JP3159534B2 - 粉体を含有する皮膜を有する部品 - Google Patents

粉体を含有する皮膜を有する部品

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面に皮膜を形成した
各種部品に関するものである。ここで言う各種部品と
は、各種機械、自動車及びその他の車両、船舶、飛行機
などに使用される機械部品、電気・電子部品、装飾用
品、金具、磁石、玩具部品などであって、鉄骨、橋梁、
車両外板など大型構造部材を除く各種部品である。また
部材の材質は、金属、合金、金属間化合物、無機化合
物、プラスチック、セラミックスなどである。また、各
種部品はすでに表面に樹脂塗膜、めっきなどの公知の各
種皮膜が形成されているかあるいは表面改質が施されて
いてもよい。
【0002】また、本発明でいう「皮膜」は従来の粉体
皮膜及び樹脂皮膜が適用されているあらゆる用途に適用
可能であるが、主として、防食、機械的強度付与、絶縁
層もしくは導電層形成及び/又は美観付与に適用され、
さらに公知の各種皮膜を形成するための下地層の形成に
適用されるものである。また、また本発明の皮膜はこれ
らの目的以外にも皮膜に使用される粉体物質の物理的、
化学的性質を有効に利用できる目的にも使用可能であ
る。
【0003】
【従来の技術】本発明が関係する粉体物質により構成さ
れる皮膜としては従来以下のものが公知である。
【0004】樹脂塗装膜 樹脂塗装膜は、樹脂及びその他のビヒクルに各種顔料を
分散させて調製した塗料を部品表面に塗布し、塗料中の
溶媒を揮発させまた樹脂を重合して得られる。塗布の方
法は、ハケ塗り、スプレー塗装、漬け塗り、電着塗装、
静電塗装などである。塗膜の乾燥中に重合により樹脂が
固化し、油性ペイントの場合は油分の酸化により固化す
る。粉体塗装膜は乾燥中の昇温により軟化した樹脂が冷
却により固化する。これらの固化の結果として塗膜に必
要な固さが得られる。
【0005】樹脂塗装膜に使用されるビヒクルとして
は、エポキシ、アクリル、フェノール、ポリエステル、
ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリプロピ
レン、フッ素系ポリマー、アルキド、セルロース誘導体
などの樹脂、あまに油、サフラワー油、大豆油等の乾性
油又は半乾性油などがある。また樹脂塗装膜に使用され
ることがある顔料としては、酸化鉄、酸化マグネシウ
ム、酸化チタンなどの各種酸化物、カーボンブラック、
キナクリドンレッドなどの各種着色用顔料、さらには亜
鉛、アルミニウムなどの金属粉末などがある。なお、以
下では樹脂とはかかる顔料を含まず、樹脂塗装皮膜とは
樹脂のみからなり、あるいは場合により樹脂と顔料から
なる皮膜を言うものとして説明する。
【0006】粉体皮膜 原料として粉体を使用する皮膜形成法としては金属など
の溶射法などがあるが、溶射によりえられる皮膜は粉体
の一部又は全面溶融により気泡などの欠陥を有すること
もある連続膜となっている。
【0007】また、粉末冶金技術により作った圧粉体の
層を部品にろう付けなどにより接着すれば、粉体からな
る層が得られるが、この厚みは最低でも500ミクロン
〜1mmであり、かつ部品に施される皮膜の厚さに合わ
せて、かつ部品の形状や寸法に合わせて圧粉体を正確に
作成することはほとんど不可能である。したがって粉体
皮膜を形成する技術は非常に限られており、その一つに
特開平2−71872号に開示された方法がある。この
公報には予め粘着性を与えた部材表面に粉体物質を接触
させ、部材に振動を加えて部品表面に付着した粉体をか
さ密度以下に圧縮し、その後部品に固着していない粉末
を除去する方法が開示されている。部品としてはカラー
テレビジョンのスクリーンが、粉体としては蛍光トナー
が前記公報に具体例として示されている。
【0008】さらに別の方法としては、米国特許第26
40001号、4849258号などに記載された、バ
レル機械めっき法があり、これによるとスズ、アルミニ
ウムなどの粉末を植物油、グリース、シリコンオイルな
どの油脂類から選択される分散媒に分散させてバレルめ
っきの方式により部品上にめっきされる。
【0009】前掲米国特許第4849258号明細書で
は、これらの油脂類に加え潤滑性を上げるためにシリコ
ン樹脂を補助的に使用する方法も開示されている。な
お、被めっき物及び鋼球又はガラス球さらにゴム片が前
記粉末及び分散媒と混合され、これら全体が回転される
ので、鋼球やガラス片及びゴム片が被めっき物と衝突す
る際に、これらの間に存在する粉末が後者に機械的に接
合される。この方法では被めっき物表面を活性化するた
めに酸などのフラックスも使用される。また潤滑剤とし
ての油脂類が部品表面に皮膜を作ると、めっき膜形成が
阻害されるとの記述があり、これを防止するために大量
の乳化剤が使用される。
【0010】前掲米国特許の方法により作られる皮膜は
特に小物部品へのZnなどの金属めっき層の均一形成を
対象としている。また部品上に樹脂などの金属以外の層
が堆積すると皮膜の形成はその後起こらないと米国特許
に記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】樹脂塗装皮膜の防食性
能、美観、機械的強度などの性能は樹脂と顔料の種類、
およびこれらの配合比率により変化する。これら性能の
うち防食性能は顔料が多いほど優れている。近年、部品
類、特に自動車、精密機械及びエレクトロニクス関連の
部品類は皮膜が薄膜であり高い寸法精度をもつととも
に、良好な耐食性が要求されている。かかる耐食性の観
点からは顔料の量を多くするとよいが、顔料の量があま
りに多すぎると塗料の流動性がほとんどなくなってしま
い、事実上膜形成が不可能になる。従って従来の塗装皮
膜の顔料の配合比率はどんなに高くとも40体積%を超
えることはなかった。
【0012】一方、皮膜中の顔料配合比率が高くなると
別な問題が生ずる。一般に樹脂塗装膜において顔料粉体
を完全に均一にビヒクルの中に分散させることは極めて
難しく、クラスター状の粉体の集合体が形成されること
がしばしばある。このような集合体は顔料の配合比率が
高くなるほど多くなり、その結果皮膜中の顔料の分布は
不均一で疎密の差が大きなものとなる。顔料の疎な部分
の皮膜は当然のことながら水分等の腐食成分の遮断能力
が劣り、結果的には皮膜の防食性能はこの疎部によって
支配される。従って、せっかく大量の顔料を配合して
も、それらすべてが有効に利用されないために、充分な
防食性が引き出されているとは言えなかった。
【0013】なお、橋梁などの大型構造物の錆止めペイ
ントとしては亜鉛粉末が40〜50体積%を占めるジン
クリッチペイントが使用されているが、これは本発明が
対象とする部品には適用されていない。その理由はジン
クリッチペイントは余りに多量の顔料を含むために、ス
プレー塗装が困難であり、刷毛塗りで適用されるので、
本発明が対象とする部品に適用されないところにある。
【0014】次に特開平2−71872号に記載された
粉体皮膜は多くの空隙を含んでおり、防食などの目的に
は適しておらず、その用途は限られている。
【0015】金属やセラミックスの溶射法では、部品の
温度が上昇するため、プラスチックのように軟化温度の
低い部品、あるいは永久磁石など電気磁気的性質が温度
上昇により劣化するものの被覆には向かない。粉体が一
部又は全面溶融により部品と接着する際に、生成する膜
中の空隙は独立孔であるので、空隙を樹脂含浸により埋
めるなどの対策を実施することができない。溶射膜や後
述のめっき膜は主として皮膜と部品のアンカー効果や一
部熱拡散により密着しており、部品と皮膜の間に直接働
く密着力はあまり高くない。
【0016】溶射膜やめっき膜が摺動部品として要求さ
れる極めて高い強度と密着性を持っているのは皮膜その
ものが連続体もしくは半連続体であり、金属やセラミッ
クスなど極めて強靱な材料で構成されているためであ
る。このような皮膜を部品から引きはがそうとすると、
