JP2013014084A - 圧電素子駆動回路、および流体噴射装置 - Google Patents

圧電素子駆動回路、および流体噴射装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2013014084A
JP2013014084A JP2011148900A JP2011148900A JP2013014084A JP 2013014084 A JP2013014084 A JP 2013014084A JP 2011148900 A JP2011148900 A JP 2011148900A JP 2011148900 A JP2011148900 A JP 2011148900A JP 2013014084 A JP2013014084 A JP 2013014084A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric element
circuit
voltage
signal
drive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2011148900A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5842417B2 (ja
JP2013014084A5 (ja
Inventor
Atsushi Oshima
敦 大島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2011148900A priority Critical patent/JP5842417B2/ja
Priority to US13/541,335 priority patent/US20130011282A1/en
Priority to CN201210230300.XA priority patent/CN102862388B/zh
Publication of JP2013014084A publication Critical patent/JP2013014084A/ja
Publication of JP2013014084A5 publication Critical patent/JP2013014084A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5842417B2 publication Critical patent/JP5842417B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/80Constructional details
    • H10N30/802Circuitry or processes for operating piezoelectric or electrostrictive devices not otherwise provided for, e.g. drive circuits
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M5/00Devices for bringing media into the body in a subcutaneous, intra-vascular or intramuscular way; Accessories therefor, e.g. filling or cleaning devices, arm-rests
    • A61M5/14Infusion devices, e.g. infusing by gravity; Blood infusion; Accessories therefor
    • A61M5/142Pressure infusion, e.g. using pumps
    • A61M5/14244Pressure infusion, e.g. using pumps adapted to be carried by the patient, e.g. portable on the body
    • A61M5/14276Pressure infusion, e.g. using pumps adapted to be carried by the patient, e.g. portable on the body specially adapted for implantation

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

【課題】圧電素子を高い繰り返し周波数で駆動した場合でも圧電素子の本来の変形量を確保可能な小型の駆動回路を提供する。
【解決手段】圧電素子に印加すべき駆動信号の基準となる駆動波形信号を電力増幅して、コイルを通した後の駆動信号を圧電素子に印加する。コイルと圧電素子によって共振回路が形成されるが、駆動信号に位相進み補償をかけて負帰還させることによって共振ピークを抑制する。このときピークの抑制の程度を調整して少しだけ逆電圧を発生させる。こうすれば、圧電素子の残留歪みを逆電圧によって解消することができるので、高い繰り返し周波数で駆動した場合でも本来の変形量を確保できる。また、回路が複雑となることもない。
【選択図】図7

