JP2013097222A - 両面画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 特定の平滑処理装置を用いて、記録材の第1面上にトナー層が担持されてなる被処理体を、ニップ部において加熱した後に冷却する第1面の平滑処理を行った後、記録材の第2面上にトナー層が担持されてなる被処理体を、ニップ部において加熱した後に冷却する第2面の平滑処理を行う両面画像形成方法であって、DSC測定から求められる融解エネルギーΔHが0.2〜14J/gであるトナーを用い、第1面および第2面の平滑処理におけるニップ部の最大温度×ニップ部の最大圧力×被処理体がニップ部を通過する時間で表されるニップ条件P1、P2の比(P2/P1)が、0.2〜0.8であることを特徴とする。
【選択図】 図3
Description
高光沢画像とは、いわゆる写真画質のような画像であり、具体的には60°光沢度が50以上であるような画像をいう。なお、60°光沢度が80以上であるような更なる高光沢画像については、20°光沢法を適用して測定された20°光沢度によってその光沢度が示される。
このような高光沢画像を形成するための方法として、加熱加圧ローラと、平滑面を有し当該平滑面が外周面となるよう加熱加圧ローラと支持ローラとに張架された無端状のベルトと、このベルトを加熱加圧ローラに対して押圧し、これにより当該ベルトとの間にニップ部が形成されるよう配置された加熱加圧ローラとを備え、ベルトの移動方向における加熱加圧ローラの下流側に冷却機構が配設された平滑処理装置を用いて、記録材上に形成されたトナー層をベルトの平滑面に密着させた状態で加熱、冷却を行う方法が提案されている(特許文献1)。
この方法によっては両面に同等の高光沢画像を形成することができないが、両面に同等の高光沢画像を形成する方法としては、表面(第1面)と裏面(第2面)とにおいて光沢処理時の装置の構成を変更させる方法(特許文献2)などが提案されている。
記録材の第1面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却することにより、前記トナー層の表面を平滑化する第1面の平滑処理を行い、
その後、第1の平滑処理がなされた記録材の第2面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却することにより、前記トナー層の表面を平滑化する第2面の平滑処理を行う両面画像形成方法において、
前記記録材の第1面および第2面上に担持されるトナー層を形成するトナーとして、
結着樹脂およびワックスを含有するトナー粒子よりなり、
当該トナーのDSC測定によって取得されるワックスの吸熱ピークから得られる融解ピーク面積から求められる融解エネルギーΔHが0.2〜14J/gであるトナーを用い、
前記第1面の平滑処理におけるニップ部の最大温度a1(℃)×ニップ部の最大圧力b1(kPa)×被処理体がニップ部を通過する時間c1(sec)で表されるニップ条件P1と、前記第2面の平滑処理におけるニップ部の最大温度a2(℃)×ニップ部の最大圧力b2(kPa)×被処理体がニップ部を通過する時間c2(sec)で表されるニップ条件P2との比(P2/P1)が、0.2〜0.8であることを特徴とする。
当該結着樹脂がポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
本発明の両面画像形成方法は、下記に詳述する光沢処理装置1(図2参照)からなる特定の平滑処理装置を用いて、記録材Pの第1面上に電子写真法によって形成されたトナー層Taが担持されてなる被処理体W(図3参照)を加熱、冷却することにより、トナー層Taの表面を平滑化して光沢トナー画像層を形成する第1面の平滑処理(光沢処理)を行い、その後、第1の光沢処理がなされた被処理体Wの記録材Pの第2面上に電子写真法によって形成されたトナー層Tbが担持されてなる被処理体W’を、光沢処理装置1を用いて加熱、冷却することにより、第2面に係るトナー層Tbの表面を平滑化して光沢トナー画像層を形成する第2面の平滑処理(光沢処理)を行い、これにより、その両面に光沢トナー画像層を有する両面プリント物を得る両面画像形成方法において、第1面の光沢処理に係るニップ条件と第2面の光沢処理に係るニップ条件とが異なるよう調整されたことを特徴とするものである。
以下に説明する両面画像形成方法においては、光沢処理に供される被処理体W,W’におけるトナー層Ta,Tbが(2)全て固化された定着トナーによって形成された層とされる。
トナー層Ta,Tbがクリアトナーによる層を含む場合、トナー層Ta,Tbの最上層に設けられることが好ましいが、これに限定されるものではない。
さらに、トナー層Ta,Tbの面積は特に限定されないが、トナー層Ta,Tbまたはその最上層がクリアトナーによる層とされる場合においては、当該クリアトナーによる層が記録材Pの全面に形成されていることが好ましい。クリアトナーによる層が記録材Pの全面に形成されることにより、例えば有彩色トナーによる画像が形成されない非画像部も平滑化して記録材Pに係る全面を平滑化する、すなわち全面に光沢を発現させることができる。
この画像形成装置は、画像形成処理とトナー層の光沢処理とを連続的に実行することのできるタンデム型のカラー画像形成装置である。
中間転写体16は、複数の支持ローラ16a〜16dにより張架され、回動可能に支持された無端ベルト状のものである。
光沢処理装置1は、記録材P上にトナー層Ta,Tbが形成されてなる被処理体W,W’について、加熱および加圧を施し、さらに冷却した後、光沢処理用ベルト2から剥離するまでの工程を一連に行うことができる。
この光沢処理用ベルト2の材料としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを基材として形成されたものが好適であり、継ぎ目のないシームレスベルトであっても、シート状のフィルムを継いでベルト状に加工した物であってもよい。
剥離ローラ5aのローラ径は、その曲率が記録材Pの剛性に対して制御されて剥離機構5において被処理体Wが光沢処理用ベルト2から剥離される径であればよく、例えばφ10〜40mmであることが好ましい。
