JP2991544B2 - 皮膜形成方法 - Google Patents

皮膜形成方法

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JP2991544B2 JP3224782A JP22478291A JP2991544B2 JP 2991544 B2 JP2991544 B2 JP 2991544B2 JP 3224782 A JP3224782 A JP 3224782A JP 22478291 A JP22478291 A JP 22478291A JP 2991544 B2 JP2991544 B2 JP 2991544B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種部材の表面に皮膜を
形成する方法に関するものである。なお、各種部材はす
でに表面に公知の各種皮膜が形成されているかあるいは
表面改質が施されていてもよい。
【0002】また、本願発明の方法により形成する「皮
膜」とは防食、機械的強度付与、絶縁層形成及び/又は
美観付与を目的とし、さらに公知の各種皮膜を形成する
ための下地層の形成を目的とするものである。
【0003】
【従来の技術】本発明は粉体の皮膜を形成する方法の改
良に関するものであり、粉体の皮膜を形成する従来技術
としては以下の方法が公知である。
【0004】粉体塗装 この方法は、予備加熱した部材に粉体塗料を散布、噴
霧、容射などにより堆積し溶融させ、塗膜を得る方法で
ある。この方法は溶剤を使用しないので、溶剤による公
害がなくかつ省資源的である利点をもっている。この方
法に関する特許文献としては、特開平2−258084
号、特公昭57−13347号、特開昭53−2934
7号、特公昭58−37029号がある。また、粉体塗
装は静電スプレー塗装によっても行われる。
【0005】粉体被膜 この方法は被処理部材表面が密着性をもっているもの
と、被接着性である方法に分けられる。前者に属する特
開平2−71872号によると、予め粘着性を与えた部
材表面に粉体物質を接触させ、部材に振動を加えて部材
表面に付着した粉体をかさ密度以下に圧縮し、その後部
材に固着していない粉末を除去する方法が開示されてい
る。部材としてはカラーテレビジョンのスクリーンが、
粉体としては蛍光トナーが前記公報に具体例として示さ
れている。
【0006】後者に属する特開昭52−43731号
は、中空の金属製品内に金属または合金粉末及び球状も
しくは粒状の硬質物質を入れ、この金属製品を回転もし
くは振動させて、金属もしくは合金粉末を製品内面に被
覆する方法を開示する。粉体は金属製品に圧着され、同
時に振動に起因する熱エネルギにより粉末の金属と製品
の金属の間に拡散を起こさせることにより拡散接合も行
われる。この方法によると中空製品の内面の耐熱性が向
上することが謳われている。
【0007】金属粉末圧延法 金属粉末を圧延板の表面に付着させ、ロール圧延により
粉末を圧延板に圧着し、その後熱処理により拡散接合す
る方法である(特開昭52−33840、51−143
531号、57−54270号、47−29232号参
照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】粉体皮膜の形成方法
は、各種皮膜形成法に対して以下のような利点をもって
いる。電気めっきあるいは無電解めっき法に対して:
酸、アルカリなどを使用しないために、処理廃液の処理
が不必要になるとともに、被処理部材が活性であって
も、腐食等の問題が起こらない。溶融めっき法に対し
て:被処理部材を高温にさらすことが避けられる。PV
D,CVD法に対して:大掛かりな装置が不要、生産性
高い。
【0009】しかしながら、粉体皮膜を各種部材に適用
するには皮膜に要求される性能が満足されるほかに、皮
膜形成法の能率や信頼性が高いことが必要である。
【0010】の金属粉末圧延法は被処理部材が板であ
りかつ圧延可能な材質に限られるので、機械部品などに
直接粉体皮膜を形成することはできない。
【0011】の粉体塗装方法は、塗料の散布、スプレ
ーなどにより粉体塗料を被処理部材に適用するが、被処
理部材が小物であるときはそれを反転させる、あるいは
鈎等につり下げるなどの操作が必要であるために、能率
的とは言えない。また被処理部材を加熱することによる
材質の劣化などがある材料には適用できないという問題
がある。
【0012】の粉体被覆法のうち特開平2−7187
2号公報に開示された方法は、粘着性表面に付着した粉
体はある程度の付着力を有するが、その上にある粉末は
粉末粒子相互の振動により粉末が圧縮されているにすぎ
ないので、粉体被覆は外力がかかったときに脱落しやす
く、また腐食性媒体が容易に浸透する隙間も多いため
に、防食などの目的には向かない。さらに、被処理部材
が凹凸を有する場合は、凹部への粉体の付き回りが不良
である。
【0013】の粉体被覆法のうち特開昭52−437
31号公報に開示された方法は、機械的結合(圧着)と
拡散接合を同時に行うものである。このためには相当の
エネルギが必要であり、例えば実施例では加振力500
kgの振動ミルや回転巣ルウ300rpmの高速遊星ミ
ルが用いられている。したがって、被処理部材は強度が
高いことが必要であり、セラミックや強度の低いプラス
チックなどは被処理部材とならない。また、酸化物等の
脆い粉体は振動により破壊されるので、適用できない。
【0014】前掲特開昭52−43731号公報に開示
された方法は、内面だけの被覆にしか適用できず、また
相当の高エネルギが必要であるために、本発明で言う各
種部材に皮膜を形成する方法には採用できない。の粉
体塗装方法及びの粉体被覆法のうち特開平2−718
72号公報の方法は、各種部材への適用が可能である
が、上述のような問題があるために、本発明は、粉体被
覆形成の能率を高めると共に、付着力が優れかつ緻密な
粉体皮膜を形成することができる皮膜形成方法を提供す
ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明法におけ
る粉体皮膜形成法において従来法に比べて特長的なとこ
ろは以下にある。粘着物質、粉体物質及び被処理部材を
皮膜形成媒体とともに容器内で振動又は攪拌すると、被
処理部材表面にまず粘着物質の層が形成される。この
着物質層の厚みは、粉体物質、粘着物質、皮膜形成媒
体、被処理部材の投入順序や混合の仕方によって変わ
り、例えば、粘着物質と粉体物質の投入が同時に行われ
る場合は、部材表面と粘着物質及び部材表面と粉体粒子
の接触が同時に起こるために、部材表面に形成される
着物質単独の層は非常に薄くなるか、検出困難になるこ
とがある。
【0016】粘着物質皮膜形成に続いて、粉体物質が
着物質層の粘着力により粘着物質層に捕捉・固定され
る。同様に,粘着物質層が被処理部材表面で硬化する時
に粉体物質を捕捉して硬化する。振動又は攪拌を受けて
いる皮膜形成媒体は、同様に振動又は攪拌を受けている
粉体物質に打撃力を与え、前記粉体物質の粒子を既に
着物質層に捕捉され、押し込まれた粒子の間に圧入され
るので、粘着物質の粘着力等に加えて皮膜形成媒体の打
撃力により一層強く粉体物質は固定される。また、一部
被処理部材同志の衝突も起こり、同様に粉体物質の圧入
が促進される。よって粘着物質層には次第に多くの粉体
物質が混合されるようになり、皮膜が成長し続ける。
【0017】以上説明したように、粘着物質と粉体物質
の間に結合が作りだされる他に、粉体物質の粒子同志も
皮膜形成媒体の打撃力を介して被処理部材表面で衝突す
るので、これらの間にも主として塑性変形副次的に摩
擦熱による原子間拡散とによる結合力が作りだされる。
特に、粉体物質が、Al,Cu,Zn,Sn,Au,A
g,Pbおよびこれらの合金等のように延性に富む金属
又は合金、あるいはプラスチックである場合は、衝突し
たこれら粉末粒子が塑性変形して、圧接のように接合さ
れる。またこのような接合は粉体物質と被処理部材の間
でも起こる。この結果皮膜内の物質の構成は強固にな
る。粉体物質が非延性物質であると、粉体粒子間の結合
と、これによる皮膜層形成は起こり難くなる。
【0018】皮膜表面に衝突する皮膜形成媒体は粉体物
質の粒子の間から粘着物質を絞りだし、形成中の皮膜表
面に粘着物質がにじみ出る。粘着物質は皮膜形成媒体に
も一部付着する。この粘着物質は皮膜形成媒体が他の被
処理部材表面に衝突する際に、再び被処理部材表面にも
付着する。かかる樹脂層表面に粉体粒子が付着する。こ
のような粘着物質の絞り出しと前述の皮膜成長が同時に
進行する。しかし膜の成長と共に皮膜表面における粉体
物質の割合が多くなる。すると皮膜形成媒体は皮膜表面
における粉体物質に打撃を与えるで、粉体物質は凝集
そしてますます粘着物質の割合は少なくなるととも
に皮膜の成長速度が低下する。これは粉体物質が皮膜か
ら脱落することと表層における付着力が低くなることに
よる。
【0019】以上説明した本発明方法は前掲特開平2−
71872号公報と比較すると、皮膜形成に関与しない
が媒介する皮膜形成媒体の打撃力を利用することを特長
とし、これにより接着力が優れた皮膜を得ることができ
る方法である。また、本発明方法は前掲特開昭52−4
