JPH07825B2 - 金属溶射被膜の作製方法 - Google Patents

金属溶射被膜の作製方法

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JPH07825B2 JP63173996A JP17399688A JPH07825B2 JP H07825 B2 JPH07825 B2 JP H07825B2 JP 63173996 A JP63173996 A JP 63173996A JP 17399688 A JP17399688 A JP 17399688A JP H07825 B2 JPH07825 B2 JP H07825B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、金属溶射被膜の作製方法に関する。更に詳し
くは、ブラスト処理等の物理的前処理、あるいは表面処
理等の化学的前処理を施さない金属、または無機材料の
被溶射基材上に、金属溶射被膜を作製する方法に関す
る。
(従来の技術及びその解決すべき課題) 従来より、例えば被塗物基材として鋼材を例にとると、
亜鉛又は亜鉛−アルミニウム合金等の鉄より卑なる金属
を、電気メッキ法、溶融メッキ法あるいは溶射法等によ
り被覆する方法が広く行なわれている。このような方法
によれば、鉄基材より卑なる被覆金属の犠牲防食作用に
より鉄を保護することが出来るので、建築用鋼材、自動
車車体などの薄板鋼板、各種電装ケースなど、各種の産
業用機材のために使用されている。
ところで、前記方法のうち、電気メッキ法や溶射メッキ
法等は、特定の工場以外では普通簡単には実施出来な
い。何となれば、メッキ槽の大きさ等により被塗物の大
きさに制限があること、特に溶融メッキ法は450〜600℃
もの高温の溶融金属中に被塗物を浸漬するため熱歪の問
題等が起り、従って、薄板鋼板には適用出来ないなどの
各種制限があったからである。
一方、金属溶射法は、素材をほとんど加熱しなくてよい
ため寸法上の狂いが殆んど生じないこと、溶射皮膜を所
望の厚さで得られること、大型基材であっても現場施工
が可能であること、溶射被膜上には有機質の塗料が密着
し易いこと等の各種特徴を有するため橋梁や鋼構造物な
どのために使用されており、かつ今後もその利用範囲は
拡大するものと予想されている。
しかしながら、金属を溶射により、表面が平滑な鋼材の
表面に直接被覆する場合、基材と金属溶射被膜との間に
は親和性や化学的結合が期待出来ないため、基材への金
属溶射被膜の密着性は極めて小さいものであることがさ
けられなかった。
かゝる欠点を改良するため、従来から平滑な基材に対し
サンドブラストやグリットブラストなどのブラスト処理
を施し、基材と金属溶射被膜間にアンカー効果を持たせ
ることが行われている(例えば、特開昭50-65335号公報
等)。
しかしながら、このような前処理としてのブラスト処理
作業には、非常に熟練度が要求され、かつ、作業時間が
長くかかり、更にブラストにより多量に発生する粉塵は
作業の安全、衛生上は勿論のこと環境汚染の問題があ
り、従って何等かの予防処理を施さねばならず、そのた
め加工コストの面でも好ましいものではなかった。
加えて、板厚が約1mm以下の薄板鋼板や無機材料などに
ブラスト処理を施すと、一般に研掃材の衝撃力により大
きな歪みが生じたり、極端な場合基材が破損することが
屡々あった。そのため例えば、板厚が0.5〜0.8mm程度の
自動車車体用薄板などにブラスト処理を施す場合、特別
に衝撃力を弱めた処理法を特に採用しなければならず、
従って研掃力低下に基づく作業効率の低下が問題となっ
ていた。
又、無秩序に飛行する、跳ね返った研掃材や、処理によ
り飛散する粉塵が各種の機械部品等の間に入り込み、そ
れにより好ましくない各種問題を引きおこしていた。
更に、鋼材の溶接部に防食上金属溶射を行なう場合に
も、前もってブラスト処理が必要であるが、溶接部の硬
さのためその処理は非常に困難であった。
そこで、前記の如きブラスト処理を施さずに金属溶射を
行なう方法も提案されている。
例えば、特定金属をメッキした薄板鋼板上に金属溶射す
る方法(特開昭60-50156号公報)、金属表面を腐食液で
凸凹状にする方法(特開昭60-50157号公報)、鋼板を加
熱して特定膜厚の酸化被膜を形成する方法(特開昭61-2
6763号公報)などが知られている。しかしながら、これ
らの方法は、いずれも基材を特殊な環境下に置かなけれ
ばならないため、適用される基材の範囲が非常に限定さ
れ実用的ではなかった。
