JP2004076124A - 固体プレーティング材の製造方法及びその方法により製造された固体プレーティング材 - Google Patents
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Abstract
【課題】卑金属のみならず貴金属や非金属をも非処理品の表面にプレーティングすることのできる安価でコア粒子との結合強度が高い固体プレーティング材の製造方法及び固体プレーティング材を提供すること。
【解決手段】核となるコア粒子の表面にアルコール系溶液にメタアクリル酸系コポリマーを5質量%以下添加した粘度500MPa ・s 以下のプレコート液を噴霧してプレコート層を形成する工程と、このプレコート層の表面に前記したコート液と同質のコート液とプレーティング用粉末との混合懸濁液を噴霧してプレーティング用粉末を含むコート層を形成する本工程とからなる固体プレーティング材の製造方法と、およびこの方法により得られた固体プレーティング材。
【選択図】 図2
【解決手段】核となるコア粒子の表面にアルコール系溶液にメタアクリル酸系コポリマーを5質量%以下添加した粘度500MPa ・s 以下のプレコート液を噴霧してプレコート層を形成する工程と、このプレコート層の表面に前記したコート液と同質のコート液とプレーティング用粉末との混合懸濁液を噴霧してプレーティング用粉末を含むコート層を形成する本工程とからなる固体プレーティング材の製造方法と、およびこの方法により得られた固体プレーティング材。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラスティングにより被処理品の表面にプレーティング皮膜を形成するための固体プレーティング材の製造方法及びその方法により製造された固体プレーティング材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
機械部品等の被処理品表面に耐食性を付与するなどの目的で、亜鉛やアルミニウムなどの軟質金属よりなる投射材をブラスティングして被処理品にプレーティング皮膜を形成するメカニカルプレーティング法は、例えば特公昭59−25032号公報や特開昭61−38870号公報などにより公知である。このメカニカルプレーティング法は、亜鉛や銅、アルミニウムあるいはこれらの合金粒子をスチールショットなどの硬い粒子と混合して投射しているが、亜鉛や銅、アルミニウムなどの卑金属は比較的安価であるためにその金属又は合金を直接固体プレーティング材として使用することができる。しかし、金や銀などの貴金属は高価なものであって、卑金属と異なり貴金属粒子自身を固体プレーティング材として用いることはコスト面で困難なことであった。
【0003】
また、特開昭56−45372号公報においては鉄を核としてその表面に亜鉛や亜鉛合金を被覆した粒子を被処理品の表面に投射しているが、亜鉛やアルミニウムなどの被覆層は、亜鉛やアルミニウムの融点が比較的低温であるために、これらの金属の溶融槽にコア粒子を浸漬することによって容易に形成することができる。しかし、このような浸漬法によって形成された金属の被覆層は凝固ままの組織を有しているものであって結晶粒が粗く、また微細な気泡などの凝固に伴う欠陥を多数内蔵しているために、亀裂が発生し易くブラスティングの途中で破壊や剥離を起こし易いものであった。
【0004】
また、金や銀などの貴金属は高価であることから上記したような浸漬法によって固体プレーティング材を製造することはできない。そこで、従来はコア粒子の表面に貴金属層を形成する方法として、電気メッキ、無電解メッキや、PVD(物理的蒸着)、CVD(化学的蒸着)などの方法が用いられてきた。しかしながら、電気メッキ、無電解メッキなどは廃液処理や洗浄排水を処理する必要があって環境を保護するための設備面や管理面において多大な負担を強いるものであった。また、PVD法、CVD法においては大型で高価な装置を必要とするという問題があった。
【0005】
さらに、プレーティング材が酸化物などの非金属である場合には上述したようなメッキ法が使用できないために、非金属粒子そのものを固体プレーティング材として使用してきたが、このために用途が限定されるものであり、従って、従来のメッキ法やPVD法、CVD法、浸漬法によることなく、従来よりも安価で結合強度が高く、金属のみならず非金属をもプレーティングすることが可能な固体プレーティング材が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本出願人は前記のような問題を解決し、亜鉛や銅などの卑金属のみならず、金、銀などの貴金属や酸化物などの非金属をも被処理品の表面にプレーティングすることのできる安価でコア粒子との結合強度が高い固体プレーティング材を得る方法として、核となるコア粒子を遠心流動により攪拌しながらプレコート液を噴霧してコア粒子の表面にプレコート層を形成する前工程と、プレコート層が形成されたコア粒子を遠心流動により攪拌しながらコート液とプレーティング用粉末とを混合した懸濁液を噴霧してプレコート層の上にプレーティング用粉末が固着されたコート層を形成する本工程とからなる固体プレーティング材の製造方法を開発し、特願2001−357393号として先に提案してあり、この発明は先に開発した方法の実施化のための研究において得られた成果である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、核となるコア粒子を攪拌しながらプレコート液を噴霧してプレコート層を形成する工程と、プレコ─ト層が形成されたコア粒子を攪拌しながらプレコート層の表面にコート液とプレーティング用粉末との混合懸濁液を噴霧してプレーティング用粉末を含むコート層を形成する本工程とからなる固体プレーティング材の製造方法であって、前記したプレコート液として、アルコール系溶液にメタアクリル酸系コポリマーを5質量%以下添加した粘度500MPa ・s 以下のものを用いるとともに、コート層を形成する混合懸濁液として、前記したプレコート液と同質のコート液に重量比で20%以下のプレーティング用粉末を添加混合したものを用いることを特徴とする固体プレーティング材の製造方法を基本とする。なお、前記した発明において用いる、核となるコア粒子は、平均粒径2mm以下の鉄鋼、非鉄金属、非鉄合金、非金属のうちの何れかの粒子が、また、これらの発明において用いるプレーティング用粉末は、平均粒径0.5mm 以下の金属又は非金属の粉末が好ましく、これらを請求項2および3の発明とする。また、前記した各発明において、プレコート液及びコート液には50質量%以下の可塑剤を添加しておくことが好ましく、これを請求項4の発明とし、さらに、前記した各発明においては、コア粒子の表面に予め微小な凹凸を形成するためのコンディショニング処理を施しておくことが好ましく、また、これらの各発明において、コア粒子の表面に形成されるプレコート層のポリマー重量は1/3mg/cm2以下、このプレコート層上に形成されるコート層のポリマー重量は2/3mg/cm2以下となるようにコート液および混合懸濁液を噴霧することが好ましく、これらを請求項5および請求項6の発明とする。さらにまた、前記した請求項1〜6の何れかに記載の固体プレーティング材の製造方法により製造したことを特徴とする固体プレーティング材を請求項7の発明とする。
【0008】
本発明の固体プレーティング材の製造方法は、被処理品の表面に被覆されるプレーティング粉末をプレコート層及びコート層を介して化学的にコア粒子の表面に固着するものであって、従来の浸漬法により製造した場合に比較して固体プレーティング材とコア粒子との接着強度を格段に強固なものとすることができる。また、固体プレーティング材が貴金属や卑金属などの金属、合金のみならず非金属であっても容易に固体プレーティング材を製造することができる。
【0009】
本発明においては、プレコート液及びコート液の溶媒をアルコール系溶液とするとともに、溶質としてメタアクリル酸系コポリマーを5質量%以下添加した粘度500MPa ・s 以下のものを用いるとともに、コート層を形成する混合懸濁液として、前記したプレコート液と同質のコート液に重量比で20%以下のプレーティング用粉末を添加混合したものを用いることに特徴がある。このようにプレコート液及びコート液の溶媒をアルコール系溶液とすることによって、コア粒子表面にコート層を形成後に溶媒が迅速に気化するので特別な乾燥工程や乾燥機を必要としない。例えば、エタノールは無害で気化性が強いので溶媒として特に好ましいものである。一方、溶質としては無害で結合力の強いメタアクリル酸系コポリマーをアルコール系溶液に5質量%以下添加して粘度が500MPa ・s 以下のプレコート液及びコート液とする。これらプレコート液及びコート液中のメタアクリル酸系コポリマーの添加量を5質量%以下として粘度を500MPa ・ s 以下とするのは、この範囲を超えると粘性が大きくなりすぎて均一なプレコート層、コート層を形成し難いからであり、また、コート液においてはプレーティング用粉末の凝集が起こり易くなるからである。なお、メタアクリル酸コポリマーの濃度は2〜4%、粘度を200 〜350MPa・ s とするのがさらに望ましい。また、コート液とプレーティング用粉末との懸濁液中におけるプレーティング用粉末は重量比で20%以下とする。プレーティング用粉末の重量比が20%を超えるとコート層とプレーティング用粉末の固着強度が低下するのみならず、プレーティング用粉末同士が凝集し易くなってコア粒子にプレーティング用粉末を均一に固着させるのが困難になるからである。
【0010】
また、コート液とプレーティング用粉末との混合懸濁液中におけるプレーティング用粉末は、重量比で20%以下とするのが望ましい。プレーティング用粉末の重量比が20%を超えるとコート層とプレーティング用粉末の固着強度が低下するのみならずプレーティング用粉末同士が凝集し易くなってコア粒子にプレーティング用粉末を均一に固着させるのが困難になるからであり、特に、プレーティング用粉末の重量比を5〜7%とするとさらに望ましい。さらに、コア粒子に塗布されるプレコート層が重量比で12%を超えて塗布してもプレコート層とコート層の密着性は飽和するかむしろ低下する傾向になるから12%以下が望ましく、特に望ましい範囲は3〜5%である。
【0011】
