以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は本発明における最良の実施の形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例の構成のみに限定されるものではない。
[実施例1]
図1は画像形成システムの全体を表す概略図である。本画像形成システムは、中間転写体を用いた複写機能とプリンタ機能を備えたカラー複合機とされている。
本例の画像形成システムは、後述する画像形成手段と定着手段が収められたメイン筐体と、後述する平滑化装置と両面反転パスが収められたサブ筐体と、を有している。このサブ筐体は、メイン筐体に対して操作者の好みに応じて取り付け、取り外しができるように構成された、所謂、オプションユニットとされている。つまり、メイン筐体は、普通紙などの通常の記録材へのトナー像の形成を完結させることができるユニットとされている。
なお、画像形成システムが、画像形成手段、定着手段、平滑化装置を1つの筐体に収めた構成とされる場合であっても何ら構わない。
(画像形成手段)
まず、普通紙、OHPシートや後述の樹脂メディアなどの記録材にトナー像を形成するための画像形成手段(エンジン部)の構成について説明する。画像形成手段は以下に説明する画像形成機器より構成されている。
装置の上方に、複写原稿を載置して原稿の画像情報を読み取るための原稿読取装置200が設置されている。原稿読取装置200により読み取られた原稿の画像情報は画像処理され、この画像処理されたデータに応じて後述の露光ユニットが制御される。
原稿読取装置200の側方に操作者が各種設定、指示を行う為の操作部300が設置されている。この操作部300にて後述する画像形成モードの選択/指示が為され、この選択/指示された情報に応じて制御装置としてのコントローラ400(図13)が後述の画像形成機器、定着器や平滑化装置を制御する。
装置内の上部には、4つの画像形成ステーションY、M、C、Kが略水平に並んで設置されている。これら画像形成ステーションY、M、C、Kは、それぞれイエロートナー像、マゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像を形成するものである。なお、各画像形成ステーションの構成は現像剤としてのトナーの色が異なる点を除きほぼ同様である。
以下、画像形成ステーションYについて詳述するが、画像形成ステーションM、C、Kも同様である。
画像形成ステーションYには、像担持体としての感光体(以下、感光ドラム)1が回転可能に設置されている。この感光ドラム1の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ2、画像露光手段としての露光ユニット3、現像手段としての現像器4、1次転写手段としての1次転写ローラ6、クリーニング手段としてのクリーナ5が設置されている。
また、感光ドラム1と接するように中間転写体としての中間転写ベルト71が回転可能に設置されている。この中間転写ベルト71は、従動ローラ72、2次転写対向ローラ73、駆動モータによって駆動される駆動ローラ74に掛け渡されている。そして、この中間転写ベルト71を挟んで感光ドラム1の対向位置に1次転写ローラ6が設けられている。従動ローラ72はテンションローラを兼ねており中間転写ベルト71に所定の張力を与える機能を担っている。2次転写対向ローラ73は中間転写ベルト71を挟んで後述の2次転写ロ−ラ9に対向配置されている。また、2次転写対向ローラ73には、2次転写時に高圧電源から2次転写バイアスが印加される構成とされている。
中間転写ベルト71の下方には、記録材を収容するカセット100が設置されている。本例では、カセット100が2つ設置されており、記録材の種類別にそれぞれ収容されている。
このカセット100には収容された記録材を1枚ずつ分離して搬送するピックアップローラ101が設置されている。
ピックアップローラ101から搬送されてきた記録材は複数の搬送ローラ対102を経てレジストローラ8に向けて搬送される。このレジストローラ8は、中間転写ベルト71上のトナー像が2次転写部に突入するタイミングと記録材が2次転写部に突入するタイミングとが合うように記録材の送出タイミングを制御する機能を担っている。
次のこの画像形成部の画像形成動作について説明する。
画像形成装置の各画像形成機器はいずれもほぼプロセス速度130mm/秒で動作(回転)する。なお、露光ユニット3は感光ドラム1がプロセス速度で回転するのに対応して露光走査速度が設定されている。
まず、図1の反時計回りに回転する感光ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電され、露光ユニット3から画像信号に応じてレーザ光が照射されて静電潜像が形成される。そして、この静電潜像が現像器3によって現像剤を付着させることにより可視像化される。感光ドラムに形成されたトナー像は1次転写ローラ6に1次転写バイアスが印加されることによって中間転写ベルト71に1次転写される。
このような現像までの工程を各画像形成ステーション毎に行い、そして、各色のトナー像が互いに重畳されるように中間転写ベルト上に1次転写される。即ち、各画像形成ステーションによって形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が中間転写ベルト71に重ねて転写されてカラー画像が形成される。
その後、2次転写対向ローラ73に2次転写バイアスが印加されることにより、中間転写ベルト71上のトナー像が2次転写部に導入された記録材に一括して2次転写される。
カラー画像を転写された記録材は定着手段としての定着器10に向けて搬送され、熱定着される。
(定着器)
記録材の搬送方向において2次転写部の下流側には、定着手段としての定着器10が設置されている。
この定着器10には、定着部材としての定着ローラ11と、これに圧接して定着ニップを形成するニップ形成部材(加圧部材)としての加圧ローラ12が設置されている。定着ローラ11と加圧ローラ12間の圧力は総圧50kgとされている。
定着ローラ11は、Al、Feなどの芯金上に弾性層としてのゴム層、トナー離型層としてのフッ素樹脂層が積層された構造とされており、中空の芯金の内部には加熱源としてのハロゲンヒータが設置されている。この加熱源としては、例えば、電磁誘導加熱を使った所謂IH方式などの他の方式のものを使うことも可能である。
また、定着ローラは、駆動ギア列を介して駆動モータと接続されており、この駆動モータからの駆動力により回転する構成とされている。
加圧ローラ12は、定着ローラ11と同様に、芯金上に弾性層としてのゴム層、トナー離型層としてのフッ素樹脂層が積層された構造とされており、中空の芯金の内部には加熱源としてのハロゲンヒータが設置されている。この加熱源としては、例えば、電磁誘導加熱を使った所謂IH方式などの他の方式のものを使うことも可能である。
この加圧ローラ12は定着ローラ11に従動回転する構成とされており定着ローラと共に回転する。
