JP2018059200A - 粗面皮膜、それを備える複合体、粗面皮膜形成材、金属溶射皮膜の製造方法、及び粗面皮膜の設計方法 - Google Patents

粗面皮膜、それを備える複合体、粗面皮膜形成材、金属溶射皮膜の製造方法、及び粗面皮膜の設計方法 Download PDF

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清人 増田
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Hideji Sano
秀二 佐野
信一郎 為
Shinichiro Tame
信一郎 為
裕貴 堀田
Hirotaka Hotta
裕貴 堀田
剛司 松本
Goji Matsumoto
剛司 松本
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Abstract

【課題】粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じにくい粗面皮膜、それを備える複合体、粗面皮膜形成材、金属溶射皮膜の製造方法、及び粗面皮膜の設計方法を提供する。【解決手段】本発明の一実施形態に係る粗面皮膜は、ヤング率が2200N/mm2以下であり、破断点伸びが2.1%以上であり、破断点応力が10N/mm2以上である。本発明の別の実施形態に係る粗面皮膜は、25℃における収縮応力と120℃における収縮応力との差が200MPa以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、粗面皮膜、それを備える複合体、粗面皮膜形成材、金属溶射皮膜の製造方法、及び粗面皮膜の設計方法に関する。
金属溶射は、高耐久材料を形成することのできる技術として注目される防食技術であり、橋梁の桁端部等の、過酷な腐食環境に置かれた部材等に適用されている。金属溶射の中でも、Al−Mg溶射は、特に優れた耐久性を付与できる技術として、注目を集めている。
しかしながら、金属を溶射により、表面が平滑な鋼材の表面に直接被覆する場合、基材と金属溶射皮膜との間には親和性や化学的結合が期待できないため、基材への金属溶射皮膜の密着性は極めて小さいことが避けられなかった。そこで、金属溶射皮膜と基材との密着性を向上させるための被溶射基材表面を処理する手段として、粗面形成材を塗付することにより粗面化処理する技術が開示されている(例えば、特許文献1、2)。
特開平02−025555号公報 特開平08−176781号公報
本発明者らの検討によれば、従来の粗面形成材を用いて粗面皮膜を形成し、該粗面皮膜上に金属溶射皮膜を形成した場合、金属溶射皮膜の冷却に伴って、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じることが判明した。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じにくい粗面皮膜、それを備える複合体、粗面皮膜形成材、金属溶射皮膜の製造方法、及び粗面皮膜の設計方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、粗面皮膜のヤング率、破断点伸び、及び破断点応力の各々を所定の範囲に調整することにより、及び/又は、粗面皮膜について、25℃における収縮応力と120℃における収縮応力との差を所定の範囲に調整することにより、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離を生じにくくすることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の一実施形態に係る粗面皮膜は、ヤング率が2200N/mm以下であり、破断点伸びが2.1%以上であり、破断点応力が10N/mm以上である。
本発明の別の実施形態に係る粗面皮膜は、25℃における収縮応力と120℃における収縮応力との差が200MPa以下であり、破断点伸びが2.1%以上である。
本発明の別の実施形態に係る粗面皮膜の好適例においては、ヤング率が2200N/mm以下であり、破断点伸びが2.1%以上であり、破断点応力が10N/mm以上である。
本発明に係る粗面皮膜の好適例においては、周波数1Hzにおける損失弾性率と周波数1Hzにおける貯蔵弾性率との比である損失正接tanδが82〜120℃の範囲内に極大値を有する。
本発明に係る粗面皮膜の別の好適例においては、架橋密度が0.038mol/cm以下である。
本発明に係る複合体は、基材と前記粗面皮膜とを備え、前記粗面皮膜は、前記基材上に形成されている。
本発明に係る複合体の好適例において、前記基材の表面は、ISO8501−1:2007に準拠するSa2.0以上のグレードに素地調整されている。
本発明に係る複合体の好適例において、前記複合体は、更に、金属溶射皮膜を備え、前記金属溶射皮膜は、前記粗面皮膜上に形成されている。
