JP4005184B2 - 粉体塗料およびその粉体塗料を用いた皮膜形成法 - Google Patents

粉体塗料およびその粉体塗料を用いた皮膜形成法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、種々の物品に皮膜を形成する皮膜形成法に使用される粉体塗料および、該粉体塗料を使用する皮膜形成法に関するものであり、特に、絶縁性の物品や耐熱性の低い物品への粉体塗装に適する粉体塗料およびその粉体塗料を用いた皮膜形成法である。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機溶剤を含まない粉体塗料は、人体および地球環境への悪影響が少なく、非常に有益なものであることは周知であり、様々な分野で溶剤塗装から粉体塗装への移行が提案されている。
従来、一般に、熱硬化性粉体塗料は、粉体塗料の粒子中に熱硬化性樹脂と硬化剤とを含むものであり、被塗装物の表面に粉体塗料を付着させた後に、熱処理を施すことにより皮膜が形成されることになる。
一般的に行われている熱硬化性の粉体塗料を被塗装物の表面に付着させる塗装方法には、具体的には以下のようなものがある。
▲1▼多孔板から噴出する流動化エアーの力により粉体塗料の粒子が流動化している流動槽内に、粉体塗料の融点以上(一般的には300℃前後)に加熱された被塗装物を通過させることにより、被塗装物の熱により粉体塗料の粒子を瞬時に溶融させて被塗装物の表面に付着させる流動浸漬法。
▲2▼多孔板から噴出される流動化エアーの力により荷電された粉体塗料粒子が流動化している流動槽内に、アースを取り付けた被塗装物を通過させて、粉体塗料の粒子を被塗装物の表面に電気的付着力により付着させる静電流動浸漬法。
▲3▼粉体塗料の粒子をスプレーガンの内部または吐出部で荷電させてアースを取りつけた被塗装物に吹き付け、被塗装物の表面に電気的付着力により付着させる静電スプレー塗装法。
このような塗装法により、被塗装物の表面に粉体塗料を付着させた後、140〜200℃程度の温度条件下で20〜60分程度の間、熱処理を施すことにより、粉体塗料に含まれる熱硬化性樹脂と硬化剤とを架橋させ硬化皮膜を形成していた。
上記▲1▼〜▲3▼の粉体塗装法では、溶融した粉体塗料の粘着力または電気的付着力を利用して、粉体塗料を被塗装物の表面に付着させるので、耐熱性が低い被塗装物や絶縁性の被塗装物には利用することができないという問題があった。
【0003】
上記の皮膜形成法に用いられる熱硬化性粉体塗料は、生産性の面から一般に、熱硬化性樹脂及び硬化剤を、必要に応じて添加剤とともに乾式混合した後、熱硬化性樹脂のフロー軟化点以上の温度条件下で溶融混練し、冷却した後に、粉砕することにより製造されている。
このような製造法により製造された従来の粉体塗料では、一般に、室温で安定であり、140〜200℃程度で熱硬化性樹脂と架橋反応する、ジシアンジアミド類、イミダゾリン類、ヒドラジン類、ブロックドイソシアネート、酸無水物、二塩基酸等の潜在性硬化剤が用いられている。
上述の粉体塗料の製造法により、120℃以下程度の低温度下で熱硬化性樹脂と迅速に硬化する低温硬化型硬化剤を用いて粉体塗料を製造すると、溶融混練時にニーダー内で架橋反応(硬化反応)が起こり、硬化物がニーダーの軸の溝へ付着し材料のニーダーへの食い込み性の低下および、架橋による混練物の粘度増加等の原因で吐出量が低下し、生産性が悪化する。また、得られた混練物は架橋反応により高分子化しており、硬度が増すため粉砕性が低下する。このような理由により、低温硬化型粉体塗料は従来の製造法では、生産性に問題があるため、工業的大量生産には不適当である。更に、得られた粉体塗料は、混練時の架橋反応による高分子化に伴い、フロー軟化点が上昇し、溶融時のフロー性が低下する。そのため、熱処理後の皮膜の表面が平滑にならない等の問題が発生する。また、得られた粉体塗料はポットライフが短く、25℃以上の温度下では熱硬化性樹脂と硬化剤との架橋反応が進行してしまうため、貯蔵安定性が悪い等の問題も発生する。
このような理由から、上記製造法により製造される熱硬化性粉体塗料では、反応性の高い低温硬化型硬化剤を用いることができず、一般に140〜200℃程度の温度条件下で熱硬化性樹脂と架橋反応する潜在性硬化剤が用いられていた。そのため、被塗装物がプラスチックスや電気・電子部品等の耐熱性が低い素材からなり、120℃以下程度の温度条件下で粉体塗料を迅速に硬化させ皮膜形成を行う必要がある場合、熱硬化性の粉体塗料を使用することは困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来、プラスチックスや電気・電子部品やガラス等の絶縁性の被塗装物や耐熱性が低い被塗装物に対する粉体塗料を用いた皮膜形成は、粉体塗装、粉体塗料の製造、粉体塗料の貯蔵安定性に問題を抱えている。そのため、このような皮塗装物に対しては、一般に、樹脂、硬化剤、添加剤および有機溶剤からなる溶剤塗料を用いた溶剤スプレー塗装が行われているのが現状である。