また、プレコート層とコート層との結合部に柔軟性が必要な場合には、プレコート液及びコート液であるアルコール系溶液にクエン酸トリエチルやアクリル酸トリブチルを可塑剤として50%以下添加するのが望ましい。可塑剤の添加量が50%を超えるとプレコート層とコート層との結合力が著しく低下する。なお、可塑剤の添加量は10〜25%とするのがさらに望ましい。また、プレコート層を形成する前のコア粒子の表面に、微小な凹凸を形成するためのコンディショニング処理を施すことができる。微小な凹凸を形成することにより表面の不純物が除去され、また、プレコート層の下面がこの凹凸に食い込んで結合強度が高くなる。コンディショニング処理の手段として、ケミカルエッチング、ブラスト処理、粒子同士の相互研磨などの手段を用いることができるが、コア粒子を1〜5回程度投射するブラスト処理が最も簡便に行うことができて望ましい。
【0012】
なお、本発明において核となるコア粒子としては、平均粒径2mm以下の鉄鋼、非鉄金属、非鉄合金、非金属のうちの何れかの粒子を用いるのが望ましい。平均粒径を2mm以下が好ましい理由は、2mmを超えると被処理品の表面粗さが大きくなって寸法に変化を生じたりプレーティング膜を形成後の見栄えが劣ることになるからである。コア粒子としては高速度鋼、高炭素鋼などの鉄鋼、タングステンなどの非鉄金属、超硬合金などの非鉄合金、ガラス、アルミナ、炭化珪素などの非金属を適宜用いることができる。
【0013】
また、プレーティング用粉末としては、平均粒径0.5mm 以下の金、銀などの貴金属及びその合金、又は亜鉛、アルミニウム、ニッケル、銅などの卑金属及びその合金、又は各種の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物、黒鉛などの非金属からなる無機系粉末を用いることができる。プレーティング用粉末の平均粒径が0.5mm を超えるとコア粒子の周りに均一に固着させることが困難になり、時には粉末同士が結合した粒子を形成したりするので0.5mm 以下とするのが望ましい。プレーティング用粉末は粒状であってもフレーク状であってもよくその形状には何らの制限はない。従って、固体プレーティング材が貴金属である場合には従来よりも格段に安価な固体プレーティング材を製造することができる。
【0014】
以上のようなプレコート液及び混合懸濁液を用いてコア粒子の表面に固体プレーティング材をコーティングする。ここで、コア粒子の表面に形成するプレコート層のポリマー重量を1/3 mg/cm2以下とし、このプレコート層の上に形成するコート層のポリマー重量を2/3 mg/cm2以下とするのが望ましい。なお、ポリマー重量とは溶媒を揮発させた後のプレコート層の重量及び固体プレーティング材を除くコート層の重量である。プレコート層のポリマー重量を1/3 mg/cm2以下とするのは、この重量を超えてプレコート層を形成するとプレコート層とコート層の接合強度が低下するからであり、プレコート層の上に形成するコート層のポリマー重量を2/3 mg/cm2以下とするのは、この重量を超えてコート層を形成するとコア粒子への固体プレーティング材の接合強度が低下するからである。コア粒子の表面に形成するプレコート層、コート層の合計のポリマー重量を1mg/cm2以下とすることにより固体プレーティング材をコア粒子の表面に強固に接合することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施の形態を実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
平均粒径100 μm の超硬合金をコア粒子としてその2kgを回転数100rpmにて遠心流動させながら、メタアクリル酸コポリマーを溶質、エタノールを溶媒とした5%溶液のプレコート液(結合材1)を噴射圧0.15 MPa、噴射エアー量20 l/min、コア粒子の温度を60℃としてプレコートした。プレコートするポリマーの重量は1/3 mg/cm2とした。次いで、 固体プレーティング材として平均粒径3μm の金粉50g を前記したプレコート液と同質のコート液(結合材1)に投入してマグネティックスターラーにて混合した混合懸濁液を噴射圧0.15 MPa、噴射エアー量20 l/min、コア粒子の温度を60℃としてコートした。コートするポリマーの重量は2/3 mg/cm2とした。その結果、コア粒子の表面に金粉が均一にコートされた粒子を得ることができた。比較のために、溶質をPVA、溶媒を水とした結合材2、溶質をPVPとし、溶媒をエタノールとしたプレコート液およびコート液(結合材2および結合材3)を用いて上記と同一の条件にて金粉をコートした。これらの粒子450gを重力式エアーブラスト装置に投入し、ノズル角度90°、寸法150 ×150 ×20mmのSS400 をターゲット材としてノズルからターゲットまでの距離150mm 、エアー圧0.3MPaにて粒子を連続噴射した。連続噴射中に適宜サンプリングして粒子に残留するコート層の経時変化を測定した。その結果を図2に示すが、メタアクリル酸コポリマーを溶質とする結合材1を用いたコート層の消耗が最も少なく長寿命であることを確認した。なお、図2には結合材1に可塑剤を20%添加した場合のコート層の消耗の経時変化をも併せて示すが、可塑剤を添加することによってコート層の消耗をさらに少なくできることを確認した。
【0016】
【実施例2】
