JP5835066B2 - 両面画像形成方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、近年のデジタル技術の発展に伴って、版を作ることなく小ロット・短納期で印刷物を得ることができる電子写真法へのニーズは高まっており、このような高光沢が要求される印刷物に対しても電子写真法によって作製することが求められるようになってきた。
そして現在では、実際に、電子写真法によって高光沢画像を形成することができるようになっている。その方法としては、主に、冷却剥離システムと呼ばれる方法が採用されている。これは、記録材上に形成されたトナー層を表面が平滑なベルトに密着させた状態で加熱、冷却して、当該ベルトの平滑な形状をトナー層に転写させることによって当該トナー層の表面を平滑化する方法である。
ところで、印刷物の中には、フォトブックなどのように両面に高光沢画像を形成することが必要とされるものも多い。高光沢画像を形成する方法としては、電子写真法の他にも、UVコートやラミネート加工などの手法が知られているが、これらの方法によっては両面に画像を形成することが困難である。このような事情から、電子写真法は両面印刷の容易さに関して優れた方法と言える。
しかしながら、オイルレス方式による冷却剥離システムにおいては、得られる高光沢画像に光沢ムラが発生するという問題があった。この光沢ムラは、トナー層の加熱工程において溶融されたワックスのトナー層の表面への滲み出しの速さや、冷却工程においてワックスが固化する際の結晶化の度合いにバラツキが発生することに起因すると考えられている。
これらの方法により、記録材の片面に高光沢画像を形成する場合には、光沢ムラのない高光沢画像が得られるようになった。
記録材の第1面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を光沢処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却剥離する第1面の光沢処理工程と、
前記記録材の第2面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を光沢処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却剥離する第2面の光沢処理工程とをこの順に行う両面画像形成方法において、
前記第1面の光沢処理工程において前記記録材の第1面上に担持されるトナー層の最上層が、結着樹脂およびワックス(WA)を含有するトナー粒子(a)よりなるトナー(A)より形成されてなり、
前記第2面の光沢処理工程において前記記録材の第2面上に担持されるトナー層の最上層が、結着樹脂、および、前記トナー(A)におけるワックス(WA)よりも融点の低いワックス(WB)を含有するトナー粒子(b)よりなるトナー(B)により形成されてなることを特徴とする。
本発明の両面画像形成方法は、下記に詳述する特定の光沢処理装置1(図3参照)を用いて、記録材Pの第1面上に電子写真法によって形成されたトナー層Taが担持されてなる被処理体W(図1参照)を加熱、冷却することにより、トナー層Taの表面を平滑化して光沢トナー画像層を形成する第1面の光沢処理を行い、その後、第1の光沢処理がなされた記録材Pの第2面上に電子写真法によって形成されたトナー層Tbが担持されてなる被処理体W’を、光沢処理装置1を用いて加熱、冷却することにより、第2面に係るトナー層Tbの表面を平滑化して光沢トナー画像層を形成する第2面の光沢処理を行い、これにより、記録材Pの両面に高光沢画像が形成された両面印刷物を得る両面画像形成方法において、第1面に係るトナー層Taの最上層を形成するトナー(A)、並びに、第2面に係るトナー層Tbの最上層を形成するトナー(B)として、それぞれ、融点がワックス(WA)>ワックス(WB)の関係を満たすワックス(WA)、ワックス(WB)を含有するトナー粒子(a)、トナー粒子(b)よりなるものを用いることを特徴とするものである。
以下に説明する両面画像形成方法においては、光沢処理に供される被処理体W,W’におけるトナー層Ta,Tbが(2)全て固化された定着トナーによって形成された層とされる。
トナー層Ta,Tbがクリアトナーによる層を含む場合、トナー層Ta,Tbの最上層に設けられることが好ましいが、これに限定されるものではない。
さらに、トナー層Ta,Tbとしては、記録材Pの全面に形成されたものであることが好ましい。トナー層Ta,Tbが記録材Pの全面に形成されていることにより、光沢処理において、光沢処理用ベルト2と記録材Pと間に高い密着性が得られて、当該光沢処理用ベルト2との密着不良に起因する光沢ムラの発生を抑制することができる。
トナー層Ta,Tbが記録材Pの全面に形成されたものである場合、当該トナー層Ta,Tbは有彩色トナーおよびクリアトナーの一方によって形成されたものであっても、両方によって形成されたものであってもよく、特に、トナー層Ta,Tbの最上層が、記録材Pの全面に形成されたクリアトナーによる層であるものであることが好ましい。クリアトナーによる層がトナー層Ta,Tbの最上層において記録材Pの全面に形成されることにより、例えば有彩色トナーによる画像が形成されない非画像部も平滑化して記録材Pに係る全面に光沢を発現させることができる。
この画像形成装置は、電子写真法によるフルカラー画像形成を行うことができ、かつ、形成したカラートナー層上にクリアトナー層を形成することができる、タンデム型のカラー画像形成装置であり、また、画像形成処理とトナー層の光沢処理とを連続的に実行することのできるものである。
