JP2004184446A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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勝博 越後
Shigeo Kurotaka
重夫 黒高
Takashi Fujita
貴史 藤田
Satohiko Baba
聡彦 馬場
Hisashi Kikuchi
尚志 菊地
Atsushi Nakato
淳 中藤
Hirokazu Ikegami
廣和 池上
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Abstract

【課題】ベルトを駆動する際の負荷抵抗を低減することにより定着ベルトのスリップや浮きに起因する異常画像の発生を防止すると共にシート分離性、特にオイル塗布などの手段を用いないで分離特性を高めることが可能な構成を備えて高速層のカラー画像形成にも対応できる定着装置を提供する。
【解決手段】押圧部材112が定着ベルト110を介して圧接することによりニップNを形成する加圧部材113とを備えた定着装置において、押圧部材112は、ニップ部Nにおけるシートの搬送方向中央部分が耐熱性弾性部材114により構成され、シートの搬送方向における耐熱性弾性部材114の前後は剛体の支持部材115により保持されており、支持部材115のベルト巻き始め部分P1とベルト巻き終わり位置P2はいずれも互いに異なる曲率半径Ra,Rbで形成された形状を有している。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やファクシミリあるいはプリンタさらには印刷機などの画像形成装置においては、記録用紙などのシート上に転写されて担持されている未定着画像を加熱定着することにより複写物や記録物を得ることができる。
定着装置には、一対のローラにより画像を担持しているシートを挟持搬送しながら画像に対して加熱する熱ローラ定着方式、赤外線/キセノンランプを熱源として輻射熱により画像を定着するラジアント・フラッシュ定着方式、シートを挟んで表裏両面に発熱体を近接配置して対流熱により画像を加熱するオーブン定着方式などを採用した構成がある。
【0003】
上記定着方式のうちで、熱ローラ定着方式は、熱効率が高く高速化が図れること、伝熱効率が高く安定した定着効率が得られることおよびシートの搬送媒体として利用できることにより構造が簡単であるなどの利点があることから近年多用されるようになっている。
【0004】
熱ローラ定着方式では、画像に対向接触して画像中のトナーを融解させる加熱ローラに相当する定着ローラとこれに対向当接してシートを押圧しながら挟持搬送する加圧ローラとを備えており、定着行程を実行する際には所定の定着温度に達するまでの立ち上げ時間、つまりウォームアップ時間を必要としている。
ウォームアップ時間は、ローラの熱容量と使用電力とで決まる要素であり、従来のウォームアップ時間は、商用電源が1500W以下であるという制限を考慮して、装置全体からの電力配分からしてほぼ700〜1000Wの範囲に限られることから、5〜10分程度ときわめて長い時間を必要としているのが現状である。
【0005】
熱ローラ定着方式において消費電力およびウオームアップ時間の短縮に影響する加熱部材の熱容量を低減するための対策としては、ローラの外形を小さくあるい肉厚を薄くしてローラ自体の熱容量を抑える方法が考えられるが、この方法ではローラに撓みが発生する虞があり、これによって挟持搬送されるシートに皺が発生したり画像擦れによる画像乱れなどが生じるという不具合がある。
【0006】
一般的に、低速層に比べて高速層の方がより多くの熱量をトナー及び記録シートに供給しなければならないため、熱供給領域として構成されるシート挟持搬送領域、いわゆるニップ幅を広く設定する必要がある。これにより、定着ローラの外径及び芯金肉厚が増大する傾向があり、ウォームアップ時間の短縮と機械的強度の両立は困難となる。
【0007】
一方、白黒(モノクロ)機に比べてフルカラー画像を形成可能なカラー機の方が定着させるトナー量も多く光沢度の維持も必要となる。これにより、多くの熱量をトナー及び記録シートに供給しなければならない。しかも、広いニップ幅が必要となる。この結果、カラー機の場合には、白黒機と違って、定着ローラの外径及び芯金肉厚が増大する傾向となり、ウォームアップ時間の短縮と機械的強度の両立は益々困難となる。
【0008】
ローラ自体の熱容量に着目してウォームアップ時間の短縮を図る構成として、定着ローラではなく定着ベルトや加圧ベルトを用いる構成(例えば、特許文献1)、あるいは、定着ベルトの内側に発熱体を接触させて定着ベルトの温度立ち上がりを向上させる構成(例えば、特許文献2)が提案されている。いずれの公報においても、ローラに比べて熱容量を小さくできるベルトを用いてウォームアップ時間を短縮するようになっている。
【0009】
熱ローラ定着方式の場合には、ローラを用いる構成が前提となるので、ウォームアップ時間の短縮化には限界があることが明らかであり、これに代えて、ベルトを用いることにおいては、ウオームアップ時間の短縮化が可能である反面、次に挙げるような、ベルトを用いる場合特有の問題が新たに発生する。
【0010】
ベルトを熱伝達部に用いる構成においては、ベルトの偏倚現象の発生によりシートの幅方向での挟持搬送力の変化が原因して皺が発生しやすくなること、ベルトの剛性により浮き上がり現象やばたつき、さらには、駆動時でのスリップや線速差による画像擦れなどが原因して異常画像が発生すること、ローラに比べて熱容量が極端に小さくなることにより温度偏差(リップル)の増加などがある。
【0011】
