以下、実施形態の液晶表示装置について、図面を参照して説明する。
図1に第1実施形態の液晶表示装置1の一構成例を概略的に示す。本実施形態に係る液晶表示装置1は、ノーマリブラックのIPSモードの液晶表示装置であって、互いに対向する一対の基板、すなわち第1基板101および第2基板102と、第1基板101と第2基板102との間に挟持された液晶層(図示せず)と、マトリクス状に配置された表示画素PXを含む表示部110と、を備えている。
第1基板101および第2基板102は、光透過性絶縁基板であって、例えばガラス基板である。
第1基板101は、表示部110において、表示画素PXが配列する行方向(第2方向)D2に沿って延びた複数の走査線GLと、表示画素PXが配列する列方向(第1方向)D1に沿って延びた複数の信号線SLと、走査線GLと信号線SLとの交差位置近傍に配置された画素スイッチSWと、各表示画素PXに配置された複数の画素電極PEと、複数の画素電極PEとの間に横電界を形成するように配置された共通電極CEと、を備えている。
第1基板101上には、表示部110の周囲の領域にゲートドライバ121とソースドライバ122とが配置されている。複数の走査線GLは、表示部110の周囲の領域に延びてゲートドライバ121に接続されている。複数の信号線SLは、表示部110の周囲の領域に延びてソースドライバ122に接続されている。
ゲートドライバ121は、複数の走査線GLを順次駆動して、走査線GLに接続された画素スイッチSWのソース−ドレイン間を導通させる。ソースドライバ122は、複数の信号線SLに映像信号を供給する。信号線SLに供給された映像信号は、対応する画素スイッチを介して画素電極PEに供給される。共通電極CEには、コモン配線COMを介して共通電圧が供給される。
図2に、表示画素PXの一構成例を説明するための平面図を示す。
画素スイッチSWは例えばアモルファスシリコンの半導体層SCを含む薄膜トランジスタである。なお画素スイッチSWはポリシリコンの半導体層を含む薄膜トランジスタであってもよい。画素スイッチSWのゲート電極GEは、対応する走査線GLに電気的に接続されている(あるいは一体に形成されている)。画素スイッチSWのソース電極SEは、対応する信号線SLに電気的に接続されている(あるいは一体に形成されている)。本実施形態に係る液晶表示装置1では、画素スイッチSWが2つのソース電極を備えている。画素スイッチSWのドレイン電極DEは、コンタクトホールCH1を介して対応する画素電極PEに接続されている。
画素電極PEは、列方向D1における一方に配置された走査線GLによりゲート電位を制御される画素スイッチSWにより信号線SLとの電気的接続が切換られる。また、画素電極PEは、列方向D1における他方に配置された補助容量電極CsEとコンタクトホールCH3において電気的に接続されている。
画素電極PEは例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明電極材料により櫛歯状に形成され、表示画素PXの配列する列方向D1と略平行に延びた複数の櫛歯画素電極PE1〜PE3を備えている。複数の櫛歯画素電極PE1〜PE3は表示画素PXの長手方向(列方向D1)の略中央部において屈曲し、「>」形状に延びている。
共通電極CEは例えばITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)等の透明電極材料により櫛歯状に形成され、表示画素PXの配列する列方向D1と略平行に延びた複数の櫛歯共通電極CE1〜CE4を備えている。複数の櫛歯共通電極CE1〜CE4は表示画素PXの長手方向(列方向D1)の略中央部において屈曲し、「>」形状に延びている。共通電極CEは、後述するコモン配線COMとコンタクトホールCH2において電気的に接続している。
なお、図1において信号線SLは直線で記載されているが、図2に示すように信号線SLは画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3および共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4の形状と同様に、表示画素PXの長手方向の略中央部において屈曲して延びている。
コモン配線COMは走査線GLと同じ層において走査線GLが延びる方向(行方向D2)と略平行に延びて配置されている。コモン配線COMは行方向D2に並ぶ複数の表示画素PXに配置された共通電極CEと電気的に接続され、これらの共通電極CEへコモン電圧を印加している。
