JP2013003372A - ホログラム画像形成方法、ホログラム画像形成装置およびホログラム画像形成用トナー - Google Patents
ホログラム画像形成方法、ホログラム画像形成装置およびホログラム画像形成用トナー Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 エンボスホログラム転写部材を、凹凸が形成された面が電子写真画像部に接触する状態に積層し、加熱すると共に加圧した後、冷却し、エンボスホログラム転写部材を剥離することにより、当該エンボスホログラム転写部材に係る凹凸を電子写真画像部に転写する工程を有する方法であって、加熱が、トナーの粘性率ηが1.0×102 〜1.0×104 Pa・sとなる温度領域で行われると共に、剥離が、トナーの貯蔵弾性率G´が1.0×105 〜1.0×108 N/cm2 となる温度領域で行われることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
ホログラムの中でも特にエンボスホログラムは、特定の干渉縞を物品の表面に凹凸として形成することによってホログラム像を容易に発現させることができるために、多く利用されている。
前記加熱が、前記トナーの粘性率ηが1.0×102 〜1.0×104 Pa・sとなる温度領域で行われると共に、前記剥離が、前記トナーの貯蔵弾性率G´が1.0×106 〜5.0×108 N/cm2 となる温度領域で行われることを特徴とする。
前記加熱が、前記トナーの粘性率ηが1.0×102 〜1.0×104 Pa・sとなる温度領域で行われると共に、前記剥離が、前記トナーの貯蔵弾性率G´が1.0×106 〜5.0×108 N/cm2 となる温度領域で行われることを特徴とする。
前記加熱が行われる温度領域における、前記トナーの粘性率ηが1.0×102 〜1.0×104 Pa・sであり、前記剥離が行われる温度領域における、前記トナーの貯蔵弾性率G´が1.0×106 〜5.0×108 N/cm2 であることを特徴とする。
そして、本発明のホログラム画像形成方法によれば、トナーの加熱およびエンボスホログラム転写部材の剥離を、当該トナーの熱特性に応じた温度領域において行うので、所期のエンボスホログラム転写部材に係る凹凸パターンを忠実に再現させることができる。
本発明のホログラム画像形成方法は、図1(a)に示されるような電子写真方式の画像形成方法によって得られた、画像支持体11上に電子写真画像部12が形成されてなる電子写真画像10に、エンボスホログラム転写部材20を、当該エンボスホログラム転写部材20における凹凸が形成された面(以下、「凹凸面」ともいう。)21が電子写真画像部12に接触する状態に積層し、特定の加熱加圧処理(図1(b)参照)をした後、冷却(図1(c)参照)し、その後、エンボスホログラム転写部材20を剥離することにより、このエンボスホログラム転写部材20に係る凹凸パターンを電子写真画像部12の表面に転写し(図1(d)参照。)、これにより、ホログラム像が発現されるホログラム画像部12Hを形成させて、ホログラム画像10Hを形成するものである。
本発明のホログラム画像形成方法においてエンボスホログラム転写部材20に係る凹凸パターンを転写する対象となる電子写真画像10は、画像支持体11上に電子写真画像部12が形成されてなる構成を有するものであって、電子写真方式の画像形成方法によって得られ、具体的には、静電潜像担持体上に形成した静電潜像を、少なくとも熱可塑性樹脂を含有するトナーにより現像してトナー像を形成し、当該トナー像を画像支持体11上に転写して未定着トナー像を形成し、当該未定着トナー像を加熱定着させることによってトナー層からなる電子写真画像部12が形成されることにより得られるものである。
電子写真画像部12の厚みは、具体的には、静電潜像の現像工程における各色のトナー付着量の制御、重ね合わせる色数の制御をすることによって調整することができる。
電子写真画像部12の構成は、具体的には、有彩色トナーによる単色画像、有彩色トナーの重ね合わせによる多色画像、クリアトナーによる画像、有彩色トナーとクリアトナーによる重ね合わせによる画像のいずれからなっていてもよいが、クリアトナーを用いた画像を含む場合は、有彩色トナーによる画像が形成されない非画像部においてもクリアトナーによるトナー層を形成できるため、ホログラム像を発現させることができる範囲を広げられることから、好ましい。例えばクリアトナーを用いた場合には、画像支持体11の全面にホログラム像を発現させることもできるようになる。
電子写真画像部12の面積は、特に限定されない。本発明のホログラム画像形成方法によれば、例えば文字画像などの比較的小さい面積であっても、ベタ画像などの大きな面積であっても、ホログラム像を発現させることができる。
具体的には、例えば、接触加熱方式の定着装置を用いることができる。
そして、本発明のホログラム画像形成方法における特定の加熱加圧処理は、トナーの粘性率ηが1.0×102 〜1.0×104 Pa・sとなる温度領域にある特定の加熱温度に加熱しながら加圧することにより、行われる。
具体的には、用いられるトナーの熱特性によって異なるが、例えば80〜200℃とされることが好ましく、より好ましくは100〜180℃である。
粘性率ηが上記範囲内であれば電子写真画像部12の表面がエンボスホログラム転写部材20の凹凸形状に追随し易い状態になる。本発明においては、トナーの粘性率ηを、このようなエンボスホログラム転写部材20の凹凸へのトナーの追随性を表す指標として用いている。
従って、粘性率ηが上記範囲内となる特定の加熱温度に加熱することにより、当該エンボスホログラム転写部材20に係る凹凸パターンを忠実に再現させることができる。一方、特定の加熱加圧処理における加熱温度が上記の温度領域を逸脱して高い場合は、トナーの粘性率ηが小さい状態となるために、エンボスホログラム転写部材20と電子写真画像部12の間に歪みが生じやすくなったり、エンボスホログラム転写部材20と電子写真画像部12とが密着し難くなったりすることによって、エンボスホログラム転写部材20の凹凸形状に電子写真画像部12を十分に追随させることができない。また、ペーパーブリスター(画像支持体からの水分蒸発による画像欠陥)が発生してしまうことがある。特定の加熱加圧処理における加熱温度が上記の温度領域を逸脱して低い場合は、トナーの粘性率ηが大きい状態となるためにエンボスホログラム転写部材20の凹凸形状に電子写真画像12を十分に追随させることができない。
