JPH05237439A - 皮膜形成方法 - Google Patents

皮膜形成方法

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JPH05237439A
JPH05237439A JP7222092A JP7222092A JPH05237439A JP H05237439 A JPH05237439 A JP H05237439A JP 7222092 A JP7222092 A JP 7222092A JP 7222092 A JP7222092 A JP 7222092A JP H05237439 A JPH05237439 A JP H05237439A
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resin
powder
forming
treated
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JP7222092A
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Masato Sagawa
眞人 佐川
Hiroshi Watanabe
寛 渡邊
Hiroo Shirai
啓雄 白井
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Intermetallics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 密着性にすぐれ、粉体含有量が高い粉体皮膜
を簡便な方法で形成する。 【構成】 被処理部材23、皮膜形成の少なくとも初期
において未硬化の状態にある樹脂、粉体物質、皮膜形成
媒体24を加振又は攪拌8、10する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は各種部材の表面に皮膜を
形成する方法に関するものである。ここで言う各種部材
とは、各種機械、自動車及びその他の車両、船舶、飛行
機などに使用される機械部品、電気・電子部品、装飾用
品、金具、磁石、玩具部品などである。また部材の材質
は、金属、合金、金属間化合物、無機化合物、プラスチ
ック、セラミックスなどである。また、各種部材はすで
に表面に公知の各種皮膜が形成されているかあるいは表
面改質が施されていてもよい。
【0002】また、本願発明の方法により形成する「皮
膜」は、従来粉体を用いた被覆法が適用されている、あ
らゆる用途への応用が可能であるが、その主なものとし
ては部材への防食、機械的強度付与、絶縁層形成及び/
又は美観付与、さらには公知の各種皮膜を形成するため
の下地層の形成等を挙げることができる。またこの他、
種々の目的のために金属や炭素などの粉末を使用して導
電性皮膜を形成させたり、蛍光体皮膜の形成にも用いる
ことができる。また、これらの目的以外にも皮膜に使用
される粉体物質の物理的、化学的性質を有効に利用でき
る目的にも適用可能である。永久磁石粉末を用いてごく
薄い永久磁石層を形成させる磁性体への応用、ダイヤモ
ンドやSiC粉末の基板上への形成による工具や刃物へ
の応用など、各種用途への適用が可能である。
【0003】
【従来の技術】特に、本発明は粉体の皮膜を形成する方
法の改良に関する。粉体の皮膜を形成する従来技術とし
ては以下の方法が公知である。
【0004】粉体塗装 この方法は、予備加熱した部材に粉体塗料を散布、噴
霧、溶射などにより堆積し溶融させ、塗膜を得る方法で
ある。この方法は溶剤を使用しないので、溶剤による公
害がなくかつ省資源的である利点をもっている。この方
法に関する特許文献としては、特開平2−258084
号、特公昭57−13347号、特開昭53−2934
7号、特公昭58−37029号がある。また、粉体塗
装は静電スプレー塗装によっても行われる。
【0005】粉体被覆 この方法は被処理部材表面が接着性をもっているもの
と、非接着性である方法に分けられる。前者に属する特
開平2−71872号によると、予め粘着性を与えた部
材表面に粉体物質を接触させ、部材に振動を加えて部材
表面に付着した粉体をかさ密度以下に圧縮し、その後部
材に固着していない粉末を除去する方法が開示されてい
る。部材としてはカラーテレビジョンのスクリーンが、
粉体としては蛍光トナーが前記公報に具体例として示さ
れている。
【0006】後者に属する特開昭52−43731号
は、中空の金属製品内に金属または合金粉末及び球状も
しくは粒状の硬質物質を入れ、この金属製品を回転もし
くは振動させて、金属もしくは合金粉末を製品内面に被
覆する方法を開示する。粉体は金属製品に圧着され、同
時に振動に起因する熱エネルギにより粉末の金属と製品
の金属の間に拡散を起こさせることにより拡散接合も行
われる。この方法によると中空製品の内面の耐熱性が向
上することが謳われている。
【0007】また同様にの後者に属する技術として
は、円筒形密閉容器又は上部が開放されたドラム形容器
に金属部品、金属粉末、潤滑剤および鋼球もしくはガラ
ス球を投入して容器を回転させ、球による打撃力によっ
て金属粉末を部材表面に圧接する方法である(例えば米
国特許2,640,001, 4,849,258)。
この方法によると、潤滑剤の存在によって金属粉末が凝
集することなく、均一に分散、流動するため、均一で仕
上がりのよい金属皮膜が得られ、また金属粉末、球、部
材間の余分な摩擦力が減少し、打撃力が部材と金属粉末
の圧接に効率よく使われるため、前掲の特開昭52−4
3731号に開示された方法よりは低い打撃力で膜形成
が可能となる。潤滑剤としては米国特許2,640,0
01号では溶媒に希釈した植物性油脂類、脂肪酸など
が、その改良発明である米国特許4,849,258号
ではこれら油脂類に加え、シリコン系のオイルグリ−
ス、さらにはシリコン樹脂類が挙げられている。
【0008】次に同様に後者のに属する特開昭56−
45372号では鉄または鉄合金を核とし、この核の周
囲に鉄亜鉛合金層を介して亜鉛合金を被着してなる独立
した被着粒子の集合体からなるブラスト材料を鉄または
鉄合金の表面に投射することによって鉄または鉄合金の
表面に亜鉛被覆皮膜を形成させる方法が開示されてい
る。また、特開昭60−245784号では得られた亜
鉛皮膜の表面にさらにクロメ−ト被膜を形成させ、耐食
性を向上させる方法が開示されている。
【0009】金属粉末圧延法 金属粉末を圧延板の表面に付着させ、ロール圧延により
粉末を圧延板に圧着し、その後熱処理により拡散接合す
る方法である(特開昭52−33840、51−143
531号、57−54270号、47−29232号参
照)。
【0010】その他の方法 原料として粉体を使用する皮膜形成法としては金属やセ
ラミックスの溶射法があるが、溶射により得られる皮膜
は粉体の一部又は全面溶融により連続膜となっている。
また溶射により吹きつけられる膜形成材料と部材とは、
樹脂を間にはさまず、直接接触する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】粉体皮膜の形成方法
は、各種皮膜形成法に対して以下のような利点をもって
いる。電気めっきあるいは無電解めっき法に対して:
酸、アルカリなどを使用しないために、処理廃液の処理
が不必要になるとともに、被処理部材が活性であって
も、腐食等の問題が起こらない。溶融めっき法に対し
て:被処理部材を高温にさらすことが避けられる。PV
D,CVD法に対して:大掛かりな装置が不要、生産性
が高い。
【0012】しかしながら、粉体皮膜を各種部材に適用
するには皮膜に要求される性能が満足されるほかに、皮
膜形成法の能率や信頼性が高いことが必要である。
【0013】の粉体塗装方法は、塗料の散布、スプレ
ーなどにより粉体塗料を被処理部材に適用するが、被処
理部材が小物であるときはそれを反転させる、あるいは
鈎等に釣り下げるなどの操作が必要であるために、能率
的とは言えない。
【0014】の粉体被覆法のうち特開平2−7187
2号公報に開示された方法は、粘着性表面に付着した粉
体はある程度の付着力を有するが、その上にある粉末は
粉末粒子相互の振動により粉末が圧縮されているにすぎ
ないので、粉体被覆は外力がかかったときに脱落しやす
く、また腐食性媒体が容易に浸透する隙間も多いため
に、防食などの目的には向かない。さらに、被処理部材
が凹凸を有する場合は、凹部への粉体の付き回りが不良
である。
【0015】の粉体被覆法のうち特開昭52−437
31号に開示された方法は、機械的結合(圧着)と拡散
接合を同時に行うものである。このためには相当のエネ
ルギが必要であり、例えば実施例では加振力500kg
の振動ミルや回転数300rpmの高速遊星ミルが用い
られている。したがって、被処理部材は強度が高いこと
が必要であり、セラミックや強度の低いプラスチックな
どは被処理部材とならない。また、酸化物等の脆い粉体
は振動により破壊されるので、適用できない。
【0016】の特開昭52−43731号に開示され
た方法は、内面だけの被覆にしか適用できず、また相当
の高エネルギが必要であるために、本発明で言う各種部
材に皮膜を形成する方法には採用できない。
【0017】の前掲米国特許で提唱されている潤滑剤
を使用する方法では、これら潤滑成分を単独で使用した
場合に、部材表面に潤滑成分(油脂、樹脂類)の膜が形
成され、これを解消するために、強力な乳化剤を相当量
添加することが必須であるとの記述がある。もし乳化剤
を添加しなければこれら潤滑剤が粘着性皮膜となって部
材を覆い、皮膜の形成が起こらなくなることが明記され
ている。また、使用できる粉末はZn,Sn,Cuなど
軟質の金属粉末に限られる。
【0018】の特開昭56−45372号及び特開昭
60−245784号に記載されている方法において
は、鉄粒子表面にZnなどを付着させるためのコストが
かかり、またこの方法はショットブラストと同様に強い
打撃力を鉄粒子により被処理部材に加えることが必要で
ある。
【0019】の金属粉末圧延法は被処理部材が板であ
りかつ圧延可能な材質に限られるので、機械部品などに
直接粉体皮膜を形成することはできない。
【0020】の金属やセラミックスの溶射法では部材
の温度が上昇するため、プラスチックのように軟化温度
の低い部材、あるいは永久磁石など電気、磁気的性質が
温度上昇により劣化する部材の皮覆に向かない。また、
部材表面がショットブラストや酸洗等により充分清浄
化、活性化されていないと皮膜の密着力が低下する。
【0021】上述の点に鑑み、本発明は、上述のような
従来法の欠点をもたない手段で、付着力が優れかつ緻密
な粉体皮膜を部材表面に形成することができる皮膜形成
方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明法におけ
る粉体皮膜形成法において従来法に比べて特長的なとこ
ろは以下にある。樹脂、粉体物質及び被処理部材を皮膜
形成媒体とともに容器内で振動又は攪拌すると、被処理
部材表面にまず樹脂の層が形成される。この樹脂層の厚
みは、粉体物質、樹脂、皮膜形成媒体、被処理部材の投
入順序や混合の仕方によって変わり、例えば、樹脂と粉
体物質の投入が同時に行われる場合は、部材表面と樹脂
及び部材表面と粉体粒子の接触が同時に起こるために、
部材表面に形成される樹脂単独の層は非常に薄くなる
か、検出困難になることがある。
【0023】樹脂皮膜形成に続いて、粉体物質が樹脂層
の粘着力により樹脂層に捕捉・固定される。同様に樹脂
層が被処理部材表面で硬化する時に粉体物質を捕捉して
硬化する。振動又は攪拌を受けている皮膜形成媒体は、
同様に振動又は攪拌を受けている粉体物質に打撃力を与
え、前記粉体物質の粒子は既に樹脂層に捕捉され、押し
込まれた粒子の間に圧入されるので、樹脂の粘着力等に
加えて皮膜形成媒体の打撃力により一層強く粉体物質は
固定される。また、一部被処理部材同志の衝突も起こ
り、同様に粉体物質の圧入が促進される。よって樹脂層
には次第に多くの粉体物質が混合されるようになるとと
もに、樹脂層も厚くなるので、皮膜が成長し続ける。
【0024】以上説明したように、樹脂と粉体物質の間
に結合が作りだされる他に、粉体物質の粒子同士も皮膜
形成媒体の打撃力を介して被処理部材表面で衝突するの
で、これらの間にも主として塑性変形とならびに副次的
に摩擦熱による原子間拡散とによる結合力が作りだされ
る。特に、粉体物質が、Al,Cu,Zn,Sn,A
u,Ag,Pbおよびこれらの合金等のように延性に富
む金属又は合金、あるいはプラスチックである場合は、
衝突したこれら粉末粒子が塑性変形して、圧接のように
接合される。またこのような接合は粉体物質と被処理部
材の間でも起こる。この結果皮膜内の物質の構成は強固
になる。粉体物質が非延性物質であると、粉体粒子間の
結合と、これによる皮膜層形成は起こり難くなる。
【0025】皮膜表面に衝突する皮膜形成媒体は粉体物
質の粒子の間から樹脂を絞りだし、形成中の皮膜表面に
にじみ出る。樹脂は皮膜形成媒体にも一部付着する。こ
の樹脂は皮膜形成媒体が他の被処理部材表面に際衝突す
る際に、再び被処理部材表面にも付着する。かかる樹脂
層表面に粉体粒子が付着する。このような樹脂の絞り出
しと前述の皮膜成長が同時に進行する。しかし膜の成長
と共に皮膜表面における粉体物質の割合が多くなる。す
ると皮膜形成媒体は皮膜表面における粉体物質に打撃を
与えるで、粉体物質は凝集しそしてますます樹脂の割合
は少なくなるとともに皮膜の成長速度が低下する。これ
は粉体物質が皮膜から脱落することと表層における付着
力が低くなることによる。
【0026】以上説明した本発明方法は前掲特開平2−
71872号の方法と比較すると、皮膜形成媒体の打撃
力を利用することを特徴とし、これにより接着力が優れ
かつ粉体密度が高い皮膜を得ることができる方法であ
る。また、本発明方法は前掲特開昭52−43731号
の方法と比較すると、接着面を他の皮膜形成混合物と一
緒に混合する樹脂、又は被処理部材にあらかじめ付与さ
れた樹脂で形成し、皮膜形成媒体の打撃力を利用するこ
とを特徴とし、これにより少ないエネルギで実用上十分
な接着力を持ちかつ緻密な皮膜を得ることができる方法
である。
【0027】米国特許4,849,258号に記されて
いるように、部材表面が粘着性の皮膜で覆われると、金
属粉末による被覆は行えないものと認識されていたが、
本発明は、樹脂の粘着力を逆に利用し、軟質金属のみな
らずあらゆる粉体の皮覆が可能を可能にした。
【0028】さらに、特開昭56−45372号及び特
開昭60−245784号のように軟らかい金属を部材
表面にたたきつけて塗りつける方法とは異なり、本発明
では粉体物質を部材表面に樹脂で接着するので、比較的
少ない打撃力で粉体皮膜を形成することができる。
【0029】以上のような皮膜形成過程を実現するため
に必要な条件(a)〜(d)を説明する。 (a)樹脂は皮膜形成過程の少なくとも初期において局