中間転写体16は、複数の支持ローラ16a〜16dにより張架され、回動可能に支持された無端ベルト状のものである。
光沢処理装置1は、記録材P上にトナー層Ta,Tbが形成されてなる被処理体W,W’について、加熱および加圧を施し、さらに冷却した後、光沢処理用ベルト2から剥離するまでの工程を一連に行うことができる。
この光沢処理用ベルト2の材料としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを基材として形成されたものが好適であり、継ぎ目のないシームレスベルトであっても、シート状のフィルムを継いでベルト状に加工した物であってもよい。
この光沢処理用ベルト2は、上記材料による基材上に離型層が形成されて、その外周面が当該離型層により構成されるものであってもよい。
ナノインデンテーション法により測定される表面硬度が0.35GPa以上であることにより、光沢処理用ベルト2に高い離型性が発現され、また、2GPa以下であることにより、トナー層Ta,Tbへの優れた追随性が得られる。
表面硬度は、ナノインデンテーション法によって測定され、具体的には、先端形状がダイヤモンドチップからなる圧子を光沢処理用ベルト2の外周面に押し込み、その時の圧子にかかる荷重Pと圧子の下の射影面積Aから求められるものである。
接触角とは、光沢処理用ベルト2の純水に対する接触角をいう。本発明においては、接触角計「CA−DT−A型」(協和界面科学社製)を用いて、温度20℃、湿度50%RHの環境下で、任意の10箇所について測定したものの平均値である。
離型層の材料としては、その外周面に低表面エネルギー性(例えば接触角が80〜130°)を得るために、例えばフッ素樹脂やポリシロキサンなどの材料が好適に用いられる。また、その外周面に適当な表面硬度を得るために、その他の化合物を併用することができ、例えばアクリル化合物などと共重合して得られた材料を用いることが好ましい。具体的には、フッ素樹脂、ポリシロキサン、およびフッ素樹脂/ポリシロキサン共重合体の中の少なくとも1種(以下、Xと称する)と、アクリル化合物(以下、Yと称する)とを、ラジカル重合により共重合させたものを用いることが好ましい。中でも、フッ素樹脂/ポリシロキサン共重合体と、アクリル化合物とをラジカル重合により共重合させたものを用いることがさらに好ましい。また、(X)と(Y)の共重合における(Y)の共重合比率は、5〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量%である。
剥離ローラ5aのローラ径は、その曲率が記録材Pの剛性に対して制御されて剥離機構5において被処理体Wが光沢処理用ベルト2から剥離される径であればよく、例えばφ10〜40mmであることが好ましい。
以上のような画像形成装置においては、まず、第1クリアトナー像形成部20Haおよび有彩色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkにおいて、感光体11Ha,11Y,11M,11C,11Bk上に帯電手段23Ha,23Y,23M,23C,23Bkにより帯電され、露光手段22Ha,22Y,22M,22C,22Bkにより露光されることにより静電潜像が形成され、当該静電潜像が現像手段21Ha,21Y,21M,21C,21Bkにおいてトナーによって現像されることによりクリアトナー像および各色の有彩色トナー像が形成され、一次転写ローラ13Ha,13Y,13M,13C,13Bkにより中間転写体16上にクリアトナー像および各色の有彩色トナー像が順次に転写され、中間転写体16上において重ね合わされて未定着トナーによるトナー粉体層が形成される。一方、給紙カセット41内に収容された記録材Pが、給紙搬送手段42により給紙され、複数の給紙ローラ44a,44b,44c,44dおよびレジストローラ46によって搬送され、二次転写ローラ13Aによって当該記録材Pの第1面上に中間転写体16上のトナー粉体層が一括して転写される。その後、記録材Pの第1面上に転写されたトナー粉体層が定着装置26において加圧および加熱により定着されることにより、トナー層Taが形成される。
トナー層Taにおけるクリアトナーによる層の厚みは、例えば2〜50μmとされることが好ましい。
定着装置26における加熱温度とは、記録材P上に転写されたトナー粉体層が接触する加熱加圧ローラ27の表面温度をいう。
また、ニップ時間とは、ニップ部N2の搬送方向長さ(mm)/線速(mm/sec)×1000から算出されるものである。
一方、二次転写ローラ13Aにより記録材P上にクリアトナー像および各色の有彩色トナー像を転写した後の中間転写体16は、クリーニング手段12により当該中間転写体16上に残留したトナーを除去した後に、次のクリアトナー像および各色の有彩色トナー像の中間転写に供される。
以上のように第1面の画像形成処理を経て記録材Pの第1面上にトナー層Taが形成された被処理体Wに対して、光沢処理が行われる。
すなわち、被処理体Wが、当該被処理体Wのトナー層Taが光沢処理用ベルト2の平滑面に接触する状態でニップ部Nにおいて加熱ローラ3aおよび加圧ローラ3bの駆動によって挟持搬送される。ニップ部Nにおいては、トナー層Taが加熱されて溶融されると同時に加圧されて光沢処理用ベルト2の外周面の平滑面形状にならって均一な厚みを有する層となった状態に融着する(加熱加圧工程)。
この融着によって光沢処理用ベルト2の外周面に被処理体Wが密着した状態とされ、当該光沢処理用ベルト2が矢印方向に循環移動することによって被処理体Wが冷却領域Coに移動される。