皮膜と部品の間に働くアンカー効果などの固定力に打ち
勝って引き離すことに加え、膜自身を変形もしくは破壊
させる必要があり極めて大きな力が必要となる。このよ
うな皮膜は表面に疵や切れ目が入り、膜の一部分が膜の
他の部分と切りはなされたりすると、極めて容易に剥離
を起こす。従って碁盤目試験のように、皮膜に疵をいれ
て行う密着性試験には溶射膜などは弱いという欠点があ
る。このような傾向は、界面での密着力が小さい金属と
非金属(セラミック、プラスチック)など異種材質接合
の場合に顕著である。また、皮膜の表面から部品表面へ
到達するポアが存在すると、ここから侵入した腐食成分
が膜と部品の界面に急速に拡散し、界面の密着力をさら
に弱め、容易に皮膜の剥離を起こす。
【0017】また、部品表面がショットブラストや酸洗
等により充分清浄化されかつ活性化されていないと皮膜
の密着力が低下する;粉末の吹き付け圧力が高いため、
部品が小物である場合は、部品が吹き飛ばされないよう
強く固定する必要がある;スプレーが当たる場所によっ
て膜厚の不均一も生ずるなどの欠点が溶射皮膜にはあ
る。
【0018】続いて米国特許第4849258号に開示
された皮膜は酸などにより活性化された部品に直接付着
された金属層からなることから判断して、部品表面が極
めて清浄で活性であり、したがって、皮膜の密着性は酸
化物、異物などに対して非常に敏感である。被めっき物
が通常の脱脂を施された程度でありバレル処理中のフラ
ックスによる活性化処理を行わないと、皮膜が形成され
ないかあるいは形成されたとしても皮膜の密着性が非常
に悪くなると考えられる。加えて、多量に使用される潤
滑剤、乳化剤、フラックスが皮膜に混入するので、炭素
等の不純物が皮膜に混入するおそれがある。
【0019】部品がプラスチックの場合は、米国特許第
4849258号などに記載された機械めっき法や、一
般に用いられている無電解めっき法では皮膜の密着力は
小さい。表面に汚れや酸化物が残留している金属部品に
施された電気めっきまたは無電解めっき皮膜の密着力は
低い。また、Nd−Fe−B磁石のように表面が活性で
あり、化学的に不安定な場合は、密着性の高い皮膜を得
ることは困難であるために、皮膜の密着力不良により磁
石本来の磁気特性が得られず、製品不良の原因になって
いる。
【0020】従って、従来の粉体皮膜には、(a)粉体
の割合が高く、しかもその分布が均一でかつ部品表面の
熱的影響がない及び/又は(b)通常程度の清浄度の部
品表面に高い密着力で形成される要件を満たす皮膜はな
かった。特に粉体の割合が60体積%を超え、小物部品
に適した薄い膜厚で精度よく形成される皮膜は知られて
いなかった。また大物部品に適した皮膜の場合も、粉体
の割合が60体積%以上で、樹脂を含み密着力の優れた
皮膜は知られていなかった。すなわち、溶射皮膜は部品
表面の熱影響を招くので(a)を不完全にしか満足せ
ず、(b)については密着性は部品の表面状態に非常に
敏感であり、前処理に手間がかかり、条件も非常に厳し
く管理が大変などの欠点を有する。また碁盤目試験には
非常に弱い。前掲米国特許の皮膜は(b)を満足しな
い。またジンクリッチペイント塗膜は、粉体の分布が不
均一であるので(a)を不完全にしか満足しない。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明に係る皮膜を有す
る部品は、粉体圧縮層が粉体物質により構成された骨格
構造をもち、該粉体圧縮層の空隙の少なくとも一部に樹
脂が充填された粉体圧縮層と、前記粉体圧縮層を部品に
又は下側の粉体圧縮層に接着する樹脂層とを有する一層
以上の皮膜が形成されていることを特徴とする。
【0022】以下、本発明の構成を説明する。本発明に
おいては樹脂としてはメラミン樹脂、エポキシ樹脂、フ
ェノール樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、ポリイミド樹脂、尿素樹脂などの熱硬化
性樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、
ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩
化ビニル、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポリスチ
レン、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂、セルロース誘
導体などを使用することができる。また液状プレポリマ
もしくはモノマー、一般に粉末成形に用いられる有機結
合剤、例えばパラフィン、樟脳などを用いることができ
る。また樹脂としてゼラチン、ニカワ、ウルシ等天然物
を使うことができる。また、樹脂には無機物の顔料が含
まれていてもよい。さらに樹脂に替えてあるいは樹脂と
共に水ガラスで代表されるケイ酸塩等無機粘着物質を使
用することもできる。樹脂は樹脂層の構成物質であると
もに、皮膜内の空隙の少なくとも一部、すなわち以下説
明される粉体圧縮層の骨格の間隙及び骨格構造が乱れた
部分の間隙に少なくとも部分的に充填される。
【0023】次に粉体物質は粉体圧縮層の構成物質であ
り、また樹脂層の一部にとりこまれ、その構成物質とな
ることもある。粉体物質としては各種金属、合金粉末お
よびセラミックス粉末ならびに顔料もしくは樹脂粉末を
使用することができる。
【0024】一例を挙げるならば金属粉末としては、A
l,Cu,Fe,Cr,Co,Ni,Zn,Pb,S
n,Rh,Ir,Pd,Pt,Ag,Au,Mo,Wな
どの粉末およびそれらを主成分とする合金粉末がある。
これらの金属はすべて樹脂より強度が優れており、また
水や塩水などによる変質が少ないために耐食性が優れて
いる。各金属が特長とするところを挙げると、ステンレ
ス,Cr,Ni,Mo,Wなどは表面に強固な不動態膜
を作るので、耐食性に優れている。よってこれらの金属
は皮膜の強度及び耐食性を高める。Rh,Ir,Pt,
Pd,Ag,Auなどは良好な美観と耐食性を有するの
で、これらの性質を皮膜に付与する。また、Cuなどは
良好な耐食性と電気伝導性を有するので導電皮膜、耐食
皮膜の形成、めっき下地皮膜の形成などに良好に使用さ
れる。Niもめっき下地皮膜の形成などに良好に使用さ
れる。Zn,Snはほとんどすべての金属を犠牲陽極効
果により防食する。
【0025】セラミックス粉末は金属よりも化学的に安
定であり、電気絶縁性を有し、かつ耐食性が優れてい
る。これらセラミックとしては例えば酸化物、MgO,
PbO,PbO2 ,Al23 ,SiO2 ,TiO2
CrO2 ,MnO2 ,Fe23 ,FeO,Fe3
4 ,CoO,NiO,CuO,ZnO,ZrO2 ,Mo
O,PbO,PbO2 およびそれらをベースとする複合
酸化物、TiN,BN等各種安定な窒化物等、SiC,
WC,TiC等各種安定な炭化物等を用いることができ
る。
【0026】皮膜が美観向上に使用される時は、粉体物
質としてカーボンブラック、キナクリドンレッド、パー
マネントイェロー、フタロシアニンブルー、フタロシア
ニングリーンなどの各種顔料を使用することができる。
さらに上記各種粉末を混合してもよい。
【0027】粉体物質の粒度は、被処理部材の大きさ、
皮膜の厚さ及び粉体物質の材質により変わる。セラミッ
クス粉体など硬質で変形しにくい粉体の場合は粒度が小
さいことが望ましく、延性に富む金属粉などの場合はこ
れより大きくてよいが、一般には0.01〜500μm
の範囲内が好ましい。より好ましくは0.01〜300
μmである。さらに望ましくは0.01〜100μmの
範囲内である。
【0028】本発明に係る皮膜の構成物質の説明につづ
いて皮膜構造を説明する。粉体圧縮層では粉体の粒子が
面接触して三次元的につながった、粉末冶金法における
圧粉体のように骨格(スケルトン−skeleton)を作って
いる。骨格では延性が低い粉体粒子は粉体製造時の粒子
形状を保ったまま圧縮されており、一方延性が高い粉体
粒子は圧縮力が高い場合片状に変形して小片が積み重ね