本発明の目的は、上述したような問題点を解決し、絶縁性の被塗装物や耐熱性が低い被塗装物に対して、溶剤塗料により行われていた皮膜形成を、粉体塗装により行うことであり、それに適する粉体塗料およびその粉体塗料を用いた皮膜形成法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成させるために、予め表面に粘着層が形成された被塗装物に粉体塗料を付着させ、その後、熱処理を行うことにより皮膜を形成する皮膜形成法に用いられる粉体塗料において、第1には、該粉体塗料が、熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子と硬化剤を含む硬化剤粒子とを含有するものであって、且つ、前記熱硬化性樹脂の樹脂粒子が、120℃以下程度で、前記硬化剤の硬化剤粒子と硬化反応するものであるとともに、前記硬化剤の硬化剤粒子を、120℃以下程度で、前記熱硬化性樹脂の官能基と前記硬化剤の官能基とが架橋反応する低温硬化型硬化剤としたものであり、第2には、前記熱硬化性樹脂に、140〜200℃程度の温度条件下で、前記熱硬化性樹脂と硬化反応する潜在性硬化剤を、硬化助剤として添加したものであり、また、被塗装物に皮膜を形成することを特徴とする皮膜形成法において、第1には、予め表面に粘着層が形成された被塗装物に、120℃以下程度で、硬化剤の硬化剤粒子と硬化反応する熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子と、120℃以下程度で、前記熱硬化性樹脂の官能基と架橋反応する官能基を有する低温硬化型硬化剤の硬化剤粒子とからなる粉体塗料を付着させ、その後、熱処理を行うことにより、前記被塗装物に皮膜を形成するようにしたものであり、第2には、熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子と硬化剤を含む硬化剤粒子とを含有する前記粉体塗料と、予め表面に粘着層が形成された被塗装物と、皮膜形成媒体とを、加振装置の容器に投入し、その後、加振装置を駆動させることにより、前記の予め表面に粘着層が形成された被塗装物に皮膜を形成するようにしたものである。
【0006】
【実施例】
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明の趣旨を超えない限り何ら、本実施例に限定されるものではない。
【0007】
本発明の粉体塗料は、予め表面に、粘着層を形成した被塗装物に粉体塗料を付着させ、熱処理を行うことにより皮膜を形成する皮膜形成法に用いられる粉体塗料であり、熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子と硬化剤を含む硬化剤粒子とを含有することを特徴とする熱硬化性粉体塗料である。
先ず、本発明の粉体塗料が用いられる皮膜形成法について説明する。
本発明者らは、予め被塗装物の表面に粘着層を形成することにより、絶縁性の被塗装物の表面に粉体塗料の粒子を均一に付着させ得ることを見いだした。
該粘着層としては、被塗装物上に粘着剤を塗布するか、或いは、プラスチックス等では、有機溶剤等によりその表面を溶解あるいは膨潤させることによっても粘着層を形成することができる。
【0008】
該粘着剤としては、熱処理時に溶融した粉体塗料と相溶性が良好であり、且つ、被塗装物との密着性に優れているものが好適である。そして、粘着剤が官能基を有する熱硬化性樹脂の場合には、その官能基と架橋反応することが可能な官能基を含有する硬化剤を適量添加することが好ましい。
該粘着剤としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂等の一般的な未硬化状態の液状或いは半液状の樹脂のみならず、アミン類、エーテル類、グリコール類、タール類及び、スチレン、アクリル、フェノール、イソシアネート等のモノマー、オリゴマー、ポリマー等の一般的な液状または半液状物質を用いることができる。本発明の皮膜形成法では、120℃以下程度の熱処理温度下で粉体塗料に含まれる熱硬化性樹脂と架橋反応をすることのできる、アミン類、アミド類、イミダゾール類、イソシアネート類等、溶剤塗料で一般的に用いられている公知の液状の硬化剤を含むもの、または、120℃以下程度の熱処理温度下で粉体塗料に含まれる硬化剤と架橋反応することのできる、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等、溶剤塗料で一般的に用いられている公知の液状の熱硬化性樹脂を含むもの、或いは、120℃以下程度の熱処理温度下で架橋反応をすることのできる、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等、溶剤塗料で一般的に用いられている公知の液状の熱硬化性樹脂とアミン類、アミド類、イミダゾール類、イソシアネート類等の公知の液状または固体の硬化剤とを含むものが、低温度下でも十分に架橋反応することができ、硬化皮膜の機械的強度や被塗装物に対する密着性が良好なので粘着剤として好適である。