平均粒径100 μm の高速度鋼をコア粒子としてこの2kgを回転数100rpmにて遠心流動させながら、メタアクリル酸コポリマーを溶質、メタノールを溶媒とした5%溶液のプレコート液(結合材1)を噴射圧0.15 MPa、噴射エアー量20 l/min、コア粒子の温度を60℃としてプレコートした。プレコートするポリマー重量は1/3 mg/cm2とした。次いで、 前記したプレコート液と同質のコート液(結合材1)に固体プレーティング材として平均粒径3μm の窒化チタン50g を投入してマグネティックスターラーにて混合した混合懸濁液を噴射圧0.15 MPa、噴射エアー量20 l/min、コア粒子の温度を60℃としてコートした。コートするポリマー重量は2/3 mg/cm2とした。その結果、コア粒子の表面に窒化チタンが均一にコートされた粒子を得ることができた。この粒子450gを重力式エアーブラスト装置に投入し、ノズル角度90°、寸法150 ×150 ×20mmのSS400 をターゲット材としてノズルからターゲットまでの距離150mm 、エアー圧0.3MPaにて粒子を連続噴射した。連続噴射中に適宜サンプリングして粒子に残存するコート層の経時変化を測定した。その結果を図3に示すが、固体プレーティング材が非金属であっても金粉を固体プレーティング材とした金属の場合と同等の小さい消耗であることが確認できた。
【0017】
【比較例1】
平均粒径100 μmの高速度鋼粉末をコア粒子とし、これを2kgコーティングマシンへ投入し130rpmにて遠心流動させつつ、口径0.7 mmφのノズルから空気圧力0.15MPa にてエタノールにHPCを3%添加したプレコート液を噴霧してコア粒子の表面にプレコート層を均一に形成した。次いで、前記プレコート液と同一組成のコート液に平均粒径9.8 μmの銅粉末を36%添加してコート液と銅粉末との懸濁液となし、口径0.7 mmφのノズルから空気圧力0.15MPa にて130rpmにて遠心流動されているプレコート済みのコア粒子に前記懸濁液を噴霧したが、コア粒子表面に銅粉末の固着が起こらず、銅粉末のみが凝集した銅粒子が多数製造されてしまった。
【0018】
<プレコート液、コート液の接合強度試験>
溶質をメタアクリル酸コポリマーとしたプレコート液、コート液(結合材)を用いた本発明と、他の溶質を用いたプレコート液、コート液(結合材)の接合強度を試験した。先ず、寸法25×25×20mmで材質SS400 とした鋼材の正方形の一面を鏡面研磨して2個一組の試料を3組準備した。また、溶質をメタアクリル酸コポリマーとし、溶媒をエタノールとした結合材1を50ml準備した。比較のために溶質をPVA、溶媒を水とした結合材2、溶質をPVPとし、溶媒をエタノールとした結合材3をそれぞれ50ml準備した。なお、溶媒の濃度は種々変化させた。次いで、一組の試験片のそれぞれの鏡面研磨面にマイクロシリンジにて25μlの結合材を滴下したうえ2 個の試料を接合した。接合後恒温機にて100 ℃、1 時間乾燥させ溶媒を完全に気化させた。その後機外にて常温まで自然冷却させて付着したポリマーの重量を測定した。そして、接合させた試験片を引張試験機により引っ張り引張強度を測定した。その結果を図1に示す。何れの結合材も0.7 〜0.8mg/cm2 程度まではポリマー重量の増加とともに引張強度は比例して増加するが、メタアクリル酸コポリマーを用いた結合材1が最も高い引張強度を示した。
【0019】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の固体プレーティング材の製造方法は、硬い粒子を核としてその表面にアルコール系溶液を溶媒とする液体を噴霧して核となるコア粒子の表面にメタアクリル酸系コポリマーを主成分とするプレコート層を介して前記したプレコート層と同様のメタアクリル酸系コポリマーとプレーティング用粉末とよりなるコート層を形成したので、コア粒子にプレーティング用粉末を化学的に強固に固着させることができ、従って、固体プレーティング材がブラスティングの途中で破損したりすることがない。また、本発明の固体プレーティング材の製造方法は、コア粒子やプレーティング用粉末の材料の如何を問わず、それらが金属であっても非金属であっても固体プレーティング材を製造することができる。また、プレコート液及びコート液の溶媒としてアルコール系液を用いるのでこのアルコール系液を気化させてプレコート液及びコート液を迅速に乾燥させることができる。さらに、固体プレーティング材が貴金属である場合には従来のメッキ法やPVD法、CVD法に比較して格段に安価な固体プレーティング材を製造することができる。
従って、本発明は固体プレーティング材の選択幅が広く、接着強度が高く且つ安価な固体プレーティング材の製造方法及び固体プレーティング材を提供することができるものとして工業的価値大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】付着したポリマー重量と引張強さの関係を示すグラフである。
【図2】金粉の残留量の時間変化を示すグラフである。
【図3】窒化チタンの残留量を金粉と比較して示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラスティングにより被処理品の表面にプレーティング皮膜を形成するための固体プレーティング材の製造方法及びその方法により製造された固体プレーティング材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