所的または全体的に未硬化の状態にある必要がある。も
し樹脂全体が皮膜形成過程の全体において硬化した状態
であると、例えば、完全に硬化した固体樹脂を単独で常
温で使用すると樹脂の部材表面への接着力がほとんどな
いため皮膜成長の先駆けとなる被処理部材表面における
樹脂層の形成が起こらず、また粉体粒子間へのにじみ出
しも起こらないため樹脂、粉体物質、被処理部材及び皮
膜形成媒体(以下、総称する場合は「皮膜形成混合物」
と称する)が単に混合されるに留まる。「未硬化」とは
皮膜中の樹脂に対し、溶媒の蒸発および/又はキュアリ
ング等が終了し、最終的に使用される段階にある樹脂よ
りも軟質の状態にあることをいう。
【0030】(b)被処理部材を含めて皮膜形成混合物
が振動又は攪拌させられる必要がある。なおこの際被処
理部材を固定してその他の皮膜形成混合物を混合しなが
ら被処理部材と接触させることも、被処理部材の皮膜形
成面が粉体物質などによる打撃力を受けるようにすれ
ば、可能である。
【0031】(c)皮膜形成媒体は打撃力を発生して皮
膜の形成の媒介をするが、それ自身は実質的に皮膜の成
分にならない。被処理部材より大きい皮膜形成媒体は前
者の表面上で均一な打撃力を発生することができず、ま
た粉末よりも小さいと皮膜形成媒体が皮膜中に捕捉され
てしまうので、請求項1に限定したような寸法の要件が
必要である。ただし、被処理部材よりも大きな皮膜形成
媒体は、小さな媒体の上記作用を妨げない範囲で含まれ
ていてもよく、逆に前者の後者に対する割合が大きくな
り過ぎると、リング部材の内面やコーナ−部のある部材
のコーナー部に膜形成が起こりにくくなる、打撃力が強
くなり過ぎて部材が破壊される、平滑な膜が形成されな
いなどの問題が起こる。
【0032】また、皮膜形成媒体の大きさの下限は、例
えば球状の媒体を使用する場合はその直径が0.3mm
以上、より望ましくは0.5mm以上が望ましく、他の
形状の場合もこれに準ずる。また被処理部材よりも小さ
いとは、媒体の一つ一つを同体積の球で置き換えたと
き、その直径が被処理部材のさしわたしのうち最大のも
のよりも小さいことを言う。ただし、長尺、大型の部材
の場合でも皮膜形成媒体の大きさは50mm径以下が望
ましく、20mm以下がさらに望ましい。また粉末に対
しては、平均寸法で要件を充たしていれば、所望の打撃
力をつくり出すことができる。すなわち、皮膜形成媒体
となる粒子の一部が粉体物質より細かくとも、平均寸法
で前者が後者より大きければ所望の打撃力を作りだすこ
とができる。ただし、これら粉体物質より細かい媒体は
皮膜中にとりこまれる恐れがあり、できるだけ含まれな
いことが望ましい。
【0033】皮膜形成媒体の材質は次の要件を満たして
いる必要がある。 皮膜形成前後に皮膜形成媒体を観察して肉眼で認めら
れるような大きな形状変化が塑性変形によって生ぜず、
かつ、皮膜形成過程において弾性変形が極端に大きくな
らないこと。したがって軟質ゴムなどはこの要件を満た
さない。 割れ、欠け、急激な摩耗などがないこと(長期的使用
による若干の摩耗はあってもよい)。
【0034】これらの要件を満たさない材質の皮膜形成
媒体が被処理材との衝突により塑性変形を起こしたりあ
るいは軟質ゴムのように極端に大きな弾性変形を起こし
たりすると、後者に与える打撃が不足して所望の皮膜形
成が起こらなくなる。また、割れ、欠け、急激な摩耗が
起こると、媒体の耐用寿命が短くなり、不経済である。
皮膜形成媒体は鉄球などのように1種類の物質からなる
必要はない。比重の軽いアルミナ球を使用し、その表面
を他の物質で被覆して皮膜形成媒体表面の硬さを調整す
ることができる。
【0035】(d)粉体物質は皮膜中に取り込まれるた
めには、皮膜形成媒体よりは小さくなければならない。
粉体物質の性質は特に限定されないが、樹脂粉末の場合
は皮膜形成過程において、(a)で述べた樹脂よりも硬
質な樹脂であることが必要である。すなわち、樹脂粉末
は、被処理部材表面に生成した樹脂膜が未硬化の時に、
皮膜形成媒体からの打撃により樹脂膜中にめりこむ程度
に硬いことが必要である。以下、各請求項を順にその構
成及び作用に関して説明する。
【0036】上述の要件(a)〜(d)からなる本発明
は、被処理部材表面に皮膜を密着して形成する方法にお
いて、被処理部材、皮膜形成過程の少なくとも初期にお
いて少なくとも部分的に未硬化の状態にある樹脂、粉体
物質(皮膜形成過程において前記樹脂よりも硬質の樹脂
粉末のこともある)、および前記被処理部材よりも寸法
が実質的に小さくかつ前記粉体物質よりは寸法が実質的
に大きい皮膜形成媒体に容器内にて振動または撹拌を加
えることにより、粉体物質を含む皮膜を形成することを
特徴とする皮膜形成方法である(請求項1)。
【0037】本発明において、樹脂としては、メラミン
樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ウ
レタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹
脂、尿素樹脂などの熱硬化性樹脂、不飽和ポリエステ
ル、不飽和ポリイソシアネート、水酸基をもつアクリル
・モノマーなど紫外線、電子線その他放射線照射により
硬化する樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリエチ
レン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、
ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ナイロン、ポ
リスチレン、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂などに加
えて、液状プレポリマもしくはモノマー、さらには一般
に粉末成形に用いられる有機結合剤、例えばパラフィ
ン、ゼラチン、ニカワ、ウルシ等天然物を使うこともで
きる。液状モノマーは使用し粉体をつけた後、紫外線照
射などにより硬化する。
【0038】また、樹脂は被処理部材の表面に均一に行
きわたる必要があるので、上記樹脂は液状または半液状
の未硬化のものが最も好ましい。また、流動性を高め、
部材表面に均一に行きわたらせるために固体または液状
の樹脂を有機溶媒もしくは水などの分散媒等で溶解、希
釈もしくは分散して使うことができる(請求項2)。こ
の場合、溶媒又は水は混合中に蒸発するので次第に粘着
性が高まり、粉体の付着が起こる。これら溶媒もしくは
分散媒は、その蒸発にともない、希釈された樹脂分の比
率が、振動又は攪拌中に20重量%以上になるようにす
ることが好ましい。振動又は攪拌中に樹脂分の濃度が低
過ぎると、樹脂の粘着力が低すぎるため、粉体の付着が
起こらなくなる。
【0039】また、熱可塑性樹脂は加熱して流動性およ
び粘着性を増大させて用いることができる。粉体樹脂を
溶媒などに分散しないで単独で使用する場合は、樹脂の
流動性が小さくなるので、粉体粒子間に均一に分散させ
るために粉体樹脂は粉体物質と同等もしくはより微細で
あることが望ましい。
【0040】さらに、被処理部材が樹脂ボンド磁石およ
びプラスチック部材のように樹脂を含有するときは、そ
の樹脂の溶剤を皮膜形成混合物に添加して、樹脂を被処
理部材から溶け出させて皮膜形成混合物に供給すること
もできる。一旦溶け出した樹脂は溶剤の蒸発などにより
樹脂の粘度が高められると、被処理部材に付着して樹脂
皮膜を形成する。また、予め樹脂を含む部材表面を溶剤
により粘性を与え、表面層に生成した未硬化樹脂層とし
て使用することができる。
【0041】次に粉体物質は被処理部材上に形成される
粉体皮膜の構成物質である。粉体物質としては各種金
属、合金粉末およびセラミックス粉末、さらには樹脂、
プラスチック、ダイヤモンド粉末などであり、防食、美
観付与、絶縁性付与、強度向上、切削性付与、電磁シー
ルド性や、永久磁石特性などの機能を有する各種粉体を
使用することができる。
【0042】一例をあげれば金属粉末としては、Al,
Cu,Mg,Ti,Fe,Cr,Co,Ni,Zn,P
b,Sn,Rh,Ir,Pd,Pt,Ag,Au,M
o,Wなどの粉末およびそれらを主成分とする合金粉末
がある。これらの金属はすべて樹脂より強度が優れてお
り、また水や塩水などによる変質が少ないために耐食性
が優れている。ステンレス,Cr,Ni,Mo,Wなど
は表面に強固な不働態膜を作るので、耐食性に優れてい
る。よってこれらの金属は皮膜の強度及び耐食性を高め
る。各金属が特長とするところを挙げると、Rh,I
r,Pd,Ag,Auなどは良好な美観と耐食性を有す
るので、これらの性質を皮膜に付与する。また、Cuな
どは良好な耐食性と電気伝導性を有するので、耐食皮膜
の形成、めっき下地皮膜の形成などに良好に使用され
る。Niもめっき下地皮膜の形成などに良好に使用され
る。Zn,Snはほとんどすべての金属を犠牲陽極効果
により防食する。
【0043】セラミックス粉末は金属よりも化学的に安
定であり、上記した樹脂−金属複合皮膜よりも耐食性が
優れている。これらセラミックとしては例えば酸化物、
MgO,Al23 ,SiO2 ,TiO2 ,CrO2
MnO2 ,Fe23 ,FeO,Fe34 ,CoO,
NiO,CuO,ZnO,ZrO2 ,MoOおよびそれ
らをベースとする複合酸化物、TiN,BN等各種安定
な窒化物等、SiC,WC,TiC等各種安定な炭化物
等を用いることができる。また、フェライトなどの磁性
酸化物、ダイヤモンドなどの高硬度粉末も使用すること
ができる。
【0044】上記した金属、セラミックスなどは樹脂に
配合剤、顔料などとして含まれていてもよい。また複数
種の粉末を混合して用いてもよい。
【0045】粉体物質として樹脂粉末を使用する場合
は、各種熱硬化性樹脂、熱加塑性樹脂及びこれらに各種
顔料を分散させた粉末樹脂を使用して、完全硬化させた
状態において、被覆性と密着性が良好であるため、結果
として耐食性に優れた粉体樹脂皮膜が得られる。この場
合、液状樹脂(すなわち未硬化の樹脂)と硬化した粉末
樹脂を皮膜形成媒体、および被処理部材と混合し、振
動、撹拌により粉体皮膜を形成する。
【0046】粉体物質の粒度は、被処理部材の大きさ、
皮膜の厚さ及び粉体物質の材質により変わる。セラミッ
クス粉体など硬質で変形しにくい材質の場合は粒度が小
さいことが望ましく、延性に富む金属粉などの場合はこ
れより大きくてよいが一般には0.05〜500μmの
範囲内である。着色や美観向上の目的で、0.01〜
0.05μm程度の既知の顔料、例えばカ−ボンブラッ
ク等を単独で、あるいは他の粉体と同時に用いることも
ある。望ましくは0.1〜300μm、より望ましくは
0.1〜100μmの範囲内である。最も望ましくは
0.1〜50μmの範囲である。一般に、粉体は粒度が
小さいほど未硬化の樹脂により捕捉されやすい。また粒
度が小さい粒子は、樹脂皮膜上に分散している粉体物質
の粒子の間に打撃により押し込まれ易く、塑性変形によ
る粉体同志あるいは被処理材料との圧着や結合が起こり
易い。したがって粉体物質の粒度が小さいほど、打撃力
が小さくて済み、また皮膜の表面粗さも小さくなる。
【0047】皮膜形成媒体は鉄、炭素鋼、その他合金
鋼、銅および銅合金、アルミおよびアルミニウム合金、
その他各種金属、合金製、あるいはAl23 ,SiO
2 ,TiO2 ,ZrO2 ,SiC等のセラミックス製、
ガラスさらに硬質プラスチック等を用いることができ
る。また皮膜成形に充分な打撃力が加えられるのであれ
ば、硬質のゴムも使用することができる。これら媒体の
サイズ、材質は部材の形状およびサイズ、使用する粉体
の材質に応じて適宜選択する必要がある。また複数のサ
イズ及び材質の媒体を混合して使用することもできる。
また場合によっては表面処理、表面被覆を施して使うこ
ともできる。また複数の上記材料によって構成された複
合媒体を用いてもよい。また、打撃力の緩和および平均
化を行い、皮膜の均質性、膜厚のばらつきを抑えるた
め、木粉や軟質ゴム、軟質プラスチック等軟質の媒体を
前記媒体に対し体積比の50%以下の範囲で適宜混合す
ることがある。これらは単独では打撃力をほとんど生じ
ないので、必ず前記皮膜形成媒体と併用される。
【0048】皮膜形成媒体の形状は、球状、楕円形、立
方体、三角柱、円柱、円錐、三角錐、四角錐、菱面体、
不定形体、その他各種形状を使用することができる。
【0049】皮膜形成混合物の各成分(要素)の割合は
各成分の所望の作用を発揮するように、いずれかの要素
に偏らず全体がバランスするように定める。粉体および
樹脂の量は、部材に付与する皮膜の厚みと、部材の表面
積の合計によって定まる。ただし、樹脂と粉体の比率
は、樹脂の硬化後の体積に換算して樹脂分を0.5%以
上に設定することが望ましい。ただし、請求項7の第二
の樹脂は0.05%以上であることが好ましい。これ以
下であると、粉体の部材への付着が不充分となる。ま
た、媒体と部材の混合比率は、部材の形状によって異な
るが、少なくとも見掛け容積比で媒体を20%以上、望
ましくは50%以上配合しないと、部材表面への均一か
つ充分な打撃が行われず良好な皮膜を得ることが難し
い。
【0050】容器内での振動又は攪拌は以下述べるよう
な種々の方法で実施することができる。容器2内に設け
られ回転軸4に固着されたアーム3(図1参照)、回転
軸4に固着された羽根5(図2参照)、または図示され
てはいないがインペラ、ブレードなどの撹拌機により為
される。なお、図中10は皮膜形成混合物である。ま
た、図3に示すようにドラム又はポット状容器自体をロ
ーラー6上で回転してもよい。さらに図4に示すよう
に、回転軸に固着されたドラム状容器2を回転してもよ
い。容器は上部が解放されていても、また密閉されてい
てもいずれでもよい。加えて図5に示すように容器2を
揺すってもよい。揺動中に撹拌を行ってもよい。また図
6に示す回転軸4に対称的に固着されたアーム7の先端
に取りつけられた容器2内に粉末混合物10を入れて遠
心力で粉末混合物を混合してもよい。容器2を自転させ
ることが好ましい。容器の動作が同じであれば、回転の
機構はこれに限らず、例えばディスク状のホルダーを使
ってもよい。
【0051】あるいは容器2内又は容器外に設けられた
加振器8により皮膜形成混合物に振動を加えてもよい
(図7参照)。以下振動を加える方法に例を取って皮膜
形成混合物に加える力(加振力)の大きさを説明する。
加振力を容器及び皮膜形成混合物の重力(以下「振動重
力」という)で平均した値(以下、「被加振力」−無次
元数−という)が皮膜形成媒体が被処理部材に加える衝
撃力の指標になる。具体例として、2.8リットルの容
器の重量−1kgf,スチールボール(皮膜形成媒体)
の重量−10kgf、被処理部材の重量−1kgfであ
る場合は、振動重力は12kgfとなる。このとき40
Hz周期の好ましい加振力は20〜50kgfである。
したがって被加振力は1.67(=20/12)〜4.