【0009】
更に、該粘着剤中には、必要に応じてシランカップリング剤等の各種カップリング剤、ベンゾイン等の各種発泡防止剤、アクリルオリゴマー等の各種流展剤、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、銅フタロシアニン、アゾ顔料、縮合多環顔料等の各種着色剤、アルミ粉、銅粉等の各種金属粉、シリカ、アルミナ等の各種粘着剤、酸化防止剤、防錆剤、抗菌剤、硬化促進剤、反応性希釈剤等の各種添加剤を適宜添加しても良い。
【0010】
被塗装物の表面に上記の粘着剤を用いて粘着層を形成するには、被塗装物を粘着剤に浸漬するか、粘着剤をスプレー等により被塗装物に吹き付けるか、または刷毛やローラー等により粘着剤を被塗装物に塗布することにより行うことができる。その際、粘着剤が高粘度のものであれば、エーテル類、アルコール類、ケトン類、芳香族化合物等の一般的な希釈剤や工業用洗浄剤等を適宜添加して、希釈して使用しても良い。また、この時、希釈剤または洗浄剤として、洗浄力の高いものを用いて、被塗装物を該溶液中に浸漬することにより、被塗装物の表面の脱脂洗浄と粘着層の形成とを同時に行うことができるので好適である。
【0011】
上記のようにして、被塗装物の表面に粘着層を形成した後に、熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子と硬化剤を含む硬化剤粒子とを含有する粉体塗料を付着させる。
該粉体塗料を被塗装物の表面の粘着層に付着させる方法としては、例えば、
▲1▼粉体塗料をスプレーガンを用いて該被塗装物の表面に吹き付ける。
▲2▼多孔板から吹き出す流動化エアーにより粉体塗料が流動化状態になっている流動槽内に該被塗装物を通過させる。
▲3▼振動による衝撃力を用いて粉体塗料を粘着層に圧接あるいは圧入する。
等の方法が挙げられる。
▲1▼及び▲2▼の方法は、搬送エアーまたは流動化エアーにより、粉体塗料を被塗装物上の粘着層に付着させるものであり、外力が不足しているため粉体塗料を粘着層に圧接または圧入することができない。そのため、粉体塗料を構成する粒子を粘着層上に単層にしか付着させることができないので、薄膜の皮膜の形成は均一に行うことができるが、厚膜の皮膜形成には適さない。
一方、▲3▼の方法の一つには、本発明者らが、特開平5−302176公報において提案した皮膜形成法を用いるものが挙げられる。以下に、図1を用いて、▲3▼の皮膜形成方法の一例について概説する。
【0012】
1は、硬質合成樹脂や金属等の硬質材からなる碗状の容器であって、上部に開口部1aが形成されている。また、底部1bの中央部を、ほぼ開口部1aの高さまで上方に膨出させて、柱状部1cを形成することにより、柱状部1cの周りに環状空間1dが形成されている。
【0013】
2は、加震装置であり、加震装置2は、機台3に配設された、複数のコイルスプリング2aに支持された振動板2bを有している。振動板2bの下部中央には、モーター2cが垂下されており、下方に延びるモーター2cの出力軸2c’には重錘2dが偏心して取着されている。また、振動板2bの上部中央部には、該垂直軸2eが取着されており、該垂直軸2eの上端に、容器1の柱状部1cの上部が取着されている。従って、モーター2cを回転させることにより、偏心した重錘2dが回転されて、振動板2b上に取着された垂直軸2eを介して、容器1が加震されるよう構成されている。
【0014】
容器1には、ゴムや合成樹脂やセラミックスや金属等で形成された粒状の皮膜形成媒体及び後述する粉体塗料或いは必要に応じて、着色剤、流展剤、発泡防止剤等の適当な添加物からなる混合物Mと、表面に、粘着層が形成された被塗装物Wとを入れておく。次いで、加震装置2を駆動させると、被塗装物Wの粘着層に、皮膜形成媒体を介して、粉体塗料を構成する粒子(以下、粉体塗料を構成する粒子を、単に、「粉体粒子」という。)が付着する。この付着した粉体粒子、は皮膜形成媒体に叩かれて、粘着層に強固に、圧接或いは圧入されて、粉体粒子層を形成する。更に、皮膜形成媒体により繰り返し叩かれることにより、粘着剤が、付着した粉体粒子層の表面から押し出され、その押し出された粘着剤に、皮膜形成媒体を介して、更に、粉体粒子が付着する。このようにして、被塗装物の表面への皮膜形成が進行する。そして、この被塗装物の表面への皮膜形成は、粉体粒子層が皮膜形成媒体により叩かれても、粘着剤が、粉体粒子層の表面から押し出されなくなった時点で終了することになる。
【0015】