られるように圧縮されることがある。粒子又は小片の間
隙には空隙が存在する。この空隙には粒子の体積割合に
比べて非常に少なく、また樹脂が完全に充填され空間が
なくなっているかもしくは一部に樹脂が充填されてい
る。空間が残ることはあるが、その体積は骨格に比べて
極めて少なく、強度等に及ぼす影響は実用上は少ない。
このため本発明の皮膜中に存在する粉体圧縮層は従来の
樹脂塗膜では実現できなかった高い体積割合の粉体を含
んでいる。
【0029】例えば金属の中では比較的硬いNi粉によ
る本発明皮膜の場合55%の体積をNi粉が占め、残り
が樹脂により埋められている皮膜をつくることができ、
比較的軟かい金属であるAgでは65%の体積をAgが
占める皮膜をつくることができる。なお、NiおよびA
gの粉末の代表的かさ密度は理論密度に対して20%程
度、代表的タップ密度は理論密度に対して25〜30%
である。このような粉末を使用した通常の樹脂塗膜では
粉体含有量がかさ密度以上に上がることはない。その
上、塗膜では樹脂分による粉体含有比率の低下が加わる
ので、粉体のかさ密度は塗膜では決して到達できない。
【0030】なお、粉末が広い粒度分布を持ち、分散性
が良いか、または粉体表面の濡れ性が良好な場合、かさ
密度は40%程度になることもあり、それを使用した塗
料による塗膜は高い体積比率を持ち得る。例えばジンク
リッチペイントがその例である。このような塗膜は本発
明の皮膜に匹敵する程粉体比率が高いが、骨格構造では
ない。
【0031】また粉体圧縮層では局部的に粉体のつなが
りが二次元的になることもある。粉体圧縮層の上下面で
は粉体のつながりが当然に二次元的であるが、粉体圧縮
層の内部でも局部的に二次元的つながりが生じ、骨格構
造が乱れることもある。正規の骨格構造(すなわち本発
明でいう「骨格構造」)内の空隙は大きさが粒子の大き
さと同程度もしくはより小さいのに対して、骨格構造が
乱れた部分での空隙は粒子の大きさより著しく大きい。
この空隙部では粉体圧縮層の強度低下が起こっているか
ら樹脂の充填による補強は効果的である。以下の説明で
は主として正規の骨格構造内の空隙の充填につき説明す
るが、この説明は骨格構造が乱れた部分での充填につい
ても該当する。
【0032】粉体粒子どうしの接触面は、粉末冶金法の
圧粉体と同様に塑性変形による圧接、摩擦力などにより
結合力が発生している。特に軟質で低融点の金属粉末や
樹脂粉末の場合は若干の熱拡散が起こり、この結合力が
骨格の機械的性質をほぼ定める。従来の樹脂塗装膜の機
械的性質は顔料が少ない場合ほとんど樹脂により定めら
れ、粉体は骨格を作らず分散していることと量が少ない
ことが原因となって樹脂塗膜の機械的性質に対する影響
は少ない。また、一般の樹脂塗装膜では顔料の体積率が
高くなると、顔料の分布が不均一で疎密の差が大きくな
り、クラスター状の集合体が形成されることもある。こ
のような集合体は、前記した骨格構造を作るほどには結
合力が強くなく、またクラスター内部には樹脂が充分行
きわたらないため、集合体は極めて脆くくずれやすいも
のとなる。従って顔料比率が高くなるほど皮膜中のこう
した集合体の数が増えるため、膜の機械的性質、特に耐
摩耗性が低下するという欠点がある。また、樹脂の比率
が減少するばかりでなく、その分布も不均一となるため
膜の密着力は急速に低下する。
【0033】これに対して本発明皮膜の骨格は粒子分布
の疎密の差が少ないので、前記クラスター状集合体のよ
うな脆弱部がないため、粉末の配合比率が高いにも拘ら
ず、膜が均質となり、優れた機械的性質を有するものと
なる。とりわけ耐摩耗性が向上する。骨格中に存在する
空隙部は多くが皮膜表面に開口部をもつ開放気孔であ
り、皮膜中の樹脂はこの開放気孔を通じて樹脂層とつな
がっている。その結果、粉体圧縮層では空隙中の樹脂が
あたかも長いピン又はボルトのように作用して強力な固
定効果を発揮する。しかも空隙中の樹脂は直線状ではな
く曲がりくねっているので、このことによっても固定効
果は高められる。
【0034】骨格構造の空隙部に充填された樹脂は、粉
体圧縮層と樹脂層との密着力を高める役割の他、骨格構
造を補強して、粉体圧縮層の強度を高める役割をもつ。
粉体圧縮層は骨格構造の結合力と樹脂の結合力により強
化されている。
【0035】上述したように延性金属粉体から構成され
る骨格は平らに変形された金属片が積層されているの
で、金属片間の空隙(以下「扁平空隙」という)は粉体
圧縮層の垂直方向で相互に連通する通路は少なく水平方
向に広がっている。一方、セラミックス粉体から構成さ
れる骨格の空隙(以下「等方空隙」という)は粉体圧縮
層の垂直方向でも水平方向でも同程度の大きさである。
空隙の形状は上述のように2種類に大別されるが、空隙
率が同じならば骨格の結合力はほぼ同じである。またか
かる空隙率が同じ場合空隙への樹脂の充填率が高いほど
その結合力は大きくなる。
【0036】かかる結合力と空隙の構造の関係に関して
は、一般に、扁平空隙ではアンカー効果が発生しがたい
が、粉体と樹脂層の接触面積が大きいので十分な密着力
が得られる。充填率は空隙形成と同時に樹脂の充填を行
い高めることができる。すなわち骨格と扁平空隙が形成
されると直ちに樹脂が充填されるか、あるいは樹脂を含
んでその周りに粉体が圧縮され骨格が形成されるように
する。等方空隙ではアンカー効果が発生し易くまた樹脂
充填率を容易に高めることができる。
【0037】粉体の大きさとほぼ同じ大きさの空隙が他
の同様の空隙から孤立している、いわゆる孤立空隙が存
在しうる。孤立空隙は骨格構造内にもまた骨格構造が乱
れたところにも存在し得る。この孤立空隙にも好ましく
は樹脂を少なくとも部分的に充填することにより、連続
空隙の充填と同様に骨格を強化することができる。かか
る孤立空隙への樹脂の充填は該空隙が形成されると同時
に行うことにより可能になる。上述のように骨格構造の
空隙すなわち連続孔及び孤立孔に存在する樹脂によって
も結合されるので、本発明の皮膜では顔料が多い塗膜の
ように粉体の脱落はほとんど起こらない。
【0038】本発明においては樹脂層を粉体圧縮層と部
品表面の間に介在させているので、骨格構造が強固に後
者に固定される。仮に、樹脂層をもたない部品上に骨格
構造を接着しようとするとこれらの結合力は、主として
摩擦に起因する粉体粒子どうしあるいは粒子と部品表面
の凹凸の噛み込み力であるから、非常に小さくなる。よ
って、本発明においては樹脂層が骨格構造を部品に固定
する上で非常に重要な役割を担う。これに対して前掲米
国特許4849258号の連続皮膜の場合は、その明細
書に記載があるように樹脂層は粉体皮膜形成の障害にな
る。また、前掲米国特許の皮膜は活性化処理により部品
が侵食されることが問題になるような部品では、密着性
など性質は良くなく、これに対して本発明の皮膜はかか
る部品に対する密着性能が優れる。
【0039】本発明の骨格構造の空隙のうち連続孔につ
いては、皮膜の外部から樹脂を浸透させることができ
る。さらに、この空隙中の樹脂と樹脂層とのアンカー効
果を発揮させて強固な皮膜接着力をつくり出すことがで
きる。
【0040】粉体圧縮層の厚さは特に限定されず、部品
の大きさや要求される性能によって適宜選択する必要が
あるが、500μmが通常上限となり、これを超える粉
体圧縮層は膜厚増大に伴う利点がなく、膜厚の不均一や
寸法精度の低下などを招く。近年高い寸法精度が要求さ
れている精密機械及びエレクトロニクス関連の部品に適
用される皮膜については粉体圧縮層の厚みは50μm以
下が好ましい。一方粉体圧縮層の厚さが0.1μm以下
であると、耐食性など皮膜としての必要性能が得られな
い。
【0041】粉体圧縮層中の粉体物質の体積比率は30
%以下であると骨格中に空隙割合が多くなり、また粉体
粒子の接触面積が減小するので、充分な防食性などの性
能が得られなくなる。より望ましい粉体物質の体積比率
は40%以上であり、さらに望ましい範囲は45%以上
である。最も望ましくは50%以上である。本発明にお
