JPH11335640A - 粉体皮膜形成用粘着剤およびそれを用いた粉体皮膜形成方法 - Google Patents

粉体皮膜形成用粘着剤およびそれを用いた粉体皮膜形成方法

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JPH11335640A
JPH11335640A JP10143904A JP14390498A JPH11335640A JP H11335640 A JPH11335640 A JP H11335640A JP 10143904 A JP10143904 A JP 10143904A JP 14390498 A JP14390498 A JP 14390498A JP H11335640 A JPH11335640 A JP H11335640A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉体を付着させる粘着剤を、多数の被塗装物
に一括して塗布しても被塗装物どうしの付着が防止され
るものとし、生産効率の向上ならびに粉体皮膜の高品質
化を図る。 【解決手段】 主成分である結着剤中に、5〜20μm
の粒子径を有する粒子を含有し、かつ体積平均粒子径が
2〜50μmである固体粒子1を、粘着剤中の固形分の
5〜70重量%含有させる。この粘着剤を、多数の被塗
装物Wの表面に一括して塗布し、粘着層2を形成する。
その際、固体粒子1が、近接する2つの被塗装物Wの粘
着層2の間に介在して双方の粘着層2を離間させ、被塗
装物Wどうしの付着を妨げる。次いで、粘着層2に、皮
膜形成媒体を介して粉体を付着もしくは埋め込んで粉体
皮膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被塗装物の表面に
予め形成した粘着層に、粉体を、振動、落下、回転等に
代表される外力によって付着もしくは埋め込むことによ
り粉体皮膜を形成する方法、さらには、粘着層および粉
体皮膜に熱、紫外線、電磁波等のエネルギーを与えて溶
融もしくは架橋させることにより粉体皮膜を形成する方
法において、前記粘着層を形成するに好適な粘着剤およ
びそれを用いた粉体皮膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】被塗装物に粉体を付着させる方法として
は、従来、予備加熱した被塗装物に粉体を散布し溶融さ
せることにより付着させる流動浸漬法、粉体を荷電し被
塗装物にスプレーする静電スプレー法、電荷を持つ粉体
を液体に分散させ、被塗装物に電圧を印加して粉体を被
塗装物に担持させる電着法等があった。しかしながら、
これらの方法では、被塗装物への粉体の付着不足や、粉
体どうしの凝集等に起因して、粉体皮膜が剥離しやすか
ったり、粉体皮膜に孔が空いたりといった欠陥が生じや
すかった。そこで本発明者らは、予め被塗装物の表面に
粘着層を形成しておき、この粘着層に付着させた粉体
を、振動等の外力を用いて皮膜形成媒体により粘着層に
埋め込ませ、その埋め込み作用で表面に押し出された粘
着剤に、さらに皮膜形成媒体により粉体を埋め込ませる
いった作用を繰り返させた後、粘着剤の表出がとまった
時点において粉体皮膜の形成を完了とする方法を、特開
平7−62559号公報にて提案し、実用化させてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記皮膜形成方法にお
いて予め被塗装物の表面に粘着層を形成するには、例え
ば、多数の被塗装物を籠容器内に収容し、籠容器ごと粘
着剤の貯留槽に浸漬してから取り出した後、粘着剤中の
希釈剤を揮発させて形成している。粘着層の厚さは、粘
着剤の濃度や粘度によって規定される。ところが、この
ような粘着層の形成方法を採った場合、通常の粘着剤で
は、被塗装物どうしが粘着剤により互いに付着してしま
う現象が起こる場合があった。その場合には、付着して
いる被塗装物どうしを剥離させる作業を要することとな
り、よって工程が繁雑化して生産効率の悪化を招いてい