以上のような画像形成装置においては、まず、クリアトナー像形成部20Hおよび有彩色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkにおいて、感光体11H,11Y,11M,11C,11Bk上に帯電手段23H,23Y,23M,23C,23Bkにより帯電され、露光手段22H,23Y,23M,23C,23Bkにより露光されることにより静電潜像が形成され、当該静電潜像が現像手段21H,21Y,21M,21C,21Bkにおいてトナーによって現像されることによりクリアトナー像および各色の有彩色トナー像が形成され、一次転写ローラ13H,13Y,13M,13C,13Bkにより中間転写体16上にクリアトナー像および各色の有彩色トナー像が順次に転写され、中間転写体16上において重ね合わされて未定着トナーによるトナー粉体層が形成される。一方、給紙カセット41内に収容された記録材Pが、給紙搬送手段42により給紙され、複数の給紙ローラ44a,44b,44c,44dおよびレジストローラ46によって搬送され、二次転写ローラ13Aにおいて当該記録材Pの第1面上に中間転写体16上のトナー粉体層が一括して転写される。その後、記録材Pの第1面上に転写されたトナー粉体層が定着装置26において加圧および加熱により定着されることにより、トナー層Taが形成される。
トナー層Taにおけるクリアトナーによる層の厚みは、例えば2〜50μmとされることが好ましい。
定着装置26による定着処理条件は、加熱温度が150〜230℃、好ましくは160〜190℃であり、かつ、ニップ時間が10〜300msec、好ましくは20〜70msecであることが好ましい。
定着装置26における加熱温度とは、記録材P上に転写されたトナー粉体層が接触する加熱加圧ローラ27の表面温度をいう。
また、ニップ時間とは、ニップ部N2の搬送方向長さ(mm)/線速(mm/sec)×1000から算出されるものである。
一方、二次転写ローラ13Aにより記録材P上にクリアトナー像および各色の有彩色トナー像を転写した後の中間転写体16は、クリーニング手段12により当該中間転写体16上に残留したトナーを除去した後に、次のクリアトナー像および各色の有彩色トナー像の中間転写に供される。
以上のように第1面に係る画像形成処理を経て記録材Pの第1面上にトナー層Taが形成された被処理体Wに対して、光沢処理が行われる。
すなわち、被処理体Wが、当該被処理体Wのトナー層Taが光沢処理用ベルト2の平滑面に接触する状態でニップ部Nにおいて加熱ローラ3aおよび加圧ローラ3bの駆動によって挟持搬送される。ニップ部Nにおいては、トナー層Taが加熱されて溶融されると同時に加圧されて光沢処理用ベルト2の外周面の平滑面形状にならって均一な厚みを有する層となった状態に融着する(加熱加圧工程)。
この融着によって光沢処理用ベルト2の外周面に被処理体Wが密着した状態とされ、当該光沢処理用ベルト2が矢印方向に循環移動することによって被処理体Wが冷却領域Coに移動される。
被処理体Wは、冷却機構4を通過する間に冷却ファン4a〜4cから供給されるエアーによって強制的に冷却されてトナー層Taの固化が促進され、これにより、トナー層Taの表面が平滑化されて光沢トナー画像層が形成される(冷却工程)。
そして、剥離機構5に搬送された被処理体Wは、その裏面(第2面)が搬送補助ローラ5bに接触して保持され、この状態において光沢処理用ベルト2の屈曲部に到達し、当該屈曲部において光沢処理用ベルト2の循環移動方向が大きく変化するときに、被処理体Wを構成する記録材P自身の剛性(腰)によって光沢処理用ベルト2から剥離される。そして、搬送補助ローラ5bに重心が移動することにより光沢処理用ベルト2からの剥離が促進され、記録材Pの第1面上に光沢トナー画像層を有する片面プリント物が得られる(剥離工程)。剥離する際の線速は、20〜200mm/secとされることが好ましく、さらに好ましくは20〜100mm/secである。
ここに、冷却温度とは、剥離されるときの光沢処理用ベルト2のトナー層Taと接触している平滑面と反対側の面の表面温度をいい、具体的には、赤外線放射温度計「IR0510」(ミノルタ社製)を用いて当該光沢処理用ベルト2の面について、冷却領域Coにおける表面温度を測定したものとされる。例えば、剥離ローラ5aによって剥離される位置の手前5〜10cmの位置の表面温度とされる。
以上のように光沢処理装置1を通過し、記録材Pの第1面上に光沢トナー画像層を有する被処理体Wは、一度排紙ローラ47を有する排紙搬送路に一旦搬送された後、逆方向に搬送されて分岐板29により排紙搬送路より分岐させて搬送路48a,48bを経由して反転機構(図示せず)によって反転搬送され、二次転写ローラ13Aに搬送される。
一方、クリアトナー像形成部20Hおよび有彩色トナー像形成部20Y,20M,20C,20Bkにおいては、第1面に係る画像形成処理と同様にしてトナー粉体層が形成され、このトナー粉体層が二次転写ローラ13Aに搬送された記録材Pの第2面上に転写される。
その後、記録材Pの第2面上に転写されたトナー粉体層が定着装置26において加圧および加熱により定着されることにより、トナー層Tbが形成される。
定着装置26における加熱時間が過度に高い、または、ニップ時間が過度に長い場合は、定着処理時に、第1面に係る光沢トナー画像層がニップ部N2において加熱加圧ローラ28に加熱された状態で押圧され、当該加熱加圧ローラ28の表面形状が当該光沢トナー画像層に転写されて平滑性が低下してしまい、その結果、第2面に係る光沢トナー画像層よりも顕著に低い光沢を有するものとなってしまうおそれがある。
以上のように第2面に係る画像形成処理を経て記録材Pの第2面上にトナー層Tbが形成された被処理体W’に対して、第1面の光沢処理とニップ条件が変更された他は同様にして、光沢処理が行われる。
第2面の光沢処理を経て得られた記録材Pの両面に光沢トナー画像層を有する両面プリント物は、排紙ローラ47によって機外に排出されて排紙トレイ40上に載置される。
そして、本発明の両面画像形成方法においては、第1面の光沢処理の加熱加圧工程に係るニップ条件P1と第2面の光沢処理の加熱加圧工程に係るニップ条件P2とが異なるよう調整されている。
具体的には、第1面の光沢処理におけるニップ条件P1、すなわちニップ部Nの最大温度a1×ニップ部Nの最大圧力b1×被処理体Wがニップ部Nを通過する時間c1と、第2面の光沢処理におけるニップ条件P2、すなわちニップ部Nの最大温度a2×ニップ部Nの最大圧力b2×被処理体W’がニップ部Nを通過する時間c2との比(P2/P1)(以下、「ニップ条件比」ともいう。)が、0.2〜0.8、好ましくは、0.2〜0.6となるよう調整されている。
