JP6003657B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
このような背景から電子写真方式においても均一な光沢面を形成する技術が検討されるようになった。具体的には、光沢付与装置と呼ばれる装置等で均一な高光沢を有するプリント物を作製する装置も登場している。この装置は、電子写真方式のプリンタ等に接続され、プリンタで作成した有色トナーとクリアトナーからなるトナー層をベルト部材に接触させた状態で加熱及び加圧する。そして、トナー層の面をベルト部材に接触させた状態で冷却してトナー層を固化させ、最後にベルト部材からプリント物を剥離することによって均一な高光沢の画像を提供している(例えば、特許文献1参照)。これは冷却剥離方式と呼ばれるもので、加熱されたトナー層をベル部材に密着させたまま冷却し、固化した状態で剥がすことでベル部材の形状をトナー層に写し取らせることにより、均一な高光沢を有するプリント物が得られるものである。
また、このような高光沢の画像を両面に形成する方法も知られている。例えば、特許文献2には、記録材の表裏両面に複数段階の光沢処理をすることによる両面画像形成が報告されている。
しかしながら、特許文献2に記載の方法では、表裏とも同様の光沢処理方法を用いるものの、この方法で均一な高光沢の画像を紙などの画像記録媒体の片面に形成し、その裏面に別の画像を形成すると、最初に形成した高光沢の画像の光沢度が低下し、所望の光沢を有する画像が得られないという問題があった。
このような問題を解決するため、例えば特許文献3のごとく、表面と裏面の定着条件を変えて両面の光沢を揃える方法が提案されていている。
また一方で、表面と裏面において、弾性の低い、すなわち熱によって変形し易い光沢処理に適したクリアトナーを用いると、両面に光沢処理をした画像同士を重ね合わせることにより、熱的ブロッキングが発生し易いという問題がある。
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、両面光沢処理において、両面光沢差を容易に低減でき、かつ熱的ブロッキングを抑制した画像を得ることのできる画像形成方法を提供することである。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.記録材の第1面に、少なくともクリアトナー〔X〕を含有する第1のトナー層を担持してなる被処理体を、前記第1のトナー層を光沢処理用ベルトに密着させた状態で加熱及び加圧した後、冷却を行うことによって前記第1のトナー層の表面を光沢化する光沢処理を行い、
その後、前記記録材の第2面に、少なくともクリアトナー〔Y〕を含有する第2のトナー層を担持してなる被処理体を、前記第2のトナー層を前記光沢処理用ベルトに密着させた状態で加熱及び加圧した後、冷却を行うことによって前記第2のトナー層の表面を光沢化する光沢処理を行う画像形成方法において、
前記第1のトナー層に用いるクリアトナー〔X〕の150℃における貯蔵弾性率G’X(150)が、前記第2のトナー層に用いるクリアトナー〔Y〕の150℃における貯蔵弾性率G’Y(150)よりも低いことを特徴とする画像形成方法。
前記クリアトナー〔X〕と前記クリアトナー〔Y〕とが、下記式で表される関係にあることを特徴とする第1項に記載の画像形成方法。
Δ[G’Y(150)−G’X(150)]>5×103dyn/cm2
3.G’X(150)が、1×102〜3×104dyn/cm2の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の画像形成方法。
4.G’Y(150)が、1×103〜1×105dyn/cm2の範囲内であることを特徴とする第1項〜第3項のいずれかに記載の画像形成方法。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
1種類のクリアトナーを記録材の第1面(表面)と第2面(裏面)に用いて同じ加熱加圧条件で光沢処理を行う場合、まず第1面を光沢処理し、その後に記録材を反転して第2面を光沢処理する際に、第1面も第2面側からの加熱ローラーにより熱を受ける。そのため、平滑化されていたトナーが再溶融し、クリアトナーが弾性回復して元の形状に戻ろうとするために、第1面が隆起し、その結果として第1面の光沢度が低下する。この課題に対し、第1面と第2面に異なるクリアトナーを用い、第1面のクリアトナーをより加熱時の弾性が低いクリアトナーとすることにより、第1面側は第1面の光沢処理時の熱によって弾性が低下するため、第2面の光沢処理による加熱を受けた場合にも弾性回復が起こりにくくなる。従って、第1面の光沢低下が少なくなり、第1面及び第2面の光沢差の小さい画像を得ることができる。
一方で、第1面及び第2面とも弾性の低い、すなわち、熱によって変形し易いクリアトナーを用いると、両面に光沢処理をした画像同士を重ね合わせることにより、熱的ブロッキングが発生し易くなる。そこで、第2面には熱によって変形しにくいクリアトナーを用いることにより、画像同士が、第1面と第2面とで重なり合わさった場合でも熱的ブロッキングを抑制することができる。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記クリアトナー〔X〕の150℃における貯蔵弾性率G’X(150)と、前記クリアトナー〔Y〕の150℃における貯蔵弾性率G’Y(150)との差を、Δ[G’Y(150)−G’X(150)]としたとき、前記クリアトナー〔X〕と前記クリアトナー〔Y〕とが、下記式で表される関係にあることが好ましい。
Δ[G’Y(150)−G’X(150)]>5×103
これにより、両面光沢差をより低減でき、熱的ブロッキングを確実に防止することができるという効果が得られる。