いては骨格の体積比率が大きく空隙の割合が少なく外部
からの樹脂の含浸には不適切であっても、空隙には樹脂
が充填されている。
【0042】粉体圧縮層と部品の間に介在する樹脂層
は、その上部に粉体物質の量が下部に向かって徐々に少
なくなる遷移領域を含むことがあり、また通常の塗装膜
の顔料の量程度に粉体物質を含有することもあるが、樹
脂を主体とし部品の全面もしくはほぼ全面を被覆してお
り、粉体圧縮層を部品表面に接着する役割をもつ。粉体
圧縮層と部品の間に介在する樹脂層は部品表面側ではそ
の微細の凹凸に入り込んで固定効果(anchoring effec
t)と粘着力により部品との密着力が優れた層を作る。
樹脂層の粉体圧縮層側では粉体物質の骨格の空隙中に樹
脂が含浸され樹脂の粘着力と固定効果により粉体圧縮層
が部品に接着される。樹脂層の厚みは通常0.1〜20
μmであり、この下限未満では上記の作用が十分に発揮
されず、一方20μmを超えると皮膜全体の厚さが増大
し、厚い粉体圧縮層と同様の問題を生ずる。また0.1
μm以下であると充分な付着力が得られなくなる。より
望ましい厚みの範囲は0.5μm以上10μm以下であ
り、さらに望ましくは1.0μm以上5μm以下であ
る。
【0043】上記した膜厚はいずれも平均値でその要件
を満たしていればよく、局所的に望ましい範囲外にある
値をとってもよい。しかしながらそのばらつきの範囲は
粉体圧縮層については防食性および寸法精度の点から、
樹脂層については密着力の点からできる限り小さいこと
が望ましい。樹脂層における粉体物質の量が少ないほ
ど、粉体・部品間の直接接触が減少するため、より密着
力は向上する。
【0044】皮膜と部品の間に完全な金属又は分子結合
が実現できれば樹脂層が介在しない方が皮膜の強度は高
くなる。しかし、そのために必須の部品表面の活性化が
前掲米国特許に関して上述したような問題を招く。本発
明は樹脂層を介在させることによって、樹脂層は下地と
なる部品表面における汚れ、異物、酸化膜などの接着阻
害要因の悪影響を取り除き、通常の表面清浄度の部品に
粉体圧縮層を容易に形成可能にする。
【0045】本発明に係る皮膜を二層以上形成させるこ
とができ、この場合粉体及び/又は樹脂の種類が異なる
二層以上の皮膜を形成してもよい。皮膜の層数が多くな
ると膜厚が大きくなりすぎること、工程が長くなり不経
済なので、全体の層数は3層以下が好ましい。また樹脂
層は同種または異種の樹脂で2層以上として形成するこ
ともできる。
【0046】本発明の皮膜は樹脂が存在した状態で粉体
粒子が凝集して結合するが、連続体とならない程度に粉
体皮膜形成時の成膜力を調節する方法により形成され
る。その一つの方法としては、本出願人が特願平4−7
2220号(以下「先願」という)で出願した被処理部
品、皮膜形成過程の少なくとも初期において少なくとも
部分的に未硬化の状態にある樹脂、粉体物質(皮膜形成
過程において前記樹脂よりも硬質の樹脂粉末のこともあ
る)、および前記被処理部品よりも寸法が実質的に小さ
くかつ前記粉体物質よりは寸法が実質的に大きい皮膜形
成媒体に容器内にて振動または攪拌を加える方法があ
る。部品表面にあらかじめ樹脂皮膜を形成し、その皮膜
が未硬化の状態で上記方法あるいは上記方法において樹
脂を除いた方法を実施してもよい。また、上記方法で皮
膜を形成した後、皮膜表面に樹脂皮膜を形成して再び同
様の方法を行ってもよい。さらに上記方法を繰り返すこ
とにより多層皮膜を作ることができる。
【0047】樹脂、粉体物質及び被処理部品を皮膜形成
媒体とともに容器内で振動又は攪拌すると、被処理部品
表面にまず樹脂の層が形成される。この樹脂層の厚み
は、粉体物質、樹脂、皮膜形成媒体、被処理部品の投入
順序や混合の仕方によって変わり、例えば、樹脂と粉体
物質の投入が同時に行われる場合は、部品表面と樹脂及
び部品表面と粉体粒子の接触が同時に起こるために、部
品表面に形成される樹脂単独の層は非常に薄くなるか、
光学顕微鏡では検出困難になることがある。
【0048】樹脂皮膜形成に続いて、粉体物質が樹脂層
の粘着力により樹脂層に捕捉・固定される。同様に樹脂
層が被処理部品表面で硬化する時に粉体物質を捕捉して
硬化する。振動又は攪拌を受けている皮膜形成媒体は、
同様に振動又は攪拌を受けている粉体物質に打撃力を与
え、粉体圧縮層が作られる。
【0049】皮膜形成媒体は打撃力を発生して皮膜の形
成の媒介をするが、それ自身は実質的に皮膜の成分にな
らない。被処理部品より大きい皮膜形成媒体は前者の表
面上で均一な打撃力を発生することができず、また粉末
よりも小さいと皮膜形成媒体が皮膜中に捕捉されてしま
う。ただし、体積比で70%以下の範囲であれば、被処
理部品よりも大きな媒体が含まれていてもよい。また、
打撃力をある程度集中させる方が粉体の圧入がよく進行
するため、例えば球状の媒体を使用する場合はその直径
が0.3mm以上、より望ましくは0.5mm以上が望
ましく、他の形状の場合もこれに準ずる。また被処理部
品よりも小さいときは、媒体の一つ一つを同体積の球で
置き換えたとき、その直径が被処理部品のさしわたしの
うち最大のものよりも小さいことを言う。また粉末に対
しては、平均寸法で要件を充たしていれば、所望の打撃
力をつくり出すことができる。すなわち、皮膜形成媒体
となる粒子の一部が粉体物質より細かくとも、平均寸法
で前者が後者より大きければ所望の打撃力を作りだすこ
とができる。ただし、これら粉体物質より細かい媒体は
皮膜中にとりこまれる恐れがあり、できるだけ含まれな
いことが望ましい。
【0050】皮膜形成媒体の材質は次の要件を満たして
いる必要がある。 塑性変形により皮膜形成後に皮膜形成媒体を観察して
肉眼で認められるような大きな形状変化がなく、かつ、
皮膜形成過程において弾性変形が極端に大きくならない
こと。したがって軟質ゴムなどはこの要件を満たさな
い。 割れ、欠け、急激な摩耗などがないこと(長期的使用
による若干の摩耗はあってもよい)。
【0051】これらの要件を満たさない材質の皮膜形成
媒体が被処理材との衝突により塑性変形を起こしたりあ
るいは軟質ゴムのように極端に大きな弾性変形を起こし
たりすると、後者に与える打撃が不足して所望の皮膜形
成が起こらなくなる。また、割れ、欠け、急激な摩耗が
起こると、媒体の耐用寿命が短くなり、不経済である。
【0052】粉体物質は皮膜中に取り込まれるために
は、皮膜形成媒体よりは小さくなければならない。粉体
物質の性質は特に限定されないが、樹脂粉末の場合は皮
膜形成過程において、先に述べた樹脂よりも硬質な樹脂
であることが必要である。
【0053】粉体物質の粒度は、被処理部品の大きさ、
皮膜の厚さ及び粉体物質の材質により変わる。セラミッ
クス粉体など硬質で変形しにくい粉体の場合は粒度が小
さいことが望ましく、延性に富む金属粉などの場合はこ
れより大きくてよいが一般には0.01〜500μmの
範囲内である。望ましくは0.01〜300μm、より
望ましくは0.01〜100μmの範囲内である。一般
に、粉体は粒度が小さいほど樹脂により捕捉されやす
い。また粒度が小さい粒子は、樹脂皮膜上に分散してい
る粉体物質の粒子の間に打撃により押し込まれ易く、塑
性変形による粉体同志あるいは被処理材料との圧着や結
合が起こり易い。したがって粉体物質の粒度が小さいほ
ど、打撃力が小さくて済み、また皮膜の表面粗さも小さ
くなる。
【0054】皮膜形成媒体は鉄、炭素鋼、その他合金
鋼、銅および銅合金、アルミおよびアルミニウム合金、
その他各種金属、合金製、あるいはAl23 ,SiO
2 ,TiO2 ,ZrO2 ,SiC等のセラミックス製、
ガラスさらに硬質プラスチック等を用いることができ
る。また皮膜成形に充分な打撃力が加えられるのであれ
ば、硬質のゴムも使用することができる。これら媒体の
サイズ、材質は部品の形状およびサイズ、使用する粉体
の材質に応じて適宜選択する必要がある。また複数のサ
イズ及び材質の媒体を混合して使用することもできる。
また場合によっては表面処理、表面被覆を施して使うこ
ともできる。また複数の上記材料によって構成された複