ニップ部Nの最大温度a1,a2は、それぞれ、例えば140〜200℃とされ、ニップ条件比(P2/P1)が上記の範囲となるのであれば、例えばa1<a2であってもよく、a1=a2であってもよい。
ニップ部Nの最大温度a1,a2は、それぞれ、被処理体W,W’がニップ部Nを通過する間にトナー層Ta,Tbのクリアトナーによる最上層が溶融され、他の有彩色トナーによる層が溶融されない温度とされることが好ましい。
ニップ部Nの最大圧力b1,b2は、それぞれ、例えば300〜1000kPaとされ、ニップ条件比(P2/P1)が上記の範囲となるのであれば、例えばb1<b2であってもよく、b1=b2であってもよい。ニップ部Nの最大圧力b1,b2が1000kPaを超える場合は、トナー層Ta,Tbの厚みが小さい場合に記録材Pが損傷するおそれがある。
被処理体W,W’がニップ部Nを通過する時間c1,c2は、それぞれ、例えば0.03〜0.5secとされ、ニップ条件比(P2/P1)が上記の範囲となるのであれば、例えばc1<c2であってもよく、c1=c2であってもよい。
ここで、ニップ時間が同一とする範囲とは、設定するニップ時間に対し、実測のニップ時間の最大値、最小値が設定値の5%以内にあることを言う。例えば、ニップ時間が0.22secであれば、実測値が0.22×0.95=0.209以上、0.22×1.05=0.231以下であることを言う。実際にニップ時間を10回観測し、上記範囲内であればニップ時間を同一と言うこととする。
第1面および第2面の光沢処理の加熱加圧工程に係るニップ条件P1,P2は、それぞれ、P1は25,000〜60,000(℃・kPa・sec)、P2は20,000〜40,000(℃・kPa・sec)とされることが好ましい。
本発明の両面画像形成方法に用いるトナーは、静電荷像現像用のトナー粒子よりなり、結着樹脂およびワックスを含有し、トナー粒子におけるワックスの含有量が特定範囲内にあるものである。
ここに、有彩色トナーとは、光吸収や光散乱による着色を目的とした着色剤を含有するトナーのことをいい、また、クリアトナーとは、光吸収や光散乱の作用により色が認識されないトナーのことをいう。クリアトナーは実質的に無色透明であればよく、例えば、顔料、染料などの着色剤を含まないトナーや、顔料、染料などの着色剤を色認識できない程度に含むトナー、結着樹脂やワックス、外添剤の種類や添加量により透明度が若干低くなっているトナーなどが挙げられる。
クリアトナーは、例えば有彩色トナーによって形成されたトナー像上に当該クリアトナーによる層を重ねることによって、得られる光沢トナー画像層において高い平滑性、すなわち高い光沢性を得るために用いられる。
本発明の両面画像形成方法に用いるトナーを構成する結着樹脂は、熱可塑性樹脂からなり、熱可塑性樹脂としては、具体的には、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレンアクリル樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂;ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂などの公知の種々のものを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることもできる。
ビニル系樹脂とポリエステル樹脂とを組み合わせて用いる場合は、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂とを混合して使用してもよく、また、ビニル系樹脂からなるユニットとポリエステル樹脂からなるユニットとが互いに結合し複合化されてなる樹脂を使用してもよい。両者を互いに結合させることによって、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂との相溶性を高めることができる。
ビニル系樹脂からなるユニットとポリエステル樹脂からなるユニットとを結合させる方法としては、ビニル系樹脂にポリエステル樹脂からなるユニットをグラフト重合させる方法や、ポリエステル樹脂にビニル系樹脂からなるユニットをグラフト重合させる方法などを採用することにより、両者の親和性を高めることができる。両者の親和性が高いものとされることによって、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂とがそれぞれ局在化せずに相溶化してトナー粒子中に均一に存在することとなり、それぞれの樹脂の特性をより効果的に発現させることができる。
熱可塑性樹脂は、融点を有する結晶性樹脂および融点を有さずにガラス転移点を有する非晶性樹脂のいずれであってもよく、その混合物であってもよい。
スチレン系モノマーとしては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−ノニルスチレン、p−フェニルスチレンなどが挙げられ、(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ジエチルアミノエチル、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタアクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどが挙げられ、これらはそれぞれ1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。上記のモノマーのうち、スチレン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メタアクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸が好ましく用いられる。
上記のスチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共に、必要に応じてその他の重合性を重合させることができ、その他の重合性モノマーとしては、ビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類が挙げられる。多官能性ビニル類を用いることにより、架橋構造のスチレンアクリル樹脂を得ることができる。