機械部品等の被処理品表面に耐食性を付与するなどの目的で、亜鉛やアルミニウムなどの軟質金属よりなる投射材をブラスティングして被処理品にプレーティング皮膜を形成するメカニカルプレーティング法は、例えば特公昭59−25032号公報や特開昭61−38870号公報などにより公知である。このメカニカルプレーティング法は、亜鉛や銅、アルミニウムあるいはこれらの合金粒子をスチールショットなどの硬い粒子と混合して投射しているが、亜鉛や銅、アルミニウムなどの卑金属は比較的安価であるためにその金属又は合金を直接固体プレーティング材として使用することができる。しかし、金や銀などの貴金属は高価なものであって、卑金属と異なり貴金属粒子自身を固体プレーティング材として用いることはコスト面で困難なことであった。
【0003】
また、特開昭56−45372号公報においては鉄を核としてその表面に亜鉛や亜鉛合金を被覆した粒子を被処理品の表面に投射しているが、亜鉛やアルミニウムなどの被覆層は、亜鉛やアルミニウムの融点が比較的低温であるために、これらの金属の溶融槽にコア粒子を浸漬することによって容易に形成することができる。しかし、このような浸漬法によって形成された金属の被覆層は凝固ままの組織を有しているものであって結晶粒が粗く、また微細な気泡などの凝固に伴う欠陥を多数内蔵しているために、亀裂が発生し易くブラスティングの途中で破壊や剥離を起こし易いものであった。
【0004】
また、金や銀などの貴金属は高価であることから上記したような浸漬法によって固体プレーティング材を製造することはできない。そこで、従来はコア粒子の表面に貴金属層を形成する方法として、電気メッキ、無電解メッキや、PVD(物理的蒸着)、CVD(化学的蒸着)などの方法が用いられてきた。しかしながら、電気メッキ、無電解メッキなどは廃液処理や洗浄排水を処理する必要があって環境を保護するための設備面や管理面において多大な負担を強いるものであった。また、PVD法、CVD法においては大型で高価な装置を必要とするという問題があった。
【0005】
さらに、プレーティング材が酸化物などの非金属である場合には上述したようなメッキ法が使用できないために、非金属粒子そのものを固体プレーティング材として使用してきたが、このために用途が限定されるものであり、従って、従来のメッキ法やPVD法、CVD法、浸漬法によることなく、従来よりも安価で結合強度が高く、金属のみならず非金属をもプレーティングすることが可能な固体プレーティング材が望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本出願人は前記のような問題を解決し、亜鉛や銅などの卑金属のみならず、金、銀などの貴金属や酸化物などの非金属をも被処理品の表面にプレーティングすることのできる安価でコア粒子との結合強度が高い固体プレーティング材を得る方法として、核となるコア粒子を遠心流動により攪拌しながらプレコート液を噴霧してコア粒子の表面にプレコート層を形成する前工程と、プレコート層が形成されたコア粒子を遠心流動により攪拌しながらコート液とプレーティング用粉末とを混合した懸濁液を噴霧してプレコート層の上にプレーティング用粉末が固着されたコート層を形成する本工程とからなる固体プレーティング材の製造方法を開発し、特願2001−357393号として先に提案してあり、この発明は先に開発した方法の実施化のための研究において得られた成果である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、核となるコア粒子を攪拌しながらプレコート液を噴霧してプレコート層を形成する工程と、プレコ─ト層が形成されたコア粒子を攪拌しながらプレコート層の表面にコート液とプレーティング用粉末との混合懸濁液を噴霧してプレーティング用粉末を含むコート層を形成する本工程とからなる固体プレーティング材の製造方法であって、前記したプレコート液として、アルコール系溶液にメタアクリル酸系コポリマーを5質量%以下添加した粘度500MPa ・s 以下のものを用いるとともに、コート層を形成する混合懸濁液として、前記したプレコート液と同質のコート液に重量比で20%以下のプレーティング用粉末を添加混合したものを用いることを特徴とする固体プレーティング材の製造方法を基本とする。なお、前記した発明において用いる、核となるコア粒子は、平均粒径2mm以下の鉄鋼、非鉄金属、非鉄合金、非金属のうちの何れかの粒子が、また、これらの発明において用いるプレーティング用粉末は、平均粒径0.5mm 以下の金属又は非金属の粉末が好ましく、これらを請求項2および3の発明とする。また、前記した各発明において、プレコート液及びコート液には50質量%以下の可塑剤を添加しておくことが好ましく、これを請求項4の発明とし、さらに、前記した各発明においては、コア粒子の表面に予め微小な凹凸を形成するためのコンディショニング処理を施しておくことが好ましく、また、これらの各発明において、コア粒子の表面に形成されるプレコート層のポリマー重量は1/3mg/cm2以下、このプレコート層上に形成されるコート層のポリマー重量は2/3mg/cm2以下となるようにコート液および混合懸濁液を噴霧することが好ましく、これらを請求項5および請求項6の発明とする。さらにまた、前記した請求項1〜6の何れかに記載の固体プレーティング材の製造方法により製造したことを特徴とする固体プレーティング材を請求項7の発明とする。