更に、非常に特殊な分野においては、特殊なアンカー効
果を持たせる方法も提案されている。
例えば、非常に高温で溶融しなければならないセラミッ
クスの溶射において、あらかじめリン酸亜鉛処理あるい
はサンドブラスト処理を施した基材上に、無機フィラー
を含有するアンダーコートを塗布する方法が提案されて
いる(例えば、特開昭61-104060号公報、及び特開昭61-
104061号公報)。この方法においては一応十分なアンカ
ー効果が得られるかもしれないが、前述のブラスト処理
の欠点として示したことは何一つ解決されない。
本発明者等は、上記の如き公知技術の問題点を解決すべ
く、先に粒子径が5〜200μmの粒子を含有する樹脂組
成物を被溶射基材上に塗布することにより表面粗さ30〜
250μmの被膜を得た後金属を溶射する方法を提案し
た。
しかしながら、前記方法によっても、金属を溶射する時
の溶融金属の基材への付着率(以下、溶射効率という)
がやや低いという問題点があった。溶射効率が低いと、
溶射金属の浪費は勿論のこと、周辺への飛散や、金属フ
ューム量の増大等の問題点が生じる。
(発明の目的) 本発明は、前述の如き従来の金属溶射方法における各種
問題点を改善又は解決し、密着力の優れた金属溶射被膜
を高い溶射効率で作成することを目的とするものであ
り、勿論ブラスト処理等の前処理を全く施すことなく金
属溶射被膜を作製する方法を提供しようとするものであ
る。
さらに詳しくは、本発明の目的は、金属、または無機材
料の各種基材の表面に、ブラスト処理を施すことなく、
金属溶射を行なって、防食被膜、導電性被膜、電磁波シ
ールド膜、耐久性被膜あるいは金属状外観を有する被膜
を得ようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、ブラスト処理等の前処理を施さない被溶射基
材上に、平均粒子径5〜200μmの不溶性の粒子を樹脂1
00容量%に対して25〜400容量%含有する樹脂組成物を
塗布することにより、表面の凹凸の平均間隔(Sm)と十
点平均粗さ(Rz)の比Sm/Rzが5以下、でかつRzが10μ
m〜250μmの粗面を形成した後、その粗面上に金属を
溶射することを特徴とする金属溶射被膜の作製方法に関
する。
以下、本発明について詳述する。
本発明の方法において使用される被溶射基材を構成する
「金属」としては、ブリキ板、ダル鋼板、みがき鋼板、
黒皮鋼板、ケレンした錆鋼板、溶接鋼板等の鉄素材;ア
ルミニウム、亜鉛等の非鉄金属を挙げることができる。
また本発明の方法において使用される被溶射基材を構成
する「無機材料」としては、スレート板、硅酸カルシウ
ム板、センメト等を挙げることができる。
本発明の方法において、金属溶射の前に塗布される「組
成物」は、平均粒子径5〜200μmの溶媒不溶性の固体
粒子を含有するものであり、該粒子としては、例えば、
銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉄、珪素などの金
属、あるいは合金もしくは酸化物、窒化物、炭化物等が
挙げられる。
具体的には、例えば、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸
化鉄、炭化珪素、窒化硼素等が挙げられる。
又、組成物の溶媒組成によっては、アクリル樹脂、スチ
レン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン等の粉末を使用
してもよい。
これらの粒子は一種もしくは2種以上の混合物として使
用可能である。
使用される樹脂に対する化学的安定性や溶射材と腐食電
池を形成せず、硬く、かつ組成物中で沈澱しにくいこと
などを考慮すると、珪砂、アルミナ、炭化珪素等の使用
が、特に好ましい。
本発明に於て前記固体粒子の粒子径は、5〜200μmの
範囲、好ましくは、30〜100μm程度である。粒子径が2
00μmをこえると、樹脂組成物中で粒子が沈澱し易くな
るとともに、スプレー塗布する場合ノズル詰りをおこし
易くなり又、たとえ塗布できても表面粗さが粗くなり過
ぎ、金属溶射膜の表面が粗くなり、そのため外観が悪く
なる傾向になる。一方、粒子径が5μmより小さいと、
樹脂組成物を基材表面に塗布しても目的とする表面粗さ
が得にくくなり、従って密着性の優れた金属溶射被膜が
得られ難くなる。
本発明において、前記粒子は、後述する樹脂100容量%
に対して25〜400容量%〔顔料容積濃度(PVC)にして20
〜80%〕、より好ましくは65〜150容量%〔顔料容積濃