本発明の画像形成方法は、図1(a)に示すように、記録材Pの第1面(表面)にクリアトナー〔X〕を含有する第1のトナー層Taを担持してなる被処理体Waを、後述する光沢処理装置の光沢処理用ベルトに密着させた状態で加熱及び加圧した後、冷却を行うことによって、前記第1のトナー層Taを光沢化する光沢処理を行い、その後、図1(b)に示すように、記録材Pの第2面(裏面)にクリアトナー〔Y〕を含有する第2のトナー層Tbを担持してなる被処理体Wbを、前記光沢処理用ベルトに密着させた状態で加熱及び加圧した後、冷却を行うことによって、第2のトナー層Tbを光沢化する光沢処理を行い、記録材Pの両面に光沢な画像を形成する画像形成方法である。
本発明では、第1のトナー層に用いるクリアトナー〔X〕の150℃における貯蔵弾性率G’X(150)が、第2のトナー層に用いるクリアトナー〔Y〕の150℃における貯蔵弾性率G’Y(150)よりも低いことを特徴とする。
ここで、貯蔵弾性率G’は、「MR−500ソリキッドメーター」((株)レオロジ社製)を用いて、以下の手順(1)〜(5)に従って測定されたものである。
(1)クリアトナーを温度20±1℃、相対湿度50±5%RHの環境下において、測定試料シャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、0.6gを圧縮成型器に装填し、3tの荷重を30秒間加えることにより、直径1cmのペレットを作製する。
(2)ペレットを直径0.977cmのパラレルプレートに装填する。
(3)測定部温度をトナーの軟化点−20℃、パラレルプレートギャップを3mmに設定する。この設定により、測定部はトナーの軟化点−20℃に加熱され、ギャップが3mmになるまでペレットは圧縮される。その後、35℃まで放冷する。
(4)測定部温度を35℃に設定した後、周波数1.0Hzの正弦波振動を加えながら、測定部を毎分5℃の昇温速度で200℃まで昇温し、150℃における複素弾性率G*を測定する。ひずみ角は自動ひずみ制御にて行う。
(5)複素弾性率G*から、貯蔵弾性率G’を算出する。
貯蔵弾性率G’の一例を図2に示す。
Δ[G’Y(150)−G’X(150)]>5×103dyn/cm2
ここで、Δ[G’Y(150)−G’X(150)]>5×103dyn/cm2としたのは、第1面と第2面とで重なり合わさった場合でも熱的ブロッキングをより抑制できるためである。
また、G’X(150)の好ましい範囲は、1×102〜3×104dyn/cm2(1×101〜3×103N/m2)であり、4×102〜7×103dyn/cm2がより好ましい。
G’Y(150)の好ましい範囲は、1×103〜1×105dyn/cm2(1×102〜1×104N/m2)であり、6×103〜9×104dyn/cm2がより好ましい。
なお、被処理体Wbにおける第2のトナー層Tbの状態としては、(2)全て固化された定着トナーによって形成された層が好ましい。
以下に説明する画像形成方法においては、光沢処理に供される被処理体Wa,Wbにおける第1及び第2のトナー層Ta,Tbが(2)全て固化された定着トナーによって形成された層とされる。
第1及び第2のトナー層Ta,Tbに含まれるクリアトナーは、第1及び第2のトナー層Ta,Tbの最上層に設けられることが好ましいが、これに限定されるものではない。 さらに、第1及び第2のトナー層Ta,Tbの面積は特に限定されないが、第1及び第2のトナー層Ta,Tbまたはその最上層がクリアトナーによる層とされる場合においては、当該クリアトナーによる層が記録材Pの全面に形成されていることが好ましい。クリアトナーによる層が記録材Pの全面に形成されることにより、例えば有彩色トナーによる画像が形成されない非画像部も平滑化して記録材Pに係る全面を平滑化する、すなわち全面に光沢を発現させることができる。
[画像形成装置]
図3は、画像形成装置の構成の一例を示す断面図である。
この画像形成装置100は、画像形成処理と第1及び第2のトナー層Ta,Tbの光沢処理とを連続的に実行することのできるタンデム型のカラー画像形成装置である。
クリアトナー像形成部20HZは、クリアトナー像形成部20HXと同様に、感光体11HZと、帯電手段23HZと、露光手段22HZと、現像手段21HZと、クリーニング手段25HZとを備える。
中間転写体16は、複数の支持ローラー16a〜16dにより張架され、回動可能に支持された無端ベルト状のものである。
光沢処理装置1は、記録材P上に第1及び第2のトナー層Ta,Tbが形成されてなる被処理体Wa,Wbについて、加熱及び加圧を施し、さらに冷却した後、光沢処理用ベルト2から剥離するまでの工程を一連に行うことができる。
この光沢処理用ベルト2の材料としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを基材として形成されたものが好適であり、継ぎ目のないシームレスベルトであっても、シート状のフィルムを継いでベルト状に加工した物であってもよい。
光沢処理用ベルト部材は、離型層側(トナー層に接触する側)のナノインデンテーションにより測定される表面硬度が、0.35〜2[GPa]であることが好ましい。ナノインデンテーション法により測定した表面硬度を0.35[GPa]以上とすることで高い離型性が発現され、2[GPa]以下とすることで画像への追随性が良好となる。
表面硬度とは、ナノインデンテーションによって測定され、先端形状がダイヤモンドチップからなる圧子を薄膜や材料の表面に押し込み、その時の圧子にかかる荷重Pと圧子の下の射影面積Aから求められる離型層の硬さである。
また、本発明では、離型層側(トナー像に接触する側)の接触角が80〜130[°]であることが好ましく、接触角90〜110[°]がより好ましい。
本発明で言う接触角とは、ベルト部材の離型層の純水に対する接触角を言う。接触角は純水に対する接触角を接触角計(CA−DT−A型:協和界面科学社製)を用いて20℃50%RHの環境下で測定する。測定はベルト部材の離型層の任意の10箇所を測定し、この平均値を本発明の接触角としたものである。
光沢処理用ベルト部材の厚さとしては、20〜250μmが好ましい。この範囲であれば、搬送等の操作性、および熱伝導性とも良好な状態が得られる。離型層の厚さは、0.1〜50μmが好ましく、特に0.5〜10μmが好ましい。
