JP2013033713A - 内燃機関用のスパークプラグ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】筒状のハウジング2と、ハウジング2の内側に保持された筒状の絶縁碍子3と、先端部が突出するように絶縁碍子3の内側に保持された中心電極4と、ハウジング2に接続されると共に中心電極4との間に火花放電ギャップ11を形成する接地電極5とを有する内燃機関用のスパークプラグ1。接地電極5は、中心電極4へ向かって突出形成された凸部51を備えている。凸部51は、火花放電ギャップ11に最も突出する面にメッキ層12を形成してなる対向面511を有し、かつ、凸部51の表面であって対向面511の周囲に設けられた側面512には、接地電極5の母材50が露出している。
【選択図】図1
Description
そこで、上記凸部を含めた接地電極の表面にメッキ層を形成することにより、凸部の耐消耗性を向上して、スパークプラグの寿命を長くすることが考えられる。すなわち、メッキ層は一般に硬度が高いため、これによって凸部を覆うことにより、凸部を保護する効果がある。
また、メッキ層は熱伝導率が低いため、凸部の表面にメッキ層が形成されていると、凸部の熱が逃げにくく、その温度が高くなり、凸部付近における電子の活発化を促進し、飛び火性が向上する。
上記接地電極は、上記中心電極へ向かって突出形成された凸部を備え、
上記凸部は、上記火花放電ギャップに最も突出する面にメッキ層を形成してなる対向面を有し、かつ、上記凸部の表面であって上記対向面の周囲に設けられた側面には、上記接地電極の母材が露出していることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグにある(請求項1)。
それゆえ、上記凸部の側面は、メッキ層にて覆わずに、母材を露出させておく。これにより、火花放電の際に極めて高温となった凸部の熱を、火花放電後に早期に発散させることができる。その結果、凸部の耐消耗性を確保することができ、スパークプラグの長寿命を確保することができる。
また、上記ハウジングは、表面にメッキ層を形成してあることが好ましい。ここで、ハウジングのメッキ層は、上記凸部の対向面におけるメッキ層と同一材料からなることが好ましい。この場合には、ハウジングのメッキ層と、上記凸部の上記対向面におけるメッキ層とを、一度に形成することができる。
また、この場合、上記接地電極における上記凸部と反対側の面に形成される上記凹部についても、その底面にはメッキ層が残るが、内側面は剪断面となって母材が露出することとなる。
実施例にかかる内燃機関用のスパークプラグにつき、図1〜図7を用いて説明する。
本例の内燃機関用のスパークプラグ1は、図2に示すごとく、筒状のハウジング2と、該ハウジング2の内側に保持された筒状の絶縁碍子3と、先端部が突出するように絶縁碍子3の内側に保持された中心電極4と、ハウジング2に接続されると共に中心電極4との間に火花放電ギャップ11を形成する接地電極5とを有する。
凸部51は、火花放電ギャップ11に最も突出する面にメッキ層12を形成してなる対向面511を有し、かつ、凸部51の表面であって対向面511の周囲に設けられた側面512には、接地電極5の母材50が露出している。
スパークプラグ1は、図2に示すようにハウジング2の外周に形成された取付用ネジ部20によって、内燃機関の燃焼室(図示略)の壁部に螺合できるよう構成されている。ハウジング2は、例えば炭素鋼等の金属からなると共に略円筒形状を有する。
図1に示すごとく、メッキ層12は、凸部51における対向面511に形成されている。また、本例においては、接地電極5における対向面511以外の表面においても適宜メッキ層12が形成されている。ただし、凸部51の側面512には、メッキ層12が形成されておらず、母材50が露出している。また、凹部53の底面531にはメッキ層12が形成されているが、凹部53の側壁面532にはメッキ層12が形成されておらず、母材50が露出している。すなわち、本例においては、凸部51の側面512と凹部53の側壁面532以外における接地電極5の表面を、メッキ層12が被覆している。
また、メッキ層12の厚みは、4〜28μmとすることができる。
また、メッキ層12は、接地電極5の母材50よりも熱伝導率が低く、例えば母材50の熱伝導率60〜70W/m・Kに対して、メッキ層12の熱伝導率は、40〜50W/m・Kとすることができる。
まず、断面略長方形(図10参照)の角柱形状の接地電極5の母材50を、ハウジング2の先端面に、レーザ溶接等によって接合する(図5参照)。このとき、接地電極5の母材50は、ハウジング2の軸方向と平行に立設している。
次に、図5(b)に示すように、接地電極5の先端部において、塑性加工によって凸部51を形成する。具体的には、図6に示すごとく、パンチ61と金型62とを用いたプレス成形によって、凸部51を形成する。金型62には、凸部51の形状に対応するキャビティ621が形成されている。そして、キャビティ621を覆うように接地電極5を金型62に載置した後、パンチ61を金型62と反対側から接地電極5に向かって押し込む。これにより、接地電極5の背面に凹部53を成形しつつ、その反対側に凸部51を成形する。
なお、凸部51の対向面511の端縁におけるメッキのダレの高さh1、凸部51の立上り部におけるダレの高さh2は、それぞれ凸部51の高さh0の25%以下とすることが好ましい。
以上により、本例のスパークプラグ1が得られる。
上記内燃機関用のスパークプラグ1において、図1に示すごとく、凸部51は、対向面511にメッキ層12を形成してなる。これにより、火花放電による凸部51の消耗を抑制することができる。すなわち、凸部51における対向面511は、中心電極4との間で火花放電を行う放電面であるため、この対向面511にメッキ層12を形成することにより、凸部51の消耗を抑制することができる。すなわち、母材50に比べて硬度(例えばビッカース硬さ)が高くなりやすいメッキ層12を対向面511に形成することで、火花放電による凸部51の消耗を抑制することができる。その結果、火花放電ギャップ11の拡大を抑制し、スパークプラグ1の寿命を長くすることができる。