合媒体を用いてもよい。また、打撃力の緩和および平均
化を行い、皮膜の均質性、膜厚のばらつきを抑えるた
め、木粉や軟質ゴム、軟質プラスチック等軟質の媒体を
前記媒体に対し体積比の50%以下の範囲で適宜混合す
ることがある。これらは単独では打撃力をほとんど生じ
ないので、必ず前記皮膜形成媒体と併用される。また皮
膜形成媒体の表面に硬化した樹脂、未硬化樹脂または揮
発性液体の皮膜を形成することもできる。このような皮
膜は一旦は粉体を皮膜形成媒体表面に均一に付着させる
のを助け、その後混合または攪拌中に粉体を離脱させ、
被処理部材表面に皮膜を付着させる。このような過程に
より粉体が被処理部材上に一層均一に付着する。同様な
作用は皮膜形成媒体より金属などのめっき膜として被着
することによってももたらされる。
【0055】皮膜形成媒体の形状は、球状、楕円形、立
方体、三角柱、円柱、円錐、三角錐、四角錐、菱面体、
不定形体、その他各種形状を使用することができる。
【0056】皮膜形成混合物の各成分(要素)の割合は
各成分の所望の作用を発揮するように、いずれかの要素
に偏らず全体がバランスするように定める。粉体および
樹脂の量は、部品に付与する皮膜の厚みと、部品の表面
積の合計によって定まる。ただし、樹脂と粉体の比率
は、樹脂の硬化後の体積に換算して樹脂分を0.5%以
上に設定することが望ましい。これ以下であると、粉体
の部品への付着が不充分となる。また、媒体と部品の混
合比率は、部品の形状によって異なるが、少なくとも見
掛け容積比で媒体を20%以上配合しないと、部品表面
への均一かつ充分な打撃が行われず良好な皮膜を得るこ
とが難しい。
【0057】容器内での振動又は攪拌は以下述べるよう
な種々の方法で実施することができる。容器2内に設け
られ回転軸4に固着されたアーム3(図1参照)、回転
軸4に固着された羽根5(図2参照)、または図示され
てはいないがインペラ、ブレードなどの撹拌機により為
される。なお、図中10は皮膜形成混合物である。ま
た、図3に示すようにドラム又はポット状容器自体をロ
ーラー6上で回転してもよい。さらに図4に示すよう
に、回転軸に固着されたドラム状容器2を回転してもよ
い。容器は上部が解放されていても、また密閉されてい
てもどちらでもよい。加えて図5に示すように容器2を
揺すってもよい。揺動中に撹拌を行ってもよい。また図
6に示すように回転軸4に対称的に固着されたアーム7
の先端に取りつけられた容器2内に粉末混合物10を入
れて遠心力で粉末混合物を混合してもよい。このとき容
器2を自転させることが好ましい。容器の動作が同じで
あれば、回転の機構はこれに限らず、例えばディスク状
のホルダーを使ってもよい。
【0058】あるいは容器2内又は容器外に設けられた
加振器8により皮膜形成混合物に振動を加えてもよい
(図7参照)。以下振動を加える方法に例を取って皮膜
形成混合物に加える力(加振力)の大きさを説明する。
加振力を容器及び皮膜形成混合物の重力(以下「振動重
力」という)で平均した値(以下、「被加振力」−無次
元数−という)が皮膜形成媒体が被処理部品に加える衝
撃力の指標になる。具体例として、2.8リットルの容
器の重量−1kgf,スチールボール(皮膜形成媒体)
の重量−10kgf、被処理部品の重量−1kgfであ
る場合は、振動重力は12kgfとなる。このとき40
Hz周期の好ましい加振力は20〜50kgfである。
したがって被加振力は1.67(=20/12)〜4.
17(50/12)となる。
【0059】より大きい容器を使用する場合、具体例と
して20リットルの容器の重量−4.5kgf,スチー
ルボール(皮膜形成媒体)の重量−70kgf、被処理
部品の重量−5.5kgfである場合は、振動重力は8
0kgfとなる。このとき25Hz周期の好ましい加振
力は150kgf〜450kgfである。したがって被
加振力は150/80=1.88〜450/80=5.
65である。
【0060】被処理部品が鉄鋼材料等の強靭な材質でで
きている場合は被加振力の上限は約10でもよいが、希
土類磁石、ボンド磁石、セラミックス、ガラスなどの脆
い材質では被加振力の上限を5以下にすることが好まし
い。また、被加振力の下限は1以上、特に1.5以上で
あることが好ましい。被加振力がこの下限より小さいと
皮膜成長速度が遅くなり、一方上限より大きいと被処理
部品が脆い材質の場合その破壊が起こりやすくなり、ま
た皮膜形成媒体の変形も起こりやすくなる。振動の周波
数は特に限定されないが、2Hz〜600Hzの範囲で
あることが好ましい。
【0061】続いて、撹拌方式の場合は、回転により発
生する遠心力が皮膜形成混合物と容器の合計重量に対し
て上記被加振力の範囲に入っていることが望ましい。
【0062】粉体圧縮層に高密度に粉体を圧縮するため
には比較的小さな打撃力を部品表面に均一に加えること
が望ましい。このようにすることによって、均一に粉体
が圧縮され、圧入され、かつ一旦圧入された圧縮層から
の脱落が起こらずまたスケルトンの密度が高くなる。
【0063】上記した一層以上の皮膜の表面に樹脂の保
護皮膜を施すことは、全体の皮膜の強度及び耐食性を向
上させるために効果がある。特に、粉体圧縮層が皮膜表
面に露出していると、取扱中や部品を機械に取り付け中
に外部から衝撃力や強い力が掛かると、粉体物質が脱落
したりあるいは皮膜が局部的に破壊されることがある。
このような不都合を防止するために樹脂の皮膜を施すこ
とは有効である。樹脂の皮膜は表面を滑らかにし美観も
向上させ、さらにピンホールを埋め水分の浸透を妨げ
る。保護皮膜の樹脂は前記皮膜の樹脂と同種又は異種の
ものを使うことができる。またその膜厚は0.5μm以
上300μm以下であることが望ましい。0.5μm以
下であると保護皮膜の機能を失い、300μm以上は厚
膜のため、前記したところと同じ問題が生じる。
【0064】保護皮膜としては樹脂皮膜の他に金属又は
合金のめっきあるいは金属と非金属の分散めっき(電気
めっきあるいは電解めっき)を施すことができる。皮膜
の少なくとも最上層部を金属又は合金等の通電性物質の
粉体圧縮層としておけば、皮膜表面の電気伝導度が向上
するため、その上に各種電気めっきを容易に施すことが
できる。また、めっき膜の下地に少なくとも1層の金属
粉体の圧縮層が存在するため、従来のめっき皮膜よりも
防食性に優れる。皮膜が複数の粉体圧縮層によって構成
されている場合は、最上層部の他、中間の層が金属又は
合金の粉体圧縮層とすることができる。
【0065】めっき皮膜の下地となる本発明の金属粉体
圧縮層では骨格の間隙が存在するので、めっき皮膜にも
通常より多いピンホールが形成されることがある。この
場合めっき皮膜を若干厚くすることが望ましい。あるい
はめっき皮膜の下地に無電解めっき皮膜を極く薄く形成
することにより、めっき皮膜でのピンホールを防止する
ことができる。
【0066】めっき皮膜としては公知のあらゆる金属又
は合金めっき皮膜を形成させることができる。このとき
下地の金属粉体はその上に形成されるめっき膜の種類に
応じて自由に選択することができる。
【0067】希土類永久磁石はその優れた磁気特性ゆえ
に、需要は増加の一途をたどっている。現在生産されて
いるほとんどの希土類永久磁石はSmとCoを主成分と
するSm−Co系と、Nd−Fe−B系であり、また製
造法としては焼結によるものと樹脂により結合した樹脂
ボンド磁石がほとんどである。樹脂ボンド磁石は、磁石
粉末と樹脂を混合した後圧縮成形を行い、その後樹脂を
硬化する方法、射出成形法、磁石粉末をプレスした後に
樹脂を含浸させる方法などにより製造されている。希土
類磁石は活性な希土類元素を多量に含んでいるために、
高温多湿な環境で使用されると腐食による性能劣化や性
能のばらつきを生じ、また腐食生成物質が汚染源とな
る。特にNd−Fe−B磁石は鉄を主成分とするため
に、耐食性が低く、防食皮膜の付与が不可欠であり、現
在、Niめっきが焼結磁石に、エポキシ樹脂などの吹付
けや電着塗装が焼結及び樹脂ボンド磁石に対して行われ