ベルトの浮き上がり現象やばたつきを防止する構成として、導電層を有する加熱ベルトを磁界発生手段により誘導加熱できるようにするとともに、加圧部材と加熱ベルトとが対向する位置に加熱ベルトを加圧部材に向けて押圧可能な弾性層を有した押圧部材を設け加熱ベルトに定着ニップ部を形成する構成(例えば、特許文献3,4)が提案されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−104979号公報(段落「0017」欄、図1)
【特許文献2】
特開平6−348156号公報(段落0033)欄、図2)
【特許文献3】
特開2002−148983号公報(段落「0058」欄、「0062」欄、図1)
【特許文献4】
特許第3159069号(段落「0027」欄、図1)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
押圧部材を設けて加熱ベルトを加圧部材に押圧することでベルトの浮き上がり現象やばたつきを防ぐことが可能となる反面、次のような問題がある。
特許文献3,4に示されている構成において加熱ベルトが移動したときには加熱ベルトと接触している弾性層が剪断力を受ける。このため、弾性層が容易に変形してしまい、加熱ベルトの移動方向におけるニップ部入り口側に対向する弾性層の箇所に摺動負荷抵抗が発生する。摺動負荷抵抗が発生すると加熱ベルトがその箇所でスリップしてしまい、加熱ベルトに接触するトナーが擦られて異常画像が発生する。また、弾性層の変形により加圧部材との接触面積が減少してしまい、これにより定着に必要な熱量の確保ができなくなるばかりでなく、押圧力の不均一な状態が生じる。この結果、定着不良や画像ズレが発生する虞がある。
【0014】
一方、加熱ベルトは、シリコンオイルなどの離型剤を塗布してトナーが不用意に転移するのを防止する場合もあるが、このような構成の場合には、塗布機構などの特別な構成が必要となり、構成が複雑化および大型化する虞がある。また、加熱ベルトと接触していたシートは定着領域を通過すると加熱ベルトから分離させる必要があり、このための構成として、特許文献3においてニップ部出口側に剛性パッドなどの突き押し部材を設けた構成が示されている。しかし、この構成ではシートの進行方向を急変させることになり移動方向が変化する位置で摺動負荷抵抗が発生しやすくなり、上述した場合と同様に加熱ベルトのスリップやトナーの擦れ現象が発生する虞がある。
【0015】
本発明の目的は、上記従来の定着装置における問題、特に熱容量を小さくできる加熱ベルト、いわゆる定着ベルトを用いた場合にベルトを駆動する際の負荷抵抗を低減することにより定着ベルトのスリップや浮きに起因する異常画像の発生を防止すると共にシート分離性、特にオイル塗布などの手段を用いないで分離特性を高めることが可能な構成を備えて高速層のカラー画像形成にも対応できる定着装置および画像形成装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、シート上に担持されている未定着トナー像を定着するための定着装置であって、
上記未定着トナー像と接触可能な位置に一部が移動可能な無端状の定着ベルトと、該定着ベルトの表面温度を所定の温度に加熱するための加熱部材と、定着ベルトの内部にある押圧部材と、押圧部材が定着ベルトを介して圧接することによりニップを形成する加圧部材とを備え、上記押圧部材と加圧部材とにより構成されるニップ部で記録媒体上のトナー像を定着する定着装置において、
上記押圧部材は、上記ニップ部における上記シートの搬送方向中央部分が耐熱性弾性部材により構成され、上記シートの搬送方向における耐熱性弾性部材の前後は剛体の支持部材により保持されており、支持部材のベルト巻き始め部分とベルト巻き終わり位置はいずれも互いに異なる曲率半径で形成された形状を有しているとともに、上記定着ベルトを介して加圧ローラに圧接されていることを特徴としている。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、上記支持部材における上記シートの搬送方向で耐熱性弾性部材よりニップの上流部分が曲率半径Raで形成され、上記シートの搬送方向で耐熱性弾性部材よりニップの下流部分が曲率半径Rbで形成され、これら曲率半径同士の関係が、
Ra≧Rb
の関係に設定されていることを特徴としている。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明に加えて、上記支持部材における上記シートの搬送方向で耐熱性弾性部材よりニップの上流部分に圧力Paが作用し、上記シートの搬送方向で耐熱性弾性部材よりニップの下流部分に圧力Pbが作用し、これら圧力同士の関係が、
Pa≦Pb
の関係に設定されていることを特徴としている。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のうちの一つに記載の発明に加えて、上記支持部材及び耐熱性弾性部材には、低摩擦化処理が施されていることを特徴としている。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のうちの一つに記載の発明に加えて、上記加圧部材は、芯金の表面に耐熱ゴムからなる弾性層と、その表面に耐熱性フッ素樹脂層が被覆された構成であるとともに、主駆動側の部材として定着ベルトを駆動することを特徴としている。
【0021】
請求項6記載の発明は、無端状の定着ベルトと、定着ベルトの表面温度を所定の温度に加熱するための加熱部材と、定着ベルトの内部にある押圧部材と、押圧部材が定着ベルトを介して圧接することによりニップを形成する加圧部材と、定着ベルトの内部にあって加圧部材に対して圧接された分離ローラとを有し、押圧部材と加圧部材により構成されるニップ部で記録媒体上のトナー像を定着する定着装置を備えた画像形成装置において、上記押圧部材は、加圧部材に対して圧接される中央部分が耐熱弾性体により構成され、記録シートの搬送方向における耐熱弾性体の少なくとも上流側は剛体の支持部材により保持されており、支持部材のベルト巻き始め部分は曲率を持った形状を有しているとともに定着ベルトを介して加圧ローラに圧接されており、支持部材のベルト巻き始め部分の曲率Raと分離ローラの半径Rcとが、
