JP2004191858A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】定着ベルト1を加熱ローラ3,駆動ローラ4,支持・押圧ローラ11に掛け渡し、定着ベルト1を挟んで駆動ローラ4及び支持・押圧ローラ11と圧接するように加圧ローラ2を設ける。駆動ローラ4は支持・押圧ローラ11よりも下流側(記録紙Sの通過方向)に配置する。また、駆動ローラ4と加圧ローラ2の軸は図示しないアーム部材に枢着され、軸端部のギヤが互いに噛み合わされる。そして、駆動ローラ4に対して記録紙排出方向の引っ張り力P2を作用させる。これにより、定着ベルト1の浮き及びスリップを防止する。また、駆動ローラ4と加圧ローラ2のニップ圧が常に安定し、梨地画像を防止できる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置における定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−172103号公報
電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上に転写した未定着トナー像を定着するための定着装置を備えている。その定着装置として、従来はヒートロール方式の定着装置が広く用いられてきた。
【0003】
一般的にフルカラー画像形成装置用の定着装置としては、複数色のカラートナーを充分に溶融させることで発色性を向上させ、定着後のトナー表面を所定の光沢度に調整し、また充分なOHP透過性を得るために、ニップ時間を充分に確保しなければならない。しかしながらヒートロール方式の場合には、広いニップ幅を確保しようとするとローラが大径化し、圧力を上げなければならないためローラ肉厚が厚くなり、立ち上り時間が長くなってしまっていた。
【0004】
そこで、ヒートロール方式に比べて、広いニップ幅を得られる、立ち上がり時間が短い、等の利点を有するベルト定着方式が提案され実用化されてきている。例えば、特許文献1には、2本の内方ローラに掛け渡した加熱ベルト(定着ベルト)を有する定着装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、ニップ下流側の内方ローラのみにより駆動しているためベルトスリップに対して余裕度がない、ベルトのテンションを上流側加熱ローラにかけているため記録材が侵入するときに圧力及び搬送力が不安定になるという問題があった。また、加熱ローラが加圧ローラに対して圧接されている(加熱ベルトを挟んで)ために加圧ローラに熱が奪われてしまい、立ち上り時間の大幅な短縮は難しい。
【0006】
これらの対策としては、加熱ローラを加圧ローラから離間した位置に設け、加熱ベルトを加圧ローラに対して断熱性の高い押圧部材で圧接させる構成が考えられる。しかし、例えば発泡シリコーンゴムよりなる押圧部材で加熱ベルトを圧接させた場合、耐熱性ベルトに所定のテンションを掛けながらベルト駆動を安定化し、しかも押圧部材の圧接力を安定化させるのは困難であるという問題がある。
【0007】
本発明は、従来のベルト定着装置における上述の問題を解決し、ベルトニップ部に起因する画像乱れを防止するとともに、加熱ベルトと加圧ローラのスリップがなく安定したベルト駆動及びベルト走行性を維持しながら、立ち上り時間の短いベルト定着装置を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明により、無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトを加熱する加熱手段と、前記定着ベルトを回動させる駆動ローラと、前記定着ベルトが圧接される加圧ローラと、前記定着ベルトを前記加圧ローラに押圧する押圧部材とを有し、前記定着ベルトと加圧ローラ間の定着ニップに記録媒体を通過させて未定着トナーの定着を行う定着装置において、前記駆動ローラは、前記押圧部材よりも記録媒体通過方向の下流側に配置されて前記定着ベルトを挟んで前記加圧ローラに圧接され、前記加圧ローラの軸に回動可能に枢着したアーム部材に前記駆動ローラの軸を枢着し、前記加圧ローラに装着されて加圧ローラを回転させるギヤと前記駆動ローラに装着されて駆動ローラを回転させるギヤとが噛み合うように構成するとともに、前記駆動ローラに定着ニップからの記録媒体排出方向の引っ張り力が与えられていることにより解決される。