ている。しかしながら小物部品が多いNd−Fe−B焼
結磁石に施すNiめっきは、めっき操作が厄介、廃液処
理などの問題がある他に、下地の酸化物の除去が不十分
であるとめっきの密着性が劣るという問題もある。樹脂
の塗装も既に説明したように塗装操作に手間がかかる等
の問題がある。
【0068】またボンド磁石は価格が安く樹脂の多層塗
装は現実的でないために、単層塗装が主流になってい
る。このために樹脂ボンド磁石の耐食性は焼結磁石より
は低いレベルに留まっている。この欠点解消の対策とし
て、無電解めっき下地の上に電気めっきを施すことが提
案されている(特開平3−116703号)が、上述し
たような問題がある。電着塗装を使用すればスプレー塗
装より耐食性は若干向上するが、これは大掛かりな塗装
および廃液処理設備も必要であり、基本的には治具に釣
り下げて行うためコスト高となる。さらに樹脂ボンド磁
石は焼結製品よりも一層多孔質であるので無電解めっき
を相当に厚くしなければ、良好な下地とならない。また
Nd−Fe−B系を被処理部材とする無電解めっき液は
浴組成の管理が非常に難しいと言われている。
【0069】本発明の皮膜を形成した希土類磁石は以下
のような利点をもち、従来の問題を解消することができ
る。 焼結磁石の場合:従来の樹脂皮膜に対しては、安定な
酸化物、例えばTiO2 ,MgO,Fe23 などの粉
体を皮膜中に分散させ、特に皮膜表面でその含有量を多
くすることにより、耐食性を良好にすることができる。
【0070】樹脂ボンド磁石の場合:従来の樹脂塗装
膜に対しては、多層膜並みの耐食性が得られるので、従
来の単層樹脂皮膜よりも耐食性が大幅に向上する;特
に、樹脂ボンド磁石の孔に粉体物質や樹脂を圧入させる
ことにより、封孔効果も大きくでき、このために耐食性
が向上するなどの利点がある。従来の無電解めっき−電
解めっきに対しては、導電性粉体物質を使用する本発明
皮膜は工業的応用可能性が非常に高い。
【0071】本発明により、希土類磁石表面に形成され
た粉体皮膜上にめっき皮膜を形成すると以下のような利
点が得られる。 焼結磁石の場合(従来のめっき皮膜と比較して) 下地処理が特に必要とされない;皮膜形成条件が緩やか
である(すなわち、特にNd−Fe−B磁石を念頭に置
いて条件を厳しく設定する必要がない)。母材表面上に
本発明法によるめっき下地層が強固に密着しているた
め、めっき下地層の種類をその上に形成されるめっき層
に対し適切に選ぶことにより、密着性の優れためっき皮
膜が得られる。まためっき皮膜は通常若干のピンホール
を有するが、これらピンホールは従来のめっき皮膜であ
ると、直接母材表面に達しているためピンホールから侵
入した腐食成分はめっき層と母材表面の界面に浸透し、
膜はがれ等を起こしやすかった。特に母材表面に酸化層
が残留している場合は極めて膜はがれを起こしやすい。
ところが本発明法では、めっき皮膜の下に防食性のよい
粉体皮膜が存在するため、ピンホールからの腐食成分は
ほとんどすべてこの下地層によって止められ、母材表面
に侵入しないため、膜はがれはなくなる。
【0072】樹脂ボンド磁石の場合(従来の無電解め
っきと比較して):無電解めっきは、一般に浴が高価で
廃液処理等に多額の費用がかかるため、コスト高とな
る。また、無電解めっき膜は下地との密着力は樹脂皮膜
よりは数段劣る。また一般に無電解めっき膜は厚膜化が
難しく5μm以下の薄膜にとどめられており、特にボン
ド磁石は多孔質体なので、母材表面のピンホールに倣っ
た極めてポーラスな皮膜となる。このような膜はその上
に形成される電解めっき膜のピンホールから浸透してく
る腐食成分の遮断能力がほとんどなく、膜はがれ等のば
らつきを生じやすい。また無電解めっきのめっき液がボ
ンド磁石のピンホールに残留しやすく、これも膜はがれ
の大きな原因となる。これらの問題点のため、無電解め
っきを付与したNd系ボンド磁石は未だ量産に至ってい
ない。
【0073】本発明法によれば、磁石表面のピンホール
が樹脂層によって封止され、さらにこの樹脂層によりめ
っきの下地となる金属層(粉体圧縮層)が強固に密着さ
れるため、その上に形成されるめっき皮膜も良好な密着
性を持つ。この下地層はと同様、磁石表面への腐食成
分の拡散を防止するため、結果として従来法よりはるか
に優れた耐食性が得られる。以上、希土類磁石を例にと
って説明したが、他の母材に施された本発明の皮膜も優
れた特性を示す。
【0074】以下、実施例により本発明を詳しく説明す
る。
【実施例】
実施例1 本発明の皮膜を、破面観察を行いやすくするためガラス
板(30mm×20mm×2mm)上に形成した。ま
ず、容積2.8リットル、深さ150mmの円形のポッ
トに、直径φ3.0mmの鋼球を10kg(見掛け密度
約5kg/リットル)投入し、振動数2500c.p.
m.(cycle per minute)、振幅0.5〜2mmの振動
を加えながら、平均粒度0.3μmのTiO2 粉末を2
0g投入し5分間振動を加えた。
【0075】次にあらかじめエポキシ樹脂10%(樹脂
94%、硬化剤6%)を溶かしたメチルエチルケトン
(MEK)に浸漬して表面を樹脂で覆ったガラス片を2
0個投入し、15分間振動させた後取り出した。120
℃で2hr加熱し最後に平均粒径2mmのクルミ殻片
2.0kgと共に同じサイズのポットに入れて5分間振
動させ、表面に残留した余剰の粉末を除去した。その
後、ガラス片を取り出し、破断して、破面をSEMによ
り観察した。SEM像を図8(4000倍)及び図9
(13000倍)に示す。
【0076】樹脂層の厚みはl.5μm、粉体圧縮層の
厚みは15μmである。樹脂層と粉体圧縮層の固定(an
choring )は、これら界面が互いに入りくんでいる図8
に示される。
【0077】粉体圧縮層のスケルトン構造は図9より明
らかである。すなわち、TiO2 の粒径が細かいために
10000倍以上の倍率の顕微鏡により骨格構造が観察
できる。図中粒子の表面でその輪郭が局部的にぼやけて
見えるのは樹脂が粒子を被覆しているためであり、樹脂
が粉体圧縮層内部まで充填されていることを示す。な
お、粉体圧縮層中の粉体粒子は30体積%以上である。
【0078】また、粉体圧縮層はその断面観察の際に試
片を切り欠いたときに生じた大きな欠落部が見られる。
これを除いて粉体圧縮層の粒子を観察すると粒子の分布
の疎密がほとんどないことが分かる。写真の中央上部及
び右下部では骨格構造の乱れがあり、これにより作られ
た比較的大きな孤立孔と見られる空隙に樹脂が充填され
ている。
【0079】実施例2 容積2.8リットル、深さ150mmの円形のポット
に、直径φ3.0mmの鋼球を10kg(見掛け密度約
5kg/リットル)投入し、振動数3500c.p.
m.(cycle per minute)、振幅0.5〜2mmの振動
を加えながら、平均粒度3μmのアトマイズAl粉末を
20g投入し5分間振動を加えた。
【0080】次にあらかじめエポキシ樹脂10%(樹脂
97%、硬化剤3%)を溶かしたメチルエチルケトン
(MEK)に浸漬して表面を樹脂で覆ったガラス片を2
0個投入し、15分間振動させた後取り出した。120
℃で2hr加熱し最後に平均粒径2mmのクルミ殻片
2.0kgと共に同じサイズのポットに入れて5分間振
動させ、表面に残留した余剰の粉末を除去した。その
後、ガラス片を取り出し、破断して、破面のSEM像を
図10、表面のSEM像を図11に示す。
【0081】粉体樹脂層は厚みが8μm、その粉体含有
率は50体積%以上、局所的には70体積%以上の部分
のある。また樹脂層は厚みが1μmである。アトマイズ
Al粉はほぼ球形の粒子形状をしているが、粉体圧縮層
中のAl粉体粒子の形状は扁平片状であり、その縁部は
鋭い凹凸になっている。又骨格構造は扁平片が積み重ね
られたものとなり、扁平片の間の空隙の一部には樹脂が
層状にはさまれている。
【0082】実施例3 容積2.8リットル、深さ150mmの円形のポット
に、直径φ3.0mmの鋼球を10kg(見掛け密度5
kg/リットル)投入し、振動数3000c.p.m.