Description

本発明は、圧電素子を駆動する技術に関する。
PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電素子は、正電圧を印加すると伸張し、正電圧を取り除くと収縮する特性(いわゆる圧電特性)を有している。この特性を利用すれば、駆動電圧を印加することによって高い反応速度で応答し、しかも小型で且つ大きな力を発生するアクチュエーターを構成することが可能である。このため圧電素子は、インクジェットプリンターに代表される流体噴射装置のアクチュエーターとして組み込まれるなど、工業的に広く利用されている。
また圧電素子には、例えば正電圧を印加して伸張させた後、その電圧を取り除いて収縮させた時に残留歪みが発生するという性質がある。この残留歪みは、電圧を取り除いた状態で暫く放置すれば解消されるが、残留歪みが残った状態で再び正電圧を印加すると、残留歪みの分だけ圧電素子の伸張量が減少するので、本来の圧電素子の能力を十分に発揮させることができない。同様なことは、負電圧を印加して圧電素子を収縮させるような使い方をした場合にも当て嵌まる。
そこで、圧電素子に印加した正電圧を取り除くだけでなく、続いて負電圧を印加することによって残留歪みを速やかに解消し、その結果、高い繰り返し周波数で電圧を印加した場合でも、圧電素子の本来の変形量が確保できるようにした技術が提案されている(特許文献1)。
特開2006−231928号公報
しかし、上述した従来の技術では、圧電素子を変形させるための電圧を発生する電源の他に、残留歪みを解消するための低い電圧を発生する電源が別途必要となるため、圧電素子の駆動回路が大型化してしまうという問題があった。
この発明は、従来の技術が有する上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、圧電素子を高い繰り返し周波数で駆動した場合でも圧電素子の本来の変形量を確保しながら、圧電素子の駆動回路が大型化することを回避可能な技術の提供を目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の圧電素子駆動回路は次の構成を採用した。すなわち、
圧電素子に対して所定の駆動信号を印加することによって、該圧電素子を駆動する圧電素子駆動回路であって、
前記駆動信号の基準となる駆動波形信号を出力する駆動波形信号出力回路と、
前記駆動波形信号と、前記圧電素子に印加された駆動信号を用いて生成された帰還信号との差分を取ることによって誤差信号を生成する演算回路と、
電源から電力の供給を受けて前記誤差信号を電力増幅することによって、前記電源の発生する電源電圧と該電源のグランド電圧との間で電圧が変化する電力増幅信号を生成する電力増幅回路と、
前記電力増幅回路と前記圧電素子とを接続して、該電力増幅回路からの前記電力増幅信号を前記駆動信号として該圧電素子に供給する誘導性素子と、
前記誘導性素子からの前記駆動信号に対して、位相を進ませる補償である位相進み補償を行った信号を前記帰還信号として前記演算回路に負帰還させる位相進み補償回路と
を備え、
前記位相進み補償回路は、前記圧電素子に印加される前記駆動信号の最低電圧が、前記電源のグランド電圧よりも低い電圧となる回路である
ことを特徴とする。
こうした構成を有する本発明の圧電素子駆動回路においては、次のようにして圧電素子に駆動信号を印加する。先ず、駆動信号の基準となる駆動波形信号と、実際に圧電素子に印加された駆動信号から生成された帰還信号との差分を取ることによって誤差信号を生成する。次に、誤差信号を電力増幅することによって、電源電圧と電源のグランド電圧との間で電圧が変化する電力増幅信号を生成する。そして、この電力増幅信号を、誘導性素子を介して圧電素子に供給することによって、圧電素子に駆動信号を印加する。誘導性素子は、圧電素子と組み合わされることによって共振回路が形成されるので、誘導性素子に印加される駆動信号に対して位相を進ませる補償(位相進み補償)を行った後、得られた信号を帰還信号として演算回路に負帰還させることによって、誘導性素子と圧電素子との間の共振特性を抑制する。但し、位相進み補償回路の特性を調整することによって(例えば、位相進み補償回路をRC微分回路によって構成する場合は、回路の抵抗値あるいはコンデンサーのキャパシタンスの少なくとも一方を調整することによって)、共振特性を完全に抑制してしまうのではなく、圧電素子に印加される駆動信号の最低電圧が初期状態の電圧(電源のグランド電圧)よりも低い電圧となるように、共振特性を抑制する。
こうすれば、駆動信号の初期状態の電圧(電源のグランド電圧)よりも低い電圧を発生させる電源を用いなくても、駆動信号の最低電圧を、初期状態の電圧よりも低い電圧とすることができ、圧電素子に発生する残留歪みを小さくすることができる。このため、駆動回路が大型化することがない。そして、圧電素子に発生する残留歪みを小さくすることができるので、高い繰り返し周波数で圧電素子を駆動した場合でも、残留歪みによる影響をあまり受けることなく圧電素子を駆動することが可能となる。また、残留歪みが小さくなる分だけ、効率よく圧電素子を駆動することが可能となる。
また、上述した本発明の圧電素子駆動回路においては、圧電素子に印加される駆動信号の最低電圧とグランド電圧との電圧差が、駆動信号の最高電圧(圧電素子の変形量が最も大きくなる電圧)とグランド電圧との電圧差の1〜2割の値となるように、位相進み補償回路の特性を調整してもよい。
種々の条件で実験を行った結果、圧電素子の変形後に生じる残留歪みの大きさは、最も大きく変形した時の変形量の1〜2割となることが見いだされた。この変形量の最大値は、圧電素子に印加される駆動信号の初期状態の電圧(電源のグランド電圧)と、駆動信号の最高電圧との電圧差によって決まるから、この電圧差の1〜2割程度だけ、初期状態の電圧よりも低くしてやれば、圧電素子の残留歪みをほぼ解消することができる。このことから、駆動信号の最低電圧とグランド電圧との電圧差が、駆動信号の最高電圧とグランド電圧との電圧差の1〜2割の値となるように、位相進み補償回路の特性を調整しておけば、圧電素子に生じる残留歪みをほとんど解消できるので、圧電素子の本来の変形量を確保することが可能となる。
また、上述した本発明の圧電素子駆動回路においては、圧電素子に対して並列に接続された容量性素子を更に備えることとしてもよい。
上述したように、本発明の圧電素子駆動回路は、誘導性素子と圧電素子との間に発生する共振現象を利用することによって、圧電素子に印加される駆動信号の最低電圧が初期状態の電圧(電源のグランド電圧)よりも低い電圧としている。従って、こうした効果が得られるのは、共振回路の共振周波数の周辺の周波数範囲となる。ここで、共振周波数は誘導性素子のインダクタンスと圧電素子のキャパシタンスとによって決定されるが、圧電素子のキャパシタンスは、圧電素子の大きさや特性などによってある程度まで決まってしまう。従って、望ましい共振周波数を得るためには誘導性素子のインダクタンスを調整しなければならず、大きな誘導性素子が必要になってしまう場合も起こり得る。このような場合には、圧電素子に対して容量性素子(コンデンサーなど)を並列に接続することで、圧電素子のキャパシタンスはそのままでも、誘導性素子からは、圧電素子と容量性素子との合成キャパシタンスを有する容量性の負荷が接続されることと同じとなる。このため、大きな誘導性素子を搭載することを必須としないため、圧電素子駆動回路を小型化できる。
また、上述した本発明の圧電素子駆動回路においては、次のような電力増幅回路を搭載しても良い。すなわち、演算回路によって得られた誤差信号をパルス変調することによって変調信号を生成する変調回路と、電源から電力の供給を受けて変調信号をデジタル電力増幅することによって、電力増幅信号を生成するデジタル電力増幅回路を備えた電力増幅回路を搭載しても良い。