被処理体Wは、冷却機構4を通過する間に冷却ファン4a〜4cから供給されるエアーによって強制的に冷却されてトナー層Taの固化が促進され、これにより、トナー層Taの表面が平滑化されて光沢トナー画像層が形成される(冷却工程)。
そして、剥離機構5に搬送された被処理体Wは、その裏面(第2面)が搬送補助ローラ5bに接触して保持され、この状態において光沢処理用ベルト2の屈曲部に到達し、当該屈曲部において光沢処理用ベルト2の循環移動方向が大きく変化するときに、被処理体Wを構成する記録材P自身の剛性(腰)によって光沢処理用ベルト2から剥離される。そして、搬送補助ローラ5bに重心が移動することにより光沢処理用ベルト2からの剥離が促進され、記録材Pの第1面上に光沢トナー画像層による高光沢画像が形成された片面印刷物が得られる(剥離工程)。剥離する際の線速は、20〜200mm/secとされることが好ましく、さらに好ましくは20〜100mm/secである。
加熱加圧工程における加熱温度は、被処理体Wがニップ部Nを通過する間にトナー層Taのクリアトナーによる最上層が溶融され、他の有彩色トナーによる層が溶融されない温度とされることが好ましい。
加熱加圧工程における加熱温度とは、被処理体Wをニップ部Nにおいて加熱加圧したときの、光沢処理用ベルト2の平滑面と反対側の面(内側面)における表面温度をいい、具体的には、赤外線放射温度計「IR0510」(ミノルタ社製)を用いて当該光沢処理用ベルト2の内側面について、ニップ部Nの出口から5〜10cmの位置の表面温度を測定したものとされる。加熱加圧工程における加熱温度は、具体的には、加熱ローラ3aのローラ表面温度を制御することにより、調整することができる。
加圧の大きさが0.80MPaを超える場合は、トナー層Taの厚みが小さい場合に記録材Pが損傷するおそれがある。
ここに、冷却温度とは、剥離されるときの光沢処理用ベルト2のトナー層Taと接触している平滑面と反対側の面の表面温度をいい、具体的には、赤外線放射温度計「IR0510」(ミノルタ社製)を用いて当該光沢処理用ベルト2の面について、冷却領域Coにおける表面温度を測定したものとされる。例えば、剥離ローラ5aによって剥離される位置の手前5〜10cmの位置の表面温度とされる。
以上のように光沢処理装置1を通過し、記録材Pの第1面上に光沢トナー画像層を有する被処理体Wは、一度排紙ローラ47を有する排紙搬送路に一旦搬送された後、逆方向に搬送されて分岐板29により排紙搬送路より分岐させて搬送路48a,48bを経由して反転機構(図示せず)によって反転搬送され、二次転写ローラ13Aに搬送される。
また、記録材Pの第1面上に光沢トナー画像層を有する被処理体Wを、搬送路48aより搬送路48bの下方に設けられた搬送路48cへ搬送させた後、再度逆方向に搬送させ、搬送路48dを経由して給紙ローラ44d、レジストローラ46を搬送させることによって、第2面の画像形成処理に供することができるように反転することも可能である。
また、画像形成装置内において自動反転させることに限定されず、排紙トレイ40に排出された被処理体Wの束を回収し、これを第2面の画像形成処理に供することができる向きにして給紙カセット41へセットし、前述の第1面の画像形成処理と同様に給紙ローラ44a,44b,44c,44dおよびレジストローラ46で搬送することによって第2面の画像形成処理に供することも可能である。さらに、別の画像形成ユニットを用いて第2面の画像形成処理を行うことも可能である。
一方、第2クリアトナー像形成部20Hbおよび有彩色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkにおいては、第1面の画像形成処理と同様にしてトナー粉体層が形成され、このトナー粉体層が二次転写ローラ13Aに搬送された記録材Pの第2面上に転写される。
その後、記録材Pの第2面上に転写されたトナー粉体層が定着装置26において加圧および加熱により定着されることにより、トナー層Tbが形成される。第2面に係る定着処理条件は、第1面に係る定着処理条件と同じとすることができる。
以上のように第2面の画像形成処理を経て記録材Pの第2面上にトナー層Tbが形成された被処理体W’に対して、光沢処理が行われる。具体的には第1面の光沢処理と同様にして行うことができる。ただし、加熱加圧工程における加熱温度は、例えば110〜190℃とされ、特に120〜160℃とされることが好ましい。
第2面の光沢処理を経て得られた記録材Pの両面に高光沢画像が形成された両面印刷物は、排紙ローラ47によって機外に排出されて排紙トレイ40上に載置される。
本発明の両面画像形成方法に用いるトナーは、第1面に係るトナー層Taを形成するトナー(A)が、結着樹脂およびワックス(WA)を含有する静電荷像現像用のトナー粒子(a)よりなると共に、第2面に係るトナー層Tbを形成するトナー(B)が、ワックス(WA)よりも融点の低いワックス(WB)を含有する静電荷像現像用のトナー粒子(b)よりなる。
本発明においては、少なくとも、第1面に係るトナー層Taにおける最上層のトナー層部分(この例においてはクリアトナーによる層)、および、第2面に係るトナー層Tbにおける最上層のトナー層部分(この例においてはクリアトナーによる層)が、それぞれ互いにトナー(A)およびトナー(B)の関係を満たすことが必要とされる。
これは、以下の理由によると推測される。すなわち、この例の実施形態のように、第1面の光沢処理を行ったのちに第2面の画像形成処理および第2面の光沢処理を行う場合には、第1面に係るワックス(WA)は第1面の光沢処理に加えて第2面の光沢処理においても熱を受けることができるのに対して、第2面に係るワックス(WB)は第1面の光沢処理に係る熱を受けることができず、各ワックス(WA)、ワックス(WB)に付与される熱量に差が生じる。