3731号公報と比較すると、接着面を他の皮膜形成混
合物と一緒に混合する樹脂で形成し、皮膜形成に関与し
ないが媒介する皮膜形成媒介の打撃力を利用することを
特徴とし、これにより少ないエネルギで実用上十分な接
着力が得られ,かつ,緻密な皮膜を得ることができる方
法である。
【0020】以上のような皮膜形成過程を実現するため
に必要な条件(a)〜(d)を説明する。 (a)粘着物質は皮膜形成過程の少なくとも初期におい
て局所的または全体的に未硬化の状態にある必要があ
る。もし粘着物質全体が皮膜形成過程の全体において硬
化した状態であると、例えば、完全に硬化した固体樹脂
を単独で常温で使用すると樹脂の部材表面への接着力が
ほとんどないため皮膜成長の先駆けとなる被処理部材表
面における粘着物質層の形成が起こらず、また粉体粒子
間へのにじみ出しも起こらないため粘着物質、粉体物
質、被処理部材及び皮膜形成媒体(以下、粘着物質、粉
体物質、被処理部材及び皮膜形成媒体の混合を、単に、
「皮膜形成混合物」と称する。)が単に混合されるに
まる。
【0021】(b)被処理部材を含めて皮膜形成混合物
が振動又は攪拌させられる必要がある。
【0022】(c)皮膜形成媒体は打撃力を発生して皮
膜の形成の媒介をするが、それ自身は実質的に皮膜の成
分にならない。被処理部材より大きい皮膜形成媒体は前
者の表面上で均一な打撃力を発生することができず、ま
た粉末よりも小さいと皮膜形成媒体が被膜中に捕捉され
てしまうので、皮膜形成媒体は,被処理部材よりも寸法
が実質的に小さく,かつ,粉末物質よりは寸法が実質的
に大きいことが必要である。ただし、体積比で70%以
下の範囲であれば、被処理部材よりも大きな媒体が含ま
れていてもよい。また、打撃力をある程度集中させる方
が粉体の圧入がよく進行するため、例えば球状の媒体を
使用する場合はその直径が0.5mm以上、より望まし
くは1mm以上望ましく、他の形状の場合もこれに準
ずる。また,皮膜形成媒体が,被処理部材よりも小さい
とは、媒体の一つ一つを同体積の球で置き換えたとき、
その直径が被処理部材のさしわたしのうち最大のものよ
りも小さいことを言う。また粉末に対しては、平均寸法
で要件を充たしていれば、所望の打撃力をつくり出すこ
とができる。すなわち、皮膜形成媒体となる粒子の一部
が粉体物質より細かくとも、平均寸法で前者が後者より
大きければ所望の打撃力を作りだすことができる。ただ
し、これら粉体物質より細かい媒体は皮膜中にとりこま
れる恐れがあり、できるだけ含まれないことが望まし
い。
【0023】皮膜形成媒体の材質は次の要件を満たして
いる必要がある。塑性変形により皮膜形成後に皮膜形
成媒体を観察して肉眼で認められるような大きな形状変
化がなく、かつ、比較形成過程において弾性変形が極端
に大きくならないこと。割れ、欠け、急激な摩耗など
がないこと(長期的使用による若干の摩耗はあってもよ
い)。
【0024】これらの要件を満たさない材質の皮膜形成
媒体が被処理剤との衝突により塑性変形を起こしたりあ
るいは軟質ゴムのように極端に大きな弾性変形を起こし
たりすると、後者に与える打撃が不足して所望の皮膜形
成が起こらなくなる。また、割れ、欠け、急激な摩耗が
起こると、皮膜形成媒体の耐用寿命が短くなり、不経済
である。
【0025】(d)粉体物質は皮膜中に取り込まれるた
めに、皮幕形成媒体よりは小さくなければならない。粉
体物質の性質は特に限定されないが、樹脂粉末の場合は
皮膜形成過程において、(a)で述べた粘着物質よりも
硬質な樹脂であることが必要である。
【0026】上述の要件(a)〜(d)からなる本発明
は、被処理部材表面に皮膜を密着して形成する方法にお
いて、被処理部材、皮膜形成過程の少なくとも初期にお
いて少なくとも部分的に未硬化の状態にある粘着物質
粉体物質および皮膜形成媒体に容器内にて振動または攪
拌を加えることにより、粉体物質を含む皮膜を形成する
ようにした皮膜形成方法である
【0027】本発明において、粘着物質用樹脂として
は、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フ
ラン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポ
リイミド樹脂、尿素樹脂などの1液もしくは2液混合型
の熱硬化性樹脂、不飽和ポリエステル、不飽和ポリイソ
シアネート、水酸基をもつアクリル・モノマーなど紫外
線、電子線その他放射線照射により硬化する樹脂、アク
リル樹脂、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレン
テレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポ
リビニルアルコール、ナイロン、ポリスチレン、ポリ酢
酸ビニル等の熱可塑性樹脂およびそれらの液状プレポリ
マもしくはモノマー、一般に粉末成形に用いられる有機
結合剤、例えばパラフィン、樟脳などを用いることがで
きる。また粘着物質としてゼラチン、ニカワ、ウルシ等
天然物を使うことできる。
【0028】また、粘着物質は被処理部材の表面に均一
に行きわたる必要があるので、上記粘着物質用樹脂は液
状または半液状の未硬化のものが最も好ましい。また、
流動性を高め、部材表面に均一に行きわたらせるために
固体または液状の粘着物質用樹脂を有機溶媒もしくは水
等で溶解、希釈もしくは分散して使うことができる。こ
の場合、溶媒又は水は混合中に蒸発するので次第に粘着
性が高まり、粉体の付着が起こる。しかし有機溶媒など
の量が多過ぎると、粉体物質の被処理部材表面への付着
が不充分となる。また、熱可塑性樹脂は加熱して流動性
および粘着性を増大させて用いることができる。溶媒、
水などは皮膜形成中及び形成後皮膜から蒸発させられ
る。
【0029】さらに、被処理部材が樹脂ボンド磁石およ
びプラスチック部材のように樹脂を含有するときは、そ
の樹脂の溶剤を皮膜形成混合物に添加して、樹脂を被処
理部材から溶け出させて皮膜形成混合物を供給すること
ができる。一旦溶けだした樹脂は溶剤の蒸発などにより
樹脂の粘度が高められ,被処理部材上に粘着力を持つ
脂皮膜を形成する。
【0030】次に粉体物質は被処理部材上に形成さえる
粉体皮膜の構成物質である。粉体物質としては各種金
属、合金粉末およびセラミックス粉末、さらには樹脂、
プラスチック、塗料粉末などであり、防食、美観付与、
絶縁性付与、強度向上などの機能を有するものであれば
各種粉体を使用することができる。
【0031】一例をあげれば金属粉末としては、Al,
Cu,Mg,Ti,Fe,Cr,Co,Ni,Zn,P
b,Sn,Rh,Ir,Pd,Pt,Ag,Au,M
o,Wなどの粉末およびそれらを主成分とする合金粉末
がある。これらの金属はすべて樹脂より強度が優れてお
り、また水や塩水などによる変質が少ないために耐食性
が優れている。ステンレス、Cr,Ni,Mo,Wなど
は表面に強固な不働態膜を作るので、耐食性に優れてい
る。よってこれらの金属は皮膜の強度及び耐食性を高め
る。各金属が特徴とするところを挙げると、Rh,I
r,Pd,Ag,Auなどは良好な美観と耐食性を有す
るので、こえれの性質を皮膜に付与する。また、Cuな
どは良好な耐食性と電気伝導性を有するので、耐食皮膜
の形成、メッキ下地皮膜の形成などに良好に使用され
る。Niもめっき下地形成などに良好に使用される。
Zn,Snはほとんどすべての金属を犠牲陽極効果によ
り防食する。
【0032】セラミックス粉末は金属よりも化学的に安
定であり、上記した樹脂−金属複合皮膜よりも耐食性が
優れている。これらセラミックとしては例えば酸化物、
MgO,Al,SiO,TiO,CrO
MnO,Fe,FeO,Fe,CoO,
NiO,CuO,ZnO,ZrO,MoOおよびそれ
らをベースとする複合酸化物、TiN,BN等各種安定
な窒化物等、SiC,WC,TiC等各種安定な炭化物
等を用いることができる。
【0033】上記した金属、セラミックスなどは樹脂に
配合剤、顔料などとして含まれていてもよい。また複数
種の粉末を混合して用いてもよい。
【0034】粉体物質として樹脂粉末を使用する場合
は、各種熱硬貨性樹脂、熱加塑性樹脂及びこれらに各種
顔料を分散させた粉末樹脂を使用することができる。
【0035】粉体物質の粒度は、被処理部材の大きさ、
皮膜の厚さ及び粉体物質の材質により変わる。セラミッ
クス粉体など硬質で変形しにくい粉体の場合は粒度が小
さいことが望ましく、延性に富む金属粉などの場合はこ
れより大きくてよいが一般には0.05〜500μmの
範囲内である。望ましくは0.1〜300μm、より望
ましくは0.1〜100μmの範囲内である。一般に、
粉体は粒度が小さいほど粘着物質により捕捉されやす
い。また粒度が小さい粒子は、粘着物質皮膜上に分散し
ている粉体物質の粒子の間に打撃により押し込まれ易
く、塑性変形による粉体同あるいは被処理材料との圧
着や結合が起こり易い。したがって粉体物質の粒度が小
さいほど、打撃力が小さくて済み、また皮膜の表面粗さ
も小さくなる。
【0036】皮膜形成媒体は鉄、炭素鋼、その他合金
鋼、銅および銅合金、アルミおよびアルミニウム合金、
その他各種金属、合金製、あるいはAl,SiO
,TiO,ZrO,SiC等のセラミックス製、
