JP2017223800A - ベルト定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着ベルトと定着部材とをニップ部以外で非接触にすることで定着ベルトの摩耗と駆動トルクを抑制する。【解決手段】定着部材としての定着パッド74から離間した位置に加熱ローラ71を配設し、加熱ローラ71と定着パッド74との間に定着ベルト73を架け回す。ニップ部Nの入口側と出口側の外側に位置する定着部材の肩部74a、74bを定着ベルト73の内周面から離間させる。【選択図】図2A

Description

本発明は、ベルト定着装置及び画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置として、近年、ベルト定着方式が採用されるようになってきた。このベルト定着方式は、定着ローラ又は定着パッドと、加熱ローラとの間に定着ベルトを掛け回し、当該定着ベルトを介して、定着ローラ又は定着パッドと、加圧ローラとを圧接させる。定着ベルトのスリップ防止と、加熱ローラから定着ベルトへの熱伝達効率を高めるために、定着ベルトに張力を掛けて定着ベルトと加熱ローラとを密着させるようにしている。
近年ではベルト定着方式の小型化と低コスト化のため、例えば特許文献1(特開2004−286932号公報)や特許文献2(特開2004−325750号公報)のように、定着ローラよりも定着パッドを使用した定着装置が使用される傾向にある。この定着パッドを使用した装置では、図4、図5のように所定の張力を掛けた定着ベルト73が定着パッド74と摺接するので、定着ベルト73の駆動トルクが高くなるという課題がある。また、定着ベルト73が定着パッド74と摺接するので定着ベルト73が摩耗しやすいという課題もある。
本発明の目的は定着ベルトの摩耗と駆動トルクを抑制することにある。
前記課題を解決するため、本発明は、加圧部材と定着部材とを圧接させた状態でこれら両部材間に加熱した定着ベルトを摺動させ、当該定着ベルトと前記加圧部材との間に形成されるニップ部に、顕像化された現像剤を担持した記録媒体を通過させることで、当該記録媒体上の前記現像剤を前記定着ベルトの熱と前記ニップ部の圧力とで前記記録媒体上に熱融着させるようにした定着装置において、前記定着部材から前記加圧部材と反対側に離間した位置に、前記記録媒体の通過方向における前記ニップ部の幅と対応した径を有する加熱ローラを配設し、当該加熱ローラと前記定着部材との間に前記定着ベルトを所定の張力で架け回すと共に、前記ニップ部の入口側と出口側の少なくとも一方に位置する前記定着部材の肩部に、前記ニップ部以外では前記定着ベルトの内周面と接触しない非接触部を形成したことを特徴とするベルト定着装置である。
本発明は、定着部材の肩部を、ニップ部以外では定着ベルトの内周面と接することなく離間させたので、定着ベルトの摩耗と駆動トルクを抑制することができる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略図である。 (a)は本発明の実施形態に係るベルト定着装置の概略断面図、(b)は定着パッドが定着ベルトから受ける圧力を示す圧力曲線である。 ベルト定着装置及び端部支持板の斜視図である。 ベルト定着装置の線圧と定着ベルトのR形状の関係を示すグラフである。 (a)は従来の画像形成装置のベルト定着装置の概略断面図、(b)は定着パッドが定着ベルトから受ける圧力を示す圧力曲線である。 (a)は従来の画像形成装置の別のベルト定着装置の概略断面図、(b)は定着パッドが定着ベルトから受ける圧力を示す圧力曲線である。
以下に、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能又は形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
(画像形成装置)
まず、図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。本実施形態に係る画像形成装置1は、一般的な電子写真方式のカラープリンタである。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。モノクロプリンタや、その他のプリンタ、複写機、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置にも本発明の構成を適用可能である。
画像形成装置1の装置本体の中央には、画像形成部としての4つのプロセスユニット2Y、2M、2C、2Bkが配置されている。各プロセスユニット2Y、2M、2C、2Bkは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
具体的に、各プロセスユニット2Y、2M、2C、2Bkは、潜像担持体としての感光体と、感光体の表面を帯電させる帯電手段としての帯電装置と、感光体の表面に現像剤を供給する現像手段としての現像装置と、感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニング装置等を備える。
現像剤としては、例えば、外添剤としてオイル含有シリカを含むトナーを用いることができる。これによって、プロセスユニットの長寿命化やクリーニング性の向上、転写効率の向上を図ることができ、また経時の駆動トルク増加がほとんどない安定した定着装置を提供できる。