(cycle per minute)、振幅0.5〜3mmの振動を加
えながら、平均粒度0.3μmのTiO2 粉末を20g
投入し5分間振動を加えた。
【0083】次にあらかじめエポキシ樹脂10%(樹脂
97%、硬化剤3%)を溶かしたメチルエチルケトン
(MEK)に浸漬して表面を樹脂で覆った磁石を20個
投入し、15分間振動させた後取り出した。120℃で
2hr加熱し最後に平均粒径2mmのクルミ殻片2.0
kgと共に同じサイズのポットに入れて5分間振動さ
せ、表面に残留した余剰の粉末を除去した。
【0084】この操作をもう一度繰り返した。ただし2
回目の振動時間は8分間であった。最後にあらかじめエ
ポキシ樹脂30%(樹脂97%、硬化剤3%)を溶かし
たメチルエチルケトン(MEK)に浸漬して、120℃
で2hr加熱した後、ガラス片を破断し、破面をSEM
により観察した。これを図12に示す。
【0085】第1層目の樹脂層の厚みは1μm、粉体圧
縮層の厚みは18μmであり、第2層目の樹脂層の厚み
は1μm、粉体圧縮層の厚みは12μmであり、そして
最表面の樹脂層の厚みは9μmである。粉体含有率は第
1、第2層とも40体積%以上である。この実施例では
すべての層を視野内に納めるために写真の倍率を260
0倍にしたことと、粉体圧縮層の粉体含有率が比較的低
いために、樹脂が粉体粒子を被覆していることの理由に
より、骨格構造は不明確である。写真の倍率を2000
0倍にすると骨格構造が観察された。
【0086】実施例4 容積2.8リットル、深さ150mmの円形のポット
に、直径3.0mmの鋼球(表面には半硬化の樹脂をコ
ーティングしたもの)を10kg(見掛け密度5kg/
リットル)投入し、振動数2500c.p.m.(cycl
e per minute)、振幅5mmの振動を加えながら、平均
粒度3μmのAl粉末を30g投入し5分間Al粉に振
動を加えた。
【0087】次にあらかじめエポキシ樹脂15%(樹脂
97%、硬化剤3%)を溶かしたメチルエチルケトン
(MEK)に浸漬して表面を樹脂で覆ったガラス片を2
0個投入し、20分間振動させた後取り出した。120
℃で2hr加熱し最後に平均粒径2mmのクルミ殻片
2.0kgと共に同じサイズのポットに入れて5分間振
動させ、表面に残留した余剰の粉末を除去した。引き続
き、通常のワット浴を使用した電解Niめっきを行い、
約4μmのNiめっき層を形成させ、ガラス片を破断し
た。破面のSEM像を図13(倍率1300倍)及び1
4(倍率930倍)に示す。
【0088】樹脂層の厚みは3μm、粉体圧縮層の厚み
は15μm、粉体含有率は50体積%以上である。な
お、図14においては試片の断面を切り欠いた時にNi
めっき層と粉体圧縮層の間に発生した剥離の割れ目が見
える。
【0089】実施例5 Fe81Nd136 の組成をもつ粒度100μm以下の急
冷ボンド磁石用粉末を使用した。この粉末にエポキシ樹
脂を3wt%加えて混合し、5ton/cm2の加圧力
で圧縮成形して、22mmφ×20mmφ×10mmの
成形体を140個得た。これを150℃で1時間キュア
ーし、樹脂結合磁石とした。
【0090】この磁石について、実施例1〜4と同じ方
法により同様の皮膜を各20個形成させた。ただし、平
均膜又は層の厚み(μm)は以下の通りである。 実施例 樹脂層 粉 体 樹脂又は 合 計 圧縮層 めっき層 ───── ───── ───── ────── ────── 1 1 10 − 11 2 1 9 − 10 3 1×2 8×2 2 20 4 1 5 10 16 ───────────────────────────────
【0091】さらに、比較例として次の(5)〜(7)
を行った。 (5)樹脂結合磁石に、TiO2 添加量が20%のエポ
キシ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、平均20μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比
較例)。 (6)樹脂結合磁石に、リン酸亜鉛化成処理液をスプレ
ー吹き付けし、乾燥後、TiO2 添加量が20%のエポ
キシ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、20μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比較
例)。 (7)樹脂結合磁石に皮膜を施さず、そのまま試験した
(比較例)。
【0092】以上のようにして各種皮膜を形成した樹脂
結合磁石を各20個湿潤試験して、耐食性を評価した。
試験条件:85℃×90%RH放置(チェック項目:外
観)結果を次表に示す。
【0093】
【表1】 判定基準 A 全数全く発錆なし B 巨視的には発錆なし。全体の10%未満に顕微鏡オ
ーダーの点錆 C 全体の10%未満に目視でわかる点錆 D 全体の10%以上30%未満にやや大きな発錆 E 全体の30%以上に著しい発錆、膜ふくれ、はがれ
【0094】以上の試験の結果から、本発明に係る皮膜
は従来の樹脂塗装膜に比較して耐食性が優れていること
が明らかになった。
【0095】実施例5 低炭素(0.03%C)圧延鋼板より20mm×20m
m×3mmの試験片を切り出した。次に容積2.8リッ
トル深さ150mmの円形ポットに、直径φ3.0mm
の鋼球を10kg投入し、振動数1000c.p.
m.、振幅5mmの振動を加えながら、各種粉末を30
g投入し、5分間Al及びその他の粉末と鋼球に振動を
加えた。次にあらかじめエポキシ樹脂(10%MEK溶
液)に浸漬して表面を樹脂で覆った鋼板を各10個投入
し、15分間振動させた後取り出した。磁石を120℃
で2hr加熱してエポキシ樹脂をキュアした後に平均粒
径2mmのクルミ殻2kgと共に、皮膜形成用と同じサ
イズのポットに入れて5分間振動させ、表面に残留した
余剰の粉末を除去した。最後にエポキシ30%(樹脂9
4%、硬化剤6%)を含むMEK溶液に浸漬して、乾燥
し、120℃で2hrキュアした。使用した粉末は以下
の通りである。
【0096】 材 質 平均粒径 粉体圧縮層の厚さ (μm) (μm) ────── ────── ──────────── 1 Al 3 10 2 Cu 2 10 3 Ti 8 10 4 ステンレス 3 10 5 Cr 2 10 6 Co 2 10 7 Ni 2 10 8 Zn 2 15 9 Pb 1 10 10 Sn 2 15 11 Ag 1 5 12 Au 1 5 13 MgO 0.5 10 14 Al23 0.5 10 15 SiO2 0.7 10 16 TiO2 0.3 10 17 CrO2 0.6 10 18 MnO2 0.9 10 19 Fe23 1.0 10 20 CoO 0.8 10 21 NiO 0.5 10 22 CuO 0.9 10 23 ZnO 0.3 10 24 ZrO2 0.3 10 25 MoO 0.4 10 (すべて体積率40%以上)
【0097】比較例としてTiO2 添加量が20体積%
のエポキシ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キ
ュアして、平均20ミクロンの膜厚の塗膜(単膜)を形
成した(比較例)。以上の処理を施した試験片に対し、
JIS腐食試験方法による中性塩水噴霧試験(35℃、
5%NaCl)を16hr行ったところ、比較例は全数
エッジ部から発錆が見られたが、1〜25については全
数発錆は見られなかった。
【0098】実施例6 実施例5と同じ鉄片を20個用意し、この10個につき
実施例5と同じ条件でZn粉末を使用して皮膜を形成し
た。残りの10個はショットブラストにより表面を清浄
化した後火炎溶射法により40μmの厚みのZn皮膜を
形成した。これらの皮膜形成片の皮膜剥離試験を以下の
方法により行った。すなわち、ナイフにより皮膜に貫通
するように1mm間隔で縦横5本づつ溝線を刻んだ。次
に接着テープ(セロハンテープ)を溝線を刻んだ皮膜に
接着し、剥離して剥離試験を行った。その結果溶射皮膜
は全数剥離したが、本発明の皮膜は全く剥離を起こさな
かった。
【0099】実施例7 容積2.8リットル、深さ150mmの円形のポットに
直径φ2.0mmとφ3.0mmのニッケルめっきした
鋼球を半々づつ合計10kg投入し、さらにエポキン樹
脂5%を溶かしたMEKを20cc入れ、振動数250
0c.p.m、振幅5mmの振動を加えながら、平均粒
径3μmのAl粉末を20g投入し5分間振動を加え
た。次にあらかじめエポキシ樹脂10%(樹脂97%、
硬化剤3%)を溶かしたメチルエチルケトン(MEK)
に浸漬して表面を樹脂で覆ったMQボンド磁石(外径2
0mm,内径16mm,高さ9mm)を20個投入し、
15分間振動させた後、取り出し、120℃で2hr加
熱した。その後エポキシ樹脂5%を溶かしたMEKにボ