た。また、被塗装物どうしが付着していた面の粘着層が
規定の厚さにならず、その結果として均一の厚さを有す
る高品質の粉体皮膜を得ることができないといった問題
も生じていた。これらの問題は、特に、互いに重なって
付着しやすい平面を大きく有する薄板状の被塗装物に顕
著に起こっていた。
【0004】したがって本発明は、上記のようにして被
塗装物の表面に粘着層を形成するにあたって被塗装物ど
うしの付着を防止することができ、その結果、生産効率
の向上ならびに粉体皮膜の高品質化が図られる粉体皮膜
形成用粘着剤およびそれを用いた粉体皮膜形成方法を提
供することを目的としている。なお、本発明で言う「粉
体皮膜」とは、美観付与とともに表面の耐久性や強度を
向上させるための一般的な塗膜の他、研磨用途、滑り止
めあるいは滑り性向上、光反射あるいは光反射防止、電
気絶縁性等、被塗装物の表面に様々な機能を付与する目
的で形成される皮膜を指す。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の粉体皮膜形成用
粘着剤は、被塗装物の表面に粘着層を形成し、この粘着
層に付着させた粉体により粉体皮膜を形成させる粘着剤
であって、該粘着剤中に、固体粒子が分散されているこ
とを特徴とするものであり、固体粒子は、互いに近接す
る被塗装物の粘着層の間を離間させ得るものとされる。
本発明の粘着剤により被塗装物の表面に粘着層を形成す
るには、例えば、上記のように、多数の被塗装物を籠容
器内に収容し、籠容器ごと粘着剤の貯留槽に浸漬してか
ら取り出した後、ドライヤの温風を被塗装物に吹き付け
て粘着剤中の希釈剤を揮発させる方法等が好適である。
この他には、多数の被塗装物を籠容器内に投入し、籠容
器を揺らしながら被塗装物に粘着剤をスプレーし、この
後、ドライヤの温風を被塗装物に吹き付けて希釈剤を揮
発させる方法でもよい。いずれにしろ、多数の被塗装物
の表面に本発明の粘着剤を一括して付着させた後、希釈
剤を揮発させるといった方法が好適である。
【0006】さて、このように被塗装物の表面に粘着層
を形成すると、従来の粘着剤では、被塗装物どうしが付
着する場合があったわけである。ところが本発明の粘着
剤によれば、図1に示すように、結着剤中に分散された
固体粒子1が、付着しようとする2つの被塗装物Wの粘
着層2の間に介在して両者の粘着層2を離間させるスペ
ーサの機能を果たし、被塗装物Wどうしの付着を妨げ
る。このため、被塗装物どうしの付着が防止され、その
結果、被塗装物どうしの付着を解除する作業が省かれて
生産効率が向上するとともに、均一な粘着層の厚さが確
保され、後に形成される粉体皮膜の高品質化が図られ
る。
【0007】ここで、粘着層の厚さは、主成分の結着剤
の粘度、希釈剤の含有率、固体粒子の含有率等により調
整可能であり任意に設定されるが、薄すぎると後に付着
させる粉体を十分に担持することができず、逆に厚すぎ
ると液垂れが生じやすくなる。このような観点から、粘
着層の厚さは1〜10μmが好適とされる。したがっ
て、固体粒子が上記のスペーサ機能を発揮するには、5
〜20μmの粒子径を有する粒子を含有し、かつ体積平
均粒子径が2〜50μmであることが好ましい。固体粒
子がスペーサ機能を発揮するための最小粒子径は、粘着
層の厚さと比例して増減する。固体粒子の体積平均粒子
径は、単に粘着層の厚さよりも大きければよいというも
のではない。それは、50μmを超えると大きくて重い
ため貯蔵状態で沈降して固化しやすく、沈降・固化が生
じた場合には、使用前に再び分散させなければならなく
なり作業能率の低下を招くからである。さらに、固体粒
子として体積平均粒子径が50μmを超える無機物を用
いた場合には、後に形成される粉体皮膜の表面からその
固体粒子が突出して平滑性が低下する場合があるので、
平滑性が求められる用途には不適当である。
【0008】このような理由から上記粒子径を有する固
体粒子が好適であり、より好ましくは5〜20μmの粒
