JP3186480B2 - 金属溶射皮膜の形成方法 - Google Patents

金属溶射皮膜の形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼材表面への防食性、
密着性等に優れた金属溶射皮膜の形成方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】鋼材の防食方法の一つとして、鋼材表面
に鋼材より卑なる金属を溶射する金属溶射法が広く利用
されている。ところで金属溶射法は、鋼材と溶射皮膜と
の間には化学的な結合が期待出来ず、鋼材表面への金属
溶射皮膜の密着性が劣るため、従来は、鋼材表面をサン
ドブラストやグリットブラストなどのブラスト処理を施
し、鋼材表面を粗面化し、物理的なアンカー効果を持た
せた後、金属を溶射する方法が一般的であった。しかし
ながら、鋼材表面を粗面化するためのブラスト処理作業
が必要な従来方法は、粉塵による環境汚染が発生しやす
く、また高度な熟練度を必要とし、さらに作業コストが
高くなるといった問題点があった。また最近では、例え
ば、特公平2−54422号公報等に記載されているよ
うに、鋼材表面に予じめ凹凸状の皮膜を形成し、しかる
後金属を溶射する、鋼材表面を粗面化するためのブラス
ト処理作業が不要の金属溶射法が開発されている。しか
しながらこの方法は、新設の鋼構造物など、錆のない鋼
材に対しては有効であるが、既設の錆が発生している鋼
材に適用した場合は、凹凸状の皮膜の密着性が劣り、そ
のため長期防食性が期待出来ないので、鋼材表面をブラ
スト処理により粗面化する必要はないものの、完全に除
錆するためのブラスト処理作業が必要であるという問題
点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点を克服した金属溶射被膜の形成方法を提供
する。すなわち、ブラスト処理による鋼材表面の粗面化
作業が不要で、かつ鋼材表面に錆が発生していても、浮
き錆を除去する程度で、完全に除錆していない鋼材表面
に対しても防食性、密着性等に優れた金属溶射皮膜を形
成することが可能な金属溶射皮膜の形成方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、鋼材表面に、特定
の被覆組成物を塗布し、凹凸状皮膜を形成し、該皮膜上
に金属を溶射することにより上記目的が達成されること
を見出し、本発明を完成した。すなわち本発明の金属溶
射皮膜の形成方法は、結合剤、キレート形成能を有する
化合物及び骨材を皮膜形成成分として含有する被覆組成
物を、鋼材表面に10〜300g/m2 の割合で塗布
し、表面粗さ(Rz)30〜250μmの皮膜を形成
し、次いで該皮膜上に鋼材より卑なる金属を溶射するこ
とを特徴とする。以下、本発明を詳細に説明する。
【0005】本発明方法において、金属溶射の前に鋼材
表面に塗布される被覆組成物は、結合剤、キレート形成
能を有する化合物及び骨材を必須成分として含有し、さ
らに必要に応じ顔料や分散剤、発泡防止剤、たれ防止剤
などの添加剤等を含有する塗膜形成成分と、これら成分
を溶解もしくは分散する溶媒から構成されるものであ
る。前記結合剤としては、ある程度の乾燥性、硬度、密
着性、耐水性及び耐久性のある皮膜が得られるものであ
れば特に制限なく使用することができ、例えば、前述の
特公平2−54422号公報に記載されているような、
一液常温硬化型樹脂である熱可塑性アクリル樹脂、ビニ
ル樹脂、塩化ゴム、アルキド樹脂;二液硬化型樹脂であ
る不飽和ポリエステル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、
ポリエステル−ウレタン樹脂、エポキシ樹脂;熱硬化性
樹脂であるメラミン−アルキド樹脂、メラミン−アクリ
ル樹脂、メラミン−ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、
アクリル−ウレタン樹脂等の各種塗料に使用されている
樹脂が使用可能である。本発明においては、次の結合剤
が後述するキレート形成能を有する化合物と塩を形成
し、鋼材表面との密着性等に優れた皮膜が得られるので
特に好ましい。
【0006】(I)重量平均分子量300以上のエポキ
シ樹脂とアミノ系化合物とを、反応させて得られる樹脂
からなる結合剤。この場合、エポキシ樹脂の製造のしや
すさ、有機溶剤に対する溶解のしやすさ等の観点からエ
ポキシ樹脂の重量平均分子量を300〜5000、好ま
しくは500〜3000とするのが適当である。前記エ
ポキシ樹脂としては、次のようなものが例示される。ビ
スフェノール型エポキシ樹脂として、一般に市販されて
いる油化シェルエポキシ(株)製の商品名エピコート8
27、同828、同834、同836、同1001、同
1004、同1007;チバガイギー(株)製の商品名
アラルダイトGY252、同GY250、同GY26
0、同GY280、同6071、同6084、同609
7;ダウ・ケミカル(株)製の商品名DER330、同
331、同337、同661、同664;大日本インキ
化学工業(株)製の商品名エピクロン800、同101
0、同1000、同3010;フェノールノボラック型
エポキシ樹脂として例えば、ダウ・ケミカル(株)製の
商品名DEN431、同438、同439;チバガイギ
ー(株)製の商品名EPN1138;大日本インキ化学
工業(株)製の商品名エピクロンN−565、同N−5
77;ポリグリコール型エポキシ樹脂として例えばチバ
ガイギー(株)製の商品名アラルダイトCT−508;
ダウ・ケミカル(株)製の商品名DER732、同73
6、同741;エステル型エポキシ樹脂として例えば大
日本インキ化学工業(株)製の商品名エピクロン20
0、同400、同1400;エポキシ化ポリブタジエン