度(PVC)にして40〜60%〕程度の範囲で使用する。樹
脂に対する添加量が25容量%に満たない場合、樹脂分が
多くなり、そのため表面粗さが小さくなり、その結果、
金属溶射被膜の密着性が低下する傾向になる。又、基材
への樹脂付着量が多くなり、絶縁被膜が形成されるた
め、特に溶射皮膜を犠牲防食用として用いる場合には不
都合となり易い。
一方、樹脂に対する粒子の添加量が400容量%をこえる
と、樹脂分が極端に少なくなり粒子間の結合力が弱くな
り、その結果、金属溶射被膜の密着力の低下するように
なる。
次に、本発明に於て使用される「樹脂」とは、ある程度
の乾燥性、硬度、密着性、耐水性及び耐久性があれば特
に限定はない。
具体例としては、一液常温乾燥型樹脂である熱可塑性ア
クリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ゴム、アルキド樹脂、二
液硬化型樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、アクリル
−ウレタン樹脂、ポリエステル−ウレタン樹脂、エポキ
シ樹脂、熱硬化性樹脂であるメラミン−アルキド樹脂、
メラミン−アクリル樹脂、メラミン−ポリエステル樹
脂、アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂等が挙げら
れる。
これらは1種もしくは2種以上の混合物としても使用可
能である。
特に好ましくは、金属溶射時に熱可塑性で、溶射金属粒
子が被膜に入り込み、溶射後に硬化するようなエポキシ
樹脂(ポリアミド樹脂、アミンアダクト等の硬化剤併
用)、アクリル−ウレタン樹脂、アクリル樹脂等であ
る。
本発明の組成物には前記樹脂以外の成分として、該樹脂
を溶解又は分散せしめるための有機溶剤、水等を必要に
より加える。
更に、染料、顔料や分散剤、発泡防止剤、ダレ防止剤
(チキソトロピック性付与剤)等の添加剤等も併用出来
る。
前記組成物の形態としては、溶剤系、水溶性系、水分散
系、溶剤分散系等の如くのいずれの形態でもとりうる。
しかしながら、水系樹脂組成物を鉄素材に使用する場合
には発錆を防ぐ対策をとる必要がある。
本発明において、樹脂組成物は、前記樹脂及び粒子と、
必要により溶媒もしくは分散媒や各種添加剤等を加え
て、通常の分散、混合方法により混合して作製される。
かくして得られた樹脂組成物は、一般の塗料組成物と同
じような方法により基材上に塗布される。特に塗布量の
コントロールの容易さ等から、エアースプレー法の採用
が好ましい。しかし、通常の塗料と同様に組成や、粘度
等を適宜調整することにより、刷毛塗りやロール塗装も
可能であることは云うまでもない。
本発明において組成物の塗布量は、約10〜300g/m2程度
が好ましい。
本発明の方法においては、前記の如き樹脂組成物を基材
上に塗布することにより、表面の凹凸の平均間隙(Sm)
と十点平均粗さ(Rz)の比Sm/Rzが5以下で、かつRzが1
0〜250μmの粗面を形成せしめる必要がある。
尚、本発明における十点平均粗さ(Rz)と表面の凹凸の
平均間隔(Sm)は、いずれもJIS−B−0601に定義され
ており、市販の触針式の表面粗さ計で容易に評価するこ
とができる。
金属溶射を行う場合には、高温で溶融した金属粒子(粒
子径10〜数100μm)が高速で基材に向って飛来し、基
材と衝突し、冷却、固化する。
この瞬間的なプロセスにおいて高い溶射効率で金属被膜
を得るためには、基材表面の粗面化状態が、溶融金属粒
子の大きさとくらべてあまり大き過ぎても、又あまり小
さ過ぎても好ましくない。
即ち、適切な表面粗さ(凹凸部の高低差)を有し、かつ
適切な凹凸の繰返し又は斜面の勾配が必要である。
本発明者等は上記の如き観点から種々検討を加えた結
果、溶射効率の最も高い条件を見い出したものである。
まず、本発明において粗面の凹凸を表わす十点平均粗さ
(Rz)は、10〜250μm、好ましくは30〜150μmの範囲
にある必要がある。Rzが10μmにみたない場合には凹凸
が小さいため、溶射効率が著しく低下するとともに金属
被膜の密着性も実用に耐えなくなる。一方、Rzが250μ
mをこえると、金属溶射被膜は付着し易くなるが、表面
が粗くなりすぎるため表面仕上り性が低下する。
一方、粗面の凹凸の繰返し頻度も重要であり、たとえRz
が前記範囲に入っていても凹凸間の間隙が大きいと粗面
としての効果は低下する。
このような観点にたち、本発明においては、凹凸の平均
間隔(Sm)をRzで除した数、つまりSm/Rzが5以下、好