また、光沢処理装置1による光沢処理を行う前に画像形成処理において加圧および加熱により定着処理が行われる実施形態において、第1面の光沢処理を行う前に第2面の画像形成処理を行う場合には、第1面に係るワックス(WA)は第1面の画像形成処理における定着処理に加えて第2面の画像形成処理における定着処理においても熱を受けることができるのに対して、第2面に係るワックス(WB)は第1面の画像形成処理における定着処理に係る熱を受けることができず、各ワックス(WA)、ワックス(WB)に付与される熱量に差が生じる。
従って、第1面に係るワックスと第2面に係るワックスが同融点のものである場合には、第2面に係るワックスは、第1面に係るワックスに比べてトナー層の内部に残留するワックスの量が多くなる。そしてトナー層の内部に残留したワックスはトナー層の表面に滲み出したワックスと比較して固化されるまでの時間が長いことによって大きな結晶となる。その結果、トナー層の表面に滲み出したワックスとトナー層の内部に残留したワックスとの間の結晶化状態のバラツキが、光の屈折率の違いや散乱によって光沢ムラとして視認されるところ、第2面のトナー層に係る光沢ムラが顕著に視認される。
然るに、第2面に係るワックス(WB)が、第1面に係るワックス(WA)よりも融点の低いものであることによって、第2面に係るトナー層の内部に残留するワックス(WB)の量が少なく抑制されてワックスの固化されるまでの時間がより一様に近づき、結晶化状態のバラツキが小さくなり、その結果、表面および裏面に同等の画像品質を有する高光沢画像が形成された両面印刷物を得ることができる。
ワックス(WA)、ワックス(WB)としては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス;マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス;ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス;カルナウバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス;エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
これらの中でも、結着樹脂が極性を有する材料を使用して得られたものである場合においても当該結着樹脂との非相溶性が十分に維持されてトナー層の表面にスムーズに滲み出させることができることから、極性が低いものを使用することが好ましく、例えば炭化水素系ワックスを用いることが好ましい。
ワックス(WA)の融点が上記の範囲にあることにより、ブリードの発生が抑制されてトナー(A)に十分な耐熱保管性が得られると共に、トナー層の表面への滲み出しが確実に得られて優れた定着分離性および耐ホットオフセット性が得られる。
具体的には、ワックス(WA)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。
ワックス(WB)の融点は、測定試料をワックス(WB)として上述の通りに測定したものである。
以下、トナー(A)およびトナー(B)について、ワックス以外の構成についてまとめて説明する。
ここに、有彩色トナーとは、光吸収や光散乱による着色を目的とした着色剤を含有するトナーのことをいい、また、クリアトナーとは、顔料、染料などの着色剤を含まないトナーをいう。ただし、加熱加圧処理して得られる定着層が光吸収や光散乱の作用により色が認識されないものとなるトナーであれば、例えば、顔料、染料などの着色剤を微量含むトナーや、結着樹脂やワックス、外添剤に色を有しているトナーもクリアトナーに含める。
クリアトナーは、例えば有彩色トナーによって形成されたトナー像上に当該クリアトナーによる層を重ねることによって、得られる光沢トナー画像層において高い光沢性を得るために用いられる。
本発明の両面画像形成方法に用いるトナーを構成する結着樹脂としては、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などを挙げることができ、特にスチレン−アクリル系樹脂およびポリエステル樹脂を用いることが好ましい。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
トナーが有彩色トナーである場合、当該トナーに含有される着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
カラーのトナーを得るための着色剤としては、具体的には、顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ13、同31、同43、C.I.ピグメントブルー15:3、同60、同76などを挙げることができ、染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の両面画像形成方法に用いるトナーの貯蔵弾性率G´は、第1面の光沢処理を経て得られる光沢トナー画像層が、第2面の光沢処理時に熱を受けてもトナーの弾性回復が生じることが抑制され、光沢度の低下を抑制するという観点から、120℃における貯蔵弾性率G´(120)が1×102 〜3×104 Paであり、かつ、150℃における貯蔵弾性率G´(150)が1×101 〜3×103 Paであることが好ましく、120℃における貯蔵弾性率G´(120)が2×103 〜1×104 Paであり、かつ、150℃における貯蔵弾性率G´(150)が7×101 〜2×102 Paであることがより好ましい。