として、日本曹達(株)製の商品名BF−1000;エ
ポキシ化油としてアデカ・アーガス化学(株)製の商品
名アデカ・サイザーO−180、同O−130P;など
を挙げることができる。
【0007】さらにポリオール型エポキシ樹脂、脂環式
エポキシ樹脂、ハロゲン含有エポキシ樹脂、シリコン変
性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂の誘導体も使用可能で
ある。また前記アミノ系化合物としては、芳香族モノア
ミン、芳香族ジアミン、芳香族モノイミン、芳香族ジイ
ミン、脂肪族モノアミン、脂肪族ジアミン、脂肪族モノ
イミン、脂肪族ジイミン、複素環式モノアミン、複素環
式ジアミン、複素環式モノイミン、複素環式ジイミン、
あるいはこれらの誘導体、もしくは通常エポキシ樹脂の
硬化剤に用いられているポリアミド樹脂などである。こ
れらを具体的に例示すると例えば、アニリン、メチルア
ニリン、トルイジン、オルト−フェニレンジアミン、メ
タ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン、
ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテ
ル、ジアミノジフェニルスルホン、メチルアミン、エチ
ルアミン、n−ブチルアミン、エタノールアミン、エチ
レンジアミン、エチレンイミン、ヘキサメチレンジアミ
ンなどの化合物、あるいは一般に市販されている味の素
(株)製の商品名エポメートB−002、同C−00
2、同S−005、三和化学(株)製の商品名サンマイ
ド320、同330、第一ゼネラル(株)製の商品名パ
ーサミド400、同401、同711、同754などが
挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上の混合物と
して使用する。
【0008】このようなエポキシ樹脂とアミノ系化合物
を必要に応じて溶媒存在下で、50〜180℃の温度で
反応させることにより、本発明に使用する被覆組成物用
に好適な結合剤である樹脂(I)が得られる。なお両者
の反応における混合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ
基とアミノ系化合物中の活性水素当量比が(1:1.1〜
1:1.6)、好ましくは(1:1.2〜1:1.5)となる
ような割合が好適である。後者が前記範囲より多くなる
と、得られる皮膜の耐水性等が低下する傾向にあり、逆
に少なくなると後述するキレート形成能を有する化合物
と塩を形成させる効果が低下し、得られる皮膜の密着性
等が低下する傾向にある。
【0009】(II) 重量平均分子量300以上のエポキ
シ樹脂とアミノ系化合物硬化剤からなり、かつ前記エポ
キシ樹脂中のエポキシ基とアミノ系化合物中の活性水素
の当量比が(1:0.5〜1:2.0)になるよう混合した
混合物。前記エポキシ樹脂としては、前述と同様なエポ
キシ樹脂が使用可能である。前記アミノ系化合物として
は、従来から通常エポキシ樹脂用硬化剤として使用され
ているポリアミド樹脂、アミンアダクト樹脂、ポリアミ
ン等が代表的なものとして挙げられる。前記ポリアミド
樹脂は、ダイマー酸(一般の工業製品はモノマー酸約3
パーセント、ダイマー酸約85パーセント、トリマー酸
を約12パーセント含有する)とエチレンジアミン、ジ
エチレントリアミン、あるいはメタフェニレンジアミン
などのポリアミン類との縮合生成物である。例えば一般
に市販されている富士化成工業(株)製商品名トーマイ
ドY−25、同245、同2400、同2500、トー
マイド210、同215、同215−X、同225、同
225−X、同235S、同235A;第一ゼネラル
(株)製商品名ゼナミド2000、パーサミド115、
同125、同100、同140、同230、同280、
同400、同401、同415、DSX−1280;三
和化学(株)製商品名サンマイド320、同330;油
化シェルエポキシ(株)製商品名エピキュアー4255
等が挙げられる。
【0010】又、前記アミンアダクト樹脂は、ビスフェ
ノール型エポキシ樹脂等の前記したエポキシ樹脂とエチ
レンジアミン、ジエチレントリアミンあるいはメタフェ
ニレンジアミンなどのポリアミン類との付加生成物であ
る。例えば一般に市販されている富士化成工業(株)製
商品名トーマイド238、フジキュアー202、同11
0;旭電化(株)製商品名アデカハードナーEH−53
1、同101、同532、同551等が挙げられる。更
に前記アミンアダクトとしては、ブチルグリシジルエー
テル、パーサティック酸のグリシジルエステル、あるい
はビスフェノール型エポキシ樹脂等と複素環状ジアミン
との付加生成物もある。例えば、一般に市販されてい
る、味の素(株)製商品名エポメートB−002、同B
−001、同C−002、同S005、同S−002、
同LX−1、同RX−2、同RX−3、同N−001;
の如きものがある。
【0011】前記硬化剤であるアミノ系化合物はエポキ
シ樹脂と橋かけ反応を行なうため1分子中に少なくとも
2個以上の窒素原子及びこれに結合した活性水素を有す
ることが必要である。該アミノ系化合物に関しては、特
にその他の制限はないが、アミン価として50以上であ
ることが好ましい。但しアミノ系化合物のアミン価が極
めて大きくなると主剤としてのエポキシ樹脂と混合した
後の可使時間が短かくなるという制約が生じる。このよ
うなエポキシ樹脂と硬化剤であるアミノ系化合物からな
る結合剤は、予め混合しておくと反応し、ゲル化するた
め、塗布される使用直前に混合するのが好ましい。両者
の混合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基とアミノ系
化合物中の活性水素の当量比が(1:0.5〜1:2.