【0009】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記押圧部材は、少なくとも定着ニップ側に弾性部を有する非回転部材であることを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記押圧部材は、表層を弾性層として構成された回転部材であることを提案する。
【0010】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記駆動ローラは、前記2つのギヤを介して前記加圧ローラより駆動力が伝達されることを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記駆動ローラの周速が前記加圧ローラの周速と同じかやや速い周速であることを提案する。
【0011】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記加圧ローラと前記定着ベルト間の摩擦係数をμ1、前記駆動ローラと前記定着ベルト間の摩擦係数をμ2、前記押圧部材と前記定着ベルト間の摩擦係数をμ3としたとき、μ1>μ2>μ3の関係となるように設定されていることを提案する。
【0012】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有したトナーを用いることを提案する。
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置を備える画像形成装置により解決される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る定着装置の一例が装着された画像形成装置の断面構成図である。この画像形成装置の全体的な構成と動作については後述するとして、先に定着装置について説明する。
【0014】
従来のカラートナーを用いた複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置のベルト定着装置においては、定着ベルトの材質として一般的にトナーに対して離型性が良く耐熱性と弾性を併せ持ったシリコーンゴムが用いられ、さらにシリコーンゴム上には離型性確保と耐久性向上の点から離型剤としてシリコーンオイルが塗布されていた。
【0015】
一方、本実施形態では、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有したトナー(本例では、樹脂母材内部に離型剤としてのWAXを内包分散させたオイルレストナー)を用いており、定着ベルトの構成としては耐熱性と機械的強度を併せ持ったポリイミド等の樹脂チューブの周囲に耐熱性と弾性を併せ持ったシリコーンゴム等の材料を成型加工し、更にシリコーンゴムの表層には強度と離型性を併せ持った耐熱性樹脂が離型層として構成されている。離型層としては、耐熱性があり表面エネルギーの小さい材料が使用され、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などの高分子樹脂などが離型層の材料として使用される。
【0016】
図2は、第1実施例の定着装置10Aの要部構成を示す断面図である。この図に示す定着装置10Aは、定着ベルト(加熱ベルト)1,加圧ローラ2,加熱ローラ3,駆動ローラ4,押圧部材5及びベルトガイド6等からなり、これらが図示しない定着ケーシングに収められている。
【0017】
定着ベルト1は加熱ローラ3、駆動ローラ4、樹脂ホルダ5aとパッド5bとからなる押圧部材5及びベルトガイド6を内包している。定着ベルト1の基材としては、50〜90μmの厚みに成型されたポリイミド等の耐熱性樹脂ベルトや、30〜50μmの厚みのNi電鋳あるいはSUS等からなる金属ベルトが用いられる。その基材表面にはオイルレストナーとの離型性を確保するためにPFA或いはPTFE等からなる離型層を有する。またカラー画像形成装置に用いるベルト定着装置の場合には、種々の表面性の記録シートに対して定着後の画像表面が十分な平滑性を維持するように、基材と離型層の間に弾性層としてシリコーンゴム等の耐熱性ゴム層を100〜400μ程度の厚みの範囲で適宜設けた構成が一般的である。
【0018】