トナーに含有されるワックスとしては、溶融状態から固化する結晶化に際して異方性を有さないことにより光沢トナー画像層内における透明性の向上が図られることから、結晶化度が低いものを用いることが好ましく、例えば、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜蝋ワックスなどを用いることが好ましい。
トナー粒子中のワックスの含有量が上記の範囲にあることにより、得られた両面プリント物における光沢トナー画像層を、当該光沢トナー画像層内部のワックスの含有部分と結着樹脂の含有部分の界面における光散乱が抑制されることから透明性が高く、品位の向上されたものとすることができる。また、光沢トナー画像層に所望の光沢度を得るために必要とされる熱力を小さく抑制することができるため、好適である。
また、トナー粒子中のワックスの含有量についてΔHが14J/g以下であることによって、第2面の光沢処理時の記録材Pの第1面上に形成された光沢トナー画像層におけるワックスの溶融・再結晶化による平滑性の低下が小さく抑制することができ、従って、記録材Pの両面の光沢トナー画像層間の光沢度の差を小さくする効果が得られる。
トナー粒子中のワックスの含有量が過少である場合は、定着装置26の加熱加圧ローラ27,28からの分離が困難になるおそれがあり、また、トナー粒子中のワックスの含有量が過多である場合は、第2面の光沢処理時の記録材Pの第1面上に形成された光沢トナー画像層におけるワックスの溶融・再結晶化による平滑性の低下が大きいために、記録材Pの第1面上に所期の平滑性を有する光沢トナー画像層を形成することができないおそれがある。
具体的には、測定手順としては、トナー3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行った。
そして、融解エネルギーΔH(J/g)は、その2nd.Heatにおけるワックス由来の吸熱ピークから単位質量当たりの熱量を算出することによって得られた値である。
トナーが有彩色トナーである場合、当該トナーに含有される着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
黒色のトナーを得るための着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
カラーのトナーを得るための着色剤としては、具体的には、顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ13、同31、同43、C.I.ピグメントブルー15:3、同60、同76などを挙げることができ、染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
トナーの軟化点は、下記に示すフローテスターによって測定されるものである。
具体的には、まず、20℃、50%RHの環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、トナーの軟化点とされる。
すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料(トナー)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。また、検出器には屈折率検出器を用いる。
以上のようなトナーは、その平均粒径が体積基準のメディアン径で3〜10μmであることが好ましく、より好ましくは6〜9μmである。このトナーの平均粒径は、例えば、使用する凝集剤(塩析剤)の濃度や凝集停止剤の添加のタイミング、凝集時の温度、重合体の組成によって制御することができる。体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の電解液「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。測定装置において、測定粒子カウント数を25,000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径(体積D50%径)を体積基準のメディアン径とする。
また、以上のようなトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、平均円形度が0.850〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.900〜0.995である。
この平均円形度が0.850〜1.000の範囲にあることにより、記録材Pに転写されたトナー層におけるトナー粒子の充填密度が高くなって定着性が向上し、定着オフセットが発生しにくくなる。また、個々のトナー粒子が破砕しにくくなって摩擦帯電付与部材の汚染が減少し、トナーの帯電性が安定する。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
以上のようなトナーを製造する方法としては、例えば混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、乳化凝集法を用いることが好ましい。この乳化凝集法によれば、製造コストおよび製造安定性の観点から、トナー粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
ここに、乳化凝集法とは、乳化によって製造された結着樹脂の微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を、必要に応じて、着色剤の微粒子(以下、「着色剤微粒子」ともいう。)の分散液と混合し、所望のトナー粒子径となるまで凝集させ、さらに結着樹脂微粒子間の融着を行うことにより形状制御を行い、これによりトナー粒子を製造する方法である。ここで、結着樹脂微粒子は、任意にワックス、荷電制御剤などの内添剤を含有していてもよい。
結着樹脂の乳化方法としては、乳化重合法、ミニエマルション重合法、シード重合法、転相乳化法などが挙げられるが、水のみにて形成可能な重合法を採用することが好ましい。
乳化凝集法を用いて、クリアトナーを製造する方法の一例を以下に示す。
(1)水系媒体中に、ワックスを含有する結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)着色剤微粒子の分散液と結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、着色剤微粒子および結着樹脂微粒子を凝集、融着させてトナー粒子を形成する工程