Ra≧Rc
の関係に設定されていることを特徴としている。
【0022】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明に加えて、
前記支持部材の弾性体よりニップの上流部分の圧力Paと、分離ローラの圧力Pcとが、
Pa≦Pc
の関係に設定されていることを特徴としている。
【0023】
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7のうちの一つに記載の定着装置を画像形成装置に用いることを特徴としている。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明に加えて、上記定着装置は、単色若しくは複数色のトナーの定着行程に用いられることを特徴としている。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施例により本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る定着装置を適用した画像形成装置の模式図であり、同図に示す画像形成装置は、色分解に対応した複数の色画像をそれぞれ形成可能な感光体を複数備え、各感光体上で形成されたトナー像を中間転写体に重畳転写した画像を記録用紙などのシートに対して一括転写することにより多色画像を形成可能なカラープリンタである。本発明では、画像形成装置として、カラープリンタに限らず、カラー複写機、ファクシミリ装置および印刷機なども含まれること勿論である。
【0026】
図1において、カラープリンタ1は、画像形成部1Aが縦方向の中央部に位置し、その下方には給紙部1Bが、さらに画像形成部1Aの上方には原稿載置台1C1を備えた原稿走査部1Cがそれぞれ配置されている。
【0027】
画像形成部1Aには、水平方向に展張面を有する中間転写ベルト2が配置されており、中間転写ベルト2の上位には、色分解色と補色関係にある色のトナーを用いて画像を形成するための構成が設けられている。
画像形成部1Aには、補色関係にある色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)による画像を担持可能な感光体3Y、3M、3C、3Bが中間転写体2の展張面に沿って並置されている。
【0028】
各感光体3Y、3M、3C、3Bはそれぞれ同じ方向(図1では、反時計方向)に回転可能なドラムで構成されており、その周辺には、回転過程において画像形成処理を実行する帯電装置4,書き込み装置5,現像装置6,1次転写装置7,およびクリーニング装置8が配置されている(便宜上、感光体3Yを対象として、各装置の符号にYを付して示してある)。
【0029】
中間転写ベルト2は、複数のローラ2A〜2Cに掛け回されて感光体との対峙位置において同方向に移動可能な構成を備え、展張面を構成するローラ2A、2Bとは別のローラ2Cは、中間転写ベルト2を挟んで2次転写装置9に対峙している。なお、図1中、符号10は、中間転写ベルト2を対象としたクリーニング装置を示している。
【0030】
2次転写装置9は、帯電駆動ローラ9Aおよび従動ローラ9Bに掛け回されて2次転写装置9が位置する2次転写位置において中間転写ベルト2と同方向に移動可能な転写ベルト9Cを備えており、転写ベルト9Cを帯電駆動ローラ9Aにより帯電させることにより中間転写ベルト2に重畳された多色画像あるいは担持されている単一色の画像をシートに転写することができる。
【0031】
2次転写位置には給紙部1Bからシートが給送されるようになっている。
給紙部1Bは、複数の給紙カセット1B1と、給紙カセット1B1から繰り出されるシートの搬送路に配置された複数の搬送ローラ1B2と、2次転写位置前方に位置するレジストローラ1B3とを備えている。本実施例では、給紙部1Bには、給紙トレイ1B1から繰り出されるシートの搬送路に加えて給紙カセット1B1内に収容されていない種類のシートを2次転写位置に向け給送できる構成が備えられており、この構成は、画像形成部1Aの壁面の一部を起倒可能に設けた手差しトレイ1A1と繰り出しコロ1A2とを備えている。
給紙カセット1B1からレジストローラ1B3に向けたシートの搬送路途中には、手差しトレイ1A1から繰り出されたシートの搬送路が合流し、いずれの搬送路から給送されるシートもレジストローラ1B3によってレジストタイミングが設定されるようになっている。
【0032】
書き込み装置5は、原稿走査部1Cに有する原稿載置台1C1上の原稿を走査することにより得られる画像情報あるいは図示しないコンピュータから出力される画像情報により書き込み光が制御されて感光体4Y、4M、4C、4Bに対して画像情報に応じた静電潜像を形成するようになっている。
【0033】
原稿走査部1Cには、原稿載置台1C1上の原稿を露光走査するスキャナ1C2が備えられており、さらに原稿載置台1C1の上面には、自動原稿給送装置1C3が配置されている。自動原稿給送装置1C3は、原稿載置台1C1上に繰り出される原稿を反転可能な構成を備え、原稿の表裏各面での走査が行えるようになっている。
【0034】
書き込み装置5により形成された感光体3上の静電潜像は現像装置6によって可視像処理され、中間転写ベルト2に1次転写される。中間転写ベルト2に対して各色毎のトナー像が重畳転写されると、2次転写装置9によりシートに対して一括して2次転写される。
【0035】
2次転写されたシートは、表面に担持している未定着画像を定着装置11によって定着される。定着装置11に関しては後で詳しく説明する。
【0036】
定着装置11を通過したシートは、定着装置11の後方に配置されている搬送路切り換え爪12によって搬送方向が切り換えられるようになっており、排紙トレイ13に向けた搬送路と、反転搬送路RPとに搬送方向が選択される。
【0037】