この皮膜形成法では、粘着剤の粘着力と皮膜形成媒体の衝撃力とにより被塗装物上に粉体粒子を付着させるため、粉体粒子が粉体粒子層内に多層に、しかも高密度に充填されるという特徴を有するものであり、粘着層の粘度と粘着力およびその層厚により、粉体粒子層の層厚を任意に調整することが可能であるので好適である。
【0016】
そして、振動を用いるその他の皮膜形成法として、上述の塗装機の容器1に粉体塗料を入れ、加震することにより粉体塗料を流動化状態にさせて、その中に、表面に粘着層を形成した被塗装物を浸漬することによっても、被塗装物上に粉体粒子層を形成することができる。
皮膜形成媒体を使用しないこの方法では、粉体粒子自体が皮膜形成媒体的な働きをし、振動による衝撃力が粉体粒子を伝い、被塗装物の表面の粘着層に粉体塗料の粒子が圧接または圧入され粉体粒子層が形成される。そして、上述と同様の原理により、粉体粒子層が粉体粒子に叩かれることにより被塗装物上に粉体粒子の付着が進行する。
【0017】
この方法では、流動性の低い(凝集力の大きい)粉体塗料を用いると、衝撃力により被塗装物上に丘状(凸状)に粉体粒子が凝集し易く、皮膜の表面の平滑性が悪化しやすい。そのため、粉体塗料としては、流動度≧0.40のものを用いるのが好ましい。流動度とは嵩比重/真比重であり、粉体塗料の流動性を表し、その値が大きい程凝集が発生しにくい。
粉体塗料の流動度を0.40以上にするには、以下のような方法を挙げることができる。
▲1▼粉体塗料の体積平均粒子径を大きくする。この場合、後述する理由から、その体積平均粒子径は30μm以下であることが好ましい。
▲2▼分級機を用いて粉体塗料中の微粒子を除去し、粉体塗料中の微粒子の割合を低くする。
▲3▼粉体粒子を球形にする。
▲3▼−1.樹脂粒子を構成する材料を乾式混合した後に、ニーダーを用いて溶融混練し、次いで、粉砕機を用いて粉砕することにより得られる樹脂粒子は不定形であり、熱や衝撃力等の外力を加えることにより球形にすることができる。また、必要に応じて硬化剤粒子も同様の方法により球形化処理できるが、その際に、樹脂粒子と硬化剤粒子とを同時に処理すると架橋反応してしまうので、個々に球形化処理した後に乾式混合することが好ましい。
▲3▼−2.粉体粒子をスプレードライ法や重合法により製造すると、自ずと球形をした粉体粒子を得ることができる。
▲4▼シリカ微粒子やアルミナ微粒子等の各種無機微粒子、メチルメタクリルレート等の各種架橋樹脂微粒子、ステアリン酸亜鉛等の各種金属石鹸等の流動性付与剤を、粉体粒子の表面に付着させることにより、粉体粒子の表面改質を行う。
粉体塗料の流動度を向上させる方法としては上記▲1▼〜▲4▼の方法が挙げられ、▲1▼〜▲4▼のいずれかの方法を単独または併用して用いることができる。
尚、嵩比重はJIS K 5101.20.1 静置法、真比重はJIS K0061.5.2 比重瓶法に準じて測定した値を用いる。
【0018】
この皮膜形成法でも、前述の皮膜形成媒体を用いた皮膜形成法と同様のプロセスにより粉体塗料を付着させるため、粉体粒子が粉体粒子層内に多層に、しかも高密度に充填されるという特徴を有しており、粘着層の粘度と粘着力およびその層厚により、粉体粒子層の層厚を任意に調整することが可能である。
【0019】
以上述べたような方法により、被塗装物上に粉体塗料を付着させた後に、所定の温度および時間、熱処理を行うことにより、粉体塗料に含まれる熱硬化性樹脂の官能基と硬化剤の官能基とを架橋反応させることにより硬化皮膜が形成される。
この所定の温度および時間とは、粉体粒子及び粘着剤の構成物質および被塗装物の材質によって適宜決定される温度および時間であり、本発明の粉体塗料の場合70〜120℃の範囲で10〜120分であることが好ましく、より好ましくは70〜100℃の範囲で30〜120分である。
【0020】
次に、本発明の粉体塗料について説明する。
本発明の皮膜形成法に用いられる粉体塗料は、熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子と硬化剤を含む硬化剤粒子とを含有することを特徴とする熱硬化性粉体塗料である。
本発明の粉体塗料を構成する熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子には、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等、一般に粉体塗料に用いられている公知の熱硬化性樹脂を単独或いは2種以上を併用して使用することができるが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等のエポキシ基(グリシジル基)を含有するものが120℃以下程度の低温度下でも硬化剤粒子に含まれる硬化剤との反応性が良好であるため好適である。