17(50/12)となる。
【0052】より大きい容器を使用する場合、具体例と
して20リットルの容器の重量−4.5kgf,スチー
ルボール(皮膜形成媒体)の重量−70kgf、被処理
部材の重量−5.5kgfである場合は、振動重力は8
0kgfとなる。このとき25Hz周期の好ましい加振
力は150kgfである。したがって被加振力は150
/80=1.88である。
【0053】被処理部材が鉄鋼材料等の強靭な材質でで
きている場合は被加振力の上限は約10でもよいが、希
土類磁石、ボンド磁石、セラミックス、ガラスなどの脆
い材質では被加振力の上限を5以下にすることが好まし
い。また、被加振力の下限は1以上、特に1.5以上で
あることが好ましい。被加振力がこの下限より小さいと
皮膜成長速度が遅くなり、一方上限より大きいと被処理
部材が脆い材質の場合その破壊が起こりやすくなり、ま
た皮膜形成媒体の変形も起こりやすくなる。振動の周波
数は特に限定されないが、2Hz〜200Hzの範囲で
あることが好ましい。この時の振幅が0.5〜10mm
で上記被加振力の範囲に入る。
【0054】続いて、撹拌方式の場合は、回転により発
生する遠心力が皮膜形成混合物と容器の合計重量に対し
て上記被加振力の範囲に入っていることが望ましい。し
かし回転数が大き過ぎかつ/または容器中における皮膜
形成混合物の体積割合が大きすぎると、皮膜形成混合物
が容器壁に押し付けられて混合が十分に起こらない。し
たがって回転数は200rpm以下かつ/又は前記の体
積割合は80%以下の条件を満たすことが好ましい。
【0055】さらに加振方式としては図8に示す装置を
使用することができる。好ましくは1〜20°の傾斜を
つけたU字状とい20の下面に加振機8を取り付け、皮
膜形成混合物10に振動を加えながらとい20上を滑り
落とす。断面形状はU字形には限定されず、円形、V字
形、角形など各種形状のものを用いることができる。ま
た、とい20の上部は必ずしも解放されていなくともよ
い。とい20の下端の下方には振動ふるい22を設置す
る。振動ふるい22は被処理部材23より小さく、スチ
ールボールなどの皮膜形成媒体24より大きいメッシュ
をフレームなどに固定し、全体を傾斜させるとともに加
振機に連結したものである。したがって振動ふるい22
上に落下した皮膜形成混合物は皮膜形成媒体24ととも
にメッシュを通り抜けて下方に落下し、一方被処理部材
23は振動ふるい22上で搬送される。皮膜形成媒体2
4は振動ふるい22の下方に設けた媒体回収コンベヤー
30により回収され、皮膜形成使用に再使用される。ま
た、被処理部材23は振動ふるい22の下側端に設けた
製品回収コンベヤー31により回収される。以上のよう
な装置を使用すると、皮膜形成の連続全自動化が可能に
なる。さらに、とい20を図7に示すようにつづら折れ
またはらせん状にして、とい20の占有面積を少なくす
ることができる。このつづら折れとい20の出口20a
を皮膜形成混合物20bの装入部20bの真下にもって
くると、皮膜形成媒体をリターンするときのリターン−
パスを短くすることができる。また、図示はしていない
がといを容器内に収容して容器ごと振動させることも出
来る。
【0056】一方、比較的大きな部品や板材の皮覆を行
う場合には、図13に示す容器2を間仕切り板30で仕
切って、仕切られた区画31のそれぞれに部品33を投
入し、容器21を振動させてもよい。また図14に示す
ように部品33を釣具36で容器2内に釣り下げてもよ
い。図13で間仕切り板30の代りに金網を用いると、
媒体7が金網の網目を通り抜けて槽内を自由に行き来で
きるため、粉体が部品33表面に均一に行きわたり、均
一で良好な皮膜を得ることができる。
【0057】図15に示すように部材33を容器1内に
固定して、容器1及び/又は部材33を加振器8に接続
し、部材33を直接または間接的に加振させてもよい。
また図16のように部材33を釣具36で釣り下げて容
器1を振動させると部材の片面のみを被覆することがで
きる。
【0058】部材を釣り下げる方法では、図17のよう
に部材33の一部のみを樹脂皮膜形成媒体及び粉体中に
沈め、部材表面の一部にのみ被覆することができる。上
記の方法において、部材表面の一部分にハケなどで樹脂
を塗布するか、表面の一部を残してテ−プなどによりマ
スキングし、スプレ−などで樹脂を吹きつけて処理する
ことにより部材表面の所望の部分にのみ皮膜を形成させ
ることができる。
【0059】皮膜形成混合物の各成分の容器への装入順
序としては、容器内で皮膜形成媒体を振動または攪拌に
よって混合し、これらの媒体を混合中の容器に被処理部
材、粉体物質及び樹脂を逐次あるいは同時に挿入するこ
とが好ましい(請求項の方法)。この方法によると均
一混合程度が高められる。ここで皮膜形成媒体はあらか
じめ容器内へ投じ、振動又は攪拌を加えておくことによ
り皮膜形成に必要な樹脂の付着をもたらし、またその他
の皮膜形成混合物投入の瞬間からこれらに対する打撃力
を発生できる。なおその他の被処理部材、粉体物質及び
樹脂の装入順序、回数、単独装入か同時装入かなどは全
く任意である。同時装入の方法として顔料を含む樹脂を
装入すると、粉体物質と樹脂が容器に同時装入となる。
【0060】本発明の別法においては、樹脂皮膜をあら
かじめ被処理部材に形成しておき、その後被処理部材、
皮膜形成媒体及び粉体物質を振動又は攪拌させることが
できる。したがってかかる本発明の別法は、被処理部材
表面に皮膜を形成する方法において、皮膜形成過程の少
なくとも初期において少なくとも部分的に未硬化状態に
ある第一の樹脂皮膜を施した被処理部材、粉体物質(皮
膜形成過程において前記樹脂よりも硬質の樹脂粉末のこ
とがある)、及び前記被処理部材よりは寸法が実質的に
大きくかつ前記粉体物質よりは寸法が実質的に小さい皮
膜形成媒体に容器内にて振動又は攪拌を加えることを特
徴とする皮膜形成方法である(請求項4)。
【0061】この樹脂皮膜は請求項1において外部から
被処理部材に付着させた樹脂皮膜と同様に作用して粉体
物質を捕捉する。かかる樹脂皮膜は液状樹脂又は固体も
しくは液状樹脂を溶媒で希釈したものなどを部材に吹き
つける、あるいは部材を浸漬する、加熱した部材に熱可
塑性樹脂をまぶす(すなわち、樹脂膜がもっている付着
力を利用して粉体物質を接着させる)など各種方法によ
る形成が可能である。被処理部材が樹脂ボンド磁石ある
いはプラスチック部材のようである場合は、これを溶媒
に浸漬して引上げると磁石やプラスチック部材の表面付
近の樹脂が溶けだして樹脂皮膜を簡単に作ることができ
る。請求項4の方法によると必要な樹脂がすべて予め部
材表面に付与されるので、樹脂量が必要最小限で済み、
また媒体に付着する樹脂が少なくなるなどの利点も合わ
せもつ。
【0062】さらに、本発明の別法を実施する際に樹脂
皮膜に粉体物質をまぶし、その後上記別法を実施するこ
とができる。
【0063】樹脂を振動又は攪拌中に硬化させることに
よって、樹脂皮膜に捕捉された粉体物質の固定力を高め
ることができる(請求項5の方法)。樹脂の硬化の方法
としては、二液混合型常温硬化タイプを使用して硬化剤
により硬化させる、加熱硬化型樹脂を加熱により硬化さ
せる、溶媒を蒸発させる、さらには紫外線、γ線、電子
線やその他の放射線照射により硬化させるなどの方法が
可能である。
【0064】ただし、特殊な装入順序が好ましい場合が
ある。液状樹脂又は溶媒さらには溶媒に溶かした樹脂
と樹脂粉体(粉体物質)を使用する場合:あらかじめ、
これらと樹脂粉体だけを混合してしまうと、樹脂粉体が
液状樹脂に溶解しやすい場合には粉末の凝集が起こりや
すく、均一な皮膜が得られない。したがって粉末状樹脂
は遅い工程で容器に装入するか、あるいは容器に先に装
入するときは後から装入する液状樹脂は被処理部材と同
時に挿入する。皮膜形成混合物の成分のいずれかを加
熱する場合:被処理部材を加熱し容器に装入した後に樹
脂を装入する;樹脂を装入した後加熱した被処理部材を
装入する;加熱された被処理部材及び加熱された皮膜形
成媒体を容器に装入した後に樹脂を装入する。
【0065】さらに、粉体物質以外の皮膜形成混合物を
あらかじめ容器内にて混合し、粉体物質を後から容器内
に装入することができる(請求項6の方法)。この方法
による利点は以下の〜とおりである。
【0066】特に溶媒で希釈したような流動性が大き
い樹脂を被処理部材表面に十分に均等に行き渡らせるこ
とにより十分に均等な樹脂皮膜を作り、粉体物質で均一
に被覆することができる。
【0067】下地となる被処理部材との界面近傍の皮
膜は樹脂がrichになり、皮膜の表面は粉体物質がr
ichになり、皮膜内ではこれらの成分の割合が連続的
に変化する遷移層が存在する。そのため皮膜の密着力が
高い。
【0068】皮膜の表面付近では粉体物質が圧入さ
れ、粉体物質の割合が70〜90体積%、場合によって
はほとんど100%と極めて高く、樹脂塗膜の顔料配合
率を遥かに超える。したがって、粉体物質が塗料の顔料
として使用されるTiO2 ,MgO,Fe23 などで
ある場合は被覆表面は水、その他の腐食成分を遮断する
性能が非常に良好になる。通常樹脂塗装では重防食のた
めに塗膜を多層塗りして顔料の量を多くしているが、こ
れは手間がかかり、層間剥離を起こしやすく、また膜厚
が大きくなる問題がある。本発明法では1回の処理で顔
料が多い皮膜を得ることができ、また膜厚が薄いという
利点がある。
【0069】本発明の別法を実施する際に、前記樹脂
(第一の樹脂)と同種又は異種の樹脂(第二の樹脂)を
皮膜形成混合物に添加することができる(請求項の方
法)。第二の樹脂は既に形成されている樹脂皮膜上に流
動して、層を作り、成長し、粉体物質−樹脂間の結合を
もたらす。かかる第二の樹脂としては請求項2に関して
前述した樹脂を使用することができる。
【0070】さらに、本発明においては上述方法のいず
れかにより1層の皮膜を形成した後に、いずれかの方法
を行い多層膜を形成することができる(請求項9)。こ
れにより膜厚を例えば10〜300μmと厚くし、粉体
の性質をさらに有効利用することができる。
【0071】次に薄板や、線材、ロッド、パイプ等を連
続的に皮覆する方法について述べる(請求項10)。こ
の方法では、図18に示すように容器1の底に穴28を
あけ、ここへパッキング39を介して長い板状、線状、
ロッド、パイプなどの部材3を通し、皮膜形成媒体を容
器1へ入れる。容器に振動を加えながら、樹脂、粉体を
投入し部材3を下へ引き抜いてゆく。樹脂及び粉体は少
しづつ連続的に投入することができる。容器1に入る前
に、部材33の表面にあらかじめ樹脂層をつけこれを容
器1内に引きこみ、容器1内へは粉体及び皮膜形成媒体
のみを投入してもよい。図19のように板状の部材33
を容器1の片側に寄せ、板の片面のみに膜を形成させる
ことができる。図20のように部材33を水平に引き抜
くようにしてもよい。穴28を複数設けて複数の部材を
同時に処理することもできる。この方法によれば長尺の
部材を連続的に効率よく処理することができる。例えば
電気電子機器などに使用されるエナメル線などの細い銅
線類は、従来は漬け塗り等により被覆が行われていた
が、被覆が不均一で、部分的に下地が露出して短絡など
の原因になったり、塗料だれなどによる寸法精度の低下
などが問題になっていた。本発明法によれば、こうした
細線類にも均一で薄い皮膜を精度よく高効率で形成させ
ることができる。
【0072】本発明における混合後に、皮膜を形成した
被処理部材の皮膜の樹脂を硬化することにより、皮膜を
強化させまた密着性を向上することができる(請求項1
1)。硬化は皮膜を混合容器内であるいは容器外で樹脂
の重合温度に加熱する、常温に放置して溶剤を蒸発させ
るなどにより行う。この硬化処理は皮膜強度、密着性な
どが不充分である場合、形成された皮膜を下地として更
にその上に本発明の皮膜を形成し、多層皮膜を得る場合
にも有効である。さらに樹脂の種類によっては紫外線あ
るいはガンマ線、電子線等により硬化することもでき
る。
【0073】皮膜形成直後にはその上に未固定の粉体が
多く残留していることがあり、これらの粉体は埃や塵を
嫌う電気、電子部品あるいは精密機械部品等に本発明に
より処理された部材を使用する場合には除去する必要が
ある。したがって、超音波洗浄、空気の吹き付けなどの
方法により遊離粉体を除去することが好ましい(請求項
12)。遊離粉体の除去は樹脂の硬化前又は後のいずれ
でも実施することができる。
【0074】遊離粉体の除去においては皮膜表面を軟質
の媒体で摩擦することも可能である(請求項13の方
法)。このためには軟質の媒体と皮膜を形成した部材を
容器内にて混合する、例えば容器に振動を加える、軟質
媒体と部材を撹拌することができる。この方法では軟質
の媒体と残留粉末の間の剪断力によって残留粉末が除去
され、加えて皮膜の表面が磨かれる。この方法は超音波
洗浄よりも残留粉末の除去効果が大きく、また美しい外
観が得られる。したがって装飾用品、外装用品に本発明
の部材を使用する場合に好適である。
【0075】上記した軟質の媒体としては、それ自身が
衝撃吸収力をある程度有しているので、被処理部材に強
い打撃力を与えて形成された皮膜を疵つけたり、深く削
り取ったりしないものが好ましい。例えば、木屑、木材
粉、クルミ殻、軟質プラスチック、ゴムなどが望まし
い。さらに木屑などに油分などをしみ込ませて表面研摩
の効果あるいは防錆性を高めることもできる。
【0076】また、本発明に係る皮膜形成後の被処理部
材に熱処理を施すことができる(請求項14の方法)。
この目的は一つは樹脂の硬化である。樹脂の硬化温度は
樹脂の種類により異なるが一般に30〜200℃であ
り、また硬化時間は1〜500分程度である。かかる温
度及び時間の熱処理を行うことにより樹脂を硬化させる
ことができる。
【0077】熱処理の他の目的は、粉体物質の粒子同士
あるいは粉体物質と被処理部材の間の結合力を熱拡散に
より増大することである。さらには皮膜のピンホールを
減少させできるだけ連続した膜とすることである。ま
た、多層膜の各層間の拡散による膜質の均質化、および
耐食性や機械的性質の向上を意図することもある。
【0078】熱処理温度が粉体物質の融点を超えると粉
体物質が溶けて、湯だれや部材同士の溶着を起こす。熱
処理温度は当然に被処理部材の融点よりは低くなければ
ならないから、熱処理温度より融点が高い物質からなる
被処理部材に本方法は適用される。また、熱処理温度は
樹脂の分解温度よりも通常は高くなるから、熱処理後は
皮膜はほとんど粉体物質から構成される。本方法を適用
する場合は樹脂は比較的低温で容易に分解蒸発し、皮膜
に炭素などを残留させないもの、例えばパラフィン、ポ
リプロピレン、各種ワックスなどが好ましい。また樹脂
は熱処理前で皮膜中の含有割合ができるだけ少ないこと
が望ましい。その割合は例えば50%以下である。一方
Sn,Zn等の比較的低融点の金属もしくは合金粉末を
使用する場合は、フェノ−ル、フッ素、シリコン系など
の耐熱性樹脂、あるいは後述の無機粘着物質を使用する
ことも可能である。この場合、これらの皮膜中の含有割
合はやや多くなってもよい。また樹脂は熱処理後も皮膜
中に残留する。
【0079】熱処理は、粉体物質がZn,Snまたはこ
れらの合金のように比較的低融点である時に有効であ
る。すなわちこれらのZnなどはほとんどすべての金属
を犠牲防食効果により防食できるが、そのためには皮膜
構造が連続膜に近いことが必要である。本発明方法によ
り得られる粉体物質が分散した皮膜では雨水、塩水に絶
えずさらされるような過酷な腐食環境において犠牲防食
効果が十分には発揮されないが、熱処理によって、十分
に良好な耐食性を付与する犠牲防食効果が得られる。従
来Zn,Snの皮膜は電気めっきあるいは溶融めっきに
より形成されてきたが、前者は湿式プロセスであるため