本発明のホログラム画像形成方法に用いるトナーの温度に対する粘性率ηの変化を示す曲線を図2に示す。
特定の加熱加圧処理における加熱温度は、具体的には、通紙後の積層体におけるエンボスホログラム転写部材20の凹凸面21と反対側の面22の表面温度が上記の範囲になるよう、加熱ローラおよび加圧ローラのローラ表面温度を制御することにより、調整される。
具体的には、例えば、図1(b)に示されるように、熱源32が備えられた加熱ローラ37と加圧ローラ39とが互いに圧接されてなる加熱加圧装置30を用いて、圧接部に形成されるニップに電子写真画像10とエンボスホログラム転写部材20との積層体を通紙することによって、行うことができる。
加圧の大きさが0.10MPa未満である場合は、電子写真画像部12にエンボスホログラム転写部材20の凹凸形状を十分に追随させることができないおそれがあり、また、0.80MPaを超える場合は、電子写真画像部12の厚みが小さい場合に画像支持体11が損傷するおそれがある。
特定の加熱加圧処理後の積層体の冷却は、電子写真画像部12を構成するトナーの貯蔵弾性率G´が1.0×106 〜5.0×108 N/cm2 となる温度領域にある特定の剥離温度となるまで行われる。
冷却された積層体からのエンボスホログラム転写部材20を剥離は、電子写真画像部12を構成するトナーの貯蔵弾性率G´が1.0×106 〜5.0×108 N/cm2 となる温度領域にある特定の剥離温度において行われる。
本発明のホログラム画像形成方法に用いるトナーの温度に対する貯蔵弾性率G´の変化を示す曲線を図3に示す。
具体的には、用いられるトナーの熱特性によって異なるが、例えば30〜90℃とされることが好ましく、より好ましくは40〜60℃である。
本発明においては、貯蔵弾性率G´を、剥離の際のトナー層の変形のし難さの度合いを表す指標として用いている。
つまり、このような特定の剥離温度において剥離することにより、トナー層が十分な強度を有する状態において剥離することができるために、剥離の際にエンボスホログラム転写部材20の凹凸形状が変形してしまうことが抑制され、特定の加熱加圧処理において得られる凹凸形状を維持したままエンボスホログラム転写部材20を剥離することができる。一方、剥離温度が上記の温度領域を逸脱して高い場合は、トナーの貯蔵弾性率G´が小さく脆い状態となるために、剥離時のストレスなどによって、電子写真画像部12の表面に転写された凹凸形状が損傷される。また、剥離温度が上記の温度領域を逸脱して低い場合は、冷却に係るエネルギーが多量となり、環境負荷が大きくなる。
ここに、剥離温度とは、エンボスホログラム転写部材20の電子写真画像部12と接触している凹凸面21と反対側の面22の表面温度のことをいい、具体的には、赤外線放射温度計「IR0510」(ミノルタ社製)を用いて当該エンボスホログラム転写部材20の面22について、剥離する直前の表面温度を測定したものとされる。例えば図4に示されるホログラム処理装置を用いて連続処理する場合においては、剥離ローラ28によって剥離される位置の手前5〜10cmの位置の表面温度とされる。
本発明のホログラム画像形成方法に使用されるエンボスホログラム転写部材20は、その一面が、一般のホログラム形状が微細な凹凸としてエンボス加工されて凹凸面21とされたものである。このエンボスホログラム転写部材20は、フィルムシート状、ベルト状、スタンパー状またはローラ状など、いずれの形態を有するものであってもよいが、生産性の観点から、ベルト状の形態を有するものであることが特に好ましい。
エンボスホログラム転写部材20がベルト状の形態を有するものである場合、このエンボスホログラム転写部材20の材料としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを基材として形成されたものが好適であり、継ぎ目のないシームレスベルトであっても、シート状のフィルムを継いでベルト状に加工した物であってもよい。
このホログラム処理装置1は、一定速度で駆動される、互いに接触または圧接された状態に配置された凹凸形状追随ローラ38a、38bよりなる加熱加圧装置30aと、一方の凹凸形状追随ローラ38a、剥離ローラ28、支持ローラ29に、凹凸面21が外側面となるよう張架された無端ベルト状のエンボスホログラム転写部材20と、エンボスホログラム転写部材20の移動方向における加熱加圧装置30aの下流側であって剥離ローラ28の上流側に設けられた冷却部45と、当該冷却部45の下流側における剥離ローラ28の付近に設けられた剥離部47とにより構成されている。このようなホログラム処理装置1によっては、複数枚の電子写真画像10のそれぞれについて、連続的にホログラム加工を行うことができる。
凹凸形状追随ローラ38bは、その内部に、例えば300〜350Wのハロゲンランプを加熱源として配設させて、当該凹凸形状追随ローラ38bの表面温度が所定温度となるように内部から加熱する構成を有するものとすることもできる。
すなわち、まず、例えば画像支持体11上の全面に電子写真画像部12が形成されてなる電子写真画像10が、当該電子写真画像10の電子写真画像部12がエンボスホログラム転写部材20の凹凸面21に接触する状態で加熱加圧装置30aのニップ部において凹凸形状追随ローラ38a、38bの駆動によって挟持搬送される。ニップ部において、電子写真画像部12が加熱されて溶融すると同時に画像支持体11に対してエンボスホログラム転写部材20の凹凸形状に追随した状態に融着する。
この融着によってエンボスホログラム転写部材20の外側面に電子写真画像10が密着した状態とされ、当該エンボスホログラム転写部材20が矢印方向に循環移動することによって電子写真画像10が冷却部45に移動される。
電子写真画像10は、冷却部45を通過する間に、ファン40aおよび冷却機構によるエアーによって強制的に冷却され、これにより、ホログラム画像部12Hが形成される。