離型層の材料としては、例えばフッ素樹脂やポリシロキサンなどの材料が好適に用いられる。また、表面硬度を調整するために、その他の化合物を併用することができ、例えばアクリル化合物等と共重合して用いることが好ましい。
具体的には、フッ素樹脂又はポリシロキサン又はフッ素樹脂/ポリシロキサン共重合体の中の少なくとも1種(以下、Xと称する)と、アクリル化合物(以下、Yと称する)と、をラジカル重合により共重合させたものであることが好ましい。中でも、フッ素樹脂/ポリシロキサン共重合体と、アクリル化合物と、をラジカル重合により共重合させたものであることがさらに好ましい。また、(X)と(Y)の共重合における(Y)の比率は5〜95質量%が好ましく、より好ましくは5〜50質量%である。
剥離ローラー5aのローラー径は、その曲率が記録材Pの剛性に対して制御されて剥離機構5において被処理体Waが光沢処理用ベルト2から剥離される径であればよく、例えばφ10〜40mmの範囲内であることが好ましい。
以上のような画像形成装置100においては、まず、クリアトナー像形成部20HX及び有彩色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkにおいて、感光体11H,11Y,11M,11C,11Bk上に帯電手段23H,23Y,23M,23C,23Bkにより帯電され、露光手段22H,23Y,23M,23C,23Bkにより露光されることにより静電潜像が形成され、当該静電潜像が現像手段21H,21Y,21M,21C,21Bkにおいてトナーによって現像されることによりクリアトナー像及び各色の有彩色トナー像が形成され、一次転写ローラー13H,13Y,13M,13C,13Bkにより中間転写体16上にクリアトナー像及び各色の有彩色トナー像が順次に転写され、中間転写体16上において重ね合わされて未定着トナーによるトナー粉体層が形成される。
一方、給紙カセット41内に収容された記録材Pが、給紙搬送手段42により給紙され、複数の給紙ローラー44a,44b,44c,44d及びレジストローラー46によって搬送され、二次転写ローラー13Aにおいて当該記録材Pの第1面上に中間転写体16上のトナー粉体層が一括して転写される。その後、記録材Pの第1面上に転写されたトナー粉体層が定着装置26において加圧及び加熱により定着されることにより、第1のトナー層Taが形成される。
第1のトナー層Taにおけるクリアトナーによる層の厚さは、例えば2〜50μmの範囲とされることが好ましい。
定着装置26による定着処理条件は、加熱温度が150〜230℃の範囲、好ましくは160〜190℃の範囲であり、かつ、ニップ時間が10〜300msecの範囲、好ましくは20〜70msecの範囲であることが好ましい。
定着装置26における加熱温度とは、記録材P上に転写された第1のトナー層Taが接触する加熱加圧ローラー27の表面温度をいう。
また、ニップ時間とは、ニップ部N2の搬送方向長さ(mm)/線速(mm/sec)×1000から算出されるものである。
一方、二次転写ローラー13Aにより記録材P上にクリアトナー像及び各色の有彩色トナー像を転写した後の中間転写体16は、クリーニング手段12により当該中間転写体16上に残留したトナーを除去した後に、次のクリアトナー像及び各色の有彩色トナー像の中間転写に供される。
以上のように第1面に係る画像形成処理を経て記録材Pの第1面に形成された第1のトナー層Taに対して、光沢処理が行われる。
すなわち、被処理体Waが、当該被処理体Waの第1のトナー層Taが光沢処理用ベルト2の平滑面に接触する状態でニップ部Nにおいて加熱ローラー3a及び加圧ローラー3bの駆動によって挟持搬送される。ニップ部Nにおいては、第1のトナー層Taが加熱されて溶融されると同時に加圧されて光沢処理用ベルト2の外周面の平滑面形状にならって均一な厚さを有する層となった状態に融着する(加熱加圧工程)。
この融着によって光沢処理用ベルト2の外周面に被処理体Waが密着した状態とされ、当該光沢処理用ベルト2が矢印方向に循環移動することによって被処理体Waが冷却領域Coに移動される。
被処理体Waは、冷却機構4を通過する間に冷却ファン4a〜4cから供給されるエアーによって強制的に冷却されて第1のトナー層Taの固化が促進され、これにより、第1のトナー層Taの表面が平滑化されて光沢トナー画像層が形成される(冷却工程)。
そして、剥離機構5に搬送された被処理体Waは、その裏面(第2面)が搬送補助ローラー5bに接触して保持され、この状態において光沢処理用ベルト2の屈曲部に到達し、当該屈曲部において光沢処理用ベルト2の循環移動方向が大きく変化するときに、被処理体Waを構成する記録材P自身の剛性(腰)によって光沢処理用ベルト2から剥離される。そして、搬送補助ローラー5bに重心が移動することにより光沢処理用ベルト2からの剥離が促進され、記録材Pの第1面上に光沢トナー画像層を有する片面プリント物が得られる(剥離工程)。剥離する際の線速は、20〜200mm/secの範囲とされることが好ましく、さらに好ましくは20〜100mm/secの範囲である。
ここに、冷却温度とは、剥離されるときの光沢処理用ベルト2の第1のトナー層Taと接触している平滑面と反対側の面の表面温度をいい、具体的には、赤外線放射温度計「IR0510」(ミノルタ社製)を用いて当該光沢処理用ベルト2の面について、冷却領域Coにおける表面温度を測定したものとされる。例えば、剥離ローラー5aによって剥離される位置の手前5〜10cmの位置の表面温度とされる。
以上のように光沢処理装置1を通過し、記録材Pの第1面上に光沢トナー画像層を有する被処理体Waは、一度排紙ローラー47を有する排紙搬送路に一旦搬送された後、逆方向に搬送されて分岐板29により排紙搬送路より分岐させて搬送路48a,48bを経由して反転機構(図示せず)によって反転搬送され、二次転写ローラー13Aに搬送される。