本発明の両面画像形成方法に用いるトナーの温度に対する貯蔵弾性率G´の変化を示す曲線の一例を図4に示す。
(1)トナーを温度20±1℃、相対湿度50±5%RHの環境下において、測定試料シャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、0.6gを圧縮成型器に装填し、3tの荷重を30秒間加えることにより、直径1cmのペレットを作製する。
(2)ペレットを直径0.977cmのパラレルプレートに装填する。
(3)測定部温度をトナーの軟化点−20℃、パラレルプレートギャップを3mmに設定する。この設定により、測定部はトナーの軟化点−20℃に加熱され、ギャップが3mmになるまでペレットは圧縮される。その後、35℃まで放冷する。
(4)測定部温度を35℃に設定した後、周波数1.0Hzの正弦波振動を加えながら、測定部を毎分5℃の昇温速度で200℃まで昇温し、120℃から150℃における複素弾性率G* を測定する。ひずみ角は自動ひずみ制御にて行う。
トナーの貯蔵弾性率G´は、例えば結着樹脂を構成する高分子成分の分子量や、用いる単量体の種類、組成比などを制御することにより、調整することができる。
トナーの軟化点は、下記に示すフローテスターによって測定されるものである。
具体的には、まず、20℃、50%RHの環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、トナーの軟化点とされる。
すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料(トナー)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102 、2.1×103 、4×103 、1.75×104 、5.1×104 、1.1×105 、3.9×105 、8.6×105 、2×106 、4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。また、検出器には屈折率検出器を用いる。
以上のようなトナーは、その平均粒径が体積基準のメディアン径で3〜10μmであることが好ましく、より好ましくは6〜9μmである。このトナーの平均粒径は、例えば、使用する凝集剤(塩析剤)の濃度や凝集停止剤の添加のタイミング、凝集時の温度、重合体の組成によって制御することができる。体積基準のメディアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の電解液「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。測定装置において、測定粒子カウント数を25,000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径(体積D50%径)を体積基準のメディアン径とする。
また、以上のようなトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.850〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.900〜0.995である。
この平均円形度が0.850〜1.000の範囲にあることにより、記録材Pに転写されたトナー層におけるトナー粒子の充填密度が高くなって定着性が向上し、定着オフセットが発生しにくくなる。また、個々のトナー粒子が破砕しにくくなって摩擦帯電付与部材の汚染が減少し、トナーの帯電性が安定する。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
以上のようなトナーを製造する方法としては、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法などが挙げられる。
これらの中でも、高画質化、高安定性に有利となる粒子径の均一性、形状の制御性、コアシェル構造形成の容易性の観点より、乳化凝集法を採用することが好ましい。
乳化凝集法は、界面活性剤や分散安定剤によって分散された樹脂微粒子の分散液を、必要に応じて着色剤微粒子などのトナー粒子構成成分の分散液と混合し、凝集剤を添加することによって所望のトナーの粒子径となるまで凝集させ、その後または凝集と同時に、樹脂微粒子間の融着を行い、形状制御を行うことにより、トナー粒子を製造する方法である。
ここで、樹脂微粒子を、任意に離型剤、荷電制御剤などの内添剤を含有したものとしてもよく、組成の異なる樹脂によりなる2層以上の構成とする複数層で形成された複合粒子とすることもできる。
また、凝集時に、異種の樹脂微粒子を添加し、コアシェル構造のトナー粒子とすることもトナー構造設計の観点から好ましい。
樹脂微粒子は、例えば、乳化重合法、ミニエマルション重合法、転相乳化法などにより製造、またはいくつかの製法を組み合わせて製造することができる。樹脂微粒子に内添剤を含有させる場合には、中でもミニエマルション重合法を用いることが好ましい。
上記のトナー粒子は、そのままで本発明に係るトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して本発明に係るトナーを構成してもよい。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、光沢処理が行われていることが好ましい。
以上のようなトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