こうした電力増幅回路を有する本発明の圧電素子駆動回路においては、誤差信号をパルス変調することによって変調信号を生成し、得られた変調信号を電力増幅することによって、電源電圧と電源のグランド電圧との間で電圧値が切り換わるパルス波状の電力増幅信号を生成する。ここで、デジタル電力増幅回路は、電源にプッシュ・プル接続されたオン抵抗の低い2つのスイッチ素子のON/OFFを切り換えてパルス波状のままデジタル電力増幅しているため、誤差信号をアナログ波形のままアナログ電力増幅する場合に比べて電力損失を大幅に抑制することが可能である。また、上述したように、本発明の圧電素子駆動回路は、誘導性素子と圧電素子との間に発生する共振現象を利用しているが、この共振周波数以上の周波数領域では減衰特性を有した平滑フィルターを構成することになる。つまり、変調回路における変調周波数をこの共振周波数(もしくは遮断周波数)より十分に高く設定することで、電力増幅信号の変調成分が取り除かれて、電力増幅された信号成分(駆動波形信号の信号成分)を駆動信号として圧電素子に印加することが可能となる。
また、上述したように本発明の圧電素子駆動回路は、圧電素子を高い繰り返し周波数で駆動した場合でも、残留歪みの影響をほとんど受けることなく圧電素子を駆動することが可能であり、しかも回路を小型化できる。従って、圧電素子を駆動することによって流体を噴射する流体噴射装置に好適に適用することが可能であり、本発明は、流体噴射装置としての態様で把握することも可能である。すなわち、
流体が流入する流体室と、前記流体室を変形させる圧電素子と、前記流体室に流入された流体を噴射する噴射ノズルとを有する脈動発生部とを備え、
上述した本願発明の圧電素子駆動回路から出力された前記駆動信号を前記圧電素子に印加することによって、前記流体室に流入した流体が前記噴射ノズルから噴射される流体噴射装置として把握することも可能である。
このような本発明の流体噴射装置では、高い繰り返し周波数で圧電素子を駆動した場合でも、残留歪みによる影響を受けることなく圧電素子の変形量を十分に確保することができる。このため、噴射ノズルから高い繰り返し周波数で流体を噴射した場合でも、噴射量が安定した流体噴射装置を提供できる。
本実施例の圧電素子駆動回路を搭載した流体噴射装置を例示した説明図である。 本実施例の圧電素子駆動回路の回路構成を示した説明図である。 圧電素子の残留歪みによって圧電素子の実質的な変位が小さくなる様子を示した説明図である。 圧電素子に発生する残留歪みを、印加する電圧と圧電素子の変位とによって規定される平面上で表した説明図である。 本実施例の圧電素子駆動回路の周波数応答特性を解析するためのブロック線図である。 本実施例の圧電素子駆動回路の周波数応答特性を示すボード線図である。 本実施例の圧電素子駆動回路の動作を例示した説明図である。 本実施例の圧電素子駆動回路を用いて圧電素子を駆動した場合を例示した説明図である。 本実施例の圧電素子駆動回路を用いて駆動した圧電素子の挙動を、印加する電圧と圧電素子の変位とによって規定される平面上で表した説明図である。 変形例の圧電素子駆動回路の一部を示した説明図である。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.装置構成:
B.圧電素子駆動回路の回路構成:
C.圧電素子駆動回路の動作:
D.変形例:
A.装置構成 :
図1は、本実施例の圧電素子駆動回路200を搭載した流体噴射装置100の構成を示した説明図である。図示されているように流体噴射装置100は、大きく分けると、流体を噴射する噴射ユニット110と、噴射ユニット110から噴射される流体を噴射ユニット110に向けて供給する流体供給手段120と、噴射ユニット110および流体供給手段120の動作を制御する制御ユニット130などから構成されている。
噴射ユニット110は、金属製の第1ケース114と、金属製の第2ケース113とを重ねた構造となっており、第2ケース113の前面には円管形状の流体噴射管112が立設され、流体噴射管112の先端にはノズル111が挿着されている。第2ケース113と第1ケース114との合わせ面には、円板形状の流体室115が形成されており、流体室115は、流体噴射管112を介してノズル111に接続されている。また、第1ケース114の内部には、積層型の圧電素子116が設けられている。流体供給手段120は、噴射しようとする流体(水、生理食塩水、薬液など)が貯められた流体容器123から、第1接続チューブ121を介して流体を吸い上げた後、第2接続チューブ122を介して噴射ユニット110の流体室115内に供給する。このため、流体室115は流体で満たされている。
そして、制御ユニット130から駆動信号を圧電素子116に印加すると、圧電素子116が伸張して流体室115が押し縮められ、その結果、流体室115内の流体が、ノズル111からパルス状に噴射される。また、駆動信号の印加を停止すると(駆動信号の電圧を初期状態の電圧に戻すと)圧電素子116が収縮して、押し縮められていた流体室115が元の形状まで復元する。もっとも圧電素子116は、駆動信号の印加を停止すると直ちに元の状態まで収縮するわけではない。詳細には後述するが、駆動信号の印加を停止してから暫くの間は、圧電素子116に若干(伸張量の1〜2割程度)の残留歪みが発生する。そして残留歪みが発生した状態で駆動信号を印加すると、残留歪みの分だけ圧電素子116の伸張量が少なくなるので、ノズル111から噴射される流体量が減少する。駆動信号の印加を停止した後に、更に低い電圧を印加すれば圧電素子116の残留歪みを解消することもできるが、そのために別電源を用いたのでは、制御ユニット130が大きくなってしまう。そこで、圧電素子116の残留歪みを、別電源を用いることなく解消するために、本実施例の制御ユニット130内には、以下に説明するような圧電素子駆動回路200が搭載されている。
B.圧電素子駆動回路の回路構成 :
図2は、本実施例の圧電素子駆動回路200の回路構成を示した説明図である。図示されているように、圧電素子駆動回路200は大きく分けると、駆動信号の基準となる駆動波形信号(以下、WCOM)を出力する駆動波形信号発生回路(駆動波形信号出力回路)210と、駆動波形信号発生回路210から受け取ったWCOMと後述する帰還信号(以下、dCOM)とに基づいて誤差信号(以下、dWCOM)を出力する演算回路220と、演算回路220からのdWCOMを電力増幅して電力増幅信号(以下、Vs)を生成する電力増幅回路235と、電力増幅回路235からVsを受け取って、駆動信号(以下、COM)として噴射ユニット110の圧電素子116に供給するコイル250(誘導性素子)と、コイル250から圧電素子116に供給されたCOMに対して位相を進ませる補償を加えて、dCOM(帰還信号)を生成する位相進み補償回路270とを備えている。ここで、電力増幅回路235は、演算回路220からのdWCOMをパルス変調して変調信号(以下、MCOM)に変換する変調回路230と、変調回路230からのMCOMを電力増幅して電力増幅信号(Vs)を生成するデジタル電力増幅回路240とを備えている。
このうち、駆動波形信号発生回路210は、WCOMのデータを記憶した波形メモリーや、D/A変換器を備えており、波形メモリーから読み出したデータをD/A変換器でアナログ信号に変換することによって、WCOM(駆動波形信号)を生成する。生成されたWCOMは、演算回路220の非反転入力端子に入力される。また、位相進み補償回路270からのdCOM(帰還信号)は演算回路220の反転入力端子に入力される。その結果、WCOMとdCOMとの差分に相当する信号が、dWCOM(誤差信号)として演算回路220から出力される。
