JP2011186116A - クリアトナー、画像形成方法 - Google Patents

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貴生 山之内
Yasuko Uchino
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Ryuichi Hiramoto
隆一 平本
Kazue Nakamura
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Abstract

【課題】プリント物の搬送に支障をきたさずに部材からの剥離が行えるとともに、形成されたクリアトナー面に白濁等の画像欠陥が発生することのないクリアトナーを提供する。
【解決手段】少なくとも、複数の極性基を有するビニル系モノマーを用いて形成される樹脂と、ワックスを含有するとともに、0.10μm以上0.85μm以下のワックスのドメイン相を分散させた相分離構造を有するクリアトナー。
【選択図】図1

Description

本発明は、たとえば、ウォーターマークと呼ばれる透かし模様を画像支持体上に形成する際、あるいは、電子写真方式やインクジェット方式、印刷方式等により画像形成された画像支持体上全面に無色のトナー層を形成するのに使用されるクリアトナーに関する。
写真画像やポスター等に代表されるプリント画像は、従来からの銀塩写真方式やグラビア印刷等の印刷方式に加え、最近ではインクジェット装置や電子写真方式の画像形成装置でも作製される様になってきた。これには、電子写真装置における露光系のデジタル化やトナーの小径化、インクジェット装置におけるインクジェットヘッド技術、さらには、トナーやインクの技術の進展に負うところが大きいといえる。その結果、たとえば、1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの高解像度の画像や色調の豊かなフルカラー画像を電子写真方式やインクジェット方式の画像形成技術で作成できる様になった。
ところで、プリント物の付加価値を高める等の観点から、あてた光により画像や模様が現れるウォーターマークあるいは透かし画像と呼ばれるものを、プリント上に形成する技術が従来より存在する。透かし画像は、たとえば、金属製の押し型を画像支持体に押し当てたり、画像支持体を作製するいわゆる抄紙工程で使用されるダンディロールの表面に模様を施す等の方法により、画像支持体表面を浮き彫りにして形成することができる。
透かし画像の形成方法には、上記の様な画像支持体に機械的な処理を施して行う方法の他に、近年ではクリアトナーあるいは透明トナーと呼ばれる着色剤成分を含有しない構成のトナーを用いる技術も検討されている(たとえば、特許文献1参照)。この様にクリアトナーの使用により、押し型や特殊仕様のダンディロールを用いずに作製された画像支持体上に透かし画像を形成できる様になりプリント物の付加価値向上に寄与している。
一方、ポスター等の写真画像を作成したとき等、プリント物に光沢の豊かな仕上がりが求められる場合があるが、インクやトナーを用いて形成された画像の領域と白地の領域との間で光沢にバラツキが生ずることがあった。この様に、画像支持体上に光沢のバラツキが存在すると、プリント物の仕上がり品質を損ねることになった。画像支持体上の光沢ムラをなくすために、クリアトナーを用いる技術が検討されていた。具体的には、画像支持体全面にクリアトナーを供給し、これを加熱、冷却して画像支持体全面にクリアトナー層を形成することにより、均一な光沢度を有するプリント物を作成するものである(たとえば、特許文献2参照)。また、専用の装置を用いて画像支持体上にクリアトナー層を形成することにより、ムラのない均一な光沢度を有するプリント物を安定して作成する様にした技術も検討される様になった(たとえば、特許文献3、4参照)。
さらには、電子写真方式の画像形成装置を用いて多色画像の最表面にクリアトナー層を形成する際、光沢性とともに色相阻害のない高画質の多色画像が得られる様にする技術の検討も行われていた(たとえば、特許文献5参照)。この技術では、ワックスを含有するクリアトナーとワックスを含有していない画像形成用トナーを組み合わせることにより、プリント作成時にオフセットの発生を防ぎながら光沢性と色調に優れたフルカラーのプリント物を作成できる様にした。
この様に、種々の画像形成方法により作成されたプリント物に対し、光沢度や色調等の画質向上、あるいは、透かし画像形成等の高付加価値化を実現する手段として、クリアトナーの技術が積極的に検討されている。
特開2008−151851号公報 特開平11−7174号公報 特開2002−341619号公報 特開2004−258537号公報 特開2006−11218号公報
ところで、透かし画像は画像支持体上の限られた領域に形成することが多く、この様な透かし画像の定着には、熱ローラ方式等の従来より電子写真方式の画像形成装置で使用されている定着装置を用いることが、画像形成プロセスの効率上好ましい。ところが、従来のクリアトナーを用いて透かし画像を形成し、これを熱ローラ方式の定着装置で定着すると画像支持体が加熱ローラに巻き付いて処理が行いにくいことが多かった。これは、従来よりクリアトナーを用いたプリント物の作成は、高光沢度のフルカラー画像を作成するケースが多かったため、光沢性を損ねると考えられるワックスをあえてクリアトナー中に含有させない技術が確立されていたためと考えられる。事実、前述の特許文献1に開示されたクリアトナーは透かし画像形成用のトナーでありながら、ワックスを含有させることについては記載も示唆もなされていなかった。
また、前述の特許文献5は、あえてクリアトナーにワックスを含有させ、他のカラートナーにはワックスを含有させない様にしたので、光沢性と色相阻害のない高画質の多色画像が得られる様にしたものと考えられる。そこで、特許文献5に記載の手順でワックスを含有したクリアトナーを作製し、これを用いて透かし画像を形成して熱ローラ方式の定着装置で処理したところ、加熱ローラへの巻き付きを起こさずに透かし画像入りのプリント物を作ることができた。