当該トナーは、粉砕トナー又は重合トナーのどちらでもよい。実施形態では、トナー100部に対して、疎水シリカRY50(アエロジル製)を2部添加し、20Lヘンシェルミキサーで周速40m/sec、5分間の混合処理を行なったものを使用する。その後、当該混合物を目開き75ミクロンの篩にかけることで現像剤トナーを得た。
また、各プロセスユニット2Y、2M、2C、2Bkは、画像形成装置1の装置本体に対して着脱可能に構成されている。本実施形態では、図1の一点鎖線で示すように、装置本体の上部カバー3を上方へ回動させて開くことで、各プロセスユニット2Y、2M、2C、2Bkを上方へ取り外したり、反対に上方から取り付けたりすることができるようになっている。
各プロセスユニット2Y、2M、2C、2Bkの上方には、感光体の表面を露光する露光装置4が配置されている。露光装置4は、上部カバー3に取り付けられており、上部カバー3を開くと、上部カバー3と一緒にプロセスユニット2Y、2M、2C、2Bkの上方付近から退避する。このように構成することで、露光装置4がプロセスユニット着脱作業の妨げにならないようにしている。
さらに、画像形成装置1は、転写材としての用紙を供給する転写材供給手段としての給紙装置5と、作像動作により形成された画像を用紙に転写する転写手段としての転写装置6を備える。また、画像形成装置1は、用紙上に画像を定着する定着手段としてのベルト定着装置7と、画像を装置外に排出する転写材排出手段としての排紙ローラ8を備える。
転写装置6は、無端状の中間転写ベルト9と、一次転写手段としての4つの一次転写ローラ10と、二次転写手段としての二次転写ローラ11等で構成されている。4つの一次転写ローラ10は、中間転写ベルト9を介して各プロセスユニット2Y、2M、2C、2Bkの感光体に接触している。これにより、中間転写ベルト9と各感光体との接触部にて一次転写ニップが形成されている。二次転写ローラ11は、中間転写ベルト9を掛け回すローラの1つに対して中間転写ベルト9を介して接触し、当該接触部に二次転写ニップが形成されている。
また、本実施形態では、二次転写ローラ11が、開閉可能な正面カバー12に取り付けられている。このため、図1の一点鎖線で示すように、正面カバー12を前方へ回動させて開くと、これに伴って二次転写ローラ11が中間転写ベルト9から離間する。このように構成することで、二次転写ニップにおける紙詰まり処理が行いやすくなる。
(画像形成装置の作像動作)
続いて前述した画像形成装置1の作像動作について説明する。作像動作が開始されると、各プロセスユニット2Y、2M、2C、2Bkにて各色の画像が形成される。詳しくは、各プロセスユニット2Y、2M、2C、2Bkにおいて、感光体が回転駆動され、帯電装置によって感光体の表面が所定の極性に一様に帯電される。
次いで、露光装置4によって、感光体の表面が露光され、静電潜像が形成される。このとき、露光装置4が露光する画像情報は、所望のフルカラー画像を、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。そして、現像装置によって、各感光体上の静電潜像にトナーが供給され、静電潜像がトナー画像として現像(可視像化)される。
各感光体上に形成されたトナー画像は、一次転写ニップにて中間転写ベルト9上に順次重ね合わせて転写される。中間転写ベルト9に転写しきれなかった各感光体上のトナーは、クリーニング装置によって除去される。
その後、中間転写ベルト9上のトナー画像は、二次転写ニップにて、給紙装置5から供給されてきた用紙に対して一括して転写される。そして、二次転写ニップを通過した用紙はベルト定着装置7へと搬送され、用紙上のトナー画像がベルト定着装置7によって定着(熱融着)される。その後、用紙は、排紙ローラ8によって装置外へ排出される。
以上の説明は、用紙上にフルカラー画像を形成するときの画像形成動作である。しかし、前記画像形成装置1はフルカラー画像以外も形成可能である。例えば4つのプロセスユニット2Y、2M、2C、2Bkのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
(定着装置)
以下、本発明のベルト定着装置7の実施形態を図2A、図2B、図3により説明する。実施形態に係るベルト定着装置7はパッド定着方式である。このベルト定着装置7は本体に対して着脱可能とされている。
ベルト定着装置7の軸方向におけるニップ幅を均一にするため、本実施形態では、従来と異なり、第1駆動源に連結された加圧ローラ76の軸芯を位置固定する。その代わりに、後述するように定着部材としての定着パッド74を加圧ローラ76に対して接近離反可能(接離可能)に構成し、バネ等の付勢部材の力で定着パッド74を加圧ローラ76に押し込むことで所定幅のニップ部Nを形成する。
定着パッド74を加圧ローラ76に単に押し込むだけでは、加圧ローラ76の弾性材76aが熱膨張すると当該熱膨張で定着パッド74が押し返されて押し込み量が変化する。そうすると定着ベルト73の張力が変化し、当該張力の変化のために定着ベルト73が軸方向に移動して定着ベルト73の端部が破損する。また、前記張力の変化で通紙パスの方向が変わることでジャムが発生する。
したがって、加圧ローラ76の弾性材76aの熱膨張に関わらず定着パッド74の押し込み量が変化しない構造が必要である。本発明の実施形態では、加圧ローラ76の弾性材76aの熱膨張に関わらず当該弾性材76aに対する定着パッド74の押し込み量が変化しないように、定着ベルト73に対して張力付与部材としての板バネを当てている。