本発明に係る粗面皮膜形成材は、前記粗面皮膜を形成するのに用いられ、結合剤及び骨材を含有する。
本発明に係る粗面皮膜形成材の好適例において、前記粗面皮膜形成材は、更に、中空フィラーを含有する。
本発明に係る金属溶射皮膜の製造方法は、前記粗面皮膜を基材上に形成する工程と、金属溶射により前記粗面皮膜上に金属を溶射して金属溶射皮膜を形成する工程とを含む。
本発明に係る金属溶射皮膜の製造方法の好適例において、前記基材の表面は、ISO8501−1:2007に準拠するSa2.0以上のグレードに素地調整されている。なお、以下、本明細書において、特に断らなくても、Sa2.0とは、ISO8501−1:2007に準拠するものをいう。
本発明に係る粗面皮膜の設計方法は、候補粗面皮膜のヤング率、破断点伸び、及び破断点応力に基づき、及び/又は、候補粗面皮膜の、25℃における収縮応力と120℃における収縮応力との差に基づき、前記候補粗面皮膜を選抜する工程を含む。
本発明によれば、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じにくい粗面皮膜、それを備える複合体、粗面皮膜形成材、金属溶射皮膜の製造方法、及び粗面皮膜の設計方法を提供することができる。
≪粗面皮膜≫
本発明に係る粗面皮膜は、
ヤング率が2200N/mm以下であり、破断点伸びが2.1%以上であり、破断点応力が10N/mm以上であり、及び/又は
25℃における収縮応力と120℃における収縮応力との差が200MPa以下であり、破断点伸びが2.1%以上である。本発明に係る粗面皮膜は、上記の構成をとることにより、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離を生じにくくすることができ、特に、該粗面皮膜上に金属溶射皮膜を形成する際に、金属溶射皮膜の冷却に伴って、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じるのを効果的に低減させることができる。
本発明に係る粗面皮膜のヤング率は、2200N/mm以下であり、好ましくは2100N/mm以下であり、より好ましくは2000N/mm以下である。上記ヤング率が上記範囲内であると、粗面皮膜は十分に変形しやすいため、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離を生じにくくすることができ、特に、該粗面皮膜上に金属溶射皮膜を形成する際に、金属溶射皮膜の冷却に伴って、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じるのを効果的に低減させることができる。
上記ヤング率の下限は、特に限定されず、例えば、500N/mm以上でよく、1000N/mm以上でもよい。
なお、本明細書において、粗面皮膜のヤング率は、式E=F/(L’/L)(式中、Eは当該ヤング率、Fは上記粗面皮膜の1%伸び応力、L’は上記粗面皮膜の1%伸び長さ、Lは上記粗面皮膜の初期長さを表す。)から算出される。
本発明に係る粗面皮膜の破断点伸びは、2.1%以上であり、好ましくは2.2%以上である。上記破断点伸びが上記範囲内であると、粗面皮膜は十分に伸びやすいため、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離を生じにくくすることができ、特に、該粗面皮膜上に金属溶射皮膜を形成する際に、金属溶射皮膜の冷却に伴って、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じるのを効果的に低減させることができる。上記破断点伸びの上限は、特に限定されず、例えば、10%以下でよく、5%以下でもよい。
本発明に係る粗面皮膜の破断点応力は、10N/mm以上であり、好ましくは11N/mm以上であり、より好ましくは12N/mm以上である。上記破断点応力が上記範囲内であると、粗面皮膜は強靭性が十分となりやすく、その結果、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離を生じにくくすることができ、特に、該粗面皮膜上に金属溶射皮膜を形成する際に、金属溶射皮膜の冷却に伴って、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じるのを効果的に低減させることができる。上記破断点応力の上限は、特に限定されず、例えば、100N/mm以下でよく、50N/mm以下でもよい。
本発明に係る粗面皮膜の25℃における収縮応力と、本発明に係る粗面皮膜の120℃における収縮応力との差は、200MPa以下であり、好ましくは190MPa以下であり、より好ましくは180MPa以下である。上記差が上記範囲内であると、120℃から25℃に冷却した際に粗面皮膜が受ける収縮応力を十分に小さくすることができるため、該粗面皮膜上に金属溶射皮膜を形成する際に、金属溶射皮膜の冷却に伴って、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じるのを効果的に低減させることができる。上記差の下限は、特に限定されず、例えば、0MPa以上でよく、5MPa以上でもよい。