そして、剥離部47に搬送された電子写真画像10は、エンボスホログラム転写部材20の屈曲部に到達し、その循環移動方向の大きな変化時における電子写真画像10を構成する画像支持体11自身の剛性(腰)によってエンボスホログラム転写部材20から剥離され、搬送補助ローラ46に重心が移動することにより、エンボスホログラム転写部材20からの剥離が促進され、エンボスホログラム転写部材20の凹凸形状の転写がなされて、これにより、ホログラム画像10Hが形成される。なお、剥離する際の線速は、20〜200mm/secとされることが好ましく、また、剥離ローラ28のローラ径は、φ10〜40mmであることが好ましい。
このホログラム処理装置2は、一定速度で駆動される、互いに接触された状態に配置された一対の駆動ローラ25a、25bと、一方の駆動ローラ25a、剥離ローラ25c、支持ローラ25d、25eに、凹凸面21が外側面となるよう張架された無端ベルト状のエンボスホログラム転写部材20と、エンボスホログラム転写部材20の移動方向における駆動ローラ25aの下流側であって剥離ローラ25cの上流側に設けられた加熱加圧装置30bと、当該加熱加圧装置30bの下流側に設けられた冷却部42とにより構成されている。このようなホログラム処理装置2によっても、複数枚の電子写真画像10のそれぞれについて、連続的にホログラム加工を行うことができ、さらに、各々の電子写真画像10について、例えば一部にのみ加熱処理を行ってホログラム加工を施すことができる。
すなわち、まず、電子写真画像10上の全面または一部に電子写真画像部12が形成されてなる電子写真画像10が、当該電子写真画像10の電子写真画像部12がエンボスホログラム転写部材20の凹凸面21に接触する状態で駆動ローラ25a、25bの駆動によって加熱加圧装置30bにおけるサーマルヘッド35と押圧部材36との間に搬送され、ここにおいて、電子写真画像部12が加熱されて溶融すると同時に画像支持体11に対してエンボスホログラム転写部材20の凹凸形状に追随した状態に融着する。
この融着によってエンボスホログラム転写部材20の外側面に電子写真画像10が密着した状態とされ、当該エンボスホログラム転写部材20が矢印方向に循環移動することによって電子写真画像10が冷却部42に移動される。
電子写真画像10は、冷却部42を通過する間に強制的に冷却され、これにより、ホログラム画像部12Hが形成される。
そして、剥離ローラ25cに搬送された電子写真画像10は、エンボスホログラム転写部材20の屈曲部に到達し、その循環移動方向の大きな変化時における電子写真画像10を構成する画像支持体11自身の剛性(腰)によってエンボスホログラム転写部材20から剥離され、エンボスホログラム転写部材20の凹凸形状の転写がなされて、これにより、ホログラム画像10Hが形成される。
ホログラム加工手段としては、上述したような、電子写真画像10上に電子写真画像部12が形成されたものの上にエンボスホログラム転写部材20を積層して加熱加圧装置30を通紙させる構成のものを使用することができる。
また、上述したような、ベルト状のエンボスホログラム転写部材20を用いたホログラム処理装置1,2を使用することもできる。
本発明のホログラム画像形成方法に使用される画像支持体11としては、電子写真画像部12を保持することができるものであればよく、具体的には、例えば薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙などの各種の印刷用紙などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明のホログラム画像形成方法によれば、画像支持体11の種類にかかわらず、画像支持体11の表面の凹凸を覆うことのできる厚さの電子写真画像部12を確保することができれば、簡単にホログラム画像10Hを形成することができる。
本発明のホログラム画像形成方法に使用される画像支持体11としては、特に、表面の凹凸の少ないコート紙、例えば、市販品としては「OKトップコート157g/m2 」(王子製紙社製)、「PODグロスコート157g/m2 」(王子製紙社製)が、電子写真画像部12の厚みを確保しやすいために、好ましい。
電子写真画像10における電子写真画像部12を形成するためのトナーは、静電荷像現像用のものであって、少なくとも熱可塑性樹脂を含む結着樹脂を含有するトナー粒子よりなるものである。
トナーとしては、有彩色トナーやクリアトナーが挙げられる。
ここに、有彩色トナーとは、光吸収や光散乱による着色を目的とした着色剤を含有するトナーのことをいい、また、クリアトナーとは、光吸収や光散乱の作用により色が認識されないトナーのことをいう。クリアトナーは実質的に無色透明であればよく、例えば、顔料、染料などの着色剤を含まないトナーや、顔料、染料などの着色剤を色認識できない程度に含むトナー、結着樹脂やワックス、外添剤の種類や添加量により透明度が若干低くなっているトナーなどが挙げられる。
クリアトナーは、例えば有彩色トナーによって形成されたトナー像上に当該クリアトナーによるトナー層を重ねることによって、得られる電子写真画像において高い光沢性が得られるなどの利点を得るために用いられるものである。
本発明のホログラム画像形成方法においては、例えばクリアトナーによるトナー層を画像支持体11の全面に形成することによって、有彩色トナーによるトナー像が画像支持体11に対して部分的にしか形成されない場合であっても、全面にホログラム像を発現させることができる。
本発明のホログラム画像形成方法に用いる電子写真画像を得るためのトナーを構成する結着樹脂は、少なくとも熱可塑性樹脂を含むものである。
結着樹脂における熱可塑性樹脂の割合は、90〜100質量%であることが好ましく、特に、特定の加熱加圧処理、冷却および剥離を経ることによって形状を転写するという観点から、電子写真画像部12の最表面層を構成するトナーの結着樹脂については、熱可塑性樹脂の割合が100質量%であることが好ましい。
結着樹脂における熱可塑性樹脂の割合が90質量%未満である場合は、エンボスホログラム転写部材20に係る凹凸パターンを忠実に転写することができずに鮮明なホログラム像を発現させることができないというおそれがある。