また、コモン配線COMは、信号線SLと信号線SLの両脇に配置された櫛歯共通電極CE1、CE4との下層に延びて配置された遮光部COM1を備えている。遮光部COM1は、後述する第2基板102の遮光層BMと共に表示画素PX間において光が透過することを防止するように配置されている。
補助容量電極CsEはコモン配線COMと対向して配置されている。補助容量電極CsEは信号線SLと同じ層に配置され、画素電極PEの1つの櫛歯画素電極PE2とコンタクトホールCH3により電気的に接続されている。補助容量電極CsEとコモン配線COMとの間で補助容量Csが形成される。
画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3と、共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4とは、表示画素PXの配列する行方向D2において、所定のスペースを置いて交互に配置されている。
第2基板102は、表示部110において、信号線SLおよび走査線GLと対向するように格子状に配置された遮光層BMと、表示部110を囲むように配置された遮光層(図示せず)と、を備えている。また、カラー表示タイプの液晶表示装置である場合には、第2基板102はカラーフィルタ層(図示せず)を備える。
カラーフィルタ層は、赤色の主波長の光を透過する赤色カラーフィルタ(図示せず)と、緑色の主波長の光を透過する緑色カラーフィルタ(図示せず)と、青色の主波長の光を透過する青色カラーフィルタ(図示せず)と、を備えている。複数色のカラーフィルタは、それぞれが1つの画素電極PEと対向するように配置される。
第1基板101および第2基板102上には、液晶層を介して対向した一対の配向膜(図示せず)が配置されている。配向膜の表面は、液晶層に含まれる液晶分子の初期配向状態を規制するために、所定の方向にラビング処理や光学配向処理等の配向処理が成されている。櫛歯画素電極PE1〜PE3へ供給される映像信号と、櫛歯共通電極CE1〜CE4へ供給される共通電圧との電位差により生じる横電界により、液晶層の配向状態が制御される。
図3に、図2の線III−IIIにおける断面において、画素電極PEと共通電極CEとの配置位置を概略的に示す。なお、図3では、コモン配線COMの遮光部COM1と、画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3と、共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4と、信号線SLと、遮光層BMとを図示し、その他の構成の記載を省略している。
行方向D2において、櫛歯画素電極PE1〜PE3および櫛歯共通電極CE1〜CE4の幅は略2.7μmであり、信号線SLの幅は略3.0μmである。櫛歯共通電極CE1、CE4と信号線SLとは遮光層BMと遮光部COM1との間に配置されている。
図3に示すように、表示画素PXが配列する行方向D2において、画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3と、共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4との間のスペース幅が、画素中央部と画素端部とで異なっている。
本実施形態では、行方向D2において信号線SL近傍の櫛歯画素電極PE1、PE3と櫛歯共通電極CE1、CE4との間のスペース幅W1、W6は、行方向D2において隣り合う信号線SL間の中央部における櫛歯画素電極PE1〜PE3と櫛歯共通電極CE2、CE3との間のスペース幅W2、W3、W4、W5よりも大きい。
ここで、行方向D2において信号線SL近傍の櫛歯画素電極PE1、PE3と櫛歯共通電極CE1、CE4との間のスペース幅とは、画素スイッチSWを介して画素電極PEへ映像信号を供給する信号線SL側から1番目の櫛歯共通電極CE4と1番目の櫛歯画素電極PE3との間のスペース幅W6、および、4番目の櫛歯共通電極CE1と3番目の櫛歯画素電極PE1との間のスペース幅W1である。
すなわち、各表示画素PXにおいて、隣の表示画素PXの画素電極PEへ映像信号を供給する信号線SLの脇に配置された櫛歯共通電極CE1と、櫛歯共通電極CE1の隣に並んで配置された櫛歯画素電極PE1との間のスペース幅W1、および、自表示画素PXの画素電極PEへ映像信号を供給する信号線SLの脇に配置された櫛歯共通電極CE4と、櫛歯共通電極CE4の隣に並んで配置された櫛歯画素電極PE3との間のスペース幅W6は、櫛歯画素電極PE1と櫛歯共通電極CE2との間のスペース幅W2、櫛歯共通電極CE2と櫛歯画素電極PE2との間のスペース幅W3、櫛歯画素電極PE2と櫛歯共通電極CE3との間のスペース幅W4、および、櫛歯共通電極CE3と櫛歯画素電極PE3との間のスペース幅W5よりも大きい。また、櫛歯共通電極CE1と櫛歯画素電極PE1との間のスペース幅W1は、櫛歯画素電極PE3と櫛歯共通電極CE4との間のスペース幅W6よりも大きい。