本発明に係る粗面皮膜の周波数1Hzにおける損失弾性率と、本発明に係る粗面皮膜の周波数1Hzにおける貯蔵弾性率と、の比である損失正接tanδは、好ましくは82〜120℃の範囲内、より好ましくは83〜110℃の範囲内、更により好ましくは85〜105℃の範囲内に極大値を有する。ここで、損失弾性率は、粗面皮膜の粘性を表し、言い換えれば、粗面皮膜が力を受けて変形した際に、その力を緩和する性質を表す。
一方、貯蔵弾性率は、粗面皮膜の弾性を表し、言い換えれば、粗面皮膜が力を受けて変形した際に、元の形に戻ろうとする性質を表す。よって、損失正接tanδは、粗面皮膜の粘性と粗面皮膜の弾性との比を表し、粗面皮膜において、粘性が支配的であるか、弾性が支配的であるかの目安である。
例えば、損失正接tanδがより大きい場合には、粘性が支配的であるため、粗面皮膜が力を受けて変形した際に、その力を緩和することが容易である。上記損失正接tanδが上記範囲内に極大点を有すると、上記粗面皮膜は、上記範囲内において、上記範囲外と比較して、tanδがより大きく、粘性がより支配的である。
そのため、粗面皮膜の変形時に受けた力が緩和されやすく、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離を生じにくくすることができ、特に、該粗面皮膜上に金属溶射皮膜を形成する際に、金属溶射皮膜の冷却に伴って、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じるのを効果的に低減させることができる。
本発明に係る粗面皮膜の架橋密度は、好ましくは0.038mol/cm以下であり、より好ましくは0.035mol/cm以下であり、更により好ましくは0.03mol/cm以下である。上記架橋密度が上記範囲内であると、粗面皮膜は柔軟性が十分となりやすいため、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離を生じにくくすることができ、特に、該粗面皮膜上に金属溶射皮膜を形成する際に、金属溶射皮膜の冷却に伴って、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じるのを効果的に低減させることができる。
上記架橋密度の下限は、特に限定されず、例えば、0.005mol/cm以上でよく、0.007mol/cm以上でもよい。なお、本明細書において、粗面皮膜の架橋密度は、式n=E’/3RT(式中、nは当該架橋密度、E’は上記粗面皮膜の周波数1Hzにおける平坦領域貯蔵弾性率、Tは上記平坦領域貯蔵弾性率の絶対温度、Rは気体定数(8.31×10Pa・cc/mol・K)を表す。)から算出される。
本発明に係る粗面皮膜のガラス転移温度は、好ましくは65℃以上であり、より好ましくは70℃以上であり、更により好ましくは75℃以上である。上記ガラス転移温度が上記範囲内であると、粗面皮膜は柔軟性が十分となりやすいため、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離を生じにくくすることができ、特に、該粗面皮膜上に金属溶射皮膜を形成する際に、金属溶射皮膜の冷却に伴って、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じるのを効果的に低減させることができる。上記ガラス転移温度の上限は、特に限定されず、例えば、120℃以下でよく、100℃以下でもよい。
本発明に係る粗面皮膜の厚みは、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面で剥離が生じにくい限り、特に限定されず、例えば、20〜100μmであり、好ましくは30〜80μmであり、より好ましくは40〜70μmである。
本発明に係る粗面皮膜の製造方法は、本発明に係る金属溶射皮膜の製造方法の説明中で後述する通りである。
≪複合体≫
本発明に係る複合体は、基材と本発明に係る粗面皮膜とを備え、前記粗面皮膜は、前記基材上に形成されている。上記複合体における上記粗面皮膜は、上述の通りである。上記複合体において、上記粗面皮膜は、1層単独で存在しても、2層以上存在してもよい。以下、上記基材について説明する。
前記基材としては、特に限定されず、例えば、ブリキ板、ダル鋼板、みがき鋼板、黒皮鋼板、ケレンした錆鋼板、溶接鋼板、鋳物等の鉄製基材;アルミニウム、亜鉛等の非鉄金属製基材;PE、PP、ABS、PPO、塩化ビニル等のプラスチックス製基材;ガラス板、スレート板、硅酸カルシウム板、セメント板等の無機材料製基材;木材、合板等の木製基材;塗料にて塗装した上記基材等の、各種の基材が挙げられる。