また、定着ローラ11と加圧ローラ12の表面近傍には、それぞれの温度を検出する検出手段としてのサーミスタが設置されている。そして、定着ローラ11と加圧ローラ12に内蔵されたそれぞれのハロゲンヒータへの通電はこの両サーミスタの出力に応じてコントローラ400により制御される構成となっている。本例では、定着ローラ11の定着温度は180度に設定され、加圧ローラ12の定着温度は150度に設定され、これを維持するように制御装置により温調される。
本例の定着器8は2次転写部から搬送されてきた記録材上のトナー像を定着ニップにて加熱、加圧することにより記録材に定着処理する構成となっている。
また、定着器8(定着ニップ)から送出される際の記録材の温度(記録材分離温度)は高温(約90〜110度)を維持したままとなっている。つまり、本例の定着器は、記録材が定着ニップを通過し終わるとほぼ同時に定着器から記録材が分離される、高温分離方式とされている。
なお、上述においてはローラ対を用いた定着器を例に説明したが、定着側と加圧側の少なくとも一方にベルトを用いた構成としても何ら構わない。
(樹脂メディア)
次に、トナー受容層(トナー受容樹脂層とも呼ぶ)を両面に備えた記録材(以下、両面樹脂メディア)について図3を用いて説明する。この両面樹脂メディアは、後述する高光沢な画像を両面に形成する両面画像形成モード(写真調出力モード)に用いられる。このような、樹脂メディアは、写真、パンフレット、チラシ、ポップ、ディスプレイなどの分野において多用され、高品位な印刷物を出力するのに好適なメディアである。
ここで、トナー受容層とは、後述するような、平滑化処理時にトナー(像)の埋め込まれを許容する層であると定義することができる。また、トナー受容層は、平滑化処理時にトナーと共に軟化することからトナーとの相容性が高く、トナー相容層と呼ぶこともできる。
本例で用いる両面樹脂メディアは、ベースとしての原紙42の両面に樹脂層43としてポリエチレン樹脂をラミネート加工やコーティングによって形成したいわゆるRC原紙(レジン・コート原紙)41を用いた。
RC原紙41の樹脂の表面性は最終的なプリント出力物の表面性に影響を与えることになるので高平滑に仕上げたものが望ましい。そこで、本例では、そのRC原紙41の両面側に、中間層44、トナー受容層45をそれぞれ積層させている。なお、このような中間層は必ずしも設ける必要はない。
トナー受容層45は透明の熱可塑性樹脂層とされ、その厚みは5〜30μmの範囲とされている。本例では、トナー受容層が平滑化処理時においてトナーと共に溶融、軟化するように、トナーと同じポリエステル樹脂により構成されたものを用いている。つまり、トナー受容層に使用される透明な熱可塑性樹脂として、トナーとの相溶性が高いものを選ぶことが好ましい。なお、本例のトナー受容層は、未加熱状態では白色であり、加熱されることによって透明となる樹脂層である。
このトナー受容層に使用されるポリエステル樹脂を構成する多価アルコール成分と多価カルボン酸成分としては、下記のものを用いることができる。
多価アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールを用いることができる。また、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAにオレフィンオキサイドを付加したモノマー等を用いることができる。
多価カルボン酸成分としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ドデシルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸を用いることができる。また、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸を用いることができる。また、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパンテトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸を用いることができる。また、これらの酸の低級アルキルエステル等を用いることができる。
なお、透明なトナー受容層を構成するポリエステル樹脂は、上記多価アルコール成分の1種以上と多価カルボン酸成分の1種以上との重合により合成される。
さらに、トナー受容層には、その透明性を阻害しない範囲内で、顔料、離型剤、導電剤等を含有させることができる。その場合、樹脂層全重量に対し、主成分の樹脂量は80重量%以上であることが好ましい。さらに透明樹脂層は、温度20度、相対湿度85%において、その表面電気抵抗が8.0×108Ω以上になるようにその組成を調整されたものが好ましい。
なお、樹脂メディアとしては、上述したものだけに限られず、その表面が定着温度付近で溶ける溶融特性をもつ熱可塑性樹脂層が設けられたものであれば、必ずしも多層構成にする必要はない。また、顔料などの様々な添加物を加えてもよいことは言うまでもない。
従って、トナー受容層を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)は、トナーと同等であり、40度〜100度の範囲とされている。これは、後述する平滑化装置によって平滑化処理を行う際に、トナーと共にトナー受容層を軟化させてトナーをトナー受容層に埋め込むためである。このトナーのトナー受容層への埋め込みにより両面樹脂メディアの画像面が平滑化され、高光沢な画像を得ることができるのである。
また、本例では、両面樹脂メディアの全体の坪量は、銀塩写真のような風合いを出すことと、装置内のメディア搬送性の観点から、100g/m2〜300g/m2の範囲とされている。なお、170g/m2〜250g/m2の範囲にするとより好ましい。
また、トナー受容層を片面にだけ形成した片面樹脂メディアも使用することが可能である。この片面樹脂メディアは、ベースとしての原紙42の片面に樹脂層43としてポリエチレン樹脂がラミネート加工やコーティングによって形成されており、さらに、中間層44、トナー受容層45がこの順に積層されている。この片面樹脂メディアは、後述する高光沢な画像を片面に形成する片面画像形成モードに用いられる。
(平滑化装置)
本例では、上述した樹脂メディアへ高光沢画像を形成するモード(写真調出力モード)の際には平滑化装置によりメディアの画像面を平滑化させることにより画像の高光沢化を図っている。そのため、本例では、平滑化装置として冷却分離方式のものを採用している。
平滑化装置20は、平滑化手段(平滑化器)としての平滑化処理部の他に、平滑化処理部を通過した樹脂メディアの表裏を反転させ、これを再度平滑化処理部へ導入させる導入手段としての両面反転パス(搬送パス)を有している。この両面反転パスは、図1に示すように、フラッパ32と複数の搬送ローラ対とを備えており、樹脂メディアの他方の面を平滑化処理するため、一方の面が平滑化処理された樹脂メディアを定着器を経由することなく平滑化処理部に再導入させる。
平滑化処理部は、高光沢なエンドレスベルト(第1の回転体)23と、このベルト23との間でニップ部を形成する加圧ローラ(第2の回転体)22、冷却手段としての冷却装置25、26を有している。