ベルト定着装置7は、ハロゲンヒータ等の熱源72を内蔵した加熱ローラ71、定着パッド74、定着パッド74が取り付けられる補強ステー75(図2B参照)、加熱ローラ71と定着パッド74との間に周回可能に掛け回された定着ベルト73を有する。また、ベルト定着装置7は、定着パッド74と対向して配設された加圧ローラ76、定着ベルト73の温度を検知する温度センサ78、加熱ローラ71と補強ステー75を支持する端部支持板621を有する。定着ベルト73の温度が高くなりすぎると温度センサ78がこれを検知して熱源72の電力を遮断する。
定着パッド74が、定着ベルト73を介して、加圧ローラ76との間でニップ部Nを形成する。加熱ローラ71の熱が定着ベルト73に伝達し、図2Aのニップ部Nに対して下側から上向きに導入された転写材Pのトナー像Tを、定着ベルト73の熱で溶融し、定着する。ニップ部Nの上流側には搬送ガイドが配置され、またニップ部Nの下流側には分離手段と搬送ガイドが配置されている。
加熱ローラ71の回転軸と、加圧ローラ76の回転軸は、定着装置1に配設された支持体に位置固定で支持されている。加熱ローラ71の回転軸は図2Bのように支持体である端部支持板621の円形穴6211に支持され、加圧ローラ76の回転軸は別の支持板の軸受に支持されている。加熱ローラ71と加圧ローラ76は、それぞれ、画像形成装置に設けられた駆動源としての別々のモータ(第1駆動源、第2駆動源)にギヤ列などを介して連結されている。
定着ベルト73は、基本的に、第1駆動源により回転する加圧ローラ76の作用で連れ回り回転するが、第2駆動源により回転する加熱ローラ71の回転によっても駆動される。すなわち、ニップ部Nで加圧ローラ76の駆動力が定着ベルト73に伝達されることによって定着ベルト73が連れ回り回転し、ニップ部Nと反対側で定着ベルト73が加熱ローラ71の回転によっても補助的に駆動される。
ここで加熱ローラ71は、加圧ローラ76よりも、周速にして1〜10%、定着ベルト73と同じ方向に増速して駆動可能とされている。下限の1%は、誤差分を含めた場合でも+1%以上の増速となることを意味する。このように増速駆動可能に構成した理由は以下の通りである。
従来、定着ベルト73を駆動する構成は、第1駆動源としてのモータに連結された加圧ローラ76の駆動力のみで定着ベルト73を連れ回り駆動する構成が一般的であった。この場合、加熱ローラ71は従動回転するのみである。しかし、定着ベルト73は印字時すなわちニップ部Nに用紙が介在する時が最もベルト搬送性が不安定になる。
従来のように加圧ローラ76の駆動力のみで定着ベルト73を連れ回り駆動すると、当該搬送不安定性を解消することが難しい。そこで、加熱ローラ71の周速を加圧ローラ76よりも若干速めることにより、定着ベルト73の搬送性を安定化するのである。
(加圧ローラの回転軸の位置について)
本実施形態では、前述したように加圧ローラ76の回転軸がベルト定着装置7の支持体の軸受に位置固定で支持されている。従来のこの種のベルト定着装置7では、一般的に、定着パッド74が支持体に固定され、加圧ローラ76の回転軸が定着パッド74に対して接離可能に支持体に配設されている。しかし、この支持構造では、加圧ローラ76の端部ギヤ駆動に伴って加圧力の偏在と定着ベルト73の端部破損が発生することが分かった。
そこで本実施形態ではこのような加圧力の偏在と定着ベルト73の端部破損を回避するために、加圧ローラ76の回転軸を支持体の軸受に位置固定で支持している。その代わり、定着パッド74は加圧ローラ76に対して可動、すなわち加圧ローラ76に対して接離可能に配設している。以下、定着パッド74の可動構造を図2Bの端部支持板621を参照して説明する。
(端部支持板について)
図2Bは、ベルト定着装置7の加熱ローラ71と補強ステー75の両端を支持する支持部材としての端部支持板621の構成を示す図である。端部支持板621は摺動性と耐熱性がある樹脂等により矩形板状に形成されている。
本実施形態では端部支持板621の材料を、定着ベルト73への攻撃性が小さいPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)としている。端部支持板621の材料は、この他にも、耐熱性を有し摺動性に優れる樹脂である液晶ポリマーやPPS(ポリフェニレンスルフィド)、PAI(ポリアミドイミド)等でも構わない。また、端部支持板621の材料を、耐熱性フッ素樹脂としてもよい。これにより、耐熱性と摺動性を両立でき、定着ベルト73の長寿命化が可能になる。
端部支持板621は円形穴6211と矩形穴6212を横並びで有する。円形穴6211は加熱ローラ71の回転軸の端部を回転可能に支持する軸穴である。矩形穴6212は補強ステー75の端部を支持するステー支持穴である。
端部支持板621の上下両端縁には、凹溝6214と凹溝6215が形成されている。これら凹溝6214、6215は、ベルト定着装置7の板状フレームに端部支持板621を取り付けるためのものである。すなわち、板状フレームに形成された横向きの切欠き部の上下の縁に、端部支持板621の凹溝6214、6215が水平方向から係合可能とされている。
端部支持板621は同一形状のものが左右一対で互いに平行に配設されている。したがって、円形穴6211とステー支持穴6212を左右対称配置とすることができ、加熱ローラ71と定着パッド74の正確な平行出しが可能である。当該加熱ローラ71と定着パッド74の正確な平行出しにより、蛇行の原因となるベルト張力の左右偏差が防止され、定着ベルト73の難蛇行性により当該定着ベルトの長寿命化が可能になる。