本発明において、熱可塑性樹脂とは、加熱によって軟化して可塑性を示し、かつ、冷却によって固化する性質をもつ樹脂のことをいう。
熱可塑性樹脂としては、具体的には、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂、などの公知の種々の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
熱可塑性樹脂は、融点を有する結晶性樹脂と、融点を有さずにガラス転移点を有する非晶性樹脂とのいずれであってもよい。
本発明において、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。明確な吸熱ピークとは、具体的には、示差走査熱量測定(DSC)において、昇温速度10℃/minで測定した際に、吸熱ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。結晶性樹脂の具体例としては、結晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。
また、非晶性樹脂とは、上述したDSCにおいて明確なピークを有さない樹脂であり、結晶性樹脂以外の樹脂をいう。非晶性樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、非晶性ポリエステル樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、熱可塑性樹脂としては、樹脂の透明性の観点から、非晶性樹脂を用いることが好ましく、溶融特性が低粘度で高いシャープメルト性を有するという観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂およびこれらの混合樹脂を好適に用いることができる。
結着樹脂を構成する熱可塑性樹脂以外の樹脂としては、エポキシ樹脂、尿素樹脂およびフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係るトナーが有彩色トナーである場合、当該トナーに含有される着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
カラーのトナーを得るための着色剤としては、具体的には、顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ13、同31、同43、C.I.ピグメントブルー15:3、同60、同76などを挙げることができ、染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
結着樹脂と着色剤とが混在された微粒子は、当該結着樹脂を形成すべき重合性単量体に予め着色剤を溶解させておき、着色剤を含有した重合性単量体を重合させることにより、作製することができる。
特に、粘性率ηが1.0×102 〜1.0×104 Pa・sとなる温度領域が、80〜200℃の温度範囲を含むと共に、貯蔵弾性率G´が1.0×106 〜5.0×108 N/cm2 となる温度領域が、30〜90℃の温度範囲を含むことが好ましい。
トナーが上記の熱特性を有するものであることにより、電子写真画像部12の加熱において当該電子写真画像部12の表面がエンボスホログラム転写部材20の凹凸形状に十分に追随されると共に、エンボスホログラム転写部材20の剥離において当該凹凸形状を維持したまま当該エンボスホログラム転写部材20が剥離されるために、当該エンボスホログラム転写部材20に係る凹凸パターンを忠実に再現させることができる。
(1)トナーを温度20±1℃、相対湿度50±5%RHの環境下において、測定試料シャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、0.6gを圧縮成型器に装填し、3tの荷重を30秒間加えることにより、直径1cmのペレットを作製する。
(2)ペレットを直径0.977cmのパラレルプレートに装填する。
(3)測定部温度をトナーの軟化点−20℃、パラレルプレートギャップを3mmに設定する。この設定により、測定部はトナーの軟化点−20℃に加熱され、ギャップが3mmになるまでペレットは圧縮される。その後、35℃まで放冷する。
(4)測定部温度を35℃に設定した後、周波数1.0Hzの正弦波振動を加えながら、
測定部を毎分5℃の昇温速度で200℃まで昇温し、160℃から180℃における複素弾性率G* を測定する。ひずみ角は自動ひずみ制御にて行う。
トナーの軟化点は、下記に示すフローテスターによって測定されるものである。
具体的には、まず、20℃、50%RHの環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、トナーの軟化点とされる。
すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料(トナー)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。また、検出器には屈折率検出器を用いる。
測定手順は、トナー3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。
ガラス転移点は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
以上のようなトナーは、その平均粒径が体積基準のメディアン径で3〜10μmであることが好ましく、より好ましくは6〜9μmである。このトナーの平均粒径は、例えば、使用する凝集剤(塩析剤)の濃度や凝集停止剤の添加のタイミング、凝集時の温度、重合体の組成によって制御することができる。体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の電解液「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。測定装置において、測定粒子カウント数を25,000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径(体積D50%径)を体積基準のメディアン径とする。