加熱ローラ3はアルミ等の熱伝導性の良好な金属ローラとして構成され、加熱ローラ3の中には熱源としてのハロゲンヒータ7を持ち、定着ベルト1に対して熱を供給する構成になっている。また加熱ローラ3の内周面には耐熱性の黒色塗装が施されており、ハロゲンヒータ7の輻射熱を効率的に吸収しやすいようになっている。加熱ローラ3に対向する位置で定着ベルト1の表面にはサーミスタ16が接触して配置されており、該サーミスタ16の検出値に基づいて定着ベルト1の表面を所定の温度に制御している。加熱ローラ3は図示しない側板にベアリング等を介して回転自在に支持されるとともに、その回転中心は位置固定され、定着ベルト1により従動回転されている。
【0019】
押圧部材5のパッド5bはシリコーンゴム或いは発泡シリコーンゴム等の弾性体により構成されており、耐熱性樹脂からなるホルダ5aに耐熱性接着剤等により接着されている。押圧部材5のパッド5bは、図に矢印P1 で示す圧力により、定着ベルト1を挟んで加圧ローラ2に圧接される。押圧部材5のホルダ5aの側面にはベルトガイド6が取付けられており、大きな半径で定着ベルト1をニップ部の入口へ導く構成になっている。定着ベルト1が加圧ローラ2に圧接されているニップ部においては、加圧ローラ2の回転駆動によって定着ベルト1が引張られる力が働く。このときベルトガイド6の半径が小さいと定着ベルト1にとって負荷抵抗となり、定着ベルトのスリップやユニット負荷トルクの増大といった不具合が発生する可能性があるため、本例ではベルトガイド6を大径なものとしている。ベルトガイド6の定着ベルト1との接触面及びパッド5bの定着ベルト1への接触面には、いずれも図示しない低摩擦化部材が設けられており摺動抵抗を極力低減するような構成になっている。
【0020】
なお、加圧ローラ2と定着ベルト1間の摩擦係数をμ1、駆動ローラと定着ベルト1間の摩擦係数をμ2、パッド5b(及びベルトガイド6)と定着ベルト1間の摩擦係数をμ3としたとき、μ1>μ2>μ3の関係となるように設定されている。これにより、定着ベルト1がスリップすることなく駆動される。
【0021】
加圧ローラ2は、芯金がアルミや鉄等の金属ローラからなっており、表面には両面定着時にオイルレストナーとの離型性を確保するためにPFA或いはPTFE等からなる離型層を有している。カラー画像形成装置に用いる本例のベルト定着装置では、種々の表面性の記録シートに対して定着後の画像表面が充分な平滑性を維持するように、加圧ローラ2の芯金と離型層の間に弾性層としてシリコーンゴム等の耐熱性ゴム層を0.2〜1.0mmの厚み範囲で適宜設けた構成を採用している。設計仕様としてのゴムの厚みは、立ち上り時間の仕様により熱容量の上限厚み以下にしなければならないため、画質と立ち上り時間の重み付けにより決定される。加圧ローラ2の中には熱源としてのハロゲンヒータ8を配設し、加圧ローラ2の表面にはサーミスタ17を接触させて設け、定着ベルト1の表面を所定の温度に制御している。また加圧ローラ2の内周面には耐熱性の黒色塗装が施されており、ハロゲンヒータ8の輻射熱を効率的に吸収しやすいようになっている。加圧ローラ2は、図示しない側板にベアリング等を介して回転自在に支持されるとともに回転中心は位置固定され、図示しない本体駆動からのギヤ系列より回転駆動されている。
【0022】
駆動ローラ4は、芯金がアルミや鉄等の金属ローラからなっており、その表面にシリコーンゴムあるいは発泡シリコーンゴム等の弾性層を成型した構成になっている。弾性層の厚みやゴム硬度は、定着装置の立ち上り時間からの制約により決まる熱容量の仕様と、カラー画像の表面平滑性が不充分な場合に問題となる梨地画像あるいは柚肌画像を解消するために大きな圧力が必要となる場合には、弾性層の厚みを薄くするとともにゴム硬度を高くしなければならない。駆動ローラ4のゴム層の厚みは望ましくは1〜5mmの範囲であり、ゴム硬度はアスカC硬度で50〜90Hsの範囲に設計される。立ち上り時間の速いマシンの場合には、一般的に発泡シリコーンゴム等の熱伝導性の悪い材料が用いられる。駆動ローラ4は加圧ローラ2に対して軸間距離が固定された状態で所定の食込み量で(定着ベルト1を挟んで)圧接されており、互いの弾性層でニップを形成している。軸間固定で所定のニップ幅を確保するためには、定着可能温度における互いのローラの熱膨張を考慮して食込み量を決める必要がある。
【0023】
次に、図3を参照して加圧ローラ2及び駆動ローラ4の駆動部の構成について説明する。