ステー支持穴6212は、補強ステー75を図2Bで左右方向に摺動可能に支持する。ステー支持穴6212の横幅は、補強ステー75よりもやや幅広に形成し、補強ステー75を図2Bで右方向に付勢するばね等の付勢手段を配設する。
このように補強ステー75を左右方向に摺動可能にすることで、定着ベルト73に所定の張力を付与することができる。そして定着ベルト73に所定の張力が付与されることで、定着ベルト73の曲がり部73c、73d(ニップ部Nの入口側と出口側に隣接した部分)の所定の曲率半径が維持され、定着パッド74の肩部74a、74bとの非接触状態が維持される。また、加圧ローラ76の径方向の寸法バラツキがあってもニップ部Nの圧力を一定に維持することができる。つまり、定着パッド74の肩部74a、74bに、ニップ部N以外では定着ベルト73の内周面と接触しない非接触部を形成するのである。
一対の端部支持板621の互いに対向する対向面は、蛇行規制部としての平面状の蛇行規制面6213とされている。この蛇行規制面6213は端部支持板621の片面全面に形成され、定着ベルト73の左右両側縁の周方向全体が蛇行規制面6213に当接可能とされている。
本実施形態では加熱ローラ71と補強ステー75の支持部材である端部支持板621に蛇行規制面6213を形成しているので、ベルト定着装置7の小型低コスト化を図ることができる。なお、蛇行規制面6213は必ずしも端部支持板621の片面全面に形成する必要はない。定着パッド74とは反対側の少なくとも円形穴6211の回りなどの必要領域にのみ形成してもよい。これにより蛇行規制面6213と定着ベルト73との間の摩擦を低減することができる。
本実施形態では、定着ベルト73の両端部全周の側方に端部支持板621が位置するため、定着ベルト73の両端部全周が端部支持板621によって幅方向に規制される。すなわち、定着ベルト73が図2Bで矢印C方向に蛇行した場合、最大で定着ベルト73の一端全周縁が端部支持板621の蛇行規制面6213に当接して位置規制される。要するに、蛇行規制面6213は定着ベルト73の片寄りを規制する片寄り規制部材として機能する。
(加熱ローラについて)
加熱ローラ71は中空円筒状に構成されている。当該加熱ローラ71は、アルミ、鉄、ステンレスなどの金属製パイプ材を加工して製作する。実施形態では所定径の鉄のパイプ材を所定長に切断して加熱ローラ71とする。
加熱ローラ71の内部の熱源72は、ハロゲンヒータの他に、加熱ローラ71との空隙が小さく、加熱ローラ71端部もほとんどスキマがない構造であれば、抵抗発熱体やカーボンヒータを使用可能である。また熱源72として電磁誘導加熱等も可能である。実施形態では550wのハロゲンヒータを用いた。
本実施形態の加熱ローラ71は、加熱手段の見かけ直径より内径が1mm大きい円筒形としている。加熱ローラ71の内面は、ハロゲンヒータなどからの輻射熱を吸収しやすくするために黒色塗装が施されている。
定着ベルト73の内面には、定着パッド74の摺動シート77との摩擦軽減のために、シリコーンオイルやフッ素グリースなどを潤滑剤が塗布されている。このため、加熱ローラ71と定着ベルト73との間に潤滑剤が介在している場合がある。
定着パッド74が加圧ローラ76を押す力は、摺動シート77から定着ベルト73へと伝わり、加圧ローラ76で受け止められる。また加熱ローラ71は第2駆動源に直結し、加熱ローラ71の回転方向は定着ベルト73と同じ方向になるように、そして速度(周速)は前述したように加圧ローラ76よりも1〜10%程度速めになるように、それぞれ設定されている。
加熱ローラ71は積極的に回転することで定着ベルト73の搬送を補助する目的もある。したがって、加熱ローラ71の駆動力を定着ベルト73にロスなく伝達するために、加熱ローラ71の表面を少し粗して(例えば表面粗さRa10以下)、潤滑剤を保持しやすくしてもよい。加熱ローラ71の表面を粗らす方法としては、サンドブラストのように物理的に粗らす方法や、エッチングのように化学的に粗らす方法、あるいは、小径ビーズを混ぜた塗料を塗布する方法などあるが、何れの方法も採用することができる。
加熱ローラ71と定着ベルト73内面は、速度差による摩擦が発生しないようにする。これにより定着ベルト73内面と速度差をもって接触する部分は定着パッド74のニップ部Nのみとなる。これにより定着ベルト73の駆動トルクを低減させることが可能となる。
(定着パッドについて)
定着部材としての定着パッド74は、熱的に安定なシリコーンゴム、フッ素ゴムなどの弾性体、又は耐熱性の樹脂、燐青銅などの金属から構成することができる。特に燐青銅は熱伝導性が高いので、定着ベルト73の均熱化に有効である。すなわち、熱源72の幅方向発光領域(加熱領域)と通紙された転写材Pの幅サイズ又は位置とが異なっていた場合、熱伝導性が高い定着パッド74によって軸方向の熱移動が促進されて定着ベルト73の軸方向温度差を低減することが出来る。
定着パッド74は、矩形断面で棒状の補強ステー75に支持されている。当該補強ステー75が、スプリングなどにより加圧ローラ76に対して接近する方向に付勢されることで、定着パッド74が加圧ローラ76に対して押圧されている。
前記補強ステー75の両端部には、レバー等の操作部材を連結することができ、当該操作部材により、補強ステー75を前後動(図2Aで左右動)させることができる。当該前後動により、加圧ローラ76に対する定着パッド74の押圧と押圧解除を切り替えることができる。定着パッド74の押圧解除を、少なくともジャム処理時に可能とすることで、ジャムが発生した際、転写材Pを容易に取り除くことが可能になる。