本発明の両面画像形成方法に用いる記録材Pとしては、光沢トナー画像層を保持することができるものであればよく、具体的には、例えば薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙などの各種の印刷用紙などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
例えば、上述の光沢処理装置は、画像形成装置に内蔵された構成とされることに限定されず、例えば適宜の画像形成装置に接続させてフィニッシャーとして使用する構成のものとしてもよい。
このような両面画像形成方法においては、第1面の画像形成処理を行った後、当該第1面の光沢処理、第2面の画像形成処理の順に行うことに限定されず、第2面の画像形成処理を行ってから第1面の光沢処理を行ってもよい。
全て粉体状の未定着トナーによって形成された層とする場合は、例えば上記の画像形成装置において定着装置を有さない構成の画像形成装置を用いて、光沢処理装置において定着と光沢処理とを同時に行えばよい。
また、固化された定着トナーによって形成された層上に粉体状の未定着トナーによって形成された層が積層された層とする場合は、上記の画像形成装置において、まず、有彩色トナーによる定着トナー層を形成し、次いでクリアトナーによる未定着トナーによる層を形成し、これを被処理体として光沢処理装置において光沢処理を行えばよい。
なお、クリアトナーの貯蔵弾性率G´は、上述の通りに測定した。
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)4質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を75℃とした後、
スチレン 567質量部
n−ブチルアクリレート 165質量部
メタクリル酸 68質量部
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃で2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合(第1段重合)反応を行うことにより、樹脂微粒子〔a1〕が分散されてなる樹脂微粒子分散液〔a1〕を調製した。樹脂微粒子〔a1〕の重量平均分子量を測定したところ、300,000であった。
次に、撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1270質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、80℃に加熱した後、上記の樹脂微粒子分散液〔a1〕を固形分換算で40質量部投入し、さらに、
スチレン 129質量部
n−ブチルアクリレート 47質量部
メタクリル酸 15質量部
n−オクチルメルカプタン 0.5質量部
ワックス:P1(「HNP−0190」(日本精蝋社製)) 80質量部
をワックスの融点よりも5〜10℃高い温度に加温してワックスを溶解させた単量体混合液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、1時間混合分散させ、乳化粒子を含む分散液を調製した。次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃で1時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第2段重合)反応を行うことにより、樹脂微粒子〔a2〕が分散された樹脂微粒子分散液〔a2〕を調製した。
上記の樹脂微粒子分散液〔a2〕に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、
スチレン 417質量部
n−ブチルアクリレート 131質量部
メタクリル酸 23質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した後、80℃の温度下で2時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第3段重合)反応を行った後、28℃まで冷却することにより、複合樹脂微粒子よりなる樹脂微粒子〔1〕が分散された樹脂微粒子分散液〔1〕を得た。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、樹脂微粒子分散液〔1〕を固形換算分で450質量部、イオン交換水1100質量部およびドデシル硫酸ナトリウム2質量部を投入して撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整した後、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物70質量部をイオン交換水75質量部に溶解した水溶液を、撹拌下30℃で10分間かけて添加し、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて81℃まで昇温させ、81℃に保特させたまま樹脂微粒子〔1〕の凝集、融着を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて形成されている凝集粒子の粒径を測定し、凝集粒子の体積基準のメディアン径が6.7μmになった時点で、塩化ナトリウム200質量部をイオン交換水860質量部に溶解させた水溶液を添加して凝集を停止させた。