前記基材の表面は、Sa2.0以上のグレードに素地調整されていることが好ましい。これにより、基材と粗面皮膜との密着性が増し、その結果、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離がより生じにくくなる。なお、従来、特にAl−Mg溶射を行う場合、基材の表面は、Sa3.0のグレードに素地調整されていることが必要であり、これを怠ると、溶射皮膜の剥離の危険性がある。
Sa3.0のブラストグレードを達成するには、多大な労力と時間を有し、また、大量の切削剤を必要とするためコストの負担が大きい。本発明に係る粗面皮膜を用いれば、素地調整のグレードをSa2.0に下げても基材と粗面皮膜との密着性が十分であり、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離が生じにくいため、素地調整に必要な労力及びコストを大幅に削減することができる。
本発明に係る複合体は、更に、金属溶射皮膜を備え、前記金属溶射皮膜は、前記粗面皮膜上に形成されていてもよい。このような複合体は、基材と粗面皮膜との密着性が高く、また、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離が生じにくいため、例えば、過酷な腐食環境に置かれた部材等の防食用途に特に好適に用いることができる。上記複合体において、上記金属溶射皮膜は、1層単独で存在しても、2層以上存在してもよい。
≪粗面皮膜形成材≫
本発明に係る粗面皮膜形成材は、本発明に係る粗面皮膜を形成するのに用いられ、結合剤及び骨材を含有する。上記粗面皮膜形成材は、更に、中空フィラーを含有してもよい。上記粗面皮膜形成材は、これらに加えて、必要に応じ、顔料;分散剤、発泡防止剤、たれ防止剤等の添加剤;上記成分を溶解又は分散する溶媒を含有してもよい。
<結合剤>
結合剤としては、ヤング率が2200N/mm以下であり、破断点伸びが2.1%以上であり、破断点応力が10N/mm以上である粗面皮膜が得られるように、選択する必要があり、例えば、特公平2−54422号公報に記載されているような、一液常温硬化型樹脂である熱可塑性アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ゴム、アルキド樹脂;二液硬化型樹脂である不飽和ポリエステル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、ポリエステル−ウレタン樹脂、エポキシ樹脂;熱硬化性樹脂であるメラミン−アルキド樹脂、メラミン−アクリル樹脂、メラミン−ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル−ウレタン樹脂等の、各種塗料に使用されている樹脂から、選定することができる。中でも、以下の結合剤は、基材表面との密着性等に優れた皮膜が得られるので、特に好ましい。
(I)重量平均分子量300以上のエポキシ樹脂とアミノ系化合物とを反応させて得られる樹脂からなる結合剤
この場合、エポキシ樹脂の製造のしやすさ、有機溶剤に対する溶解のしやすさ等の観点からエポキシ樹脂の重量平均分子量を300〜5000、好ましくは500〜3000とするのが適当である。前記エポキシ樹脂としては、次のようなものが例示される。
ビスフェノール型エポキシ樹脂として、一般に市販されている油化シェルエポキシ(株)製の商品名エピコート827、同828、同834、同836、同1001、同1004、同1007;チバガイギー(株)製の商品名アラルダイトGY252、同GY250、同GY260、同GY280、同6071、同6084、同6097;ダウ・ケミカル(株)製の商品名DER330、同331、同337、同661、同664;大日本インキ化学工業(株)製の商品名エピクロン800、同1010、同1000、同3010;フェノールノボラック型エポキシ樹脂として例えば、ダウ・ケミカル(株)製の商品名DEN431、同438、同439;チバガイギー(株)製の商品名EPN1138;大日本インキ化学工業(株)製の商品名エピクロンN−565、同N−577;ポリグリコール型エポキシ樹脂として例えばチバガイギー(株)製の商品名アラルダイトCT−508;ダウ・ケミカル(株)製の商品名DER732、同736、同741;エステル型エポキシ樹脂として例えば大日本インキ化学工業(株)製の商品名エピクロン200、同400、同1400;エポキシ化ポリブタジエンとして、日本曹達(株)製の商品名BF−1000;エポキシ化油としてアデカ・アーガス化学(株)製の商品名アデカ・サイザーO−180、同O−130P;等を挙げることができる。更に、ポリオール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ハロゲン含有エポキシ樹脂、シリコン変性エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂の誘導体も使用可能である。
中でも、ヤング率が2200N/mm以下であり、破断点伸びが2.1%以上であり、破断点応力が10N/mm以上である粗面皮膜を形成する点では、柔軟性を付与できる変性エポキシ樹脂が好ましい。