定着パットの加圧側(図2Aで右側)は、摺動シート77(図2Aでは図示省略)を介して定着ベルト73の内面と接触している。摺動シート77と定着ベルト73との間には、定着ベルト73の回転を安定化するために必要に応じて耐熱性のグリースを潤滑剤として用いることができる。定着パットの加圧側を摺動シートなしで直接定着ベルト73の内面と接触させることも可能である。この場合、定着パットの加圧側に必要に応じて摺動性の高い層をコーティングすることができる。
ここで摺動シートや定着ベルト73を介して、加圧ローラ76からの荷重を利用してニップ部Nを構成し、このニップ部N内における圧力と熱によりトナーを熱溶融させて定着することができる。
転写材Pの通過方向における定着パッド74の中央部分は、定着ベルト73を介して加圧ローラ76と圧着することでニップ部Nを形成する。転写材Pの通過方向におけるニップ部Nの入口側(上流側)と出口側(下流側)の定着パッド74の肩部74a、74bの形状は、定着ベルト73の内面と非接触の形状とされている。すなわち、「非接触」となるように、肩部74a、74bは、ニップ部Nの前後における定着ベルト73の曲がり部73c、73dの曲率半径よりも、小さい曲率半径の円弧状とされている(非接触部の形成)。当該非接触部により、定着ベルト73の曲がり部73c、73dはニップ部Nの入口側と出口側に対して、定着パッド74の肩部74a、74bと接触することなく、接線方向で出入りする。
静止時に定着パッド74が受ける圧力は、図2A(b)に示すようにニップ部Nの中心が最も高く(Pmax)、両端(入口端と出口端)に近づくに従い弱まり、ニップ部Nの両端部でゼロになる(Pmin)。図2A(b)の圧力曲線は、分解能が0.75mmの圧力センサー(ニッタ株式会社製PINCH)で測定したものを簡易的に示したものである。後述する図4(b)、図5(b)の圧力曲線も同様である。なお、前述した定着パッド74の肩部74a、74bの円弧形状は、後述するように定着パッド74に作用する圧力がニップ部Nの入口端と出口端で最も低くなる(Pmin)ことと、直接的には関係しない。
定着パッド74の肩部74a、74bを確実に非接触にしてPmin〜Pendで最低圧を実現するのは、あくまで定着ベルト73に掛ける張力荷重に依る。この張力荷重については図3で後述する。
本実施形態では、前述のように定着パッド74に作用する最低圧ゼロがPmin→Pendまで拡大される。Pendが定着パッド74の端部である。図2A(b)の曲線と、図4(b)及び図5(b)の曲線とを比較すると、図2A(b)の曲線の方が裾野の広がりが拡大している。
しかし、当該拡大部分(Pmin→Pend)では定着ベルト73が定着パッド74の肩部74a、74bと非接触のため、当該肩部から曲げられるための圧力を受けない。拡大部分(Pmin→Pend)では肩部74a、74bから浮いた定着ベルト73の曲がり部73c、73dが加圧ローラ76からの荷重のみを受ける。定着パッド74が受ける圧力の総和は、図4及び図5の従来構成と比べて不変である。
なお、定着ベルト73の移動方向(転写材Pの通過方向)における定着パッド74の幅は、軸方向中央部で最も細く、両端部に行くに従って太くなるように形成することができる。これにより、経時の駆動トルク増加がほとんどない安定した定着装置とすることができる。本実施形態の定着パッド74の幅は、軸方向中央部が5.2mm、両端部で5.7mmである。
一方、定着パッド74の軸方向形状は、加圧ローラ76との対向面がフラットである。したがって、ニップ部Nに突入してきた転写材Pはストレートパスにて排出される。但し、加圧ローラ76はその軸方向の中央部で撓みが発生するので、その補正手段として、加圧ローラ76の弾性材76aの軸方向の中央部を、両端部に比べて定着パッド74側にやや膨らむ形に形成することができる。例えば加圧ローラ76の標準外径をφ25とすると、当該膨らみの程度はφ25.1〜φ25.2である。
(定着ベルトについて)
定着ベルト73は、薄肉であって可撓性と所定の曲げ剛性とを併有する無端状ベルトであって、図2Aで矢印方向(反時計方向)に回転(走行)する。定着ベルト73は、内周面(固定部材26との摺接面である。)側から、基材層、弾性層、離型層が順次積層されていて、その全体の厚さが1mm以下に設定されている。
定着ベルト73の基材層は、層厚が30〜50μmであって、ニッケル、ステンレス等の金属材料や、ポリイミド、ポリアミド、フッ素樹脂等の樹脂材料で形成されている。実施形態ではポリイミドを用いた。定着ベルト73のポリイミド基材の裏面粗さ(加熱ローラ71と接触する面の粗さ)はRa5以下とする。定着ベルト73の内面にはシリコ−ンオイル又はグリースを塗布する。
定着ベルト73の弾性層は、層厚が100〜300μmであって、熱的に安定なシリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、フッ素ゴム等のゴム材料で形成されている。当該弾性層を設けることで、ニップ部における定着ベルト73表面の微小な凹凸が形成されなくなり、転写材P上のトナー像Tに均一に熱が伝わりユズ肌画像の発生が抑止される。
シリコーンゴム層などの弾性層がない場合は熱容量が小さくなって昇温性は向上するが、未定着トナー画像を均一に押し潰すことが出来ず、定着の際に紙の表面の微妙な凹凸に応じた画像が残るという不具合が生じる。これを改善するには、シリコーンゴム層などの弾性層を望ましくは100μm以上設ける必要がある。このような弾性層の変形により微妙な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善される。