以上のような構成を備えたカラープリンタ1では、原稿載置台1C1上に載置された原稿を露光走査することによりあるいはコンピュータからの画像情報により、一様帯電された感光体3に対して静電潜像が形成され、静電潜像が現像装置6によって可視像処理された後、トナー像が中間転写ベルト2に1次転写される。
【0038】
中間転写ベルト2に転写されたトナー像は、単一色画像の場合にはそのまま給紙部1Bから繰り出されたシートに対して転写され、多色画像の場合には1次転写が繰り返されることにより重畳された上でシートに対して一括して2次転写される。2次転写後のシートは入り口ガイド11Aによりやや上方に持ち上げられた状態で定着装置11に導入され、定着装置11により未定着画像を定着された後、排紙トレイ13あるいは、反転されて再度レジストローラ1B3に向けて給送される。
【0039】
定着装置11には、詳細が図2に示されているように、無端状の耐熱ベルトが用いられる定着ベルト110と、定着ベルト110が掛け回される部材の一方に相当して定着ベルト110を所定の表面温度に加熱する加熱部材としての加熱ローラ111と、定着ベルト110内に配置されている押圧部材112と、定着ベルト110を挟んで押圧部材112と対向する位置に配置されている加圧部材としての加圧ローラ113とが備えられており、押圧部材112には、加圧ローラ113との対向面でシートの移動方向中央部分に位置する耐熱弾性部材114と耐熱性弾性部材114の前後でこれを保持する支持部材115とが備えられている。
【0040】
図1に示すカラープリンタでの定着行程は次の通りである。
トナーは、図2以降に示されている定着装置11の構成に用いられる耐熱性弾性部材114及び定着ベルト110により粘性が低い状態となるまで加熱され、更に加圧部材としての加圧ローラ113の加圧力の作用によりシートSの繊維中に浸透していく。
その後、トナーが冷えて固まったときにトナーと紙繊維同士は強固に定着される。但し、このときに定着ベルト110から分離する時点でのトナー層の温度が軟化温度Ts以下であると、トナーの樹脂は十分に軟化せず従ってシートSの繊維中にも浸透していかないため十分な定着強度が得られない。また一方、定着ベルト110から分離する時点でのトナー層表面温度が流出開始温度Tf以上であると、トナーの樹脂粘度が低くなりすぎ、シートSの繊維中には十分浸透していくものの定着ベルト110の離型層との間の離型性が悪化してしまい、定着ベルト110へのトナーオフセットや定着ベルト110への記録シート巻き付きといった不具合になってしまうので、定着後のトナー層表面温度がTsからTfの範囲になるように定着温度の制御温度を決めており、望ましくはその中央に近い領域で温度偏差(リップル)が小さい制御システムであることが望ましい。
【0041】
定着ベルト110は、本実施形態に用いられるトナーの構成に合わせた構成とされている、つまり、本実施形態において使用されるトナーは、樹脂母剤となる結着樹脂と着色剤との含有のみでなく、離型剤としてのワックスを含有しており、自身の離型性により定着装置11でのオフセットおよびトナーの粘着性によるシートSの巻き付きが発生するのを抑止できるようになっている。
定着ベルト110は、図示しないが、耐熱性と機械的強度とを併せ持つポリイミドなどの樹脂チューブの周囲に耐熱性と弾性とを併せ持つシリコーンゴムなどの材料を用いた弾性体層が成型加工され、さらに弾性体層の表面に耐熱性および強度がありトナーの吸着力に影響する表面エネルギーの小さい耐熱性樹脂が使用された離型層が設けられて構成されている。
【0042】
離型層に用いられる材料としては、シリコーン樹脂、フッ素樹脂例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などの高分子樹脂などが選択可能である。
【0043】
定着ベルト110は、機械的強度を確保することにより変位防止と熱容量をローラの場合よりも小さくして定着温度への立ち上げ時間を短縮できる総厚さに設定されている。
【0044】
加圧ローラ113は、鉄あるいはステンレスにより厚さ(t)が0.3〜1.0mm、本実施形態では、0.5mm程度の芯金の表面に厚さが0.5mm程度の弾性層が設けられており、弾性層には、シリコーンゴムが用いられている。
【0045】
加圧ローラ113は定着ベルト110と同様に、オイルレストナーに対応するようになっており、このため、表面には、定着ベルト110と同様にPFA等の離型層が設けられた構造になっている。
【0046】
図2において定着装置11に備えられている押圧部材112の一構成部材である耐熱性弾性部材114は、耐熱性を有する弾性体である低硬度シリコーンゴムが材料として用いられ、特に、耐熱性と弾性とを発揮させるために、内部に気泡を混在させた低硬度発泡シリコーンゴムが用いられている。これにより、定着ベルト110からの熱伝導を抑制することにより定着ベルト110の温度立ち上げ時間の短縮に寄与するようになっている。
発泡シリコーンゴムを用いる場合には、発泡倍率を高くするほど断熱効果が得られる反面、加圧ローラ113との長時間の圧接が継続されるとセル破壊、いわゆる剪断負荷による破損により所定の弾性力を維持することができなくなる。このため、発泡シリコーンゴムを用いる場合には低硬度と耐久性とにおいて相反する作用が得られることになる。従来用いられていたシリコーンゴムによりローラを製作した場合、実際に使用する際の硬度範囲として、定着ニップ幅の確保を考慮すると、アスカC硬度で20〜50Hs程度であり、高速機のように、速度に対する定着時間の増加が必要となる場合には、広い定着ニップ幅が必要となると共に圧力も大きくなるので、アスカC硬度50Hs近辺の表面硬度で使用しなければならない。この結果として、発泡倍率の低い材料、換言すれば、気泡の破壊により断熱性が損ねられやすい材料に限定されてしまい、トナーへの熱供与率が低くなる。
【0047】
これに対して本実施形態における押圧部材112の構成では、定着ニップ部を構成する部材がローラではなく耐熱性弾性部材であるので、発泡シリコーンゴムで低硬度化して圧力を大きくしなくてもローラと違って定着ニップ部Nの幅を大きく設定することができるので、上述した不具合は解消される。