具体的には、本実施形態では、表示画素PXの端部におけるスペース幅W1が略9.5μmであり、スペース幅W6は略9.3μmである。これに対し、表示画素PXの中央部におけるスペース幅W2〜W5は略6.2μmである。
図4に上記液晶表示装置1について、押圧により液晶の配向状態が乱れた場合、押圧をやめた後でも液晶の配向状態が元に戻らないドメインの発生を評価した結果の一例を示す。本実施形態では、白表示液晶駆動電圧を3.7Vから5.7Vまで0.1Vずつ変化させて、櫛歯画素電極PE1〜PE3と櫛歯共通電極CE1〜CE4との間におけるドメインの発生の有無を評価した。図4において、「○」評価はドメインが発生しなかったことを示し、「×」評価はドメインが発生したことを示す。
白表示液晶駆動電圧が3.7V以上5.0V以下である場合には、櫛歯画素電極PE1〜PE3と櫛歯共通電極CE1〜CE4との間のいずれの箇所にもドメインが発生しなかった。白表示液晶駆動電圧が5.1V以上5.7V以下である場合には、櫛歯共通電極CE3と櫛歯画素電極PE3との間のスペースにドメインが発生した。白表示液晶駆動電圧が5.3V以上5.7V以下である場合には、櫛歯共通電極CE1と櫛歯画素電極PE1との間のスペースにさらにドメインが発生した。白表示液晶駆動電圧5.7Vである場合には、櫛歯画素電極PE1と櫛歯共通電極CE2との間のスペースにさらにドメインが発生した。
図7に比較例の液晶表示装置の画素電極PEと共通電極CEとの配置位置を概略的に示す。なお図7では、図3と同様に、コモン配線COMの遮光部COM1と、画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3と、共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4と、信号線SLと、遮光層BMとを図示し、その他の構成の記載を省略している。
この比較例では、表示画素PXが配列する行方向D2において、櫛歯画素電極PE1〜PE3および櫛歯共通電極CE1〜CE4の幅は略3.6μmであり、信号線SLの幅は略3.0μmであり、画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3と、共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4との間のスペース幅W1〜W6が略等しく、略6.2μmである。比較例の液晶表示装置は、スペース幅W1〜W6以外は上記実施形態の液晶表示装置1と同様である。
図8に、上記比較例の液晶表示装置について、押圧により液晶の配向状態が乱れた場合、押圧をやめた後でも液晶の配向状態が元に戻らないドメインの発生を評価した結果の一例を示す。
図4に示す場合と同様に、白表示液晶駆動電圧を3.7Vから5.7Vまで0.1Vずつ変化させて、櫛歯画素電極PE1〜PE3と櫛歯共通電極CE1〜CE4との間におけるドメインの発生の有無を評価した。
白表示液晶駆動電圧が3.7V以上5.7V以下のいずれの場合でも、櫛歯共通電極CE1と櫛歯画素電極PE1との間のスペースにドメインが発生した。白表示液晶駆動電圧が5.1V以上5.7V以下である場合には、櫛歯共通電極CE3と櫛歯画素電極PE3との間のスペースにさらにドメインが発生した。白表示液晶駆動電圧が5.7Vである場合には、櫛歯画素電極PE1と櫛歯共通電極CE2との間のスペースにさらにドメインが発生した。
したがって、この比較例の液晶表示装置では、白表示液晶駆動電圧を3.7Vと設定することとなり、白表示が暗くなってしまう。これに対し、本実施形態の液晶表示装置1では、白表示液晶駆動電圧を5.0Vと設定することで明るい白表示が可能となる。
すなわち、本実施形態の液晶表示装置1によれば、ドメインの発生を抑制し、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
次に、第2実施形態の液晶表示装置1について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において上述の第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の液晶表示装置1は、櫛歯画素電極PE1〜PE3と櫛歯共通電極CE1〜CE4との間のスペース幅W1〜W6が上述の第1実施形態と異なっている。