ガラスさらに硬質プラスチック等を用いることができ
る。また皮膜成形に充分な打撃力が加えられるのであれ
ば、硬質のゴムも使用することができる。これら皮膜形
媒体のサイズ、材質は被処理部材の形状およびサイ
ズ、使用する粉体物質の材質に応じて適宜選択する必要
がある。また複数のサイズ及び材質の皮膜形成媒体を混
合して使用することもできる。また場合によっては表面
処理、表面被覆を施して使うこともできる。また複数の
上記材料によって構成された複合媒体を用いてもよい。
また、打撃力の緩和および平均化を行い、皮膜の均質
性、膜圧のばらつきを抑えるため、木粉や軟質ゴム、軟
質プラスチック等軟質の媒体を前記媒体に対し体積比の
50%以下の範囲で適宜混合することがある。これらは
単独では打撃力をほとんど生じないので、必ず前記皮膜
形成媒体と併用される。
【0037】皮膜形成媒体の形状は、球状、楕円形、立
方体、三角柱、円柱、円錐、三角錐、四角錐、菱面体、
不定形体、その他各種形状を使用することができる。
【0038】皮膜形成混合物の各成分(要素)の割合は
各成分の所望の作用を発揮するように、いずれかの要素
に偏らず全体がバランスするように定める。粉体物質
よび粘着物質の量は、被処理部材に付与する皮膜の厚み
と、被処理部材の表面積の合計によって定まる。ただ
し、粘着物質と粉体物質の比率は、粘着物質の硬化後の
体積に換算して,1個の被処理部材上に形成される粉体
皮膜中における粘着物質分の割合を0.5%以上に設定
することが望ましい。これ以下であると、粉体物質
処理部材への付着が不充分となる。また、皮膜形成媒体
被処理部材の混合比率は、被処理部材の形状によって
異なるが、少なくとも見掛け容積比で皮膜形成媒体を2
0%以上配合しないと、被処理部材表面への均一かつ充
分な打撃が行われず良好な皮膜を得ることが難しい。
【0039】容器内での振動又は攪拌は以下述べるよう
な種々の方法で実施することができる。容器2内に設け
られ回転軸4に固着されたアーム3(図1参照)、回転
軸4に固着された羽根5(図2参照。または図示されて
はいないがインペラ、ブレードなどの攪拌機により為さ
れる。なお、図中10は皮膜形成混合物である。また、
図3に示すようにドラム又はポット状容器自体をロー
ラー6上で回転してもよい。さらに図4に示すように、
回転軸に固着されたドラム状容器2を回転してもよ
い。容器は上部が解放されていても、また密閉されてい
てもどちらでもよい。加えて図5に示すように容器2を
揺すってもよい。揺動中に攪拌を行ってもよい。また図
6に示す回転軸4に対称的に固着されたアーム7の先端
に取りつけられた容器2内に皮膜形成混合物10を入れ
て遠心力で皮膜形成混合物10を混合してもよい。容器
2を自転させることが好ましい。容器の動作が同じで
あれば、回転の機構はこれに限らず、例えばディスク状
のホルダーを使ってもよい。
【0040】あるいは容器2内又は容器外に設けられた
加振器8により皮膜形成混合物10に振動を加えてもよ
い(図7参照)。以下振動を加える方法に例を取って皮
膜形成混合物に加える力(加振力)の大きさを説明す
る。加振力を容器及び皮膜形成混合物の重力(以下「振
動重力」という)で平均した値(以下、「被加振力」−
無次元数−という)が被膜形成媒体が被処理部材に加え
る衝撃力の指標になる。具体例として、2.8リットル
の容器の重量−1kgf,スチールボール(皮膜形成媒
体)の重量−10kgf、被処理部材の重量−1kgf
である場合は、振動重力は12kgfとなる。このとき
40Hz周期の好ましい加振力は20〜50kgfであ
る。したがって被加振力は1.67(=20/12)〜
4.17(50/12)となる。
【0041】より大きい容器を使用する場合、具体例と
して20リットルの容器の重量−4.5kgf,スチー
ルボール(皮膜形成媒体)重量−70kgf、被処理部
材の重量−5.5kgfである場合は、振動重力は80
kgfとなる。このとき25Hz周期の好ましい加振力
は150kgfである。したがって被加振力は150/
80=1.88である。
【0042】被処理部材が鉄鋼材料等の強靱な材質でで
きている場合は被加振力の上限は役10でもよいが、希
土類磁石、ボンド磁石、セラミックス、ガラスなどの脆
い材質では被加振力の上限を5以下にすることが好まし
い。また、被加振力の下限は1以上、特に1.5以上で
あることが好ましい。被加振力がこの下限より小さいと
皮膜成長速度が遅くなり、一方上限より大きいと被処理
部材が脆い材質の場合その破壊が起こりやすくなり、ま
た皮膜形成媒体の変形も起こりやすくなる。振動の周波
数は特に限定されないが、2Hz〜200Hzの範囲で
あることが好ましい。この時の振幅が0.5〜10mm
で上記被加振力の範囲に入る。
【0043】続いて、攪拌方式の場合は、回転により発
生する遠心力が皮膜形成混合物と容器の合計重量に大し
て上記被加振力の範囲に入っていることが望ましい。し
かし回転数が大き過ぎかつ/または容器中における皮膜
形成混合物の体積割合が大きすぎると、皮膜形成混合物
が容器壁に押しつけられて混合が十分に起こらない。し
たがって回転数は60rpm以下かつ/又は前記の体積
割合は80%以下の条件を満たすことが好ましい。
【0044】さらに加振方式としては図8に示す装置を
使用することができる。好ましくは1〜20゜の傾斜を
つけたU字状とい20の下面に加振機8を取り付け、皮
膜形成混合物10に振動を加えながらとい20上を滑り
落とす。断面形状はU字形には限定されず、円形、V字
形、角形など各種形状のものを用いることができる。ま
た、とい20の上部は必ずしも解放されていなくともよ
い。とい20の下端の下方には振動ふるい22を設置す
る。振動ふるい22は被処理部材23より小さく、スチ
ールボールなどの皮膜形成媒体24より大きいメッシュ
をフレームなどに固定し、全体を傾斜させるとともに加
振機に連結したものである。したがって振動ふるい22
上に落下した皮膜形成混合物10のうち、皮膜形成媒体
24はメッシュを通り抜けて下方に落下し、一方被処
理部材23は振動ふるい22上で搬送される。皮膜形成
媒体24は振動ふるい22の下方に設けた媒体回収コン
ベヤー30により回収され、皮膜形成使用に再使用され
る。また、被処理部材23は振動ふるい22の下側端に
設けた製品回収コンベヤー31により回収される。以上
のような装置を使用すると、皮膜形成の連続全自動化が
可能になる。さらに、とい20を図に示すようにつづ
ら折れまたはらせん状にして、とい20の占有面積を少
なくすることができる。このつづら折れとい20の出口
20aを皮膜形成混合物10の装入部20bの真下にも
ってくると、皮膜形成媒体をリターンするときのリター
ンーパスを短くすることができる。また、図示はしてい
ないがといを容器内に収容して容器ごと振動させること
も出来る。
【0045】皮膜形成混合物の各成分の容器への装入順
序としては、予め皮膜形成媒体が収容された容器を振動
または攪拌させて皮膜形成媒体を混合し、皮膜形成媒体
が混合中の容器に被処理部材、粉体物質及び粘着物質
逐次あるいは同時に装入することが好ましい。この方法
によると均一混合程度が高められる。ここで皮膜形成媒
体はあらかじめ容器内へ投じ、振動又は攪拌を加えてお
くことにより皮膜形成に必要な粘着物質の付着をもたら
し、また打撃力を発生できるが、その他の被処理部材、
粉体物質及び粘着物質の装入順序、回数、単独装入か同
時装入かなどは全く任意である。同時装入の方法として
顔料を含む樹脂を装入すると、粉体物質と粘着物質が容
器に同時装入となる。
【0046】ただし、以下のような場合には、特殊な装
入順序が好ましい。液状樹脂又は溶媒さらには溶媒に
溶かした樹脂と樹脂粉体(粉体物質)を使用する場合:
あらかじめ、これらと樹脂粉体だけを混合してしまう
と、樹脂粉体が液状樹脂に溶解しやすい場合には粉末の
凝集が起こりやすく、均一な皮膜が得られない。したが
って粉末状樹脂は遅い行程で容器に装入するか、あるい
は容器に先に装入するときは後から装入する液状樹脂は
被処理部材と同時に挿入する。皮膜形成混合物の成分
のいずれかを加熱する場合:被処理部材を加熱し容器に
装入した後に樹脂を装入する;樹脂を装入した後加熱し
た被処理部材を装入する;加熱された被処理部材及び加
熱された皮膜形成媒体を容器に装入した後に樹脂を装入
する。
【0047】粘着物質を振動又は攪拌中に硬化させるこ
とによって、粘着物質層に捕捉された粉体物質の固定力
を高めることができる粘着物質の硬化の方法として
は、二液混合型常温硬化タイプの樹脂を使用して硬化剤
により硬化させる、加熱硬化型樹脂を加熱により硬化
させる。また、溶媒を蒸発させる、さらには紫外線、γ
線、電子線やその他の放射線照射により硬化させるなど
の方法が可能である。
【0048】さらに、粉体物質以外の皮膜形成混合物を
あらかじめ容器内にて混合し、粉体物質を後から容器内
に装入することができる。この方法による利点は以下の
〜とおりである。
【0049】特に溶媒で希釈したような流動性が大き
い樹脂を被処理部材表面に十分に均等に行き渡らせるこ
とにより十分に均等な樹脂皮膜を作り、粉体物質で均一
に被覆することができる。
【0050】下地となる被処理部材との界面近傍の皮