また、以上のようなトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.850〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.900〜0.995である。
この平均円形度が0.850〜1.000の範囲にあることにより、画像支持体11に転写されたトナー層におけるトナー粒子の充填密度が高くなって定着性が向上し、定着オフセットが発生しにくくなる。また、個々のトナー粒子が破砕しにくくなって摩擦帯電付与部材の汚染が減少し、トナーの帯電性が安定する。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
本発明のホログラム画像形成方法に用いるトナーを製造する方法としては、例えば混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、乳化凝集法を用いることが好ましい。この乳化凝集法によれば、製造コストおよび製造安定性の観点から、トナー粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
ここに、乳化凝集法とは、乳化によって製造された結着樹脂の微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を、必要に応じて、着色剤の微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)の分散液と混合し、所望のトナー粒子径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行い、これによりトナー粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂微粒子は、任意に離型剤、荷電制御剤などの内添剤を含有していてもよい。
結着樹脂の乳化方法としては、乳化重合法、ミニエマルション重合法、シード重合法、転相乳化法などが挙げられるが、水のみにて形成可能な重合法を採用することが好ましい。
乳化凝集法を用いて、有彩色トナーを製造する方法の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に着色剤微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤微粒子の分散液と結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、着色剤微粒子および結着樹脂微粒子を凝集、融着させてトナー粒子を形成する工程
(4)トナー粒子の分散系(水系媒体)からトナー粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(5)トナー粒子を乾燥する工程
(6)トナー粒子に外添剤を添加する工程
上記の(2)の工程において得られる結着樹脂微粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよい。このような構成の結着樹脂微粒子は、例えば、乳化重合法であれば、2層構造を有するものは、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)によって樹脂粒子の分散液を調整し、この分散液に重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する手法によって得ることができる。
また、乳化凝集法においては、コア−シェル構造を有するトナー粒子を得ることもでき、具体的にコア−シェル構造を有するトナー粒子は、先ず、コア粒子用の結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを凝集、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂微粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
イオン架橋構造とは、酸基と多価金属イオンとの配位結合(イオン結合)によって生じる架橋構造であり、酸基を有する重合性単量体に由来の構成単位を含有する樹脂に、多価金属イオンを有する化合物を反応させることにより形成することができる。
イオン架橋構造を形成するための酸基を有する重合性単量体としては、カルボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基およびホウ酸基などの1種または2種以上を有するものが挙げられる。これらのうち、酸の強度および共重合の容易さから、カルボン酸基を有する重合性単量体が特に好ましく用いられる。
カルボン酸基を有する重合性単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、αーエチルアクリル酸、クロトン酸などの(メタ)アクリル酸、およびα−アルキル誘導体あるいはβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和ジカルボン酸;コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、コハク酸モノアクリロイルオキシエチレンエステル、フタル酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、フタル酸モノメタクリロイルオキシエチルエステルなどの不飽和ジカルボン酸モノエステル誘導体などが挙げられる。
多価金属イオンとしては、2価または3価の金属イオンで、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオンなどが挙げられる。これらの中でもマグネシウムイオン、アルミニウムイオンが好ましい。なお、これらの金属イオンを組み合わせて用いることもできる。
多価金属イオンを有する化合物としては、上記の多価金属イオンの塩化物、臭化物、硫化物、それらの水和物を挙げることができる。
イオン架橋構造の具体的な形成例としては、例えば、乳化凝集法によるトナーの作製時に、酸基を有する結着樹脂微粒子に、凝集剤として多価金属イオンを有する化合物を添加することにより、結着樹脂微粒子の表面に存在する酸基に多価金属イオンが配位することにより、イオン架橋構造が形成される。