続いて、変調回路230は、dWCOMを一定周期の三角波(以下、Tri)と比較して、dWCOMの方が大きければ高電圧状態、dWCOMの方が小さければ低電圧状態となるようなパルス波状のMCOM(変調信号)を生成する。そして、得られたMCOMは、デジタル電力増幅回路240に入力される。デジタル電力増幅回路240は、電源と、電源にプッシュ・プル接続された2つのスイッチ素子(MOSFETなど)と、これらスイッチ素子を駆動するゲートドライバーとを備えている。MCOMが高電圧状態の場合は、電源側(ハイサイド側)のスイッチ素子がON状態になり、ローサイド側のスイッチ素子がOFF状態になって、電源の発生する電圧(電源電圧Vdd)がVsとして出力される。また、MCOMが低電圧状態の場合は、ハイサイド側のスイッチ素子がOFF状態になり、ローサイド側のスイッチ素子がON状態になって電源のグランド電圧GNDがVsとして出力される。従って、パルス波状に変化するMCOMを、電源電圧Vddとグランド電圧GNDとの間でパルス波状に変化するVsに電力増幅できる。
また、この電力増幅では、電源にプッシュ・プル接続された2つのスイッチ素子のON/OFFを切り換えており、ON状態のスイッチ素子に電流が流れるが、スイッチ素子(MOSFETなど)のオン抵抗は非常に低いため、スイッチでの損失はほとんど発生しない。このため、誤差信号をアナログ波形のままアナログ電力増幅する場合に比べて電力損失を大幅に抑制することが可能である。その結果、電力効率の向上による省電力化が可能となるだけでなく、放熱のために大きなヒートシンクを設ける必要もなくなるので、回路を小型化することも可能となる。
こうして電力増幅されたVs(電力増幅信号)を、コイル250を通した後、COM(駆動信号)として圧電素子116に印加する。詳細には後述するが、コイル250は、圧電素子116のキャパシタンスと組み合わされることによって平滑フィルター260を構成しており、変調回路230の変調周波数をこの平滑フィルター260の遮断周波数よりも高く設定することで、Vs中の変調成分が平滑フィルター260によって減衰し、Vsの中の信号成分が取り出されてCOMとして復調される。
また、圧電素子駆動回路200は、圧電素子116に印加されるCOMが負帰還されているため、フィードバック制御系となっているが、コイル250を通過したCOMは、平滑フィルター260の位相特性によって、WCOMに対して位相が遅れている。そこで、COMを単純に負帰還させるのではなく、コンデンサーChと抵抗Rhとによって構成された位相進み補償回路270を通して位相を進ませる補償を行い、得られた信号をdCOMとして演算回路220の反転入力端子に入力することによって負帰還させている。
C.圧電素子駆動回路の動作 :
以上のような構成を有する本実施例の圧電素子駆動回路200は、残留歪みを解消するための別電源を備えていないにも拘わらず、圧電素子116に生じる残留歪みを速やかに解消することができるという優れた特性を有している(詳細には後述する)。その結果、回路の大型化あるいは複雑化を招くことなく、高い繰り返し周波数で(すなわち短い時間間隔で)圧電素子116を駆動することが可能となる。以下では、こうした優れた特性が得られる理由を説明するが、その準備として、圧電素子116に生じる残留歪みによって圧電素子116の実質的な変形量が少なくなってしまう現象について簡単に説明する。
図3は、ある波形の駆動信号を繰り返し圧電素子116に印加したときの、圧電素子116の変位を示した説明図である。図中に実線で示した波形は駆動信号を表しており、破線で示した波形は、駆動信号が印加されることによって生じる圧電素子116の変位を表している。尚、圧電素子116の変位とは、駆動信号が印加される前(初期状態)の長さを基準とした圧電素子116の変形量を意味している。また、横軸は時間の経過を表している。
図中に示した時点Aから時点Bにかけて、駆動信号の電圧を、初期状態の電圧Vaから電圧Vbに増加させると、圧電素子116が変形(伸張)して変位がLaになる。その後、図中の時点Bから時点Cにかけて、駆動信号の電圧を電圧Vbから電圧Vaに戻しても、圧電素子116の変位は完全には元に戻らずに、dLの残留歪みが発生する。この残留歪みは、図3中に破線で示したように時間の経過とともに小さくなるが、残留歪みが完全には解消していない時点Dから、駆動信号の電圧を電圧Vaから電圧Vbに増加させると、電圧が電圧Vbに達した時点での圧電素子116の変位はLaとなる。すなわち、時点Dからの変形量は、残留歪みの分だけ小さくなる。換言すれば、残留歪みが残るような条件(例えば高い繰り返し周波数で駆動するなどの条件)で圧電素子116を駆動すると、印加する電圧の変化量に応じて本来得られる筈の変形量が、残留歪みの分だけ少なくなる。
図4は、圧電素子116に残留歪みが発生する様子を、圧電素子116に印加する電圧と、圧電素子116の変位とによって規定される平面上で表した説明図である。図4(a)に示されるように、圧電素子116に印加する電圧を初期状態の電圧Vaから電圧Vbに増加させると、図中に示した経路(1)を通って、圧電素子116の変位がLaまで増加する。続いて、圧電素子116に印加する電圧を減少させると、圧電素子116の変位も図中の経路(2)を通って減少するが、初期状態の電圧Vaに戻しても、dLの残留歪みが残ってしまう。この残留歪みdLは、初期状態の電圧Vaを保持していると時間の経過とともに減少するが、残留歪みが残ったまま、再び電圧を電圧Vbまで増加させると、圧電素子116の変位は、図4(a)中に示した経路(3)を通ってLaまで増加する。このように、圧電素子116に対して連続的に繰り返し駆動信号を印加すると、圧電素子116の変位は経路(3)を通って増加した後に経路(2)を通って減少することになって、圧電素子116の実質的な変位量が残留歪みの分だけ少なくなる。その結果、図1に示した流体噴射装置100では、流体の噴射量が減少してしまう。
もちろん、圧電素子116の電圧を初期状態の電圧Vaに戻した後、残留歪みが解消するまで電圧Vaを保持すれば、圧電素子116の実質的な変位量が少なくなることを回避できる。しかし、図4(b)に示すように、残留歪みdLがほぼ解消するまでには1秒程度の時間が必要となるので、高い繰り返し周波数で圧電素子116を駆動することができなくなる。これを避けようとすると、初期状態の電圧Vaよりも低い電圧を印加することで圧電素子116の残留歪みを打ち消す必要があり、そのためには、別途電源が必要となるので駆動回路が大型化および複雑化するという問題があった。
これに対して、図2に示す構成を有する本実施例の圧電素子駆動回路200では、比較的簡単な回路構成でありながら、残留歪みの影響を受けることなく、高い繰り返し周波数で圧電素子116を駆動することが可能となる。以下では、圧電素子駆動回路200の動作について説明する。
図5は、本実施例の圧電素子駆動回路200の周波数応答特性を解析するためのブロック線図である。先ず、駆動波形信号発生回路210からのWCOM(駆動波形信号)は、演算回路220で位相進み補償回路270からのdCOM(帰還信号)が減算されて、dWCOM(誤差信号)を生成する。このdWCOMは、変調回路230でMCOM(変調信号)に変換された後、デジタル電力増幅回路240で増幅されてVs(電力増幅信号)に変換され、平滑フィルター260で復調されてCOM(駆動信号)として出力される。出力されたCOMは、位相進み補償回路270で位相進み補償が施された後、dCOMとしてWCOMに対して負帰還されることによって、全体としてフィードバック制御系を構成している。