膜は粘着物質リッチ(rich)になり、皮膜の表面
は粉体物質がリッチ(rich)になり、皮膜内ではこ
れらの成分の割合が連続的に変化する遷移層が存在す
る。そのため皮膜の密着力が高くなる
【0051】皮膜の表面付近では粉体物質が圧入さ
れ、粉体物質の割合が70〜90体積%、場合によって
はほとんど100%と極めて高く、樹脂塗膜の顔料配合
率を遙かに超える。したがって、粉体物質が塗料の顔料
として使用されるTiO,MgO,Feなどで
ある場合は、皮膜表面は水、その他の腐食成分を遮断す
る性能が非常に良好になる。通常樹脂塗装では防食のた
めに塗膜を多層塗りして顔料の量を多くしているが、こ
れは手間がかかり、層間剥離を起こしやすく、また膜厚
が大きくなる問題がある。本発明法では1回の処理で顔
料が多い皮膜を得ることができ、また膜厚が薄いという
利点がある。
【0052】本発明においては、粘着物質層をあらかじ
め被処理部材に形成しておき、その後、粘着物質層が形
成された被処理部材、皮膜形成媒体及び粉体物質振動
又は攪拌させることができる。したがってかかる本発明
の別法は、皮膜形成過程の少なくとも初期において少な
くとも部分的に未硬化状態にある粘着物質層が形成され
被処理部材、粉体物質及び皮膜形成媒体に容器内にて
振動又は攪拌を加えることにより、被処理部材に皮膜を
形成するものである
【0053】上述した、容器に装入される前に、あらか
じめ被処理部材に形成された粘着物質層は、容器に装入
された未硬化の粘着物質により被処理部材に形成された
粘着物質層と同様に作用して粉体物質を捕捉する。被処
理部材が樹脂ボンド磁石あるいはプラスチック部材のよ
うである場合は、これを溶媒に浸漬して引上げると、
脂ボンド磁石あるいはプラスチック部材の表面付近の樹
脂が溶けだして粘着物質層を簡単に作ることができる。
【0054】さらに、本発明の別法を実施する際に粘着
物質層に粉体物質をまぶし(すなわち、粘着物質層がも
っている付着力を利用して粉体物質を接着させる)、そ
の後上記別法を実施することができる。
【0055】本発明の別法を実施する際に、前記粘着物
(第一の粘着物質)と同種又は異種の粘着物質(第二
粘着物質)を皮膜形成混合物に添加することができ
。第二の粘着物質は既に形成されている粘着物質層
に流動して、層を作り、成長し、粉体物質−粘着物質
の結合をもたらす。かかる第二の粘着物質としては、
述した粘着物質を使用することができる。
【0056】本発明における混合後に、皮膜が形成され
被処理部材の皮膜粘着物質を硬化することによ
り、皮膜を強化させまた密着性を向上することができ
。硬化は皮膜を混合容器内であるいは容器外で粘着物
の重合温度に加熱する、常温に放置して溶剤を蒸発さ
せるなどにより行う。この硬化処理は皮膜強度、密着性
などが不充分である場合、形成された皮膜を下地として
更にその上に本発明方法により皮膜を形成し、多層皮膜
を得る場合にも有効である。さらに粘着物質の種類によ
っては紫外線あるいはガンマ線、電子線等により硬化す
ることもできる。
【0057】皮膜形成直後にはその上に未固定の粉体
が多く残留していることがあり(以下、皮膜上の未固
定な遊離した粉体物質を、単に、「残留粉体」とい
う。)、これらの残留粉体は、埃や塵を嫌う電気、電子
部品あるいは精密機械部品等に本発明により皮膜が形成
された被処理部材を使用する場合には除去する必要があ
る。したがって、超音波洗浄、空気の吹きつけなどの方
法により、未固定の遊している残留粉体を除去するこ
とが好ましいこのような残留粉体の除去は粘着物質
硬化前又は後のいずれでも実施することができる。
【0058】残留粉体の除去においては皮膜表面を軟質
の媒体で摩擦することも可能である。このためには軟質
の媒体と皮膜が形成された被処理部材を容器内にて混合
し、容器に振動を加えるたり、軟質の媒体と皮膜が形成
された被処理部材を攪拌することにより、残留粉体を除
することができる。この方法では軟質の媒体と残留
末の間の剪断力によって残留粉体が除去され、加えて皮
膜の表面が磨かれる。この方法は超音波洗浄よりも残留
粉末の除去効果が大きく、また美しい外観が得られる。
したがって装飾用品、外装用品に本発明の部材を使用す
る場合に好適である。
【0059】上記した軟質の媒体としては、それ自身が
衝撃吸収力をある程度有しているので、被処理部材に強
い打撃力を与えて形成された皮膜を疵つけたり、深く削
り取ったりしないものが好ましい。例えば、木屑、木材
粉、クルミ殼、軟質プラスチック、ゴムなどが望まし
い。さらに木屑などに油分などをしみ込ませて表面研磨
の効果あるいは防錆性を高めることもできる。
【0060】また、本発明に係る皮膜形成後の被処理部
材に熱処理を施すことができる。この目的は一つは粘着
物質の硬化である。粘着物質の硬化温度は粘着物質の種
類により異なるが一般に30〜200℃であり、また硬
化時間は1〜500分程度である。かかる温度及び時間
の熱処理を行うことにより粘着物質を硬化させることが
できる。
【0061】熱処理の他の目的は、粉体物質の粒子同士
あるいは粉体物質と被処理部材の間の結合力を熱拡散に
より増大することである。さらには皮膜のピンホールを
減少させできるだけ連続した皮膜とすることである。
また、多層膜の各層間の拡散による膜質の均質化および
耐食性や機械的性質の向上を意図することもある。
【0062】熱処理の温度は粉体物質の融点(Mp:
K)以下で(1/3)Mp以上が好ましい。熱処理温度
が粉体物質の融点を超えると粉体物質が溶けて、湯だれ
や部材同士の溶着を起こす。熱処理温度が融点の1/3
より低いと目的とする効果が得られ難い。この熱処理温
度は当然に被処理部材の融点よりは低くなければならな
いから、熱処理温度より融点が高い物質からなる被処理
部材に本方法は適用される。
【0063】上記した熱処理は、粉体物質がZn,Sn
またはこれらの合金のように比較的低融点である時に有
効である。すなわちこれらのZnなどはほとんどすべて
の金属を犠牲防食効果により防食できるが、そのために
は皮膜構造が連続膜に近いことが必要である。本発明方
法により得られる粉体物質が分散した皮膜では雨水、塩
水に絶えずさらされるような過酷な腐食環境において犠
牲防食効果が十分には発揮されないが、熱処理によっ
て、十分に良好な耐食性を付与する犠牲防食効果が得ら
れる。従来Zn,Snの皮膜は電気めっきあるいは溶融
めっきにより形成されてきたが、前者は湿式プロセスで
あるために廃水や副産物処理の問題があり、後者はめっ
き厚さが100μm以上と厚く、薄い皮膜が得られずま
た小物部品には適さないという問題があった。これに対
して本発明法は簡便なドライプロセスにより小物部品に
薄い皮膜を形成することができるから、電気めっきある
いは溶融めっきでは問題を伴う耐食性皮膜形成の分野に
好適である。
【0064】さらに、粉体物質がAl,Snなどの耐食
性が高い物質である場合は熱処理を大気中で実施するこ
とができるが、真空中あるいは不活性ガス中で熱処理を
行うことが好ましい。
【0065】また、上記した皮膜の表面に樹脂の保護皮
膜を施すこともできる。この方法は熱処理を施さない皮
膜に適用される場合は皮膜の強度及び耐食性を向上させ
る効果がある。皮膜の表面は樹脂分が少なく、また残留
粉体を除去したとしても、なお粉末の固定力が弱い。本
発明方法により皮膜が形成された被処理部材は慴動部材
としての使用を意図していないので、絶えず外部から皮
膜に力が掛かることはないが、取扱中や部材を機械に取
り付け中に外部から衝撃力や強い力が掛かると、粉体物
質が脱落したりあるいは皮膜が局部的に破壊されること
がある。このような不都合を防止するために樹脂の皮膜
を施すことは有効である。樹脂の皮膜は表面を滑らかに
し美観も向上させ、さらにピンホールを埋め水分の浸透
を妨げる。
【0066】熱処理を施した皮膜に樹脂被覆を適用する
と、熱処理温度が高くとれず、ピンホール等の完全除去
が困難な場合、あるいは熱処理中に気泡や亀裂が生ず
るような場合、これを封孔、封止することができる
【0067】樹脂被覆形成の方法はスプレーあるいは被
処理部材を樹脂中に浸漬させても良いが、被処理部材よ
りは寸法が実質的に小さい皮膜形成媒体及び被覆形成用
樹脂に、容器内にて振動又は攪拌を加えることにより、
上述したように皮膜が形成さ れた被処理部材に、薄くか
つ均一に被覆を形成することができる。このような皮膜
が形成された被処理部材を被覆するための皮膜形成媒体
被覆形成媒体という。)は、上述した被処理部材
の皮膜形成に使用される皮膜形成媒体の原理を、皮膜が
形成された被処理部材の被覆形成に応用したものであ
る。
【0068】さらに上述した皮膜が形成された被処理部
材への樹脂被覆を顔料を含有した通常の塗料の塗装によ
り行うこともできる。この場合は樹脂被覆の効果に加
えて、良好な美観を得ることができる。
【0069】また保護皮膜としては樹脂皮膜の他に金属
又は合金のめっきあるいは金属の非金属の分散めっき
(電気めっきあるいは電解めっき)を施すことができ
。従来下地がセラミックス、プラスチックなどの非導
電性物質であるかあるいは樹脂ボンド磁石のように導電
性が悪く不均一な物質であると、直接電気めっきを行う
ことは困難であり、また可能であるとしても複雑な前処