図3において、符号2aは加圧ローラ2の一端部に装着されている加圧ローラギヤであり、符号4aは駆動ローラ4の一端部に装着されている駆動ローラギヤである。加圧ローラ2の軸12にはレバー13が枢着され、このレバー13は加圧ローラ軸12を中心として回転可能になっている。また、レバー13の中途位置には駆動ローラ4の軸14が枢着されており、加圧ローラギヤ2aと駆動ローラギヤ4aとが噛み合うように、軸12と軸14の軸間距離を規定してレバー13によって位置決めされている。加圧ローラギヤ2aには図示しない本体駆動系からのギヤ系列が噛み合わされており、加圧ローラギヤ2aを介して駆動ローラギヤ4aが駆動される。
【0024】
レバー13の先端部にはテンションスプリング15が、図示しない固定端との間に張設されており、レバー13に対してほぼ垂直方向の力P3 を付与することにより、軸14にテンションP2 を付与して駆動ローラ4の駆動力が効果的に定着ベルト1に伝達されるとともに、レバー13にテンションを掛けても駆動ローラ4と加圧ローラ2の軸間距離は変化しないため、相互のローラ間のニップ幅と圧接力は常に安定して得られる構成になっている。加圧ローラ2及び駆動ローラ4の両側にレバー13を装着し、テンションを掛けるように構成しても良い。加圧ローラ2及び駆動ローラ4の外径を決める場合には、加圧ローラ2の周速に対して駆動ローラ4の周速が同じか、やや駆動ローラ4の方が速くなるように設計することにより、定着ベルト1が確実に駆動される。
【0025】
また、駆動ローラ4を従来のローラ定着装置(の定着ローラ)に比べて大幅に小径化することが可能となるため、特にオイルレストナーを用いた画像形成装置においても記録シートの分離性能に関して充分な余裕度が得られる。
【0026】
上記のような構成により、図2に示す如く、定着ベルト1は加熱ローラ3,駆動ローラ4,押圧部材5のパッド5b,ベルトガイド6に掛け渡され、駆動ローラ4の回転により図中時計回りに回動される。その定着ベルト1には加圧ローラ2が圧接され、定着ベルト1と加圧ローラ2により形成される定着ニップ内に記録シートSを図の右から左方向に通過させることにより、記録シートSに担持される未定着トナー像がシート上に定着される。
【0027】
本実施例の定着装置10Aにおいては、定着ニップの下流側(出口側)に定着ベルトを駆動する駆動ローラ4を配したことにより、ニップ相当部分がベルトの引っ張り部となり、記録材が定着ニップに進入する時の圧力及び搬送力を安定させることができる。そして、駆動ローラ4と加圧ローラ2のそれぞれの軸方向の端部に装着したギヤ4aとギヤ2aとが噛み合わされており、かつ、それぞれの軸14と12とがアーム(レバー13)により連結されていることから、駆動ローラ4と加圧ローラ2相互のローラ間のニップ幅と圧接力が常に安定して得られる。さらに、レバー13に係止したスプリング15により駆動ローラ4に記録材の排出方向とほぼ平行な方向(図2参照)のテンションP2 を与えていることにより、定着ベルト1に所定の張力を掛けてベルト駆動を安定化させることができ、しかも押圧部材5により充分なニップ圧を形成することができる。これらにより、定着ベルト1の浮きや、定着ベルト1のスリップを防止しつつ、充分なニップ圧により梨地画像等の画像の乱れを防ぐことができる。また、記録材分離部にある駆動ローラ4が小径なことから、ヒートロール方式に比べて記録材の分離性も向上する。
【0028】
図4は、第2実施例の定着装置10Bの要部構成を示す断面図である。この図に示す定着装置10Bは、第1実施例の定着装置10Aにおける押圧部材5及びベルトガイド6に代えて支持・押圧ローラ11を用いることにより、定着ベルト1を加熱ローラ3,駆動ローラ4,支持・押圧ローラ11の3つのローラにより張設した構成となっている。これ以外の構成は第1実施例の定着装置10Aと同様であり、重複する説明は省略する。また、加圧ローラ2及び駆動ローラ4の駆動部の構成も図3で説明した前記実施例の定着装置10Aと同様であり、本実施例の定着装置における作用効果も前記実施例の場合と同様である。なお、支持・押圧ローラ11の構成は、先に説明した駆動ローラ4と同一である。
【0029】
ところで、カラー画像において高画質を得るためには、駆動ローラ4の構成要件としてはニップ幅よりも面圧の寄与率が比較的大きいが、定着性を確保するためには支持・押圧ローラ11の構成要件として面圧よりもニップ幅の寄与率が比較的大きくなるため、それぞれのローラの必要なニップ幅及び面圧に応じて弾性層の構成を決める必要がある。
【0030】
例えば、線速の遅い低速層のマシンの場合はニップ幅を狭くできるので、本実施例の構成で支持・押圧ローラ11を小径にしてもニップ幅が確保でき、しかも熱容量が低減できるため適している。それに対して、実施例1においては押圧部材のパッド5bにより低い圧力でも広幅ニップを形成できるという特徴があるため、実施例1の構成は線速の速い高速層のマシンに適している。
