一方、比較的大きな部材や板材の被覆を行
う場合には、図8に示すように容器1を間仕切り板30
で仕切って、仕切られた区画31のそれぞれに部品33
を投入し、容器を振動させてもよい。また図9に示すよ
うに部品33を釣具36で容器1内に釣り下げてもよ
い。
【0040】図8で間仕切り板30の代りに金網を用い
ると、皮膜形成媒体が金網の網目を通り抜けて槽内を自
由に行き来できるため、粉体が均一に行きわたり均一で
良好な皮膜を得ることができる。また、図10に示すよ
うに部材33を容器1内に固定して、容器を加振し及び
/又は部材33を加振器8に接続して部材33を加振さ
せてもよい。図11に示すように部材33を釣り下げて
部材33の片面にのみ媒体が接触するようにして、容器
を振動させると部材の片面のみを被覆することができ
る。
【0041】部材がプラスチック筐体である場合には、
樹脂の代りに溶剤を塗布し、部材のプラスチックを溶か
し出して樹脂層としてもよい。この方法によれば、樹脂
又は溶剤の塗布された部分にのみ皮膜が形成されるため
例えば筐体内面にのみ皮膜を形成させるなどが極めて容
易に行える。物品に上記の方法によって電磁遮蔽膜を形
成させる場合、所望の表面全体を一回では被覆できない
場合がある。このような場合、物品を一度いくつかの部
材に分割し、それぞれ必要な部分に膜を形成させた後、
組み立てる方法が有効である。また電波暗室など大きな
空間を電磁遮蔽したい場合は上記の方法により片面もし
くは両面に電磁遮蔽膜を形成させた板で部屋を囲うこと
により遮蔽を行うことができる。
【0042】単純な板やあるいは細長い線材に皮膜を形
成させるには、図12に示すように容器1の底に穴28
をあけ、ここへ板などの部材3を通し、皮膜形成媒体7
を容器1へ入れる。容器に振動を加えながら、樹脂、粉
体を少しずつ連続的に投入し部材33をパッキング39
に対して滑らせながら下へ引き抜いてゆく。容器1に入
る前に、部材33の表面にあらかじめ樹脂層をつけこれ
を容器1内に引きこみ、容器1内へは粉体のみを投入し
てもよい。図12のように板状の部材を容器の片側に寄
せ、板の片面のみに膜を形成させることができる。図1
3のように部材33を水平に引き抜き両面に皮膜を形成
するようにしてもよい。
【0043】筐体の隅部などには図1〜13を参照して
説明した方法によっては皮膜を形成することが困難な場
合がある。この場合は図14に示すように、鋼球42な
どの皮膜形成媒体の表面に未硬化の樹脂、その他の接着
性材料を予め付着させ、そこに粉体41を付着させ、そ
してノズル45からこの鋼球42を噴出させる。筐体4
0は予め未硬化の樹脂層43を形成しておく。鋼球42
が樹脂層43に衝突すると、粉体41は樹脂層43に捕
捉されかつ押し込まれる。粉体41が離れた鋼球42は
落下し、次々に鋼球42の衝突が起こるから、粉体は樹
脂層43内にますます押し込まれ、圧縮され、密度が高
まり、面接触しそして骨格構造を作る。上記方法とは別
に、粉体41と鋼球42を別々に同一箇所に向かって噴
射してもよい。鋼球42の噴射はガス流を利用してもよ
く機械的に噴射してもよい。また特に隅部に粉体圧縮層
を形成せしめるために隅部に面取り(コーナー取り)を
施すことが望ましい。面取りはその曲率半径Rで一般に
表わされるが好ましくはR=0.1〜5mmより好まし
くはR=0.25〜3mmさらに好ましくはR=0.5
〜2mmのコーナー取りをすることが好ましい。
【0044】皮膜の全体の強度及び耐食性を向上させる
ため及び粉体や皮膜の一部の脱落防止のために、本発明
の電磁遮蔽膜をめっき保護膜で覆うことが可能である。
このとき電磁遮蔽膜の少なくとも最上層部を金属や合金
の粉体圧縮層で構成することにより、該めっき皮膜を電
解めっき法により形成させることができる。一方、従来
プラスチック筐体表面等へのめっきによる遮蔽膜は、す
べて無電解めっきにより作られてたが、本発明によれ
ば、電解めっきによりこれを作製することができる。
【0045】保護皮膜は皮膜の樹脂と同種または異種の
樹脂を膜とすることができる。樹脂塗装膜の膜厚は0.