理が必要であった。したがって、下地に無電解めっきを
行ってから電気めっきを行うコストと手間がかかる方法
が一般に行われていた。これに対して本発明は下地に金
リッチ(rich)な層を強固にしかも容易に付与す
るこどができるので、非導電性物質の電気めっきが極め
て簡単になる。
【0070】また従来めっきが可能な物質であっても、
めっき合金や金属−非金属複合めっきの組成を広い範囲
で調節することは困難であった。これに対して本発明は
非電気化学的方法により皮膜を形成するので組成調節の
範囲が極めて広い。
【0071】また、従来めっき電解液と被処理部材の化
学反応によりめっきが困難であるか不可能な場合があっ
た。本発明は係る場合にも容易にめっきを可能にするも
のである。その一例として粉末冶金材料へのめっきがあ
る。これはポアを有するのでめっき電解液と接触させる
と内部にまでめっき液が浸透し、内部の腐食や非所望の
内部に電着が起こる。これを避けるためにはPVDなど
で金属皮膜を形成した上にめっきを行えばよいが、PV
Dは大掛かりな装置を必要とする。これに対して本発明
法によると極めて簡単な方法によりめっきの下地を作る
ことができる。AgやMgなど活性な軽金属あるいはそ
れらの合金等はめっき液への部材の溶け出しが起こり、
ジンケート処理など特殊な前処理を行わなければめっき
が不可能であったが、本発明法によれば簡単な方法によ
りこうした部材へのめっきも可能にする。
【0072】めっき皮膜の下地となる本発明の粉体物質
皮膜は粉体物質の粒子の間隙などに多少のピンホールが
形成されるので、めっき皮膜にもピンホールが形成され
ることがある。この場合めっき皮膜を若干厚くするか、
あるいはめっき皮膜の下地に無電解めっき皮膜を極く
く形成することにより、めっき皮膜でのピンホールを防
止することができる。
【0073】本発明方法を、被処理部材としての希土類
焼結磁石や希土類樹脂結合磁石への皮膜形成に適用する
と極めて有利である。その利点を説明する前に希士類磁
石及びその保護皮膜につき従来技術を説明する。
【0074】希土類永久磁石はその優れた磁気特性ゆえ
に、需要は増加の一途をたどっている。現在生産されて
いるほとんどの希土類永久磁石はSmとCoを主成分と
するSm−Co系と、Nd−Fe−B系であり、また製
造法としては焼結によるものと樹脂により結合した樹脂
ボンド磁石がほとんどである。樹脂ボンド磁石は、磁石
粉末と樹脂を混合した後圧縮成形を行い、その後樹脂を
硬化する方法、射出成形法、磁石粉末をプレスした後に
樹脂を含浸させる方法などにより製造されている。希士
類磁石は活性な希士類元素を多量に含んでいるために、
高温多湿な環境で使用されると腐食による性能劣化や性
能のばらつきを生じ、また腐食生成物質が汚染源とな
る。特にNd−Fe−B磁石は鉄を主成分とするため
に、耐食性が低く、防食皮膜の付与が不可欠であり、現
在、Niめっきが焼結磁石に、エポキシ樹脂などの吹漬
けや電着塗装が焼結及び樹脂ボンド磁石に対して行われ
ている。しかしながら小物部品が多いNd−Fe−B焼
結磁石に施すNiめっきは、めっき法に関して既に説明
したようにめっき操作が厄介であったり、廃液処理など
の問題がある他に、下地の酸化物の除去が不充分である
とめっきの密着性が劣るという問題もある。樹脂の塗装
も既に説明したように塗装操作に手間がかかる等の問題
がある。
【0075】またボンド磁石は価格が安いために樹脂の
多層塗装は現実的でないために、単層塗装が主流になっ
ている。このために樹脂ボンド磁石の耐食性は焼結磁石
よりは低いレベルに留まっている。この欠点解消の対策
として、無電解めっき下地の上に電気めっきを施すこと
が提案されている(特開平3−116703号参照のこ
)が、上述したような問題がある。電着塗装を使用す
ればスプレー塗装より耐食性は若干向上するが、これは
大掛かりな塗装および廃液処理設備も必要であり、基本
的には治具に釣り下げて行うためコスト高となる。さら
に樹脂ボンド磁石は焼結製品よりも一層多孔質であるの
で無電解めっきを相当に厚くしなければ、良好な下地と
ならない。またNd−Fe−B系を被処理部材とする無
電解めっき液は浴組成の管理が非常に難しいと言われて
いる。
【0076】本発明により希土類磁石表面に形成される
粉体−樹脂分散皮膜は以下のような利点をもっている。
焼結磁石の場合:従来のめっき皮膜に対しては、下地
処理が特に必要とされない;皮膜形成条件が緩やかであ
る(すなわち、特にNd−Fe−B磁石を念頭に置いて
条件を設定する必要がない)。従来の樹脂皮膜に対して
は、安定な酸化物、例えばTio,MgO,Fe
などの粉体を皮膜中に分散させ、特に皮膜表面でその
含有量を多くすることにより、耐食性を良好にすること
ができる。
【0077】図12にTio粉体とエポキシ樹脂を使
用した実施例1中の3の方法により得られた皮膜の断面
構造を電子顕微鏡写真(SEM像、倍率10000倍)
で調査した結果を示す。図中、皮膜全体で粒子状に見え
るものがTioである。皮膜の上部、下部、これらの
中間に連続相状に見えるのがエポキシ樹脂である。また
皮膜の左下側に見える輪郭が不鮮明な粒子は樹脂とTi
が混合していることを示している。図12から分か
るように、本発明方法により作られた皮膜は粉体が極め
て密に集まっている。
【0078】樹脂ボンド磁石の場合:従来の樹脂塗装
に対しては、多層膜並の耐食性がえられるので、従来の
単相樹脂皮膜よりも耐食性あ大幅に向上する;特に、
膜形成媒体との混合前に、被処理部材に、予め、未硬化
の樹脂皮膜を形成するようにした本発明法により、最初
に、被処理部材としての樹脂ボンド磁石に樹脂皮膜を形
成しておくと、樹脂ボンド磁石の孔に粉体物質や樹脂が
圧入されりために、封孔効果が大きく、このために耐食
性が向上する。従来の無電解めっき−電解めっきに対し
ては、導電性粉体物質を使用する本発明皮膜は工業的応
用可能性が非常に高い。
【0079】本発明により希土類磁石表面に形成された
粉体−樹脂分散皮膜上にめっき皮膜を形成すると以下の
ような利点がある。焼結磁石の場合(従来のめっき皮
膜と比較して)母材表面上に本発明法によるめっき下
地層が樹脂により強固に密着しているため、めっき下地
層をその上に形成されるめっき層に対し適切に選ぶこと
により、密着性の優れためっき皮膜が得られる。まため
っき皮膜は通常若干のピンホールを有するが、これらピ
ンホールは従来のめっき皮膜であると、直接母材表面に
達しているためピンホールから侵入した腐食成分はめっ
き層と母材表面の界面に浸透し、膜はがれ等を起こしや
すかった。特に母材表面に酸化層が残留している場合は
極めて膜はがれをおこしやすい。ところが本発明法で
は、めっき皮膜の下に防食性のよい樹脂、粉体混合皮膜
が存在するため、ピンホールからの腐食成分はほとんど
すべてこの下地層によって止められ、母材表面に拡散し
ないため、膜はがれはなくなる。
【0080】樹脂ボンド磁石の場合(従来の無電解め
っきと比較して):無電解めっきは、一般に浴が高価で
廃液処理等に多額の費用がかかるため、コスト高とな
る。また、下地との密着力は樹脂皮膜よりは数段劣る。
また一般に無電解めっきは厚膜化が難しく5μm以下の
薄膜にとどめられており、特にボンド磁石は多孔質体な
ので、母材両面のピンホールを拾って極めてポーラスな
皮膜となる。このような膜はその上に形成される電解め
っき膜のピンホールから浸透してくる腐食成分の遮断能
力がほとんどなく、膜はがれ等のばらつきが生じやす
い。また無電解めっきのめっき液がボンド磁石のピンホ
ールに残留しやすく、これも膜はがれの大きな原因とな
る。これらの問題点のため、無電解めっきを付与したN
d系ボンド磁石は未だ量産に至っていない。
【0081】本発明法によれば、磁石表面のピンホール
が樹脂によって封止され、さらにこの樹脂層によりめっ
きの下地となる金属層が強固に密着されるため、その上
に形成されるめっき皮膜も良好な密着性を持つ。この下
地層はと同様、磁石表面への腐食成分の拡散を防止す
るため、結果として従来法よりはるかに優れた耐食性が
得られる。
【0082】以上説明した方法では樹脂により粘着物質
を形成する方法を説明したが、無機系の粘着物質、例
えば水ガラスに代表されるケイ酸塩などは粉体物質、皮
膜形成媒体及び被処理部材を一様に分散させかつ混合さ
せることができ、また温度、溶媒又は水希釈などにより
粘度を混合中に低下させることによってガラス皮膜を被
処理部材表面に形成することができる。またガラス皮膜
は粉体物質を捕捉することができる。したがって樹脂に
代えてあるいは樹脂と共に無機粘着物質を使用すること
ができる。
【0083】以下、実施例により本発明を詳しく説明す
る。
【実施例】実施例1 Fe81Nd13の組成をもつ粒度100μm以下
の急冷ボンド磁石用粉末を使用した。この粉末にエポキ
シ樹脂を3wt%加えて混合し、5ton/cmの加
圧力で圧縮成形して、22mmφ×20mmφ×10m
mの成形体を220個得た。これを150℃で1時間キ
ュアーし、樹脂結合磁石とした。次に容積2.8リット
ル、深さ150mmの円形のポットに、皮膜形成媒体と
して、直径φ3.0mmの鋼球を10kg(見卦け密度
5kg/リットル)投入し、振動数2500c.p.