【0031】
最後に、図1の画像形成装置について説明する。
この図に示す画像形成装置は、いわゆるタンデム型のフルカラー装置であり、画像読み取り部を備えて複写装置として構成されたものである。また、定着装置は第1実施例の定着装置10Aを供えている。
【0032】
図1に示すように、給紙テーブル200の上に装置本体100を搭載し、その装置本体100の最上部にはスキャナ300が配置され、さらにその上に原稿自動搬送装置(ADF)400を設けてある。
【0033】
装置本体100のほぼ中央には、無端ベルト状の中間転写体を中心とする中間転写ユニット60が設けられている。この中間転写ベルトの上辺に沿って4つの作像ユニット50が並べて配置されている。各作像ユニット50は図5に示すように、左から順にブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各ユニットである。各作像ユニット50においては、感光体ドラム51の周囲には現像ユニット52やクリーニングユニット53等の電子写真プロセスに必要な各機器が配置されている。
【0034】
中間転写ベルト61は、ベース層を、例えば伸びの少ないフッ素樹脂や伸びの大きなゴム材料に帆布など伸びにくい材料で構成された基層をつくり、その上に弾性層を設ける。弾性層は、例えばフッ素系ゴムやアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムなどでつくる。その弾性層の表面は、例えばフッ素系樹脂をコーティングして平滑性のよいコート層で被っている。そして、図5に示す如く、3つの支持ローラ62〜64に張架して図中時計回りに回転搬送可能に設けている。この図示例では、支持ローラ63の左外側に、ベルト上の残留トナーを除去するクリーニング手段66を設けている。中間転写ベルト61の内側で、各作像ユニットの感光体ドラム51に対向する位置に、一次転写手段である転写ローラ65が配置されている。
【0035】
上記各作像ユニット50の上方には露光装置40が配設されている。露光装置40からの書き込みレーザ光Lは、各作像ユニット50の感光体ドラム51にそれぞれ照射される。
【0036】
中間転写ユニット60の下方には、二次転写手段である二次転写ベルト装置70が配置されている。本実施形態における二次転写手段70は、2つのローラ72,73間に無端ベルトである二次転写ベルト71を掛け渡して構成している。二次転写ベルト71は、中間転写ユニット60の支持ローラ64に押し当てて配置され、中間転写ベルト61上の画像を記録材(転写紙等)に二次転写する。本例では、一方のローラ73が二次転写ローラとして構成され、図示しない電源部より二次転写バイアスが印加される。。
【0037】
二次転写ベルト装置70の左方には、用紙上の転写画像を定着するための定着装置として、先に説明した定着装置10Aが設けられている。第2実施例の定着装置10Bとすることも可能である。二次転写ベルト装置70は、画像転写後の用紙を定着装置10Aへと搬送する機能も備えている。定着装置10Aの左方には排紙トレイ69が設けられている。排紙トレイ69とは反対側の装置側面には、手差しトレイ68が設けられている。
【0038】
また、装置本体100の最下部には、シート反転部が設けられている。その下方、給紙テーブル200には2段の給紙カセット61,61が内蔵されている。
【0039】
さて、本例のカラー複写装置を用いてコピーをとるときは、ADF400の原稿トレイ又はコンタクトガラス上に原稿をセットする。そして、図示しない操作パネル上に設けられたスタートスイッチを押すと、スキャナが駆動され、光源からの反射光をミラーで反射することにより図示しない結像レンズを通して読取りセンサに入れ、原稿情報を読み取る。
【0040】
また、同じく操作パネル上に設けられたスタートスイッチを押すと、図示しない駆動モータで支持ローラ62,63,64の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転させ、中間転写ベルト61を回転搬送する。同時に、個々の作像ユニット50において感光体51を回転させ、各感光体51上にそれぞれ、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体61の回動とともに、それらの単色画像を一次転写ローラ65に電界を印加することにより中間転写ベルト61上に順次転写して合成カラー画像を形成する。