に廃水や副産物処理の問題があり、後者はめっき厚さが
100μm以上と厚く、薄い皮膜が得られずまた小物部
品には適さないという問題があった。これに対して本発
明法は簡便なドライプロセスにより小物部品に好ましく
は0.1〜100μmの薄い皮膜を形成することができ
るから、電気めっきあるいは溶融めっきでは問題を伴う
耐食性皮膜形成の分野に好適である。
【0080】さらに、粉体物質がAl,Snなどの耐食
性が高い物質である場合は熱処理を大気中で実施するこ
とができるが、真空中あるいは不活性ガス中で熱処理を
行うことが好ましい。
【0081】続いて請求項15の方法は、上記した皮膜
(下地皮膜)の表面に皮膜中の樹脂と同種または異種の
樹脂の保護皮膜を施す方法である。この方法は熱処理を
施さない下地皮膜の保護に適用される場合は皮膜全体の
強度及び耐食性を向上させる効果がある。また、下地皮
膜の表面は樹脂分が少なく、また残留粉体を除去したと
しても、なお粉末の固定力が弱いために、本発明部材の
取扱中や部材を機械に取りつけ中に外部から衝撃力や強
い力が掛かると、粉体物質が脱落したりあるいは皮膜が
局部的に破壊されることがある。このような不都合を防
止するために樹脂の皮膜を施すことは有効である。樹脂
の皮膜は表面を滑らかにし美観も向上させ、さらにピン
ホールを埋め水分の浸透を妨げる。
【0082】熱処理を施した下地皮膜に樹脂被覆を適用
すると、下地皮膜の熱処理温度が高くとれず、ピンホー
ル等の完全除去が困難な場合あるいは熱処理中に気泡や
亀裂が生ずるような場合、熱処理後施される樹脂皮膜が
ピンホールなどを封孔、封止する。
【0083】樹脂被覆形成の方法はスプレーあるいは被
処理部材を樹脂中に浸漬させても良いが、請求項16記
載の方法のように被処理部材よりは寸法が実質的に小さ
い皮膜形成媒体を使用すると薄くかつ均一に樹脂皮膜を
形成することができる。樹脂皮膜形成媒体は本発明の粉
体皮膜形成媒体と原理が同じであり、これを樹脂被覆形
成に応用したものであるので、粉末状樹脂からなる皮膜
が形成される。
【0084】さらに樹脂被覆を顔料を含有した通常の塗
料の塗装により行うこともできる(請求項17記載の方
法)。この場合は上述した樹脂被覆の効果に加えて、良
好な美観を得ることができる。
【0085】また保護皮膜としては樹脂皮膜の他に金属
又は合金のめっきあるいは金属と非金属の分散めっき
(電気めっきあるいは無電解めっき)を施すことができ
る(請求項18の方法)。従来下地がセラミックス、プ
ラスチックなどの非導電性物質であるかあるいは樹脂ボ
ンド磁石のように導電性が悪く不均一な物質であると、
直接電気めっきを行うことは困難であり、また可能であ
るとしても複雑な前処理が必要であった。したがって、
下地に無電解めっきを行ってから電気めっきを行うコス
トと手間がかかる方法が一般に行われていた。これに対
して本発明は下地に金属richな層を強固にしかも容
易に付与することができるので(請求項18の方法)、
非導電性物質からなる母材の電気めっきが極めて簡単に
なる。
【0086】また従来めっきが可能な物質であっても、
めっき合金や金属−非金属複合めっきの組成を広い範囲
で調節することは困難であった。これに対して本発明は
非電気化学的方法により皮膜を形成するので組成調節の
範囲が極めて広い。
【0087】また、従来めっき電解液と被処理部材の化
学反応によりめっきが困難であるか不可能な場合があっ
た。本発明は係る場合にも容易にめっきを可能にするも
のである。その一例として粉末冶金材料へのめっきがあ
る。これはポアを有するのでめっき電解液と接触させる
と内部にまでめっき液が浸透し、内部の腐食や非所望の
内部に電着が起こる。これを避けるためにはPVDなど
で金属皮膜を形成した上にめっきを行えばよいが、PV
Dは大掛かりな装置を必要とする。これに対して本発明
法によると極めて簡単な方法によりめっきの下地を作る
ことができる。AgやMgなど活性な軽金属あるいはそ
れらの合金等はめっき液への部材の溶け出しが起こり、
ジンケート処理など特殊な前処理を行わなければめっき
が不可能であったが、本発明法によれば簡単な方法によ
りこうした部材へのめっきも可能にする。
【0088】めっき皮膜の下地となる本発明の粉体物質
皮膜は粉体物質の粒子の間隙などに多少のピンホールが
形成されるので、めっき皮膜にもピンホールが形成され
ることがある。この場合めっき皮膜を若干厚くするか、
あるいはめっき皮膜の下地に無電解めっき皮膜を極薄く
形成することにより、めっき皮膜でのピンホールを防止
することができる。
【0089】請求項20は本発明方法による皮膜の適用
が極めて有利な被処理部材に関する。その利点を説明す
る前に希土類磁石及びその保護皮膜につき従来技術を説
明する。
【0090】希土類永久磁石はその優れた磁気特性ゆえ
に、需要は増加の一途をたどっている。現在生産されて
いるほとんどの希土類永久磁石はSmとCoを主成分と
するSm−Co系と、Nd−Fe−B系であり、また製
造法としては焼結によるものと樹脂により結合した樹脂
ボンド磁石がほとんどである。樹脂ボンド磁石は、磁石
粉末と樹脂を混合した後圧縮成形を行い、その後樹脂を
硬化する方法、射出成形法、磁石粉末をプレスした後に
樹脂を含浸させる方法などにより製造されている。希土
類磁石は活性な希土類元素を多量に含んでいるために、
高温多湿な環境で使用されると腐食による性能劣化や性
能のばらつきを生じ、また腐食生成物質が汚染源とな
る。特にNd−Fe−B磁石は鉄を主成分とするため
に、耐食性が低く、防食皮膜の付与が不可欠であり、現
在、Niめっきが焼結磁石に、エポキシ樹脂などの吹付
けや電着塗装が焼結及び樹脂ボンド磁石に対して行われ
ている。しかしながら小物部品が多いNd−Fe−B焼
結磁石に施すNiめっきは、めっき法に関して既に説明
したようにめっき操作が厄介、廃液処理などの問題があ
る他に、下地の酸化物の除去が不十分であるとめっきの
密着性が劣るという問題もある。酸化物を除去するため
に酸洗などが必要であるが、この処理により下地表面付
近の結晶粒界を傷つけてしまう。樹脂の塗装も既に説明
したように塗装操作に手間がかかる等の問題がある。
【0091】またボンド磁石は価格が安いために樹脂の
多層塗装は現実的でないために、単層塗装が主流になっ
ている。このために樹脂ボンド磁石の耐食性は焼結磁石
よりは低いレベルに留まっている。この欠点解消の対策
として、無電解めっき下地の上に電気めっきを施すこと
が提案されている(特開平3−116703号)が、上
述したような問題がある。電着塗装を使用すればスプレ
ー塗装より耐食性は若干向上するが、これは大掛かりな
塗装および廃液処理設備も必要であり、基本的には治具
に釣り下げて行うためコスト高となる。さらに樹脂ボン
ド磁石は焼結製品よりも一層多孔質であるので無電解め
っきを相当に厚くしなければ、良好な下地とならない。
またNd−Fe−B系を被処理部材とする無電解めっき
液は浴組成の管理が非常に難しいと言われている。
【0092】本発明により希土類磁石表面に形成される
粉体−樹脂分散皮膜は以下のような利点をもっている。 焼結磁石の場合:従来のめっき皮膜に対しては、酸化
物の除去など下地前処理が特に必要とされない;皮膜形
成条件が緩やかである(すなわち、特にNd−Fe−B
磁石を念頭に置いて条件を設定する必要がない)。従来
の樹脂皮膜に対しては、安定な酸化物、例えばTiO
2 ,MgO,Fe23 などの粉体を皮膜中に分散さ
せ、特に皮膜表面でその含有量を多くすることにより、
耐食性を良好にすることができる。
【0093】図12にTiO2 粉体とエポキシ樹脂を使
用した実施例1中の3の方法により得られた皮膜の断面
構造を電子顕微鏡写真(SEM像、倍率13000倍)
で調査した結果を示す。図中、皮膜全体で粒子状に見え
るものがTiO2 である。皮膜の下部に連続相状に見え
るのがエポキシ樹脂である。またTiO2 粒子の間に介
在している樹脂はEPMAでは明瞭に認められるが、写
真では明瞭ではない。図12から分かるように、本発明
方法により作られた皮膜は粉体が極めて密に集まってい
る。
【0094】樹脂ボンド磁石の場合:従来の樹脂塗装
に対しては、多層膜並の耐食性が得られるので、従来の
単層樹脂皮膜よりも耐食性が大幅に向上する;特に、請
求項6、7のように最初に樹脂皮膜を形成すると、樹脂
ボンド磁石の孔に粉体物質や樹脂が圧入されるために、
封孔効果が大きく、このために耐食性が向上する。従来
の無電解めっき−電解めっきに対しては、導電性粉体物
質を使用する本発明皮膜は工業的応用可能性が非常に高
い。
【0095】本発明により希土類磁石表面に形成された
粉体−樹脂分散皮膜上にめっき皮膜を形成すると以下の
ような利点がある。 焼結磁石の場合(従来のめっき皮膜と比較して)母材
表面上に本発明法によるめっき下地層が樹脂により強固
に密着しているため、めっき下地層をその上に形成され
るめっき層に対し適切に選ぶことにより、密着性の優れ
ためっき皮膜が得られる。まためっき皮膜は通常若干の
ピンホールを有するが、これらピンホールは従来のめっ
き皮膜であると、直接母材表面に達しているためピンホ
ールから侵入した腐食成分はめっき層と母材表面の界面
に浸透し、膜はがれ等を起こしやすかった。特に母材表
面に酸化層が残留している場合は極めて膜はがれを起こ
しやすい。ところが本発明法では、めっき皮膜の下に防
食性のよい樹脂、粉体混合皮膜が存在するため、ピンホ
ールからの腐食部分はほとんどすべてこの下地層によっ
て止められ、母材表面に拡散しないため、膜はがれはな
くなる。
【0096】樹脂ボンド磁石の場合(従来の無電解め
っきと比較して):無電解めっきは、一般に浴が高価で
廃液処理等に多額の費用がかかるため、コスト高とな
る。また、下地との密着力は樹脂皮膜よりは数段劣る。
特にボンド磁石は多孔質体なので、無電解めっき膜もポ
ーラスな皮膜となる。このような膜はその上に形成され
る電解めっき膜のピンホールから浸透してくる腐食成分
の遮断能力がほとんどなく、膜はがれ等の問題を生じや
すい。また無電解めっきのめっき液がボンド磁石のピン
ホールに残留しやすく、これも膜はがれの大きな原因と
なる。これらの問題点のため、無電解めっきを付与した
Nd系ボンド磁石は未だ量産に至っていない。
【0097】本発明法によれば、磁石表面のピンホール
が樹脂によって封止され、さらにこの樹脂層によりめっ
きの下地となる金属層が強固に密着されるため、その上
に形成されるめっき皮膜も良好な密着性を持つ。この下
地層はと同様、磁石表面への腐食成分の拡散を防止す
るため、結果として従来法よりはるかに優れた耐食性が
得られる。
【0098】以上説明した方法では樹脂により皮膜を形
成する方法を説明したが、無機系の粘着物質、例えば水
ガラスに代表されるケイ酸塩などは粉体物質、皮膜形成
媒体及び被処理部材を一様に分散させかつ混合させるこ
とができ、また温度、溶媒又は水希釈などにより粘度を
混合中に低下させることによってガラス皮膜を被処理部
材表面に形成することができる。またガラス皮膜は粉体
物質を捕捉することができる。したがって樹脂に代えて
あるいは樹脂と共に無機粘着物質を使用することができ
る。
【0099】以上(0023)から(0035)におい
て粉体物質が被処理部材表面で皮膜を形成する状況を説
明したが、粉体物質と皮膜形成媒体が衝突しかつこの衝
突面に樹脂が介在するので、皮膜形成媒体表面にも粉体
物質が被着される。ただし、樹脂が未硬化であるから粉
体物質の接着は一時的である。粉体皮膜は皮膜形成媒体
上にも、被処理部材上にも形成されるが、皮膜形成媒体
表面に付着した粉体は樹脂の完全硬化処理がされないの
で、常時新しく添加される粉体と入れ替わり先に付着し
ていた粉体は被処理部材に捕捉され皮膜形成に供されて
いく。皮膜形成媒体に一時的に捕捉された粉末は、皮膜
形成媒体が被処理部材に衝突する時サンドイッチ状に挟
まれ、クッション効果により、被処理部材の欠け、や既
に形成された膜のそぎ取りを防止する作用がある。
【0100】上記の作用をより積極的に利用するために
は、本発明の撹拌、振動を被処理部材を除いて行うとよ
い(請求項23)。すなわち、少なくとも部分的に未硬
化の状態にある樹脂と、粉体物質(前記樹脂よりも硬質
の樹脂のこともある)と、被処理部材とに容器内で振動
及び/又は撹拌を加える。この振動及び撹拌の具体的方
法及び条件は上述したところと同じでよい。このように
処理をすると皮膜形成が開始する前に、粉体物質の一時
的付着量を極めて多くすることができ、また皮膜形成に
おいては粉体物質が皮膜形成媒体から被処理部材の皮膜
に取り込まれる。この方法によると、被処理部材のエッ
ジの欠けを防止したり、既に形成された膜の皮膜形成媒
体の衝突によるそぎ取りを防ぎ、結果として膜厚の均一
化を行うことができる。
【0101】粉末を皮膜形成媒体によって被処理部材表
面にたたきつけて皮膜を形成する時、粉末はその衝撃に
より塑性変形したり、破砕されたりする。そのような時
に雰囲気中の酸素により粉末が酸化されたり、変質した
りして所望の膜が形成されないことがある。これに対し
て、容器内を窒素等の不活性雰囲気にしておくと、良好
な膜が形成される。もっとも一般的な例として、Cuの
膜を形成する時、空気中で皮膜形成させるとCu膜の表
面電気抵抗は数kΩ/□以上にもなるが、N2中で皮膜
形成すると0.5Ω/□以下に劇的に低下する。不活性
ガスは、容器を密閉して封じ込めても、また常時流気し
ても良い。ガスとしてはN2 の他にAr,He等でも良
い。不活性雰囲気として、残留O2 濃度は低いほど良い
が、10%以下にすれば十分な場合が多い。活性な金属
を使用する場合や、酸化を極力抑えなくてはならない場
合には、O2 濃度は5%以下に、更に望ましくは3%以
下にすることが望ましい。
【0102】以下、実施例により本発明を詳しく説明す
る。
【実施例】
実施例1 Fe81Nd136 の組成をもつ粒度100μm以下の急
冷ボンド磁石用粉末を使用した。この粉末にエポキシ樹
脂を3wt%加えて混合し、5ton/cm2の加圧力
で圧縮成形して、22mmφ×20mmφ×10mmの
成形体を220個得た。これを150℃で1時間キュア
ーし、樹脂結合磁石とした。次に容積2.8リットル、
深さ150mmの円形のポットに、直径φ3.0mmの
鋼球を10kg(見掛け密度5kg/リットル)投入
し、振動数2500c.p.m.(cycle per minut
e)、振幅5mmの振動を加えながら、平均粒度1μm
のAl粉末を20g投入し5分間振動を加えた。
【0103】次にあらかじめエポキシ樹脂10%(樹脂
97%、硬化剤3%)を溶かしたメチルエチルケトン
(MEK)に浸漬して表面を樹脂で覆った磁石を20個
投入し、15分間振動させた後取りだした。120℃で
2hr加熱し最後に平均粒径2mmのクルミ殻片2.0
kgと共に同じサイズのポットに入れて5分間振動さ
せ、表面に残留した余剰の粉末を除去した。以上の方法
で平均膜厚10μm(最大値15μm、最小値7μm)
の皮膜を形成した磁石を85℃×90%RHの条件で耐
食性を評価した。その結果を表1に「1」として示す。
【0104】以下同様の方法により但し下記の条件を変
更して粉末を被覆した磁石(2〜11)をそれぞれ20
個ずつ作成した。 2−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのCu粉末を
使用した。 3−Al粉末に代えて、平均粒径が0.3μmのTiO
2 粉末を使用した。 4−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのAl23
粉末を使用した。 5−Al粉末に代えて、平均粒径が2μmのMgO粉末
を使用した。 6−Al粉末に代えて、平均粒径が2μmのFe23
粉末を使用した。 7−Al粉末に代えて、平均粒径が2μmのFe23