一方、クリアトナー像形成部20HZ及び有彩色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkにおいては、第1面に係る画像形成処理と同様にしてトナー粉体層が形成され、このトナー粉体層が二次転写ローラー13Aに搬送された記録材Pの第2面上に転写される。
その後、記録材Pの第2面上に転写されたトナー粉体層が定着装置26において加圧及び加熱により定着されることにより、第2のトナー層Tbが形成される。
以上のように第2面に係る画像形成処理を経て記録材Pの第2面上に第2のトナー層Tbが形成された被処理体Wbに対して、第1面の光沢処理とニップ条件が変更された他は同様にして、光沢処理が行われる。
第2面の光沢処理を経て得られた記録材Pの両面に光沢トナー画像層を有する両面プリント物は、排紙ローラー47によって機外に排出されて排紙トレイ40上に載置される。
ここで、G’X(150)の好ましい範囲は、1×102〜3×104dyn/cm2、G’Y(150)の好ましい範囲は、1×103〜1×105dyn/cm2である。
また、貯蔵弾性率G’の異なる2種類のクリアトナーを使用することによって、装置上複雑となることもなく、容易に両面光沢差の小さい画像を形成することができる・
さらに、記録材Pの第2面には、熱によって変形しにくいクリアトナー〔Y〕を用いることにより、第1面の画像と第2面の画像とが互いに重なり合わさった場合でも、熱的ブロッキングを抑制することができる。
また、上記画像形成装置100では、光沢処理装置1が画像形成装置100に内蔵されている構成としたが、光沢処理装置と画像形成装置とを分けて別体として構成しても良い。
さらに、上記画像形成装置100では、2種類のクリアトナー(クリアトナー〔X〕、クリアトナー〔Y〕)と有彩色トナーの両方を露光及び現像を行うユニットを備えているとしたが、有彩色トナーのみを露光及び現像を行うユニットを備えた画像形成装置と、本発明のクリアトナー〔X〕及びクリアトナー〔Y〕の2種類のクリアトナーを露光及び現像を行うユニットを備えた画像形成装置と、光沢処理装置1とに分けて構成し、記録材Pの両面に有彩色トナー層を担持した後に、記録材Pの両面に担持された有彩色トナー層上にそれぞれクリアトナー層を担持し、その後、光沢処理装置1において記録材Pの両面のクリアトナー層にそれぞれ光沢処理を行うようにしても構わない。
本発明の画像形成方法に用いるトナーは、静電荷像現像用のトナー粒子よりなり、結着樹脂及びワックスを含有し、トナー粒子におけるワックスの含有量が特定範囲内にあるものである。
トナーとしては、有彩色トナーやクリアトナーが挙げられる。
本発明において、クリアトナーとは、顔料、染料などの着色剤を含まないトナーのことである。ただし、トナーを加熱加圧処理し定着層としたときに、光吸収や光散乱の作用により色が認識されなければ、例えば、顔料、染料などの着色剤を微量含むトナーや、結着樹脂やワックス、外添剤に色を有しているものを含むトナーもクリアトナーとするものである。
クリアトナーは、例えば有彩色トナーによって形成されたトナー像上に当該クリアトナーによる層を重ねることによって、得られる光沢トナー画像層において高い平滑性、すなわち高い光沢性を得るために用いられる。
有彩色トナーとは、光吸収や光散乱による着色を目的とした着色剤を含有するトナーのことを言う。
本発明の画像形成方法に用いるトナーを構成する結着樹脂は、熱可塑性樹脂からなり、熱可塑性樹脂としては、具体的には、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレンアクリル樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂;ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂などの公知の種々のものを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ビニル系樹脂とポリエステル樹脂とを組み合わせて用いる場合は、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂とを混合して使用してもよく、また、ビニル系樹脂からなるユニットとポリエステル樹脂からなるユニットとが互いに結合し複合化されてなる樹脂を使用してもよい。両者を互いに結合させることによって、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂との相溶性を高めることができる。
ビニル系樹脂からなるユニットとポリエステル樹脂からなるユニットとを結合させる方法としては、ビニル系樹脂にポリエステル樹脂からなるユニットをグラフト重合させる方法や、ポリエステル樹脂にビニル系樹脂からなるユニットをグラフト重合させる方法などを採用することにより、両者の親和性を高めることができる。両者の親和性が高いものとされることによって、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂とがそれぞれ局在化せずに相溶化してトナー粒子中に均一に存在することとなり、それぞれの樹脂の特性をより効果的に発現させることができる。
熱可塑性樹脂は、融点を有する結晶性樹脂及び融点を有さずにガラス転移点を有する非晶性樹脂のいずれであってもよく、その混合物であってもよい。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−ノニルスチレン、p−フェニルスチレンなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ジエチルアミノエチル、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタアクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどが挙げられ、これらはそれぞれ1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。上記のモノマーのうち、スチレン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メタアクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸が好ましく用いられる。