【0041】
一方、スタートスイッチが押されると、給紙テーブル200又は手差しトレイ68から用紙を繰り出し、レジストローラ67に突き当てて一時停止させる。
そして、中間転写ベルト61上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ67を回転し、中間転写ベルト61と二次転写ユニット70との間に用紙を送り込み、この二次転写ユニット70で画像を転写して用紙上にカラー画像を記録する。画像転写後の用紙は定着装置10Aに送られ、トナー像を定着されて排紙トレイ69に排出される。
【0042】
一方、画像転写後の中間転写ベルト61は、除帯電チャージャにて中間転写ベルト61およびベルト上の残留トナーの除電を行い、その後中間転写体クリーニング装置66で残留トナーを除去し、タンデム方式の画像形成部による再度の画像形成に備える。
【0043】
定着装置前後の記録シートの動きを詳細に述べると、2次転写部から未定着像を表面に載せた状態で定着装置10Aに侵入してきた記録シートは、定着装置の入口ガイド板によりやや上方に持ち上げられて定着ニップに挟み込まれ、熱と圧力により記録シート上にトナー像が定着される。記録シートは、記録シート上面の未定着像が定着ベルト1側を向き、記録シート裏面が加圧ローラ2側を向いた状態で定着ベルト1と加圧ローラ2の間で搬送及び定着がおこなわれる。
【0044】
本発明のベルト定着装置によって、トナーを記録シート上に定着させる工程について説明する。
トナーは定着ベルト1及びヒータ8を内蔵した耐熱性弾性部材である加圧ローラ2により粘性が低い状態まで加熱され、さらに加圧ローラ2の加圧力の作用により記録シートの繊維中に浸透していく。その後トナーが冷えて固まったときにトナーと紙繊維同士は強固に定着される。但し、このときに定着ベルト1から分離する時点でのトナー層の温度が軟化温度Ts以下であると、トナーの樹脂は充分に軟化せず、従って記録シートの繊維中にも浸透していかないため充分な定着強度が得られない。また一方、定着ベルト1から分離する時点でのトナー層表面温度が流出開始温度Tf以上であると、トナーの樹脂粘度が低くなりすぎ、記録シートの繊維中には充分浸透していくものの定着ベルト1の離型層との間の離型性が悪化してしまい、定着ベルト1へのトナーオフセットや定着ベルト1への記録シート巻き付きといった不具合になってしまうので、定着後のトナー層表面温度がTsからTfの範囲になるように定着温度の制御温度を決めており、望ましくはその中央に近い領域で温度偏差(リップル)が小さい制御システムであることが望ましい。
【0045】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜の変更が可能である。もちろん、画像形成装置としては複写機以外のプリンタやファクシミリであっても良いことは言うまでもない。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の定着装置及び画像形成装置によれば、記録材が定着ニップに進入する時の圧力及び搬送力を安定させることができる。また、定着ベルトを間に挟んだ加圧ローラと駆動ローラ間におけるニップ幅と圧接力とが常に安定して得られる。さらに、駆動ローラに与えられたテンションにより定着ベルトの駆動を安定化させることができる。また、押圧部材により充分なニップ幅及びニップ圧を形成することができる。これらにより、定着ベルトの浮きや定着ベルトのスリップを防止しつつ、充分なニップ圧により梨地画像等の画像の乱れを防ぐことができる。また、記録材分離部にある駆動ローラを従来のヒートロール方式における定着ローラに比べて小径にすることができることから、記録材の分離性も向上する。
【0047】
請求項2の構成により、押圧部材が少なくとも定着ニップ側に弾性部を有する非回転部材であるので、充分なニップ幅及びニップ圧を形成することができる。したがって、ベルト定着方式による立ち上がり時間の短縮とともに高画質化を実現することができる。
【0048】
請求項3の構成により、押圧部材が表層を弾性層として構成された回転部材であるので、押圧部材の構成を簡単なものとすることができる。また、弾性層を有することにより充分なニップ幅及びニップ圧を形成することができる。したがって、ベルト定着方式による立ち上がり時間の短縮とともに高画質化を実現することができる。
【0049】