ここで、コイル250のインダクタンスをL、圧電素子116のキャパシタンスをCpとすると、平滑フィルター260の伝達関数F(s)は、図5(b)に示した式で与えられる。また、位相進み補償回路270の伝達関数β(s)は、図5(c)に示した式で与えられる。ここで、Chは、位相進み補償回路270を構成するコンデンサーのキャパシタンスを表しており、Rhは位相進み補償回路270を構成する抵抗の抵抗値を表している。従って、圧電素子駆動回路200の全体の伝達関数H(s)は、デジタル電力増幅回路240で電力増幅する際のゲインをGとすると、図5(d)に示した式で与えられる。
図6は、圧電素子駆動回路200の全体の伝達関数H(s)の周波数応答特性を表すボード線図である。図6(a)にはゲイン線図が示されており、図6(b)には位相線図が示されている。また、ゲイン線図および位相線図には、圧電素子駆動回路200全体の伝達関数H(s)の特性に加えて、電力増幅回路235を含めた平滑フィルター260の伝達関数G・F(s)の特性や、位相進み補償回路270の伝達関数β(s)の特性も示されている。
図6(a)のゲイン線図中に破線で示されているように、コイル250のインダクタンスは、圧電素子116(圧電素子)のキャパシタンスと共に共振回路を形成するので、図中に示された計算式で定まる共振周波数f0の付近で、ゲインの鋭いピークが現れる。そこで、COMを負帰還させることによってピークを抑制する。但し、図6(b)に示されるように、平滑フィルター260の位相特性によって、COMは共振周波数f0よりも高い周波数領域で位相が180度遅れるから、COMをそのまま負帰還させたのでは制御ユニット130が不安定となる虞がある。そこで、図6中に一点鎖線で示した特性の位相進み補償回路270を用いて位相を進ませる補償を行った後、dCOM(帰還信号)として負帰還させる。こうすれば、制御ユニット130を不安定にすることなく、COMを負帰還させることが可能となり、その結果、図6(a)中に実線で示したようにゲイン線図に現れるピークを抑制することが可能となる。
ここで、本実施例の圧電素子駆動回路200では、ゲインのピークを完全に抑制するのではなく、+1dB(約1.25倍)以上のピークを残している。このため、共振周波数f0の周辺の周波数領域では、電力増幅回路235のゲインGよりも少なくとも+1dB(約1.25倍)以上の大きなゲインが得られるようになる。本実施例の圧電素子駆動回路200では、この特性を利用して、圧電素子116の残留歪みを解消する。
図7は、本実施例の圧電素子駆動回路200の動作を例示した説明図である。図7(a)には、演算回路220が、駆動波形信号発生回路210からのWCOM(駆動波形信号)と、補償回路270からのdCOM(帰還信号)とを受け取って、dWCOM(誤差信号)を出力する様子が示されている。こうして出力されたdWCOMは、変調回路230に入力されて、一定周期のTri(三角波信号)と比較される。図7(b)には、変調回路230で比較されるdWCOMとTriとが示されている。変調回路230は、二つの信号を比較して、dWCOMの方が大きいときには高電圧状態となり、Triの方が大きいときには低電圧状態となるような、図7(c)に示したMCOM(変調信号)を生成して、デジタル電力増幅回路240に向けて出力する。デジタル電力増幅回路240では、MCOMを、デジタル電力増幅回路240の電源が発生する電圧(電源電圧Vdd)と、電源のグランド電圧GNDとの間で電圧が切り換わるVs(電力増幅信号)に電力増幅して、コイル250に出力する。すると、コイル250に入力されたVsは、図6(a)に示したゲイン特性に従って、COM(駆動信号)に変換されて、圧電素子116に印加される。
ここで、図6(a)を用いて前述したように、圧電素子駆動回路200の全体の伝達関数H(s)は、コイル250のインダクタンスLと、圧電素子116のキャパシタンスCpとによって決まる共振周波数f0の付近でゲインが増加している。このため、COMはVsの電圧範囲(電源のグランド電圧GND〜電源電圧Vdd)に対して若干のオーバーシュートおよびアンダーシュートが発生する。このことは、図7(a)に示したWCOMの波形と、図7(d)のCOMの波形とを比べると明確になる。すなわちWCOMは、図7(a)に示したように初期状態の電圧から増加して、再び初期状態の電圧まで低下しているが、COMは、初期状態の電圧から増加して、電圧が低下したときに初期状態の電圧よりも低い電圧まで低下しており、アンダーシュートが発生している。また、WCOMとの比較からでは必ずしも明確では無いが、COMは、初期状態の電圧から増加した際にもオーバーシュートが発生している。そして、このようなCOM(特に、アンダーシュートを伴うCOM)を用いて圧電素子116を駆動してやれば、圧電素子116に生じる残留歪みを速やかに解消して、高い繰り返し周波数でCOMを印加することが可能となる。以下、この点について詳しく説明する。
図8は、アンダーシュートを伴うCOMを圧電素子116に繰り返し印加したときの、圧電素子116の変位を示した説明図である。図中に実線で示した波形はCOMを表している。図示されるようにCOMは、初期状態の電圧Vaから電圧Vbまで増加した後、電圧Vaよりも低い最低電圧V0まで低下し、その後は、電圧Vaの上下を振動しながら速やかに短時間で減衰する。ここで、COMの振動が短時間で減衰するのは、本実施例の圧電素子駆動回路200が、COMに位相進み補償を行って負帰還させていることによる。また、図中に破線で示した波形は、このようなCOMに対応して生じる圧電素子116の変位を表している。更に、図8の横軸は時間の経過を表している。
図中に示した時点Aから時点Bにかけて、COMを初期状態の電圧Vaから電圧Vbに増加させると、圧電素子116の変位はLaまで増加する。続いて、COMを減少させると、図中に示した時点Cでは、初期状態の電圧Vaを通り越して、電圧VaよりもdVだけ低い電圧(最低電圧V0)まで減少する。図中に破線で示されるように、COMが初期状態の電圧Vaまで戻った時点では圧電素子116には残留歪みが発生しているが、その状態から更に最低電圧V0までCOMが減少することによって、残留歪みはほとんど解消される。その後は、COMに生じる残留振動に伴って圧電素子116の変位も多少は変動するが、COMの残留振動が短時間で減衰して初期状態の電圧Vaに落ち着くと、圧電素子116の変位もほぼ初期状態に復帰する。こうして圧電素子116の変位がほぼ初期状態に復帰した後は、再びCOMを圧電素子116に印加することで、残留歪みの影響を受けることなく圧電素子116を駆動することが可能となる。尚、最低電圧V0は、初期状態の電圧Vaよりも低い電圧であれば十分であり、必ずしも負電圧である必要はない。ここで、負電圧とは、COMのグランド電圧(従って、圧電素子116のグランド電圧)よりも低い電圧を意味している。特に、本実施例の圧電素子116のように、いわゆる積層型と呼ばれる素子では、最低電圧V0が、大きな負電圧とならないようにしておくことが、圧電素子116の耐久性の観点から望ましい。
図9は、COMが印加されたときの圧電素子116の挙動を、圧電素子116に印加される電圧と、圧電素子116の変位とによって規定される平面上で表した説明図である。図9中に「A」と表示した状態(圧電素子116に初期状態の電圧Vaが印加されており、圧電素子116の変位が0の状態)は、上述の図8中に示した時点Aでの状態に対応している。また、図9中に「B」と表示した状態(圧電素子116に電圧Vbが印加されており、圧電素子116の変位がLaの状態)は、図8中に示した時点Bでの状態に対応している。更に、図9中に「C」と表示した状態(アンダーシュートした電圧(最低電圧V0)が圧電素子116に印加された状態)は、図8中に示した時点Cでの状態に対応している。