5μm以上300μm以下であることが望ましい。また
塗装膜の代わりにビニ−ルなどの被覆を行うこともでき
る。
【0046】樹脂保護皮膜を設けた電磁遮蔽膜を電気的
接地するためには保護皮膜に露出孔を開ける必要が出て
くる。これを避けるためには、保護皮膜の樹脂を導電塗
料あるいは導電性有機材料とすることができる。これに
使用できる材料としては、導電性ポリアニリン、ドーピ
ング型ポリアセチレン、Ni、Cu、Ag、Cu−Ag
(AgメッキCu粉)、Ni−Ag(AgメッキNi
粉)などの導電体粉体を含む導電塗料などがある。
【0047】
【作用】本発明の電磁遮蔽膜の性質について上記をまと
めて説明する。 (イ)軽量性:皮膜であるために重量が少ない。 (ロ)シールド性能:骨格構造であるため金属などの含
有量が従来の導電性塗料よりも高くできるのでシールド
性能が優れている。 (ハ)廃液処理:骨格構造はドライプロセスによるため
に廃液処理が不要である。 (ニ)予備処理:樹脂層の形成を予備処理として行うこ
とがあるが、無電解めっきの予備処理と比べて簡単であ
る。 (ホ)皮膜のつき回り性:骨格構造は三次元的に成長す
るので、PVDのように特定方向に皮膜成長が起こらな
い。したがってつき回り性が良好である。 (ヘ)外観:樹脂の塗装膜と外観は同等であり、良好で
ある。 以下実施例により本発明を詳しく説明する。
【0048】
【実施例】実施例1 容積2.8リットル、深さ150mmの円形のポット中
に表面にニッケルめっきを処した直径1mmのスチール
ボールを10kg投入し、その上からエポキシ樹脂10
%(樹脂97%、硬化剤3%)を溶かしたMEK溶液3
0ccを振りかけた。容器に10分間振動(振動数36
00cpm、振幅0.5〜2mm)を加え、スチールボ
ール表面にまんべんなく樹脂を行き渡らせた。その後、
粒径0.1〜1μmのAg粉末を25g投入し、同じ振
動を10分間加えた。
【0049】次に幅70mm,奥行き49mm,深さ1
0mmの上部開放筐体状部材(PC/ABSアロイ製樹
脂)の表面にエポキシ樹脂(エポキシ樹脂94%、硬化
剤6%をMEKで10%濃度に希釈したもの)をスプレ
ー塗布し、部材内表面に樹脂層を作成した後、ポットに
投入し、同じ振動を20分間加え、部材内表面にAg皮
膜を形成した。その後部材を取り出し、別に用意したポ
ット(中には表面にNiめっきした直径2mmの鋼球を
10kg入れてある)中に入れ、10分間、5,000
cpm,振幅0.2〜1mmの振動を加え、表面に付着
した余分なAg粉末を取り除くとともに、より高密度か
つ均一な膜を作る処理を行った。その後部材を取り出
し、60℃で2時間硬化処理をした。その結果、部材の
内面には平均膜厚14μmの均一な膜が形成できた。各
面内の表面抵抗値は、0.1Ω/□以下であったが、各
面間の抵抗値は0.2Ω/□〜0.5Ω/□であった。
【0050】本実施例で作成した皮膜の電子顕微鏡写真
を図16(倍率2000倍)に示す。部材の表面に厚さ
約1μmの樹脂層があり、その上にスケルトン構造を持
った約14μmのAg層が存在する。Ag層中のAgの
体積比率は60%以上であった。また、倍率を10,0
00倍に拡大したところ、スケルトン層下部の樹脂層か
らスケルトン構造の空隙に向かって樹脂が含浸されてい
ることが確認できた。
【0051】また、比較例として、同じ部材(何も処理
していないもの)内面にスプレー塗装でNi系(Ni粉
−1液型アクリル系樹脂−シンナー30%)導電塗料を
14μ塗装した結果、各面内、面間の抵抗値は1.2Ω
/□〜3.0Ω/□であり、0.5Ω/□以上の抵抗値
であるためにEMIシールドには不向きであることがわ
かった。この導電膜中のNiの体積比率は25%以下で
あった。また、Ni導電膜の膜厚を50μmにしたとこ
ろ、各面内、面間の抵抗値は0.3Ω/□〜0.5Ω/
□になった。
【0052】実施例2 図15に示した部材50内面の各面の境界部にR=0.