粉末を使用した。 8−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのCu粉末を
使用して膜厚が5μmの皮膜を形成した後、電解めっき
により10μmの膜厚のNiめっき層を形成した。 9−樹脂結合磁石に、TiO2 添加量が20%のエポキ
シ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、平均10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比
較例)。 10−樹脂結合磁石に、リン酸亜鉛化成処理液をスプレ
ー吹き付けし、乾燥後、TiO2 添加量が20%のエポ
キシ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比較
例)。 11−樹脂結合磁石に皮膜を施さず、そのまま試験した
(比較例)。 以上のようにして各種皮膜を形成した樹脂結合磁石を各
20個湿潤試験して、耐食性を評価した。試験条件:8
5℃×90%RH放置(チェック項目:外観)結果を次
表に示す。
【0105】
【表1】
【0106】判定基準 A 全数全く発錆なし B 巨視的には発錆なし。全体の10%未満に顕微鏡オ
ーダーの点錆 C 全体の10%未満に目視でわかる点錆 D 全体の10%以上30%未満にやや大きな発錆 E 全体の30%以上に著しい発錆、膜ふくれ、はがれ
【0107】実施例2 SmCo4.8 の組成を持つ平均粒度20μmのボンド磁
石粉末を使用した。この粉末にエポキシ樹脂を3wt%
加えて混合し、5t/cm2 の加圧力で圧縮成形して、
22mmφ×20mmφ×10mmの成形体を80個得
た。これを150℃で1時間キュアーし樹脂結合磁石と
した。次に容積2.8リットル深さ150mmの円形ポ
ットに、直径φ3.0mmの鋼球を10kg投入し、振
動数2500c.p.m.、振幅5mmの振動を加えな
がら、平均粒度1μmのAl粉末を20g投入し、5分
間Al粉末と鋼球に振動を加えた。次にあらかじめエポ
キシ樹脂(10%MEK溶液)に浸漬して表面を樹脂で
覆った磁石を20個投入し、15分間振動させた後取り
出した。磁石を120℃で2hr加熱してエポキシ樹脂
をキュアした後最後に平均粒径2mmのクルミ殻2kg
と共に、皮膜形成用と同じサイズのポットに入れて5分
間振動させ、表面に残留した余剰の粉末を除去した。
【0108】以下同様の方法により各種粉末を被覆した
磁石をそれぞれ20個ずつ作成した。 1−上記の処理により平均膜厚が10μmの皮膜を形
成。 2−Al粉末に代えて、平均粒径が0.3μmのTiO
2 粉末を使用し平均膜厚7μmの皮膜を形成した。 3−樹脂結合磁石に、TiO2 添加量が20%のエポキ
シ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比較
例)。
【0109】SEM観察の結果、上記1、2の膜は磁石
表面全体を覆っていたが、上記3の膜はエッジ部の膜厚
が極端に薄いところがあった。SmCo磁石は腐食の問
題はあまりないが、磁石粉の飛散の問題に対してエッジ
部にも皮膜を形成できる本発明法は有効である。
【0110】実施例3 Sm2 Fe173 の組成を持つ平均粒度2.5μmのボ
ンド磁石用粉末を使用した。この粉末にエポキシ樹脂を
3wt%を加えて混合し、5t/cm2 の加圧力で圧縮
成形して、22mmφ×20mmφ×10mmの成形体
を80個得た。これを150℃で1時間キュアーし樹脂
結合磁石とした。次に容積2.8リットル深さ150m
mの円形ポットに、直径φ3.0mmの鋼球を10kg
投入し、振動数2500c.p.m.、振幅5mmの振
動を加えながら、平均粒度1μmのAl粉末を20g投
入し5分間Al粉末と鋼球に振動を加えた。次にあらか
じめエポキシ樹脂(10%MEK溶液)に浸漬して表面
を樹脂で覆った磁石を20個投入し、15分間振動させ
た後取り出した。磁石を120℃で2hr加熱してエポ
キシ樹脂をキュアした後、最後に平均粒径2mmのクル
ミ殻0.2kgと共に皮膜形成用と同じサイズのポット
に入れて5分間振動させ、表面に残留した余剰の粉末を
除去した。
【0111】以下同様の方法により各種粉末を被覆した
磁石をそれぞれ20個ずつ作成し、85℃×90%RH
の条件で耐食性を評価した(チェック項目−外観)。そ
の結果を表2に示す。
【0112】表中、左欄の数字はそれぞれ以下の処理を
意味する。 1−上記の処理により平均膜厚が10μmの皮膜を形
成。 2−Al粉末に代えて、平均粒径が0.3μmのTiO
2 粉末を使用した。 3−樹脂結合磁石に、TiO2 添加量が20%のエポキ
シ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比較
例)。 4−樹脂結合磁石に皮膜を施さず、そのまま試験した
(比較例)。
【0113】
【表2】
【0114】判定基準 A 全数全く発錆なし。 B 巨視的には発錆なし。全体の10%未満に顕微鏡オ
ーダーの点錆 C 全体の10%未満に目視でわかる点錆 D 全体の10%以上30%未満にやや大きな発錆 E 全体の30%以上に著しい発錆、膜ふくれ、はがれ
【0115】実施例4 Nd13.8Dy0.4 Fe78.27.6 の組成をもつインゴッ
トをスタンプミルで平均粒径が20μmになるように粗
粉砕し、次にジェットミルで平均粒径が3.0μmにな
るように粉砕した。この微粉砕粉に12kOeの磁場を
かけながら金型中で磁場と直角の方向に1.5t/cm
2 の力で加圧し圧粉体を得た。この圧粉体を真空中で1
100℃で2時間焼結した後650℃で1時間時効処理
して120個の焼結体を得た。この焼結体をグラインダ
ーで全面研磨した後、遠心バレル研磨によりコーナーを
落とし、続いて洗滌乾燥した。製品の寸法は20mmφ
×5mmの円盤状であった。次に容積2.8リットル深
さ150mmの円形ポットに、直径φ3.0mmの鋼球
を10kg投入し、振動数2500c.p.m.、振幅
5mmの振動を加えながら、平均粒度1μmのAl粉末
を20g投入し5分間Al粉末と鋼球に振動を加えた。
次にあらかじめエポキシ樹脂(10%MEK溶液)に浸
漬して表面を樹脂で覆った磁石を20個投入し、15分
間振動させた後取り出した。樹脂を120℃で2hr加
熱してエポキシ樹脂をキュアした後、最後に平均粒径2
mmのクルミ殻2kgと共に同じサイズのポットに入れ
て5分間振動させ、表面に残留した余剰の粉末を除去し
た。
【0116】以下同様の方法により各種粉末を被覆した
磁石をそれぞれ20個ずつ作成し、85℃×90%RH
の条件で耐食性を評価した。その結果を表3に示す。
【0117】表中、左欄の数字はそれぞれ以下の処理を
意味する。 1−上記の処理により平均膜厚が10μmの皮膜を形成 2−Al粉末に代えて、平均粒径が0.3μmのTiO
2 粉末を使用した。 3−Al粉末に代えて、平均粒径が0.3μmのTiO
2 粉末を使用して皮膜を形成した(残留粉の除去せず)
後、エポキシ樹脂(5%MEK溶液)に浸漬し、再び、
平均粒径が0.3μmのTiO2 粉末を使用して皮膜を
形成した(残留粉の除去せず)。その後、120℃で2
時間キュアし、続いてクルミ殻による残留粉の除去を行
い、平均膜厚が20μm(最大値27μm、最小値18
μm)の皮膜を形成した。 4−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのTiO2
末を使用して皮膜を形成した(残留粉の除去せず)後、
エポキシ樹脂(5%MEK溶液)に浸漬し、再び、平均
粒径が0.3μmのTiO2 粉末を使用して皮膜を形成
した(残留粉の除去せず)。その後さらにエポキシ樹脂
(5%MEK溶液)に浸漬し、続いて120℃で2時間
キュアし、続いてクルミ殻による残留粉の除去を行い、
平均膜厚が22μm(最大値29μm、最小値20μ
m)の皮膜を形成した。 5−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのFe23
粉末を使用した。 6−樹脂結合磁石に、TiO2 添加量が20%のエポキ
シ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比較
例)。 7−樹脂結合磁石に皮膜を施さず、そのまま試験した
(比較例)。
【0118】
【表3】
【0119】判定基準 A 全数全く発錆なし B 巨視的には発錆なし。全体の10%未満に顕微鏡オ
ーダーの点錆 C 全体の10%未満に目視でわかる点錆 D 全体の10%以上30%未満にやや大きな発錆 E 全体の30%以上に著しい発錆、膜ふくれ、はがれ
【0120】実施例5 SmCo4.6 の組成をもつインゴットをスタンプミルで
平均粒径が25μmになるように粗粉砕し、次にジェッ
トミルで平均粒径が4.0μmになるように粉砕した。
この微粉砕粉に12kOeの磁場をかけながら金型中で
磁場と直角の方向に1.5t/cm2 の力で加圧し圧粉
体を得た。この圧粉体を真空中で1210℃で2時間焼
結し、その後徐冷して80個の焼結体を得た。この焼結
体をグラインダーで全面研磨した後、遠心バレル研磨に
よりコーナーを落とし、洗滌乾燥した。製品の寸法は2
0mmφ×5mmの円盤状であった。次に容積2.8リ
ットル深さ150mmの円形ポットに、直径φ3.0m
mの鋼球を10kg投入し、振動数2500c.p.
m.、振幅5mmの振動を加えながら、平均粒度0.3
μmのTiO2 粉末を20g投入し5分間TiO2 と鋼
球に振動を加えた。次にあらかじめエポキシ樹脂(10
%MEK溶液)に浸漬して表面を樹脂で覆った磁石を2
0個投入し、15分間振動させた後取り出した。120
℃で2hr加熱後最後に平均粒径2mmのクルミ殻2k
gと共に同じサイズのポットに入れて5分間振動させ、
表面に残留した余剰の粉末を除去した。
【0121】1−上記の処理により平均膜厚が10μm
の皮膜を形成 2−上記の処理を2回行い、平均膜厚が20μmの皮膜
を形成 3−焼結磁石に、TiO2 添加量が20%のエポキシ樹
脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアして、平
均20μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比較
例)。 上記1、2ともに平滑でかつ欠陥のない良好な膜が生成
していることを肉眼および光学顕微鏡により確認した。
上記3の膜は円板の側面部に液だれによる膜厚の不均一
観察された。
【0122】実施例6 Sm(Co0.69Fe0.2 Cu0.06Zr0.037.3 の組成
をもつインゴットをスタンプミルで平均粒径が25μm
になるように粗粉砕し、次にジェットミルで平均粒径が
4.0μmになるように粉砕した。この微粉砕粉に12
kOeの磁場をかけながら金型中で磁場と直角の方向に
1.5t/cm2 の力で加圧し圧粉体を得た。この圧粉
体を真空中で1215℃で2時間焼結し、1170℃で
1時間溶体化を行い850℃で2hr時効後徐冷して8
0個の焼結体を得た。この焼結体をグラインダーで全面
研磨した後、遠心バレル研磨によりコーナーを落とし、
洗滌乾燥した。製品の寸法は20mmφ×5mmの円盤
状であった。次に容積2.8リットル深さ150mmの
円形ポットに、直径φ3.0mmの鋼球を10kg投入
し、振動数1500c.p.m.、振幅5mmの振動を
加えながら、平均粒度0.3μmのTiO2 粉末を投入
し5分間TiO2 粉末と鋼球に振動を加えた。次にあら
かじめエポキシ樹脂(10%MEK溶液)に浸漬して表
面を樹脂で覆った磁石を20個投入し、15分間振動さ
せた後取り出した。磁石を120℃で2hr加熱してエ
ポキシ樹脂を硬化した後、最後に平均粒径2mmのクル
ミ殻2kgと共に同じサイズのポットに入れて5分間振
動させ、表面に残留した余剰の粉末を除去した。 1−上記の処理により平均膜厚が10μmの皮膜を形成
した。 2−TiO2 粉末に代えて、平均粒径が1μmのFe2
3 粉末を使用し、平均膜厚が12μmの皮膜を形成し
た。 3−TiO2 粉末に代えて、平均粒径が1μmのAl粉
末を使用し平均膜厚が7μmの皮膜を形成した。
【0123】実施例7 下記の粉末をダイプレス法により成形して25mmφ×
20mmφ×10mmのリング状圧粉体を作成した。 (A)Al−2.75wt%Li ガスアトマイズ粉
末 平均粒度 20μm 加圧力 2ton /cm2 (B)Mg ガスアトマイズ粉
末 平均粒度 20μm 加圧力 2ton /cm2
【0124】これらの圧粉体をAr雰囲気中で600℃
で6時間焼結した。焼結体の密度はいずれも真密度の9
0%であった。得られた焼結体に次のような被覆処理を
各20ケずつ施した。 容積2.8リットル,深さ150mmの円形ポットに
直径φ3.0mmの鋼球10kg(見掛け密度5kg/
リットル)を入れ、平均粒度1μmのTiO2粉末を2
0gを投入して5分間振動させて、均一にTiO2 粉末
を分散させた。振動の条件は振動数2500c.p.
m.、振幅5mmであった。
【0125】次にあらかじめ、樹脂分(エポキシ樹脂9
7wt%、硬化剤3wt%)10%を溶かしたメチルエ
チルケトン(MEK)に焼結体に浸漬することにより、
樹脂膜で覆った部材を投入してさらに15分間振動を続
けた。これを120℃で2hr加熱した後、破砕したク
ルミ殻(平均粒度2mm)2kg(見掛け密度1kg/
リットル)と共に前記ポットと同サイズのポットに投入
し、同様の条件にて5分間振動させることにより、部材
表面に残留した余剰の粉末を除去した。膜厚は平均10
μmであった。
【0126】と同様の方法により約5μmのCu膜
を付与した(Cu粉粒径1μm、15g使用)。その
後、電解めっきにより平均10μm(最大値14μm、
最小値8μm)のNiめっき膜を形成させた。
【0127】水酸化ナトリウム、酸化亜鉛、ロッシェ
ル塩その他微量添加物からなる市販のZn置換溶液に部
材を浸漬して表面にZn置換処理(ジンケート処理)を
施し後、ワット浴による電解Niめっき処理を実施して
平均10μmのNiめっき膜を形成させた。
【0128】焼結体にスプレー塗装により平均10μ
mのエポキシ樹脂(カーボンブラック20%添加)皮膜
を形成した。 焼結体に皮膜を形成せず、試験した。 表4に、上記A、B、1〜5によりそれぞれの皮膜形成
法を示した。
【0129】
【表4】
【0130】試験条件:それぞれ20個を85℃×90
%RH放置 チェック項目:外観 判定基準 A 全数全く発錆なし B 巨視的には発錆なし。全体の10%未満に顕微鏡オ
ーダーの点錆 C 全体の10%未満に目視でわかる点錆 D 全体の10%以上30%未満にやや大きな発錆 E 全体の30%以上に著しい発錆、膜ふくれ、はがれ 錆は白粉状のAlもしくはMgの酸化物とみられる は、めっき液の残留によると思われる膜はがれが多く
見られた。
【0131】実施例8 下記の粉末をダイプレス法により成形して、20mm×
20mm×5mmのプレート状圧粉体を作成した。 (A)Fe−0.3%C 電解アニール粉末(平
均粒度50μm) 加圧力 3ton /cm2 (B)Al−1%Si ガスアトマイズ粉末
(平均粒度25μm) 加圧力 3ton /cm2 (A)については真空中で1300℃で6時間、(B)
については600℃で6時間焼結した。焼結体の密度は
(A)については85%、(B)については90%であ
った。得られた焼結体に次のような被覆処理を各20ケ
ずつ施した。 容積2.8リットル,深さ150mmの円形ポットに
直径φ3.0mmの鋼球10kg(見掛け密度5kg/
リットル)を入れ、平均粒度1μmのFe23 粉末を
20gを投入して5分間振動させて、均一にFe23
粉末を分散させた。振動の条件は振動数2500c.