0)、好ましくは(1:0.8〜1:1.5)になるような
割合が好ましい。この範囲で防食性、耐湿性等に優れた
本来の特性を発揮する皮膜を形成する。前記キレート形
成能を有する化合物は、錆を有する鋼材表面とキレート
化反応し、形成される皮膜に防食性、密着性、耐水性、
耐湿性等を向上させるために配合する。
【0012】キレート形成能を有する化合物としては、
没食子酸及び/又はプロトカテキュ酸が錆を有する鋼材
表面とキレート化反応しやすく、前記効果を特に発揮す
るので好ましいが、ピロガロールなどの多価フェノール
類、フェノールカルボン酸類、クロム錯塩類、フタロシ
アニン類、ピリジン類等の公知の各種キレート形成能を
有する化合物も使用可能である。キレート形成能を有す
る化合物の配合量は、鋼材表面の発錆程度、結合剤の種
類、キレート形成能を有する化合物の種類により違って
くるが、通常、結合剤に対して0.1〜15重量%が適当
である。例えば前記結合剤(I)と没食子酸及び/又は
プロトカテキュ酸の組合せの場合は、結合剤に対して0.
3〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%が適当で
ある。なお、前記範囲より少ないと配合効果が十分発揮
されず、一方多いと耐水性等に悪影響をおよぼす傾向に
ある。
【0013】前記結合剤(II)と没食子酸及び/又はプロ
トカテキュ酸の組合せの場合は、結合剤中のアミノ系化
合物硬化剤に対して5〜30重量%、好ましくは10〜
25重量%が適当である。前記範囲より少ないと配合効
果が十分発揮されず、一方多いと耐水性等に悪影響をお
よぼす傾向にある。なお、結合剤(II)と没食子酸及び/
又はプロトカテキュ酸との組合せの場合においては、キ
レート形成能を有する化合物は、アミノ系化合物硬化剤
側に配合しておき、前者のカルボキシル基と後者の活性
水素原子を有する窒素原子がイオン結合により塩を予め
形成させたものを使用するのが好ましい。本発明で用い
る骨材は、得られる皮膜が後述する表面粗さになるよう
平均粒子径5 〜200μm、好ましくは20〜100μ
mのものが適当である。該骨材としては、例えば、銅、
ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉄、珪素などの金属、
あるいは合金もしくは酸化物、窒化物、炭化物等が挙げ
られる。具体的には、例えば酸化アルミニウム、酸化珪
素、酸化鉄、炭化珪素、窒化硼素等が挙げられる。又、
使用する溶媒に溶解しないアクリル樹脂、スチレン樹
脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン等の合成樹脂粉末を使
用してもよい。これらの粒子を単独で又は2種以上の混
合物として使用可能である。
【0014】これらの骨材のうち、使用される結合剤に
対する化学的安定性や溶射材と腐食電池を形成せず、硬
く、かつ組成物中で沈澱しにくいことなどを考慮する
と、珪砂、アルミナ、炭化珪素等の使用が、特に好まし
い。骨材は、得られる乾燥皮膜中に含まれる容積百分率
(PVC)が20〜80%、好ましくは40〜65%に
なるように配合するのが適当である。なお、骨材の配合
量が前記範囲より少ないと皮膜の表面粗さが小さくな
り、金属溶射皮膜の密着性が低下する傾向にあり、また
相対的に結合剤が多くなるため形成される皮膜が絶縁性
となりやすく、金属溶射皮膜の犠牲防食作用が低下する
傾向にある。逆に骨材の配合量が前記範囲より多いと形
成される皮膜の各種物理・化学的強度が低下する傾向に
ある。
【0015】本発明で用いる溶媒としては、結合剤を溶
解しうる有機溶剤が適当であり、例えばメタノール、エ
タノール、n−ブタノールなどのアルコール類;エチレ
ングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテルなどのアルコールエーテル類;アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンな
どのケトン類;トルエン、キシレン、芳香族石油ナフサ
などの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢
酸ブチルなどのエステル類があげられる。前記溶剤は1
種又は2種以上の混合溶剤として用いられる。しかしな
がら、前記キレート形成能を有する化合物のキレート化
反応が生じやすくなるよう、溶媒に少量の水を併用する
のが望ましく、その関係上溶剤に対する水の溶解度(2
0℃)が5%以上の有機溶剤が好適である。このような
有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−ブタ
ノールなどのアルコール類;エチレングリコールモノエ
チルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル
などのアルコールエーテル類;アセトン、メチルエチル
ケトンなどのケトン類;エチレングリコールモノメチル
エーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチル
エーテルアセテートなどのエステル類等をあげることが
できる。
【0016】なお、前述の通り、溶媒の一部として水を
併用するのが望ましいがその量は、被覆組成物の貯蔵安
定性等を考慮して被覆組成物中20重量%以下、好まし
くは1〜5重量%が適当である。溶媒の配合量は、塗装
作業性、後述する特定の表面粗さの皮膜の形成されやす
さ等を考慮して被覆組成物の固形分が40〜90重量
%、好ましくは60〜90重量%になるような量が適当
である。本発明の方法において溶射する金属は、鋼材を
腐食より保護するため犠牲防食作用のあるものを使用す
る必要があり、そのため鋼材より卑なる金属を使用す
る。具体的には、亜鉛、アルミニウム、亜鉛−アルミニ
ウム合金、特公平2−56424号公報に記載されてい