【0048】
一方、押圧部材112における耐熱性弾性部材114は、支持部材115に設けられている凹状溝内に挟み込まれた状態で取り付けられて保持され、さらに耐熱性接着剤などによってその状態を維持されている。これにより、耐熱性弾性部材113は、経時的な使用による形状変化が起こりにくい状態を維持されている。
【0049】
支持部材115は、金属系焼結部品を用いることも可能であるが、定着温度へのウオームアップ時間を短縮するという目的を達成するためには耐熱性樹脂の成型部品で構成されることが望ましい。
支持部材115の上部には加圧スプリングリング116が配置されており、また、加熱ローラ111にはテンションスプリング117が設けられている。
加圧スプリング116は押圧部材115を加圧ローラ113に向けて加圧することにより定着ベルト110を加圧ローラ113に向けて押圧するための部材であり、テンションスプリング117は加圧スプリング116の荷重を越えない範囲で適宜設定されることにより、耐熱性弾性部材114と加圧ローラ113との間で形成される定着ニップ幅を小さくしない状態で定着ベルト110に張力を付与するための部材である。
【0050】
加熱ローラ111,加圧ローラ113には、熱源として用いられるハロゲンヒータ111A、113Aが設けられており、これらハロゲンヒータ111A、113Aは、各ローラ表面温度を検知可能なサーミスタ118,118’からの検出値に応じて所定の設定温度に制御されるようになっている。
【0051】
耐熱性弾性部材114は、発泡シリコーンゴムが用いられることにより定着ベルト110からの伝熱を抑制できるとともに定着ニップ部Nの幅を小さくしないようにできるので、定着ベルト110の温度低下を小さくできるというメリットがある。
例えば線速300mm/secの複写機の場合を例にすると、耐熱性弾性部材114の幅は15mmでニップ時間50msに相当し、30mmでニップ時間100msに相当する。
従来のゴムローラ対を用いた方式においては、線速300mm/secではφ60程度の外径のローラでニップ時間40〜50msを確保するのが限界であったが、本実施形態に挙げた耐熱性弾性部材114を用いることにより、耐熱性弾性部材114の幅を21mmにしてニップ時間70msを確保することはゴムローラ対を用いた方式に比べて容易であると考えられる。
また、例えば線速150mm/secの複写機の場合を例にすると、耐熱性弾性部材114の幅を10.5mmでニップ時間70msを確保できることは同様の関係にある。
【0052】
耐熱性弾性部材104の形状としては、加圧ローラ102と圧接する側の面の曲率が加圧ローラ102の外径と略同一であることが望ましい。
耐熱性弾性部材104と加圧ローラ102が定着ベルト103を介して圧接されるときに、耐熱性弾性部材104と加圧ローラ102の曲率が異なると、ニップ内部の入口から出口までの間にトナー層にかかる面圧が安定せず、例えば定着温度が定着下限まで低下した場合に僅かな線速差でも画像が乱れてしまうという不具合が懸念される。
【0053】
耐熱性弾性部材114を保持している支持部材115は、耐熱性弾性部材114の保持部の両側に相当する、定着ベルト110の巻き始め部分と巻き終わり部分、つまり、シートの移動方向(図2中、矢印Fで示す方向)において定着ニップ部入り口側と出口側、換言すれば、シート移動方向における定着ニップNにシートが進入するニップ上流部分(図2中、符号P1で示す部分)と定着ニップ部Nからシートが排出されるニップ下流部分(図2中、符号P2で示す部分)とは異なる曲率で形成された形状とされている。
【0054】
図3は、上記構成を説明するための図であり、同図において、定着ニップ部Nを挟んで両側で定着ニップNに連続する上流側P1および下流側P2に相当する角部は、上流側P1が所定の曲率半径Raで形成され、下流側P2が所定の曲率半径Rbで形成され、これら曲率半径同士の関係が、Ra>Rbに設定されている。
【0055】
この関係を設定することにより、ニップ上流側P1では、耐熱性弾性部材114の端縁からさらにニップ幅を長くする方向に定着ベルト110を展張することができる。定着ベルト110は、耐熱性弾性部材の端縁からさらにニップ幅が長くされた範囲で助走した上で耐熱性弾性部材114と対向することになる。
ニップ下流側P2では、耐熱性弾性部材114の端縁から定着ベルト110が移動する方向を急変させやすくなる。
【0056】
ニップ上流側P1では、定着ニップ部N、詳しくは耐熱性弾性部材114の端縁に直接定着ベルト110が進入することがないので、耐熱性弾性部材114に剪断力が作用することがなく変形による摺動負荷抵抗の増加や接触面積の変化を来すことがない。
ニップ下流側P2では、曲率半径Rbが小さいことにより大きい場合と違って溶融トナーの粘着力によるシートの貼り付きを抑制してシートの曲率分離を行いやすくなる。本実施形態では、曲率半径RaがR10〜R20に、そして曲率半径RbがR10以下に設定されている。
【0057】
本実施形態は以上のような構成において、定着装置11に導入されるシートSは、押圧部材112の支持部材115におけるニップ上流側P1に進入すると曲率半径Raの形状部分により展張されている定着ベルト110によって定着ニップ部Nに進入する。このときニップ上流側P1では定着ベルト110が移動するのに伴い耐熱性弾性部材114には剪断力が作用していないので、耐熱性弾性層114の変形による摺動負荷抵抗増加もない。これにより、定着ベルト110のスリップ現象が抑止されることでトナーの擦れ現象による異常画像や接触面積の変化による定着熱量の不足が防止されて定着不良や画像ズレなどの防止されることになる。
【0058】
次の本発明の別の実施形態について説明する。
本実施形態は、ニップ上流側P1と下流側P2とで定着ベルト110に作用する圧力を異ならせてことを特徴としている。