そして該樹脂粒子には、ジシアンジアミド類、イミダゾリン類、ヒドラジン類、酸無水物、ブロックドイソシアネート類、二塩基酸等の公知の潜在性硬化剤を硬化助剤として適宜添加しても良い。潜在性硬化剤とは、常温では安定であり、140〜200℃程度の温度条件下で熱硬化性樹脂と硬化反応するものである。そのため、樹脂粒子中に含まれていても、粉体塗料のポットライフを低減させることが無く、且つ、樹脂粒子を溶融混練により製造する際に、ニーダー内で架橋反応が起きないために、前述したような生産性の低下や、皮膜の平滑性の低下等の問題が発生しない。樹脂粒子には、必要に応じて、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク等の各種充填剤、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム等の各種増粘剤、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、銅フタロシアニン、アゾ顔料、縮合多環顔料等の各種着色剤、ポリアクリル酸ブチルエステル等のアクリルオリゴマーやシリコーン等の各種流展剤、ベンゾイン等の各種発泡防止剤、錫化合物等の硬化促進剤、ポリオレフィン等のワックス、シランカップリング剤等のカップリング剤、酸化防止剤、磁性粉、各種金属粉、抗菌剤等の各種添加剤及び各種機能性材料を適宜添加してもよい。
【0021】
本発明の粉体塗料を構成する硬化剤を含む硬化剤粒子には、ジシアンジアミド類、イミダゾール類、イミダゾリン類、ヒドラジン類、酸無水物、二塩基酸、ポリイソシアネート類、テトラメトキシメチルグリコールウリル等、一般に粉体塗料に用いられている公知の固体の硬化剤を単独或いは2種以上を併用して用いることができるが、イミダゾール類や、芳香族アミン類もしくは脂肪族アミン類とエポキシ樹脂とからなるエポキシ樹脂アミンアダクト型硬化剤等の低温硬化型硬化剤を用い、樹脂粒子がエポキシ基を有する熱硬化性樹脂を含む場合、120℃以下程度の低温度下で熱硬化性樹脂の官能基と硬化剤の官能基とが迅速に架橋反応する低温硬化型粉体塗料を得ることができ好適である。そして、該硬化剤粒子には、上述の樹脂粒子同様、必要に応じて各種添加剤を適宜添加してもよい。
【0022】
そして、本発明の粉体塗料のフロー軟化点は60〜110℃であることが好ましい。フロー軟化点が60℃未満ではケーキングが発生し易く貯蔵安定性が悪い。一方、フロー軟化点が110℃を越えると120℃以下程度の低温度下での熱処理時に、溶融した粉体塗料のフロー性の不足から、熱処理後の皮膜表面の凹凸が大きくなり、平滑性が低下するので好ましくない。尚、本発明でのフロー軟化点とは、島津製作所社製のフローテスタ(商品名:CFT−500)により、1,000cm2 のプランジャー、直径0.99mmで長さ1.00mmのダイを用い、20kgFの加量をかけ、6.0℃/minの昇温速度で測定した値を用いる。
【0023】
更に、本発明の粉体塗料は、上述したような低温硬化型粉体塗料であることが好ましい。本発明での低温硬化型粉体塗料とは、120℃以下程度の温度条件下で熱硬化性樹脂と硬化剤とが迅速に架橋するものであり、示差走査熱量測定(DSC)により、1分間に10℃の割合で昇温した際に、110℃において発熱反応が認められ、且つ発熱のピークが140℃以下である熱硬化性粉体塗料をいう。
【0024】
本発明の粉体塗料を製造するには、例えば、上記した樹脂粒子を構成する材料を含む組成物をミキサー或いはブレンダー等を用いて十分に乾式混合した後、ニーダーにより溶融混練して得られた混練物を冷却する。次に、該混練物を機械式または気流式の粉砕機を用いて粗粉砕する。その後、粗粉砕された混練物に硬化剤粒子を加え、ミキサー或いはブレンダー等を用いて十分に乾式混合した後、機械式または気流式の粉砕機を用いて粗粉砕する。次いで、分級することにより、熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子と硬化剤を含む硬化剤粒子とを含有する本発明の粉体塗料を得ることができる。
また、硬化剤粒子の添加方法は上述の方法の他に、樹脂粒子と硬化剤粒子とを別々に微粉砕した後に、ミキサー或いはブレンダー等を用いて微粉砕された樹脂粒子と硬化剤粒子とを十分に乾式混合することによっても得ることができる。
更に、樹脂粒子の製造法は、上述の方法の他に、例えば、スプレードライ法や重合法によっても製造することができる。
【0025】
このとき、樹脂粒子と硬化剤粒子とを含有する本発明の粉体塗料の体積平均粒子径は30μm以下であることが好ましい。体積平均粒子径が30μmを越えると、熱処理の際に溶融した樹脂粒子に含まれる熱硬化性樹脂の官能基と、硬化剤粒子に含まれる硬化剤の官能基との接触頻度の不足から、各々の官能基が十分に架橋反応することができず架橋密度不足となり、熱処理後の硬化皮膜の機械的強度および耐溶剤性が低下するので好ましくない。また、粉体塗料の体積平均粒子径が30μmを越えると、被塗装物上の粉体粒子層の表面の山部と谷部との起伏差が大きくなるため、熱処理後の皮膜表面の平滑性が低下するので好ましくない。この様な理由から、本発明の粉体塗料の体積平均粒子径はより小さい方が好適であり、30μm以下であることが好ましい。そして、更に好ましくは20μm以下であり、もっとも好ましくは15μm以下である。