子径を有する粒子を含有し、かつ体積平均粒子径が2〜
30μmの固定粒子であり、さらに好ましくは5〜20
μmの粒子径を有する粒子を5〜100重量%含有し、
かつ体積平均粒子径が2〜20μmの固定粒子であり、
もっとも好ましいのは5〜10μmの粒子径を有する粒
子を5〜100重量%含有し、かつ体積平均粒子径が2
〜10μmの固定粒子である。なお、固体粒子の上記粒
子径および体積平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布計
(日機装社製:マイクロトラック)を用いて測定するこ
とができる。そして、固体粒子は粘着剤中の固形分の5
〜70重量%であることが好ましい。5重量%未満では
スペーサ機能が不十分であり70重量%を超えると結着
成分不足から粘着力の低下、粉体被膜の平滑性不良等の
問題が生じるので好ましくない。なお、ここでいう固形
分とは、粘着剤製造時に用いる希釈剤を除いた全てのも
のを示す。
【0009】また、本発明の粉体皮膜形成方法は、本発
明の粉体皮膜形成用粘着剤を被塗装物の表面に塗布して
粘着層を形成し、次いで、この粘着層に、皮膜形成媒体
を介して粉体を付着もしくは埋め込むことを特徴として
いる。具体的には、本発明の粘着剤によって表面に粘着
層が形成された多数の被塗装物とともに粉体および皮膜
形成媒体を適当な容器内に適宜な割合で投入し、容器を
振動あるいは回転させるなどして投入物に外力を与え
る。粉体は、皮膜形成媒体の表面に付着させた状態で容
器内に投入してもよい。すると、粉体は皮膜形成媒体に
より打撃されて粘着層に付着させられ、さらには埋め込
まれ、その埋め込み作用で表面に押し出された粘着剤
に、さらに皮膜形成媒体により打撃された粉体が埋め込
まれるといった作用が繰り返された後、粘着剤の表出が
とまった時点において、粉体による皮膜形成が完了す
る。固体粒子は、多層化する粉体内に埋め込まれる。本
方法によれば、上述したように本発明の粘着剤からなる
粘着層は均一な厚さが確保されるので、形成される粉体
皮膜も均一な厚さとなり、また、粉体が多層かつ高密度
に充填された状態となるので、被塗装物に対する付着状
態は強固となり剥離するおそれがない。これらのことか
ら、粉体皮膜の高品質化が図られる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に、本発明をより具体化した実
施の形態を説明する。まず、本発明の粘着剤を構成する
好適な材料を説明する。 (1)結着剤 本発明の粘着剤を構成する結着剤としては、エポキシ樹
脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹
脂、アミノ樹脂、シリコーン樹脂、ユリア樹脂等の公知
の液状あるいは半液状の樹脂や、アミン類、エーテル
類、グリコール類、タール類およびスチレン、アクリ
ル、フェノール、イソシアネート等のモノマー、オリゴ
マー、ポリマー等の公知の液状あるいは半液状の物質を
用いることができる。これらの結着剤は、単独または2
種以上をブレンドして用いることができ、また、粘着力
を調整するために、固形のものと液状のものとをブレン
ドして用いることもできる。結着剤が水酸基、エポキシ
基、アミノ基、カルボキシル基、イソシアネート基、ア
ルデヒド基、ニトロ基、スルホン基等の官能基を持つ場
合には、その官能基と架橋反応させることができる物
質、例えば、フェノール樹脂やポリアミド樹脂等の公知
の樹脂や、イミダゾール類、イミダゾリン類、酸無水物
類、ヒドラジン類、アミン類、アミド類、二塩基酸、イ
ソシアネート類、イソシアヌレート類等の公知の硬化剤
や硬化触媒等を、必要に応じて適宜両添加することが好
ましい。
【0011】(2)固体粒子 粘着剤中に分散される本発明の固体粒子としては、粘着
剤により溶解あるいは膨潤しないものが好適である。具
体的には、シリカ、アルミナ、マイカ、水酸化アルミニ
ウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ガラス、炭化珪