(3)トナー粒子の分散系(水系媒体)からトナー粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(4)トナー粒子を乾燥する工程
(5)トナー粒子に外添剤を添加する工程
上記の(1)の工程において得られる結着樹脂微粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよい。このような構成の結着樹脂微粒子は、例えば、乳化重合法であれば、2層構造を有するものは、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)によって樹脂粒子の分散液を調整し、この分散液に重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する手法によって得ることができる。
また、乳化凝集法においては、コア−シェル構造を有するトナー粒子を得ることもでき、具体的にコア−シェル構造を有するトナー粒子は、先ず、コア粒子用の結着樹脂微粒子と着色剤微粒子とを凝集、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂微粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の結着樹脂微粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
また、トナー粒子中に着色剤を含有させる方法としても、上記に示したワックスを含有させる方法と同様の方法を採用することができる。
結着樹脂微粒子重合工程においては、結着樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタンおよびスチレンダイマーなどを挙げることができる。
結着樹脂微粒子重合工程においては、結着樹脂を得るための重合開始剤は、水溶性の重合開始剤であれば適宜のものを使用することができる。重合開始剤の具体例としては、例えば過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩など)、パーオキシド化合物などが挙げられる。
結着樹脂微粒子重合工程において界面活性剤を使用する場合に、界面活性剤としては、従来公知の種々のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン界面活性剤などを用いることができる。
結着樹脂微粒子重合工程において使用する凝集剤としては、例えばアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を挙げることができる。凝集剤を構成するアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、凝集剤を構成するアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属またはアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
トナーに荷電制御剤を含有させる場合において、荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
具体的には、サルチル酸錯体、ベンジル酸錯体等のオキシカルボン酸錯体が挙げられ、その酸錯体を構成する中心金属としてはアルミニウム、カルシウム、亜鉛などが挙げられる。また、オキシカルボン酸錯体の他に、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどのアゾ錯体染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
荷電制御剤の添加量は、最終的に得られるトナー中において0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%となるように調整することができる。
荷電制御剤をトナー粒子中に導入する方法としては、特に限定されないが、例えば、上記に示した着色剤を含有させる方法と同様の方法を挙げることができる。
上記のトナー粒子は、そのままで本発明に係るトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して本発明に係るトナーを構成してもよい。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、光沢処理が行われていることが好ましい。
以上のようなトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
本発明の両面画像形成方法に用いる記録材Pとしては、光沢トナー画像層を保持することができるものであればよく、具体的には、例えば薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙などの各種の印刷用紙などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
例えば、上述の光沢処理装置からなる平滑処理装置は、画像形成装置に内蔵された構成とされることに限定されず、例えば適宜の画像形成装置に接続させてフィニッシャーとして使用する構成のものとしてもよい。
また例えば、本発明の両面画像形成方法は、記録材上にトナー層を担持させるまでの工程を行う画像形成装置と、光沢処理装置とを別個に設置し、順に使用して行うこともできる。
全て粉体状の未定着トナーによって形成された層とする場合は、例えば上記の画像形成装置において定着装置を有さない構成の画像形成装置を用いて、光沢処理装置において定着と光沢処理とを同時に行えばよい。
また、固化された定着トナーによって形成された層上に粉体状の未定着トナーによって形成された層が積層された層とする場合は、上記の画像形成装置において、まず、有彩色トナーによる定着トナー層を形成し、次いでクリアトナーによる未定着トナーによる層を形成し、これを被処理体として光沢処理装置において光沢処理を行えばよい。
なお、クリアトナーの融解エネルギーΔHは、上述の通りに測定した。