変性エポキシ樹脂としては、例えば、アミン変性エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂、フェノール変性エポキシ樹脂、ポリエステル変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記アミノ系化合物としては、芳香族モノアミン、芳香族ジアミン、芳香族モノイミン、芳香族ジイミン、脂肪族モノアミン、脂肪族ジアミン、脂肪族モノイミン、脂肪族ジイミン、複素環式モノアミン、複素環式ジアミン、複素環式モノイミン、複素環式ジイミン、あるいはこれらの誘導体、もしくは、通常、エポキシ樹脂の硬化剤に用いられているポリアミド樹脂等が挙げられる。
これらを具体的に例示すると、アニリン、メチルアニリン、トルイジン、オルト−フェニレンジアミン、メタ−フェニレンジアミン、パラ−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、エチレンイミン、ヘキサメチレンジアミン等の化合物、あるいは一般に市販されている味の素(株)製の商品名エポメートB−002、同C−002、同S−005、三和化学(株)製の商品名サンマイド320、同330、第一ゼネラル(株)製の商品名パーサミド400、同401、同711、同754等が挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上の混合物として使用する。
中でも、ヤング率が2200N/mm以下であり、破断点伸びが2.1%以上であり、破断点応力が10N/mm以上である粗面皮膜を形成する点では、柔軟性を付与できる変性ポリアミドアミンがより好ましい。
このようなエポキシ樹脂とアミノ系化合物とを必要に応じて溶媒存在下で、50〜180℃の温度で反応させることにより、本発明に係る粗面皮膜形成材に好適な結合剤である樹脂(I)が得られる。なお両者の反応における混合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基とアミノ系化合物中の活性水素当量比が(1:1.1〜1:1.6)、好ましくは(1:1.2〜1:1.5)となるような割合が好適である。
後者が前記範囲より多くなると、得られる皮膜の耐水性等が低下する傾向にあり、逆に少なくなると後述するキレート形成能を有する化合物と塩を形成させる効果が低下し、得られる皮膜の密着性等が低下する傾向にある。
(II)重量平均分子量300以上のエポキシ樹脂とアミノ系化合物(硬化剤成分)からなり、かつ前記エポキシ樹脂中のエポキシ基とアミノ系化合物中の活性水素の当量比が(1:0.5〜1:2.0)になるよう混合した結合剤
前記エポキシ樹脂としては、前述と同様なエポキシ樹脂が使用可能であるが、ヤング率が2200N/mm以下であり、破断点伸びが2.1%以上であり、破断点応力が10N/mm以上である粗面皮膜を形成する点では、柔軟性を付与できる変性エポキシ樹脂が好ましい。
変性エポキシ樹脂としては、例えば、アミン変性エポキシ樹脂、イソシアネート変性エポキシ樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂、フェノール変性エポキシ樹脂、ポリエステル変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
更に、柔軟性を付与させる点から、2官能以上の変性エポキシ樹脂と、かさ高い官能基を有する単官能エポキシ樹脂を含むことがより好ましい。かさ高い官能基を有する単官能エポキシ樹脂としては、例えば、ターシャルブチル基を有するグリシジルエーテルが挙げられる。かさ高い官能基を有する単官能エポキシ樹脂の含有量は、エポキシ樹脂全量に対して、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、5〜15質量%が更に好ましい。
前記アミノ系化合物としては、従来から通常エポキシ樹脂用硬化剤として使用されているポリアミド樹脂、アミンアダクト樹脂、ポリアミン等が代表的なものとして挙げられる。前記ポリアミド樹脂は、ダイマー酸(一般の工業製品はモノマー酸約3パーセント、ダイマー酸約85パーセント、トリマー酸を約12パーセント含有する)とエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、あるいはメタフェニレンジアミン等のポリアミン類との縮合生成物である。
例えば一般に市販されている富士化成工業(株)製商品名トーマイドY−25、同245、同2400、同2500、トーマイド210、同215、同215−X、同225、同225−X、同235S、同235A;第一ゼネラル(株)製商品名ゼナミド2000、パーサミド115、同125、同100、同140、同230、同280、同400、同401、同415、DSX−1280;三和化学(株)製商品名サンマイド320、同330;油化シェルエポキシ(株)製商品名エピキュアー4255等が挙げられる。