素、タルク、ジルコニウム、酸化鉄、鉄、ニッケル、ア
ルミニウム、ステンレス等の無機物からなる粒子をはじ
め、シリコーン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子等の各
種架橋樹脂粒子、ジシアンジアミド、イミダゾール、二
塩基酸等の有機物の粒子が用いられる。固体粒子の形状
は、球状、扁平状、立方体、柱状、円錐状等の各種形状
のものをはじめ、不定形のものでもよい。無機物からな
る固体粒子の場合、粘着剤により溶解したり膨潤したり
するおそれはないが、有機物からなる場合には、結着剤
や希釈剤等により溶解あるいは膨潤しないものを適宜選
択する必要がある。また、固体粒子は、異なる材質およ
び/または形状からなる2種以上の粒子をブレンドして
用いることもできる。固体粒子は、上述したように、5
〜20μmの粒子径を有する粒子を含有し、かつ体積平
均粒子径が2〜50μmであること、さらには、粘着剤
中の固形分の5〜70重量%含有されていることが、被
塗装物どうしの付着を防止するスペーサ機能を発揮する
ための好適な条件とされる。
【0012】(3)希釈剤 結着剤が高粘度である場合には、適宜な割合で希釈剤が
添加される。希釈剤としては、エーテル類、アルコール
類、ケトン類、芳香族化合物等の一般的な希釈剤を用い
ることができる。 (4)その他の材料 本発明の粘着剤中には、必要に応じて次のような材料が
適宜添加される。その材料とは、例えば、シランカップ
リング剤等の各種カップリング剤、ベンゾイン等の各種
発泡防止剤、アクリルオリゴマー等の各種流展剤、酸化
チタン、カーボンブラック、酸化鉄、銅フタロシアニ
ン、アゾ顔料、縮合多環式化合物顔料等の各種着色剤、
アルミニウム粉、銅粉等の金属粉、超微粒子シリカ等の
増粘剤、各種酸化防止剤、硬化剤、防錆剤、抗菌剤、紫
外線吸収剤、界面活性剤、ワックス等の各種添加剤等で
ある。
【0013】上記結着剤と固体粒子とを必須の材料と
し、その他の材料を必要に応じて適宜選択し、かつ適宜
な割合で混合することにより、本発明の粘着剤が製造さ
れる。この粘着剤により被塗装物の表面に粘着層を形成
するには、上述したように、まず、多数の被塗装物を籠
容器内に収容し、次いで、籠容器ごと粘着剤の貯留槽に
浸漬するか、あるいは籠容器を揺らしながら被塗装物に
粘着剤をスプレーした後、希釈剤を揮発させるといった
方法が用いられる。
【0014】本発明の粘着剤が好適に使用される被塗装
物としては、自動車、船舶、航空機、自動二輪車、自転
車等の部品、家電製品の部品、事務機器の部品、電気・
電子部品、建材、玩具、モータコア、磁石等を挙げるこ
とができる。また、被塗装物の材質としては、鉄、アル
ミニウム、ステンレス、真鍮、銅、亜鉛等の一般的な金
属およびその合金をはじめ、ガラス、セラミックス、プ
ラスチックス、木材、紙、布等の絶縁性の材質を挙げる
ことができる。
【0015】さて、本発明の粘着剤により被塗装物の表
面に粘着層を形成した後は、本発明の粉体皮膜形成方法
により、熱可塑性あるいは熱硬化性の粉体塗料に代表さ
れる各種粉体を付着させて粉体皮膜を形成することがで
きる。以下、その形成方法の一具体例を、図2を参照し
て説明する。
【0016】図2は、被塗装物表面の粘着層に粉体塗料
を付着させるための外力として振動を用いる加振塗装装
置の一例を示している。該装置は、加振機構V上に配置
された容器C内に、表面に粘着層が形成された多数のペ
レット状被塗装物W、皮膜形成媒体および粉体塗料(い
ずれも図示略)が投入され、これら投入物を、加振機構
Vで容器Cごと振動させることにより、被塗装物Wの表
面に粉体塗料による粉体皮膜を形成するものである。
【0017】容器Cは、硬質合成樹脂あるいは金属等の
硬質材からなるもので、上部に開口部c1を有する腕状
に形成されており、その底部c2の中央部には、上方に
膨出して開口部c1と同程度の高さに達する柱状部c3
が突設されている。一方、加振機構Vは、機台F上にコ