m.(cycle per minute)、振幅5m
mの振動を加えながら、粉体物質として、平均粒度1μ
mのAl粉末を20g投入し5分間Al粉に振動を加え
た。
【0084】次にあらかじめエポキシ樹脂10%(樹脂
97%、硬化剤3%)を溶かしたメチルエチルケトン
(MEK)に侵漬して表面を樹脂で覆った磁石20個
を、上述した皮膜形成媒体と粉体物質が装入され振動し
ているポットに投入し、15分間振動させた後取り出し
た。120℃で2hr加熱し最後に平均粒径2mmのク
ルミ殼片2.0kgと共に同じサイズのポットに入れて
5分間振動させ、表面に残留した余剰の粉末を除去し
た。以上の方法で平均膜厚10μm(最大値5μm、最
小値2μm)の皮膜を形成した磁石を85℃×90%R
Hの条件で耐食性を評価した。その結果を表1の左欄
「1」として示す。
【0085】以下同様の方法により但し下記の条件を変
更して粉末を被覆した磁石をそれぞれ20個ずつ作成し
た。その結果は表1の左欄に「2〜11」として示され
ている。 2−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのCu粉末を
使用した。 3−Al粉末に代えて、平均粒径が0.3μmのTio
粉末を使用した。 4−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのAl
粉末を使用した。 5−Al粉末に代えて、平均粒径が2μmのMgo粉末
を使用した。 6−Al粉末に代えて、平均粒径が2μmのFe
粉末を使用した。 7−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのCu粉末を
使用して膜厚が5μmの皮膜を形成した後、電解めっき
により10μmの膜厚のNiめっき層を形成した。 8−樹脂結合磁石に、Tio 添加量が20%のエポキ
シ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、平均10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成し た(比
較例)。 9−樹脂結合磁石に、リン酸亜鉛化成処理液をスプレー
吹き付けし、乾燥後、Tio 添加量が20%のエポキ
シ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比較
例)。 10−樹脂結合磁石に皮膜を施さず、そのまま試験した
(比較例)。 以上のようにして各種皮膜を形成した樹脂結合磁石を各
20個湿潤試験して、耐食性を評価した。試験条件:8
5℃×90%RH放置(チェック項目:外観)結果を
に示す。なお、表1において、A〜Eは、以下の判定
基準を示す。 A 全数全く発錆なしB 巨視的には発錆なし。全体の10%未満に顕微鏡オ
ーダーの点錆がある。 C 全体の10%未満に目視でわかる点錆がある。 D 全体の10%以上30%未満にやや大きな発錆があ
る。 E 全体の30%以上に著しい発錆、膜ふくれ、はがれ
がある。
【0086】
【表1】
【0087】実施例2 SmCO4.8の組成を持つ平均粒度20μmのボンド
磁石粉末を使用した。この粉末にエポキシ樹脂を3wt
%加えて混合し、5t/cmの加圧力で圧縮成形し
て、22mmφ×20mmφ×10mmの成形体を80
個得た。これを150℃で1時間キュアーし樹脂結合磁
石とした。次に容積2.8リットル深さ150mmの円
形ポットに、直径φ3.0mmの鋼球を10kg投入
し、振動数2500c.p.m.、振幅5mmの振動を
加えながら、平均粒度1μmのAl粉末を20g投入
し、5分間Al粉末と鋼球に振動を加えた。次にあらか
じめエポキシ樹脂(10%MEK溶液)に浸漬して表面
を樹脂で覆った磁石を20個投入し、15分間振動させ
た後取り出した。磁石を120℃で2hr加熱してエポ
キシ樹脂をキュアした後最後に平均粒径2mmのクルミ
殼2kgと共に、皮膜形成用と同じサイズのポットに入
れて5分間振動させ、表面に残留した余剰の粉末を除去
した。
【0088】以下同様の方法により各種粉末を被覆した
磁石をそれぞれ20個ずつ作成し、85℃×90%RH
の条件で耐食性を評価した(チェック項目−外観)。そ
の結果を表2に示す。なお、表2中の判定基準A〜E
は、表1の判定基準A〜Eと同じである。表中、左欄の
数字はそれぞれ以下の処理を意味する。1−上記の処理
により平均膜厚が10μmの皮膜を形成した。2−Al
粉末に代えて、平均粒径が0.3μmのTiO粉末を
使用した。3−樹脂結合磁石に、TiO添加量が20
%のエポキシ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間
キュアして、10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した
(比較例)。4−樹脂結合磁石に皮膜を施さず、そのま
ま試験し(比較例)。
【0089】
【表2】
【0090】実施例3 Sm(Co0.72Fe0.2Cu0.06Zr
0.038.3の組成を持つ粒度100μm以下のボ
ンド磁石用粉末を使用した。この粉末にエポキシ樹脂を
3wt%を加えて混合し、5t/cmの加圧力で圧縮
形成して、22mmφ×20mmφ×10mmの成形体
を100個得た。これを150℃で1時間キュアーし樹
脂結合磁石とした。次に容積2.8リットル深さ150
mmの円形ポットに、直径φ3.0mmの鋼球を10k
g投入し、振動数2500c.p.m.、振幅5mmの
振動を加えながら、平均粒度1μmのCu粉末を20g
投入し5分間Cu粉末と鋼球に振動を加えた。次にあら
かじめエポキシ樹脂(10%MEK溶液)に浸漬して表
面を樹脂で覆った磁石を20個投入し、15分間振動さ
せた後取り出した。次に、磁石を120℃で2hr加熱
してエポキシ樹脂をキュアした後、最後に平均粒径2m
mのクルミ殼2kgと共に皮膜形成用と同じサイズのポ
ットに入れて5分間振動させ、表面に残留した余剰の粉
末を除去した。以下同様の方法により各種粉末を被覆し
た磁石をそれぞれ20個ずつ作成し、85℃×90%R
Hの条件で耐食性を評価した(チェック項目−外観)。
その結果を表に示す。なお、表3中の判定基準A〜E
は、表1の判定基準A〜Eと同 じである。
【0091】表中、左欄の数字はそれぞれ以下の処理を
意味する。 1−上記の処理により平均膜厚が10μmの皮膜を形成
した。 2−Cu粉末に代えて、平均粒径が1μmのMgO粉末
を使用した。 3−Cu粉末に代えて、平均粒径が1μmのFe
粉末を使用した。 4−樹脂結合磁石に、TiO添加量が20%のエポキ
シ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比較
例)。 5−樹脂結合磁石に皮膜を施さず、そのまま試験した
(比較例)。
【0092】
【表3】
【0093】実施例4 SmFe17の組成を持つ平均粒度2.5μmの
ボンド磁石用粉末を使用した。この粉末にエポキシ樹脂
を3wt%を加えて混合し、5t/cmの加圧力で圧
縮形成して、22mmφ×20mmφ×10mmの成形
体を80個得た。これを150℃で1時間キュアーし樹
脂結合磁石とした。次に容積2.8リットル深さ150
mmの円形ポットに、直径φ3,0mmの鋼球を10k
g投入し、振動数2500c.p.m.、振幅5mmの
振動を加えながら、平均粒度1μmのAl粉末を20g
投入し5分間Al粉末と鋼球に振動を加えた。次にあら
かじめエポキシ樹脂(10%MEK溶液)に浸漬して表
面を樹脂で覆った磁石を20個投入し、15分間振動さ
せた後取り出した。磁石を120℃で2hr加熱してエ
ポキシ樹脂をキュアした後、最後に平均粒径2mmのク
ルミ殼0.2kgと共に皮膜形成用と同じサイズのポッ
トに入れて5分間振動させ、表面に残留した余剰の粉末
を除去した。
【0094】以下同様の方法により各種粉末を被覆した
磁石をそれぞれ20個ずつ作成し、85℃×90%RH
の条件で耐食性を評価した(チェック項目−外観)。そ
の結果を表4に示す。なお、表4中の判定基準A〜E
は、表1の判定基準A〜Eと同じである。
【0095】表中、左欄の数字はそれぞれ以下の処理を
意味する。 1−上記の処理により平均膜厚が10μmの皮膜を形成
した。 2−Al粉末に代えて、平均粒径が0.3μmのTiO
粉末を使用した。 3−樹脂結合磁石に、TiO添加量が20%のエポキ
シ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比較
例)。 4−樹脂結合磁石に皮膜を施さず、そのまま試験した
(比較例)。
【0096】
【表4】
【0097】実施例5 Nd13.8Dy0.4Fe78.27.6の組成を
もつインゴットをスタンプミルで平均粒径が20μmに
なるように粗粉砕し、次にジェットミルで平均粒径が
3.0μmになるように粉砕した。この微粉砕粉に12
kOeの磁場をかけながら金型中で磁場と直角の方向に
1.5t/cmの力で加圧し圧粉体を得た。この圧粉
体を真空中で1100℃で2時間焼結した後650℃で
1時間時効処理して120個の焼結体を得た。この焼結
体をグラインダーで全面研磨した後、遠心バレル研磨に
よりコーナーを落とし、続いて洗滌乾燥した。製品の寸
法は20mmφ×5mmの円盤状であった。次に容積
2.8リットル深さ150mmの円形ポットに、直径φ
3.0mmの鋼球を10kg投入し、振動数2500
c.p.m.、振幅5mmの振動を加えながら、平均粒
度1μmのAl粉末を20g投入し5分間Al粉末と鋼
球に振動を加えた。次にあらかじめエポキシ樹脂(10
%MEK溶液)に浸漬して表面を樹脂で覆った磁石を2
0個投入し、15分間振動させた後取り出した。磁石
120℃で2hr加熱してエポキシ樹脂をキュアした
後、最後に平均粒径2mmのクルミ殼2kgと共に同じ
サイズのポットに入れて5分間振動させ、表面に残留し
た余剰の粉末を除去した。
【0098】以下同様の方法により各種粉末を被覆した
磁石をそれぞれ20個ずつ作成し、85℃×90%RH
の条件で耐食性を評価した。その結果を表5に示す。
お、表5中の判定基準A〜Eは、表1の判定基準A〜E
と同じである。
【0099】表中、左欄の数字はそれぞれ以下の処理を
意味する。 1−上記の処理により平均膜厚が10μmの皮膜を形成
した。 2−Al粉末に代えて、平均粒径が0.3μmのTiO
粉末を使用した。 3−Al粉末に代えて、平均粒径が0.3μmのTiO
粉末を使用して皮膜を形成した(残留粉の除去せず)
後、エポキシ樹脂(5%MEK溶液)に浸漬し、再び、
平均粒径が0.3μmのTiO粉末を使用して皮膜を
形成した(残留粉の除去せず)。その後、120℃で2
時間キュアし、続いてクルミ殻による残留粉の除去を行
い、平均膜厚が20μm(最大値27μm、最小値18
μm)の皮膜を形成した。 4−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのTiO
末を使用して皮膜を形成した(残留粉の除去せず)後、
エポキシ樹脂(5%MEK溶液)に浸漬し、再び、平均
粒径が0.3μmのTiO粉末を使用して皮膜を形成
した(残留物の除去せず)。その後さらにエポキシ樹脂
(5%MEK溶液)の浸漬し、続いて120℃で2時間
キュアし、続いてクルミ殼による残留物の除去を行い、
平均膜厚が22μm(最大値29μm、最小値20μ
m)の皮膜を形成した。 5−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのFe
粉末を使用した。 6−樹脂結合磁石に、TiO添加量が20%のエポキ
シ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比較
例)。 7−樹脂結合磁石に皮膜を施さず、そのまま試験した
(比較例)。
【0100】
【表5】
【0101】実施例6 SmCo4.6の組成をもつインゴットをスタンプミル
で平均粒径が25μmになるように粗粉砕し、次にジェ
ットミルで平均粒径が4.0μmになるように粉砕し
た。この微粉砕粉に12kOeの磁場をかけながら金型
中で磁場と直角の方向に1.5t/cmの力で加圧し
圧粉体を得た。この圧粉体を真空中で1210℃で2時
間焼結し、その後除冷して80個の焼結体を得た。この
焼結体をグラインダーで全面研磨した後、遠心バレル研
磨によりコーナーを落とし、洗滌乾燥した。製品の寸法
は20mmφ×5mmの円盤状であった。次に容積2.