図9に示されるように、COMが初期状態の電圧Vaから電圧Vbまで増加すると、圧電素子116の状態は、図中に示した経路(1)を通って状態Aから状態Bに変化する。続いて、COMが減少すると、圧電素子116の状態は、図中に示した経路(2)を通って変化する。このため、COMが電圧Vaまで減少した時点では圧電素子116の変位は初期状態まで戻ることができずに残留歪みが発生する。しかしCOMが電圧Vaから更に減少するので、圧電素子116の状態は経路(2)に沿って更に移動し、それに伴って残留歪みが減少する。そして、COMが最低電圧V0まで減少すると、圧電素子116の状態は状態Cに達して、残留歪みはほぼ解消される。その後は、COMが初期状態の電圧Vaを中心に振動することに伴って、状態Aの周囲を変動するが、この変動は短時間で減速して初期状態である状態Aに復帰する。この状態で再びCOMを印加してやれば、圧電素子116は、上述した動作と同じ動作を繰り返す。
このように本実施例の圧電素子駆動回路200では、アンダーシュートするCOMを用いて圧電素子116を駆動している。このため、COMがアンダーシュートする電圧(上述した実施例ではdV)に相当する分だけ、圧電素子116に生じる残留歪みを小さくすることができる。尚、圧電素子116は、変形量の1割〜2割程度の残留歪みが発生することが通常である。従って、この残留歪みをCOMのアンダーシュートによって解消するためには、アンダーシュートさせる電圧(上述した実施例ではdV)を、圧電素子116に印加する電圧(初期状態の電圧Vaから電圧Vbまでの電圧)の1割〜2割程度に設定しておくことが望ましい。
仮に、アンダーシュートを利用することなく、初期状態の電圧Vaよりも低い電圧(ここでは最低電圧V0)を印加して圧電素子116の残留歪みを解消しようとすると、以下の理由から、圧電素子116を駆動する回路の大型化および複雑化が避けられない。先ず、COMは、デジタル電力増幅回路240で得られたVs(電力増幅信号)をコイル250に通すことによって発生させている。デジタル電力増幅回路240では、変調回路230からのMCOM(変調信号)を、電源の発生する電源電圧Vddと電源のグランド電圧GNDとの間で電圧が切り換わる信号に電力増幅することによってVsを発生させている。本実施例では、このグランド電圧GNDが、COMの初期状態の電圧Vaとなる。そして、初期状態の電圧Vaよりも低い電圧を発生させようとすると、グランド電圧GNDよりも低い電圧を発生する電源が別途必要となる。別途用意する電源は必ずしも負電源とは限らないが、何れにしても複数の電源が必要となるので圧電素子116を駆動する回路が大型化および複雑化してしまう。
これに対して、本実施例の圧電素子駆動回路200では、図6を用いて前述したように、共振周波数f0付近でのゲインのピークが少しだけ残るように、位相進み補償回路270の特性を設定しておくだけで良い。また、これまでの説明でも明らかなように、電力増幅回路に使用されるスイッチ素子(MOSFET)の耐電圧は電源の発生する電源電圧Vddと電源のグランド電圧GNDで設定すれば良く、必ずしも発生するCOMの最大振幅を満足する必要が無い。一般的に、スイッチ素子(MOSFET)の耐電圧が低くなれば、オン抵抗も低くすることが可能となるため、更なる省電力効果が期待できる。このため、別途電源を必要としないだけでなく、放熱のために大きなヒートシンクを設ける必要もなくなるので、圧電素子駆動回路200の大型化や複雑化を招くことがない。
また、本実施例の圧電素子駆動回路200では、COMに対して位相進み補償を行って負帰還させているので、COMがアンダーシュートしても、その後の残留振動は短時間で減衰する。このため、COMの印加後は、短時間で圧電素子116が初期状態(COMの印加前の状態)に戻るので、高い繰り返し周波数でCOMを印加した場合でも、残留歪みの影響を受けることなく圧電素子116を駆動することが可能となる。
D.変形例 :
以上に説明した実施例あるいは変形例では、コイル250と圧電素子116とによって平滑フィルター260が構成されるものとして説明した。しかし、圧電素子116に対して並列に接続されるようにコンデンサーを設けておき、このコンデンサーと、コイル250と、圧電素子116とによって平滑フィルター260を構成するようにしても良い。
図10は、上述した構成である変形例の圧電素子駆動回路300の一部を例示した説明図である。図示されるように、変形例の圧電素子駆動回路300では、圧電素子116に対して並列に接続されるように、コンデンサー252(容量性素子)が設けられている。このような構成では、コイル250のインダクタンスLと、圧電素子116のキャパシタンスCpと、コンデンサー252のキャパシタンスCcとによって共振回路が形成される。そして、互いに並列に接続された圧電素子116のキャパシタンスCpと、コンデンサー252のキャパシタンスCcとは、合成キャパシタンス(大きさは、Cp+Cc)として取り扱うことができるため、この共振回路の共振周波数は、コイル250のインダクタンスLと、合成キャパシタンスCp+Ccとによって決まる周波数となる。
圧電素子駆動回路300の駆動負荷である圧電素子116のキャパシタンスCpは、求める圧電性能に対応して、おおよその範囲内で決まっている。従って、仮にコンデンサー252がなかったとすると、共振周波数を所望の周波数に設定しようとするためにはコイル250のインダクタンスLで調整する必要がある。その結果、大きなインダクタンスLが必要となる場合では、大きなコイル250が必要になって、圧電素子駆動回路300が大きくなってしまうことがある。ところが、このような場合でも、圧電素子116に並列にコンデンサー252を接続してやれば、コンデンサー252のキャパシタンスを適切に設定することで、コイル250を大きくすることなく、共振周波数を所望の周波数に設定することが可能となる。
以上、本実施例の圧電素子駆動回路について説明したが、本発明は上記すべての実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
例えば、上述した実施例あるいは変形例では、パルス変調方式として、いわゆるパルス幅変調(PWM)と呼ばれる方式を用いるものとして説明した。しかし、パルス変調方式としてはPWMに限らず、例えばパルス密度変調(PDM)と呼ばれる方式など、他のパルス変調方式を用いても良い。特に、COM(駆動波形信号)とVs(電力増幅信号)との差分を積分するΔΣ変調方式を用いれば、電源電圧の変動にも対応することが可能となる。
また、圧電素子駆動回路200を適用する機器としては、薬剤や栄養剤を内包するマイクロカプセルを形成することに用いる流体噴射装置など、医療機器を含む様々な電子機器に適用することができる。特に医療機器では、安全性や薬剤や栄養剤の分量の均一性が求められるため、噴射量が安定する本願発明の圧電素子駆動回路200、300を提供することで、医療機器のニーズを満足することができる。
また、プロジェクターなどで発生する熱源を、冷媒液などの流体を循環することによって冷却する流体循環装置に用いられるダイアフラム型送液ポンプなどにも適用することが出来る。流体循環装置に当発明の圧電素子駆動回路200、300を適用することで、上述したように噴射量が安定し、高効率で小型な流体循環装置を提供することができる。
100…流体噴射装置、 110…噴射ユニット、 111…ノズル、
112…流体噴射管、 113…第2ケース、 114…第1ケース、
115…流体室、 116…圧電素子、 120…流体供給手段、
121…第1接続チューブ、 122…第2接続チューブ、 123…流体容器、
130…制御ユニット、 200…圧電素子駆動回路、
210…駆動波形信号発生回路、 220…演算回路、 230…変調回路、
235…電力増幅回路、 240…デジタル電力増幅回路、 250…コイル、
252…コンデンサー、 260…平滑フィルター、 270…位相進み補償回路