ベルト23は、樹脂メディアの画像面と密着しながら加熱することにより、その高光沢な表面性をメディアに転移させる機能を担っている。従って、本例では光沢度(60°光沢)が60〜100の範囲のものを用いている。なお、ベルトの光沢度は、後述の測定方法により測定することができ、また、画像形成装置において求められている画像の光沢度にあわせて任意に選択することができる。
また、本例では、ベルト23は基材としてポリイミドなどの熱硬化性樹脂を用いているが、他の耐熱性樹脂や金属などを使うこともできる。そして、この基材上に弾性層としての耐熱性のあるシリコンゴム層が形成されている。なお、シリコンゴムの代わりにフッ素ゴムなども利用可能である。さらに、シリコンゴム層上にトナー離型層としてフッ素樹脂層が形成されている。
また、ベルト23の厚さは、薄過ぎるとベルト自身の強度やトナー受容層へのトナーの埋め込みのための加圧が不十分となり、厚過ぎるとベルトを加熱するために必要な熱量が多くなりトナーの埋め込みが不十分になる恐れがある。そこで、本例では、ベルト23の厚さが、100〜300μmの範囲のものを用いている。
ベルト23は熱ローラ21とテンションローラ24により回転可能に掛け回されており、本例では熱ローラ21がベルト23を駆動する駆動ローラとしての機能を担っている。
熱ローラ21は熱伝導性の良い金属製の芯金とこの上に弾性層としてのゴム層が設けられた中空のローラとされている。詳細には、芯金は、直径44mm、厚さ5mmのアルミニウム製の中空パイプにより構成され、ゴム層はJIS−A硬度が50度、厚さ300μmのシリコンゴムにより構成される。熱ローラ21の内部には加熱源としてのハロゲンヒータが設置されている。この加熱源としては、例えば、電磁誘導加熱を使った所謂IH方式のものを使うことも可能である。
また、熱ローラ21と対向するベルト23の外面近傍に、ベルト23の温度を検出する検出手段としてのサーミスタが設置されている。このサーミスタの出力を基にコントローラ400がハロゲンヒータへの通電を可変することによって、ベルト23の熱ローラ21に巻きつけられた部分での温度が130度を維持するように制御されている。
テンションローラ24は、その曲率によりベルト23から記録材が分離される分離部に設置されている。つまり、本例では、メディアが自身のこし(こわさ)によってベルト23から曲率分離(剥離)するようにテンションローラ24の径を設定している。
このベルト23を挟んで熱ローラ21と対向する位置に加圧ローラ22が回転可能に設置されている。加圧ローラ22はベルト23に従動回転する構成とされている。
この加圧ローラ22は金属製の芯金とこの上に弾性層としてのゴム層が設けられた中空のローラとされている。このゴム層は厚さ3mmのシリコンゴムにより構成されている。本例では、加圧ローラの内部にもハロゲンヒータなどの加熱源を設置し、熱ローラ21とともにメディアの加熱を行っている。この加熱源としては、例えば、電磁誘導加熱を使った所謂IH方式などの他の方式のものを使うことも可能である。
加圧ローラ22は熱ローラ21と共にベルト23を挟み込むように総圧50kg(490N)で加圧されている。即ち、この加圧ローラはベルト23との間でニップ部を形成する機能を担っており、このときのニップ部の記録材搬送方向に沿った長さは5mmとされている。
また、加圧ローラ22の外面近傍に、加圧ローラ22の温度を検出する検出手段としてのサーミスタが設置されている。このサーミスタの出力を基にコントローラ400がハロゲンヒータへの通電を可変することによって、加圧ローラ22の温度が90度を維持するように制御されている。
ベルト23と加圧ローラ22間のニップ部において加熱、加圧されたメディアは、ベルト23に密着したまま移動し冷却装置25、26による冷却領域へと搬送される。本例では、冷却装置25、26として冷却ファンを用いており、この冷却ファンによりベルトの冷却領域を冷却する構成とされている。つまり、本例の冷却ファンは、ベルトに密着したまま移動するメディアを分離前に冷却する構成とされている。なお、冷却装置25、26は、ベルト23の冷却領域の内面側と外面側に設置された内側ダクトと外側ダクトを有しており、冷却ファン25、26によるエアーはそれぞれのダクト内を通るように構成されている。
冷却装置25、26は、樹脂メディアが分離位置に到達するまでに、トナー受容層とトナーがそれぞれのガラス転移点温度付近まで冷却されるようにその冷却能力が設定されている。なお、本例では、上述したように、トナーとトナー受容層を構成するメインの樹脂は同じものを用いているので、これらのガラス転移点温度はほぼ同様である。
従って、本例の平滑化装置は、記録材分離温度が上述した定着器10よりも十分に低く、記録材が低温となってから分離される低温分離方式とされている。
なお、冷却装置としては、上述した例に限らず、水などの冷媒を内包したヒートパイプ、ヒートシンクやペルチェ素子を接触させて冷却する構成としても良い。また、冷却装置の設置箇所をベルト23の片面側だけに設置し、ベルト23の片面側だけから冷却するようにしても構わない。
次に、平滑化装置の平滑化処理動作について説明する。
定着器10により定着処理されて約80度の状態にある樹脂メディアが平滑化装置に導入されると、そのニップ部において樹脂メディアの画像面が加熱、加圧される。このとき、樹脂メディアはトナーのガラス転移温度(Tg)よりも十分に高い温度、具体的には、約110度まで加熱される。その結果、樹脂メディアのトナー受容層がトナーと共に溶融、軟化され、トナーがトナー受容層に埋め込まれる。
その後、樹脂メディアはベルト23に密着したまま冷却領域へと搬送され、冷却装置25、26によりトナーのガラス転移温度(Tg)以下の50度程度に冷却される。従って、樹脂メディアの画像面はベルト23の高光沢面に倣って高光沢、即ち、平滑化された状態となる。そして、十分に冷却された樹脂メディアは分離部においてメディア自身の剛性により曲率分離される。その結果、トナーやトナー受容層の樹脂がベルト23にオフセットし、画像面に凹凸を生じさせてしまうのを防止することができるのである。
このように、平滑化処理を施された樹脂メディアは、機外へと排出され、一連の樹脂メディアへの画像形成が終了する。
(片面画像形成モード)
本例では、後述するように、記録材の片面にのみトナー像を形成する、2種類の片面画像形成モードを有している。これら2種類の片面画像形成モードは、画像形成装置の操作部に表示された図11に示す操作画面(液晶画面)を通じて操作者による指示によりそれぞれ選択実行可能な構成とされている。なお、画像形成装置をプリンタとして使用する場合、このような指示は画像形成装置とネットワーク接続された外部機器、例えば、図12に示すプリンタドライバ画面を通じて行われる。
まず、1つ目は、普通紙などの記録材の片面に形成されたトナー像を定着器10により定着処理した後、これを直ちに機外へ排出する通常の第1の片面画像形成モードである。このような、記録材が普通紙などの通常のマテリアルである場合、これにトナー像を形成するモードを、以下、通常出力モードと呼ぶ。
2つ目は、片面樹脂メディアのトナー受容層上に形成されたトナー像を定着器10により定着処理した後、平滑化装置20により平滑化処理を行ってからこれを機外へ排出する、といった特殊な第2の片面画像形成モードである。このような、記録材が片面樹脂メディアである場合、これにトナー像を形成するモードを、以下、写真調出力モードと呼ぶ。なお、記録材が両面樹脂メディアである場合も写真調出力モードと呼ぶ。