p.m.、振幅5mmであった。
【0132】次にあらかじめ、樹脂分(エポキシ樹脂9
7wt%、硬化剤3wt%)10%を溶かしたメチルエ
チルケトン(MEK)に浸漬することにより、樹脂膜で
覆った部材を投入してさらに15分間振動を続けた。こ
れを120℃で2hr加熱した後、破砕したクルミ殻
(平均粒度2mm)2kg(見掛け密度1kg/リット
ル)と共に前記ポットと同サイズのポットに投入し、同
様の条件にて5分間振動させることにより、部材表面に
残留した余剰の粉末を除去した。膜厚は平均10μmで
あった。
【0133】樹脂としてエポキシの代わりにフェノール
を使用した以外はと同様の方法により、約5μmの
Cu膜を付与した(Cu粉粒径1μm、15g使用)。
その後、電解めっきにより平均10μmのNiめっき膜
を形成させた。
【0134】部材をあらかじめ実施例7−と同様に
Zn置換処理後、電解めっきにより平均10μmのNi
めっき膜を形成させた。
【0135】スプレー塗装により膜厚が平均10μm
のエポキシ樹脂皮膜(TiO2 20%添加)を形成させ
た。 被覆なし
【0136】以上の処理を施した焼結体に対しJIS腐
食試験方法による中性塩水噴霧試験(35℃、5%Na
Cl)を行い、外観観察を行った。結果を表5に示す。
表5に、上記A、B、1〜5によりそれぞれの皮膜形成
法を示した。
【0137】
【表5】
【0138】判定基準 A 全数全く発錆なし B 巨視的には発錆なし。全体の10%未満に顕微鏡オ
ーダーの点錆 C 全体の10%未満に目視でわかる点錆 D 全体の10%以上30%未満にやや大きな発錆 E 全体の30%以上に著しい発錆、膜ふくれ、はがれ A,B共にについてはめっき膜に多数のふくれが生じ
た。
【0139】実施例9 下記非金属部材A〜Bを作成した。 A.Ni−Znフェライト焼結体(密度−真密度に対し
て98%)を下記の原料を混合し、圧粉し、焼結して得
た。NiO:Fe23 :ZnO=20:50:30
(モル比)。焼結体を切断し、研磨して15mm×15
mm×5mmのブロックを得た。 B.Srフェライト焼結体(密度−真密度に対して98
%)を下記の原料を混合し、圧粉し、焼結して得た。S
rCO3 :Fe23 =1:5.9(モル比)。焼結体
を切断し、研磨して15mmΦ×4mmの円柱を得た。
【0140】これらの非金属部材A,Bに次の皮膜処理
を施した。 実施例7と同様の処理によりTiO2 皮膜を形成し
た。(図10、A−,B−) エポキシ樹脂(TiO2 20%添加)をスプレー塗装
した。(図10、A−,B−) 処理後切断して顕微鏡により非金属部材上の膜厚分布状
態を観察した。結果を図10に示す。図より本発明法
の方が従来法より厚さが均一な塗装が可能であること
がわかる。
【0141】実施例10 直径40mm,肉厚2mmの半球状おわん型のプラスチ
ック部材を20個用意した。容積2.8リットル、深さ
150mmの円形ポットに直径φ1.0mmの鋼球を1
0kg入れ、平均粒度1μmのCu粉末を10g投入し
て5分間振動させた。次に部材の全面にMEKを吹きつ
け、表面を粘着性とし、前記ポット内に投じて15分間
振動を続けた。その後プラスチック部材を取り出して5
0℃で2hr加熱した後、破砕したクルミ殻(粒径2m
m)2kgと共に同サイズの別のポットに入れ、5分間
振動させ、部材表面の残留粉をとり除いた。
【0142】これにより部材表面に約4μmのCu層が
形成され、処理前には無限大であった表面の抵抗値が
0.2〜0.5Ω/cmに減少し、通常のワット浴を用
いて容易にNiめっきを施すことができた。めっき後の
部材にテープ試験を行ったが、剥離は起こらなかった。
【0143】実施例11 図11に示す心臓型のガラス片100個に下記の処理を
施した。 5%MEK溶液を樹脂として使用したほかは実施例8
と同じ処理により、平均粒径1μmの金粉5gを投入し
て15分振動させたところ、約2μmの美しい金皮覆が
施された。テ−プ試験で剥離はみられなかった。
【0144】実施例8と同様の処理により、平均粒径
1μmのCu粉20gを投入して15分振動させること
により、約10μmのCu皮覆を施した。これにより、
部材の表面抵抗は0.2〜0.5Ω/cmの導電膜が形
成された。引続き電解めっきにより約2μmの金めっき
を施すことにより、光沢のある極めて美しい表面が得ら
れた。
【0145】実施例12 Nd13.8Dy0.4 Fe78.27.6 の組成をもつインゴッ
トをスタンプミルで平均粒径が20μmになるように粗
粉砕し、次にジェットミルで平均粒径が3.0μmにな
るように微粉砕粉に12kOeの磁場をかけながら金型
中で磁場と直角の方向に1.5t/cm2 の力で加圧し
圧粉体を得た。この圧粉体を真空中で1100℃で2時
間焼結した後、650℃で1時間時効処理して60個の
焼結体を得た。この焼結体をグラインダーで全面研磨し
た後、遠心バレル研磨によりコーナーを落とした後、洗
滌乾燥した。製品の寸法は20mmφ×5mmの円盤状
であった。次に容積2.8リットル深さ150mmの円
形ポットに、直径φ3.0mmの鋼球を10kg投入
し、振動数2500c.p.m.、振幅5mmの振動を
加えながら、平均粒度1μmのスズ粉末30gを投入し
5分間スズ粉末と鋼球に振動を加えた。次にあらかじめ
5%エポキシMEK溶液に浸漬して表面を樹脂で覆った
磁石を20個投入し、15分間振動させた後取り出し
た。最後に平均粒径2mmのクルミ殻片2kgと共に同
じサイズのポットに入れて5分間振動させ、表面に残留
した余剰の粉末を除去した。
【0146】次に部材を300℃で4時間真空中で加熱
して取り出し、85℃×90%RHの条件で耐食性を評
価した。その結果を表6に示す
【0147】表の左欄の数字は以下の処理を意味する。 1 スズ処理品(平均膜厚 10μm) 2 スプレー塗装(エポキシ樹脂;TiO2 20%添
加) 平均膜厚10μm 3 処理なし
【0148】
【表6】 試験条件:85℃×90%RH放置 チェック項
目:外観 判定基準 A 全数全く発錆なし B 巨視的には発錆なし。全体の10%未満に顕微鏡オ
ーダーの点錆 C 全体の10%未満に目視でわかる点錆 D 全体の10%以上30%未満にやや大きな発錆 E 全体の30%以上に著しい発錆、膜ふくれ、はがれ
【0149】実施例13 外径φ10mm,内径φ9mm,高5mmのアクリル樹
脂リングを用意した。容積2.8リットル、深さ150
mmの円形ポットに直径φ2.0mmの鋼球を10kg
入れ、これに平均粒度50μm以下のFe81Nd136
の組成をもつ急冷ボンド磁石用粉末を30g投入して振
動数2500c.p.m.、振幅5mmのの条件で5分
間振動させた。次にリングの内周面にMEKを吹きつけ
内周面のみに粘着性を与え、これを前記ポットに投入し
て25分間振動を続けた。その後リングを取り出し、あ
らかじめアクリル樹脂を10%溶かしたMEK溶液を内
面に吹きつけ、50℃で2hr加熱した。これによりリ
ング内面に約25μmの磁石層が形成された。このリン
グを着磁することにより、小型モ−タ−のステ−タ−と
して使用することができた。
【0150】実施例14 寸法が12×12×4mmのアクリル樹脂片20個をM
EKに浸漬し、その表面が粘性をもつ程度までに溶かし
た。続いて、容積が2.8リットルのドーナツ型ポット
に、表面に樹脂をコーティングしたφ1mmのアルミナ
球を2リットル入れ、さらに平均粒径が3μmのアルミ
ニウム粉末を10g投入し、その後アクリル樹脂片、ア
ルミナ球及びアルミニウム粉末に振動数4000c.
p.m.、振幅0.5mmの条件で20分間振動を加え
た。その後アクリル樹脂片をポットから取り出し、80
℃で1時間キュアリングを行った。
【0151】以上の処理を施したアクリル樹脂片の片表
面の皮膜の断面を調査した結果、皮膜の平均厚さが10
μmであり、表面付近のアルミニウム密度が95%以上
であった。皮膜表面の電気導電性を導通チェッカーで確
認したところ、導電性が確認された。
【0152】実施例15 実施例14の処理を行ったアクリル樹脂片を、予めエポ
キシ樹脂(樹脂97%、硬化剤3%)を溶解したMEK
に浸漬して表面を再び樹脂で覆った。その試料を、φ
0.5mmの鉄球2リットルとともに容積が5リットル
のポットにいれた。なお、鉄球の表面には鉄球からの汚
染を防ぐために、予め、Niメッキを施しさらにその上
にエポキシ樹脂をコーティングした。ポットは予め4個
用意され、1つめのポットには粒度1μmのNi粉末
を、2つめのポットには粒度5μmのSn粉末を、3つ
めのポットには粒度0.1μmのTiO2 粉末を、4つ
めのポットには粒度15μmのCu粉末を、予め10g
入れておいた。4つのポットは1台の遠心バレル装置で
一度に5分間振動処理された。遠心バレル装置の主軸回
転数は10〜160rpmであった。その後は試料を取
り出し、80℃で1時間キュアリングを行った。
【0153】以上の処理を施したアクリル樹脂片の片表
面の皮膜の断面を調査した結果、アルミニム皮膜上に形
成された皮膜は粉体がNi,Sn,Cu皮膜の平均厚さ
は6μmであり、表面付近の粉体密度が98%以上であ
った。粉体がTiO2 のの場合は、平均厚さは4μmで
あり、表面付近の粉体密度が98%以上であった。N
i,Sn,Cu粉を着けた試料は導電性を示し、TiO
2 粉を着けた試料は電気絶縁性を示した。
【0154】実施例16 中央にφ10mmの穴が開いた50mmφ×0.2mm
のステンレス製円盤の表面を良く洗浄した後、予めエポ
キシ樹脂15%(樹脂97%、硬化剤3%)を溶かした
MEK溶液に浸漬した。その後1mmφの鋼球をポット
容積の40%入れた2台の遊星型ミル用ポットに入れ
た。ポットの1台は予め粒度1μmのダイヤモンド粉末
を適量入れ、残りの1台には予め粒度が0.8μmの蛍
光体粉末を入れておいた。その後、2台のポットを遊星
型ミルに装着し、10〜200rpmで攪拌を行った。
その後は試料を取り出し、100℃で1時間キュアリン
グを行った。
【0155】以上の処理を施したステンレス円盤の片表
面の皮膜の断面を調査した結果、いずれの皮膜も表面付
近の密度が95%以上であり、ダイヤモンド粉末の場合
は平均厚さが13μmの均質な皮膜が形成され、蛍光体
粉末の場合は平均厚さが4μmの均質な皮膜が形成され
た。
【0156】実施例18 内容積が2.8リットルのポットA内に、表面をNiメ
ッキした上にさらに樹脂をコーティングした2mmφの
鋼球を1.5リットル入れ、平均粒径が4μmのアルミ
ニウム粉末を8gr投入し、振動数3000c.p.
m.、振幅5mmの条件で振動を80分間加えた。
【0157】次に、10×10×2mmのNd−Fe−
B系焼結体40個をMEKで希釈したエポキシ系樹脂中
に入れ、超音波洗浄中で3分間洗浄した。その後試料を
取り出し、乾燥後ポットAに投入し、振動数3000
c.p.m.、振幅1.5mmの条件で振動を15分間
加えて、コーティングを行った。その後、120℃で2
時間キュアリングを行った。
【0158】内容積が5リットルのポットB内に、表面
をNiメッキした上にさらに樹脂をコーティングした1
mmφの鋼球を2リットル入れ、平均粒径が0.3μm
のTiO2 粉末を10gr、熱硬化型エポキシ樹脂3g
rを投入し、回転数50〜180r.p.m.で10分
間回転行い、鋼球の表面に均一にTiO2 が分布するよ
うにならし運転を行った。その後、ポットBを開け、ア
ルミニウムコーティング済の試料とTiO2 粉末2gr
を入れ、再度遠心バレル装置を用い回転数50〜120
r.p.m.で10分間回転を行い、強い攪拌力でTi
2 粉末のコーティングを行った。その後、全試料を取
り出し、100℃で1.5時間キュアリングを行った。
【0159】最後に、外観向上、脱粉防止のために市販
のアクリル樹脂系塗料で薄く表面をコーティングした。
試料の破断面を電子顕微鏡で観察した結果、アルミニウ
ム層が6μm、TiO2 層が4μmの膜厚の均一な二層
コーティングができていることがわかった。
【0160】実施例19 遠心バレル用の5リットルのポット4個にそれぞれ5×
5×2mmのNd−Fe−B系永久磁石焼結体20個
と、1mmφの鋼球を2リットル入れた。また、平均粒
径が3μmのアルミニウム粉末をそれぞれ20gr投入
した。さらに、各ポットにはパラフィン系バインダー5
gr,ポリプロピレン10gr,ワックス10gr,エ
ポキシ系樹脂10gr,を入れ、遠心バレル装置を用い
回転数20〜160r.p.m.で5分間回転を行い、
強い攪拌力でアルミニウム粉末のコーティングを行っ
た。その後、各試料を取り出して切断面を電子顕微鏡で
観察した結果、均一なアルミニウム膜がそれぞれ6μ
m、8μm、15μm、4μmの膜厚で形成されている
ことが分かった。
【0161】実施例20 外径30mm,内径27mm,高さ5mmのNd−Fe
−Bボンド磁石(MQボンド磁石)を10個用意した。
直径2mmと3mmの、Niめっきを施したスチールボ
ール合計10kgをボンド磁石と1:1の割合で混合
し、2.8リットルのバレル槽に入れて、平均粒径3μ
mのAl粉末10gを投入し30分間振動を加えた。そ
の後エポキシ樹脂(樹脂94%、硬化剤6%)を10%
含むMEK溶液を10%加え、さらに5分間振動させ
た。つぎに上記MQボンド磁石サンプルを10個投入
し、10分間振動を加えた。これにより厚さ5μmの均
一な美しい膜が生成した。
【0162】実施例21 容積2.8リットルのポット中にNiめっきした直径2
mmのスチールボール10kgを入れ、その中に粒径3
μmのアルミニウム粉を10g入れ10分間振動させ
た。その後エポキシ樹脂(エポキシ樹脂94%、硬化剤
6%)を溶かしたMEKを15ccポット中に投入し、
30分間振動を加えた。このようにして、全部のボール
表面にアルミニウム粉が未硬化の樹脂により均一に捕捉
されている状態が実現された。次に、実施例6と同じ磁
石を17個上記エポキシ−MEK溶液に浸し、乾燥後上
記容器中に投入し、20分間振動を加えた。その後磁石
を取り出し、120℃で2時間樹脂硬化を行った。この
ようにして膜厚12μmのアルミニウム粉末がの膜が均
一に形成できた。この実施例で振動条件は実施例6と同
じであった。実施例6と実施例21を比べると、実施例
21の方が磁石の角の欠けが少なく、膜厚分布がより均
一になった。
【0163】実施例22 実施例21において、SmCo磁石の代わりに17×2
1×2mmのアクリル樹脂板を使用し、アルミニウム粉
に代えて粒径1μmの銅粉を使用し、粉末量15gと
し、また振動バレルを窒素を充たしたグローブボックス
に入れ、その他は同じ条件で銅膜をアクリル板上に形成
した。なお、空気中で振動を加える実験も行った。膜形
成及び樹脂硬化後、膜厚が10〜15μmの銅膜(片面
のみ)の平面抵抗をテスターで測定した。空気中で振動
を加えた場合電気抵抗は80.7kΩ/□であったが、
窒素雰囲気中で振動を加えた場合は0.2Ω/□であっ
た。
【0164】
【発明の効果】以上説明したように本発明は簡便な方法
により、粉体密度が高い粉体皮膜を各種部材に施すこと
ができ、また各種粉体の皮膜を形成することができる。
請求項2項以下の効果は以下のとおりである。 1.樹脂の粘度を調整することにより樹脂を部材表面に
均一に着けることができ、その結果、粉体を含む皮膜の
厚さを部材表面全域にわたり均一にし、かつ個々の部材
間の膜厚のばらつきを少なくできる(請求項2、8)。 2.大量処理のとき、ばらつきを少なくでき、また皮膜
形成の時間を短縮し、効率を高めることができる(請求
項3、6)。 3.粉体の捕捉を効果的に行い、粉末の使用歩留まりを