【0026】
また、本発明の粉体塗料の粒子径分布としては、上述と同様の理由から粗大粒子の体積割合は少ない方が好ましく、体積90%粒子径が45μm以下であることが好ましく、更に好ましくは40μm以下であり、もっとも好ましくは35μm以下である。
尚、本発明の粒子径および粒子径分布はレーザー回折式粒度分析計(日機装社製:マイクロトラック)を用いて測定することができる。
【0027】
更に、本発明の粉体塗料には、粉体塗料の流動性の向上や貯蔵安定性の向上、或いは、乾式混合の際に、樹脂粒子と硬化剤粒子との混合分散性を向上等させる目的で、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、二酸化チタン微粒子等の無機微粒子、メチルメタクリルレート等の架橋樹脂微粒子或いはステアリン酸亜鉛、ラウリン酸リチウム等の金属石鹸等の各種流動性付与剤を適宜添加しても良い。
流動性付与剤の添加方法としては、例えば、ブレンダーやミキサー等により、粉体粒子と流動性付与剤とを十分に乾式混合する方法が挙げられる。そして、この場合の付着とは、粉体粒子の表面に、流動性付与剤が単に付着しているのみでもよいし、埋め込まれていても良い。
【0028】
更に、本発明の粉体塗料には、アルミ粉、チタン粉、銅粉、ニッケル粉、ステンレス粉等の各種金属粒子、酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄、銅フタロシアニン、アゾ顔料、縮合多環顔料等の各種着色剤粒子、錫化合物等の硬化触媒、ポリアミド樹脂やポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂粒子、銀錯塩等の各種抗菌剤粒子、各種酸化防止剤粒子、各種紫外線吸収剤粒子等の各種機能を有する粒子を乾式混合により粉体塗料に添加しても良い。
【0029】
上述の方法により製造された本発明の粉体塗料は、熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子と硬化剤を含む硬化剤粒子とを含むものなので、粉末(固体)の状態では熱硬化性樹脂と硬化剤との接触が少ないので、低温硬化型粉体塗料であってもポットライフの低下等の貯蔵安定性が悪化することなく、且つ、生産性も良好であるという特徴を有する。
【0030】
<実施例1>
▲1▼粉体塗料の製造
・エポキシ樹脂 94.5 重量%
(東都化成社製:YD−012)
・流展剤(ポリアクリル酸ブチルエステル) 1.0 重量%
・発泡防止剤(ベンゾイン) 0.5 重量%
・着色剤(カーボンブラック) 4.0 重量%
上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合した後、110℃の温度条件下でニーダーを用いて溶融混練し、これらを冷却させた後、粒子径が1〜3mm程度になるように機械式の粉砕機により粗粉砕した。これと、低温硬化型硬化剤(イミダゾール、四国化成社製:C11Z)を93:7の重量割合でミキサーを用いて十分に乾式混合した。次いで、気流式の粉砕機を用いて該混合物を微粉砕した後に、気流式の分級機を用いて粗大粒子を除去することにより粉体塗料Aを得た。
得られた粉体塗料は110℃で発熱反応があり、発熱ピークが121℃の低温硬化型粉体塗料であり、フロー軟化点は74℃で体積平均粒子径は8μmであった。
【0031】
▲2▼被塗装物
被塗装物は、宇部興産社製の膜厚125μmのポリイミドフィルム(商品名:ユーピレックス)の背面にリンテック社製の粘着シート(商品名:アドウィルC)を張り付けた後、50mm×50mmに切断したものを使用した。
【0032】
▲3▼被塗装物の洗浄および粘着層の形成
粘着剤には、液状エポキシ樹脂(東都化成社製:YD−128)と硬化剤(イミダゾール、四国化成社製:C11Z)とを95:5の比率で混合したものをアセトンにより5%に希釈して使用した。その5%溶液中に被塗装物を洗浄を兼ねて浸漬した後、取り出してドライアーの温風で30秒間乾燥させることにより被塗装物の表面に粘着層を形成した。
【0033】
▲4▼塗装機
塗装機は図−1と同じ構造のものを用いた。尚、容器1は容積2.8リットルで、深さ150mmである。
【0034】
▲5▼皮膜形成