なお、ここでの「定着処理」とは、平滑化装置への搬送時にトナーが搬送ローラなどにオフセットしてしまわないように、トナー像をトナー受容層に固定する程度の処理を意味している(図4の(a)参照)。つまり、本片面画像形成モードでは「仮定着」とも呼ぶことができ、通常の片面画像形成モード時の「定着処理」とは定着条件、定着結果などが異なっている。
ここで、図13に示すブロック図について説明する。
このブロック図の点線で囲まれた領域にある機器は画像形成装置(画像形成システム)に設置されているものである。点線の外に描かれているものは、外部機器としてのパーソナルコンピュータを示しており、本画像形成システムとLANケーブルによりネットワーク接続されている。
実行手段(制御手段)としてのコントローラ400は、エンジン部(画像形成手段)、平滑化装置、後述の各フラッパ(搬送路切替え手段)、定着器と接続されておりこれらの機器をコントロールする機能を持っている。
また、このコントローラは、図11のような液晶表示された操作部とも接続されている。つまり、コントローラは、操作者により操作部を通じて入力される各種設定/指示情報(プリント命令や画像形成モードの指定など)を受けて、上述の機器をコントロールする。
具体的には、本例では、図11に示すように、「通常(出力モード)」キー、「写真調(出力モード)」キー、「片面(画像形成モード)」キー、「両面(画像形成モード)」キーを操作画面に用意している。このように用意されたキーを操作者が任意で選択/指示し、その後、「コピー」ボタン(不図示)を押すことにより所望の画像形成モードが実行される。
なお、コピー枚数、用紙サイズ、ソートの種類、ステイプルの有無の設定などもこの操作画面を通じて行うことができるように構成されている。
さらに、コントローラは、操作者により外部機器を通じて入力された各種設定/指示(プリント命令や画像形成モードの指定など)をネットワークI/Fを介して受けて、上述の機器をコントロールする構成とされている。
具体的には、図12に示すように、印刷方法として「両面印刷(両面画像形成モード)」か「片面印刷(片面画像形成モード)」を選択するためのキーをプリンタドライバ画面に用意している。また、画像出力モードとして「通常(出力モード)」か「写真調(出力モード)」かを選択するためのキーもプリンタドライバ画面に用意している。このように用意されたキーを操作者が任意で選択/指示し、その後、各種設定を了承する「OK」キー(図12の下部)をクリックする。このように、各種設定を完了した後、「プリント開始」キー(不図示)をクリックすることにより画像形成信号が外部機器からネットワークI/Fに送信されて、所望の画像形成モードが実行される。
なお、プリント枚数、用紙サイズ、ソートの種類、ステイプルの有無などの設定もこのプリンタドライバ画面を通じて行うことができるように構成されている。
(片面画像形成モードの記録材搬送機構)
次に、これら2種類の片面画像形成モードにおいて用いられる記録材の搬送機構について説明する。
まず、普通紙などのために用意された通常の片面画像形成モード(通常出力モードのうちの1つ)について図9に示すフローを用いて説明する。なお、この図9は、コントローラ400(図13)による制御フローを示している。
プリント開始信号が入力されると(S1)、コントローラは、まず、設定されている画像形成モードが通常出力モードか否かを判定する(S2)。
通常出力モードが指定されている場合、さらに片面画像形成モードか否かを判定する(S3)。片面画像形成モードが指定されている場合、上述した通常の片面画像形成モードが実行される。
通常の片面画像形成モードでは、上述したように、カセット100に収容された記録材は複数の搬送ローラ対102により2次転写部へと搬送される。2次転写部でトナー像を転写された記録材は定着器10へと搬送されて定着処理が施される(S4)。
その後、記録材は、記録材搬送路切替え手段としてのフラッパ31により記録材搬送路Aの方向へ導かれ、その後、記録材搬送路切替え手段としてのフラッパ33により記録材搬送路Eへと導かれ(S9)、機外に排出される(S10)。この記録材搬送路Eには、図示するように、複数の搬送ローラ対103が設置されている。
ここで、フラッパ31の機構について図2を用いて説明する。なお、後述するフラッパ32、33はフラッパ31と同様な構成とされているので詳細な説明は省略する。
フラッパ31は回転軸とこの回転軸を中心にして回転可能な羽根を有している。このフラッパ31は、図中右側から左側へと向かう記録材搬送路Aと図中下方に向かう記録材搬送路Bのうちいずれかに記録材を導入する機能を果たしている。つまり、フラッパ31が、図2の(a)に示す位置にある場合には記録材を記録材搬送路Bへと下方へ案内し、図2(b)の位置にある場合には記録材を記録材搬送路Aへと左方へ案内する。
なお、フラッパ31の回転軸は駆動モータに接続されており、制御装置(コントローラ)がこの駆動モータの回転方向などを制御することにより、フラッパ31の羽根の向き(位置)が制御される構成となっている。
また、上述の記録材搬送路A、Bの他にもう1つの記録材搬送路を有する構成であっても構わない。この場合、フラッパ31は3方向への記録材の振分けを行うことになる。
次に、片面樹脂メディアのために用意された特殊な片面画像形成モード(写真調出力モードのうちの1つ)について図9のフローを用いて説明する。
S2において、コントローラ400は写真調モードが指定されていると判定した場合、片面画像形成モードか否かを判定する(S11)。
片面画像形成モードが指定されていた場合、上述した特殊な片面画像形成モードが実行される。
特殊な片面画像形成モードでは、上述と同様に、カセット100に収容された片面樹脂メディアは複数の搬送ローラ対102により2次転写部へと搬送される。2次転写部でトナー像を転写された片面樹脂メディアは定着器10へと搬送されて仮定着処理が施される(S12)。このとき、片面樹脂メディアの画像面は図4の(a)に示す状態となっている。
その後、片面樹脂メディアは、フラッパ31により記録材搬送路Aの方向へ導かれる(S13)。この記録材搬送路Aには、図示するように、平滑化装置20へ記録材を搬送する搬送ローラ対27が設置されている。
そして、この片面樹脂メディアは、フラッパ33により記録材搬送路Cへと導かれ、平滑化装置に至る(S14)。この記録材搬送路Cには、図示するように、記録材を機外へ排出する搬送ローラ対106が設置されている。そして、平滑化装置においてトナー像をトナー受容層に埋め込むことにより片面樹脂メディアの画像面の平滑化処理が施される(図4(b)の状態)。平滑化処理された片面樹脂メディアは記録材搬送路切替え手段としてのフラッパ32により記録材搬送路Jへと導かれ(S26)、機外に排出される(S27)。
(両面画像形成モード)
本例では、後述するように、記録材の両面にトナー像を形成する、2種類の両面画像形成モードを有している。これら2種類の両面画像形成モードは、片面画像形成モードと同様に、画像形成装置の操作部からの操作者による指示によりそれぞれ選択実行可能な構成とされている。なお、画像形成装置をプリンタとして使用する場合、このような指示は画像形成装置とネットワーク接続された外部機器を通じて行われる。