中でも、ヤング率が2200N/mm以下であり、破断点伸びが2.1%以上であり、破断点応力が10N/mm以上である粗面皮膜を形成する点では、柔軟性を付与できる変性ポリアミドアミン(CASNo68953−09−3等)の化合物がより好ましい。
前記アミンアダクト樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂等の前記したエポキシ樹脂とエチレンジアミン、ジエチレントリアミンあるいはメタフェニレンジアミン等のポリアミン類との付加生成物である。例えば一般に市販されている富士化成工業(株)製商品名トーマイド238、同TXK659A、フジキュアー202、同110;旭電化(株)製商品名アデカハードナーEH−531、同101、同532、同551等が挙げられる。
更に前記アミンアダクトとしては、ブチルグリシジルエーテル、パーサティック酸のグリシジルエステル、あるいはビスフェノール型エポキシ樹脂等と複素環状ジアミンとの付加生成物もある。例えば、一般に市販されている、味の素(株)製商品名エポメートB−002、同B−001、同C−002、同S005、同S−002、同LX−1、同RX−2、同RX−3、同N−001;の如きものがある。
前記硬化剤であるアミノ系化合物はエポキシ樹脂と橋かけ反応を行なうため1分子中に少なくとも2個以上の窒素原子及びこれに結合した活性水素を有することが必要である。該アミノ系化合物としては、特にその他の制限はなく、アミン価として50以上であることが好ましい。但しアミノ系化合物のアミン価が極めて大きくなると主剤としてのエポキシ樹脂と混合した後の可使時間が短くなるという制約が生じる。
このようなエポキシ樹脂と硬化剤であるアミノ系化合物からなる結合剤は、予め混合しておくと反応し、ゲル化するため、塗布される使用直前に混合するのが好ましい。両者の混合割合は、エポキシ樹脂中のエポキシ基とアミノ系化合物中の活性水素の当量比が(1:0.5〜1:2.0)、好ましくは(1:0.8〜1:1.5)になるような割合が好ましい。この範囲で防食性、耐湿性等に優れた本来の特性を発揮する皮膜を形成する。
本発明で用いる骨材は、得られる皮膜が所望の表面粗さになるよう、平均粒子径が5〜200μm、好ましくは20〜100μmであることが適当である。該骨材としては、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、亜鉛、鉄、珪素等の無機物、あるいは合金もしくは酸化物、窒化物、炭化物等が挙げられる。
具体的には、例えば酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化鉄、炭化珪素、窒化硼素等が挙げられる。また、使用する溶媒に溶解しないアクリル樹脂、スチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン等の合成樹脂粉末を使用してもよい。これらの粒子を単独で又は2種以上の混合物として使用可能である。
これらの骨材のうち、使用される結合剤に対する化学的安定性や溶射材と腐食電池を形成せず、硬く、かつ粗面皮膜形成材中で沈澱しにくいこと等を考慮すると、ケイ砂、アルミナ、炭化珪素等が特に好ましい。
骨材は、得られる乾燥皮膜中に含まれる容積百分率(PVC)が好ましくは20〜80%、より好ましくは40〜65%になるように配合するのが適当である。なお、骨材の配合量が20%以上であると、皮膜の表面粗さが小さくなりにくく、金属溶射皮膜の密着性が低下しにくい。骨材の配合量が80%以下であると、形成される皮膜の各種物理・化学的強度が低下しにくい。
骨材として使用できる中空フィラーとしては、特に限定されず、例えば、ガラス等の無機材料からなる中空フィラー;熱硬化性ポリイミド等の有機材料からなる中空フィラーが挙げられ、具体的には、中空ガラスバルーン等が挙げられる。中空フィラーは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明で用いる溶媒としては、結合剤を溶解しうる有機溶剤が適当であり、例えばメタノール、エタノール、n−ブタノール等のアルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコールエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン、芳香族石油ナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類が挙げられる。前記溶剤は1種又は2種以上の混合溶剤として用いられる。
溶媒の配合量は、塗装作業性、所望の表面粗さを有する皮膜の形成されやすさ等を考慮して、粗面皮膜形成材の固形分が40〜90質量%、好ましくは60〜90質量%になるような量が適当である。
≪金属溶射皮膜の製造方法≫