高め、かつ樹脂の使用量を少なく出来る(請求項4、
6)。 4.粉体を部材に着けた後、部材と媒体をより分ける時
およびその後の部材取扱中に部材から粉末がはげ落ちる
のを防ぐことができ生産性が向上する(請求項5)。
【0165】5.第一層の処理の時に生成したピンホー
ル等の欠陥が、第二層処理により補修され、より完全な
膜生成が可能となる。塩水などにさらされる部品の耐食
コーティングでは、3層、4層などの多層化により信頼
性が著しく向上する(請求項9)。 6.細長い部品や線材、板材への皮膜形成が連続的にで
きる(請求項10)。 7.皮膜の機械的強度を向上し、粉末の脱落をなくする
ことができる(請求項11)。 8.製品使用中の粉末の脱落を防止することができる
(請求項12、13)。 9.粉体と母材との拡散を起こさせることにより、皮膜
の密着性を高めることができる(請求項14)。
【0166】10.製品使用中の粉末の脱落を防止しま
た皮膜の外観を良好にすることができる(請求項15、
16、17)。 11.導電皮膜を簡単に作ることができる(請求項1
8)。 12.非導電性部材に簡単にメッキを行うことができる
(請求項19、20)。 13.耐食性が悪いため従来Niメッキなどが施されて
いた希土類磁石に本方法を行うことにより、耐食性を従
来より高めまた廃液処理などを不要とすることができる
(請求項21)。 14.無機物質を使用することにより原料の選択の幅が
拡大される(請求項22)。 15.皮膜形成媒体に粉体物質を一時的に付着させるこ
とにより、被処理部材エッジの欠けなどを防止しかつ膜
厚の均一化を図ることができる(請求項23〜24)。 16.極めて高い導電率を得ることができる(請求項2
5)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による撹拌をアームにより行う実施例を
示す図である。
【図2】本発明による撹拌を羽により行う実施例を示す
図である。
【図3】本発明による撹拌を回転容器の回転により行う
実施例を示す図である。
【図4】本発明による撹拌を円筒容器の回転により行う
実施例を示す図である。
【図5】本発明による撹拌を円筒容器の揺動により行う
実施例を示す図である。
【図6】本発明による撹拌を容器を回転軸の回りに回転
させて行う実施例を示す図である。
【図7】本発明による振動をポットの加振により行う実
施例を示す図である。
【図8】本発明による振動をといの加振により行う実施
例を示す図である。
【図9】といの実施例を示す図である。
【図10】皮膜の付き回りを示す図である。
【図11】被処理部材の図である。
【図12】皮膜中のTiO2 粒子の構造を示す電子顕微
鏡写真である。
【図13】板材等に皮膜を形成する方法の説明図であ
る。
【図14】板材等に皮膜を形成する方法の説明図であ
る。
【図15】部材を固定して皮膜を形成する方法の説明図
である。
【図16】部材を固定して皮膜を形成する方法の説明図
である。
【図17】部材の一部に皮膜を形成する方法の説明図で
ある。
【図18】線材等に皮膜を形成する方法の説明図であ
る。
【図19】部材の片面に皮膜を形成する方法の説明図で
ある。
【図20】線材等に皮膜を形成する方法の説明図であ
る。
【符号の説明】
2 容器 3 アーム 4 回転軸 5 羽根 6 ローラー 8 加振器 10 皮膜形成混合物 20 とい 22 ふるい 24 皮膜形成媒体
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月17日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項21
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項22
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】本発明において、樹脂としては、メラミン
樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ウ
レタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹
脂、尿素樹脂などの1液もしくは2液混合型の熱硬化性
樹脂、不飽和ポリエステル、不飽和ポリイソシアネー
ト、水酸基をもつアクリル・モノマーなど紫外線、電子
線その他放射線照射による硬化する樹脂、アクリル樹
脂、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニ
ルアルコール、ナイロン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニ
ル等の熱可塑性樹脂およびそれらの液状プレポリマもし
くはモノマー、一般に粉末成形に用いられる有機結合
剤、例えばパラフィン、樟脳などを用いることができ
る。また樹脂としてゼラチン、ニカワ、ウルシ等天然物
あるいは塗料のように顔料を含むものを使うことができ
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】続いて、撹拌方式の場合は、回転により発
生する遠心力が皮膜形成混合物と容器の合計重量に対し
て上記被加振力の範囲に入っていることが望ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正内容】
【0068】皮膜の表面付近では粉体物質が圧入さ
れ、粉体物質の割合が40〜80体積%以上と極めて高
く、通常の樹脂塗膜の顔料配合率を遥かに超える。した
がって、粉体物質が塗料の顔料として使用されるTiO
2 ,MgO,Fe23 などである場合は被覆表面は
水、その他の腐食成分を遮断する性能が非常に良好にな
る。通常樹脂塗装では重防食のために塗膜を多層塗りし
て顔料の量を多くしているが、これは手間がかかり、層
間剥離を起こしやすく、また膜厚が大きくなる問題があ
る。本発明法では1回の処理で顔料が多い皮膜を得るこ
とができ、また膜厚が薄いという利点がある。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正内容】
【0071】次に薄板や、線材、ロッド、パイプ等を連
続的に皮覆する方法について述べる(請求項10)。こ
の方法では、図18に示すように容器1の底に穴28を
あけ、ここへパッキング39を介して長い板状、線状、
ロッド、パイプなどの部材3を通し、皮膜形成媒体を容
器1へ入れる。容器に振動を加えながら、樹脂、粉体を
投入し部材3を下へ引き抜いてゆく。樹脂及び粉体は少
しづつ連続的に投入することができる。容器1に入る前
に、部材33の表面にあらかじめ樹脂層をつけこれを容
器1内に引きこみ、容器1内へは粉体及び皮膜形成媒体
のみを投入してもよい。また部材3を上に引上げてもよ
。図19のように板状の部材33を容器1の片側に寄
せ、板の片面のみに膜を形成させることができる。図2
0のように部材33を水平に引き抜くようにしてもよ
い。穴28を複数設けて複数の部材を同時に処理するこ
ともできる。この方法によれば長尺の部材を連続的に効
率よく処理することができる。例えば電気電子機器など
に使用されるエナメル線などの細い銅線類は、従来は漬
け塗り等により被覆が行われていたが、被覆が不均一
で、部分的に下地が露出して短絡などの原因になった
り、塗料だれなどによる寸法精度の低下などが問題にな
っていた。本発明法によれば、こうした細線類にも均一
で薄い皮膜を精度よく高効率で形成させることができ
る。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正内容】
【0087】また、従来めっき電解液と被処理部材の化
学反応によりめっきが困難であるか不可能な場合があっ
た。本発明は係る場合にも容易にめっきを可能にするも
のである。その一例として粉末冶金材料へのめっきがあ
る。これはポアを有するのでめっき電解液と接触させる
と内部にまでめっき液が浸透し、内部の腐食や非所望の
内部に電着が起こる。これを避けるためにはPVDなど
で金属皮膜を形成した上にめっきを行えばよいが、PV
Dは大掛かりな装置を必要とする。これに対して本発明
法によると極めて簡単な方法によりめっきの下地を作る
ことができる。AlやMgなど活性な軽金属あるいはそ
れらの合金等はめっき液への部材の溶け出しが起こり、
ジンケート処理など特殊な前処理を行わなければめっき
が不可能であったが、本発明法によれば簡単な方法によ
りこうした部材へのめっきも可能にする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正内容】
【0102】以下、実施例により本発明を詳しく説明す
る。
【実施例】 実施例1 Fe81Nd136 の組成をもつ粒度100μm以下の急
冷ボンド磁石用粉末を使用した。この粉末にエポキシ樹
脂を3wt%加えて混合し、5ton/cm2の加圧力
で圧縮成形して、22mmφ×20mmφ×10mmの
成形体を220個得た。これを150℃で1時間キュア
ーし、樹脂結合磁石とした。次に容積2.8リットル、
深さ150mmの円形のポットに、直径φ3.0mmの
鋼球を10kg(見掛け密度5kg/リットル)投入
し、振動数2500c.p.m.(cycle per minut
e)、振幅5mmの振動を加えながら、平均粒度2.5
μmのAl粉末を20g投入し5分間振動を加えた。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正内容】
【0103】次にあらかじめエポキシ樹脂10%(樹脂
97%、硬化剤3%)を溶かしたメチルエチルケトン
(MEK)に浸漬して表面を樹脂で覆った磁石を20個
投入し、15分間振動させた後取り出した。120℃で
2hr加熱し平均粒径2mmのクルミ殻片2.0kgと
共に同じサイズのポットに入れて5分間振動させ、表面
に残留した余剰の粉末を除去した。その後エポキシ樹脂
5%を溶かしたMEKに浸漬し、乾燥後120℃で2時
間キュアした。以上の方法で平均膜厚10μmの皮膜を
形成した磁石を85℃×90%RHの条件で耐食性を評
価した。その結果を表1に「1」として示す。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0104
【補正方法】変更
【補正内容】
【0104】以下同様の方法により但し下記の条件を変
更して粉末を被覆した磁石(2〜11)をそれぞれ20
個ずつ作成した。 2−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのCu粉末を
使用した。 3−Al粉末に代えて、平均粒径が0.3μmのTiO
2 粉末を使用した。 4−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのAl23
粉末を使用した。 5−Al粉末に代えて、平均粒径が2μmのMgO粉末
を使用した。 6−Al粉末に代えて、平均粒径が2μmのFe23
粉末を使用した。 7−Al粉末に代えて、平均粒径が0.5μmのFe2
3 粉末を使用した。 8−Al粉末に代えて、平均粒径が1μmのCu粉末を
使用して膜厚が5μmの皮膜を形成した後、電解めっき
により10μmの膜厚のNiめっき層を形成した。 9−樹脂結合磁石に、TiO2 添加量が20%のエポキ
シ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、平均10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比
較例)。 10−樹脂結合磁石に、リン酸亜鉛化成処理液をスプレ
ー吹き付けし、乾燥後、TiO2 添加量が20%のエポ
キシ樹脂をスプレー塗装し、120℃で6時間キュアし
て、10μmの膜厚の塗膜(単膜)を形成した(比較
例)。 11−樹脂結合磁石に皮膜を施さず、そのまま試験した
(比較例)。 以上のようにして各種皮膜を形成した樹脂結合磁石を各
20個湿潤試験して、耐食性を評価した。試験条件:8
5℃×90%RH放置(チェック項目:外観)結果を次
表に示す。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正内容】
【0107】実施例2 SmCo4.8 の組成を持つ平均粒度20μmのボンド磁
石粉末を使用した。この粉末にエポキシ樹脂を3wt%
加えて混合し、5t/cm2 の加圧力で圧縮成形して、
22mmφ×20mmφ×10mmの成形体を80個得
た。これを150℃で1時間キュアーし樹脂結合磁石と
した。次に容積2.8リットル深さ150mmの円形ポ
ットに、直径φ3.0mmの鋼球を10kg投入し、振
動数2500c.p.m.、振幅5mmの振動を加えな
がら、平均粒度μmのAl粉末を20g投入し、5分
間Al粉末と鋼球に振動を加えた。次にあらかじめエポ
キシ樹脂(10%MEK溶液)に浸漬して表面を樹脂で
覆った磁石を20個投入し、15分間振動させた後取り
出した。磁石を120℃で2hr加熱してエポキシ樹脂
をキュアした後最後に平均粒径2mmのクルミ殻2kg
と共に、皮膜形成用と同じサイズのポットに入れて5分
間振動させ、表面に残留した余剰の粉末を除去した。
の後樹脂結合磁石をエポキシ樹脂5%を溶かしたMEK
に浸漬し、乾燥後120℃で2時間キュアした
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0110
【補正方法】変更
【補正内容】
【0110】実施例3 Sm2 Fe173 の組成を持つ平均粒度2.5μmのボ
ンド磁石用粉末を使用した。この粉末にエポキシ樹脂を
3wt%を加えて混合し、5t/cm2 の加圧力で圧縮
成形して、22mmφ×20mmφ×10mmの成形体
を80個得た。これを150℃で1時間キュアーし樹脂
結合磁石とした。次に容積2.8リットル深さ150m
mの円形ポットに、直径φ3.0mmの鋼球を10kg
投入し、振動数2500c.p.m.、振幅5mmの振
動を加えながら、平均粒度1μmのAl粉末を20g投
入し5分間Al粉末と鋼球に振動を加えた。次にあらか
じめエポキシ樹脂(10%MEK溶液)に浸漬して表面
を樹脂で覆った磁石を20個投入し、15分間振動させ
た後取り出した。磁石を120℃で2hr加熱してエポ
キシ樹脂をキュアした後、平均粒径2mmのクルミ殻
0.2kgと共に皮膜形成用と同じサイズのポットに入
れて5分間振動させ、表面に残留した余剰の粉末を除去
した。その後樹脂結合磁石をエポキシ樹脂3%を溶かし
たMEKに浸漬し、乾燥後120℃で2時間キュアし
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0120
【補正方法】変更
【補正内容】
【0120】実施例5 SmCo4.6 の組成をもつインゴットをスタンプミルで
平均粒径が25μmになるように粗粉砕し、次にジェッ
トミルで平均粒径が4.0μmになるように粉砕した。
この微粉砕粉に12kOeの磁場をかけながら金型中で
磁場と直角の方向に1.5t/cm2 の力で加圧し圧粉
体を得た。この圧粉体を真空中で1210℃で2時間焼
結し、その後徐冷して80個の焼結体を得た。この焼結
体をグラインダーで全面研磨した後、遠心バレル研磨に
よりコーナーを落とし、洗滌乾燥した。製品の寸法は2
0mmφ×5mmの円盤状であった。次に容積2.8リ
ットル深さ150mmの円形ポットに、直径φ3.0m
mの鋼球を10kg投入し、振動数2500c.p.