多価金属イオンを有する化合物の添加量は、結着樹脂微粒子100質量部に対して1〜50質量部が好ましい。
重合において高分子量成分または低分子量成分を合成する方法としては、具体的には、用いる重合性単量体の種類、重合開始剤の種類おや量、連鎖移動剤の種類や量、重合温度や重合時間を調整する方法が挙げられる。
結着樹脂微粒子重合工程においては、結着樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタンおよびスチレンダイマーなどを挙げることができる。
結着樹脂微粒子重合工程においては、結着樹脂を得るための重合開始剤は、水溶性の重合開始剤であれば適宜のものを使用することができる。重合開始剤の具体例としては、例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩など)、パーオキシド化合物などが挙げられる。
結着樹脂微粒子重合工程において界面活性剤を使用する場合に、界面活性剤としては、従来公知の種々のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン界面活性剤などを用いることができる。
結着樹脂微粒子重合工程において使用する凝集剤としては、例えばアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を挙げることができる。凝集剤を構成するアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、凝集剤を構成するアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
トナーに離型剤を含有させる場合において、離型剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ライスワックス、キャンデリラワックスなどを挙げることができる。
離型剤の添加量は、最終的に得られるトナー中において0.5〜25質量%、好ましくは3〜10質量%となるよう調整することができる。
離型剤をトナー粒子中に導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、上記に示した着色剤を含有させる方法と同様の方法を挙げることができる。
トナーに荷電制御剤を含有させる場合において、荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
具体的には、サルチル酸錯体、ベンジル酸錯体等のオキシカルボン酸錯体が挙げられ、その酸錯体を構成する中心金属としてはアルミニウム、カルシウム、亜鉛などが挙げられる。また、オキシカルボン酸錯体の他に、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどのアゾ錯体染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
荷電制御剤の添加量は、最終的に得られるトナー中において0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%となるように調整することができる。
荷電制御剤をトナー粒子中に導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、上記に示した着色剤を含有させる方法と同様の方法を挙げることができる。
上記のトナー粒子は、そのままで本発明に用いるトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して本発明に係るトナーを構成してもよい。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
以上のようなトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
そして、トナーの加熱およびエンボスホログラム転写部材20の剥離を、当該トナーの熱特性に応じた温度領域において行うので、所期のエンボスホログラム転写部材20に係る凹凸パターンを忠実に再現させることができる。
なお、クリアトナーの軟化点、粘性率η、貯蔵弾性率G´は、上述の通りに測定した。
〔樹脂微粒子分散液の調製例1〕
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4gをイオン交換水3000gに溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)5gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を75℃とした後、
スチレン 567g
n−ブチルアクリレート 165g
メタクリル酸 68g
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃で2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合(第1段重合)反応を行うことにより、樹脂微粒子〔A1〕が分散された分散液〔A1〕を得た。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた6Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2gをイオン交換水1270gに溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、80℃に加熱した後、上記の分散液〔A1〕を固形分換算で40g投入し、さらに、
スチレン 123g
n−ブチルアクリレート 45g
メタクリル酸 20g
n−オクチルメルカプタン 0.5g
パラフィンワックス「HNP−57」(日本精蝋社製) 82g