上記のスチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共に、必要に応じてその他の重合性を重合させることができ、その他の重合性モノマーとしては、ビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類が挙げられる。多官能性ビニル類を用いることにより、架橋構造のスチレンアクリル樹脂を得ることができる。
〔ワックス〕
トナーに含有されるワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
これらの中でも、溶融状態から固化する結晶化に際して異方性を有さないことにより光沢トナー画像層内における透明性の向上が図られることから、結晶化度が低いものを用いることが好ましく、例えば、パラフィンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜蝋ワックスなどを用いることが好ましい。
トナー粒子中のワックスの含有量が上記の範囲にあることにより、得られた両面プリント物における光沢トナー画像層を、当該光沢トナー画像層内部のワックスの含有部分と結着樹脂の含有部分の界面における光散乱が抑制されることから透明性が高く、品位の向上されたものとすることができる。また、光沢トナー画像層に所望の光沢度を得るために必要とされる熱力を小さく抑制することができるため、好適である。
また、トナー粒子中のワックスの含有量についてΔHが3014J/g以下であることによって、第2面の光沢処理時の記録材Pの第1面上に形成された光沢トナー画像層におけるワックスの溶融・再結晶化による平滑性の低下が小さく抑制することができ、従って、記録材Pの両面の光沢トナー画像層間の光沢度の差を小さくする効果が得られる。
トナー粒子中のワックスの含有量が過少である場合は、定着装置26の加熱加圧ローラー27,28からの分離が困難になるおそれがあり、また、トナー粒子中のワックスの含有量が過多である場合は、第2面の光沢処理時の記録材Pの第1面上に形成された光沢トナー画像層におけるワックスの溶融・再結晶化による平滑性の低下が大きいために、記録材Pの第1面上に所期の平滑性を有する光沢トナー画像層を形成することができないおそれがある。
具体的には、測定手順としては、トナー3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃の範囲、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行った。
そして、融解エネルギーΔH(J/g)は、その2nd.Heatにおけるワックス由来の吸熱ピークから単位質量当たりの熱量を算出することによって得られた値である。
トナーが有彩色トナーである場合、当該トナーに含有される着色剤としては、一般に知られている染料及び顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
カラーのトナーを得るための着色剤としては、具体的には、顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ13、同31、同43、C.I.ピグメントブルー15:3、同60、同76などを挙げることができ、染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
トナーの軟化点は、下記に示すフローテスターによって測定されるものである。
具体的には、まず、20℃、50%RHの環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、トナーの軟化点とされる。
すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料(トナー)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。また、検出器には屈折率検出器を用いる。
以上のようなトナーは、その平均粒径が体積基準のメディアン径で3〜10μmの範囲であることが好ましく、より好ましくは6〜9μmの範囲である。このトナーの平均粒径は、例えば、使用する凝集剤(塩析剤)の濃度や凝集停止剤の添加のタイミング、凝集時の温度、重合体の組成によって制御することができる。体積基準のメディアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の電解液「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%の範囲になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。測定装置において、測定粒子カウント数を25,000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径(体積D50%径)を体積基準のメディアン径とする。
また、以上のようなトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.850〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.900〜0.995である。