5mmのR取りを施したPPE(ポリフェニレンエーテ
ル)製部材を利用し、実施例1と同じ本発明による処理
を行ったところ、平均膜厚4μの均一なAg皮膜が形成
でき、各面内および面間の表面抵抗値は0.1Ω/□以
下であった。なお51はキーボードのキーなどが入る孔
である。
【0053】実施例3 実施例1で作成した部材をエポキシ樹脂溶液(エポキシ
樹脂92%、硬化剤8%をアセトンで5%濃度に希釈し
たもの)中に漬けた後取り出し、60℃で4時間乾燥・
硬化させた。その結果、実施例1で作成した膜の上に平
均5μのエポキシ樹脂皮膜がAg皮膜の上に作成でき
た。その後、テープ剥離試験を行ったところ、実施例1
で作成した部材の皮膜からはわずかに剥離が認められた
ものの、本実施例部材の皮膜表面からは剥離が全く認め
られなかった。
【0054】また同じく実施例1で作成した部材内面に
エポキシ樹脂溶液(エポキシ樹脂96%、硬化剤4%を
トルエンで3%濃度に希釈したもの)をスプレー塗装し
80℃で1時間乾燥させたところ、平均膜厚が3μの均
一なエポキシ樹脂皮膜がAg皮膜の上に作成できた。ま
たこの部材の皮膜表面からもテープ試験による剥離が全
く認められなかった。
【0055】実施例4 実施例1で作成した部材内面にCu系導電性塗料(住友
スリーエム社製 電磁ガードスプレー)をスプレーコー
ティングした。その後乾燥させた結果、平均膜厚8μm
のCu系導電性膜がAg皮膜の上に得られた。部材内面
の面内および面間の抵抗を測定したところ、いずれも
0.1Ω/□以下であった。またテープ剥離試験による
剥離も全く認められなかった。
【0056】また、実施例1で作成した部材内表面に可
溶性ポリアニリン系導電性高分子をスプレー塗装後、6
0℃で5分間乾燥した。その結果、平均膜厚5μの導電
性ポリアニンフィルムがAg皮膜の上に形成できた。部
材内面の面内および面間の抵抗値を測定したところ、い
ずれも0.1Ω/□以下であった。さらにこの部材の皮
膜表面からもテープ試験による剥離が全く認められなか
った。
【0057】実施例5 容積2.8リットル、深さ150mmの円形のポット中
に表面にクロムめっきを処した直径3mmのスチールボ
ールを10kg投入し、その上にエポキシ樹脂15%
(樹脂97%、硬化剤3%)を溶かしたMEK溶液20
ccをスチールボール表面に振りかけた。容器に5分間
振動(振動数3600cpm、振幅0.5〜3mm)を
加え、スチールボール表面にまんべんなく樹脂を行き渡
らせた。その後、平均粒径3.5μのAg−Cu粉末
(Cu粉末の表面にAgメッキしたもの)を30g投入
し、同じ振動を1時間加えた。
【0058】次に図15に示した寸法の部材(ABS製
樹脂、外面にはマスキングが処してない、各面の境界部
にはR=1.5mmの面取りが施してある)の内表面に
エポキシ樹脂(エポキシ樹脂94%、硬化剤6%をME
Kで10%濃度に希釈したもの)をスプレー塗布し、部
材内表面に樹脂層を形成した後、ポットに投入し、同じ
振動を20分間加えた。その後部材を取り出し、別に用
意したポット(中には表面にNiめっきした直径0.5
mmの鋼球を10kg入れてある)に入れ、10分間、
5,400cpm,振幅0.1〜2mmの振動を加え、
表面に付着した余分なAg−Cu粉末を取り除くととも
に、より高密度かつ均一な膜を作る処理を行った。 そ
の後部材を取り出し、60℃で2時間硬化処理をした。
その結果、部材の内面には平均膜厚8μの均一な膜が形
成できた。各面内の表面抵抗値は、0.1Ω/□以下で
あり、各面間の抵抗値は0.1Ω/□以下〜0.2Ω/
□であった。
【0059】実施例6 容積2.8リットル、深さ150mmの円形のポット中
に表面にニッケルめっきを処した直径1〜3mmのスチ
ールボールを10kg投入し、その上にエポキシ樹脂1
5%(樹脂97%、硬化剤3%)を溶かしたMEK溶液
20ccをスチールボール表面に振りかけた。容器に1
0分間振動(振動数3600cpm、振幅0.2〜1m
m)を加え、スチールボール表面にまんべんなく樹脂を
行き渡らせた。その後、平均粒径5μmのCu粉末を2
0g投入し、同じ振動を1時間加えた。
【0060】次に実施例1の部材の内表面にエポキシ樹
脂(エポキシ樹脂94%、硬化剤6%をMEKで10%
濃度に希釈したもの)をスプレー塗布し、部材内表面に
樹脂層を形成した後、ポットに投入し、同じ振動を20
分間加えた。20分後部材を取り出し、60℃で2時間
硬化処理をした。次に別に用意したポット(中には表面
にNiめっきした直径1mmの鋼球を10kg入れてあ
る)中に入れ、10分間、3,600cpm,振幅0.