る亜鉛−アルミニウム擬合金、亜鉛−チタン合金等が代
表的なものとして挙げられる。
【0017】次に本発明の金属溶射皮膜の形成方法につ
いて説明する。被溶射基材である鋼材表面が発錆してい
ない場合は、必要に応じ脱脂等の前処理を施した後、前
述の被覆組成物を塗布する。一方、鋼材表面が発錆して
いる場合は、浮き錆を除去し、好ましくは塗装前鋼材表
面処理基準のSIS−St1〜St2程度にまで素地調
整した後、前述の被覆組成物を塗布する。なお、本発明
においては、被覆組成物による皮膜と鋼材表面との間に
キレート結合を形成し、発錆した鋼材表面に対しても優
れた密着性を有する皮膜が得られるが、浮き錆の場合
は、浮き錆自身が剥れやすいので除去する必要があり、
一方前述の程度に素地調整して残存した錆は剥離しにく
く、皮膜とキレート結合し、密着性のよいものとなるの
で残存していてもよい。また、当然ではあるが、SIS
−St3程度に、より多く除錆した鋼材に適用してもよ
いことは言うまでもない。
【0018】鋼材表面への被覆組成物の塗布手段は、通
常の塗料と同様のエアースプレー法、エアレススプレー
法、ロール塗装法、刷毛塗装法等の各種手段が可能であ
るが、特に塗装作業性や塗布量のコントロールの容易さ
等からエアースプレー法が適当である。本発明に於て被
覆組成物の塗布量は、10〜300g/m2 の割合にす
ることが必要である。特に好ましくは約20〜150g
/m2 の範囲である。前記塗布量の範囲において、10
g/m2 より少ない場合には、表面粗さが小さくなり、
金属の溶射効率が低くなるとともに溶射皮膜の密着性も
低下するので好ましくない。一方、塗布量が300g/
2 をこえると、表面粗さが粗くなり過ぎたり、あるい
は被覆組成物の組成・性状によっては皮膜が平滑になり
過ぎたりするため、金属溶射皮膜の密着性が低下するよ
うになるので好ましくない。特に、金属溶射皮膜の犠牲
防食作用を期待する本発明においては、塗布量が約30
0g/m2をこえると、鋼材と金属溶射皮膜との間に絶
縁皮膜が形成されるため、犠牲防食作用効果が得難くな
るので好ましくない。
【0019】本発明に於て、被覆組成物塗布後の皮膜の
表面粗さ(Rz)は、30〜250μm、好ましくは6
0〜200μmの範囲にあることが必要である。なお、
本発明において表面粗さ(Rz)とは、JISB−06
01(1982)「表面粗さの定義と表示」の十点平均
粗さを示し、表面粗さ(Rz)の測定は、東京精密
(株)製表面粗さ形状測定機サーフコム554Aで行っ
たものである。前記表面粗さの範囲において、30μm
に満たない場合には、溶射効率が低く、金属溶射皮膜の
密着性が極端に低下するようになる。一方、表面粗さが
250μmをこえると、溶射皮膜面が粗く、外観が著し
く悪化し、溶射皮膜をこすると下地の被覆組成物の皮膜
が露出することもあり、好ましくない。本発明の方法に
おいては、被覆組成物から得られた皮膜の表面粗さが非
常に重要である。この表面粗さは被覆組成物中に含有さ
れる骨材の粒子径とその含有量、及び鋼材への塗布量に
よって決定される。
【0020】例えば、前記の如き特定組成物をエアース
プレー法により、ややドライスプレー気味に前記塗布量
範囲内で塗布すると、目的とする表面粗さが得られる。
又、例えば前記特定組成物に必要に応じてチキソトロピ
ック性を付与して、刷毛等で塗布しても目的とする表面
粗さを得ることが出来よう。本発明に於ては、このよう
にして得られた特定表面粗さを有する皮膜上に、金属を
溶射する。尚、金属を溶射する前の皮膜は必ずしも完全
乾燥(硬化)状態でなくともよい。即ち、半乾燥(硬
化)であってもよい。最も好ましいのは、皮膜を乾燥状
態にした上に金属溶射し、しかる後に完全硬化せしめる
方法である。本発明に於て、前記金属溶射を行うための
溶射方法としては、ガスフレーム溶射方法、電気アーク
溶射方法、減圧内アーク溶射機による低温溶射方法等が
あり、いずれの方法でもよい。本発明の方法において
は、金属溶射皮膜は被覆組成物から得られた皮膜の表面
粗さにより強固な密着性が得られ、しかも前記被覆組成
物から得られる皮膜は、皮膜中の各骨材が結合剤等の結
合力により鋼材に付着しているものである。従って、被
覆組成物から得られた皮膜中の結合剤等が、本発明の方
法を実施中、溶射された金属粒子の温度により完全に焼
失してしまうような条件はさけなければならない。
【0021】即ち、本発明における金属溶射は、被覆組
成物から得られた皮膜中の結合剤等が完全に焼失しない
ような比較的低い温度で行なうことが望ましく、例えば
減圧内アーク溶射機による低温溶射方法などの採用が好
ましい。前記低温溶射方法とは、円筒状に噴射される低
温の空気流を利用して、中心部を0.5kg/cm2 以下に減
圧させた環境下で、連続的に金属線材を電気的にアーク
溶融させ、同時に前方の噴射気流中に吸引し、粉砕さ
せ、常温近くまで急冷却させ、液状の過冷却状態で溶融
金属粒子を基材上に付着せしめる方法からなるものであ
る。従って、該方法の場合には、単位時間の溶射量を比
較的多くし、溶射膜厚を厚くすることが可能である。一
方、ガスフレーム溶射や電気アーク溶射方法の場合に
は、溶射金属線材径を小さくしたり、搬線速度を遅くし
たり、溶射量を比較的小さくしたり、あるいは溶射膜厚
を薄くする等の手段をとることにより、本発明の方法に
適用することが可能である。
【0022】このようにして、鋼材表面に形成された被
覆組成物の皮膜と金属溶射皮膜を模型的に示せば、図1
に示す切断面図のようになる。すなわち図1は、錆1を
有する鋼材A表面に、骨材3を有する被覆組成物の皮膜
2を形成し、さらにその上に金属溶射皮膜4を形成させ
た状態を示すものである。本発明の金属溶射皮膜の形成
方法は、以上説明した通りであるが、さらに溶射皮膜の
発錆による消耗を防止するため、防食塗料等の公知の各
種塗料を溶射皮膜上に塗布し、保護皮膜を施すことも可
能である。