この平均円形度が0.850〜1.000の範囲にあることにより、記録材Pに転写されたトナー層におけるトナー粒子の充填密度が高くなって定着性が向上し、定着オフセットが発生しにくくなる。また、個々のトナー粒子が破砕しにくくなって摩擦帯電付与部材の汚染が減少し、トナーの帯電性が安定する。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
本発明に係るトナーを作製する方法としては、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法などが挙げられる。
これらの中でも、高画質化、高安定性に有利となる粒子径の均一性、形状の制御性、コアシェル構造形成の容易性の観点より、乳化凝集法を採用することが好ましい。
乳化凝集法は、界面活性剤や分散安定剤によって分散された樹脂微粒子の分散液を、必要に応じて着色剤微粒子などのトナー粒子構成成分の分散液と混合し、凝集剤を添加することによって所望のトナーの粒子径となるまで凝集させ、その後または凝集と同時に、樹脂微粒子間の融着を行い、形状制御を行うことにより、トナー粒子を製造する方法である。
ここで、樹脂微粒子を、任意に離型剤、荷電制御剤などの内添剤を含有したものとしてもよく、組成の異なる樹脂によりなる2層以上の構成とする複数層で形成された複合粒子とすることもできる。
また、凝集時に、異種の樹脂微粒子を添加し、コアシェル構造のトナー粒子とすることもトナー構造設計の観点から好ましい。
樹脂微粒子は、例えば、乳化重合法、ミニエマルション重合法、転相乳化法などにより製造、またはいくつかの製法を組み合わせて製造することができる。樹脂微粒子に内添剤を含有させる場合には、中でもミニエマルション重合法を用いることが好ましい。
上記のトナー粒子は、そのままで本発明に係るトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して本発明に係るトナーを構成してもよい。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、光沢処理が行われていることが好ましい。
以上のようなトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
本発明の画像形成方法に用いる記録材Pとしては、光沢トナー画像層を保持することができるものであればよく、具体的には、例えば薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙などの各種の印刷用紙などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
(1)樹脂微粒子〔X−1〕の作製
(第一段重合)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部とイオン交換水3000質量部を投入し、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら温度を80℃に昇温させた。
昇温後、過硫酸カリウム(KPS)4質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を75℃にして、
スチレン 567質量部
n−ブチルアクリレート 165質量部
メタクリル酸 68質量部
を1時間かけて滴下した。滴下後、75℃にて2時間加熱、撹拌して重合反応を行うことにより、樹脂微粒子〔X−1〕が分散されてなる樹脂微粒子分散液〔X−1〕を調製した。樹脂微粒子〔X−1〕の重量平均分子量を測定したところ、300,000であった。
(第二段重合)
次に、撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部とイオン交換水1270質量部を投入し、温度を80℃に加熱した。加熱後、上記の樹脂微粒子分散液〔X−1〕を固形分換算で40質量部と、
スチレン 129質量部
n−ブチルアクリレート 47質量部
メタクリル酸 15質量部
n−オクチルメルカプタン 0.5質量部
「HNP−57」(日本精蝋社製) 80質量部
を80℃に加温して「HNP−57」を溶解させた単量体混合液とを添加し、循環経路を有する機械式分散装置「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)を用いて1時間混合分散処理することにより、乳化粒子分散液を調製し、当該乳化粒子分散液中に、過硫酸カリウム(KPS)6質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた開始剤溶液を添加した後、80℃で1時間加熱、撹拌して重合反応を行うことにより、樹脂微粒子〔X−2〕が分散されてなる樹脂微粒子分散液〔X−2〕を調製した。樹脂微粒子〔X−2〕の高分子量成分比率は、52面積%であった。
(第三段重合)
次に、樹脂微粒子分散液〔X−2〕中に過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤を添加した後、液温を80℃にし、
スチレン 417質量部
n−ブチルアクリレート 131質量部
メタクリル酸 23質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
を1時間かけて滴下した後、80℃の温度下で2時間加熱、撹拌して重合反応を行った後、28℃まで冷却することにより、樹脂微粒子〔X−3〕が分散されたなる樹脂微粒子分散液〔X−3〕を調製した。
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、樹脂微粒子分散液〔X−3〕450質量部(固形分換算)、イオン交換水1100質量部及びドデシル硫酸ナトリウム2質量部を投入して撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整した後、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次に、塩化マグネシウム・6水和物70質量部をイオン交換水75質量部に溶解した水溶液を撹枠の下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温させ、85℃に保持させたまま樹脂微粒子〔X−3〕の凝集、融着を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて形成されている凝集粒子の粒径測定を行い、凝集粒子の体積基準メディアン径が6.7μmになったときに、塩化ナトリウム200質量部をイオン交換水860質量部に溶解させた水溶液を添加して凝集を停止させた。