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)4質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を75℃とした後、
スチレン 567質量部
n−ブチルアクリレート 165質量部
メタクリル酸 68質量部
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃で2時間にわたって加熱、撹拌することによって重合(第1段重合)反応を行うことにより、樹脂微粒子〔A1〕が分散された分散液〔A1〕を調製した。樹脂微粒子〔A1〕の重量平均分子量を測定したところ、300,000であった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1270質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、80℃に加熱した後、上記の分散液〔A1〕を固形分換算で40質量部投入し、さらに、
スチレン 129質量部
n−ブチルアクリレート 47質量部
メタクリル酸 15質量部
n−オクチルメルカプタン 0.5質量部
ワックス「WEP−5」(日本油脂社製) 80質量部
からなる単量体混合液を80℃で溶解させた単量体溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、1時間混合分散させ、乳化粒子を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃で1時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第2段重合)反応を行うことにより、樹脂微粒子〔A2〕が分散された分散液〔A2〕を調製した。
上記の分散液〔A2〕に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、
スチレン 386質量部
n−ブチルアクリレート 140質量部
メタクリル酸 45質量部
n−オクチルメルカプタン 13質量部
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第3段重合)反応を行った後、28℃まで冷却することにより、複合樹脂微粒子よりなる樹脂微粒子〔1〕が分散された樹脂微粒子分散液〔1〕を得た。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、樹脂微粒子分散液〔1〕を固形換算分で450質量部、イオン交換水1100質量部およびドデシル硫酸ナトリウム2質量部を投入して撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整した後、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物70質量部をイオン交換水75質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃で10分間かけて添加し、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温させ、85℃に保特させたまま樹脂微粒子〔1〕の凝集、融着を継続した。この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用いて形成されている凝集粒子の粒径を測定し、凝集粒子の体積基準のメディアン径が6.7μmになった時点で、塩化ナトリウム200質量部をイオン交換水860質量部に溶解させた水溶液を添加して凝集を停止させた。
凝集停止後、熟成処理として液温を98℃にして加熱撹拌を8時間行って凝集粒子の微粒子間の融着を進行させてトナー母体粒子〔1〕を形成した。熟成処理の後、液温を30℃に冷却し、塩酸を使用して液中のpHを2に調整して撹拌を停止した。
得られたトナー母体粒子〔1〕をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械(株)製)を用いて固液分離し、トナー母体粒子〔1〕のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄した後、「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業(株)製)に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行うことにより、トナー母体粒子〔1〕を得た。
このトナー母体粒子〔1〕100質量部に対してヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm、疎水化度68)1.0質量部およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm、疎水化度63)0.3質量部からなる外添剤を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)で外添処理を行うことにより、クリアトナー〔1〕を作製した。なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
このクリアトナー〔1〕の融解エネルギーΔHを表1に示す。
トナーの製造例1において、ワックス「WEP−5」の使用量を92質量部に変更したことの他は同様にして、クリアトナー〔2〕を作製した。このクリアトナー〔2〕の融解エネルギーΔHを表1に示す。
トナーの製造例1において、ワックス「WEP−5」の使用量を18質量部に変更したことの他は同様にして、クリアトナー〔3〕を作製した。このクリアトナー〔3〕の融解エネルギーΔHを表1に示す。
(1)ポリエステル樹脂の作製
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物316質量部、テレフタル酸80質量部、無水マレイン酸34質量部、および重縮合触媒としてチタンテトライソプロポキシド2質量部を10回に分割して入れ、200℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで13.3kPa(100mmHg)の減圧下に反応させ、軟化点が104℃になった時点で取り出し、ポリエステル樹脂を得た。ポリエステル樹脂のガラス転移点は65℃、数平均分子量は4,500、重量平均分子量は13,500であった。