イルスプリングf1、f2を介して振動板f3が取り付
けられ、振動板f3の上面中央部に上方に延びる垂直軸
f4が突設され、振動板f3の下面中央部にモータf5
が固定され、このモータf5の出力軸f6に重錘f7が
偏心して取り付けられた構成となっている。容器Cは、
振動板f3に置かれた状態で、柱状部c3の上端が垂直
軸f4の上端に固定されることによりセットされ、モー
タf5が駆動されて重錘f7が回転すると加振されるよ
うになっている。
【0018】ここで、容器C内に投入される粉体塗料お
よび皮膜形成媒体を説明する。 ・粉体塗料 粉体塗料は、樹脂を含むものであり、例えば、エポキシ
樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、
ユリア樹脂、メラニン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエ
チレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
アミド樹脂等の、粉体塗料に通常用いられている樹脂を
単独で、または混合して用いられる。これらの粉体塗料
中の樹脂の主成分が熱硬化性樹脂の場合には、熱硬化性
樹脂が持つ官能基と架橋反応し得る官能基を持つ硬化剤
を用いることが好ましい。このような硬化剤としては、
例えば、アミン、アミド、ジシアンジアミド、カルボン
酸、酸無水物、イソシアネート、ポリスルフィド、酸ジ
ヒドラジド、イミダソール等の粉体塗料に用いられてい
る公知の硬化剤を、単独で、または混合して用いられ
る。粉体塗料には、必要に応じて、炭酸カルシウム、硫
酸バリウム、タルク等の各種充填剤、シリカ、アルミ
ナ、水酸化アルミニウム等の各種増粘剤、酸化チタン、
カーボンブラック、酸化鉄、銅フタロシアニン、アゾ顔
料、縮合多環式化合物顔料等の各種着色剤、ポリアクリ
ル酸ブチルエステル等のアクリルオリゴマー、シリコー
ン等の各種流展剤、ベンゾイン等の各種発泡防止剤、さ
らには、硬化促進剤、ワックス、カップリング剤、酸化
防止剤、磁性粉、各種金属粉等の各種添加剤および各種
機能性材料を適宜添加することができる。
【0019】粉体塗料を製造するには、例えば、上記の
材料から構成される粉体塗料組成物をミキサーまたはブ
レンダー等を用いて乾式混合した後、ニーダーにより溶
融混練して冷却する。次に、機械式または気流式の粉砕
機を用いて粉砕した後、分級することにより粉体塗料の
粒子を得ることができる。また、このような方法の他に
は、例えば、スプレードライ法または重合法等を挙げる
ことができる。
【0020】・皮膜形成媒体 皮膜形成媒体は、振動により粉体を打撃して粘着層に付
着あるいは埋め込む作用をなすものであり、鉄、炭素
鋼、合金鋼、銅および銅合金、アルミニウムおよびアル
ミニウム合金、その他の各種金属、合金からなるもの、
あるいは、Al、SiO、TiO、ZrO
、SiC等のセラミックスからなるもの、さらに
は、ガラス、硬質プラスチックス等からなるもの等が用
いられる。また、十分な打撃力を粉体に与えることがで
きるのであれば、硬質のゴムを用いてもよい。皮膜形成
媒体の材質およびサイズは、被塗装物の形状およびサイ
ズ、粉体塗料の材質等に応じて適宜選択される。さら
に、複数種類の材質およびサイズを混合して用いること
もでき、また、表面処理、表面皮膜を施したものを用い
ることもできる。皮膜形成媒体の形状は、球状、楕円
形、立方体、三角柱、円柱、円錐、三角錐、四角錐、菱
面体等、各種形状のものを用いることができ、さらには
不定形であってもよく、これらを単独種類あるいは複数
種類混合して用いることができる。
【0021】さて、上記のように容器Cが加振される
と、容器C内の被塗装物Wの表面の粘着層に粉体塗料が
付着し、この付着した粉体塗料は、振動する皮膜形成媒
体に打撃されて粘着層に対し圧接あるいは埋め込まれ、
粘着層上に強固に付着して粉体付着層を形成する。さら
に振動が続いて粉体が皮膜形成媒体に繰り返し打撃され