凝集停止後、熟成処理として液温を98℃にして加熱撹拌を8時間行って凝集粒子の微粒子間の融着を進行させてトナー母体粒子〔X−1〕を形成した。熟成処理の後、液温を30℃に冷却し、塩酸を使用して液中のpHを2に調整して撹拌を停止した。
得られたトナー母体粒子〔X−1〕をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40(松本機械(株)製)」を用いて固液分離し、トナー母体粒子〔X−1〕のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄した後、「フラッシュジェットドライヤ」(セイシン企業(株)製)に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行うことにより、トナー母体粒子〔X−1〕を得た。
このトナー母体粒子〔X−1〕100質量部に対してヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm、疎水化度68)1.0質量部及びn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm、疎水化度63)0.3質量部からなる外添剤を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)で外添処理を行うことにより、クリアトナー〔X−1〕を作製した。
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
クリアトナー〔X−1〕の作製例において、第3段重合工程における単量体混合液として下記の処方からなるものを用いたことの他は同様にして、クリアトナー〔X−2〕を作製した。
スチレン 423質量部
n−ブチルアクリレート 143質量部
メタクリル酸 6質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
クリアトナー〔X−1〕の作製例において、第3段重合工程における単量体混合液として下記の処方からなるものを用いたことの他は同様にして、クリアトナー〔X−3〕を作製した。
スチレン 386質量部
n−ブチルアクリレート 134質量部
メタクリル酸 51質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
クリアトナー〔X−1〕の作製例において、第3段重合工程における単量体混合液として下記の処方からなるものを用いたことの他は同様にして、クリアトナー〔Y−1〕を作製した。
スチレン 385質量部
n−ブチルアクリレート 128質量部
メタクリル酸 57質量部
n−オクチルメルカプタン 11質量部
クリアトナー〔X−1〕の作製例において、第3段重合工程における単量体混合液として下記の処方からなるものを用いたことの他は同様にして、クリアトナー〔Y−2〕を作製した。
スチレン 388質量部
n−ブチルアクリレート 114質量部
メタクリル酸 69質量部
n−オクチルメルカプタン 7質量部
クリアトナー〔X−1〕の作製例において、第3段重合工程における単量体混合液として下記の処方からなるものを用いたことの他は同様にして、クリアトナー〔Y−3〕を作製した。
スチレン 417質量部
n−ブチルアクリレート 69質量部
メタクリル酸 86質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
作製したクリアトナー〔X−1〕について、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメディアン径60μmのフェライトキャリアを、V型混合機を用いて、前記クリアトナー〔X−1〕の濃度が6質量%になるよう混合し、クリアトナー現像剤〔X−1〕を調製した。 また、同様にして作製したクリアトナー〔X−2〕、〔X−3〕及び〔Y−1〕〜〔Y−3〕についてもクリアトナー現像剤〔X−1〕と同様にしてクリアトナー現像剤〔X−2〕、〔X−3〕及び〔Y−1〕〜〔Y−3〕を調整した。
デジタル複写機「bizhub C 353」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用いて記録材「OKトップコート+(坪量157g/m2 、紙厚131μm)」(王子製紙社製)の両面上に各々フルカラー画像を定着させたテスト画像プリント物を形成した。
このテスト画像プリント物の第1面上の全面に、常温常湿環境(温度20℃、相対湿度50%RH)下において、図1で示される画像形成装置によって現像剤〔X−1〕〜〔X−3〕及び〔Y−1〕〜〔Y−3〕を用いてトナー付着量4g/m2 の条件でクリアトナー層を形成し、これを被処理体として図3で示される光沢処理装置によって第1面の光沢処理を行い、次いで、同様にして第2面上の全面にクリアトナー層を形成し、これを被処理体として同様に第2面の光沢処理を行うことにより、両面プリント物〔P1〕〜〔P8〕を得た。
光沢処理装置の条件は以下の通りである。
−構成条件−
(a)光沢処理用ベルトの材質:ポリイミドフィルム(厚さ50μm)上にフッ素樹脂とポリシロキサンを含有する表面層層(厚さ10μm)が形成されたものであり、表面硬度が1.5GPa、接触角が95°のものである。
(b)光沢処理用ベルトの表面粗さ:初期表面粗さRa=0.4μm