【0023】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来法のような
鋼材表面を粗面化したり、完全に除錆するための、より
高度なブラスト処理作業が不要なため、粉塵等による環
境汚染が少なく、かつ簡単な手段でブラスト処理による
粗面と同様粗面を有する被覆組成物の皮膜を鋼材表面に
形成出来るので、密着性に優れた金属溶射皮膜を得るこ
とが出来る。また、特定の被覆組成物を使用しているた
め錆を有する鋼材にも適用出来るため、作業性がよく、
更に溶射金属粒子の衝突力等により被覆組成物の皮膜は
凝集破壊等が生じ、溶射粒子が鋼材表面に到達し、部分
的に鋼材と金属溶射皮膜が直接接触するため犠牲防食作
用効果により鋼材を腐食から守ることが出来る。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。なお、実施例中「部」、「%」は、特に断わらな
い限り、重量基準で示す。 〔被覆組成物Aの調製〕ビスフェノール型エポキシ樹脂
〔油化シェルエポキシ(株)製商品名エピコート#10
01:エポキシ当量450−500〕をエチレングリコ
ールモノブチルエーテルに溶解して不揮発分50%の樹
脂溶液を得た。該樹脂溶液300部と平均粒径100μ
mの珪砂240部を攪拌混合し、主剤成分を形成した。
一方、ポリアミド樹脂(富士化成工業(株)製商品名ト
ーマイド225:アミン価300±20〕100部、没
食子酸15部、水30部を40〜50℃の温度1時間攪
拌混合し、キレート形成能を有する化合物がイオン結合
により導入された硬化剤組成物を得た。該組成物をエチ
レングリコールモノブチルエーテルに溶解して不揮発分
60%の硬化剤成分を形成した。塗布直前に主剤成分と
硬化剤成分とを100/13(重量比)の割合で混合
し、PVC54%の被覆組成物Aを調製した。
【0025】〔被覆組成物Bの調製〕ビスフェノール型
エポキシ樹脂〔油化シェルエポキシ(株)製商品名:エ
ピコート#1001〕950部をメチルイソブチルケト
ン353部とエチレングリコールモノエチルエーテル1
000部の混合物に溶解させた。次に、ジアミノジフェ
ニルメタン515部を加え120〜130℃で6時間攪
拌を続けて反応生成物を得た。該反応生成物をメチルイ
ソブチルケトンとエチレングリコールモノエチルエーテ
ルの混合溶媒にて不揮発分50%に調整したもの200
部と平均粒径48μmの炭化珪素500部を攪拌混合
し、ついでこれに没食子酸、メチルエチルケトン、エチ
レングリコールモノエチルエーテル及び水を6.8/40
0/280/169(重量比)の割合で混合した溶液1
25部を加え、攪拌混合し、PVC63%の被覆組成物
Bを調製した。 〔被覆組成物Cの調製〕ビスフェノール型エポキシ樹脂
〔油化シェルエポキシ(株)製商品名:エピコート#1
004〕950部をエチレングリコールモノエチルエー
テル700部、メチルイソブチルケトン300部、キシ
レン200部の混合物に溶解させた後、ジアミノジフェ
ニルメタン258部を加え120〜130℃に6時間保
った。その後、さらにフェニルグリシジルエーテルを1
50部添加し、10時間同温度で攪拌を続け反応生成物
を得た。該反応生成物をメチルイソブチルケトンとエチ
レングリコールモノエチルエーテルの混合溶媒にて不揮
発分50%に調整したもの400部と平均粒径20μm
の酸化アルミニウム500部を攪拌混合し、ついでこれ
に没食子酸、エチレングリコールモノエチルエーテル、
メチルエチルケトン、水及び酢酸を13/600/46
0/198/5(重量比)の割合で混合した溶液125
部を加え、攪拌混合し、PVC41%の被覆組成物Cを
調製した。
【0026】〔被覆組成物Dの調製〕フェノール・ノボ
ラック型エポキシ樹脂〔ダウ・ケミカル(株)製商品
名:DEN431〕480部、フェニルグリシジルエー
テル150部、ポリアミド樹脂〔三和化学(株)製商品
名:サンマイド#SH−23〕1760部、エチレング
リコールモノエチルエーテル2000部とを加熱混合
し、120℃で7時間攪拌を続けて反応生成物を得た。
該反応生成物をエチレングリコールモノエチルエーテル
にて不揮発分50%に調整したもの200部と平均粒径
100μmの珪砂77部を攪拌混合し、ついでこれにプ
ロトカテキュ酸、イソプロピルアルコール、エチレング
リコールモノエチルエーテル、メチルエチルケトン及び
水を21/944/1000/100/173(重量
比)の割合で混合した溶液150部を加え、攪拌混合
し、PVC54%の被覆組成物Dを調製した。 〔被覆組成物Eの調製〕被覆組成物Bにおいて、不揮発
分50%の反応生成物200部を500部に変更し、炭
化珪素500部を100部に変更する以外は、同様にし
てPVC12%の被覆組成物Eを調製した。
【0027】〔被覆組成物Fの調製〕ビスフェノール型
エポキシ樹脂〔油化シェルエポキシ(株)製商品名:エ
ピコート#1001〕950部をメチルイソブチルケト
ン353部とエチレングリコールモノエチルエーテル1
000部の混合物に溶解させた。次にジアミノジフェニ
ルメタン515部を加え120〜130℃で6時間攪拌
を続けて反応生成物を得た。該反応生成物をエチレング
リコールモノエチルエーテルにて不揮発分50%に調整
したもの200部と平均粒径48μmの炭化珪素500
部を攪拌混合し、PVC63%の被覆組成物Fを調製し
た。 〔実施例1〕6×100×200mmの錆鋼板表面をSI
S−St3に素地調整し、該表面に被覆組成物Aをエア
ースプレーによって60g/m2 の割合で塗布し、16
時間自然乾燥させ、表面粗さ(Rz)85μmの皮膜を
形成させた。次いで該皮膜を形成させた鋼板表面に亜鉛
を平均膜厚100μmになるよう低温溶射した。なお低
温溶射の条件は、パンアート社製低温溶射機PA100
にて線材直径1.3mmの亜鉛線材を搬線速度15m/分、
電圧15V、電流130A、空気圧6kg/cm2 、空気量
1.0m3 /分の圧縮空気を使用しガン距離20cmで行っ