ましくは3以下でることが必須である。
かくして適切な表面粗さと凹凸間隔を有する粗面が得ら
れるため、金属の溶射効率は一段と高まるのである。
しかして、本発明において必要とされるSm及びRzを有す
る粗面を形成するための条件は複雑であり、一義的に定
義付けることは難しいが、樹脂組成物の配合、粒子の粒
子径、組成物の粘度、塗布条件等をあらかじめ定めるこ
とにより一定の粗面を得ることが出来る。
本発明においては、このようにして得られた特定表面粗
さを有する被膜上に、金属を溶射する。
尚、金属を溶射する前の被膜は必ずしも完全乾燥(硬
化)状態でなくともよい。即ち、半乾燥(硬化)であっ
てもよい。最も好ましいのは、被膜を乾燥状態にした上
に金属溶射し、しかる後に完全硬化せしめる方法であ
る。
本発明において、前記金属溶射を行うための溶射方法と
しては、ガスフレーム溶射方法、電気アーク溶射方法、
減圧内アーム溶射機による低温溶射方法等があり、いず
れの方法でもよい。
又、これら溶射方法に使用される金属としては、亜鉛、
亜鉛−アルミニウム合金、アルミニウム、丹銅、黄銅、
キュプロニッケル等通常使用されているものが支障なく
使用出来る。
本発明の方法においては、金属溶射被膜は樹脂組成物か
ら得られた被膜の特定表面粗さにより強固な密着性が得
られ、しかも前記樹脂組成物から得られる被膜は、被膜
中の各粒子が樹脂(有機物)の結合力により基材に付着
しているものである。従って、樹脂組成物から得られた
被膜中の樹脂成分が、本発明の方法を実施中、溶射され
た金属粒子の温度により完全に焼失してしまうような条
件はさけなければならない。
即ち、本発明における金属溶射は、樹脂組成物から得ら
れた被膜中の樹脂成分が完全に焼失しないような比較的
低い温度で行なうことが望ましく、例えば減圧内アーク
溶射機による低温溶射方法などの採用が好ましい。
前記低温溶射方法とは、円筒状に噴射される低温の空気
流を利用して、中心部を0.5kg/cm2以下に減圧させた環
境下で、連続的に金属線材を電気的にアーク溶融させ、
同時に前方の噴射気流中に吸引し、粉砕させ、常温近く
まで急冷却させ、液状の過冷却状態で溶融金属粒子を基
材上に付着せしめる方法からなるものである。従って、
該方法の場合には、単位時間の溶射量を比較的多くし、
溶射膜厚を厚くすることが可能である。一方、ガスフレ
ーム溶射や電気アーク溶射方法の場合には、溶射金属線
材径を小さくしたり、搬線速度を遅くしたり、溶射量を
比較的小さくしたり、あるいは溶射膜厚を薄くする等の
手段をとることにより、本発明の方法に適用することが
可能である。
(実施例) 以下、本発明について実施例により更に詳述する。
実施例1及び比較例1 メタクリル酸メチル400g、アクリル酸ブチル500g、2−
ヒドロキシエチルメタクリレート80g、メタクリル酸20g
のモノマー組成で、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナト
リウム10gを乳化剤とし、過硫酸アンモニウム3gを開始
剤として乳化重合して加熱残分40重量%のエマルション
を得た。これに中和アミン、成膜助剤、消泡剤、増粘剤
を添加した加熱残分36重量%のアクリルエマルション樹
脂A306g(樹脂固形分容量100cm3)と、平均粒子径100μ
mの珪砂(珪砂OS8号 奥村窯業原料製 比重2.4)240g
(粒子容量100cm3、PVC50%)とを充分に撹拌し、樹脂
組成物Aを作製した。
0.8×100×200mmのブリキ板に、この樹脂組成物Aをエ
アースプレーによって60g/m2の割合で塗布し、表面粗さ
(Rz)110μmでSm/Rz=3.0の被膜を得、1時間乾燥し
た後、亜鉛を1430g/m2の割合で低温溶射した。低温溶射
の条件は低温溶射機PA600にて線材直径1.1mmの亜鉛線材
を搬線速度12m/分(溶射量9.8kg/時間)、電圧15V、電
流300A、空気厚6kg/cm2、空気量1.6m2/分のシェービン
グエアーを使用しガン距離20cmで行った。亜鉛の溶射効
率は以下の第1表に示されるように60%と非常に高いも
のであった。
比較のため樹脂組成物Aを用いて同様に塗装し、Rz=65
μm、Sm/Rz=5.5の粗面を得た後、亜鉛を同様に溶射し
た(比較例1)。溶射効率は40%であった(第1表)。
実施例2及び比較例2 エポキシ樹脂(エピクロン4051 大日本インキ化学工業
製 エポキシ当量950)100gに、キシレン80g、メチルエ
チルケトン60g、ブタノール25gを加えて溶解した後、ポ
リアミド樹脂(エピキュアー892 セラニーズ製 活性
水素当量 133)10gを添加して得た加熱残分40重量%の
エポキシ−ポリアミド樹脂B 275g(樹脂固形分容量10
0cm3)と、平均粒子径48μmの炭化珪素(緑色炭化珪素
CG320名古屋研磨機材工業製 比重3.16)221g(粒子容
量70cm3、PVC41%)とを充分に撹拌し樹脂組成物Bを作
製した。
0.8×100×200mmのブリキ板に、この樹脂組成物Bをエ
アースプレーで30g/m2の割合で塗布し、表面粗さ(Rz)
60μmでSm/Rz=2.2の被膜を得、2時間乾燥した後、実
施例1と同様の方法でアルミニウムを540g/m2の割合で
溶射した。アルミニウムの溶射効率は50%と非常に高い
ものであった(第1表)。
一方、比較のため(比較例2)前記同様にしてRz=105
μm、Sm/Rz=6.0の粗面を得た後、アルミニウムを溶射
したが、溶射効率は20%であった(第1表)。
実施例3及び比較例3 前記樹脂組成物Bを用いて塗装条件を種々変えることに
よりSm/Rzを変化させ、ついで実施例2と同様にアルミ
ニウムを溶射(溶射膜厚250μ)して溶射効率と、垂直
引張強度を調べた。その結果を第2表及び第1図に示し
た。
表及び図に示された結果から明らかなように、Sm/Rzが
5以下の場合には、金属溶射被膜の溶射効率及び垂直引
張強度が、Sm/Rzが5より大きい場合に比べて著しく優
れている。
(発明の効果) 本発明の方法によれば、公知の方法におけるようにブラ
スト処理を行なわなくても平滑な基材に対して適度の表
面粗さを付与することができるので、板厚の薄いものあ
るいは形状が複雑なためブラスト処理が出来ない基材に
も金属溶射が可能となる。また、従来金属溶射が不可能
と考えられていた素材も利用することができる。しか
も、金属の溶射効率及び垂直引張強度は1.5〜3倍強も
向上せしめることが出来る。
更に、本発明の方法によれば、溶射された液状の金属粒
子の可塑性を利用し、樹脂組成物から得られた被膜中の
粒子の間に溶射金属粒子を充填せしめることによるアン
カー効果により高付着力を発揮させることが出来る。
加えて、本発明の方法においては、従来のブラスト処理
における処理作業時間を1/10〜1/20以上削減出来、従っ
て加工コストの著しい低下が期待出来る。
また、ブラスト処理時に発生する粉塵による各種の問題
点、所謂公害も、一挙に解決出来る。
従って、今後の金属溶射技術の利用拡大に大きく寄与出
来るものであり、工業的な実用価値ははかり知れないも
のがある。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例3及び比較例3によって得られる金属溶
射被膜の溶射効率及び垂直引張強度を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−176061(JP,A) 特開 昭61−104061(JP,A) 特開 昭61−104060(JP,A)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブラスト処理等の前処理を施さない金属ま
    たは無機材料からなる被溶射基材上に、平均粒子径5〜
    200μmの不溶性の粒子を樹脂100容量%に対して25〜40
    0容量%含有する樹脂組成物を塗布することにより、表
    面の凹凸の平均間隔(Sm)と十点平均粗さ(Rz)の比Sm
    /Rzが5以下、でかつRzが10μm〜250μmの粗面を形成
    した後、その粗面上に金属を溶射することを特徴とする
    金属溶射被膜の作製方法。
  2. 【請求項2】被溶射基材が鋼材であり、溶射金属が鋼材
    より卑なる金属である請求項(1)記載の金属溶射被膜
    の作製方法。
  3. 【請求項3】粒子径が5〜200μmの前記粒子が、酸化
    珪素、アルミナ及び炭化珪素からなる群から選ばれた少
    なくとも1種である請求項(1)記載の金属溶射被膜の
    作製方法。
  4. 【請求項4】金属溶射が、減圧内アーク溶射機による低
    温溶射である請求項(1)記載の金属溶射被膜の作製方
    法。
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JPH0225555A (ja) 1990-01-29

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