ると、粘着剤が粉体付着層の表面に押し出され、その押
し出された粘着剤に、さらに粉体塗料が付着する。この
ような皮膜形成媒体の打撃作用により、粘着層への粉体
塗料の多層的な付着が徐々に進行し、固体粒子は、多層
化する粉体付着層内に埋め込まれる。そして、被塗装物
Wの表面の粉体付着層が皮膜形成媒体に打撃されても粘
着剤が表面に押し出されなくなった時点で、実質的な粉
体皮膜の形成が完了する。このようにして形成された粉
体皮膜は、粉体塗料が多層かつ高密度に充填された状態
となり、その付着状態は強固で被塗装物Wから剥離する
おそれがない。また、粘着層の厚さが均一に確保されて
いるので、粉体皮膜の厚さも均一となる。
【0022】本発明の皮膜形成方法を実施する塗装装置
は、上記加振塗装装置に限定されず、例えば、容器とし
ては円筒状容器、箱形容器、螺旋管状容器等、種々の容
器を用いることができる。また、被塗装物、皮膜形成媒
体および粉体塗料を振動させる手段としては、容器を振
動させる代わりに、容器内に収容した振動体を振動させ
ることでも可能である。さらに、皮膜形成のために与え
る外力としては、振動の他に、回転、落下等を採用して
もよい。回転の場合には、回転容器や、内側に撹拌羽を
有する容器等が用いられる。また、外力として落下を採
用する場合には、Vブレンダー、タンブラー等が用いら
れる。
【0023】なお、本発明で言う「粉体皮膜」とは、前
述したように、粉体塗料を用いた一般的な塗膜の他、研
磨用途、滑り止めあるいは滑り性向上、光反射あるいは
光反射防止、電気絶縁等、被塗装物の表面に様々な機能
を付与する目的で形成される皮膜を指しており、一般的
な塗膜以外の例を次に列挙し、本発明の広範囲な有用性
を示す。 (a)被塗装物に研削・研磨・研掃機能を付与する。こ
の場合、被塗装物はヤスリとして供される。 用いる粉体の例…アトマイズケルメット粉、青銅粉、ソ
ジウムモンモリロナイト粉、ジルコン砂粉、アルミナ
粉、炭化珪素粉、セリウム粉、ガラス粉等。 (b)被塗装物に滑り止め機能を付与する。 用いる粉体の例…アトマイズケルメット粉、青銅粉、ソ
ジウムモンモリロナイト粉、ジルコン砂粉、アルミナ
粉、炭化珪素粉、セリウム粉、ガラス粉等。 (c)被塗装物に滑り性(減摩機能)を付与する。 用いる粉体の例…グラファイト、あるいはポリテトラフ
ルオロエチレン、フルオロエチレン−プロピレン共重合
体樹脂等の樹脂粉等。 (d)被塗装物に光反射機能を付与する。この場合、被
塗装物は反射標識、反射シート、反射クロス等として供
される。 用いる粉体の例…ガラス粉等。 (e)被塗装物に光反射防止機能を付与する。 用いる粉体の例…シリカ粉、酸化チタン粉等。 (f)被塗装物に帯電性を付与する。 用いる粉体の例…ナイロン、ポリエチレン、メタクリル
樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、フルオロエチレン
−プロピレン共重合体樹脂等の樹脂粉等。 (g)被塗装物に導電性や非帯電性を付与する。 用いる粉体の例…アルミニウム粉、亜鉛粉、銅粉、金
粉、銀粉、ニッケル粉、鉄粉、タングステン粉、カーボ
ンブラック粉等。 (h)被塗装物に電気絶縁性を付与する。 用いる粉体の例…温石綿粉、炭化珪素粉等。 (i)被塗装物に発熱性を付与する。 用いる粉体の例…モリブデン粉、タンタル粉等。 (j)被塗装物に耐食耐熱性を付与する。 用いる粉体の例…ニオブ粉、タンタル粉、カオリナイト
粉、カオリン粉、ハロサイト粉、陶石粉、蝋石粉、セリ
サイト粉、アロフェン粉、シジコン砂粉、アルミナ粉、
ガラス粉等。
【0024】
【実施例】次に、本発明に基づく実施例および本発明に
対する比較例により、本発明の効果をより明らかにす
る。 −粘着剤の製造− [実施例1](固形分中の固体粒子の含有量:32.5重量%) ・結着剤…液状エポキシ樹脂 10.0g (東都化成社製、商品名:YD−128) ・硬化剤…イミダゾール 0.4g (四国化成社製、商品名:C11Z) ・固体粒子…シリカ 5.0g 体積平均粒子径:2.3μm 粒子径5〜20μmの粒子の割合:7.4重量% 粒子径5〜10μmの粒子の割合:7.4重量% (龍森社製、商品名:スリスタライトVX−SR) ・希釈剤…アセトン 490.0g これら材料を十分混合し、さらに超音波洗浄機により固