8リットル深さ150mmの円形ポットに、直径φ3.
0mmの鋼球を10kg投入し、振動数2500c.
p.m.、振幅5mmの振動を加えながら、平均粒度
0.3μmのTiO粉末を20g投入し5分間TiO
と綱球に振動を加えた。次にあらかじめエポキシ樹脂
(10%MEK溶液)に浸漬して表面を樹脂で覆った磁
石を20個投入し、15分間振動させた後取り出した。
120℃で2hr加熱後最後に平均粒径2mmのクルミ
殻2kgと共に同じサイズのポットに入れて5分間振動
させ、表面に残留した余剰の粉末を除去した。
【0102】以下同様の方法により各種粉末を被覆した
磁石をそれぞれ20個ずつ作成し、85℃×90%RH
の条件で耐食性を評価した。その結果を表6に示す。
お、表6中の判定基準A〜Eは、表1の判定基準A〜E
と同じである。
【0103】表中、左欄の数字はそれぞれ以下の処理を
意味する。 1−上記の処理により平均膜厚10μmの皮膜を形成
た。 2−上記の処理を2回行い、平均膜圧が20μmの皮膜
を形成した。 3−焼結磁石に、TiO添加量が20%のエポキシ樹
脂をスプレー塗装し、 120℃で6時間キュアして、平均20μmの膜厚の塗
膜(単膜)を形成した(比較例)。 4−焼結磁石に皮膜を施さず、そのまま試験した(比較
例)。
【0104】
【表6】
【0105】実施例7 Sm(Co0.69Fe0.2Cu0.06Zr
0.037.3の組成をもつインゴットをスタンプミ
ルで平均粒径が25μmになるように粗粉砕し、次にジ
ェットミルで平均粒径が4.0μmになるように粉砕し
た。この微粉砕粉に12kOeの磁場をかけながら金型
中で磁場と直角の方向に1.5t/cmの力で加圧し
圧粉体を得た。この圧粉体を真空中で1215℃で2時
間焼結し、1170℃で1時間溶体化を行い850℃で
2hr時効後除冷して80個の焼結体を得た。この焼結
体をグラインダーで全面研磨した後、遠心バレル研磨に
よりコーナーを落とし、洗滌乾燥した。製品の寸法は2
0mmφ×5mmの円盤状であった。次に容積2.8リ
ットル深さ150mmの円形ポットに、直径φ3.0m
mの鋼球を10kg投入し、振動数1500c.p.
m.、振幅5mmの振動を加えながら、平均粒度0.3
μmのTiO粉末を投入し5分間TiO粉末と鋼球
に振動を加えた。次にあらかじめエポキシ樹脂(10%
MEK溶液)に浸漬して表面を樹脂で覆った磁石を20
個投入し、15分間振動させた後取り出した。磁石を1
20℃で2hr加熱してエポキシ樹脂を硬化した後、最
後に平均粒径2mmのクルミ殼2kgと共に同じサイズ
のポットに入れて5分間振動させ、表面に残留した余剰
の粉末を除去した。
【0106】以下同様の方法により各種粉末を被覆した
磁石をそれぞれ20個ずつ作成し、85℃×90%RH
の条件で耐食性を評価した。その結果を表7に示す。
お、表7中の判定基準A〜Eは、表1の判定基準A〜E
と同じである。
【0107】表中、左欄の数字はそれぞれ以下の処理を
意味する。 1−上記の処理により平均膜厚が10μmの皮膜を形成
した。 2−TiO粉末に代えて、平均粒径が1μmのFe
粉末を使用した。 3−TiO粉末に代えて、平均粒径が1μmのAl粉
末を使用した。 4−焼結磁石に、TiO添加量が20%のエポキシ樹
脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアして、平
均20μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比較
例)。 5−焼結磁石に皮膜を施さず、そのまま試験した。
【0108】
【表7】
【0109】実施例8 下記の粉末(イ)(ロ)を、下記の加圧力の下でダイプ
レス法により成形して25mmφ×20mmφ×10m
mのリング状圧粉体を作成した。 (イ)Al−2.75wt%Li ガスアトマイズ粉末 平均粒度 20μm 加圧力 2ton/cm (ロ)Mg ガスアトマイズ粉末 平均粒度 20μm 加圧力 2ton/cm
【0110】これらの圧粉体をAr雰囲気中で600℃
で6時間焼結した。焼結体の密度はいずれも真密度の9
0%であった。得られた焼結体に次のような被覆処理を
各20ずつ施した。1. 容積2.8リットル、深さ150mmの円形ポット
に直径φ3.0mmの鋼球10kg(見掛け密度5kg
/リットル)を入れ、平均粒度1μmのTiO粉末を
20gを投入して5分間振動させて、均一にTiO
末を分散させた。振動の条件は振動数2500c.p.
m.、振幅5mmであった。
【0111】次にあらかじめ、樹脂分(エポキシ樹脂9
7wt%、硬化剤3wt%)10%を溶かしたメチルエ
チルケトン(MEK)に焼結体に浸漬することにより、
樹脂膜で覆った部材を投入してさらに15分間振動を続
けた。これを120℃で2hr加熱した後、粉砕したク
ルミ殻(平均粒度2mm)2kg(見掛け密度1kg/
リットル)と共に前記ポットと同サイズのポットに投入
し、同様の条件にて5分間振動させることにより、部材
表面に残留した余剰の粉末を除去した。膜厚は平均10
μmであった。
【0112】2.上記の1と同様の方法により約5μm
のCu膜を付与した(Cu粉粒径1μm、15g使
用)。その後、電解めっきにより平均10μm(最大値
14μm、最小値8μm)のNiめっき膜を形成させ
た。
【0113】3.本実施例(Al−Li、Mg)におい
ては、Al、Mgがイオン化傾向がNiより非常に大き
いため、Niめっきを直接施すことができない。そこで
水酸化ナトリウム、酸化亜鉛、ロッシェル塩その他微量
添加物からなる市販のZn置換溶液に部材を浸漬して表
面にZn置換処理(ジンケート処理)を施し後、ワット
浴による電解Niめっき処理を実施して平均10μmの
Niめっき膜を形成させた。
【0114】4.焼結体にスプレー塗装により平均10
μmのエポキシ樹脂(カーボンブラック20%添加)皮
膜を形成した。5. 焼結体に皮膜を形成せず、試験した。上記の粉末(イ)(ロ)を用いて、上記1〜5の方法に
より各種粉末を被覆した焼結体をそれぞれ20個ずつ作
成し、85℃×90%RHの条件で耐食性を評価した
(チェック項目:外観)。その結果を表8に示す。な
お、表8中の判定基準A〜Eは、表1の判定基準A〜E
と同じである。また、錆は白粉状のAlもしくはMgの
酸化物とみられる。上記の3の場合には、めっき液の残
留によると思われる膜はがれが多く見られた。
【0115】
【表8】
【0116】実施例9 下記の粉末(ハ)(ニ)を、下記の加圧力の下でダイプ
レス法により成形して、20mm×20mm×5mmの
プレート状圧粉体を作成した。 ()Fe−0.3%C 電解アニール粉末(平均粒度50μm) 加圧力 3ton/cm )Al−1%Si ガスアトマイズ粉末(平均粒度25μm) 加圧力 3ton/cm)については真空中で1300℃で6時間、(
については600℃で6時間焼結した。焼結体の密度は
)については85%、()については90%であ
った。得られた焼結体に次のような被覆処理を各20
ずつ施した。1. 容積2.8リットル、深さ150mmの円形ポット
に直径φ3.0mmの鋼球10kg(見掛け密度5kg
/リットル)を入れ、平均粒度1μmのFe粉末
を20g投入して5分間振動させて、均一にFe
粉末を分散させた。振動の条件は振動数2500c.