ンド磁石を浸漬し、表面を再度樹脂で被いさらに平均粒
径が3μmのAl粒子と共に2回目の振動バレル処理を
10分間行った。磁石をポットから取り出し、さらに、
磁石をエポキシ10%を溶かしたMEK中に浸漬し、1
20℃、3hrのキュアを行った。以上のような処理に
より2重塗装した磁石はきわめて良好な耐食性を示し
た。この膜の状態をSEMで観察するために、磁石をエ
ポキシ樹脂に埋め込み、エメリー紙による研磨と、ダイ
ヤモンドベーストを使用したバフ仕上げ研磨により試料
断面を観察した。研磨試料のSEM像を図15の
(a)、(b)に示す。この図より以下の構造が明らか
である。もともと球状であったAl粉はつぶれて横につ
ながって骨格構造を作っている;第1層と第2層のAl
層の間に樹脂層がはさまれている;第1層のAl層とボ
ンド磁石の間の樹脂層は、ボンド磁石中の樹脂層とつな
がっている。
【0100】実施例8 実施例7と同じボンド磁石上に、ポールは2mmφのク
ロムめっきした鋼球を使用し、実施例7と同じ振動バレ
ルを使用し、同じ条件で0.1μm〜1μmのAg粉末
20gを使用して、骨格構造を有するAgの皮膜を形成
した。ただし、この実施例では、ボンド磁石を10%の
エポキシを溶かしたMEK溶液に浸漬し、2分間超音波
を加えてあらかじめ樹脂膜を形成し、その後振動バレル
で20分間振動した後、振動バレルから取り出し、20
分間室温で乾燥し、120℃で2時間キュアした。実施
例7と同様にして研磨によりSEM観察用試料を観察し
た断面SEM像を図16に示す。また、骨格構造を持つ
Ag膜の表面のSEM像を図17に示す。この実施例で
得られたAgの膜は空気中で振動バレル処理により作ら
れたが、Agは酸化しにくいので、導電率が極めて高か
った。Ag膜厚は10μm程度であったが、表面抵抗は
0.1Ω/□以下であった。比較のためにAg粉とエポ
キシ樹脂を混ぜてMEKで薄めて試料に塗布してAg膜
を作成して表面抵抗を測定した。Agの量をスプレー塗
装できる限界にまで多くしたが、10μmの膜では10
Ω/□以下にすることはできなかった。
【0101】実施例9 平均粒径が0.8μmのNi粉末、及び平均粒径が10
μmのCu粉末を使用して実施例7と同じ条件、ただし
Cu粉末の振動処理雰囲気は窒素ガスとし、Cu、Ni
の皮膜を作成した。形成された皮膜の骨格構造の断面
(研磨面)と表面(無研磨面)のSEM像をそれぞれ図
18、19(Cu)および図20、21(Ni)に示
す。比較のために同一の粉末を樹脂と溶剤とともにスプ
レー塗装したCu系導電塗料皮膜(骨格構造を持たな
い)のSEM断面像(研磨面)を図22に、表面SEM
像を図23に示す。これらの図面を比較すると骨格構造
皮膜では粉体の充填率が非常に高いことがわかる。骨格
構造を持つCu膜の表面電気抵抗は、酸化抑制により、
25μmの膜厚で、0.2Ω/□の良好な電導性が得ら
れた。これに対して、図20、図21のスプレー塗装C
u膜(骨格構造ではない)では、70μmの膜厚で0.
5Ω/□程度であった。
【0102】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、従来にな
い構造の粉体皮膜を有する部品に関する。高割合の粉体
を均一に分布させた皮膜を部品に対する熱影響なしで、
部品上に形成することにより、精密部品、エレクトロニ
クス関係部品などの熱影響を避けるべき部品に皮膜を形
成し、かつ粉体の物理的・化学的性質を従来よりも高度
に利用することができる。これら性質のなかでもとりわ
け耐食性については現在かかる部品を使用する業界にお
いて要求性能が厳しくなっているので、本発明はこれら
の要請に即応することができる。
【0103】さらに通常程度の清浄度の部品に密着力が
優れた皮膜を形成することができるので、部品の脱脂、
錆の除去などを極めて注意深く行うことによる部品の変
質などのおそれがある場合は本発明の方法は非常に有意
義である。その一例としてNd−Fe−B磁石がある
が、この材料は通常程度の予備処理では皮膜の密着性が
悪く、その結果耐食性も不良となることが多かったが、
本発明により十分な耐食性が得られるようになる。さら
にこのように予備処理に敏感な部品ではなく通常の部品
については予備処理による清浄化を簡略化することによ
り、予備処理のコストを低下することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による撹拌をアームにより行う実施例を
示す図である。
【図2】本発明による撹拌を羽により行う実施例を示す
図である。
【図3】本発明による撹拌を回転容器の回転により行う
実施例を示す図である。
【図4】本発明による撹拌を円筒容器の回転により行う
実施例を示す図である。
【図5】本発明による撹拌を円筒容器の揺動により行う
実施例を示す図である。
【図6】本発明による撹拌を容器を回転軸の回りに回転
させて行う実施例を示す図である。
【図7】本発明による振動をポットの加振により行う実
施例を示す図である。
【図8】実施例1における皮膜の粒子の構造を示す電子
顕微鏡写真(倍率4000倍)である。
【図9】実施例1における皮膜の粒子の構造を示す電子
顕微鏡写真(倍率13000倍)である。
【図10】実施例2における皮膜の粒子の構造を示す電
子顕微鏡写真(倍率7000倍)である。
【図11】実施例2における皮膜の表面の粒子構造を示
す電子顕微鏡写真(倍率500倍)である。
【図12】実施例3における皮膜の粒子の構造を示す電
子顕微鏡写真(倍率26000倍)である。
【図13】実施例4における皮膜の粒子の構造を示す電
子顕微鏡写真(倍率13000倍)である。
【図14】実施例4における皮膜の粒子の構造を示す電
子顕微鏡写真(倍率9300倍)である。
【図15】実施例7における皮膜の粒子の構造を示す電
子顕微鏡写真(倍率1600倍)である。
【図16】実施例8における皮膜の粒子の構造を示す電
子顕微鏡写真(倍率760倍)である。
【図17】実施例8における皮膜の粒子の構造を示す電
子顕微鏡写真(倍率380倍)である。
【図18】実施例9における皮膜の粒子の構造を示す電
子顕微鏡写真(倍率760倍)である。
【図19】実施例9における皮膜の粒子の構造を示す電
子顕微鏡写真(倍率380倍)である。
【図20】実施例9における皮膜の粒子の構造を示す電
子顕微鏡写真(倍率760倍)である。
【図21】実施例9における皮膜の粒子の構造を示す電
子顕微鏡写真(倍率760倍)である。
【図22】塗装膜における皮膜の粒子の構造を示す電子
顕微鏡写真(倍率380倍)である。
【図23】塗装膜における皮膜の粒子の構造を示す電子
顕微鏡写真(倍率150倍)である。
【符号の説明】
2 容器 3 アーム 4 回転軸 5 羽根 6 ローラー 8 加振器 10 皮膜形成混合物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 24/06 B32B 27/14

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉体圧縮層が粉体物質により構成された
    骨格構造をもち、該粉体圧縮層内の空隙の少なくとも一
    部分に樹脂が充填されてなる該粉体圧縮層と、前記粉体
    圧縮層を部品に又は下側の粉体圧縮層に接着する樹脂層
    とからなる一層以上の皮膜が形成されていることを特徴
    とする粉体を含有する皮膜を有する部品。
  2. 【請求項2】 前記粉体圧縮層が粉体物質を30体積%
    以上含有することを特徴とする請求項1記載の粉体を含
    有する皮膜を有する部品。
  3. 【請求項3】 前記皮膜の上に樹脂の皮膜を有すること
    を特徴とする請求項1又は2記載の粉体を含有する皮膜
    を有する部品。
  4. 【請求項4】 前記皮膜が2層以上の皮膜であり、それ
    ぞれの皮膜の樹脂層が同種又は異種の樹脂からなること
    を特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の
    粉体を含有する皮膜を有する部品。
  5. 【請求項5】 前記皮膜が粉体物質が金属又は合金であ
    る粉体圧縮層を少なくともその最上層部に含んでなり、
    該皮膜の表面が金属又は合金めっき層で覆われているこ
    とを特徴とする請求項1から4までの何れか1項記載の
    粉体を含有する皮膜を有する部品。
  6. 【請求項6】 前記樹脂の一部又は全部に代えて無機粘
    着性物質が皮膜を構成することを特徴とする請求項1か
    ら5までのいずれか1項記載の粉体を含有する皮膜を有
    する部品。
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