温度計および撹拌装置を取り付けたオートクレーブ反応槽中に、キシレン430質量部、上記のポリエステル樹脂430質量部を入れて溶解させ、窒素置換後、スチレン86.0質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル21.5質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.16質量部、およびキシレン100質量部の混合溶液を170℃で3時間滴下重合し、更にこの温度で30分間保持した。次いで脱溶剤を行い、スチレン−アクリルグラフト変性ポリエステル樹脂を得た。
得られたスチレン−アクリルグラフト変性ポリエステル樹脂100質量部を、400質量部の酢酸エチル(関東化学社製)に溶解し、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所製)によってV−LEVEL 300μAで30分間超音波分散した後、40℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)を使用し、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去することにより、体積基準のメディアン径(D50)が160nm、固形分が13.5質量%の「スチレン−アクリルグラフト変性ポリエステル樹脂粒子分散液」を得た。
ワックス「WEP−5」(日本油脂社製)100質量部、アニオン性界面活性剤「ネオゲンRK」(第一工業製薬社製)23質量部およびイオン交換水860質量部を混合し110℃に加熱して、ホモジナイザー「ウルトラタラックスT50」(IKA社製)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)によって分散処理し、離型剤微粒子分散液を得た。得られた分散液中の離型剤微粒子の分散径は250nmであった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、樹脂微粒子〔1〕450質量部と、「スチレン−アクリルグラフト変性ポリエステル樹脂粒子分散液」15質量部(固形分換算)と、「離型剤微粒子分散液」3質量部(固形分換算)と、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部とイオン交換水900質量部とを仕込み、液温を25℃に調整した後、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム70質量部をイオン交換水105質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて30分間かけて添加し、3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。
この状態で、「コールターMultisizer3」にて凝集粒子の粒径を測定し、所望の粒子径になった時点で、塩化ナトリウム75質量部をイオン交換水290質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。
さらに、熟成工程として液温度88℃にて加熱撹拌することにより、「FPIA−2100」による測定で平均円形度0.960になるまで、粒子間の融着を進行させつつ、トナー粒子を形成させ、その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。
上記の工程にて生成したトナー粒子をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械(株)製)で固液分離し、トナー粒子のウェットケーキを形成し、このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が1.0質量%となるまで乾燥してクリアトナー母体粒子〔4〕を得た。
このトナー母体粒子〔4〕100質量部に対してヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm、疎水化度68)1.0質量部およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm、疎水化度63)0.3質量部からなる外添剤を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)を用いて外添処理を行うことにより、クリアトナー〔3〕を作製した。なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
このクリアトナー〔4〕の融解エネルギーΔHを表1に示す。
このクリアトナー〔1〕〜〔4〕の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積基準のメジアン径35μmのフェライトキャリアを、V型混合機を用いて、トナー濃度が6質量%になるよう混合することによって、クリア現像剤〔1〕〜〔4〕を作製した。
デジタル複写機「bizhub C8000」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を用いて記録材「OKトップコート+(坪量157g/m2 、紙厚131μm)」(王子製紙社製)の両面上に各々フルカラー画像を定着させたテスト画像プリント物を形成した。
このテスト画像プリント物の第1面(表面)上の全面に、常温常温環境(温度20℃、相対湿度50%RH)下において、図1で示される画像形成装置によってクリア現像剤〔1〕〜〔4〕を用いてトナー付着量6g/m2 の条件でクリアトナー層を形成し、これを被処理体として図3で示される光沢処理装置によって第1面の光沢処理を行い、次いで、同様にして第2面(裏面)上の全面にクリアトナー層を形成し、これを被処理体として同様に第2面の光沢処理を行うことにより、両面プリント物〔1〕〜〔10〕を作製した。
光沢処理装置の条件は以下の通りである。
(a)光沢処理用ベルトの材質:ポリイミドフィルム(厚さ50μm)上にPFA層(厚さ10μm)が形成されたもの
(b)光沢処理用ベルトの表面粗さ:初期表面粗さRa=0.4μm
(c)加熱ローラ:外径100mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体の内部に、サーミスタにより温度制御されるハロゲンランプ(加熱源)が配置されたもの