凝集停止後、熟成処理として液温を91℃にして加熱撹拌を8時間行って凝集粒子の微粒子間の融着を進行させてトナー母体粒子〔A〕を形成した。熟成処理の後、液温を30℃に冷却し、塩酸を使用して液中のpHを2に調整して撹拌を停止した。
得られたトナー母体粒子〔A〕をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械(株)製)を用いて固液分離し、トナー母体粒子〔A〕のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄した後、「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業(株)製)に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行うことにより、トナー母体粒子〔A1〕を得た。
このトナー母体粒子〔A1〕100質量部に対してヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm、疎水化度68)1.0質量部およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm、疎水化度63)0.3質量部からなる外添剤を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)で外添処理を行うことにより、トナー〔A1〕を作製した。なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
トナーの製造例A1において、樹脂微粒子分散液の調製例1の第2段重合工程におけるワックスの種類および添加量を表1に従って変更したことの他は同様にして、トナー〔A2〕〜〔A5〕、〔B1〕〜〔B10〕を作製した。
表1中の「ワックスNo.」は、表2に示される市販品のワックスを示す。
トナーの作製例A1において、樹脂微粒子〔1〕を凝集させる工程において、樹脂微粒子分散液〔1〕と共に下記のように調製した着色剤微粒子分散液〔1〕145質量部を添加したことの他は同様にして、有彩色のトナー〔CA1〕を作製した。
(着色剤微粒子分散液の調製例1)
n−ドデシル硫酸ナトリウム27質量部をイオン交換水500質量部に撹拌溶解し、撹拌を継続しながら、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3を10質量部、徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散された着色剤微粒子分散液〔1〕を調製した。この着色剤微粒子分散液〔1〕における着色剤微粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、体積基準のメディアン径で98nmであった。
トナーの作製例B1において、樹脂微粒子〔1〕を凝集させる工程において、樹脂微粒子分散液〔1〕と共に上記の着色剤微粒子分散液〔1〕145質量部を添加したことの他は同様にして、有彩色のトナー〔CB1〕を作製した。
このトナー〔A1〕〜〔A5〕、〔B1〕〜〔B10〕、〔CA1〕、〔CB1〕の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメディアン径が60μmのフェライトキャリアを、V型混合機を用いて、トナー濃度が6質量%になるよう混合することによって、現像剤〔A1〕〜〔A5〕、〔B1〕〜〔B10〕、〔CA1〕、〔CB1〕を作製した。
デジタル複写機「bizhub C 353」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用いて記録材「OKトップコート+(坪量157g/m2 、紙厚131μm、A3サイズ)」(王子製紙社製)の両面上に各々フルカラー画像(日本画像学会テストチャートNo.7)を定着させたテスト画像プリント物を形成した。
このテスト画像プリント物の第1面上の全面に、常温常温環境(温度20℃、相対湿度50%RH)下において、図1で示される画像形成装置によって、表3のトナー(A)欄に記載のトナーによる現像剤をトナー付着量4g/m2 の条件で用いてクリアトナー層(現像剤〔CA1〕を用いた場合はカラートナー層)を形成し、これを被処理体として図3で示される光沢処理装置によって第1面の光沢処理を行い、次いで、同様にして第2面上の全面に、表3のトナー(B)欄に記載のトナーによる現像剤をトナー付着量4g/m2 の条件で用いてクリアトナー層(現像剤〔CB1〕を用いた場合はカラートナー層)を形成し、これを被処理体として同様に第2面の光沢処理を行うことにより、両面印刷物〔1〕〜〔13〕を得た。
光沢処理装置の条件は以下の通りである。
(a)光沢処理用ベルトの材質:ポリイミドフィルム(厚さ50μm)上にフッ素樹脂およびポリシロキサンを含有する表面層(厚さ10μm)が形成されたものであり、表面硬度が1.5GPa、接触角が95°のもの
(b)光沢処理用ベルトの表面粗さ:初期表面粗さRa=0.4μm
(c)加熱ローラ:外径100mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体の内部に、サーミスタにより温度制御されるハロゲンランプ(加熱源)が配置されたもの
(d)加圧ローラ:外径80mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体の表面が、厚さ3mmのシリコーンゴム層によって被覆され、アルミニウム製基体の内部に、サーミスタにより温度制御されるハロゲンランプ(加熱源)が配置されたもの
(e)ニップ部の搬送方向長さ:11mm