(c)加熱ローラー:外径100mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体の内部に、サーミスタにより温度制御されるハロゲンランプ(加熱源)が配置されたもの
(d)加圧ローラー:外径80mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体の表面が、厚さ3mmのシリコーンゴム層によって被覆されたもの
(e)ニップ部の搬送方向長さ:11mm
(f)ニップ部と剥離ローラーとの距離:620mm
−制御条件−
(g)加熱温度:原則155℃となるよう制御(h)加圧の大きさ:0.29MPa
(i)冷却温度:原則50℃となるよう制御(比較例4については35℃となるよう制御)
(j)被処理体の搬送速度:220mm/sec
(k)被処理体の搬送方向:縦方向に搬送させる
作製したクリアトナー〔X−1〕〜〔X−3〕、〔Y−1〕〜〔Y−3〕について、貯蔵弾性率G’を上述の方法により測定した。測定結果を下記表1に示す。表1中、第1面の貯蔵弾性率をG’X(150)dyn/cm2、第2面の貯蔵弾性率G’Y(150)dyn/cm2、第1面と第2面の貯蔵弾性率の差をΔ[G’Y(150)−G’X(150)]dyn/cm2と示した。
作製した両面プリント物〔P1〕〜〔P8〕に対して、それぞれ第1面(表面)及び第2面(裏面)に形成された光沢面の光沢度をグロスメーター「GMX−203(村上色彩技術研究所社製)」を用いて、それぞれ測定し、評価した。測定角度を20°に設定し、「JIS Z8741 1983方法2」に基づいて行った。光沢度の値が70以上のものを合格とし、80以上になったものは特に優れているものとした。なお、光沢度は、プリント物の中央部と四隅の5点の平均値とした。その結果を表1に示す。表1中、第1面の光沢度をK〔X〕、第2面の光沢度をK〔Y〕、第2面と第1面の光沢度の差をΔ(K〔
Y〕−K〔X〕)と示した。Δ(K〔Y〕−K〔X〕)が、15未満であれば、光沢差を感じることもなく合格レベルとした。
デジタル複写機「bizhub C 353」にフィニッシャーFS-608(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を装填し、中綴じ印刷20部(1部5枚)の自動製本作成テストを50回繰り返した。1ページ当たりの画素率は、50%に設定した。転写紙は、坪量64g紙を用いて評価した。印刷物が室温になるまで自然冷却したのち、全ページを片手でめくり、画像間の付着の有無を確認した。◎、○は合格レベルである。
◎:画像間の付着が認められず、ページをめくる際の違和感がない。
○:重ねたページをめくる時に、軽微な摩擦感があるものの、画像間の付着は認められない。
×:重ねたページをめくる際に、画像間の付着が認められる。
2 光沢処理用ベルト
3a 加熱ローラー
3b 加圧ローラー
3c 加熱源
4 冷却機構
4a,4b,4c 冷却ファン
4d ヒートシンク
5 剥離機構
5a 剥離ローラー
5b 搬送補助ローラー
6 支持ローラー
10 中間転写部
11H,11Y,11M,11C,11Bk 感光体
12 クリーニング手段
13H,13Y,13M,13C,13Bk 一次転写ローラー
13A 二次転写ローラー
16 中間転写体
16a〜16d 支持ローラー
20HX,20HZ クリアトナー像形成部
20Y,20M,20C,20Bk 有彩色トナー像形成部
21HX,21HZ,21Y,21M,21C,21Bk 現像手段
22HX,22HZ,21HT,22Y,22M,22C,22Bk 露光手段
23HX,23HZ,23Y,23M,23C,23Bk 帯電手段
25HX,25HZ,25Y,25M,25C,25Bk クリーニング手段
26 定着装置
27,28 加熱加圧ローラー
29 分岐板
40 排紙トレイ
41 給紙カセット
42 給紙搬送手段
44a,44b,44c,44d 給紙ローラー
46 レジストローラー
47 排紙ローラー
48a,48b 搬送路
100 画像形成装置
N,N2 ニップ部
P 記録材
Ta 第1のトナー層
Tb 第2のトナー層
Wa,Wb 被処理体
Claims (4)
- 記録材の第1面に、少なくともクリアトナー〔X〕を含有する第1のトナー層を担持してなる被処理体を、前記第1のトナー層を光沢処理用ベルトに密着させた状態で加熱及び加圧した後、冷却を行うことによって前記第1のトナー層の表面を光沢化する光沢処理を行い、
その後、前記記録材の第2面に、少なくともクリアトナー〔Y〕を含有する第2のトナー層を担持してなる被処理体を、前記第2のトナー層を前記光沢処理用ベルトに密着させた状態で加熱及び加圧した後、冷却を行うことによって前記第2のトナー層の表面を光沢化する光沢処理を行う画像形成方法において、
前記第1のトナー層に用いるクリアトナー〔X〕の150℃における貯蔵弾性率G’X(150)が、前記第2のトナー層に用いるクリアトナー〔Y〕の150℃における貯蔵弾性率G’Y(150)よりも低いことを特徴とする画像形成方法。 - 前記クリアトナー〔X〕の150℃における貯蔵弾性率G’X(150)と、前記クリアトナー〔Y〕の150℃における貯蔵弾性率G’Y(150)との差を、Δ[G’Y(150)−G’X(150)]としたとき、
前記クリアトナー〔X〕と前記クリアトナー〔Y〕とが、下記式で表される関係にあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
Δ[G’Y(150)−G’X(150)]>5×103dyn/cm2 - G’X(150)が、1×102〜3×104dyn/cm2の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- G’Y(150)が、1×103〜1×105dyn/cm2の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
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