本発明に係る金属溶射皮膜の製造方法は、本発明に係る粗面皮膜を基材上に形成する工程(以下、「粗面皮膜形成工程」ともいう。)と、金属溶射により前記粗面皮膜上に金属を溶射して金属溶射皮膜を形成する工程(以下、「金属溶射皮膜形成工程」ともいう。)とを含む。これにより、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離が生じにくい金属溶射皮膜を形成することができる。
<粗面皮膜形成工程>
粗面皮膜形成工程においては、例えば、本発明に係る粗面皮膜形成材を基材に塗布することにより、本発明に係る粗面皮膜を基材上に形成することができる。前記基材は、前述の通りである。また、前述の通り、前記基材の表面は、Sa2.0以上のグレードに素地調整されていることが好ましい。
基材への粗面皮膜形成材の塗布方法としては、特に限定されず、通常の塗料と同様に、例えば、エアースプレー法、エアレススプレー法、ロール塗装法、刷毛塗装法等の各種の塗布方法が挙げられ、特に塗装作業性や塗布量のコントロールの容易さ等からエアースプレー法が適当である。
粗面皮膜形成材の塗布量は、好ましくは10〜250g/mの範囲であり、より好ましくは50〜150g/mの範囲である。上記塗布量が10g/m以上であると、表面粗さが小さくなりにくく、金属の溶射効率が低くなりにくいとともに溶射皮膜の密着性も低下しにくい。一方、上記塗布量が100g/m以下であると、表面粗さが粗くなり過ぎず、かつ、粗面皮膜が平滑になりにくいため、金属溶射皮膜の密着性が低下しにくい。
<金属溶射皮膜形成工程>
金属溶射皮膜形成工程においては、金属溶射により前記粗面皮膜上に金属を溶射して金属溶射皮膜を形成する。ここで、金属を溶射前の粗面皮膜は必ずしも完全乾燥(硬化)状態でなくともよい。即ち、半乾燥(硬化)であってもよい。最も好ましいのは、乾燥状態の粗面皮膜上に金属を溶射し、その後、粗面皮膜を完全硬化させる方法である。
溶射される上記金属としては、特に限定されず、例えば、亜鉛、アルミニウム、亜鉛−アルミニウム合金、亜鉛−アルミニウム擬合金、亜鉛−チタン合金、アルミニウム−マグネシウム合金等が挙げられる。
金属溶射皮膜の膜厚としては、特に限定されず、例えば、50〜500μmであり、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での密着性の観点等から、100〜150μmが好ましい。
金属の溶射方法としては、特に限定されず、公知の溶射方法でよく、例えば、ガスフレーム溶射方法、電気アーク溶射方法等の高温溶射方法、減圧内アーク溶射機による低温溶射方法等が挙げられる。
≪粗面皮膜の設計方法≫
本発明に係る粗面皮膜の設計方法は、候補粗面皮膜のヤング率、破断点伸び、及び破断点応力に基づき、及び/又は、候補粗面皮膜の、25℃における収縮応力と120℃における収縮応力との差に基づき、前記候補粗面皮膜を選抜する工程を含む。上述の通り、本発明者らは、粗面皮膜のヤング率、破断点伸び、及び破断点応力の各々を所定の範囲に調整することにより、及び/又は、粗面皮膜について、25℃における収縮応力と120℃における収縮応力との差を所定の範囲に調整することにより、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離を生じにくくすることができることを見出した。
よって、候補粗面皮膜のヤング率、破断点伸び、及び破断点応力に基づき、及び/又は、候補粗面皮膜の、25℃における収縮応力と120℃における収縮応力との差に基づき、前記候補粗面皮膜を選抜することで、粗面皮膜−金属溶射皮膜界面での剥離が生じにくい粗面皮膜を設計することができる。
選抜に際し、候補粗面皮膜のヤング率、破断点伸び、及び破断点応力の数値基準や、候補粗面皮膜の、25℃における収縮応力と120℃における収縮応力との差の数値基準としては、本発明に係る粗面皮膜に関する説明中で示した数値範囲を用いることができる。
また、基材に塗装された粗面被膜表面の表面粗さは、粗面被膜と金属溶射皮膜の付着性を確保する点から、70〜150μmであることが好ましく、100〜125μmであることがより好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
[粗面皮膜形成材の調製]
表1に示す配合処方に従い、結合剤(樹脂成分)、骨材(フィラー)、及び溶剤を混合して得た主剤と、硬化剤とを混合して、粗面皮膜形成材を調製した。
表1で使用した化合物は、下記の通りである。
注1) 変性エポキシ樹脂 70質量%、P-S-ブチルフェノールグリシジルエーテル 10質量%、有機溶剤 20質量%の混合物
注2) 三菱化学製 エポキシ樹脂
注3) ナガセケムテックス社製 エポキシ樹脂
注4) 株式会社山森土本鉱業所 珪石特粉
注5) 中鋼集団馬鞍山鉱山研究院有限公司 H60
注6) T&K TOKA社製 変性ポリアミドアミン溶液(有効成分 60質量%、アミン価120)
注7) 三菱化学社製 変性ポリアミン
注8) エアープロダクツ社製 脂肪族ポリアミドアミン
[測定用単離膜の作製方法]
得られた粗面皮膜形成材を、すき間10mmのアプリケーターを用いてPP板へ塗布し、室温で24時間乾燥して、単離膜(膜厚130μm)を得た。この膜について下記の評価を行った。特に断りの無い場合は、23℃55%RHの雰囲気下で測定を行った。
[ヤング率、破断点伸び、及び破断点応力の測定方法]
ロードセル(100N)を用い、オートグラフ(島津製作所 製)にて、上記単離膜について、ヤング率、破断点伸び、及び破断点応力を測定した。測定条件は、以下の通りである。
試験温度:室温(約23℃)
引張速度:20mm/min
試料長さ:30mm
試料幅:10mm
[25℃と120℃における収縮応力の差の測定方法]
RSA−GII(TAインスツルメント社製)にて、25℃と120℃における収縮応力の差を測定した。具体的には、25℃で静置した上記単離膜を24mmの試料長さに固定し、120℃に加熱した。試料温度が安定したところで試料長さを固定し、5℃/minで冷却した際の、各温度における収縮応力を記録した。測定条件は以下の通りである。
温度範囲:120〜−30℃
応力範囲:≦35N
冷却速度:5℃/min
測定長さ:24.0mm
測定幅:8.0mm
[損失正接の極大値及び架橋密度の測定方法]
RSA−GII(TAインスツルメント社製)にて、上記単離膜について、損失弾性率及び貯蔵弾性率を測定し、損失弾性率及び貯蔵弾性率から損失正接及び架橋密度を算出して、損失正接の極大値を与える温度を読み取った。測定条件は以下の通りである。
温度範囲:−30℃〜200℃
昇温速度:5℃/min
測定長さ:24.0mm
測定幅:8.0mm
周波数:1Hz
歪み:0.05%
[高温溶射性への適用性]
Sa2.0グレードに素地調整されたブラスト鋼板上に形成された上記単離膜に対し、Al−Mg溶射(溶射角度90°、ガン距離20cm、溶射膜厚400μm)を行った後、溶射皮膜の剥離程度を目視で観察し、以下の基準で評価した。なお、溶射膜厚が100μmまでのより薄い場合も同様の傾向が見られた。

○:剥離なし、
△:端部のみ剥離、
×:全体に剥離
[粗面被膜表面の表面粗さ(RZ JIS)の測定]
Z JIS 60μmのグリッドブラスト処理鋼板上に粗面化処理材を塗布後24時間乾燥後にミツトヨ製サーフテストSJ−301を用いて測定した。
下記表1の通り、本発明は高温溶射への適用性の高いことがわかる。
Figure 2018059200

Claims (13)

  1. ヤング率が2200N/mm以下であり、破断点伸びが2.1%以上であり、破断点応力が10N/mm以上である粗面皮膜。
  2. 25℃における収縮応力と120℃における収縮応力との差が200MPa以下であり、破断点伸びが2.1%以上である粗面皮膜。
  3. ヤング率が2200N/mm以下であり、破断点伸びが2.1%以上であり、破断点応力が10N/mm以上である請求項2に係る粗面皮膜。
  4. 周波数1Hzにおける損失弾性率と周波数1Hzにおける貯蔵弾性率との比である損失正接tanδが82〜120℃の範囲内に極大値を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の粗面皮膜。
  5. 架橋密度が0.038mol/cm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の粗面皮膜。
  6. 基材と請求項1〜5のいずれか1項に記載の粗面皮膜とを備え、前記粗面皮膜は、前記基材上に形成されている複合体。
  7. 前記基材の表面は、ISO8501−1:2007に準拠するSa2.0以上のグレードに素地調整されている請求項6に記載の複合体。
  8. 更に、金属溶射皮膜を備え、前記金属溶射皮膜は、前記粗面皮膜上に形成されている請求項6又は7に記載の複合体。
  9. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の粗面皮膜を形成するのに用いられ、結合剤及び骨材を含有する粗面皮膜形成材。
  10. 更に、中空フィラーを含有する請求項9に記載の粗面皮膜形成材。
  11. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の粗面皮膜を基材上に形成する工程と、金属溶射により前記粗面皮膜上に金属を溶射して金属溶射皮膜を形成する工程とを含む金属溶射皮膜の製造方法。
  12. 前記基材の表面は、ISO8501−1:2007に準拠するSa2.0以上のグレードに素地調整されている請求項11に記載の方法。
  13. 粗面皮膜の設計方法であって、候補粗面皮膜のヤング率、破断点伸び、及び破断点応力に基づき、及び/又は、候補粗面皮膜の、25℃における収縮応力と120℃における収縮応力との差に基づき、前記候補粗面皮膜を選抜する工程を含む方法。
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