5〜1mmの振動を加え、表面に付着した余分なCu粉
末を取り除くとともに、より高密度かつ均一な膜を作る
処理を行った。その結果、平均膜厚4μのCu膜が得ら
れ、各面内の抵抗値は1Ω/□〜20Ω/□であった。
【0061】実施例7 振動を加える工程を不活性ガス(純度98%の窒素ガ
ス)雰囲気中で処理した他は、実施例6と同一の処理を
行った。その結果、平均膜厚8μのCu膜が得られ、各
面内の抵抗値は0.2Ω/□〜0.1Ω/□以下であっ
た。
【0062】実施例8 Cu粉末を水素還元処理(400℃〜600℃の高純度
水素ガス雰囲気中で6時間流気還元したもの)直後の粉
末を利用し、他は実施例6と同一の工程で成膜処理し
た。その結果、平均膜厚10μのCu膜が得られ、各面
内の抵抗値は0.5〜0.2Ω/□であった。
【0063】実施例9 容積2.8リットル、深さ150mmの円形のポット中
に表面にニッケルめっきした直径0.5mmのセラミッ
クボールを2kg投入し、その上にエポキシ樹脂10%
(樹脂97%、硬化剤3%)を溶かしたMEK溶液30
ccを振りかけた。容器に10分間振動(振動数360
0cpm、振幅0.5〜2mm)を加え、セラミックボ
ール表面にまんべんなく樹脂を行き渡らせた。その後、
平均粒径1μmのAg−Ni粉末(Ni粉の表面にAg
メッキ処理を処したもの)を25g投入し、同じ振動を
20分間加えた。その後、上記処理後のAg−Ni粉末
が表面についたセラミックボールをショットブラスティ
ング装置に投入し、圧力4kg/cm2 距離10〜60
cmの条件で図17に示した大きさの部材50(ABS
製樹脂、外面にはマスキングが処してない。内面にはエ
ポキシ樹脂がスプレー塗装されている。)に10分間吹
きつけ処理を行った。その後60℃で4時間硬化処理を
行った。その結果、平均膜厚4μm、各面内抵抗値0.
3〜0.1Ω/□以下の均一な導電膜ができた。またそ
の後、さらに部材内表面に平均1μの膜厚の電解Niめ
っき膜を成膜したところ、各面内抵抗が0.1Ω/□以
下になった。なお図17において、52は放熱用スリッ
トである。
【0064】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、軽量性、
シールド性能、つき回り性が良好であり、かつ皮膜形成
に派生する問題点も少なく容易に皮膜を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アームを使い皮膜を形成する方法の一例を示す
図である。
【図2】羽根を使い皮膜を形成する方法の一例を示す図
である。
【図3】ドラムを使い皮膜を形成する方法の一例を示す
図である。
【図4】ドラムを使い皮膜を形成する方法の一例を示す
図である。
【図5】容器を揺って皮膜を形成する方法の一例を示す
図である。
【図6】遠心力で皮膜を形成する方法の一例を示す図で
ある。
【図7】加振器を使って皮膜を形成する方法の一例を示
す図である。
【図8】皮膜を形成する方法の一例を示す図である。
【図9】部品を吊って皮膜を形成する方法の一例を示す
図である。
【図10】加振により皮膜を形成する方法の一例を示す
図である。
【図11】部品を吊って皮膜を形成する方法の一例を示
す図である。
【図12】板に皮膜を形成する方法の一例を示す図であ
る。
【図13】板に皮膜を形成する方法の一例を示す図であ
る。
【図14】筐体の隅部に皮膜を形成する方法の一例を示
す図である。
【図15】実施例で使用した筐体の図である。
【図16】皮膜の骨格構造を示す粒子の電子顕微鏡写真
である。
【図17】実施例で使用した筐体の図である。
【符号の説明】
2 容器 3 アーム 4 回転軸 5 羽根 6 ローラー 8 加振器 10 皮膜形成混合物
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年5月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図16
【補正方法】変更
【補正内容】
【図16】 金属粉末が骨格構造をもつ薄膜の電子顕
微鏡写真である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性物質の一層以上の皮膜からなる電
    磁遮蔽膜において、前記導電性皮膜が、前記導電性物質
    の粉体より構成された骨格構造を持ち、その空隙の少な
    くとも一部分に樹脂が充填された粉体圧縮層と、前記粉
    体圧縮層の下側の樹脂層とからなることを特徴とする電
    磁遮蔽膜。
  2. 【請求項2】 前記電磁遮蔽皮膜の表面を防護皮膜で覆
    ったことを特徴とする請求項1記載の電磁遮蔽膜。
  3. 【請求項3】 前記防護皮膜が導電性樹脂塗装膜または
    導電性有機皮膜であることを特徴とする請求項2記載の
    電磁遮蔽膜。
  4. 【請求項4】 前記保護皮膜が金属または合金メッキ層
    からなることを特徴とする請求項2記載の電磁遮蔽膜。
JP23268292A 1991-10-17 1992-08-10 電磁遮蔽膜 Pending JPH0613785A (ja)

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