当該弾性層は、転写材P上のトナーが定着ベルト73に付着しないように離型性(剥離性)を担保するため離型層で被覆されている。離型層は層厚が5〜50μmであって、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)等の材料で形成されている。
実施形態では100μm厚みの弾性材76aと最表層に20μm厚みのPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)チューブを被覆した。また、定着ベルト73の直径は15〜120mmになるように設定されている。なお、本実施の形態1では、定着ベルト73の内径が30mmに設定されている。
シリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、昇温性が向上するが、未定着トナー画像を均一に押し潰すことが出来ず、定着の際に紙の表面の微妙な凹凸に応じた画像が残るという不具合が生じる。これを改善するには、シリコーンゴム層を100μm以上設ける必要がある。シリコーンゴム層の変形により、微妙な凹凸が吸収されユズ肌画像が改善する。
定着ベルト73に掛ける張力荷重は、転写材PがA4サイズの場合100〜250Nである。当該張力荷重は、定着ベルト73のスパンの内側に張力付与部材しての張力ローラ、板バネ、クリーニングローラ等の部材を設置することにより付与する。
定着ベルト73の張力荷重は、小さ過ぎると定着ベルト73と加熱ローラ71との密着力が不十分になって加熱ローラ71の駆動力や熱が定着ベルト73に十分に伝わらずに定着ベルト73のスリップや加熱不足が発生する。これとは反対に張力荷重が大き過ぎても、定着パッド74の肩部74a、74bで定着ベルト73が折れ曲がることで定着ベルト73のスリップが発生する。
なお、定着パッド74の肩部74a、74bは、定着ベルト73の折れ曲がり防止のためにR1以下の曲率を避けるのがよい。定着ベルト73の張力ないし密着力は実際には測定できないので、0.5N/mから10N/mのような加重管理を行うことで前記のような不具合が発生することなく良好な張力設定ができる。また、肩部74a、74bを定着パッド74とは別部材とし、ニップ部Nの前後のベルト内側領域に例えばニップ形成部材を構成する「ガイド板」を定着ベルト73と非接触で配置することも可能である。
(加圧ローラについて)
加圧ローラ76は、中空又は中実の金属ローラで構成されている。図2Aは中実の金属ローラによる加圧ローラ76を示している。当該加圧ローラ76は、アルミ、鉄、ステンレスなどの金属製パイプ材又は中実棒材を加工して製作する。実施形態では所定径の鉄のパイプ材を所定長に切断して加圧ローラ76とする。
加圧ローラ76の周面に、幅広で浅い溝76bが周方向に形成されている。当該溝76b内に、ニップ部Nの幅や圧力等が確保するため、熱的に安定な弾性材76aが設けられている。当該弾性材76aの外表面に、転写材Pの離型性を得るために、離型層(PFA樹脂層またはPTFE樹脂層)を設けることができる。実施形態では、加圧ローラ76の弾性材76aの厚みを6mmとした。
前記弾性材76aは、熱的に安定な例えばシリコーンゴム、ソリッドゴム又は発泡状のスポンジゴムで構成することができる。スポンジゴムを用いると断熱性が高まり、定着ベルト73の熱が加圧ローラ76の芯金に伝導し難くなる。定着ベルト73の熱が芯金に伝導し難くなると、定着ベルトの温度制御の正確性が高まるため望ましい。
加圧ローラ76は、溝76bの外側の両端部に、弾性材76aがない芯金の陸部分を有する。当該陸部分の径Daと弾性材76aの径Dbを比べると、同径(Da=Db)であるか、弾性材76aの径Dbの方が大きい(Da<Db)。
加圧ローラ76の弾性材76aに向けて、前述したようにスプリングなどの付勢手段で付勢された定着パッド74が圧着されているので、加圧ローラ76の弾性材76aに定着パッド74が食い込む形で弾性材76aが押し潰されて変形する。これにより、ニップ部Nにおいて転写材Pの通過方向で所定のニップ幅が形成される。
当該ニップ幅は例えば5mmとすることができる。また、加圧ローラ76の内部にハロゲンヒータなどの熱源を加熱ローラ71の熱源72とは別に設けてもよい。実施形態ではハロゲンヒータは加熱ローラ71の内部のみである。加圧ローラ76は、画像形成装置1に設けられたモータなどの第1駆動源からギア列などを介して駆動力が伝達されて回転駆動される。
(定着ベルトの駆動トルク)
定着ベルト73は前述のように、定着パッド74の肩部74a、74bと非接触を維持するように、その曲げ剛性と張力が設定されている。このため、加熱ローラ71による定着ベルト73の摩耗と駆動トルクを、図4、図5のような従来のベルト定着装置に比べて低減することが可能である。
以下の表1は、定着ベルト73の駆動トルクの変化を、本発明の実施形態1、2と、従来構成1(図4)、従来構成2(図5)とを対比する形で示したものである。駆動トルクは、動トルク測定器(KYOWA製 モデルTP-10KCE)で測定した。この動トルク測定器を、定着装置とモータ(第2駆動源)のギアとの間に配設する。そしてモータで定着装置を駆動させたときの動トルク測定器からの信号を、シグナルコンディショナー(KYOWA製CDV-456B)で電圧値に変換し、最終的に駆動トルク(N・m)として算出した。
Figure 2017223800
(実施形態1と2)