【0008】
本発明の固体プレーティング材の製造方法は、被処理品の表面に被覆されるプレーティング粉末をプレコート層及びコート層を介して化学的にコア粒子の表面に固着するものであって、従来の浸漬法により製造した場合に比較して固体プレーティング材とコア粒子との接着強度を格段に強固なものとすることができる。また、固体プレーティング材が貴金属や卑金属などの金属、合金のみならず非金属であっても容易に固体プレーティング材を製造することができる。
【0009】
本発明においては、プレコート液及びコート液の溶媒をアルコール系溶液とするとともに、溶質としてメタアクリル酸系コポリマーを5質量%以下添加した粘度500MPa ・s 以下のものを用いるとともに、コート層を形成する混合懸濁液として、前記したプレコート液と同質のコート液に重量比で20%以下のプレーティング用粉末を添加混合したものを用いることに特徴がある。このようにプレコート液及びコート液の溶媒をアルコール系溶液とすることによって、コア粒子表面にコート層を形成後に溶媒が迅速に気化するので特別な乾燥工程や乾燥機を必要としない。例えば、エタノールは無害で気化性が強いので溶媒として特に好ましいものである。一方、溶質としては無害で結合力の強いメタアクリル酸系コポリマーをアルコール系溶液に5質量%以下添加して粘度が500MPa ・s 以下のプレコート液及びコート液とする。これらプレコート液及びコート液中のメタアクリル酸系コポリマーの添加量を5質量%以下として粘度を500MPa ・ s 以下とするのは、この範囲を超えると粘性が大きくなりすぎて均一なプレコート層、コート層を形成し難いからであり、また、コート液においてはプレーティング用粉末の凝集が起こり易くなるからである。なお、メタアクリル酸コポリマーの濃度は2〜4%、粘度を200 〜350MPa・ s とするのがさらに望ましい。また、コート液とプレーティング用粉末との懸濁液中におけるプレーティング用粉末は重量比で20%以下とする。プレーティング用粉末の重量比が20%を超えるとコート層とプレーティング用粉末の固着強度が低下するのみならず、プレーティング用粉末同士が凝集し易くなってコア粒子にプレーティング用粉末を均一に固着させるのが困難になるからである。
【0010】
また、コート液とプレーティング用粉末との混合懸濁液中におけるプレーティング用粉末は、重量比で20%以下とするのが望ましい。プレーティング用粉末の重量比が20%を超えるとコート層とプレーティング用粉末の固着強度が低下するのみならずプレーティング用粉末同士が凝集し易くなってコア粒子にプレーティング用粉末を均一に固着させるのが困難になるからであり、特に、プレーティング用粉末の重量比を5〜7%とするとさらに望ましい。さらに、コア粒子に塗布されるプレコート層が重量比で12%を超えて塗布してもプレコート層とコート層の密着性は飽和するかむしろ低下する傾向になるから12%以下が望ましく、特に望ましい範囲は3〜5%である。
【0011】
また、プレコート層とコート層との結合部に柔軟性が必要な場合には、プレコート液及びコート液であるアルコール系溶液にクエン酸トリエチルやアクリル酸トリブチルを可塑剤として50%以下添加するのが望ましい。可塑剤の添加量が50%を超えるとプレコート層とコート層との結合力が著しく低下する。なお、可塑剤の添加量は10〜25%とするのがさらに望ましい。また、プレコート層を形成する前のコア粒子の表面に、微小な凹凸を形成するためのコンディショニング処理を施すことができる。微小な凹凸を形成することにより表面の不純物が除去され、また、プレコート層の下面がこの凹凸に食い込んで結合強度が高くなる。コンディショニング処理の手段として、ケミカルエッチング、ブラスト処理、粒子同士の相互研磨などの手段を用いることができるが、コア粒子を1〜5回程度投射するブラスト処理が最も簡便に行うことができて望ましい。
【0012】
なお、本発明において核となるコア粒子としては、平均粒径2mm以下の鉄鋼、非鉄金属、非鉄合金、非金属のうちの何れかの粒子を用いるのが望ましい。平均粒径を2mm以下が好ましい理由は、2mmを超えると被処理品の表面粗さが大きくなって寸法に変化を生じたりプレーティング膜を形成後の見栄えが劣ることになるからである。コア粒子としては高速度鋼、高炭素鋼などの鉄鋼、タングステンなどの非鉄金属、超硬合金などの非鉄合金、ガラス、アルミナ、炭化珪素などの非金属を適宜用いることができる。
【0013】
また、プレーティング用粉末としては、平均粒径0.5mm 以下の金、銀などの貴金属及びその合金、又は亜鉛、アルミニウム、ニッケル、銅などの卑金属及びその合金、又は各種の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物、黒鉛などの非金属からなる無機系粉末を用いることができる。プレーティング用粉末の平均粒径が0.5mm を超えるとコア粒子の周りに均一に固着させることが困難になり、時には粉末同士が結合した粒子を形成したりするので0.5mm 以下とするのが望ましい。プレーティング用粉末は粒状であってもフレーク状であってもよくその形状には何らの制限はない。従って、固体プレーティング材が貴金属である場合には従来よりも格段に安価な固体プレーティング材を製造することができる。