まず、1つ目は、普通紙などの記録材の1面目にトナー像を形成しこれを定着器10により定着処理した後、記録材の2面目にトナー像を形成しこれを定着して機外へ排出する通常の第1の両面画像形成モード(通常出力モードのうちの1つ)である。
2つ目は、両面樹脂メディアの双方のトナー受容層にトナー像を順次形成しこれを逐次定着処理を行ってから、両面樹脂メディアの両面を順次平滑化処理して機外へ排出する特殊な第2の両面画像形成モード(写真調出力モードのうちの1つ)である。
具体的には、両面樹脂メディアの1面目にトナー像を形成しこれを定着器10により定着処理した後、両面画像メディアの2面目にトナー像を形成しこれを定着器10により定着処理する。次に、両面樹脂メディアを平滑化装置に導入し、両面樹脂メディアの両画像面を順次平滑化処理した後、機外へ排出される。なお、ここでの「定着処理」とは、両面樹脂メディアの搬送時にトナーが搬送ローラなどにオフセットしてしまわないように、トナー像をトナー受容層に固定する程度の処理を意味している。つまり、本両面画像形成モードでは「仮定着」とも呼ぶことができ、通常の両面画像形成モード時の「定着処理」とは定着条件、定着結果などが異なっている。
(両面画像形成モードの記録材搬送機構)
次に、これら2種類の両面画像形成モードにおいて用いられる記録材の搬送機構について説明する。
まず、普通紙などのために用意された通常の第1の両面画像形成モード(通常出力モードのうちの1つ)について説明する。
プリント開始信号が入力されると(S1)、コントローラ400は、まず、設定されている画像形成モードが通常出力モードか否かを判定する(S2)。
通常出力モードが指定されている場合、さらに片面画像形成モードか否かを判定する(S3)。片面画像形成モードではなく両面画像形成モードが指定されている場合、上述した通常の両面画像形成モードが実行される。通常の両面画像形成モードでは、上述したように、カセット100に収容された記録材は複数の搬送ローラ対102により2次転写部へと搬送される。2次転写部で1面目にトナー像を転写された記録材は定着器10へと搬送されて定着処理が施される(S5)。
その後、記録材は、フラッパ31により記録材搬送路Bの方向へと導かれ(S6)この記録材搬送路Bにおいてその表裏が反転されて(S7)、再度、2次転写部へと導かれる。この記録材搬送路Bには、図示するように、記録材の表裏を反転させるため記録材をスイッチバックさせる反転ローラを含む複数の搬送ローラ対104が設置されている。
そして、2次転写部にて2面目にトナー像が転写された記録材は定着器10へと搬送されて2面目の定着処理が施される(S8)。そして、2面目の定着処理が施された記録材はフラッパ31により記録材搬送路Aの方向へと導かれる。その後、記録材は、フラッパ33により記録材搬送路Eへと導かれて(S9)、機外へと排出される(S10)。
次に、両面樹脂メディアのために用意された特殊な第2の両面画像形成モード(写真調出力モードのうちの1つ)について説明する。
プリント開始信号が入力されると(S1)、コントローラ400は、まず、設定されている画像形成モードが通常出力モードか否かを判定する(S2)。
通常出力モードではなく写真調モードが指定されている場合、さらに片面画像形成モードか否かを判定する(S11)。片面画像形成モードではなく両面画像形成モードが指定されている場合、上述した特殊な両面画像形成モードが実行される。
特殊な両面画像形成モードでは、上述と同様に、カセット100に収容された両面樹脂メディアは複数の搬送ローラ対102により2次転写部へと搬送される。2次転写部で1面目にトナー像を転写された両面樹脂メディアは定着器10へと搬送されて1面目の仮定着処理が施される(S16)。
その後、両面樹脂メディアは、フラッパ31により記録材搬送路Bの方向へ導かれる(S17)。そして、この両面樹脂メディアは、記録材搬送路Bにおいてその表裏が反転されて(S18)、再度、2次転写部へと搬送される。
そして、2次転写部にて2面目にトナー像が形成された両面樹脂メディアは定着器10へと搬送されて2面目の仮定着処理が施される(S19)。
その後、両面樹脂メディアは、その表裏を反転させる記録材搬送路Bへと導入されることなく、フラッパ31により記録材搬送路Aへと直ちに搬送される(S20)。そして、両面樹脂メディアは、フラッパ33により記録材搬送路Cへと導入されて(S21)、平滑化装置20へと至る。平滑化装置20では、両面樹脂メディアの2面目の平滑化処理が行われる(S22)。
その後、2面目の平滑化処理が施された両面樹脂メディアは、導入手段によりその表裏が反転された後、平滑化装置に再度、導入される。具体的には、フラッパ32により記録材搬送路Dへと導かれ(S23)、この記録材搬送路Dにおいてその表裏が反転されて(S24)、再度、平滑化装置20(搬送ローラ対27)へと搬送される。この記録材搬送路Dには、図示するように、記録材の表裏を反転させる反転ローラを含む複数の搬送ローラ対105が設置されている。
そして、平滑化装置20では、両面樹脂メディアの1面目の平滑化処理が施される(S25)。
このように、両画像面の平滑化処理が施された両面樹脂メディアは、フラッパ32により記録材搬送路J方向へと導かれ(S26)、機外へ排出される(S27)。
以上をまとめると、特殊な両面画像形成モードでは、両面樹脂メディアに対して、1面目の定着処理→2面目の定着処理→2面目の平滑化処理→1面目の平滑化処理の順に各処理が施されて機外へと排出される。
[比較例]
比較例として図6に示す画像形成装置のような構成において両面樹脂メディアに対して両面画像形成モードを実施した場合について説明する。
図6の画像形成装置は上述した実施例1(図1)の構成に比して、記録材の両面に画像を形成するための記録材搬送路が異なっている。この点以外は上述の実施例1の構成と同様であるので詳細な説明は省略する。
つまり、本比較例では、両面樹脂メディアのための両面画像形成モードが選択されると、大まかに言えば、1面目の定着処理→1面目の平滑化処理→2面目の定着処理→2面目の平滑化処理の順に各処理が施される。
このときの記録材の搬送経路は、大まかに言うと、定着器→搬送路A→搬送路C→平滑化装置→搬送路D→搬送路B→定着器→搬送路A→搬送路C→平滑化装置→搬送路J、となる。
従って、既に平滑化処理された状態にある両面樹脂メディアの1面目は、2面目の平滑化処理を行う為の長い記録材搬送路を搬送される途中で、搬送ローラや搬送ガイドなどによりその表面が凹凸化してしまった。
また、既に平滑化処理された状態にある両面樹脂メディアの1面目は、上記実施例に比して定着器10による加熱、加圧工程を経ることにもなり、その表面が凹凸化してしまったものと考えられる。これは、本例の定着器10が、トナー像を加熱し、その後、積極的に冷却することなく高温を維持したまま定着ニップから記録材を分離する方式を採用しているためである。
次に、この比較例の構成の場合と上述した実施例1の構成の場合とで出力画像の光沢度を評価した結果を表1に示す。なお、表1では、上述したように、トナー像の転写を先に受けたメディアの画像面を「1面目」と呼び、トナー像の転写を後から受けた他方の画像面を「2面目」と呼んでいる。