請求項4の構成により、駆動ローラは2つのギヤを介して加圧ローラより駆動力が伝達されるので、両ローラ間に挟持される定着ベルトを確実に駆動することができ、定着ベルトの浮き及びスリップを防止することができる。また、定着ニップの出口部で両ローラが圧接されることにより、ニップ出口部で充分なニップ圧を形成でき、梨地画像等を防ぐことができる。
【0050】
請求項5の構成により、駆動ローラの周速が加圧ローラの周速と同じかやや速い周速であるので、定着ベルトを確実に駆動することができる。
請求項6の構成により、加圧ローラと定着ベルト間の摩擦係数をμ1、駆動ローラと定着ベルト間の摩擦係数をμ2、押圧部材と定着ベルト間の摩擦係数をμ3としたとき、μ1>μ2>μ3の関係となるように設定されているので、定着ベルトをスリップすることなく駆動することができる。
【0051】
請求項7の構成により、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有したトナーを用いるので、環境負荷が少なく転写効率の高いオイルレストナーに対応することができ、また、高画質化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定着装置の一例が装着された画像形成装置の断面構成図である。
【図2】第1実施例の定着装置の要部構成を示す断面図である。
【図3】その定着装置における、加圧ローラ及び駆動ローラの駆動部の構成を示す模式図である。
【図4】第2実施例の定着装置の要部構成を示す断面図である。
【図5】図1の画像形成装置の作像部付近を詳しく示す拡大図である。
【符号の説明】
1 定着ベルト(加熱ベルト)
2 加圧ローラ
3 加熱ローラ
4 駆動ローラ
5 押圧部材
6 ベルトガイド
7,8 ハロゲンヒータ
10 定着装置
11 支持・押圧ローラ
13 レバー
15 テンションスプリング
Claims (8)
- 無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトを加熱する加熱手段と、前記定着ベルトを回動させる駆動ローラと、前記定着ベルトが圧接される加圧ローラと、前記定着ベルトを前記加圧ローラに押圧する押圧部材とを有し、前記定着ベルトと加圧ローラ間の定着ニップに記録媒体を通過させて未定着トナーの定着を行う定着装置において、
前記駆動ローラは、前記押圧部材よりも記録媒体通過方向の下流側に配置されて前記定着ベルトを挟んで前記加圧ローラに圧接され、
前記加圧ローラの軸に回動可能に枢着したアーム部材に前記駆動ローラの軸を枢着し、前記加圧ローラに装着されて加圧ローラを回転させるギヤと前記駆動ローラに装着されて駆動ローラを回転させるギヤとが噛み合うように構成するとともに、前記駆動ローラに定着ニップからの記録媒体排出方向の引っ張り力が与えられていることを特徴とする定着装置。 - 前記押圧部材は、少なくとも定着ニップ側に弾性部を有する非回転部材であることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 前記押圧部材は、表層を弾性層として構成された回転部材であることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 前記駆動ローラは、前記2つのギヤを介して前記加圧ローラより駆動力が伝達されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置。
- 前記駆動ローラの周速が前記加圧ローラの周速と同じかやや速い周速であることを特徴とする、請求項4に記載の定着装置。
- 前記加圧ローラと前記定着ベルト間の摩擦係数をμ1、前記駆動ローラと前記定着ベルト間の摩擦係数をμ2、前記押圧部材と前記定着ベルト間の摩擦係数をμ3としたとき、μ1>μ2>μ3の関係となるように設定されていることを特徴とする、請求項5に記載の定着装置。
- 少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有したトナーを用いることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の定着装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の定着装置を備えることを特徴とする、画像形成装置。
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