【0014】
以上のようなプレコート液及び混合懸濁液を用いてコア粒子の表面に固体プレーティング材をコーティングする。ここで、コア粒子の表面に形成するプレコート層のポリマー重量を1/3 mg/cm2以下とし、このプレコート層の上に形成するコート層のポリマー重量を2/3 mg/cm2以下とするのが望ましい。なお、ポリマー重量とは溶媒を揮発させた後のプレコート層の重量及び固体プレーティング材を除くコート層の重量である。プレコート層のポリマー重量を1/3 mg/cm2以下とするのは、この重量を超えてプレコート層を形成するとプレコート層とコート層の接合強度が低下するからであり、プレコート層の上に形成するコート層のポリマー重量を2/3 mg/cm2以下とするのは、この重量を超えてコート層を形成するとコア粒子への固体プレーティング材の接合強度が低下するからである。コア粒子の表面に形成するプレコート層、コート層の合計のポリマー重量を1mg/cm2以下とすることにより固体プレーティング材をコア粒子の表面に強固に接合することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施の形態を実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
平均粒径100 μm の超硬合金をコア粒子としてその2kgを回転数100rpmにて遠心流動させながら、メタアクリル酸コポリマーを溶質、エタノールを溶媒とした5%溶液のプレコート液(結合材1)を噴射圧0.15 MPa、噴射エアー量20 l/min、コア粒子の温度を60℃としてプレコートした。プレコートするポリマーの重量は1/3 mg/cm2とした。次いで、 固体プレーティング材として平均粒径3μm の金粉50g を前記したプレコート液と同質のコート液(結合材1)に投入してマグネティックスターラーにて混合した混合懸濁液を噴射圧0.15 MPa、噴射エアー量20 l/min、コア粒子の温度を60℃としてコートした。コートするポリマーの重量は2/3 mg/cm2とした。その結果、コア粒子の表面に金粉が均一にコートされた粒子を得ることができた。比較のために、溶質をPVA、溶媒を水とした結合材2、溶質をPVPとし、溶媒をエタノールとしたプレコート液およびコート液(結合材2および結合材3)を用いて上記と同一の条件にて金粉をコートした。これらの粒子450gを重力式エアーブラスト装置に投入し、ノズル角度90°、寸法150 ×150 ×20mmのSS400 をターゲット材としてノズルからターゲットまでの距離150mm 、エアー圧0.3MPaにて粒子を連続噴射した。連続噴射中に適宜サンプリングして粒子に残留するコート層の経時変化を測定した。その結果を図2に示すが、メタアクリル酸コポリマーを溶質とする結合材1を用いたコート層の消耗が最も少なく長寿命であることを確認した。なお、図2には結合材1に可塑剤を20%添加した場合のコート層の消耗の経時変化をも併せて示すが、可塑剤を添加することによってコート層の消耗をさらに少なくできることを確認した。
【0016】
【実施例2】
平均粒径100 μm の高速度鋼をコア粒子としてこの2kgを回転数100rpmにて遠心流動させながら、メタアクリル酸コポリマーを溶質、メタノールを溶媒とした5%溶液のプレコート液(結合材1)を噴射圧0.15 MPa、噴射エアー量20 l/min、コア粒子の温度を60℃としてプレコートした。プレコートするポリマー重量は1/3 mg/cm2とした。次いで、 前記したプレコート液と同質のコート液(結合材1)に固体プレーティング材として平均粒径3μm の窒化チタン50g を投入してマグネティックスターラーにて混合した混合懸濁液を噴射圧0.15 MPa、噴射エアー量20 l/min、コア粒子の温度を60℃としてコートした。コートするポリマー重量は2/3 mg/cm2とした。その結果、コア粒子の表面に窒化チタンが均一にコートされた粒子を得ることができた。この粒子450gを重力式エアーブラスト装置に投入し、ノズル角度90°、寸法150 ×150 ×20mmのSS400 をターゲット材としてノズルからターゲットまでの距離150mm 、エアー圧0.3MPaにて粒子を連続噴射した。連続噴射中に適宜サンプリングして粒子に残存するコート層の経時変化を測定した。その結果を図3に示すが、固体プレーティング材が非金属であっても金粉を固体プレーティング材とした金属の場合と同等の小さい消耗であることが確認できた。
【0017】
【比較例1】
平均粒径100 μmの高速度鋼粉末をコア粒子とし、これを2kgコーティングマシンへ投入し130rpmにて遠心流動させつつ、口径0.7 mmφのノズルから空気圧力0.15MPa にてエタノールにHPCを3%添加したプレコート液を噴霧してコア粒子の表面にプレコート層を均一に形成した。次いで、前記プレコート液と同一組成のコート液に平均粒径9.8 μmの銅粉末を36%添加してコート液と銅粉末との懸濁液となし、口径0.7 mmφのノズルから空気圧力0.15MPa にて130rpmにて遠心流動されているプレコート済みのコア粒子に前記懸濁液を噴霧したが、コア粒子表面に銅粉末の固着が起こらず、銅粉末のみが凝集した銅粒子が多数製造されてしまった。