からなる単量体混合液を80℃で溶解させた単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)により、1時間混合分散させ、乳化粒子を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム5gをイオン交換水100gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃で1時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第2段重合)反応を行うことにより、樹脂微粒子〔A2〕が分散された分散液〔A2〕を得た。
上記の分散液〔A2〕に、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、
スチレン 390g
n−ブチルアクリレート 143g
メタクリル酸 37g
n−オクチルメルカプタン 13g
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第3段重合)反応を行った後、28℃まで冷却することにより、複合樹脂微粒子よりなる樹脂微粒子〔1〕が分散された樹脂微粒子分散液〔1〕を得た。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、樹脂微粒子分散液〔1〕を固形分換算で450gと、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2gをイオン交換水1100gに溶解させた界面活性剤溶液とを仕込み、液温を30℃に調整した後、この溶液に5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム6水和物60gをイオン交換水60gに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃で10分間かけて添加し、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温し、85℃を保持したまま粒子成長反応を継続し、その状態で「コールターマルチサイザーIII 」(ベックマン・コールター社製)を用いて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6.7μmになった時点で、塩化ナトリウム200gをイオン交換水860gに溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、さらに、熟成処理として液温度95℃で加熱撹拌することにより融着させ、これを平均円形度が0.90になるまで継続し、その後、液温30℃に冷却した。
そして、バスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械(株)製)を用いて固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥することにより、トナー母体粒子〔1〕を得た。
このトナー母体粒子〔1〕に対して、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を1質量%と疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm)を0.3質量%添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井鉱山社製)により混合することにより、クリアトナー粒子よりなるクリアトナー〔1〕を作製した。
このクリアトナー〔1〕の軟化点、粘性率ηが1.0×102 〜1.0×104 Pa・sとなる温度領域(ηに係る温度領域)および貯蔵弾性率G´が1.0×106 〜5.0×108 N/cm2 となる温度領域(G´に係る温度領域)を表1に示す。
トナーの製造例1において、第2段重合工程における連鎖移動剤(n−オクチルメルカプタン)の量、第3段重合工程におけるスチレン(St)、n−ブチルアクリレート(BA)、メタクリル酸(MMA)の量を、表1に従って変更したことの他は同様にして、クリアトナー〔2〕を作製した。
このクリアトナー〔2〕の軟化点、粘性率ηが1.0×102 〜1.0×104 Pa・sとなる温度領域(ηに係る温度領域)および貯蔵弾性率G´が1.0×106 〜5.0×108 N/cm2 となる温度領域(G´に係る温度領域)を表1に示す。
このクリアトナー〔1〕〜〔2〕の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメジアン径40μmのフェライトキャリアを、トナー濃度が6質量%になるよう混合することによって、現像剤〔1〕〜〔2〕を作製した。
デジタル複写機「bizhub C 353」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)によって、画像支持体の「OKトップコート157g/m2 A4」(王子製紙社製)上にカラートナーによる2cm×5cmカラーのベタパッチ像を出力し、さらに、上記のクリアトナー〔1〕〜〔2〕に係る現像剤によってカラーのベタパッチ像上の全面にわたる大きさのクリアトナー像(トナー付着量:4g/m2 )を出力して、画像支持体上にテスト画像部が形成された電子写真画像を作製した。カラーのベタパッチ像の厚みは4μm、クリアトナー像の厚みは3μmとなった。
次いで、この電子写真画像におけるテスト画像部と、表1に従ってエンボスホログラム転写部材としてエンボスホログラム転写部材A(厚さ16μm)「パターン1L (KN−1)」(カタニ産業社製)、エンボスホログラム転写部材B(厚さ16μm)「パターン22L (KN−22)」(カタニ産業社製)またはエンボスホログラム転写部材C(厚さ16μm)「パターン86L セキュリティー」(カタニ産業社製)を用い、両者の凹凸面とが接着するよう積層した積層体を下記に詳述する加熱加圧ローラに下記の制御条件で通紙した後、画像支持体のテスト画像部が形成されていない側の表面温度が表1に示す剥離温度になるまで積層体の画像支持体側からファンにより風冷し、当該温度においてエンボスホログラム転写部材を剥離することによって、ホログラム画像〔1〕〜〔28〕を形成した。
なお、カラーのベタパッチ像を出力するためのカラートナーとしては、デジタル複写機「bizhub C 353」に対応する市販品を用いた。