表1に示す評価は、以下の条件で行った。両面樹脂メディアに2色分のトナー像を重畳することにより高濃度のベタ画像を形成し、この画像部分での光沢度を測定した。測定方法はJIS Z 8741 鏡面光沢度−測定方法により、日本電色工業株式会社製 ハンディ型光沢計(PG−1M)で60°光沢度を測定した。
比較例では、2面目の光沢度は100であり高レベルではあるものの、上述した理由により1面目の光沢度が60に低下してしまっている。従って、両面樹脂メディアの両面に高光沢画像を良好に形成することができていない。
一方、実施例1では、後から平滑化処理を施される1面目の光沢度は100で高レベルにあり、また、先に平滑化処理を施される2面目の光沢度は多少落ちるものの80であり、こちらも実用上満足できるレベルにある。つまり、実施例1の構成であれば、両面樹脂メディアの両面に高光沢画像を良好に形成することができた。
[実施例2]
図5に示す画像形成装置を用いて実施例2について説明する。本例では、記録材を担持搬送する転写ベルトを採用した点が実施例1の構成と大きく異なり、これ以外の構成は実施例1と同様であるので詳細な説明を省略する。
本例では、画像形成ステーションY、M、C、Kが鉛直上方に並んで配置されており、各画像形成ステーションの構成要素は実施例1と同様である。
この各画像形成ステーションの感光ドラムと接するように記録材担持体としての転写ベルト76が回転可能に設置されている。
この転写ベルト76は、駆動ローラ77、テンションローラ79、従動ローラ78により掛け回されており、駆動ローラ77から受けた力により図4において時計回りに回転する構成とされている。
カセット100に収容された記録材はレジストローラ8へと搬送される。そして、レジストローラ8は、感光ドラム上に形成されたトナー像と同期するように、記録材を転写ベルトに向けて送出する。
レジストローラ8から送り込まれた記録材は転写ベルト76に静電的に吸着され、各画像形成ステーションの転写部を順次搬送される。
各転写部では、転写ローラ75Y〜75Kに転写バイアスが印加され、転写ベルト上の記録材に対して各色のトナー像が順次重畳転写され、カラー画像が形成される。その後、定着器10へと導入されて、機外へ排出される。樹脂メディアに画像形成する場合には、定着器10から平滑化装置20を経てから機外へと排出される。
次に、片面画像形成モードについて図10のフローを用いて説明する。この図10は、コントローラ400による制御フローを示している。
(片面画像形成モード)
本例においても、実施例1と同様に、普通紙などのために用意された通常の第1の片面画像形成モードと、片面樹脂メディアのために用意された特殊な第2の片面画像形成モードの2つを有している。
まず、通常の片面画像形成モードについて説明する。
プリント開始信号が入力されると(S101)、コントローラは、まず、設定されている画像形成モードが通常出力モードか否かを判定する(S102)。
通常出力モードが指定されている場合、さらに片面画像形成モードか否かを判定する(S103)。片面画像形成モードが指定されている場合、上述した通常の片面画像形成モードが実行される。通常の片面画像形成モードでは、カセット100に収容された記録材はピックアップローラ101によりレジストローラ8へと搬送され、次いで、レジストローラ8により転写ベルト76へと搬送される。
転写ベルト76に供給された記録材は、各転写部を通過するたびに各画像形成ステーションからトナー像の転写を受け、その後、転写ベルト76から曲率分離される。そして、トナー像を転写された記録材は定着器10へと搬送されて定着処理が施される(S104)。
その後、記録材は、記録材搬送路切替え手段としてのフラッパ34により記録材搬送路Gの方向へ導かれる(S110)。そして、この記録材は、記録材搬送路切替え手段としてのフラッパ35により記録材搬送路Iへと導かれ(S111)、機外に排出される(S112)。この記録材搬送路G、Iには、図示するように、搬送ローラ対が設置されている。
次に、特殊な片面画像形成モードについて図10を用いて説明する。
プリント開始信号が入力されると(S101)、コントローラ400は、まず、設定されている画像形成モードが通常出力モードか否かを判定する(S102)。
通常出力モードではなく写真調出力モードが指定されている場合、さらに片面画像形成モードか否かを判定する(S113)。片面画像形成モードが指定されている場合、上述した特殊な片面画像形成モードが実行される。
特殊な片面画像形成モードでは、カセット100に収容された片面樹脂メディアは、ピックアップローラ101によりレジストローラ8へと搬送され、次いで、レジストローラ8により転写ベルト76へと搬送される。
転写ベルト76に供給された片面樹脂メディアは、各転写部を通過するたびに各画像形成ステーションからトナー像の転写を受け、その後、転写ベルト76から曲率分離される。そして、トナー像を転写された片面樹脂メディアは定着器10へと搬送されて仮定着処理が施される(S114)。
その後、片面樹脂メディアは、フラッパ34により記録材搬送路Fの方向へ導かれ、平滑化装置20に至る(S115)。この記録材搬送路Fには搬送ローラ対27が設置されている。
そして、片面樹脂メディアは平滑化装置20において平滑化処理される(S116)。その後、片面樹脂メディアは記録材搬送路切替え手段としてのフラッパ36により記録材搬送路Jの方向へ導かれて(S127)、機外に排出される(S128)。この記録材搬送路Jには、図示するように、搬送ローラ対が設置されている。
次に、両面画像形成モードについて説明する。
(両面画像形成モード)
本例においても、実施例1と同様に、普通紙などのために用意された通常の第1の両面画像形成モードと、両面樹脂メディアのために用意された特殊な第2の両面画像形成モードの2つを有している。
まず、通常の両面画像形成モードについて説明する。
プリント開始信号が入力されると(S101)、コントローラ400は、まず、設定されている画像形成モードが通常出力モードか否かを判定する(S102)。
通常出力モードが指定されている場合、さらに片面画像形成モードか否かを判定する(S103)。片面画像形成モードではなく両面画像形成モードが指定されている場合、上述した通常の両面画像形成モードが実行される。
通常の両面画像形成モードでは、上述したように、カセット100に収容された記録材はピックアップローラ101によりレジストローラ8へと搬送され、次いで、レジストローラ8により転写ベルト76へと搬送される。
転写ベルト76に供給された記録材は、各転写部を通過するたびにその1面目に各画像形成ステーションからトナー像の転写を受け、その後、転写ベルト76から曲率分離される。そして、トナー像を転写された記録材は定着器10へと搬送されて1面目の定着処理が施される(S105)。
その後、記録材は、フラッパ34により記録材搬送路Gの方向へと導かれ(S106)、次いで、記録材搬送路切替え手段としてのフラッパ35により記録材搬送路Hの方向へ導かれる(S107)。このとき、記録材は、記録材搬送路Hの入口部(記録材搬送路の分岐部)においてその表裏が反転される(S108)。この記録材搬送路Hには、図示するように、記録材の表裏を反転させるため記録材をスイッチバックさせる反転ローラを含む複数の搬送ローラ対が設置されている。