p.m.、振幅5mmであった。
【0117】次にあらかじめ、樹脂分(エポキシ樹脂9
7wt%、硬化剤3wt%)10%を溶かしたメチルエ
チルケトン(MEK)に浸漬することにより、樹脂膜で
覆った部材を投入してさらに15分間振動を続けた。こ
れを120℃で2hr加熱した後、粉砕したクルミ殼
(平均粒度2mm)2kg(見掛け密度1kg/リット
ル)と共に前記ポットと同サイズのポットに投入し、同
様の条件にて5分間振動させることにより、部材表面に
残留した余剰の粉末を除去した。膜厚は平均10μmで
あった。
【0118】2.1と同様の方法により約5μmのCu
膜を付与した(Cu粉粒径1μm、15g使用)。その
後、電解めっきにより平均10μmのNiめっき膜を形
成させた。
【0119】3.部材をあらかじめ実施例8−と同様
にZn置換処理後、電解めっきにより平均10μmのN
iめっき膜を形成させた。
【0120】4.スプレー塗装により膜厚が平均10μ
mのエポキシ樹脂皮膜(TiO20%添加)を形成さ
せた。 5.被覆なし
【0121】以上の処理を施した焼結体に対しJIS腐
食試験方法による中性塩水噴霧試験(35℃、5%Na
Cl)を行い、外観観察を行った。 上記の粉末(ハ)
(ニ)を用いて、上記1〜5の方法により各種粉末を被
覆した焼結体の試験結果を表9に示す。なお、表9中の
判定基準A〜Eは、表1の判定基準A〜Eと同じであ
る。また、(ハ)(ニ)共に、上記の3の場合には、め
っき膜に多数ふくれが生じた。
【0122】
【表9】
【0123】実施例10 下記非金属部材a、bを作成した。 .Ni−Znフェライト焼結体(密度−真密度に対し
て98%)を下記の原料を混合し、圧粉し、焼結して得
た。NiO:Fe:ZnO=20:50:30
(モル比)。焼結体を切断し、研磨して15mm×15
mm×5mmのブロックを得た。 .Srフェライト焼結体(密度−真密度に対して98
%)を下記の原料を混合し、圧粉し、焼結して得た。S
rCO:Fe=1:5.9(モル比)。焼結体
を切断し、研磨して15mmφ×4mmの円柱を得た。
【0124】これらの非金属部材a、bに次の皮膜処理
を施した。1. 実施例8と同様の処理によりTiO皮膜を形成し
た。 (図10、A−、B−)2. エポキシ樹脂(TiO20%添加)をスプレー塗
装した。 (図10、A−、B−) 処理後切断して顕微鏡により非金属部材上の膜厚分布状
態を観察した。結果を図10に示す。図より本発明法1
の方が、コーナー部でのつき回りが薄く従来法2より均
一な塗装が可能であることがわかる。
【0125】実施例11 直径40mm、肉厚2mmの半球状おわん型のプラスチ
ック部材を金型成形した。容積2.8リットル、深さ1
50mmの円形ポットに直径φ3.0mmの鋼球を10
kg入れ、平均粒度1μmのCu粉末を10g投入して
5分間振動させた。次に部材の全面にメチルエチルケト
ン(MEK)を吹きつけ、表面を粘着性とし、前記ポッ
ト内に投じて15分間振動を続けた。その後プラスチッ
ク部材を取り出して50℃で2hr加熱した後、粉砕し
たクルミ殻(粒径2mm)2kgと共に同サイズの別の
ポットに入れ、5分間振動させ、部材表面の残留粉をと
り除いた。
【0126】これにより部材表面に約4μmのCu層が
形成され、処理前には無限大であった表面の抵抗値が
0.2〜0.5Ω/cmに減少し、通常のワット浴を用
いて容易にNiめっきを施すことができた。めっき後の
部材にテープ試験を行ったが、剥離は起こらなかった。
【0127】実施例12 図11に示す心臓型のガラス片100個に下記の処理を
施した。 1.5%メチノレエチルケトン(MEK)溶液を樹脂と
して使用したほかは実施例8と同じ処理により、平均粒
径1μmの金粉5gを投入して15分振動させたとこ
ろ、約2μmの美しい金皮覆が施された。テープ試験で
は剥離はみられなかった。
【0128】2.実施例8と同様の処理により、平均粒
径1μmのCu粉20gを投入して15分振動させるこ
とにより、約10μmのCu皮覆を施した。これによ
り、部材の表面抵抗は0.2〜0.5Ω/cmとなり、
充分電気めっきが可能な状態となった。引き続き電解め
っきにより約2μmの金めっきを施すことにより、光沢
のある極めて美しい表面が得られた。
【0129】実施例13 Nd13.8Dy0.4Fe78.27.6の組成を
もつインゴットをスタンプミルで平均粒径が20μmに
なるように粗粉砕し、次にジェットミルで平均粒径が
3.0μmになるように微粉砕粉に12kOeの磁場を
かけながら金型中で磁場と直角の方向に1.5t/cm
の力で加圧し圧粉体を得た。この圧粉体を真空中で1
100℃で2時間焼結した後、650℃で1時間時効処
理して60個の焼結体を得た。この焼結体をグラインダ
ーで全面研磨した後、遠心バレル研磨によりコーナーを
落とした後、洗滌乾燥した。製品の寸法は20mmφ×
5mmの円盤状であった。次に容積2.8リットル深さ
150mmの円形ポットに、直径φ3.0mmの鋼球を
10kg投入し、振動数2500c.p.m.、振幅5
mmの振動を加えながら、平均粒度1μmのスズ粉末3
0gを投入し5分間スズ粉末と鋼球に振動を加えた。次
にあらかじめ5%パラフィンMEK溶液に浸漬して表面
を樹脂で覆った磁石を20個投入し、15分間振動させ
た後取り出した。最後に平均粒径2mmのクルミ殼片2
kgと共に同じサイズのポットに入れて5分間振動さ
せ、表面に残留した余剰の粉末を除去した。
【0130】次に部材を300℃で4時間真空中で加熱
して取り出し、85℃×90%RHの条件で耐食性を評
価した(チェック項目:外観)。その結果を表10に示
す。なお、表10中の判定基準A〜Eは、表1の判定基
準A〜Eと同じである。
【0131】表の左瀾の数字は以下の処理を意味する。 1 スズ処理品(平均膜厚 10μm) 2 スプレー塗装(エポキシ樹脂;TiO 20%添
加)平均膜厚10μm 3 処理なし
【0132】
【表10】
【0133】
【発明の効果】以上説明したように本発明は簡便な方法
により、耐食性、密着性にすぐれた粉体皮膜を各種部材
に施すことができるので、従来よりも粉体皮膜の適用範
囲が拡大される。さらに、従来樹脂塗装では十分な耐食
性が得られない被処理材に本発明法を適用することに
よって優れた耐食性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による撹拌をアームにより行う実施例を
示す図である。
【図2】本発明による撹拌を羽により行う実施例を示す
図でる。
【図3】本発明による撹拌を回転容器の回転により行う
実施例を示す図である。
【図4】本発明による撹拌を円筒容器の回転により行う
実施例を示す図である。
【図5】本発明による撹拌を円筒容器の揺動により行う
実施例を示す図である。
【図6】本発明による撹拌を容器を回転軸の回りに回転
させて行う実施例を示す図である。
【図7】本発明による振動をポットの加振により行う実
施例を示す図である。
【図8】本発明による振動をといの加振により行う実施
例を示す図である。
【図9】といの実施例を示す図である。
【図10】皮膜の付き回りを示す図である。
【図11】被処理部材の図である。
【図12】皮膜中TiO粒子の構造を示す電子顕微鏡
写真である。
【符号の説明】
2 容器 3 アーム 4 回転軸 5 羽 6 ローラー 8 加振器 10 皮膜形成混合物 20 とい 22 ふるい 24 皮膜形成媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−15182(JP,A) 特開 平1−192514(JP,A) 特開 昭63−228174(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 26/00

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも一部に粘着物質層が形成された
    被処理部材に、直に、或いは、皮膜形成媒体を介して粉
    体物質を付着させるとともに、前記被処理部材に、粉体
    物質が付着された皮膜形成媒体を衝突させて、被処理部
    材に、粉体物質を含む皮膜を形成することを特徴とする
    皮膜形成方法。
  2. 【請求項2】被処理部材、皮膜形成媒体、被処理部材に
    粘着物質層を形成するための粘着物質及び粉体物質を
    に装入し、該容器に振動又は攪拌を加えて、粘着物質
    層が形成された前記被処理部材に、粉体物質が付着され
    た皮膜形成媒体を衝突させて、被処理部材に、粉体物質
    を含む皮膜を形成することを特徴とする皮膜形成方法。
  3. 【請求項3】少なくとも一部に粘着物質層が形成された
    被処理部材を、皮膜形成媒体及び粉体物質が装入されて
    いるとともに、振動又は攪拌が加えられている容器に装
    し、前記被処理部材に、粉体物質が付着された皮膜形
    成媒体を衝突させて、被処理部材に、粉体物質を含む皮
    膜を形成することを特徴とする皮膜形成方法。
  4. 【請求項4】皮膜形成媒体が装入されているとともに、
    振動又は攪拌が加えられている容器に、少なくとも一部
    粘着物質層が形成された被処理部材及び粉体物質を、
    同時に或いは逐次、装入し、前記被処理部材に、粉体物
    質が付着された皮膜形成媒体を衝突させて、被処理部材
    に、粉体物質を含む皮膜を形成することを特徴とする皮
    膜形成方法。
  5. 【請求項5】被処理部材に皮膜を形成した後、皮膜中に
    残留する粘着物質層を構成した物質を硬化或いは除去す
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の皮膜形成方法。
  6. 【請求項6】被処理部材に皮膜を形成した後、皮膜の表
    面に残留する余剰粉体物質を除去することを特徴とする
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膜形成方法。
  7. 【請求項7】皮膜が形成された被処理部材に熱処理を施
    すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載
    の皮膜形成方法。
  8. 【請求項8】皮膜が形成された被処理部材に、更に皮膜
    を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1
    項に記載の皮膜形成方法。
  9. 【請求項9】皮膜が形成された被処理部材に、更に形成
    される皮膜が塗装により形成されることを特徴とする請
    求項8に記載の皮膜形成方法。
  10. 【請求項10】皮膜を導電性粉体物質を用いて形成した
    被処理部材に、金属又は合金の皮膜を形成することを特
    徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の皮膜形成
    方法。
  11. 【請求項11】金属又は合金の皮膜を、電気めっき又は
    無電解めっきにより形成することを特徴とする請求項1
    0に記載の皮膜形成方法。
  12. 【請求項12】被処理部材が希土類焼結磁石であること
    を特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の皮
    膜形成方法。
  13. 【請求項13】被処理部材が希土類樹脂結合磁石である
    ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載
    の皮膜形成方法。
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