【0018】
<プレコート液、コート液の接合強度試験>
溶質をメタアクリル酸コポリマーとしたプレコート液、コート液(結合材)を用いた本発明と、他の溶質を用いたプレコート液、コート液(結合材)の接合強度を試験した。先ず、寸法25×25×20mmで材質SS400 とした鋼材の正方形の一面を鏡面研磨して2個一組の試料を3組準備した。また、溶質をメタアクリル酸コポリマーとし、溶媒をエタノールとした結合材1を50ml準備した。比較のために溶質をPVA、溶媒を水とした結合材2、溶質をPVPとし、溶媒をエタノールとした結合材3をそれぞれ50ml準備した。なお、溶媒の濃度は種々変化させた。次いで、一組の試験片のそれぞれの鏡面研磨面にマイクロシリンジにて25μlの結合材を滴下したうえ2 個の試料を接合した。接合後恒温機にて100 ℃、1 時間乾燥させ溶媒を完全に気化させた。その後機外にて常温まで自然冷却させて付着したポリマーの重量を測定した。そして、接合させた試験片を引張試験機により引っ張り引張強度を測定した。その結果を図1に示す。何れの結合材も0.7 〜0.8mg/cm2 程度まではポリマー重量の増加とともに引張強度は比例して増加するが、メタアクリル酸コポリマーを用いた結合材1が最も高い引張強度を示した。
【0019】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の固体プレーティング材の製造方法は、硬い粒子を核としてその表面にアルコール系溶液を溶媒とする液体を噴霧して核となるコア粒子の表面にメタアクリル酸系コポリマーを主成分とするプレコート層を介して前記したプレコート層と同様のメタアクリル酸系コポリマーとプレーティング用粉末とよりなるコート層を形成したので、コア粒子にプレーティング用粉末を化学的に強固に固着させることができ、従って、固体プレーティング材がブラスティングの途中で破損したりすることがない。また、本発明の固体プレーティング材の製造方法は、コア粒子やプレーティング用粉末の材料の如何を問わず、それらが金属であっても非金属であっても固体プレーティング材を製造することができる。また、プレコート液及びコート液の溶媒としてアルコール系液を用いるのでこのアルコール系液を気化させてプレコート液及びコート液を迅速に乾燥させることができる。さらに、固体プレーティング材が貴金属である場合には従来のメッキ法やPVD法、CVD法に比較して格段に安価な固体プレーティング材を製造することができる。
従って、本発明は固体プレーティング材の選択幅が広く、接着強度が高く且つ安価な固体プレーティング材の製造方法及び固体プレーティング材を提供することができるものとして工業的価値大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】付着したポリマー重量と引張強さの関係を示すグラフである。
【図2】金粉の残留量の時間変化を示すグラフである。
【図3】窒化チタンの残留量を金粉と比較して示すグラフである。
Claims (7)
- 核となるコア粒子を攪拌しながらプレコート液を噴霧してプレコート層を形成する工程と、プレコ─ト層が形成されたコア粒子を攪拌しながらプレコート層の表面にコート液とプレーティング用粉末との混合懸濁液を噴霧してプレーティング用粉末を含むコート層を形成する本工程とからなる固体プレーティング材の製造方法であって、前記したプレコート液として、アルコール系溶液にメタアクリル酸系コポリマーを5質量%以下添加した粘度500MPa ・s 以下のものを用いるとともに、コート層を形成する混合懸濁液として、前記したプレコート液と同質のコート液に重量比で20%以下のプレーティング用粉末を添加混合したものを用いることを特徴とする固体プレーティング材の製造方法。
- 核となるコア粒子が、平均粒径2mm以下の鉄鋼、非鉄金属、非鉄合金、非金属のうちの何れかの粒子である請求項1に記載の固体プレーティング材の製造方法。
- プレーティング用粉末が、平均粒径0.5mm 以下の金属又は非金属の粉末である請求項1又は2に記載の固体プレーティング材の製造方法。
- プレコート液及びコート液に50質量%以下の可塑剤を添加してある請求項1〜3の何れかに記載の固体プレーティング材の製造方法。
- コア粒子の表面に微小な凹凸を形成するためのコンディショニング処理を施す請求項1〜4の何れかに記載の固体プレーティング材の製造方法。
- コア粒子の表面に形成されるプレコート層のポリマー重量が1/3mg/cm2以下、このプレコート層上に形成されるコート層のポリマー重量が2/3mg/cm2以下となるようにコート液および混合懸濁液を噴霧する請求項1〜5の何れかに記載の固体プレーティング材の製造方法。
- 請求項1〜6の何れかに記載の固体プレーティング材の製造方法により製造したことを特徴とする固体プレーティング材。
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2002
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