・加熱ローラおよび加圧ローラが圧接されてニップが形成されたもの
・加熱ローラ:長さ357mm、外径62mm、厚さ5mmのアルミニウム製基体の表面が、厚さ1.5mmのシリコーンゴム層によって被覆され、アルミニウム製基体の内部に、サーミスタにより温度制御されるハロゲンランプ(熱源)が配置されたもの
・加圧ローラ:長さ357mm、外径52mm、厚さ5mmのアルミニウム製基体の表面が、厚さ1.5mmのシリコーンゴム層によって被覆され、アルミニウム製基体の内部に、サーミスタにより温度制御されるハロゲンランプ(熱源)が配置されたもの
・ニップ幅:7mm
−制御条件−
・通紙速度:73mm/sec
・加熱ローラのローラ表面温度:トナーの熱特性により130〜160℃に設定
・加圧ローラのローラ表面温度:トナーの熱特性により70〜100℃に設定
・加熱ローラおよび加圧ローラは、加熱加圧ローラに通紙後の、エンボスホログラム転写部材の電子写真画像部と接触している凹凸面と反対側の面の表面温度が、表2に示す加熱温度になるように制御
・加圧の大きさ:0.29MPa
・剥離速度(剥離する際の線速):73mm/sec
・エンボスホログラム転写部材のホログラム画像からの剥離は、φ20mmのローラにエンボスホログラム転写部材の一端をセロテープ(登録商標)で接着した後、上記剥離速度でローラを回転させることにより、エンボスホログラム転写部材をローラに巻き付けつつ、かつローラの曲率を利用して、エンボスホログラム転写部材をホログラム画像から剥離されるように行った。
以上のようにして得られたホログラム画像〔1〕〜〔28〕を、任意に選んだモニターに目視で観察してもらい、下記の評価基準に従ってホログラム像の発現性について官能評価を行ってもらった。結果を表2に示す。
なお、以下の評価において、「○」および「△」である場合には実用上問題なく合格と判断され、「×」である場合は実用上問題があり、不合格と判断される。
−評価基準−
○:ホログラム像の発現がムラなくはっきりと視認できる。
△:ホログラム像の発現は視認できるが、かすかにムラが確認されるが許容できる範囲内である。
×:ホログラム像の発現は視認できるが、明らかにムラが多く部分的にホログラム像の発現ができていない。もしくは、ホログラム像の発現が全体的に視認できない。
以上のようにして得られたホログラム画像〔1〕〜〔28〕の表面状態を、マイクロスコープにて倍率100倍で観察し、その画像情報をインターフェイスを介して画像解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)に導入し解析を行い、画像表面に生じた欠陥(亀裂)部分の面積率を算出し、これによってホログラム画像の表面状態を評価した。結果を表2に示す。なお、欠陥部分の面積率が10%以下である場合は良好なホログラム像を発現することができるため「○」とし、10〜30%の範囲にある場合は実用上は問題ないレベルのホログラム像を発現することができるため「△」とし、30%を超える場合にホログラム画像として実用上問題があるため「×」とした。
10 電子写真画像
10H ホログラム画像
11 画像支持体
12 電子写真画像部
12H ホログラム画像部
20 エンボスホログラム転写部材
21 凹凸面
22 面
25a、25b 駆動ローラ
25c、28 剥離ローラ
25d、25e、29 支持ローラ
30、30a、30b 加熱加圧装置
32 熱源
35 サーマルヘッド
36 押圧部材
37 加熱ローラ
38a、38b 凹凸形状追随ローラ
39 加圧ローラ
40、40a、40b、40c ファン
41 ヒートシンク
42、45 冷却部
46 搬送補助ローラ
47 剥離部
Claims (3)
- 画像支持体上に、少なくとも熱可塑性樹脂を含有するトナーにより電子写真方式の画像形成方法によって形成されてなる電子写真画像部上に、エンボスホログラム転写部材を、凹凸が形成された面が前記電子写真画像部に接触する状態に積層し、加熱すると共に加圧した後、冷却し、前記エンボスホログラム転写部材を剥離することにより、当該エンボスホログラム転写部材に係る凹凸を電子写真画像部に転写する工程を有するホログラム画像形成方法であって、
前記加熱が、前記トナーの粘性率ηが1.0×102 〜1.0×104 Pa・sとなる温度領域で行われると共に、前記剥離が、前記トナーの貯蔵弾性率G´が1.0×106 〜5.0×108 N/cm2 となる温度領域で行われることを特徴とするホログラム画像形成方法。 - 画像支持体上に、少なくとも熱可塑性樹脂を含有するトナーにより電子写真方式の画像形成方法によって電子写真画像部を形成する手段と、エンボスホログラム転写部材を、凹凸が形成された面が前記電子写真画像部に接触する状態に積層し、加熱すると共に加圧した後、冷却し、前記エンボスホログラム転写部材を剥離することにより、当該エンボスホログラム転写部材に係る凹凸を電子写真画像部に転写する手段を有するホログラム画像形成装置であって、
前記加熱が、前記トナーの粘性率ηが1.0×102 〜1.0×104 Pa・sとなる温度領域で行われると共に、前記剥離が、前記トナーの貯蔵弾性率G´が1.0×106 〜5.0×108 N/cm2 となる温度領域で行われることを特徴とするホログラム画像形成装置。 - 画像支持体上に、少なくとも熱可塑性樹脂を含有するトナーにより電子写真方式の画像形成方法によって形成されてなる電子写真画像部上に、エンボスホログラム転写部材を、凹凸が形成された面が前記電子写真画像部に接触する状態に積層し、加熱すると共に加圧した後、冷却し、前記エンボスホログラム転写部材を剥離することにより、当該エンボスホログラム転写部材に係る凹凸を電子写真画像部に転写する工程を有するホログラム画像形成方法で用いられる当該トナーにおいて、
前記加熱が行われる温度領域における、前記トナーの粘性率ηが1.0×102 〜1.0×104 Pa・sであり、前記剥離が行われる温度領域における、前記トナーの貯蔵弾性率G´が1.0×106 〜5.0×108 N/cm2 であることを特徴とするホログラム画像形成用トナー。
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