本例は、接地電極5の母材50として、上記実施例1において示したNi合金とは異なる組成のNi合金を用いた例である。
すなわち、本例のスパークプラグ1において、母材50を構成するNi合金は、主成分(95重量%)のNiに、Crを1.5〜2.0重量%、Mnを1.0〜1.25重量%、Siを1.0〜1.25重量%、Sを0.01重量%それぞれ含有してなる。
その他は、実施例1と同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。
本例は、接地電極5の母材50として、上記実施例1、2においてそれぞれ示したNi合金とは異なる組成のNi合金を用いた例である。
すなわち、本例のスパークプラグ1において、母材50を構成するNi合金は、主成分(90重量%)のNiに、Crを5〜10重量%含有してなる。その他の組成は、実施例2と同様である。
その他は、実施例1と同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。
本例は、接地電極5の母材50として、上記実施例1〜3においてそれぞれ示したNi合金とは異なる組成のNi合金を用いた例である。
すなわち、本例のスパークプラグ1において、母材50を構成するNi合金は、Ni含有量を85重量%としている。また、Feの含有量を2〜5重量%としている。その他の組成は実施例3と同様である。
その他は、実施例1と同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。
本例は、接地電極5の母材50として、上記実施例1〜4においてそれぞれ示したNi合金とは異なる組成のNi合金を用いた例である。
すなわち、本例のスパークプラグ1において、母材50を構成するNi合金は、主成分(71重量%)のNiに、Crを14〜17重量%、Feを6〜10重量%それぞれ含有してなる。
その他は、実施例1と同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。
本例においては、上記実施例1〜5に示したスパークプラグ1について、接地電極5の母材50とメッキ層12との密着性について調べた。
すなわち、まず、実施例1〜5のスパークプラグ1をそれぞれ作製し、それらを試料1〜5として用意した。
この曲げ試験において、メッキ層12の剥離の有無を確認することにより、母材50に対するメッキ層12の密着性を評価した。
一方、試料4においては、上記曲げ試験において、接地電極5を2回曲げた時点で、メッキ層12の剥離が部分的に見られた。さらに、試料5に至っては、上記曲げ試験において、接地電極5を1回曲げた時点で、メッキ層12の剥離が部分的に見られた。
すなわち、接地電極5の凸部51の対向面511におけるメッキ層12については、上記のような曲げによる応力が作用することはないが、上記曲げ試験において剥離しないことが確認された実施例1、2、3を採用することがより好ましい。すなわち、曲げ試験において剥離しないことが確認された試料については、接地電極5の曲げによる応力が作用しない凸部51の対向面511においては、より一層メッキ層12の密着力を保証することができる。
本例は、図11、図12に示すごとく、接地電極5を2つ有する多極型のスパークプラグ1の例である。
すなわち、本例のスパークプラグ1は、凸部51を有する接地電極5を2つ備えている。具体的には、2つの接地電極5は、それぞれの凸部51の対向面511が中心電極4を挟んで互いに対向するように取付金具2に取り付けられている。また、それぞれの凸部51は、中心電極4の先端部の側面に向かって突出している。これにより、中心電極4の先端部の側面と、接地電極5の凸部51との間に、火花放電ギャップ11を形成している。また、中心電極4の先端部における、凸部51が対向配置された部分には、Ir、Rh、Ru等の貴金属部410が配置されている。
その他は、実施例1と同様である。
本例は、図13に示すごとく、接地電極5を3つ有する多極型のスパークプラグ1の例である。
3つの接地電極5は、周方向に一定の間隔で配設されている。そして、中心電極4の側面には、3つの接地電極5の凸部51が対向する部分に、それぞれ貴金属部410を設けてある。
その他は、実施例6と同様の構成を有し、同様の作用効果を得ることができる。
実施例1〜7に示すように、接地電極5の本数は特に限定されるものではなく、1本でも複数本であってもよい。
11 火花放電ギャップ
12 メッキ層
2 ハウジング
3 絶縁碍子
4 中心電極
5 接地電極
50 母材
51 凸部
511 対向面
512 側面
Claims (3)
- 筒状のハウジングと、該ハウジングの内側に保持された筒状の絶縁碍子と、先端部が突出するように上記絶縁碍子の内側に保持された中心電極と、上記ハウジングに接続されると共に上記中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを有する内燃機関用のスパークプラグであって、
上記接地電極は、上記中心電極へ向かって突出形成された凸部を備え、
上記凸部は、上記火花放電ギャップに最も突出する面にメッキ層を形成してなる対向面を有し、かつ、上記凸部の表面であって上記対向面の周囲に設けられた側面には、上記接地電極の母材が露出していることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。 - 請求項1に記載の内燃機関用のスパークプラグにおいて、上記メッキ層はNiからなり、上記接地電極の母材は、Ni含有量が90重量%以上のNi合金からなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
- 請求項1又は2に記載の内燃機関用のスパークプラグにおいて、上記接地電極は、塑性加工によって突出形成されてなることを特徴とする内燃機関用のスパークプラグ。
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