そして、記録材は記録材搬送路Hにより再度転写ベルト76へと搬送されて記録材の2面目にトナー像が転写され、定着器10へと搬送される。
2面目にトナー像が転写された記録材は定着器10により定着処理を受け(S109)、フラッパ34により記録材搬送路Gの方向へ導かれる(S110)。次いで、記録材はフラッパ35により記録材搬送路Iの方向へと導かれて(S111)、機外へ排出される(S112)。
次に、特殊な両面画像形成モードについて説明する。
プリント開始信号が入力されると(S101)、コントローラ400は、まず、設定されている画像形成モードが通常出力モードか否かを判定する(S102)。
通常出力モードではなく写真調モードが指定されている場合、さらに片面画像形成モードか否かを判定する(S113)。片面画像形成モードではなく両面画像形成モードが指定されている場合、上述した特殊な両面画像形成モードが実行される。
特殊な両面画像形成モードでは、上述と同様に、カセット100に収容された記録材はピックアップローラ101によりレジストローラ8へと搬送され、次いで、レジストローラ8により転写ベルト76へと搬送される。
転写ベルト76に供給された両面樹脂メディアは、各転写部を通過するたびにその1面目に各画像形成ステーションからトナー像の転写を受け、その後、転写ベルト76から曲率分離される。そして、トナー像を転写された両面樹脂メディアは定着器10へと搬送されて1面目の仮定着処理が施される(S117)。
その後、両面樹脂メディアは、フラッパ34により記録材搬送路Gの方向へ導かれ(S118)、次いで、フラッパ35により記録材搬送路Hの方向へ導かれる(S120)。このとき、記録材は、記録材搬送路Hの入口部(記録材搬送路の分岐部)においてその表裏が反転される(S119)。
そして、記録材は記録材搬送路Hにより再度転写ベルト76へと搬送されて両面樹脂メディアの2面目にトナー像が転写され、定着器10へと搬送される。2面目にトナー像が転写された両面樹脂メディアは定着器10により仮定着処理が施される(S121)。
その後、両面樹脂メディアは、その表裏を反転させる記録材搬送路H側へと搬送されることなく、フラッパ34により記録材搬送路Fへ直ちに導入されて平滑化装置20へと至る(S122)。平滑化装置20では、両面樹脂メディアの2面目の平滑化処理が行われる(S123)。
2面目の平滑化処理が施された両面樹脂メディアは、フラッパ36により記録材搬送路Kの方向へと導かれ(S124)、この記録材搬送路(両面反転パス)Kにおいてその表裏が反転されて(S125)、平滑化装置20(搬送ローラ対27)へと再搬送される。この記録材搬送路Kには、図示するように、記録材の表裏を反転させる反転ローラを含む複数の搬送ローラ対が設置されている。
そして、平滑化装置20において1面目の平滑化処理が施された結果(S126)、両画像面の平滑化処理が施された両面樹脂メディアは、フラッパ36により記録材搬送路J方向へと導かれ(S127)、機外へ排出される(S128)。
以上をまとめると、特殊な両面画像形成モードでは、両面樹脂メディアに対して、1面目の定着処理→2面目の定着処理→2面目の平滑化処理→1面目の平滑化処理の順に各処理が施されて機外へと排出される。
なお、上述のフラッパ34〜36は実施例1で説明したフラッパ31(〜33)と同様な構造とされており、詳細な説明は省略する。
以上のように、転写ベルトを用いた本例の画像形成装置においても、実施例1と同様な効果を奏することができる。つまり、両面樹脂メディアの両面に高光沢画像を良好に形成することができる。
[実施例3]
本例は、両面樹脂メディアが平滑化装置に進入する前にこれを加熱する加熱装置を設けた点が異なる。その他の構成は、上述した実施例1と同様であるので詳細な説明は省略する。
本発明者等は、特殊な両面画像形成モードにおいて、両面樹脂メディアの1面目の平滑化処理直前の温度が2面目の平滑化処理直前の温度よりも低いことに着目した。
なお、ここでは、上述した実施例1と同様に、両面樹脂メディアの1面目とは、先にトナー像の転写を受けた画像面を指し、平滑化処理を先に受ける画像面ではないことを付言しておく。
具体的には、両面樹脂メディアの2面目の平滑化処理のため両面樹脂メディアが平滑化装置に進入する直前の温度は、定着器10により約100度に上昇した状態となっている。一方、両面樹脂メディアの2面目の平滑化処理後(1面目の平滑化処理直前)の温度は冷却装置25、26により冷却されることから約50度となっている。
つまり、1面目と2面目とで平滑化処理直前の両面樹脂メディアの温度差が約50度となる。
このような状態で2面目の平滑化処理時とほぼ同じ平滑化条件(加熱温度、加圧力、メディアの搬送速度)で1面目の平滑化処理を行うと、トナー受容層に対するトナーの埋め込み性が2面目時に比して不十分となってしまった。その結果、両面樹脂メディアの1面目の光沢度が2面目の光沢度よりも約20低下してしまった。
そこで、本例では、このような両面樹脂メディアの表裏での光沢差を解消するため、記録材搬送路Dの途中に加熱装置120を設置し1面目の平滑化処理が行われる直前に両面樹脂メディアをプレ加熱する構成とした。
加熱装置120は、記録材搬送路Dの両面樹脂メディアの1面目側に設置され、両面樹脂メディアの1面目側を非接触で加熱する構成とされている。具体的には、加熱装置120は記録材搬送路Dから約10mm隔てて設置されている。
この加熱装置120は、記録材搬送路Dの進行方向に沿って複数設置された加熱部材としての金属ローラ121を有しており、各金属ローラ121の内部には加熱源としてのハロゲンヒータが内蔵されている。
この金属ローラ121は、熱伝導性を考慮したAl等の金属製とされ、その表面はハロゲンヒータにより約100度に加熱される。この金属ローラ121の外面近傍には金属ローラ121の温度を検出する検出手段としてのサーミスタが設置されており、このサーミスタの出力に応じて制御装置(コントローラ)によりハロゲンヒータへの通電が制御されている。
なお、加熱装置120として、上記した例に限らず、金属ローラを介さずにハロゲンヒータによりメディアを非接触に加熱する構成でも構わない。本例では、記録材搬送時の安全性を考慮してハロゲンヒータを金属ローラの内部に設置している。金属ローラは形状がローラ状である必要は無く、その他の形状とされた部材でも良い。
次に、このような加熱装置120を用いた両面樹脂メディア用の両面画像形成モードについて説明する。なお、ここでは、図1の画像形成装置に本平滑化装置を適用した場合について説明する。
両面樹脂メディアの1面目へのトナー像転写→この1面目の定着処理→2面目へのトナー像転写→2面目の定着処理までの手順は上記実施例1、2と同様である。
その後、両面樹脂メディアは、その表裏を反転されることなく、平滑化装置20に向けて搬送される。このとき、加熱装置120による加熱処理は行われない。そして、平滑化装置20に導入された両面樹脂メディアは、まず、2面目の平滑化処理を施される。
その後、2面目の平滑化処理が施された両面樹脂メディアは、フラッパ32により記録材搬送路Dの方向へと導かれ、この記録材搬送路Dにおいてその表裏が反転される。