Claims (5)

  1. 圧電素子に対して所定の駆動信号を印加することによって、該圧電素子を駆動する圧電素子駆動回路であって、
    前記駆動信号の基準となる駆動波形信号を出力する駆動波形信号出力回路と、
    前記駆動波形信号と、前記圧電素子に印加された駆動信号を用いて生成された帰還信号との差分を取ることによって誤差信号を生成する演算回路と、
    電源から電力の供給を受けて前記誤差信号を電力増幅することによって、前記電源の発生する電源電圧と該電源のグランド電圧との間で電圧が変化する電力増幅信号を生成する電力増幅回路と、
    前記電力増幅回路と前記圧電素子とを接続して、該電力増幅回路からの前記電力増幅信号を前記駆動信号として該圧電素子に供給する誘導性素子と、
    前記誘導性素子からの前記駆動信号に対して、位相を進ませる補償である位相進み補償を行った信号を前記帰還信号として前記演算回路に負帰還させる位相進み補償回路と
    を備え、
    前記位相進み補償回路は、前記圧電素子に印加される前記駆動信号の最低電圧が、前記電源のグランド電圧よりも低い電圧となる回路である
    ことを特徴とする圧電素子駆動回路。
  2. 請求項1に記載の容量性負荷駆動回路であって、
    前記位相進み補償回路は、前記圧電素子に印加される前記駆動信号の最低電圧と前記グランド電圧との電圧差が、前記駆動信号の最高電圧と前記グランド電圧との電圧差の1〜2割の値となる回路である
    ことを特徴とする圧電素子駆動回路。
  3. 前記圧電素子に対して並列に接続された容量性素子を更に備える請求項1または請求項2に記載の圧電素子駆動回路。
  4. 請求項1ないし請求項3に記載の圧電素子駆動回路であって、
    前記電力増幅回路は、
    前記誤差信号をパルス変調することによって変調信号を生成する変調回路と、
    前記電源から電力の供給を受けて前記変調信号をデジタル電力増幅することによって、前記電力増幅信号を生成するデジタル電力増幅回路を備える
    ことを特徴とする圧電素子駆動回路。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の圧電素子駆動回路と、
    流体が流入する流体室と、前記流体室を変形させる圧電素子と、前記流体室に流入された流体を噴射する噴射ノズルとを有する脈動発生部と
    を備え、
    前記圧電素子駆動回路から出力される前記駆動信号が前記圧電素子に印加されることによって、前記流体室に流入した流体が前記噴射ノズルから噴射される流体噴射装置。
JP2011148900A 2011-07-05 2011-07-05 圧電素子駆動回路、および流体噴射装置 Expired - Fee Related JP5842417B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011148900A JP5842417B2 (ja) 2011-07-05 2011-07-05 圧電素子駆動回路、および流体噴射装置
US13/541,335 US20130011282A1 (en) 2011-07-05 2012-07-03 Piezoelectric element drive circuit and liquid ejecting apparatus
CN201210230300.XA CN102862388B (zh) 2011-07-05 2012-07-04 压电元件驱动电路以及流体喷射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011148900A JP5842417B2 (ja) 2011-07-05 2011-07-05 圧電素子駆動回路、および流体噴射装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2013014084A true JP2013014084A (ja) 2013-01-24
JP2013014084A5 JP2013014084A5 (ja) 2014-07-24
JP5842417B2 JP5842417B2 (ja) 2016-01-13