図5に、本実施形態の液晶表示装置1について、図2の線III−IIIにおける断面での、画素電極PEと共通電極CEとの配置位置を概略的に示す。なお、図5では、コモン配線COMの遮光部COM1と、画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3と、共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4と、信号線SLと、遮光層BMとを図示し、その他の構成の記載を省略している。
本実施形態では、表示画素PXが配列する行方向D2において、歯画素電極PE1〜PE2および櫛歯共通電極CE1〜CE4の幅は略2.7μmであり、櫛歯画素電極PE3の幅は3.0μmであり、信号線SLの幅は略3.0μmであり、画素電極PEの櫛歯画素電極PE1〜PE3と、共通電極CEの櫛歯共通電極CE1〜CE4との間のスペース幅が、画素中央部において異なっている。
すなわち、行方向D2において隣り合う信号線SL間の中央部における櫛歯画素電極PE1〜PE3と、櫛歯共通電極CE2、CE3との間のスペース幅W2、W3、W4、W5が等しくない。
本実施形態では、第2方向D2において隣り合う信号線SL間の中央部における櫛歯画素電極PE1〜PE3と櫛歯共通電極CE2、CE3との間の複数のスペース幅W2、W3、W4、W5の中で、画素スイッチSWを介して画素電極PEへ映像信号を供給する信号線SL側から、1番目の櫛歯画素電極PE3と2番目の櫛歯共通電極CE3との間のスペース幅W5が他のスペース幅より大きく、2番目の櫛歯画素電極PE2と3番目の櫛歯共通電極CE2との間のスペース幅W3が他のスペース幅より小さい。
また、上記第1実施形態と同様に、各表示画素PXにおいて、隣の表示画素PXの画素電極PEへ映像信号を供給する信号線SLの脇に配置された櫛歯共通電極CE1と、櫛歯共通電極CE1の隣に並んで配置された櫛歯画素電極PE1との間のスペース幅W1、および、自表示画素PXの画素電極PEへ映像信号を供給する信号線SLの脇に配置された櫛歯共通電極CE4と、櫛歯共通電極CE4の隣に並んで配置された櫛歯画素電極PE3との間のスペース幅W6は、櫛歯画素電極PE1と櫛歯共通電極CE2との間のスペース幅W2、櫛歯共通電極CE2と櫛歯画素電極PE2との間のスペース幅W3、櫛歯画素電極PE2と櫛歯共通電極CE3との間のスペース幅W4、および、櫛歯共通電極CE3と櫛歯画素電極PE3との間のスペース幅W5よりも大きい。また、櫛歯共通電極CE1と櫛歯画素電極PE1との間のスペース幅W1は、櫛歯画素電極PE3と櫛歯共通電極CE4との間のスペース幅W6よりも大きい。
具体的には、本実施形態では、スペース幅W1が略9.5μmであり、スペース幅W6は略9.3μmである。スペース幅W2、W4は略6.2μmであり、スペース幅W3は4.9μmであり、スペース幅W5は7.4μmである。
図6に上記液晶表示装置1について、押圧により液晶の配向状態が乱れた場合、押圧をやめた後でも液晶の配向状態が元に戻らないドメインの発生を評価した結果の一例を示す。本実施形態では、白表示液晶駆動電圧を3.7Vから5.7Vまで0.1Vずつ変化させて、櫛歯画素電極PE1〜PE3と櫛歯共通電極CE1〜CE4との間におけるドメインの発生の有無を評価した。図4において、「○」評価はドメインが発生しなかったことを示し、「×」評価はドメインが発生したことを示す。
白表示液晶駆動電圧が3.7V以上5.2V以下である場合には、櫛歯画素電極PE1〜PE3と櫛歯共通電極CE1〜CE4との間のいずれの箇所にもドメインが発生しなかった。白表示液晶駆動電圧が5.3V以上5.7V以下である場合には、櫛歯共通電極CE1と櫛歯画素電極PE1との間のスペースにドメインが発生した。白表示液晶駆動電圧が5.7Vである場合には、櫛歯画素電極PE1と櫛歯共通電極CE2との間のスペースにさらにドメインが発生した。
したがって、本実施形態では白表示液晶駆動電圧を5.2Vと設定することで、上述の比較例の液晶表示装置と比べて明るい白表示が可能となる。さらに本実施形態では上述の第1実施形態よりもドメインの発生を抑制することができ、より明るい白表示を実現することができた。
すなわち、本実施形態の液晶表示装置1によれば、ドメインの発生を抑制し、表示品位の良好な液晶表示装置を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。