実施形態1は、図3の定着ベルト73に掛ける張力荷重(線圧)とR形状の関係に基いて当該荷重を適正に調整することで、図2Aのように定着パッド74の肩部74a、74bを定着ベルト73と非接触にしたものである。加熱ローラ71の外径は、ニップ部Nの幅と対応させて、5mmにしてある。実施形態2は、定着パッド74に作用する総圧を220Nにしたもので、それ以外は実施形態1と同じである。定着パッド74が受ける圧力の総和(総圧)は、実施形態2を除いて従来構成も140Nで同じである。
(従来構成1)
図4の従来構成1は、ニップ部Nの幅<定着パッド74の幅<加圧ローラ76の径の関係にしたものである。静止時に定着パッド74が受ける圧力は、ニップ部Nの中心が最も高く(Pmax)、両端(入口端と出口端)に近づくに従い弱まり、ニップ部Nの両端部で一旦ゼロになる(Pmin)。その後定着パッド74が受ける圧力は定着パッド74の両端部に行くにつれてやや増大してPendで終わる。定着パッド74が受ける圧力の総和(140N)は、実施形態1と同じである。
定着パッド74の両端部は、定着ベルト73が曲げられて当たるために若干圧力を受ける。図4の右側円内拡大図から分かるように、矢印で示すベルト通過方向での定着パッド74の幅に比べてニップ部Nの幅が狭い場合は、定着ベルト73の屈曲部73dの内面が定着パッド74のエッジ74dと接触する。
この接触を回避するため図4の左側円内拡大図のように面取り74cを設けても、面取り74cの端に形成されるエッジ74d又は74eの少なくとも一方に定着ベルト73の屈曲部73dの内面が接触する。したがって、定着パッド74の両端部に定着ベルト73からの圧力Pendが作用する。
(従来構成2)
図5の従来構成2は、ニップ部Nの幅=定着パッド74の幅<加圧ローラ76の径の関係にしたものである。静止時に定着パッド74が受ける圧力は、従来構成1と同様にニップ部Nの中心が最も高く(Pmax)、両端(入口端と出口端)に近づくに従い弱まり、ニップ部Nの両端部で一旦ゼロになる(Pmin)。定着パッド74が受ける圧力の総和(140N)は、従来構成1と同様に実施形態1と同じである。
回転時は、ニップ部Nの範囲内で変形していた加圧ローラ76の弾性材76aの圧力がニップ部Nの出口側で解放される。この解放の際、当該弾性材76aが静止時のニップ部Nの出口側端部よりも外側に一時的に膨張する。これにより図5(b)のようにニップ部Nの出口側の幅が若干広がり、その影響で定着パッド74が圧力を受ける領域もPendまで若干拡大する。ニップ部Nの入口側端部は圧力の解放ではないが同様の現象が起こる。加圧ローラ76の弾性材76aがニップ部Nの入口側端部で圧縮され始める直前に定着ベルト73に接触し、その接触圧で定着パッド74が圧力を受ける領域が出口側と同様にPendまで若干拡大するのである。
従来構成1、2において50時間以降で駆動トルクが高くなったのは、定着ベルト73内面が削れ、この削れた粉がグリースと混ざったために潤滑剤がなくなったためである。これに対して実施形態1、2では50時間以降で駆動トルクの増加は生じなかった。表1の結果から、駆動トルクを安定して低くするには、ニップ部Nの入口側と出口側において定着パッド74の肩部74a、74bを定着ベルト73と非接触にするのが望ましいことが分かった。
(定着ベルトが定着パッドの肩部と接触しないための条件)
図3は、定着ベルト73が定着パッド74の肩部74a、74bと接触しないための条件を示したものである。定着ベルト73の基材として厚みが70μmのポリイミドを用いて曲がり部73c、73dのR形状を測定した。図中の一点鎖線が、基材上にシリコーンゴムを0μ(ゴムなし)とした定着ベルト73の場合であり、実線が基材上にシリコーンゴムを180μm(ゴム硬度1度)とした定着ベルト73の場合である。
図3から分かるように、例えばシリコーンゴムなしで定着ベルト73に付与された張力(線圧)が1.4kgf/mの時、定着ベルト73の曲がり部73c、73dの曲率半径は3mmになる。このため、当該部分で定着パッド74の肩部74a、74bを非接触にするためには、肩部74a、74bの形状を曲率半径2mm(R2)程度にすることで定着ベルト73との隙間を0.5mm前後にすることができる。他の張力(線圧)でも曲がり部73c、73dの曲率半径(図3縦軸)よりも、定着パッド74の肩部74a、74bの曲率半径を1mm程度小さくすることで当該肩部74a、74bを定着ベルト73から確実に離間させることができる。
また定着ベルト73の基材上にシリコーンゴムがある場合はベルトの曲げ剛性が大きくなるので、定着ベルト73の曲がり部73c、73dの曲率半径が大きくなる。この場合の定着パッド74の肩部74a、74bの曲率半径は、それに合わせて、ベルトと非接触の範囲で必ずしも大きくする必要はない。
但し、何らかの理由でベルトの張力が変化してベルトが一時的に定着パッド74の肩部74a、74bに接触する可能性もある。このような場合のニップ部Nに対するベルトの摺動性を安定化するためには、肩部74a、74bと定着ベルト73の曲がり部73c、73dとの間に必要以上に大きな隙間が存在しない方が望ましい。
加圧ローラ76の弾性材76aの径方向熱膨張量は、温度やゴム特性にもよるが、150℃から200℃になると弾性材76a厚みの約10%程度の熱膨張量が発生する。実施形態では弾性材76a厚みを6mmとしたため、約0.6mmだけ径方向外側(定着パッド74側)に熱膨張する。弾性材76aが0.6mmだけ定着パッド74側に熱膨張すると、通常、定着パッド74は0.6mm弱押し込み量が減少することになる。
定着ベルト73は必要な大きさの張力で掛け回されているので、ゴム特性や付与荷重によっても異なるが、定着パッド74が0.4mm前後押し戻されただけでも、その分だけ張力付与部材である板バネの作動範囲の増大となり、ベルト張力が低下するおそれがある。そうすると定着パッド74端部の蛇行規制用ツバ部と定着ベルト73端部の接触幅が短くなり、その結果、定着ベルト73の軸方向寄りに対して定着ベルト73端部が破損しやすくなる。なお、本実施形態では前記蛇行規制用ツバ部を端部支持板621の蛇行規制面6213で構成する。
弾性材76aの変形については、変形後の弾性材76aの厚みが変形前の80%以上(変形率20%未満)とする。これは80%未満(変形率20%以上)で長時間押し込みが続くと、永久ひずみにより弾性が幾分なくなり、定着パッド74と加圧ローラ76との間に設定した所定の密着圧を確保できなくなるためである。所定の密着圧を確保できなくなると、軸方向の定着ニップ幅の不均一化、定着ベルト73の軸方向移動による端部破損及びジャム等の不具合が発生する。
以上、本発明を実施形態及び変形実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前記実施形態及び変形実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば実施形態では、加圧部材を加圧ローラ76で構成し、定着部材を定着パッド74で構成したが、加圧部材や定着部材はこれに限られない。例えば特開2007−140309号公報に記載のように、ローラ対による上流側第1ニップと、パッド対による下流側第2ニップを有するベルト定着装置にも本発明を適用可能である。
また、実施形態ではニップ部Nの入口側と出口側の両方で定着パッド74の肩部74a、74bを定着ベルト73と非接触にしたが、定着パッド74の肩部74a、74bは必ずしも入口側と出口側の両方で定着ベルト73と非接触にする必要はない。画像形成装置の機種によって、ニップ部Nの入口側(肩部74a)と出口側(肩部74b)の一方のみで定着パッド74の肩部74aを定着ベルト73と非接触にし、他方では従来通り肩部を定着ベルト73に接触させてもよい。
1:画像形成装置 2Y、2M、2C、2Bk:プロセスユニット
3:上部カバー 4:露光装置
5:給紙装置 6:転写装置
7:定着装置 8:排紙ローラ
9:中間転写ベルト 10:一次転写ローラ
11:二次転写ローラ 12:正面カバー
71:加熱ローラ 72:熱源
73:定着ベルト 73c、73d:曲がり部
74:定着パッド 74a、74b:肩部
75:補強ステー 76:加圧ローラ
76a:弾性材 76b:溝
77:摺動シート 78:温度センサ
79:軸受け部 621:端部支持板
6211:円形穴 6212:矩形穴(ステー支持穴)
6213:蛇行規制面 6214、6215:凹溝
N:定着ニップ P:転写材
T:トナー像
特開2004−286932号公報 特開2004−325750号公報

Claims (7)

  1. 加圧部材と定着部材とを圧接させた状態でこれら両部材間に加熱した定着ベルトを摺動させ、当該定着ベルトと前記加圧部材との間に形成されるニップ部に、顕像化された現像剤を担持した記録媒体を通過させることで、当該記録媒体上の前記現像剤を前記定着ベルトの熱と前記ニップ部の圧力とで前記記録媒体上に熱融着させるようにした定着装置において、
    前記定着部材から前記加圧部材と反対側に離間した位置に、前記記録媒体の通過方向における前記ニップ部の幅と対応した径を有する加熱ローラを配設し、当該加熱ローラと前記定着部材との間に前記定着ベルトを所定の張力で架け回すと共に、前記ニップ部の入口側と出口側の少なくとも一方に位置する前記定着部材の肩部に、前記ニップ部以外では前記定着ベルトの内周面と接触しない非接触部を形成したことを特徴とするベルト定着装置。
  2. 前記記録媒体の通過方向における前記定着部材の幅が、軸方向中央部で最も細く、両端部に行くに従って太くなることを特徴とする請求項1の定着装置
  3. 前記ニップ部の入口側と出口側に隣接した部分の前記定着ベルトの曲率半径に比べて、前記定着部材の前記肩部の曲率半径を小さくしたことを特徴とする請求項1又は2のベルト定着装置。
  4. 前記定着ベルトが、ポリイミド等の樹脂又はニッケル等の金属により形成され、かつ、当該定着ベルトが前記定着部材の肩部から離間するのに必要な所定の曲げ剛性を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項のベルト定着装置。
  5. 前記加圧部材が第1駆動源によって駆動される加圧ローラを有し、前記加熱ローラが第2駆動源によって前記加圧部材よりも高速で駆動されることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項のベルト定着装置。
  6. 前記定着部材の両端部に、前記定着ベルトの端部全周が当接することで当該定着ベルトの片寄りを規制する片寄り規制部材を配設したことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項のベルト定着装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項のベルト定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。
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