体粒子を5分間分散させて実施例1の粘着剤を得た。
【0025】 [実施例2](固形分中の固体粒子の含有量:66.2重量%) ・結着剤…液状エポキシ樹脂 20.0g (東都化成社製、商品名:YDF−170) ・硬化剤…イミダゾール 0.4g (四国化成社製、商品名:C11Z) ・固体粒子…水酸化アルミニウム 40.0g 体積平均粒子径:10.2μm 粒子径5〜20μmの粒子の割合:74.0重量% 粒子径5〜10μmの粒子の割合:30.2重量% (住友化学工業社製、商品名:CL−310) ・希釈剤…アセトン 480.0g これら材料を十分混合し、さらに超音波洗浄機により固
体粒子を5分間分散させて実施例2の粘着剤を得た。
【0026】 [実施例3](固形分中の固体粒子の含有量:50.0重量%) ・結着剤…液状ポリエステルポリオール 6.0g (日本ポリウレタン工業社製、商品名:ニッポラン4271) ・硬化剤…ブロックドイソシアネート 4.0g (日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネート2507) ・固体粒子…シリコーン樹脂微粒子 10.0g 体積平均粒子径:12.0μm 粒子径5〜20μmの粒子の割合:97.5重量% 粒子径5〜10μmの粒子の割合:31.0重量% (東芝シリコーン社製、商品名:トスパール3120) ・希釈剤…アセトン 490.0g これら材料を十分混合し、さらに超音波洗浄機により固
体粒子を5分間分散させて実施例3の粘着剤を得た。
【0027】 [実施例4](固形分中の固体粒子の含有量:60.0重量%) ・結着剤…液状ポリエステルポリオール 6.0g (日本ポリウレタン工業社製、商品名:ニッポラン4271) ・硬化剤…ブロックドイソシアネート 4.0g (日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネート2507) ・固体粒子…マイカ粒子 15.0g 体積平均粒子径:22.5μm 粒子径5〜20μmの粒子の割合:37.2重量% 粒子径5〜10μmの粒子の割合:17.0重量% (トピー工業社製、商品名:PDM−6−80) ・希釈剤…アセトン 490.0g これら材料を十分混合し、さらに超音波洗浄機により固
体粒子を5分間分散させて実施例4の粘着剤を得た。
【0028】[比較例1]上記実施例1の固体粒子を除
いたものを比較例1の粘着剤とした。 [比較例2]上記実施例3の固体粒子を除いたものを比
較例2の粘着剤とした。
【0029】−粘着剤の塗布− 上記実施例1〜4および比較例1、2の粘着剤を、そ
れぞれ2リットルのビーカー内に注ぎ入れ、スターラー
を用いて撹拌状態とする。 被塗装物として、ワッシャ(外径17mm、内径8m
m、厚さ2mm)を用いた。直径10cmの半球状のス
テンレス製籠容器内に被塗装物を20個投入し、これら
被塗装物を、籠容器ごと各ビーカー内の粘着剤中に10
秒間浸漬した。 籠容器をビーカーから取り出し、十分に粘着剤の液滴
を振り切った後、籠容器を揺らしながらドライヤの温風
を被塗装物に吹き付け、粘着剤中の希釈剤を揮発させ
た。これにより、被塗装物の表面に粘着剤による粘着層
を形成した。
【0030】−評価− 上記のようにして被塗装物表面に粘着層を形成した後
に、実施例1〜4および比較例1、2ごとに被塗装物ど
うしの付着状況を調べ、互いに付着した被塗装物の個数
を数えた。その結果は、次の通りであった。 実施例1… 0個 実施例2… 0個 実施例3… 0個 実施例4… 0個 比較例1…12個 比較例2…10個
【0031】このように、実施例1〜4の粘着剤が塗布
された被塗装物にあっては、被塗装物どうしの付着は皆
無であり、これに対し、固体粒子を含まない比較例1、