た。得られた試験板につき密着性、防食性の試験をし、
その結果を表1に示した。
【0028】〔実施例2〕6×100×200mmの錆鋼
板表面をSIS−St2に素地調整し、該表面に被覆組
成物Aをエアースプレーによって60g/m2 の割合で
塗布し、16時間自然乾燥させ、表面粗さ(Rz)90
μmの皮膜を形成させた。次いで該皮膜を形成させた鋼
板表面に亜鉛を平均膜厚200μmになるようガスフレ
ーム溶射した。なお、ガスフレーム溶射の条件はMET
CO社製溶線式フレーム溶射機TYPE11E型ガンを
使用し、線材直径3.2mmの亜鉛線材を搬線速度1m/分
で、ガン距離30cmで行った。得られた試験板につき、
密着性、防食性の試験をし、その結果を表1に示した。
【0029】〔実施例3〕6×100×200mmの錆鋼
板表面をSIS−St2に素地調整し、該表面に被覆組
成物Bをエアースプレーによって100g/m2 の割合
で塗布し、16時間自然乾燥させ、表面粗さ(Rz)1
10μmの皮膜を形成させた。次いで該皮膜を形成させ
た鋼板表面に亜鉛−アルミニウム擬合金を平均膜厚10
0μmになるよう低温溶射した。なお低温溶射の条件は
低温溶射機PA100にて、線材直径1.3mmの亜鉛線材
とアルミニウム線材を使用し、搬線速度5m/分、電圧
15V、電流130A、空気圧6kg/cm2 、空気圧1.0
3 /分の圧縮空気を使用し、ガン距離20cmで行っ
た。得られた試験板につき、密着性、防食性の試験を
し、その結果を表1に示した。
【0030】〔実施例4〕6×100×200mmの錆鋼
板表面をSIS−St1に素地調整し、該表面に被覆組
成物Cをエアースプレーによって40g/m2 の割合で
塗布し、16時間自然乾燥させ、表面粗さ(Rz)60
μmの皮膜を形成させた。次いで該皮膜を形成させた鋼
板表面に実施例1と同様にして亜鉛を低温溶射し、平均
膜厚200μmの溶射皮膜を形成させた。得られた試験
板につき、密着性、防食性の試験をし、その結果を表1
に示した。 〔実施例5〕実施例3において、被覆組成物Bの代りに
被覆組成物Dを使用する以外は同様にして塗布し、表面
粗さ(Rz)88μmの皮膜を形成し、次いで同様にし
て亜鉛−アルミニウム擬合金を平均膜厚200μmにな
るよう低温溶射した。得られた試験板につき、密着性、
防食性の試験をし、その結果を表1に示した。
【0031】〔比較例1〕実施例3において、被覆組成
物Bの代りに被覆組成物Eを使用する以外は同様にして
塗布し、表面粗さ(Rz)10μmの皮膜を形成し、次
いで同様にして亜鉛−アルミニウム擬合金を平均膜厚1
00μmになるよう低温溶射した。得られた試験板につ
き、密着性、防食性の試験をし、その結果を表1に示し
た。 〔比較例2〕実施例3において、被覆組成物Bの代りに
被覆組成物Fを使用する以外は同様にして塗布し、表面
粗さ(Rz)100μmの皮膜を形成し、次いで同様に
して亜鉛−アルミニウム擬合金を平均膜厚100μmに
なるよう低温溶射した。得られた試験板につき、密着
性、防食性の試験をし、その結果を表1に示した。表1
からも明らかな通り、本発明の方法による実施例1〜5
は優れた密着性、防食性を有する皮膜が得られた。一
方、被覆組成物から得られる皮膜の表面粗さの少ない比
較例1は、密着性が不良で、塩水噴霧試験で溶射皮膜が
剥離した。またキレート形成能を有する化合物を配合し
なかった比較例2は、密着性、防食性とも劣っていた。
【0032】
【表1】 表 1 ────────────────────────────────── 被覆組成物 鋼材の 被覆組成物 皮膜表面粗さ 種 類 素地調整 塗布量(g/m2) (Rz) (μm) 実施例1 A St 3 60 85 2 A St 2 60 90 3 B St 2 100 110 4 C St 1 40 60 5 D St 2 100 88 比較例1 E St 2 100 10 2 F St 2 100 100 表 1 (続き) ────────────────────────────────── 密着性試験 注1) 塩水噴射試験 注2) 塩水噴射試験後の (kgf/m2) 密着性試験 注3) (kgf/m2) 実施例1 80 白錆のみ発生 78 2 75 同 上 74 3 72 同 上 70 4 61 同 上 57 5 74 同 上 72 比較例1 12 溶射皮膜が全面剥離 ──── 2 42 カット部で点錆発生・ 13 一部溶射皮膜剥離
【0033】注1) 試験板の溶射面および裏面に直径
2cmのアルミニウム製ドーリーをエポキシ系接着剤で貼
り付け、島津製万能試験機「オートグラフDCS500
0」により引張速度1mm/分で垂直方向の剥離強度を調
べた。 注2)試験板にクロスカットを入れ、塩水噴霧試験20
00時間後の外観を調べた。 注3)注2)の試験後、注1)と同様の密着性試験をし
た。
【0034】〔本発明の特徴的な構成〕 〔構成1〕結合剤、キレート形成能を有する化合物及び
骨材を皮膜形成成分として含有する被覆組成物を、10
〜300g/m2 の割合で、鋼材表面に塗布し、表面粗
さ(Rz)30〜250μmの皮膜を形成し、次いで該
皮膜上に鋼材より卑なる金属を溶射することを特徴とす
る金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成2〕キレート形成能を有する化合物が没食子酸及
び/又はプロトカテキュ酸である、構成1の金属溶射皮
膜の形成方法。 〔構成3〕結合剤が、キレート形成能を有する化合物と
塩を形成し、鋼材表面に密着する皮膜を形成する物質で
ある構成1又は2記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成4〕被覆組成物が、重量平均分子量300以上の
エポキシ樹脂とアミノ系化合物とを、前記エポキシ樹脂
中のエポキシ基と前記アミノ系化合物中の活性水素との
当量比が(1:1.1〜1:1.6)になるよう反応させて