この記録材搬送路Dを搬送される過程で、両面樹脂メディアは加熱装置120によりプレ加熱処理を施され、再度、平滑化装置20へと搬送される。
そして、平滑化装置20において1面目の平滑化処理が施された結果、両画像面の平滑化処理が施された両面樹脂メディアは、フラッパ32により記録材搬送路C方向へと導かれ、機外へ排出される。
以上をまとめると、特殊な両面画像形成モードでは、両面樹脂メディアに対して、1面目の定着処理→2面目の定着処理→2面目の平滑化処理→1面目のプレ加熱処理→1面目の平滑化処理の順に各処理が施されて機外へと排出される。
このような加熱装置120を設けたことにより、2面目の平滑化処理直後には約50度とされていた両面樹脂メディアを約100度に上昇させることが可能となり、メディアの表裏での光沢差を低減させることができた。つまり、両面樹脂メディアの両面に形成される画像の光沢度のレベルを実施例1の構成に比して向上させることができた。
なお、本発明者等の更なる検討によると、1面目と2面目とで平滑化処理直前の両面樹脂メディアの温度差を±20度以内に設定すれば、表裏の光沢差を10%以内に抑えることできることを見出した。つまり、温度差をゼロにする構成だけでなく、±20度以内にする構成であっても構わない。
なお、本平滑化装置を図5に示した画像形成装置(実施例2)に適用することも可能であることは言うまでもない。
[実施例4]
本例は、実施例3の構成を基にしつつ、1面目と2面目とで平滑化条件(加熱温度、加圧力、メディアの搬送速度)を変更する構成としている。その他の構成は、上述した実施例1と同様である。
本発明者等の検討によると、既に平滑化処理を施されている両面樹脂メディアの2面目が、1面目の平滑化処理時の影響を受けて、その光沢度が低下してしまうことが判明した。つまり、既に平滑化処理を施されている両面樹脂メディアの2面目にとっては、既に、熱と圧を受けていることから、1面目の平滑化処理時にはこのような熱や圧は不要である。
しかしながら、1面目の平滑化処理時に与える熱量を小さくし過ぎてしまうと、1面目のトナー像の埋め込み性が悪くなる為、1面目の平滑性が不十分となってしまう。
そこで、本例においては、加熱装置120を用いて1面目の平滑化処理直前の両面樹脂メディアの温度を2面目の平滑化処理直前の温度よりも高温とする一方、平滑化条件を2面目より1面目の方を緩くした。なお、平滑化条件とは、加熱温度(ベルトの温調温度)、樹脂メディアに与える圧力(ニップ内の圧力)、処理速度としての樹脂メディアの搬送速度(ベルトの周速)のうち少なくとも1つを含む。従って、平滑化条件を変更するということは、上述した加熱温度、圧力、搬送速度のうち少なくとも1つを変更することを指す。
具体的には、加熱装置120により1面目の平滑化処理直前のメディアを110度に上昇させ、一方、平滑化条件としての1面目のメディア搬送速度を2面目時の80mm/secよりも速い100mm/secに設定した。
つまり、平滑化装置20のベルトの周速を80mm/secから100mm/secに切替えるとともに、記録材搬送路Dに設置されている搬送ローラの周速も100mm/secに切替えた。
このような構成とすることにより、両面樹脂メディアの2面目の光沢度の低下を5%以内に抑えることができた。
なお、以上では、平滑化条件として樹脂メディアの搬送速度を1面目と2面目とで変更する例について説明したが、これに限られない。
例えば、平滑化条件としての加熱温度を2面目よりも1面目の方を低くする構成や、平滑化条件としての加圧力を2面目よりも1面目の方を小さくする構成としても構わない。または、搬送速度、加熱温度、加圧力の3つのパラメータのうち任意の複数のパラメータを変更する構成としても構わない。
また、本平滑化装置を図5に示した画像形成装置(実施例2)に適用することも可能であることは言うまでもない。
[実施例5]
上述の実施例3、4では加熱装置120によりプレ加熱する構成としたが、本例では2面目の平滑化処理直前の両面樹脂メディアをプレ冷却する構成としている。本例の他の構成は、実施例1と同様であるので、詳細な説明は省略する。
つまり、本例では、両面樹脂メディアの表裏間での光沢差を抑制するため、2面目の平滑化処理直前の両面樹脂メディアをプレ冷却する冷却装置130、131を設けている。
具体的には、図8に示すように、定着器1と搬送ローラ対27との間であって記録材搬送路の上下に冷却装置130、131を設置した。冷却装置130、131は、それぞれ冷却ファンを有しており、上下からエアーを吹き付けることにより両面樹脂メディアをプレ冷却するように構成されている。
定着器10により高温となっている樹脂メディアが搬送されてくると、この冷却装置130、131のそれぞれの冷却ファンは制御装置(コントローラ)によって作動させられる。その結果、両面樹脂メディアはその表裏両面から空冷される。
次に、この冷却装置130、131を用いた両面樹脂メディア用の両面画像形成モードについて説明する。なお、ここでは、図1の画像形成装置に本平滑化装置を適用した場合について説明する。
両面樹脂メディアの1面目へのトナー像転写→この1面目の定着処理→2面目へのトナー像転写→2面目の定着処理までの手順は上記実施例1、2と同様である。
その後、両面樹脂メディアは、その表裏を反転されることなく、平滑化装置20に向けて搬送される。この搬送過程において、冷却装置130、131による両面樹脂メディアのプレ冷却処理が行われる。そして、平滑化装置20に導入された両面樹脂メディアは、まず、2面目の平滑化処理を施される。
その後、2面目の平滑化処理が施された両面樹脂メディアは、フラッパ32により記録材搬送路Dの方向へと導かれ、この記録材搬送路Dにおいてその表裏が反転される。
この記録材搬送路Dを搬送される過程では冷却装置130、131による冷却処理を行うことなく、両面樹脂メディアは直ちに平滑化装置20へと搬送される。
そして、平滑化装置20において1面目の平滑化処理が施された結果、両画像面の平滑化処理が施された両面樹脂メディアは、フラッパ32により記録材搬送路C方向へと導かれ、機外へ排出される。
以上をまとめると、特殊な両面画像形成モードでは、両面樹脂メディアに対して、1面目の定着処理→2面目の定着処理→プレ冷却処理→2面目の平滑化処理→1面目の平滑化処理の順に各処理が施されて機外へと排出される。
なお、本例では、2面目の平滑化処理にあたり温度が50度とされた両面樹脂メディアが導入されることを考慮して、実施例3ではメディア搬送速度が80mm/secであったがこれを60mm/secに変更している。
このような冷却装置130、131を設けたことにより、2面目の平滑化処理直前には約100度とされていた両面樹脂メディアを約50度に低下させることが可能となり、メディアの表裏での光沢差を低減させることができた。つまり、両面樹脂メディアの両面に形成される画像の光沢度のレベルを実施例1の構成に比して向上させることができた。
なお、本平滑化装置を図5に示した画像形成装置(実施例2)に適用することも可能であることは言うまでもない。
以上、本発明の適用例として実施例1〜5について述べたが、これらの構成だけに限られず、本発明の思想の範囲内において種々の構成を変更可能である。