図4は、図3に示した支持部材115の構成を対象とした図であり、同図においてニップ上流側P1には圧力Paが作用し、ニップ下流側P2には圧力Pbが作用するようになっており、これら各圧力同士の関係が、Pb>Paの関係に設定されている。この場合の圧力関係は、図2に示した支持部材114におけるニップ上流側P1,下流側P2の曲率半径により得られる形状を対象としているので、定着ベルト110を加圧ローラ113に向けて押圧するための加圧スプリング116の圧力に対するニップ上流側P1とニップ下流側P2との接触面積の違いに基づく。
【0059】
ニップ上流側P1での圧力Paおよびニップ下流側の圧力Pbは、定着ベルト110と加圧ローラ113との間に隙間が生じないでシートが定着ニップ部Nに進入した際の挙動が不安定となることがない値とされている。これにより、ニップ上流側P1では、シート上のトナーと定着ベルト113との接触が不安定となるのを防止してシートの波打ち現象や皺の発生を防ぐようになっている。
また、ニップ下流側P2では、隙間の発生を防いで定着ニップ部Nで定着されたトナー面が定着ベルト110に再接触してトナーの不用意な転移、いわゆる、オフセットや光沢ムラなどの異常画像が発生するのを防止するようになっている。しかもニップ下流側P2では、ニップ上流側P1よりも圧力が高くなっており、加圧ローラ113に有する弾性層に歪みが生じるような設定とすることでシートが薄紙などのように巻き付きやすい場合でもシートを強く加圧ローラ側に押し付けることにより押し付けら得た箇所での曲率をさらに大きくして先端が定着ベルト110から曲率分離しやすい状態とすることができる。
ニップ上流側P1および下流側P2での圧力Pa,Pbは、加圧スプリング116による支持部材115の加圧位置をずらすことで適宜変更することができる。
【0060】
本実施形態においては、ニップ上流側P1に進入するシートは、加圧ローラ113との間で隙間が発生しない状態で定着ニップ部Nに向けて移動することができる。これにより、隙間が生じた場合のようなシートの波打ち現象や皺の発生を防止して画像擦れや画像の位置ずれをなくすことができる。しかもニップ下流側P2では、ニップ上流側P1よりも高い圧力でシートSが加圧ローラ113に向けて押し付けられて隙間が解消されるので、一旦定着されたトナーが締着ベルト110に再接触することがない。これにより、オフセットや光沢ムラの発生が防止できると共に曲率を増加させて曲率分離がより効果的に行われることになる。
【0061】
上述した押圧部材112の構成部材の一つである支持部材115は、定着ベルト110の摺動負荷抵抗の増加を抑えるために、図5あるいは図6に示す構成とすることも可能である。
図5に示す構成では、支持部材114を構成する樹脂材料中に低摩擦係数部材119が混入されている。低摩擦係数部材119としては、フッ素樹脂が用いられる。
図6に示す構成では、耐熱性弾性部材114と支持部材115の外周を囲むように低摩擦係数部材(便宜上、符号119’で示す)が設けられている。低摩擦係数部材107’としては、ガラス繊維シートにフッ素樹脂を被覆したフィルム部材あるいはシート部材が用いられる。
【0062】
次に本発明の他の実施形態について説明する。
本実施形態は、図2に示した構成に対して、定着ニップ部Nをさらに拡張したことを特徴としている。
図7は、上記特徴を説明するための模式図であり、同図において定着装置(便宜上、符号11’で示す)には、図2に示した構成と異なる点として、定着ベルト110の内部に分離ローラ120を配置し、加圧スプリング121により分離ローラ120を加圧ローラ113に向けて押圧した点にある。
【0063】
図7において、定着ベルト110は、図2に示した構成の場合と同様に、加熱ローラ111および押圧部材112に掛け回されると共にさらに加えて分離ローラ120に掛け回されている。
【0064】
定着ベルト110が加圧ローラ113に押圧されることで構成される定着ニップ部Nは、押圧部材112と加圧ローラ113とが対峙する第1ニップ領域(図中符号▲1▼で示すニップ幅Na)と第1ニップ領域から分離ローラ118が加圧ローラに対峙するまでの間に相当する第2ニップ領域(図中、符号▲2▼で示すニップ幅Nb)に加えて、分離ローラ120と加圧ローラ113とが対峙してシートの搬送方向最終端(図6中、符号P3で示す位置)にシートの出口を構成する第3ニップ領域(図中、符号▲3▼で示すニップ幅Nc)が設定される。
【0065】
本実施形態では、ニップ部に対してシートが進入する側に位置する押圧部材112を構成する部材の一つである支持部材115のニップ上流側P1が曲率半径Raで形成され、ニップ部でのシートの出口側に位置する分離ローラ118が曲率半径Rcで形成され、これら曲率半径同士の関係がRa>Rcの関係に設定されている。
また、上記曲率半径により形成されているシートの入り口側および出口側には圧力Pa、Pcが付与されるようになっており、これら圧力同士の関係は、Pa<Pcの関係に設定されている。
【0066】
このような関係を設定することにより、ニップ上流側P1では、耐熱性弾性部材114の端縁からさらにニップ幅を長くする方向に定着ベルト110を展張することができる。
定着ベルト110は、耐熱性弾性部材の端縁からさらにニップ幅が長くされた範囲で助走した上で耐熱性弾性部材114と対向することになる。これにより、図2に示した場合と同様に、定着ニップにおける入り口側で定着ベルト110が直接耐熱性弾性部材114に進入しないので耐熱性弾性部材114の剪断変形を防止することができる。
【0067】
ニップ下流側P3では、耐熱性弾性部材114の端縁から移動してきた定着ベルト110が移動する方向を急変させやすくなる。
この結果、ニップ上流側P1では定着ベルト110の摺動負荷抵抗が大きくならないのでスリップによる異常画像の発生および接触面積の変化により定着熱量の確保ができなくなるという不具合を解消でき、ニップ部下流側P3では定着ベルト110との間に隙間が発生することがなくなることでシートの波打ち現象や皺の発生および画像擦れを防止し、曲率分離作用を良好に行わせることができる。