Family

ID=47438766

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011148900A Expired - Fee Related JP5842417B2 (ja) 2011-07-05 2011-07-05 圧電素子駆動回路、および流体噴射装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20130011282A1 (ja)
JP (1) JP5842417B2 (ja)
CN (1) CN102862388B (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020049800A (ja) * 2018-09-27 2020-04-02 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置及び駆動回路

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6213720B2 (ja) * 2013-08-20 2017-10-18 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置、その制御方法およびプログラム
JP6206655B2 (ja) * 2013-08-30 2017-10-04 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置およびヘッドユニット
JP2016141070A (ja) * 2015-02-03 2016-08-08 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置、ヘッドユニット、容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動回路の制御方法
JP6641889B2 (ja) * 2015-10-30 2020-02-05 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置及び液体吐出システム
DK3537488T3 (da) * 2018-03-07 2021-01-18 Polight Asa Bestemmelse og påføring af en spænding på en piezoelektrisk aktuator
JP7363302B2 (ja) * 2019-09-30 2023-10-18 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置、駆動回路、及び集積回路

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008148288A (ja) * 2006-11-15 2008-06-26 Seiko Epson Corp D級アンプの制御方法、d級アンプの制御回路、容量性負荷の駆動回路、トランスデューサ、超音波スピーカ、表示装置、指向性音響システム、及び印刷装置
JP2009153272A (ja) * 2007-12-19 2009-07-09 Fuji Xerox Co Ltd 容量性負荷の駆動回路及び液滴噴射装置
JP2011101972A (ja) * 2009-11-10 2011-05-26 Seiko Epson Corp 液体噴射装置及び液体噴射型印刷装置

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10250917B3 (de) * 2002-10-31 2004-06-03 Siemens Ag Verfahren zum Betrieb eines Einspritzventils mit einem piezoelektrischen Aktor sowie Steuergerät
JP2005080424A (ja) * 2003-09-01 2005-03-24 Taiyo Yuden Co Ltd 電源装置
JP4639922B2 (ja) * 2004-04-20 2011-02-23 富士ゼロックス株式会社 容量性負荷の駆動回路及び方法、液滴吐出装置、液滴吐出ユニット、インクジェットヘッドの駆動回路
DE102004046080A1 (de) * 2004-09-23 2006-04-06 Robert Bosch Gmbh Verfahren zum Betreiben eines piezoelektrischen Aktors insbesondere einer Kraftstoffeinspritzanlage eines Kraftfahrzeuges
JP4770361B2 (ja) * 2005-09-26 2011-09-14 富士ゼロックス株式会社 容量性負荷の駆動回路、及び液滴吐出装置
DE102008013590A1 (de) * 2008-03-11 2009-09-24 Epcos Ag Verfahren zum Betrieb eines Piezoelements

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008148288A (ja) * 2006-11-15 2008-06-26 Seiko Epson Corp D級アンプの制御方法、d級アンプの制御回路、容量性負荷の駆動回路、トランスデューサ、超音波スピーカ、表示装置、指向性音響システム、及び印刷装置
JP2009153272A (ja) * 2007-12-19 2009-07-09 Fuji Xerox Co Ltd 容量性負荷の駆動回路及び液滴噴射装置
JP2011101972A (ja) * 2009-11-10 2011-05-26 Seiko Epson Corp 液体噴射装置及び液体噴射型印刷装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020049800A (ja) * 2018-09-27 2020-04-02 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置及び駆動回路
JP7131252B2 (ja) 2018-09-27 2022-09-06 セイコーエプソン株式会社 液体吐出装置及び駆動回路

Also Published As

Publication number Publication date
JP5842417B2 (ja) 2016-01-13
CN102862388B (zh) 2016-08-10
US20130011282A1 (en) 2013-01-10
CN102862388A (zh) 2013-01-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5842417B2 (ja) 圧電素子駆動回路、および流体噴射装置
JP5728962B2 (ja) 容量性負荷駆動回路および流体噴射装置
JP4492693B2 (ja) 容量性負荷の駆動回路及び液滴噴射装置
JP4639922B2 (ja) 容量性負荷の駆動回路及び方法、液滴吐出装置、液滴吐出ユニット、インクジェットヘッドの駆動回路
JP2017043007A (ja) 液体吐出装置およびヘッドユニット
US8857935B2 (en) Liquid ejecting apparatus and liquid ejecting method
JP5644399B2 (ja) 容量性負荷駆動回路および液体噴射装置
JP2013038457A (ja) 増幅回路、ヘッド駆動回路、及び、液体噴射装置
JP2012105241A (ja) 容量性負荷駆動回路
JP2013038458A (ja) 増幅回路、ヘッド駆動回路、及び、液体噴射装置
US9088270B2 (en) Capacitive load drive circuit, fluid ejection device and medical device
JP6075532B2 (ja) 容量性負荷駆動回路、液体噴射型印刷装置、液体噴射装置、流体輸送装置および医療機器
JP5736939B2 (ja) 容量性負荷駆動回路及び流体噴射装置
JP2013063544A (ja) 液体噴射装置、医療機器
JP5845598B2 (ja) 負荷駆動回路および流体噴射装置
US8894171B2 (en) Liquid ejecting apparatus and liquid ejecting method
JP5849516B2 (ja) 液体噴射装置、印刷装置、及び医療機器
JP2012235201A (ja) 容量性負荷駆動回路及び液体噴射装置
JP5724437B2 (ja) 電圧出力回路
JP5862137B2 (ja) 脈動発生装置用制御装置および液体噴射装置
JP2012143280A (ja) 容量性負荷駆動回路
JP6004052B2 (ja) 液体噴射装置
JP5880755B2 (ja) 流体噴射装置
JP5625785B2 (ja) 容量性負荷駆動回路および液体噴射装置
JP5764917B2 (ja) 容量性負荷駆動回路、配線及び液体噴射装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140606

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140606

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20150107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150319

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150512

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150630

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151020

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5842417

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees