JP3013826U - 基材の保護被覆構造 - Google Patents

基材の保護被覆構造

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JP3013826U
JP3013826U JP1994010253U JP1025394U JP3013826U JP 3013826 U JP3013826 U JP 3013826U JP 1994010253 U JP1994010253 U JP 1994010253U JP 1025394 U JP1025394 U JP 1025394U JP 3013826 U JP3013826 U JP 3013826U
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Inventor
村 益 三 濱
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アークテクノ株式会社
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 基材表面にブラスト処理等の物理的前処理、
あるいは表面処理等の化学的処理を施さないで、複雑な
基材表面でも金属の低温溶射被膜が強固に付着した、低
温溶射被膜を有する金属及び非金属体を提供する。 【構成】 ブラスト処理等の前処理を施さない基材1
と、この基材の表面に塗布され、不溶の固体粒子を含有
し、表面の凹凸の平均間隔(Sm)と十点平均粗さ(R
z)の比Sm/Rzが5以下で、かつ、Rzが10μm
〜250μmの粗面が形成された樹脂組成被膜2と、こ
の表面に溶射された金属の低温溶射被膜3とより成るこ
とを特徴とするものである。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、ブラスト処理等の物理的前処理、あるいは表面処理等の化学的処理 を施さない鋼材等の金属、またはプラスチック等の非金属の基材上に低温溶射被 膜が形成された金属及び非金属体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば被塗物基材として鋼材を例にとると、亜鉛又は亜鉛−アルミ ニウム合金等の鉄より卑なる金属を、電気メッキ,溶融メッキあるいは溶射等に より被覆することが広く行なわれている。このようにすれば、鉄基材より卑なる 被覆金属の犠牲防食作用により鉄を保護することが出来るので、建築用鋼材,自 動車車体などの薄板鋼板,各種電装ケースなど、各種の産業用機材のために使用 されていた。 ところで、電気メッキや溶融メッキ等は、特定の工場以外では普通簡単には実 施出来ない。何となれば、メッキ槽の大きさ等により被塗物の大きさに制限があ ること、特に溶融メッキ法は450〜600℃もの高温の溶融金属中に被塗物を 浸漬するため熱歪の問題等が起り、従って、薄板鋼板には適用出来ないなどの各 種制限があったからである。
【0003】 一方、従来行われていた、金属溶射は、ガスフレーム溶射及び電気アーク溶射 が代表的なものであるが、この種の溶射においては、溶融された金属粒子が高温 のまま被塗物上に付着するため熱による歪の発生や、被塗物の限定、あるいは高 温にさらされた状態による金属の酸化等種々の問題点があった。
【0004】 また、金属の溶射により、表面が平滑な鋼材、あるいはプラスチック等の表面 に直接被覆する場合、基材と金属溶射被膜との間には親和性や化学的結合が期待 できないため、基材への金属溶射被膜の密着性は極めて小さいものであった。
【0005】 かかる欠点を改良するため、従来から平滑な基材に対しサンドブラストやグリ ットブラストなどのブラスト処理を施し、基材と金属溶射被膜間にアンカー効果 を持たせることが行なわれている(例えば、特開昭50−65335号公報等) 。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、このような前処理としてのブラスト処理作業には、非常に熟練 度が要求され、かつ、作業時間が長くかかり、更にブラストにより多量に発生す る粉塵は作業の安全,衛生上は勿論のこと環境汚染の問題があり、従って何等か の予防処理を施さねばならず、そのため加工コストの面でも好ましいものではな かった。
【0007】 加えて、板厚が約1mm以下の薄板鋼板やプラスチックなどにブラスト処理を 施すと、一般に研掃材の衝撃力により大きな歪みが生じたり、極端な場合基材が 破損することが屡々あった。そのため例えば、板厚が0.5〜0.8mm程度の 自動車車体用薄板などにブラスト処理を施す場合、特別に衝撃力を弱めた処理法 を特に採用しなければならず、従って研掃力低下に基づく作業効率の低下が問題 となっていた。
【0008】 又、無秩序に飛行する、跳ね返った研掃材や、処理により飛散する粉塵が各種 の機械部品等の間に入り込み、それにより好ましくない各種問題を引きおこして いた。 更に、鋼材の溶接部に防食上金属溶射を行なう場合にも、前もってブラスト処 理が必要であるが、溶接部の焼入硬化のためその処理は非常に困難であった。
【0009】 そこで、前記の如きブラスト処理を施さずに金属溶射を行なうことも提案され ていた。 例えば、特定金属をメッキした薄板鋼板上に金属溶射すること(特開昭60− 50156号公報)、金属表面を腐食液で凸凹状にすること(特開昭60−50 157号公報)、鋼板を加熱して特定膜厚の酸化被膜を形成すること(特開昭6 1−26763号公報)などが知られている。しかしながら、これらは、いずれ も基材を特殊な環境下に置かなければならないため、適用される基材の範囲が非 常に限定され実用的ではなかった。
【0010】 更に、非常に特殊な分野においては、特殊なアンカー効果を持たせることも提 案されている。 例えば、非常に高温で溶融しなければならないセラミックスの溶射において、 あらかじめリン酸亜鉛処理あるいはサンドブラスト処理を施した基材上に、無機 フィラーを含有するアンダーコートを塗布することが提案されている(例えば、 特開昭61−104060号公報、及び特開昭61−104061号公報)。こ れ等においては一応十分なアンカー効果が得られるかもしれないが、前述のブラ スト処理の欠点として示したことは何一つ解決されない。
【0011】 本考案は前述した事情に鑑みてなされたものであり、従来の金属溶射被膜にお ける各種問題点を解決し、密着力の優れた低温溶射被膜を高い溶射効率で形成さ れた、低温溶射被膜を有する金属及び非金属体を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本考案は、ブラスト処理等の前処理を施さない基材と、この基材の表面に塗布 され、不溶性の固体粒子を含有し、表面の凹凸の平均間隔(Sm)と十点平均粗 さ(Rz)の比Sm/Rzが5以下で、かつ、Rzが10μm〜250μmの粗 面が形成された樹脂組成物被膜と、この表面に溶射された金属の低温溶射被膜と より成ることを特徴とする。
【0013】 また、本考案は、前記樹脂組成物被膜は、粒子径5〜200μmの不溶性の粒 子をその樹脂に対して25〜400容量%含有したものであることを特徴とする 。
【0014】 また、本考案は、基材が鋼材であり、低温溶射金属が鋼材より卑なる金属であ ることを特徴とする。
【0015】 また、本考案は、粒子径5〜200μmの前記粒子が、酸化珪素、アルミナ及 び炭化珪素からなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする。
【0016】
【作用】
樹脂組成物は、基材との密着性が強いので、基材に対するサンドブラストやグ リットブラストなどのブラスト処理が不要となる。
【0017】 また、基材が鋼材の場合、低温溶射金属が鋼材より卑なる金属であれば、鉄と 卑なる金属との間の電位差を利用し、卑なる金属を犠牲陽極として鋼材を保護す ることができる。
【0018】 また、本考案の溶射被膜は減圧内アーク式による低温溶射被膜であるので、基 材の熱による変形や、酸化がない。
【0019】
【実施例】
以下、添付図に基づいて本考案の実施例を詳細に説明する。 図において1は基材で、ブリキ板,ダル鋼板,みがき鋼板,黒皮鋼板,ケレン した錆鋼板,溶接鋼板等の鉄素材;アルミニウム,亜鉛等の非鉄金属;ABS, PPO,塩化ビニル等のプラスチックス;スレート板,硅酸カルシウム板,セメ ント等の無機材料;其の他ガラス,木材,合板,有機樹脂フィルム(塗膜)等、 各種のものが挙げられる。
【0020】 本考案において、低温溶射被膜3が溶射される前に塗布されて形成される樹脂 組成物被膜2は平均粒子径5〜200μmの溶媒不溶性の固体粒子を含有するも のが好ましく、該粒子としては、例えば、銅,ニッケル,アルミニウム,亜鉛, 鉄,珪素などの金属、あるいは合金もしくは酸化物,窒化物,炭化物等が挙げら れる。 具体的には、例えば、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化鉄,炭化珪素,窒化 硅素等が挙げられる。 又、組成物の溶媒組成によっては、アクリル樹脂,スチレン樹脂,エポキシ樹 脂,ポリエチレン等の粉末を使用してもよい。 これらの粒子は一種もしくは2種以上の混合物として使用可能である。 使用される樹脂に対する化学的安定性や溶射材と腐食電池を形成せず、硬く、 かつ組成物中で沈殿しにくいことなどを考慮すると、珪砂,アルミナ,炭化珪素 等の使用が、特に好ましい。
【0021】 本考案に於て前記固体粒子の粒子径は、好ましくは5〜200μmの範囲、よ り好ましくは30〜100μm程度である。粒子径が200μmをこえると、樹 脂組成物に粒子が沈殿し易くなるとともに、スプレー塗布する場合ノズル詰りを おこし易くなり又、たとえ塗布できても表面粗さが粗くなり過ぎ、金属溶射被膜 の表面が粗くなり、そのため外観が悪くなる傾向になる。一方、粒子径が5μm より小さいと、樹脂組成物を基材表面に塗布しても目的とする表面粗さが得にく くなり、従って密着性の優れた金属溶射被膜が得られ難くなる。
【0022】 本考案において、前記粒子は、後述する樹脂に対して好ましくは25〜400 容量%〔顔料容積濃度(PVC)にして20〜80%〕、より好ましくは65〜 150容量%〔顔料容積濃度(PVC)にして40〜60%〕程度の範囲で使用 する。樹脂に対する添加量が25容量%に満たない場合、樹脂分が多くなり、そ のため表面粗さが小さくなり、その結果、金属溶射被膜の密着性が低下する傾向 になる。又、基材への樹脂付着量が多くなり、絶縁被膜が形成されるため、特に 溶射被膜を犠牲防食用として用いる場合には不都合となり易い。 一方、樹脂に対する粒子の添加量が400容量%をこえると、樹脂分が極端に 少なくなり粒子間の結合力が弱くなり、その結果、金属溶射被膜の密着力も低下 するようになる。
【0023】 次に、本考案に於て使用される「樹脂」とは、ある程度の乾燥性,硬度,密着 性、耐水性及び耐久性があれば特に限定はない。 具体例としては、一液常温乾燥型樹脂である熱可塑性アクリル樹脂,ビニル樹 脂,塩化ゴム,アルキド樹脂,二液硬化型樹脂である不飽和ポリエステル樹脂, アクリル−ウレタン樹脂,ポリエステル−ウレタン樹脂,エポキシ樹脂,熱硬化 性樹脂であるメラミン−アルキド樹脂,メラミン−アクリル樹脂,メラミン−ポ リエステル樹脂,アクリル樹脂,アクリル−ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0024】 これらは1種もしくは2種以上の混合物としても使用可能である。 特に好ましくは、金属低温溶射時に熱可塑性で溶射金属粒子が被膜に入り込み 、溶射後に硬化するようなエポキシ樹脂(ポリアミド樹脂,アミンアダクト等の 硬化剤併用),アクリル−ウレタン樹脂,アクリル樹脂等である。 本考案の樹脂組成物被膜2を塗布するためには前記樹脂以外の成分として、該 樹脂を溶解又は分散せしめるための有機溶剤,水等を必要により加える。 更に、染料,顔料や分散剤,発泡防止剤,ダレ防止剤(チキソトロピック性付 与剤)等の添加剤等も併用出来る。 組成物の形態としては、溶剤系,水溶性系,水分散系,溶剤分散系等の如くの いずれの形態でもとりうる。しかしながら、耐溶剤性のないプラスチックスに塗 布するような場合には、水系の組成物が好ましい。又水系樹脂組成物を鉄素材に 使用する場合には発錆を防ぐ対策を取る必要がある。 本考案において、樹脂組成物は、前記樹脂及び粒子と、必要により溶媒もしく は分散媒や各種添加剤等を加えて、通常の分散,混合方法により混合して作製さ れる。
【0025】 かくして得られた樹脂組成物は、一般の塗料組成物と同じように基材上に塗布 される。特に塗布量のコントロールの容易さ等から、エアースプレーの採用が好 ましい。しかし、通常の塗料と同様に組成や、粘度等を適宜調整することにより 、刷毛塗りやロール塗装も可能であることはいうまでもない。 本考案において樹脂組成物被膜2の塗布量は、約10〜300g/m2 程度が 好ましい。
【0026】 本考案においては、前記の如き樹脂組成物を基材上に塗布することにより、表 面の凹凸の平均間隙(Sm)と十点平均粗さ(Rz)の比Sm/Rzが5 以下 で、かつRzが10〜250μmの粗面を形成せしめる必要がある。 尚、本考案における十点平均粗さ(Rz)と表面の凹凸の平均間隙(Sm)は 、いずれもJIS−B−0601に定義されており、市販の触針式の表面粗さ計 で容易に評価することができる。 金属溶射を行なう場合には、溶融した金属粒子(粒子径10〜数100μm) が高速で基材に向って飛来し、基材と衝突し、冷却,固化する。 この瞬間的なプロセスにおいて高い溶射効率で金属被膜を得るためには、基材 表面の粗面化状態が、溶融金属粒子の大きさとくらべてあまり大き過ぎても、又 あまり小さ過ぎても好ましくない。 即ち、適切な表面粗さ(凹凸部の高低差)を有し、かつ適切な凹凸の繰返し又 は斜面の勾配が必要である。 本考案者等は上記の如き観点から種々検討を加えた結果、溶射効率の最も高い 条件を見い出したものである。
【0027】 まず、本考案において粗面の凹凸を表わす十点平均粗さ(Rz)は、10〜2 50μm、好ましくは30〜150μmの範囲にある必要がある。Rzが10μ mにみたない場合には凹凸が小さいため、溶射効率が著しく低下するとともに金 属被膜の密着性も実用に耐えなくなる。一方、Rzが250μmをこえると、金 属溶射被膜は付着し易くなるが、表面が粗くなりすぎるため表面仕上り性が低下 する。
【0028】 一方、粗面の凹凸の繰返し頻度も重要であり、たとえRzが前記範囲に入って いても凹凸間の間隙が大きいと粗面としての効果は低下する。 このような観点にたち、本考案においては、凹凸の平均間隙(Sm)をRzで 除した数、つまりSm/Rzが5以下、好ましくは3以下であることが必須であ る。 かくして適切な表面粗さと凹凸間隙を有する粗面が得られるため、金属の溶射 効率は一段と高まるのである。 しかして、本考案において必要とされるSm及びRzを有する粗面を形成する ための条件は複雑であり、一義的に定義付けることは難しいが、樹脂組成物の配 合,粒子の粒子径,組成物の粘度,塗布条件等をあらかじめ定めることにより一 定の粗面を得ることが出来る。 本考案において、このようにして得られた特定表面粗さを有する樹脂組成物被 膜2上に、金属を溶射する。 尚、金属を溶射する前の被膜は必ずしも完全乾燥(硬化)状態でなくともよい 。即ち、半乾燥(硬化)であってもよい。最も好ましいのは、被膜を乾燥状態に した上に金属溶射し、しかる後に完全硬化せしめるのである。
【0029】 低温溶射被膜3の形成に使用される金属としては、亜鉛,亜鉛−アルミニウム 合金,アルミニウム,丹銅,黄銅,キュプロニッケル等通常使用されているもの が支障なく使用出来る。 本考案の金属の低温溶射被膜は樹脂組成物から得られた被膜の特定表面粗さに より強固な密着性が得られ、しかも前記樹脂組成物から得られる被膜は、被膜中 の各粒子が樹脂(有機物)の結合力により基材に付着しているものである。従っ て、樹脂組成物から得られた被膜中の樹脂成分が、本考案の方法を実施中、溶射 された金属粒子の温度により完全に焼失してしまうような条件はさけなければな らない。 即ち、本考案における金属溶射は、樹脂組成物から得られた被膜中の樹脂成分 が完全に焼失しないような比較的低い温度で行なうことが望ましいので、減圧内 アーク溶射機による低温溶射が採用される。 前記低温溶射方法とは、円筒状に噴射される低温の空気流を利用して、中心部 を0.5Kg/cm3 以下に減圧させた環境下で、連続的に金属線材を電気的に アーク溶融させ、同時に前方の噴射気流中に吸引し、粉砕させ、常温近くまで急 冷却させ、液状の過冷却状態で溶融金属粒子を基材上に付着せしめるものである 。従って、単位時間の溶射量を比較的多くし、溶射膜厚を厚くすることが可能で ある。
【0030】 以下本考案の例を従来と比較して下記に詳述する。 [実施例1及び従来例1] メタクリル酸メチル400g,アクリル酸ブチル500g,2−ヒドロキシエ チルメタクリレート80g,メタルクリル酸20gのモノマ−組成で、ドデシル ベンゼンスルフォン酸ナトリウム10gを乳化剤とし、過硫酸アンモニウム3g を開始剤として乳化重合して加熱残分40重量%のエマルジョンを得た。これに 中和アミン,成膜助剤,消泡剤,増粘剤を添加した加熱残分36重量%のアクリ ルエマルジョン樹脂A306g(樹脂固形分容量100cm3 )と、平均粒子径 100μmの珪砂(珪砂OS8号 奥村窒業原料製 比重2.4)240g(粒 子容量100cm3、PVC50%)とを充分に撹拌し、樹脂組成物Aを作製し た。
【0031】 0.8×100×200mmのブリキ板に、この樹脂組成物Aをエアースプレ ーによって60g/m2 の割合で塗布し、表面粗さ(Rz)110μmでSm/ Rz=3.0の被膜を得、1時間乾燥した後、亜鉛を1430g/m2 の割合で 低温溶射した。低温溶射の条件は低温溶射機PA600にて線材直径1.1mm の亜鉛線材を搬線速度12m/分(溶射量9.8Kg/時間)、電圧15V、電 流300A、空気圧6Kg/cm2 、空気量1.6m3 /分のシェービングエア ーを使用しガン距離20cmで行なった。亜鉛の溶射効率は以下の表1に示され るように60%と非常に高いものであった。
【0032】
【表1】
【0033】 比較のため樹脂組成物Aを用いて同様に塗装し、Rz=65μm、Sm/Rz =5.5の粗面を得た後、亜鉛を同様に溶射した(従来例1)。溶射効率は40 %であった(前記表1)。
【0034】 [実施例2及び従来例2] エポキシ樹脂(エピクロン4051 大日本インキ化学工業製 エポキシ当量 950)100gに、キシレン80g,メチルエチルケトン60g,ブタノール 25gを加えて溶解した後、ポリアミド樹脂(エピキュアー892 セラニーズ 製 活性水素当量 133)10gを添加して得た加熱残分40重量%のエポキ シ−ポリアミド樹脂B 275g(樹脂固形分容量100cm3 )と、平均粒子 径48μmの炭化珪素(緑色炭化珪素CG 320名古屋研磨機材工業製 比重 3.16)221g(粒子容量70cm3 、PVC41%)とを充分に撹拌し樹 脂組成物Bを作製した。 0.8×100×200mmのブリキ板に、この樹脂組成物Bをエアースプレ ーで30g/m2 の割合で塗布し、表面粗さ(Rz)60μmでSm/Rz=2 .2の被膜を得、2時間乾燥した後、本考案例1と同様の方法でアルミニウムを 540g/m2 の割合で溶射した。アルミニウムの溶射効率は50%と非常に高 いものであった(前記表1)。
【0035】 一方、比較のため(従来例2)前記同様にしてRz=105μm、Sm/Rz =6.0の粗面を得た後、アルミニウムを溶射したが、溶射効率は20%であっ た(前記表1)。
【0036】 [実施例3及び従来例3] 実施例2と同様にして、ABS板上に樹脂組成物Bを塗布した後、前記表1に 示す条件となるように銅合金を溶射した。その結果を前記表1に示す。
【0037】
【考案の効果】
本考案によれば、従来のようにブラスト処理を行なわなくても平滑な基材に対 して適度の表面粗さを付与することができるので、板厚の薄いものあるいは形状 が複雑なためブラスト処理が出来ない基材にも金属溶射が可能となる。また、従 来金属溶射が不可能と考えられていた素材も利用することができる。しかも、金 属の溶射効率は1.5〜3倍強も向上せしめることが出来る。
【0038】 更に、溶射された液状の金属粒子の可塑性を利用し、樹脂組成物から得られた 被膜中の粒子の間に溶射金属粒子を充填せしめることによるアンカー効果により 高付着力を発揮させることが出来る。
【0039】 加えて、従来のブラスト処理における処理作業時間を1/10〜1/20以上 削減出来、従って加工コストの著しい低下が期待できる。
【0040】 また、ブラスト処理時に発生する粉塵による各種問題点、所謂公害も、一挙に 解決出来る。 従って、低温溶射被膜を有する金属及び非金属体の利用範囲拡大に大きく寄与 出来るものである。
【提出日】平成7年1月17日
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正内容】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、ブラスト処理等の物理的前処理、あるいは表面
処理等の化学的処理を施さない鋼材等の金属、またはプラスチック等の非金属の
基材上に低温溶射被膜が形成された基材の保護被覆構造に関するものである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】本考案は前述した事情に鑑みてなされたものであり、従来の金属溶
射被膜における各種問題点を解決し、密着力の優れた低温溶射被膜を高い溶射効
率で形成された、基材の保護被覆構造を提供するものである。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【課題を解決するための手段】
本考案は、ブラスト処理等の前処理を施さない基材と、この基材の表面に塗布 されて形成した、不溶性の固体粒子を含有し、かつ、表面に粗面が形成された樹 脂組成物被膜と、この樹脂組成物被膜の表面に溶射された金属の低温溶射被膜と より成ることを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】 本考案においては、前記の如き樹脂組成物を基材上に塗布することにより、表 面の凹凸の平均間隙(Sm)と十点平均粗さ(Rz)の比Sm/Rzが5 以下 で、かつRzが10〜250μmの粗面を形成せしめることが好ましい。 尚、本考案における十点平均粗さ(Rz)と表面の凹凸の平均間隙(Sm)は 、いずれもJIS−B−0601に定義されており、市販の触針式の表面粗さ計 で容易に評価することができる。 金属溶射を行なう場合には、溶融した金属粒子(粒子径10〜数100μm) が高速で基材に向って飛来し、基材と衝突し、冷却,固化する。 この瞬間的なプロセスにおいて高い溶射効率で金属被膜を得るためには、基材 表面の粗面化状態が、溶融金属粒子の大きさとくらべてあまり大き過ぎても、又 あまり小さ過ぎても好ましくない。 即ち、適切な表面粗さ(凹凸部の高低差)を有し、かつ適切な凹凸の繰返し又 は斜面の勾配が必要である。 本考案者等は上記の如き観点から種々検討を加えた結果、溶射効率の最も高い 条件を見い出したものである。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】 まず、本考案において粗面の凹凸を表わす十点平均粗さ(Rz)は、10〜2 50μm、好ましくは30〜150μmの範囲にあることが好ましい。Rzが1 0μmにみたない場合には凹凸が小さいため、溶射効率が著しく低下するととも に金属被膜の密着性も実用に耐えなくなる。一方、Rzが250μmをこえると 、金属溶射被膜は付着し易くなるが、表面が粗くなりすぎるため表面仕上り性が 低下する。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正内容】
【0028】 一方、粗面の凹凸の繰返し頻度も重要であり、たとえRzが前記範囲に入って いても凹凸間の間隙が大きいと粗面としての効果は低下する。 このような観点にたち、本考案においては、凹凸の平均間隙(Sm)をRzで 除した数、つまりSm/Rzが5以下、好ましくは3以下であることが好ましい 。 かくして適切な表面粗さと凹凸間隙を有する粗面が得られるため、金属の溶射 効率は一段と高まるのである。 しかして、本考案においてよりよい効果もたらすSm及びRzを有する粗面を 形成するための条件は複雑であり、一義的に定義付けることは難しいが、樹脂組 成物の配合,粒子の粒子径,組成物の粘度,塗布条件等をあらかじめ定めること により一定の粗面を得ることが出来る。 本考案において、このようにして得られた特定表面粗さを有する樹脂組成物被 膜2上に、金属を溶射する。 尚、金属を溶射する前の被膜は必ずしも完全乾燥(硬化)状態でなくともよい 。即ち、半乾燥(硬化)であってもよい。最も好ましいのは、被膜を乾燥状態に した上に金属溶射し、しかる後に完全硬化せしめるのである。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】 低温溶射被膜3の形成に使用される金属としては、亜鉛,亜鉛−アルミニウム 合金,アルミニウム,丹銅,黄銅,キュプロニッケル等通常使用されているもの が支障なく使用出来る。 本考案の金属の低温溶射被膜は樹脂組成物から得られた被膜の特定表面粗さに より強固な密着性が得られ、しかも前記樹脂組成物から得られる被膜は、被膜中 の各粒子が樹脂(有機物)の結合力により基材に付着しているものである。従っ て、樹脂組成物から得られた被膜中の樹脂成分が、本考案の方法を実施中、溶射 された金属粒子の温度により完全に焼失してしまうような条件はさけなければな らない。 即ち、本考案における金属溶射は、樹脂組成物から得られた被膜中の樹脂成分 が完全に焼失しないような比較的低い温度で行なうことが望ましいので、減圧内 アーク溶射機による低温溶射が採用される。 前記低温溶射方法とは、円筒状に噴射される低温の空気流を利用して、中心部 を0.5Kg/c 以下に減圧させた環境下で、連続的に金属線材を電気的に アーク溶融させ、同時に前方の噴射気流中に吸引し、粉砕させ、常温近くまで急 冷却させ、液状の過冷却状態で溶融金属粒子を基材上に付着せしめるものである 。従って、単位時間の溶射量を比較的多くし、溶射膜厚を厚くすることが可能で ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材 2 樹脂組成物被膜 3 低温溶射被膜
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年1月17日
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】考案の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【考案の名称】 基材の保護被覆構造
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項】 基材が鋼材であり、低温溶射金属が鋼材
より卑なる金属である請求項1記載の基材の保護被覆構

Claims (8)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ブラスト処理等の前処理を施さない基材
    と、この基材の表面に塗布され、不溶性の固体粒子を含
    有し、表面の凹凸の平均間隔(Sm)と十点平均粗さ
    (Rz)の比Sm/Rzが5以下で、かつ、Rzが10
    μm〜250μmの粗面が形成された樹脂組成物被膜
    と、この表面に溶射された金属の低温溶射被膜とより成
    ることを特徴とする低温溶射被膜を有する金属体。
  2. 【請求項2】 前記樹脂組成物被膜は、粒子径5〜20
    0μmの不溶性の粒子をその樹脂に対して25〜400
    容量%含有したものであることを特徴とする請求項1記
    載の低温溶射被膜を有する金属体。
  3. 【請求項3】 基材が鋼材であり、低温溶射金属が鋼材
    より卑なる金属である請求項1記載の低温溶射被膜を有
    する金属体。
  4. 【請求項4】 粒子径5〜200μmの前記粒子が、酸
    化珪素、アルミナ及び炭化珪素からなる群から選ばれた
    少なくとも1種である請求項2記載の低温溶射被膜を有
    する金属体。
  5. 【請求項5】 ブラスト処理等の前処理を施さない基材
    と、この基材の表面に塗布され、不溶性の固体粒子を含
    有し、表面の凹凸の平均間隔(Sm)と十点平均粗さ
    (Rz)の比Sm/Rzが5以下で、かつ、Rzが10
    μm〜250μmの粗面が形成された樹脂組成物被膜
    と、この表面に溶射された金属の低温溶射被膜とより成
    ることを特徴とする低温溶射被膜を有する非金属体。
  6. 【請求項6】 前記樹脂組成物被膜は、粒子径5〜20
    0μmの不溶性の粒子をその樹脂に対して25〜400
    容量%含有したものであることを特徴とする請求項5記
    載の低温溶射被膜を有する非金属体。
  7. 【請求項7】 基材が鋼材であり、低温溶射金属が鋼材
    より卑なる金属である請求項5記載の低温溶射被膜を有
    する非金属体。
  8. 【請求項8】 粒子径5〜200μmの前記粒子が、酸
    化珪素、アルミナ及び炭化珪素からなる群から選ばれた
    少なくとも1種である請求項6記載の低温溶射被膜を有
    する非金属体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0539338U (ja) * 1991-10-31 1993-05-28 株式会社イトーキクレビオ 机等のサイドパネルの支持構造

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