(d)加圧ローラ:外径80mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体の表面が、厚さ3mmのシリコーンゴム層によって被覆されたもの
(e)ニップ部の搬送方向長さ:10mm
(f)ニップ部と剥離ローラとの距離:620mm
−制御条件−
(g)ニップ部の最大温度a1,a2:表1の通りに制御
(h)ニップ部の最大圧力b1,b2:表1の通りに制御
(i)被処理体の搬送速度(線速):表1の通りに制御
(j)冷却温度:原則50℃となるよう制御
(k)被処理体の搬送方向:縦方向に搬送させる
以上のようにして得られた両面プリント物〔1〕〜〔9〕の表面および裏面の光沢度を、表面および裏面それぞれの光沢度、および表面の光沢度と裏面の光沢度の差によって評価を行った。
光沢度は、具体的には、グロスメーター「GMX−203」(村上色彩技術研究所社製)を用い、測定角度を20°に設定し、「JIS Z8741 1983方法2」に基づいて測定し、両面プリント物の表面および裏面それぞれの中央部と四隅の5点の測定値の平均値とした。
表面および裏面の光沢度の値がいずれも60以上であり、かつ、その光沢度差が10以下である場合を合格とした。表面および裏面の光沢度の値がいずれも80以上であり、かつ、その光沢度差が10以下であると、特に優れているとされる。
また、裏面内における光沢度のバラツキを、測定点(中央部および四隅の5点)の最大値−最小値によって計算した。面内における光沢度のバラツキが10以下である場合を合格とした。
結果を表1に示す。
以上のようにして得られた両面プリント物〔1〕〜〔9〕について、目視にて画像の透明性を下記の評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
−評価基準−
◎:下地画像であるフルカラー画像にくすみ感がまったくない。
○:下地画像であるフルカラー画像にややくすみ感があるが、実用上は問題ない。
×:下地画像であるフルカラー画像のくすみがひどく、画像に欠損が感じられ、実用に耐えない。
2 光沢処理用ベルト
3a 加熱ローラ
3b 加圧ローラ
3c 加熱源
4 冷却機構
4a,4b,4c 冷却ファン
4d ヒートシンク
5 剥離機構
5a 剥離ローラ
5b 搬送補助ローラ
6 支持ローラ
10 中間転写部
11H,11Y,11M,11C,11Bk 感光体
12 クリーニング手段
13H,13Y,13M,13C,13Bk 一次転写ローラ
13A 二次転写ローラ
16 中間転写体
16a〜16d 支持ローラ
20H クリアトナー像形成部
20Y,20M,20C,20Bk 有彩色トナー像形成部
21H,21Y,21M,21C,21Bk 現像手段
22H,22Y,22M,22C,22Bk 露光手段
23H,23Y,23M,23C,23Bk 帯電手段
25H,25Y,25M,25C,25Bk クリーニング手段
26 定着装置
27,28 加熱加圧ローラ
29 分岐板
40 排紙トレイ
41 給紙カセット
42 給紙搬送手段
44a,44b,44c,44d 給紙ローラ
46 レジストローラ
47 排紙ローラ
48a,48b 搬送路
N,N2 ニップ部
P 記録材
Ta,Tb トナー層
W,W’ 被処理体
Claims (6)
- 加熱ローラと支持ローラとに張架された無端状の平滑処理用ベルトと、この平滑処理用ベルトを前記加熱ローラに対して押圧し、これにより当該平滑処理用ベルトとの間にニップ部が形成されるよう配置された加圧ローラとを備え、前記平面処理用ベルトの移動方向における加熱ローラの下流側に冷却機構が配設された平滑処理装置を用いて、
記録材の第1面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却することにより、前記トナー層の表面を平滑化する第1面の平滑処理を行い、
その後、第1の平滑処理がなされた記録材の第2面上に電子写真法によって形成されたトナー層が担持されてなる被処理体を、当該トナー層を平滑処理用ベルトに密着させた状態でニップ部において加熱した後に冷却することにより、前記トナー層の表面を平滑化する第2面の平滑処理を行う両面画像形成方法において、
前記記録材の第1面および第2面上に担持されるトナー層を形成するトナーとして、
結着樹脂およびワックスを含有するトナー粒子よりなり、
当該トナーのDSC測定によって取得されるワックスの吸熱ピークから得られる融解ピーク面積から求められる融解エネルギーΔHが0.2〜14J/gであるトナーを用い、
前記第1面の平滑処理におけるニップ部の最大温度a1(℃)×ニップ部の最大圧力b1(kPa)×被処理体がニップ部を通過する時間c1(sec)で表されるニップ条件P1と、前記第2面の平滑処理におけるニップ部の最大温度a2(℃)×ニップ部の最大圧力b2(kPa)×被処理体がニップ部を通過する時間c2(sec)で表されるニップ条件P2との比(P2/P1)が、0.2〜0.8であることを特徴とする両面画像形成方法。 - 前記第1面の平滑処理における被処理体がニップ部を通過する時間と、前記第2面の平滑処理における被処理体がニップ部を通過する時間が同一ではないことを特徴とする請求項1に記載の両面画像形成方法。
- 前記ニップ条件P2が、20,000〜40,000(℃・kPa・sec)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の両面画像形成方法。
- 前記トナーの結着樹脂が、スチレンアクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の両面画像形成方法。
- 前記被処理体上におけるトナー層が、少なくとも最表層がクリアトナーから構成されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の両面画像形成方法。
- 前記トナーを構成する結着樹脂におけるスチレンアクリル樹脂の含有量が、全結着樹脂に対して50〜95質量%であり、
当該結着樹脂がポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の両面画像形成方法。
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