【0068】
分離ローラ120は、図示しないギヤを介して加圧ローラ113からの駆動力を伝達されて回転することができるようになっている。
【0069】
本実施形態では、押圧部材112の構成として、定着ニップ部Nの中央部分に耐熱性弾性部材114を、そしてその両側に支持部材115が位置して耐熱性弾性部材114を凹状溝内に保持する構成とし、耐熱性弾性部材114を挟んでベルトの入り口側および出口側が共に同じ材料、つまり剛性部材を用いているが、耐熱性弾性部材114を境にしてニップ上流側P1を金属または樹脂の剛体で構成し、ニップ部下流側の全域を耐熱性弾性部材114によって構成することも可能である。この構成によれば、次のような利点が得られる。
第1ニップ領域(図7中、符号▲1▼で示すニップ幅の領域)が相当する定着ベルト110の移動方向において入り口側が弾性体からなる固定部材であると、シートの先端が定着ニップ部Nにおける入り口側P1に喰込んだ際に耐熱性弾性部材114に突き当たるなどの衝撃を発生させないでソフトに喰え込まれる反面、喰え込まれる力が弱まり、定着ベルト110とシートとの間でスリップが生じる虞があるのを未然に防止する。つまり、スリップが発生すると、この部分の未定着トナーが擦られて乱されてしまい、トナー像が乱されることになる。
【0070】
本実施形態では、このような不具合の発生を考慮して、シートの移動方向上流側(ベルトの移動領域前半部分)、つまり、耐熱性弾性部材114を挟んでシートが進入する側の領域では金属若しくは樹脂からなる剛性の高い部材を設置してシートの捕捉を確実に行えるようにしている。
さらに、定着ニップ部を通過するシートは、先端が確実に定着ニップ部Nに捕捉される一方、第2ニップ領域(図7中、符号▲3▼で示すニップ幅の領域)および第3ニップ領域(図7中、符号▲3▼で示すニップ幅の領域)を通過したシートが加圧ローラ113側に押し付けられることにより定着ニップ部Nでの隙間をなくして安定した接触状態を維持しながら移動できるようになっている。
【0071】
なお、分離ローラ120にもハロゲンヒータ(図示されず)を用いた熱源が装備されているが、本発明では、分離ローラ120を含む各ローラの熱源としてハロゲンヒータに限ることはなく、例えば、定着ベルト110自体を面状発熱体で構成したり、定着ベルト110の一部委導電層を設けて誘導加熱方式を採用する構成としても良い。
【0072】
【発明の効果】
請求項1および2記載の発明によれば、押圧部材がシートの搬送方向中央に耐熱性弾性体層と、そしてその前後に位置する剛体の支持部材で構成され、支持部材におけるニップ上流側と下流側のと曲率半径を異ならせ、上流側が下流側よりも大きい曲率半径で形成しているので、ニップ上流側に進入してくるシートが直接耐熱性弾性部材に進入することがない。これにより、耐熱性弾性部材に剪断力が発生するようなことがなく、剪断変形によるベルトの摺動負荷抵抗増加を防止してベルトのスリップによる画像擦れや接触面積の変化による定着熱量の低下を防止することができる。この結果、異常画像の発生や画像ズレを確実に防止することが可能となる。
【0073】
請求項3記載の発明によれば、ニップ下流(出口)側の圧力をニップ上流(入り口)側の圧力よりも大きくなる関係としているので、ニップ下流(出口)側ではベルトとの間で隙間が発生するのを確実に解消することができる。これにより、隙間が存在している場合に発生するトナーの再接触によるオフセットや光沢ムラを解消すると共にシートを強く押し付けてシートの曲率変化を大きくして曲率分離性能を向上させることが可能となる。しかも、ニップ上流(入り口)側ではシートがニップ部に進入した際の接触村を防止してシートの波打ち現象や皺の発生を確実に防止することができる。
【0074】
請求項4記載の発明によれば、押圧部材を構成する耐熱性弾性部材および支持部材に低摩擦化処理が施されているので、ベルトの摺動負荷抵抗をより効果的に低減することができる。これによりベルトのスリップを未然に防止して画像擦れなどの異常画像の発生原因を確実になくすこと可能となる。
【0075】
請求項5記載の発明によれば、加圧部材が芯金に弾性層および耐熱性フッ素樹脂層が被覆された構成であるので、押圧部材から押圧力を有効に作用させることができる。これにより、押圧部材に有する耐熱性弾性部材および支持部材による押圧力を利用してベルトの均一接触を可能にしてベルトの接触が不安定となるのを防止することができ、画像擦れなどの異常画像の発生を防止することが可能となる。
【0076】
請求項6記載の発明によれば、定着ベルト内に配置されている分離ローラを設けることにより定着ベルトを用いて構成される定着ニップ部を拡大することができる。これにより、トナーの定着に必要な熱量を確保して定着不良を確実に防止することができる、しかも、分離ローラを含めた定着ニップ部におけるニップ上流(入り口)側の曲率半径をニップ下流(出口)側よりも大きくする関係としていることにより、定着ニップ部を拡大させた場合において耐熱性弾性部材に剪断力が発生するようなことがなく、剪断変形によるベルトの摺動負荷抵抗増加を防止してベルトのスリップによる画像擦れや接触面積の変化による定着熱量の低下を防止することができる。この結果、定着効率の向上と共に異常画像の発生や画像ズレを確実に防止することが可能となる。
【0077】
請求項7記載の発明によれば、ニップ下流(出口)側の圧力をニップ上流(入り口)側の圧力よりも大きくなる関係としているので、ニップ下流(出口)側ではベルトとの間で隙間が発生するのを確実に解消することができる。これにより、隙間が存在している場合に発生するトナーの再接触によるオフセットや光沢ムラを解消すると共に、シートを強く押し付けてシートの曲率変化を大きくして曲率分理性を向上させることが可能となる。しかも、ニップ上流(入り口)側ではシートがニップ部に進入した際の接触村を防止してシートの波打ち現象や皺の発生を確実に防止することができる。