(f)ニップ部と剥離ローラとの距離:620mm
−制御条件−
(g)加熱ローラの表面温度:155℃となるよう制御
(h)加圧ローラの表面温度:115℃となるよう制御
(i)加圧の大きさ:0.29MPa
(j)冷却温度:50℃となるよう制御
(k)被処理体の搬送速度:220mm/sec
(l)被処理体の搬送方向:縦方向に搬送させる
以上のようにして得られた両面印刷物〔1〕〜〔13〕の表面および裏面の光沢ムラを目視およびルーペで観察し、その差を下記の評価基準に従って評価した。結果を表3に示す。
−評価基準−
◎:ルーペで観察される光沢ムラの量が表面と同等またはそれ以下である(合格)。
○:ルーペで観察される光沢ムラが表面より多いが、目視では光沢ムラが観察されない(合格)。
△:目視でごくわずかに斑点状の光沢ムラが観察されるが、実用上の画像品質に問題なし(合格)。
×:目視で斑点状の光沢ムラがはっきりと観察され、表面との画像品質差が目立つ(不合格)。
なお、表面の光沢ムラは、全ての実施例で目視では光沢ムラが観察されず、ルーペでは斑点状の光沢ムラが観察されるレベルであった。
2 光沢処理用ベルト
3a 加熱ローラ
3b 加圧ローラ
3c、3d 加熱源
4 冷却機構
4a,4b,4c 冷却ファン
4d ヒートシンク
5 剥離機構
5a 剥離ローラ
5b 搬送補助ローラ
6 支持ローラ
10 中間転写部
11Ha,11Hb,11Y,11M,11C,11Bk 感光体
12 クリーニング手段
13Ha,13Hb,13Y,13M,13C,13Bk 一次転写ローラ
13A 二次転写ローラ
16 中間転写体
16a〜16d 支持ローラ
20Ha 第1クリアトナー像形成部
20Hb 第2クリアトナー像形成部
20Y,20M,20C,20Bk 有彩色トナー像形成部
21Ha,21Hb,21Y,21M,21C,21Bk 現像手段
22Ha,22Hb,22Y,22M,22C,22Bk 露光手段
23Ha,23Hb,23Y,23M,23C,23Bk 帯電手段
25Ha,25Hb,25Y,25M,25C,25Bk クリーニング手段
26 定着装置
27,28 加熱加圧ローラ
29 分岐板
40 排紙トレイ
41 給紙カセット
42 給紙搬送手段
44a,44b,44c,44d 給紙ローラ
46 レジストローラ
47 排紙ローラ
48a,48b,48c,48d 搬送路
N,N2 ニップ部
P 記録材
Ta,Tb トナー層
W,W’ 被処理体
Claims (6)
- 加熱ローラと支持ローラとに張架された無端状の光沢処理用ベルトと、この光沢処理用ベルトを前記加熱ローラに対して押圧し、これにより当該光沢処理用ベルトとの間にニップ部が形成されるよう配置された加圧ローラとを備え、前記光沢処理用ベルトの移動方向における加熱ローラより下流側に冷却機構が配設された冷却剥離システムを備えた光沢処理装置を用いて、
記録材の第1面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を光沢処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却剥離する第1面の光沢処理工程と、
前記記録材の第2面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を光沢処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却剥離する第2面の光沢処理工程とをこの順に行う両面画像形成方法において、
前記第1面の光沢処理工程において前記記録材の第1面上に担持されるトナー層の最上層が、結着樹脂およびワックス(WA)を含有するトナー粒子(a)よりなるトナー(A)より形成されてなり、
前記第2面の光沢処理工程において前記記録材の第2面上に担持されるトナー層の最上層が、結着樹脂、および、前記トナー(A)におけるワックス(WA)よりも融点の低いワックス(WB)を含有するトナー粒子(b)よりなるトナー(B)により形成されてなることを特徴とする両面画像形成方法。 - 前記トナー(A)におけるワックス(WA)と前記トナー(B)におけるワックス(WB)との融点差が10℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の両面画像形成方法。
- 前記トナー(B)におけるワックス(WB)が分子量が700以下の炭化水素系ワックスであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の両面画像形成方法。
- 前記トナー(A)におけるワックス(WA)の含有量、並びに、前記トナー(B)におけるワックス(WB)の含有量が、いずれも、4〜13質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の両面画像形成方法。
- 前記記録材の第1面上に担持されるトナー層の最上層を形成するトナー(A)および/または前記記録材の第2面上に担持されるトナー層の最上層を形成するトナー(B)が、クリアトナーであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の両面画像形成方法。
- 前記記録材の第1面上に形成されたトナー層、および、前記記録材の第2面上に形成されたトナー層が、いずれも、当該記録材の全面に形成されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の両面画像形成方法。
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