m.、振幅5mmの振動を加えながら、平均粒度0.3
μmのTiO2 粉末を20g投入し5分間TiO2 と鋼
球に振動を加えた。次にあらかじめエポキシ樹脂(10
%MEK溶液)に浸漬して表面を樹脂で覆った磁石を2
0個投入し、15分間振動させた後取り出した。120
℃で2hr加熱後最後に平均粒径2mmのクルミ殻2k
gと共に同じサイズのポットに入れて5分間振動させ、
表面に残留した余剰の粉末を除去した。その後焼結磁石
をエポキシ樹脂5%を溶かしたMEKに浸漬し、乾燥後
120℃で2時間キュアした
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0122
【補正方法】変更
【補正内容】
【0122】実施例6 Sm(Co0.69Fe0.2 Cu0.06Zr0.037.3 の組成
をもつインゴットをスタンプミルで平均粒径が25μm
になるように粗粉砕し、次にジェットミルで平均粒径が
4.0μmになるように粉砕した。この微粉砕粉に12
kOeの磁場をかけながら金型中で磁場と直角の方向に
1.5t/cm2 の力で加圧し圧粉体を得た。この圧粉
体を真空中で1215℃で2時間焼結し、1170℃で
1時間溶体化を行い850℃で2hr時効後徐冷して8
0個の焼結体を得た。この焼結体をグラインダーで全面
研磨した後、遠心バレル研磨によりコーナーを落とし、
洗滌乾燥した。製品の寸法は20mmφ×5mmの円盤
状であった。次に容積2.8リットル深さ150mmの
円形ポットに、直径φ3.0mmの鋼球を10kg投入
し、振動数1500c.p.m.、振幅5mmの振動を
加えながら、平均粒度0.3μmのTiO2 粉末を投入
し5分間TiO2 粉末と鋼球に振動を加えた。次にあら
かじめエポキシ樹脂(10%MEK溶液)に浸漬して表
面を樹脂で覆った磁石を20個投入し、15分間振動さ
せた後取り出した。磁石を120℃で2hr加熱してエ
ポキシ樹脂を硬化した後、最後に平均粒径2mmのクル
ミ殻2kgと共に同じサイズのポットに入れて5分間振
動させ、表面に残留した余剰の粉末を除去した。その後
エポキシ樹脂10%を溶かしたMEKに浸漬し、乾燥後
120℃で2時間キュアした
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正内容】
【0125】次にあらかじめ、樹脂分(エポキシ樹脂9
7wt%、硬化剤3wt%)10%を溶かしたメチルエ
チルケトン(MEK)に焼結体浸漬することにより、
樹脂膜で覆った部材を投入してさらに15分間振動を続
けた。これを120℃で2hr加熱した後、破砕したク
ルミ殻(平均粒度2mm)2kg(見掛け密度1kg/
リットル)と共に前記ポットと同サイズのポットに投入
し、同様の条件にて5分間振動させることにより、部材
表面に残留した余剰の粉末を除去した。膜厚は平均10
μmであった。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0127
【補正方法】変更
【補正内容】
【0127】水酸化ナトリウム、酸化亜鉛、ロッシェ
ル塩その他微量添加物からなる市販のZn置換溶液に部
材を浸漬して表面にZn置換処理(ジンケート処理)を
施し後、ワット浴による電解Niめっき処理を実施して
平均10μmのNiめっき膜を形成させた(比較例)
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正内容】
【0128】焼結体にスプレー塗装により平均10μ
mのエポキシ樹脂(カーボンブラック20%添加)皮膜
を形成した(比較例)。 焼結体に皮膜を形成せず、試験した。 表4に、上記A、B、によりそれぞれの皮膜形成
法を示した。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0129
【補正方法】変更
【補正内容】
【0129】
【表4】
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0134
【補正方法】変更
【補正内容】
【0134】部材をあらかじめ実施例7−と同様に
Zn置換処理後、電解めっきにより平均10μmのNi
めっき膜を形成させた(比較例)
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正内容】
【0135】スプレー塗装により膜厚が平均10μm
のエポキシ樹脂皮膜(TiO2 20%添加)を形成させ
(比較例)。 被覆なし
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0136
【補正方法】変更
【補正内容】
【0136】以上の処理を施した焼結体に対しJIS腐
食試験方法による中性塩水噴霧試験(35℃、5%Na
Cl)を行い、外観観察を行った。結果を表5に示す。
表5に、上記A、B、 によりそれぞれの皮膜形成
法を示した。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0137
【補正方法】変更
【補正内容】
【0137】
【表5】
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0140
【補正方法】変更
【補正内容】
【0140】これらの非金属部材A,Bに次の皮膜処理
を施した。 実施例7と同様の処理によりTiO2 皮膜を形成
した。(図10、A−,B−) エポキシ樹脂(TiO2 20%添加)をスプレー塗装
した。(図10、A−,B−) 処理後切断して顕微鏡により非金属部材上の膜厚分布状
態を観察した。結果を図10に示す。図より本発明法
の方が従来法より厚さが均一な塗装が可能であること
がわかる。
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0142
【補正方法】変更
【補正内容】
【0142】これにより部材表面に約4μmのCu層が
形成され、処理前には無限大であった表面の抵抗値が
1.2〜85Ω/□に減少し、通常のワット浴を用いて
容易にNiめっきを施すことができた。めっき後の部材
にテープ試験を行ったが、剥離は起こらなかった。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0143
【補正方法】変更
【補正内容】
【0143】実施例11 図11に示す心臓型のガラス片100個に下記の処理を
施した。 5%MEK溶液を樹脂として使用したほかは実施例
−1と同じ処理により、平均粒径1μmの金粉5gを投
入して15分振動させたところ、約2μmの美しい金皮
覆が施された。テ−プ試験で剥離はみられなかった。
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0144
【補正方法】変更
【補正内容】
【0144】実施例1−1と同様の処理により、平均
粒径1μmのCu粉20gを投入して15分振動させる
ことにより、約10μmのCu皮覆を施した。これによ
り、部材の表面抵抗は0.2〜115Ω/□の導電膜が
形成された。引続き電解めっきにより約2μmの金めっ
きを施すことにより、光沢のある極めて美しい表面が得
られた。
【手続補正27】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0145
【補正方法】変更
【補正内容】
【0145】実施例12 Nd13.8Dy0.4 Fe78.27.6 の組成をもつインゴッ
トをスタンプミルで平均粒径が20μmになるように粗
粉砕し、次にジェットミルで平均粒径が3.0μmにな
るように粉砕した。この微粉砕粉に12kOeの磁場を
かけながら金型中で磁場と直角の方向に1.5t/cm
2 の力で加圧し圧粉体を得た。この圧粉体を真空中で1
100℃で2時間焼結した後650℃で1時間時効処理
して120個の焼結体を得た。この焼結体をグラインダ
ーで全面研磨した後、遠心バレル研磨によりコーナーを
落とし、続いて洗滌乾燥した。製品の寸法は20mmφ
×5mmの円盤状であった。次に容積2.8リットル深
さ150mmの円形ポットに、直径φ3.0mmの鋼球
を10kg投入し、振動数2500c.p.m.、振幅
5mmの振動を加えながら、平均粒度1μmのAl粉末
を20g投入し5分間Al粉末と鋼球に振動を加えた。
次にあらかじめエポキシ樹脂(10%MEK溶液)に浸
漬して表面を樹脂で覆った磁石を20個投入し、15分
間振動させた後取り出した。樹脂を120℃で2hr加
熱してエポキシ樹脂をキュアした後、最後に平均粒径2
mmのクルミ殻2kgと共に同じサイズのポットに入れ
て5分間振動させ、表面に残留した余剰の粉末を除去し
た。その後焼結磁石をエポキシ樹脂5%を溶かしたME
Kに浸漬し、乾燥後120℃で2時間キュアした
【手続補正28】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0147
【補正方法】変更
【補正内容】
【0147】表の左欄の数字は以下の処理を意味する。 1 スズ処理品(平均膜厚 10μm) 2 スプレー塗装(エポキシ樹脂;TiO2 20%添
加) 平均膜厚10μm(比較例) 3 処理なし(比較例)
【手続補正29】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0149
【補正方法】変更
【補正内容】
【0149】実施例13 外径φ10mm,内径φ9mm,高5mmのアクリル樹
脂リングを用意した。容積2.8リットル、深さ150
mmの円形ポットに直径φ2.0mmの鋼球を10kg
入れ、これに平均粒度50μm以下のFe81Nd136
の組成をもつ急冷ボンド磁石用粉末を30g投入して振
動数2500c.p.m.、振幅5mm条件で5分間
振動させた。次にリングの内周面にMEKを吹きつけ内
周面のみに粘着性を与え、これを前記ポットに投入して
25分間振動を続けた。その後リングを取り出し、あら
かじめアクリル樹脂を10%溶かしたMEK溶液を内面
に吹きつけ、50℃で2hr加熱した。これによりリン
グ内面に約25μmの磁石層が形成された。このリング
を着磁することにより、小型モ−タ−のステ−タ−とし
て使用することができた。
【手続補正30】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0151
【補正方法】変更
【補正内容】
【0151】以上の処理を施したアクリル樹脂片の片表
面の皮膜の断面を調査した結果、皮膜の平均厚さが10
μmであり、表面付近のアルミニウム密度が80%以上
であった。皮膜表面の電気導電性を導通チェッカーで確
認したところ、導電性が確認された。
【手続補正31】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0153
【補正方法】変更
【補正内容】
【0153】以上の処理を施したアクリル樹脂片の片表
面の皮膜の断面を調査した結果、アルミニム皮膜上に形
成された皮膜は粉体がNi,Sn,Cu皮膜の平均厚さ
は6μmであり、表面付近の粉体密度が60%以上であ
った。粉体がTiO2 場合は、平均厚さは4μmであ
り、表面付近の粉体密度が50%以上であった。Ni,
Sn,Cu粉を着けた試料は導電性を示し、TiO2
を着けた試料は電気絶縁性を示した。
【手続補正32】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0155
【補正方法】変更
【補正内容】
【0155】以上の処理を施したステンレス円盤の片表
面の皮膜の断面を調査した結果、いずれの皮膜も表面付
近の密度が40%以上であり、ダイヤモンド粉末の場合
は平均厚さが13μmの均質な皮膜が形成され、蛍光体
粉末の場合は平均厚さが4μmの均質な皮膜が形成され
た。
【手続補正33】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0158
【補正方法】変更
【補正内容】
【0158】内容積が5リットルのポットB内に、表面
をNiメッキした上にさらに樹脂をコーティングした1
mmφの鋼球を2リットル入れ、平均粒径が0.3μm
のTiO2 粉末を10gr、熱硬化型エポキシ樹脂3g
rを投入し、回転数50〜180r.p.m.で10分
間回転行い、鋼球の表面に均一にTiO2 が分布する
ようにならし運転を行った。その後、ポットBを開け、
アルミニウムコーティング済の試料とTiO2 粉末2g
rを入れ、再度遠心バレル装置を用い回転数50〜12
0r.p.m.で10分間回転を行い、強い攪拌力でT
iO2 粉末のコーティングを行った。その後、全試料を
取り出し、100℃で1.5時間キュアリングを行っ
た。
【手続補正34】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0161
【補正方法】変更
【補正内容】
【0161】実施例20 外径30mm,内径27mm,高さ5mmのNd−Fe
−Bボンド磁石(MQボンド磁石)を10個用意した。
直径2mmと3mmのNiめっきを施したスチールボー
ル合計10kgを1:1の割合で混合し、2.8リット
ルのバレル槽に入れて、平均粒径3μmのAl粉末10
gを投入し30分間振動を加えた。その後エポキシ樹脂
(樹脂94%、硬化剤6%)を10%含むMEK溶液を
10cc加え、さらに5分間振動させた。つぎに上記M
Qボンド磁石サンプルを10個投入し、10分間振動を
加えた。これにより厚さ5μmの均一な美しい膜が生成
した。
【手続補正35】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0162
【補正方法】変更
【補正内容】
【0162】実施例21 容積2.8リットルのポット中にNiめっきした直径2
mmのスチールボール10kgを入れ、その中に粒径3
μmのアルミニウム粉を10g入れ10分間振動させ
た。その後エポキシ樹脂(エポキシ樹脂94%、硬化剤
6%)を溶かしたMEKを15ccポット中に投入し、
30分間振動を加えた。このようにして、全部のボール
表面にアルミニウム粉が未硬化の樹脂により均一に捕捉
されている状態が実現された。次に、実施例6と同じ磁
石を17個上記エポキシ−MEK溶液に浸し、乾燥後上
記容器中に投入し、20分間振動を加えた。その後磁石
を取り出し、120℃で2時間樹脂硬化を行った。この
ようにして膜厚12μmのアルミニウム粉末の膜が均一
に形成できた。この実施例で振動条件は実施例6と同じ
であった。実施例6と実施例21を比べると、実施例2
1の方が磁石の角の欠けが少なく、膜厚分布がより均一
になった。

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理部材表面に皮膜を密着して形成す
    る方法において、被処理部材、皮膜形成過程の少なくと
    も初期において少なくとも部分的に未硬化の状態にある
    樹脂、粉体物質(皮膜形成過程において前記樹脂よりも
    硬質の樹脂粉末のこともある)、および前記被処理部材
    よりも寸法が実質的に小さくかつ前記粉体物質よりは寸
    法が実質的に大きい皮膜形成媒体に容器内にて振動また
    は攪拌を加えることにより、粉体物質を含む皮膜を形成
    することを特徴とする皮膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記樹脂が溶媒に希釈されまたは分散媒
    に分散されていることを特徴とする請求項1記載の皮膜
    形成方法。
  3. 【請求項3】 前記容器内に予め皮膜形成媒体を入れ、
    振動又は攪拌を加えながら前記被処理部材、粉体物質及
    び樹脂を逐次あるいは同時に前記容器に装入することを
    特徴とする請求項1記載の皮膜形成方法。
  4. 【請求項4】 被処理部材表面に皮膜を密着して形成す
    る方法において、皮膜形成過程の少なくとも初期におい
    て少なくとも部分的に未硬化の状態にある第一の樹脂か
    らなる皮膜を有する被処理部材、粉体物質(皮膜形成過
    程において前記樹脂よりも硬質の樹脂粉末のこともあ
    る)、および前記被処理部材よりは寸法が実質的に小さ
    くかつ前記粉体物質よりは寸法が実質的に大きい皮膜形
    成媒体に容器内にて振動又は攪拌を加えることにより、
    粉体物質を含む皮膜を形成することを特徴とする皮膜形
    成方法。
  5. 【請求項5】 前記樹脂を振動又は攪拌中に硬化させる
    ことを特徴とする請求項1から4までの1項記載の皮膜
    形成方法。
  6. 【請求項6】 前記容器内にて皮膜形成媒体、前記被処
    理部材及び樹脂を混合し、つぎに前記容器に粉体物質を
    装入して、振動又は攪拌を行うことを特徴とする請求項
    1から5までのいずれか1項記載の皮膜形成方法。
  7. 【請求項7】 前記第一の樹脂と同種又は異種の樹脂で
    あって皮膜形成過程の少なくとも初期において少なくと
    も部分的に未硬化の状態にある第二の樹脂を前記被処理
    部材、粉体物質及び皮膜形成媒体と混合することを特徴
    とする請求項4から6までのいずれか1項記載の皮膜形
    成方法。
  8. 【請求項8】 前記第二の樹脂が溶媒に希釈されまたは
    分散媒に分散されていることを特徴とする請求項7記載
    の皮膜形成方法。
  9. 【請求項9】 請求項1または2による皮膜形成、ある
    いは請求項7または8による皮膜形成を繰り返すか、あ
    るいはこれらの皮膜形成を組み合わせて行い、多層膜を
    形成することを特徴とする皮膜形成方法。
  10. 【請求項10】 前記容器の底部又は側面部に貫通孔を
    設け、該貫通孔を介して前記容器内部を貫通するように
    部材を配置し、該部材を前記容器に対し相対的に移動さ
    せることにより前記部材表面に粉体物質及び樹脂を含む
    皮膜を形成させることを特徴とする請求項1から9まで
    のいずれか1項記載の皮膜形成方法。
  11. 【請求項11】 前記被処理部材表面に皮膜形成後、該
    皮膜中の樹脂を硬化することを特徴とする請求項1から
    10までいずれか1項記載の皮膜形成方法。
  12. 【請求項12】 前記被処理部材表面に皮膜形成後、該
    皮膜の表面部に残留する遊離粉体物質を除去することを
    特徴とする請求項1から11までのいずれか1項記載の
    皮膜形成方法。
  13. 【請求項13】 前記皮膜表面部の残留遊離粉体を除去
    する際に、該皮膜を形成した被処理部材表面を軟質の媒
    体により摩擦することを特徴とする請求項12記載の皮
    膜形成方法。
  14. 【請求項14】 前記皮膜を形成した被処理部材に熱処
    理を施すことを特徴とする請求項1から13までのいず
    れか1項記載の皮膜形成方法。
  15. 【請求項15】 前記皮膜を形成した被処理部材を前記
    樹脂と同一のあるいは前記樹脂とは異なる樹脂で被覆す
    ることを特徴とする請求項1から14までのいずれか1
    項記載の皮膜形成方法。
  16. 【請求項16】 請求項15記載の樹脂被覆を施す際
    に、前記被処理部材よりは寸法が実質的に小さい皮膜形
    成媒体及び該樹脂に容器内にて振動又は撹拌を加えるこ
    とを特徴とする請求項15記載の皮膜形成方法。
  17. 【請求項17】 請求項15記載の樹脂被覆を塗装によ
    り行うことを特徴とする請求項15記載の皮膜形成方
    法。
  18. 【請求項18】 前記皮膜を導電性粉体物質を用いて形
    成することを特徴とする請求項1から14までのいずれ
    か1項記載の皮膜形成方法。
  19. 【請求項19】 前記皮膜を導電性粉体物質を用いて形
    成した被処理部材の上に金属または合金の皮膜を形成す
    ることを特徴とする請求項1から14までのいずれか 1
    項記載の皮膜形成方法。
  20. 【請求項20】 前記金属または合金の皮膜を電気めっ
    き又は無電解めっきにより形成することを特徴とする請
    求項19記載の皮膜形成方法。
  21. 【請求項21】 前記被処理部材が希土類磁石であるこ
    とを特徴とする請求項1から19までのいずれか1項記
    載の皮膜形成方法。
  22. 【請求項22】 前記被処理部材、前記粉体物質、皮膜
    形成媒体と共に振動又は攪拌が加えられる樹脂又は被処
    理部材表面に形成する樹脂皮膜に代えての一部または全
    部に代えて無機粘着物質を使用することを特徴とする請
    求項1から21までのいずれか1項記載の皮膜形成方
    法。
  23. 【請求項23】 少なくとも部分的に未硬化の状態にあ
    る樹脂、粉体物質(皮膜形成過程において前記樹脂より
    も硬質の樹脂粉末のこともある)、および前記被処理部
    材よりも寸法が実質的に小さくかつ前記粉体物質よりは
    寸法が実質的に大きい皮膜形成媒体に容器内にて振動ま
    たは攪拌を加えることにより、粉体物質を皮膜形成媒体
    表面に一時的に密着させ、その後請求項1から22まで
    の何れか1項記載の皮膜形成を行うことを特徴とする皮
    膜形成方法。
  24. 【請求項24】 粉体物質を皮膜形成媒体表面に一時的
    に密着させた後、同一容器内にて被処理部材を投入する
    ことを特徴とする請求項23記載の皮膜形成方法。
  25. 【請求項25】前記容器内を不活性雰囲気とすることを
    特徴とする請求項1から24までのいずれか1項記載の
    皮膜形成方法。
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DE69223877T DE69223877T2 (de) 1991-08-09 1992-08-07 Beschichtete Bauteile mit pulvergerüststrukturiertem Film und Verfahren zur ihrer Herstellung
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JPH1180610A (ja) * 1997-09-01 1999-03-26 Inter Metallics Kk 粉体塗料及び該粉体塗料を使用する皮膜形成方法
JP2006148157A (ja) * 2006-01-26 2006-06-08 Daido Electronics Co Ltd 希土類ボンド磁石

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