【0078】
請求項8記載の発明によれば、定着に用いられる定着ベルトの摺動負荷抵抗画像化するのを防止できることにより定着ベルトがスリップした場合に発生する画像擦れなどによる異常画像の発生や接触面積の変化による定着不良を未然に防止することが可能となる。
【0079】
請求項9記載の発明によれば、単一色のみでなく複数の色画像を形成する場合において画像擦れなどによる画像ズレや色ズレによる異常画像の発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための実施例による定着装置が適用される画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態を説明するための実施例による定着装置の構成を示す模式図である。
【図3】図2に示した定着装置に用いられる押圧部材の形状構成に関する詳細を説明するための図である。
【図4】図2に示した定着装置に用いられる押圧部材の圧力設定移管する構成を説明するための図である。
【図5】図2に示した定着装置に用いられる押圧部材の低摩擦化処理の一例を示す図である。
【図6】図2に示した定着装置に用いられる押圧部材の低摩擦化処理の他の例を示す図である。
【図7】図2に示した定着装置に係る別の実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置の一つであるカラープリンタ
11 定着装置
110 定着ベルト
111 加熱ローラ
112 押圧部材
113 加圧ローラ
114 耐熱性弾性部材
115 支持部材
119、119’ 低摩擦化部材
N 定着ニップ部
P1 ニップ入り口側
P2 ニップ出口側
Ra,Rb 曲率半径
Pa,Pb 圧力
S シート

Claims (9)

  1. シート上に担持されている未定着トナー像を定着するための定着装置であって、
    上記未定着トナー像と接触可能な位置に一部が移動可能な無端状の定着ベルトと、該定着ベルトの表面温度を所定の温度に加熱するための加熱部材と、定着ベルトの内部にある押圧部材と、押圧部材が定着ベルトを介して圧接することによりニップを形成する加圧部材とを備え、上記押圧部材と加圧部材とにより構成されるニップ部で記録媒体上のトナー像を定着する定着装置において、
    上記押圧部材は、上記ニップ部における上記シートの搬送方向中央部分が耐熱性弾性部材により構成され、上記シートの搬送方向における耐熱性弾性部材の前後は剛体の支持部材により保持されており、支持部材のベルト巻き始め部分とベルト巻き終わり位置はいずれも互いに異なる曲率半径で形成された形状を有しているとともに、上記定着ベルトを介して加圧ローラに圧接されていることを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1記載の定着装置において、
    上記支持部材における上記シートの搬送方向で耐熱性弾性部材よりニップの上流部分が曲率半径Raで形成され、上記シートの搬送方向で耐熱性弾性部材よりニップの下流部分が曲率半径Rbで形成され、これら曲率半径同士の関係が、
    Ra≧Rb
    の関係に設定されていることを特徴とする定着装置。
  3. 請求項1または2記載の定着装置において、
    上記支持部材における上記シートの搬送方向で耐熱性弾性部材よりニップの上流部分に圧力Paが作用し、上記シートの搬送方向で耐熱性弾性部材よりニップの下流部分に圧力Pbが作用し、これら圧力同士の関係が、
    Pa≦Pb
    の関係に設定されていることを特徴とする定着装置。
  4. 請求項1乃至3のうちの一つに記載の定着装置において、
    上記支持部材及び耐熱性弾性部材には、低摩擦化処理が施されていることを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1乃至4のうちの一つに記載の定着装置において、
    上記加圧部材は、芯金の表面に耐熱ゴムからなる弾性層と、その表面に耐熱性フッ素樹脂層が被覆された構成であるとともに、主駆動側の部材として定着ベルトを駆動することを特徴とする定着装置。
  6. 無端状の定着ベルトと、定着ベルトの表面温度を所定の温度に加熱するための加熱部材と、定着ベルトの内部にある押圧部材と、押圧部材が定着ベルトを介して圧接することによりニップを形成する加圧部材と、定着ベルトの内部にあって加圧部材に対して圧接された分離ローラとを有し、押圧部材と加圧部材により構成されるニップ部で記録媒体上のトナー像を定着する定着装置を備えた画像形成装置において、
    上記押圧部材は、加圧部材に対して圧接される中央部分が耐熱弾性体により構成され、記録シートの搬送方向における耐熱弾性体の少なくとも上流側は剛体の支持部材により保持されており、支持部材のベルト巻き始め部分は曲率を持った形状を有しているとともに定着ベルトを介して加圧ローラに圧接されており、支持部材のベルト巻き始め部分の曲率Raと分離ローラの半径Rcとが、
    Ra≧Rc
    の関係に設定されていることを特徴とする定着装置。
  7. 請求項6記載の定着装置において、
    前記支持部材の弾性体よりニップの上流部分の圧力Paと、分離ローラの圧力Pcとが、
    Pa≦Pc
    の関係に設定されていることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1乃至7のうちの一つに記載の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項8記載の画像形成装置において、
    上記定着装置は、単色若しくは複数色のトナーの定着行程に用いられることを特徴とする画像形成装置。
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