容器1に直径0.8mmのセラミックス球をウレタンゴムで被覆した直径1.0mmの皮膜形成媒体1200ccと30gの粉体塗料Aを投入し、容器1を5分間加震して粉体塗料Aと皮膜形成媒体とを均一に混合させた。次いで、容器1を加震して該被塗装物を容器1に投入して、90秒間皮膜形成を行った。その後、被塗装物を取り出し、熱風乾燥炉で80℃で60分間熱処理を行い硬化皮膜を形成した。更に、室温で十分に冷却した後に、背面の粘着シートを剥がし、被塗装物の片面に硬化皮膜が形成された実施例1の被塗装物を得た。
【0035】
<実施例2>
▲1▼粉体塗料の製造
・エポキシ樹脂 94.5 重量%
(東都化成社製:ST−5080)
・流展剤(ポリアクリル酸ブチルエステル) 1.0 重量%
・発泡防止剤(ベンゾイン) 0.5 重量%
・着色剤(カーボンブラック) 4.0 重量%
上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合した後、110℃の温度条件下でニーダーを用いて溶融混練し、これらを冷却させた後、粒子径が1〜3mm程度になるように機械式の粉砕機により粗粉砕した。次いで、気流式の粉砕機を用いて微粉砕した後に、気流式の分級機を用いて微粒子および粗大粒子を除去した。これと、体積平均粒子径が3μmである低温硬化型硬化剤粒子(エポキシ樹脂アミンアダクト型硬化剤、四国化成社製:キュアダクトP−0505)とを80:20の重量割合で配合した粉体100重量部と、シリカ微粒子(日本アエロジル社製:AEROZIL200)0.3重量部とをミキサーを用いて十分に乾式混合することにより粉体塗料Bを得た。
得られた粉体塗料は110℃で発熱反応があり、発熱ピークが119℃の低温硬化型粉体塗料であり、フロー軟化点は80℃で体積平均粒子径は23μmであった。
【0036】
▲2▼被塗装物
実施例1と同じ被塗装物を用いた。
【0037】
▲3▼被塗装物の洗浄および粘着層の形成
粘着剤に、液状エポキシ樹脂(東都化成社製:ST−3000)を使用した以外は実施例1と同様の方法により、被塗装物の洗浄および粘着層の形成を行った。
【0038】
▲4▼塗装機
実施例1と同じ塗装機を用いた。
【0039】
▲5▼皮膜形成
容器1に800gの粉体塗料Bを投入した後に、容器1を加震し、該被塗装物を容器1に投入して、90秒間皮膜形成を行った。その後、被塗装物を取り出し、熱風乾燥炉で100℃で30分間熱処理を行い硬化皮膜を形成した。その後、室温で十分に冷却した後に、背面の粘着シートを剥がし、被塗装物の片面に硬化皮膜が形成された実施例2の被塗装物を得た。尚、粉体塗料Bの流動度は0.42であった。
【0040】
<比較例1>
▲1▼粉体塗料の製造
・エポキシ樹脂 89.5 重量%
(東都化成社製:YD−012)
・硬化剤(イミダゾール、四国化成社製:C11Z) 5.0 重量%
・流展剤(ポリアクリル酸ブチルエステル) 1.0 重量%
・発泡防止剤(ベンゾイン) 0.5 重量%
・着色剤(カーボンブラック) 4.0 重量%
上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合した後、110℃の温度条件下でニーダーを用いて溶融混練し、これらを冷却させた後、粒子径が1〜3mm程度になるように機械式の粉砕機により粗粉砕した。次いで、気流式の粉砕機を用いて微粉砕した後に、気流式の分級機を用いて粗大粒子を除去し粉体塗料Cを得た。
得られた粉体塗料は、110℃で発熱反応があり、発熱ピークが118℃の低温硬化型粉体塗料であり、フロー軟化点が98℃で体積平均粒子径は15μmであった。
この時、吐出量20kg/hrの条件で混練を開始したが、30分後には熱硬化性樹脂と硬化剤との硬化物が、ニーダーの軸の溝へ付着してしまい、材料のニーダーへの食い込み性が悪化し、吐出量は11kg/hrに低下してしまった。また、混練後に、ニーダーの軸の溝へ付着した硬化物を取り除く掃除作業に大変な労力を要した。従って、低温硬化型粉体塗料をこの製造法により製造することは生産性に問題があり、工業的な大量生産は困難である。
【0041】
▲2▼被塗装物
実施例1と同じ被塗装物を用いた。
【0042】
▲3▼被塗装物の洗浄および粘着層の形成
実施例1同じ方法により、被塗装物の洗浄および粘着層の形成を行った。
【0043】
▲4▼塗装機
実施例1と同じ塗装機を用いた。
【0044】
▲5▼皮膜形成
実施例1と同じ方法により皮膜形成を行い、比較例1の被塗装物を得た。
【0045】
粉体塗料A〜Cについてフロー軟化点、体積平均粒子径、貯蔵安定性、生産性を以下の方法により測定した。
<フロー軟化点>
島津製作所社製のフローテスター(CFT−500)を用いて、前述の条件で測定
<体積平均粒子径>
日機装社製のレーザー回折式粒度分析計(マイクロトラック)を用いて測定
<貯蔵安定性>