得られた樹脂を結合剤とする、一液硬化型被覆組成物で
ある、構成1〜3の何れかに記載の金属溶射皮膜の形成
方法。 〔構成5〕エポキシ樹脂の重量平均分子量が、300〜
5000である構成1〜4の何れかに記載の金属溶射皮
膜の形成方法。 〔構成6〕エポキシ樹脂の重量平均分子量が、500〜
3000である構成1〜4の何れかに記載の金属溶射皮
膜の形成方法。 〔構成7〕 アミノ系化合物が、芳香族モノアミン、芳
香族ジアミン、芳香族モノイミン、芳香族ジイミン、脂
肪族モノアミン、脂肪族ジアミン、脂肪族モノイミン、
脂肪族ジイミン、複素環式モノアミン、複素環式ジアミ
ン、複素環式モノイミン、複素環式ジイミン、これらの
誘導体、及びポリアミド樹脂からなる群より選ばれる、
少なくとも1種である、構成1〜6の何れかに記載の金
属溶射皮膜の形成方法。
【0035】〔構成8〕 アミノ系化合物が、アニリ
ン、メチルアニリン、トルイジン、オルト−フェニレン
ジアミン、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレ
ンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフ
ェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、メチル
アミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、エタノール
アミン、エチレンジアミン、エチレンイミン、ヘキサメ
チレンジアミンからなる群より選ばれる、少なくとも1
種の化合物である、構成1〜6の何れかに記載の金属溶
射皮膜の形成方法。 〔構成9〕 結合剤が、エポキシ樹脂とアミノ系化合物
とを、エポキシ樹脂中のエポキシ基とアミノ系化合物中
の活性水素との当量比が(1:1.2〜1:1.5)となる
ように反応させて得られた樹脂である、構成1〜8の何
れかに記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成10〕 被覆組成物が、重量平均分子量300以上
のエポキシ樹脂とアミノ系化合物硬化剤からなり、かつ
前記エポキシ樹脂中のエポキシ基と前記アミノ系化合物
中の活性水素の当量比が(1:0.5〜1:2.0)になる
よう混合した混合物を結合剤とする、二液硬化型被覆組
成物である、構成1〜3の何れかに記載の金属溶射皮膜
の形成方法。
【0036】〔構成11〕 エポキシ樹脂の重量平均分子
量が、300〜5000である構成10に記載の金属溶射
皮膜の形成方法。 〔構成12〕 エポキシ樹脂の重量平均分子量が、500
〜3000である構成10に記載の金属溶射皮膜の形成方
法。 〔構成13〕 アミノ系化合物が、1分子中に少なくとも
2個以上の窒素原子及びこれに結合した活性水素を有
し、アミン価が50以上である、構成10〜12の何れかに
記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成14〕 アミノ系化合物が、ポリアミド樹脂、アミ
ンアダクト樹脂、又はポリアミンである構成10〜12の何
れかに記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成15〕 ポリアミド樹脂が、ダイマー酸と、エチレ
ンジアミン、ジエチレントリアミン、及びメタフェニレ
ンジアミンからなる群より選ばれるポリアミン類との縮
合生成物である、構成14に記載の金属溶射皮膜の形成方
法。 〔構成16〕 アミンアダクト樹脂が、エポキシ樹脂と、
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン及びメタフェ
ニレンジアミンからなる群より選ばれるポリアミン類と
の付加生成物である、構成14に記載の金属溶射皮膜の形
成方法。
【0037】〔構成17〕 結合剤が、エポキシ樹脂とア
ミノ系化合物とを、エポキシ樹脂中のエポキシ基とアミ
ノ系化合物中の活性水素との当量比が(1:0.8〜1:
1.5)となるように配合した混合物である、構成10〜16
の何れかに記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成18〕 キレート形成能を有する化合物の配合量
が、結合剤に対して0.1〜15重量%である構成1〜17
の何れかに記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成19〕 キレート形成能を有する化合物が、没食子
酸及び/又はプロトカテキュ酸である場合に、該化合物
の配合量が結合剤に対して0.3〜15重量%である、構
成4〜9の何れかに記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成20〕 キレート形成能を有する化合物が、没食子
酸及び/又はプロトカテキュ酸である場合に、該化合物
の配合量が結合剤に対して0.5〜10重量%である、構
成4〜9の何れかに記載の金属溶射皮膜の形成方法。
【0038】〔構成21〕 キレート形成能を有する化合
物が、没食子酸及び/又はプロトカテキュ酸である場合
に、該化合物の配合量がアミノ系化合物硬化剤に対して
5〜30重量%である、構成10〜17の何れかに記載の金
属溶射皮膜の形成方法。 〔構成22〕 キレート形成能を有する化合物が、没食子
酸及び/又はプロトカテキュ酸である場合に、該化合物
の配合量がアミノ系化合物硬化剤に対して10〜25重
量%である、構成10〜17の何れかに記載の金属溶射皮膜
の形成方法。 〔構成23〕 キレート形成能を有する化合物が、没食子
酸及び/又はプロトカテキュ酸である場合に、該化合物
をアミノ系化合物硬化剤とイオン結合により塩を予め形
成させている、構成10〜17及び21〜22の何れかに記載の
金属溶射被膜の形成方法。 〔構成24〕 骨材が、珪砂、アルミナ、酸化アルミニウ
ム、酸化珪素、酸化鉄、炭化珪素、窒化硼素、アクリル
樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、及びポリエチレン
からなる群より選ばれる少なくとも1種である、構成1
〜23の何れかに記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成25〕 骨材が、珪砂、アルミナ及び酸化珪素から
なる群より選ばれる少なくとも1種である、構成1〜23
の何れかに記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成26〕 骨材の平均粒子径が、5 〜200μmであ
る構成1〜25の何れかに記載の金属溶射皮膜の形成方
法。
【0039】〔構成27〕 骨材の平均粒子径が、20〜
100μmである構成1〜25の何れかに記載の金属溶射
皮膜の形成方法。 〔構成28〕 骨材が乾燥皮膜中に含まれる容積百分率
(PVC)が20〜80%である、構成1〜27の何れか
に記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成29〕 骨材が乾燥皮膜中に含まれる容積百分率
(PVC)が40〜65%である、構成1〜27の何れか
に記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成30〕 被膜組成物の溶媒が、20℃における水の
溶解度が5%以上である有機溶剤を含む構成1〜29の何
れかに記載の金属溶射皮膜の形成方法。
【0040】〔構成31〕 被膜組成物の溶媒が、アルコ
ール類、アルコールエーテル類、ケトン類及びエステル
類からなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶剤を
含む構成1〜30の何れかに記載の金属溶射皮膜の形成方
法。 〔構成32〕 被膜組成物の溶媒が、メタノール、エタノ
ール、n−ブタノール、エチレングリコールモノエチル
エーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ア
セトン、メチルエチルケトン、エチレングリコールモノ
メチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテルアセテートからなる群より選ばれる少な
くとも1種の有機溶剤を含む構成1〜30の何れかに記載
の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成33〕 被膜組成物の溶媒が、1〜5重量%の水を
含む構成1〜32の何れかに記載の金属溶射皮膜の形成方
法。 〔構成34〕 鋼材表面を、SIS−St1〜St3で素
地調整した後に、被覆組成物を塗布する、構成1〜33の
何れかに記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成35〕 鋼材表面を、SIS−St1〜St2で素
地調整した後に、被覆組成物を塗布する、構成1〜33の
何れかに記載の金属溶射皮膜の形成方法。 〔構成36〕被覆組成物の塗布量が、20〜150g/m
2 の範囲である構成1〜35の何れかに記載の金属溶射皮
膜の形成方法。 〔構成37〕 被覆組成物塗布後の皮膜の表面粗さ(R
z)が、60〜200μmである構成1〜36の何れかに
記載の金属溶射皮膜の形成方法。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】 鋼材表面に形成された被覆組成物の皮膜と金
属溶射皮膜を模型的に示した切断面図である。
【符号の説明】
A 鋼材 1 錆 2 被覆組成物の皮膜 3 骨材 4 金属溶射皮膜
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C23C 4/08 C23C 4/08 (56)参考文献 特開 平2−25555(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 4/02 B05D 7/14 B05D 7/24

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結合剤、キレート形成能を有する化合物
    及び骨材を皮膜形成成分として含有する被覆組成物を、
    10〜300g/m2 の割合で、鋼材表面に塗布し、表
    面粗さ(Rz)30〜250μmの皮膜を形成し、次い
    で該皮膜上に鋼材より卑なる金属を溶射することを特徴
    とする金属溶射皮膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 キレート形成能を有する化合物が没食子
    酸及び/又はプロトカテキュ酸である、請求項1の金属
    溶射皮膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 被覆組成物が、重量平均分子量300以
    上のエポキシ樹脂とアミノ系化合物とを、前記エポキシ
    樹脂中のエポキシ基と前記アミノ系化合物中の活性水素
    との当量比が(1:1.1〜1:1.6)になるよう反応さ
    せて得られた樹脂を結合剤とする、一液硬化型被覆組成
    物である、請求項1記載の金属溶射皮膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 被覆組成物が、重量平均分子量300以
    上のエポキシ樹脂とアミノ系化合物硬化剤からなり、か
    つ前記エポキシ樹脂中のエポキシ基と前記アミノ系化合
    物中の活性水素の当量比が(1:0.5〜1:2.0)にな
    るよう混合した混合物を結合剤とする、二液硬化型被覆
    組成物である、請求項1記載の金属溶射皮膜の形成方
    法。
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