2の粘着剤が塗布されると、被塗装物どうしの付着が多
く生じ、本発明の効果が明瞭に確かめられた。
【0032】次に、実施例1、2の粘着剤が塗布された
被塗装物には体積平均粒子径が15μmの熱硬化性エポ
キシ粉体塗料を用い、また、実施例3、4の粘着剤が塗
布された被塗装物には体積平均粒子径が15μmの熱硬
化性ポリエステル粉体塗料を用い、前述の皮膜形成方法
を適用して粉体皮膜を形成した。この後、各被塗装物を
180℃で20分間加熱処理して最終的に成膜したとこ
ろ、いずれも均一かつ平滑な粉体皮膜を得ることができ
た。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
多数の被塗装物の表面に粘着層を一括して形成した際に
も被塗装物どうしの付着が防止され、その結果、生産効
率の大幅な向上ならびに粉体皮膜の高品質化が図られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る固体粒子の作用を表す概念図で
ある。
【図2】 本発明の一実施形態に基づく粉体皮膜形成方
法を実施するに好適な加振塗装装置の正面断面図であ
る。
【符号の説明】
1…固体粒子、2…粘着層、W…被塗装物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 板谷 修 京都府京都市西京区松室追上町22番地の1 エリーパートII 401号 インターメ タリックス株式会社内 (72)発明者 藤原 晃 静岡県静岡市用宗巴町3番1号 株式会社 巴川製紙所化成品事業部内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被塗装物の表面に粘着層を形成し、この
    粘着層に付着させた粉体により粉体皮膜を形成させる粘
    着剤であって、 該粘着剤中に、固体粒子が分散されていることを特徴と
    する粉体皮膜形成用粘着剤。
  2. 【請求項2】 被塗装物の表面に粘着層を形成し、この
    粘着層に付着させた粉体により粉体皮膜を形成させる粘
    着剤であって、 該粘着剤中に、互いに近接する被塗装物の粘着層の間を
    離間させ得る固体粒子が分散されていることを特徴とす
    る粉体皮膜形成用粘着剤。
  3. 【請求項3】 前記固体粒子は、5〜20μmの粒子径
    を有する粒子を含有し、かつ体積平均粒子径が2〜50
    μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の
    粉体皮膜形成用粘着剤。
  4. 【請求項4】 前記固体粒子を、当該粘着剤中の固形分
    の5〜70重量%含有することを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の粉体皮膜形成用粘着剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の粉体皮
    膜形成用粘着剤を被塗装物の表面に塗布して粘着層を形
    成し、次いで、この粘着層に、皮膜形成媒体を介して粉
    体を付着もしくは埋め込むことを特徴とする粉体皮膜形
    成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005021673A1 (ja) 2003-08-28 2005-03-10 Yushi-Seihin Co., Ltd. 高温貼り付け可能な耐熱ラベル
JP2008178197A (ja) * 2007-01-17 2008-07-31 Nitto Shinko Kk モーター用絶縁紙
US7659005B2 (en) 2003-08-28 2010-02-09 Yushi-Seihin Co., Ltd. Heat-resistant label applicable at high temperature

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