耐ブロッキング性とポットライフとを以下の方法により測定した。粉体塗料50gを200ccのポリエチレン製の瓶に入れ開封した状態で、30℃、60%RHに保たれた恒温槽中に30日間放置した後に該瓶を取り出し、常温で3時間放置した後、粉体塗料を瓶から取り出し、耐ブロッキング性を目視および触診により確認した。そして、ケーキングが発生しているものを×、発生していないものを○とした。更に、ポットライフの試験は該粉体塗料のゲルタイムを測定し、ゲルタイムが放置前の50%以上のものを○、50%未満になっているものを×とした。尚、ゲルタイムは、日新科学社製のゲル化試験器を用い100℃に調温されたサンプルセルに粉体塗料を適量投入し、1分毎にゲル化したかどうかを、針を用いて確認し、溶融した粉体塗料が糸を引かなくなった時間をゲルタイムとした。
<生産性>
粉体塗料を構成する材料を溶融混練する際の、混練開始時と30分後との吐出量を実測し、低下の見られないものを○、低下が見られるものを×とした。
【0046】
更に実施例及び比較例の硬化皮膜について、膜厚、平滑性、機械的強度、耐溶剤性を、以下の方法により測定した。
<膜厚>
膜厚計(マイクロメーター)で被塗装物1枚につき5点測定し、その平均値を皮膜の膜厚とした。
<平滑性>
目視により皮膜表面の平滑性を評価し、十分に平滑なものを○、柚肌(オレンジピール)、凹凸等の皮膜欠陥があるものを×とした。
<機械的強度>
耐屈曲性をJIS K 5400.6.16 耐屈曲性に準ずる試験器を用いて行い、直径4mmの心棒で屈曲した際に、皮膜に亀裂等が生じないものを○、生じるものを×とした。
<耐溶剤性>
キシロール含浸布を用いて、300g/cm2 加圧した状態で、皮膜の表面を50往復ラビングすることにより、皮膜に変色、亀裂、膨れ、膨潤等が生じないものを○、生じるものを×とした。
【0047】
得られた粉体塗料および皮膜の評価結果を表−1に記す。
【0048】
【表1】
Figure 0004005184
【0049】
粉体塗料AおよびBは貯蔵安定性、生産性ともに良好であるが、粉体塗料Cはポットライフ、生産性ともに問題がある。
実施例1および2の皮膜は、平滑性、機械的強度、耐溶剤性ともに良好であるが、比較例1は、皮膜の平滑性が悪かった。
【0050】
【発明の効果】
従来、溶剤塗料により皮膜形成が施されていた、絶縁性の被塗装物や、耐熱性の低い被塗装物に対して、予め、被塗装物の表面に粘着層を形成し、熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子と、硬化剤を含む硬化剤粒子とを含有する本発明の粉体塗料を付着させた後に熱処理を施すことにより、粉体塗装による硬化皮膜を形成することが可能となった。また、本発明の粉体塗料は低温硬化型粉体塗料であっても、貯蔵安定性および生産性が良好であるという特徴を有しており工業的に非常に有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は一例としての本発明が適用される皮膜形成装置の垂直断面図である。
【符号の説明】
1・・・・・・容器
2・・・・・・加震装置
W・・・・・・被塗装物

Claims (4)

  1. 予め表面に粘着層が形成された被塗装物に粉体塗料を付着させ、その後、熱処理を行うことにより皮膜を形成する皮膜形成法に用いられる粉体塗料において、該粉体塗料が、熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子と硬化剤を含む硬化剤粒子とを含有するものであって、且つ、前記熱硬化性樹脂の樹脂粒子が、120℃以下程度で、前記硬化剤の硬化剤粒子と硬化反応するものであるとともに、前記硬化剤の硬化剤粒子が、120℃以下程度で、前記熱硬化性樹脂の官能基と前記硬化剤の官能基とが架橋反応する低温硬化型硬化剤であることを特徴とする熱硬化性粉体塗料。
  2. 上記熱硬化性樹脂には、140〜200℃程度の温度条件下で、前記熱硬化性樹脂と硬化反応する潜在性硬化剤が硬化助剤として添加されていることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性粉体塗料。
  3. 予め表面に粘着層が形成された被塗装物に、120℃以下程度で、硬化剤の硬化剤粒子と硬化反応する熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子と、120℃以下程度で、前記熱硬化性樹脂の官能基と架橋反応する官能基を有する低温硬化型硬化剤の硬化剤粒子とからなる粉体塗料を付着させ、その後、熱処理を行うことにより、前記被塗装物に皮膜を形成することを特徴とする皮膜形成法。
  4. 熱硬化性樹脂を含む樹脂粒子と硬化剤を含む硬化剤粒子とを含有する上記粉体塗料と、予め表面に粘着層が形成された被塗装物と、皮膜形成媒体とを、加振装置の容器に投入し、その後、加振装置を駆動させることにより、上記の予め表面に粘着層が形成された被塗装物に皮膜を形成することを特徴とする請求項3に記載の皮膜形成法。
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