一方、特許文献5に開示された手順で作製したクリアトナーを画像支持体全面に供給し、後述する図2に示す装置を用いてクリアトナー層を形成すると、プリント物表面に形成されたクリアトナー層は白くにごった仕上がりになった。また、クリアトナー層形成装置のベルト部にプリント物を密着させて搬送していると、プリント物が搬送途中でベルト部材から剥離して良好な搬送性能が得られなくなった。
この様に、透かし画像を形成する場合にはワックスを含有したクリアトナーが求められ、画像支持体全面にムラのない均一な光沢面を有するプリント物を形成する場合にはワックスを含有しないクリアトナーが求められていた。本発明は、熱ローラ方式の定着装置を用いて透かし画像を定着するときには巻き付きを起こさず、画像支持体全面に光沢層を形成するときには画像上ににごりを発生せずに均一で高い光沢度のプリント物が得られるクリアトナーを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題が以下に記載のいずれかの構成により解消されるものであることを見出した。すなわち、請求項1に記載の発明は、
『少なくとも、樹脂とワックスを含有するとともに、
平均ドメイン径が0.10μm以上0.85μm以下のワックスのドメイン相を分散させた相分離構造を有し、
前記樹脂が、少なくとも、複数の極性基を有するビニル系モノマーを用いて形成されるものであることを特徴とするクリアトナー。』というものである。
請求項2に記載の発明は、
『前記極性基がカルボキシル基(−COOH)であることを特徴とする請求項1に記載のクリアトナー。』というものである。
請求項3に記載の発明は、
『前記複数の極性基を有するビニル系モノマーが、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のクリアトナー。』というものである。
請求項4に記載の発明は、
『前記複数の極性基を有するビニル系モノマーが、イタコン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクリアトナー。』というものである。
請求項5に記載の発明は、
『前記クリアトナーは、
電子写真感光体表面に形成された静電潜像を現像してクリアトナーの画像を形成し、
前記クリアトナーの画像が画像支持体上の所定領域に転写された後、
ローラ定着装置により定着されて、
前記画像支持体の所定領域にクリアトナーの画像を形成する画像形成方法に使用されるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリアトナー。』というものである。
請求項6に記載の発明は、
『前記クリアトナーは、
画像支持体全面に供給された後、加熱、溶融され、
前記画像支持体上で溶融しているときにベルトに密着させられ、
前記ベルトに密着させられた状態で冷却されて、
前記画像支持体全面にクリアトナー層を形成する画像形成方法に使用されるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリアトナー。』というものである。
請求項7に記載の発明は、
『少なくとも、
電子写真感光体表面に潜像を形成する潜像形成工程と、
前記電子写真感光体表面に形成された静電潜像にクリアトナーを供給してクリアトナー画像を形成する現像工程と、
前記現像工程で形成されたクリアトナー画像を転写体表面に転写する転写工程と、
前記転写工程を経て画像支持体上に転写されたクリアトナー画像をローラ定着装置を用いて定着する定着工程と、を有する画像形成方法であって、
前記画像形成方法に使用されるクリアトナーは、
少なくとも、樹脂とワックスを含有するとともに、
平均ドメイン径が0.10μm以上0.85μm以下のワックスのドメイン相を分散させた相分離構造を有し、
前記樹脂が、少なくとも、複数の極性基を有するビニル系モノマーを用いて形成されるものであることを特徴とする画像形成方法。』というものである。
請求項8に記載の発明は、
『少なくとも、
画像支持体全面に供給されたクリアトナーを加熱、溶融する工程と、
前記画像支持体のクリアトナーが供給された側の面をベルトに密着させ、ベルトに密着させた状態で前記クリアトナーを冷却する工程と、
前記画像支持体をベルトより剥離する工程を有する画像形成方法であって、
前記画像形成方法に使用されるクリアトナーは、
少なくとも、樹脂とワックスを含有するとともに、
平均ドメイン径が0.10μm以上0.85μm以下のワックスのドメイン相を分散させた相分離構造を有し、
前記樹脂が、少なくとも、複数の極性基を有するビニル系モノマーを用いて形成されるものであることを特徴とする画像形成方法。』というものである。
請求項9に記載の発明は、
『前記極性基がカルボキシル基(−COOH)であることを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成方法。』というものである。
請求項10に記載の発明は、
『前記複数の極性基を有するビニル系モノマーが、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸のいずれかであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法。』というものである。
請求項11に記載の発明は、
『前記複数の極性基を有するビニル系モノマーが、イタコン酸であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の画像形成方法。』というものである。
本発明に係るクリアトナーによれば、画像支持体上の所定領域に当該クリアトナーを用いて透かし画像を形成し、これを熱ロール方式の定着装置で定着処理したとき、画像支持体が加熱ロールに巻き付きを起こさずに安定した定着処理が行える様になった。また、たとえば、図1に示す様な画像支持体全面にクリアトナー層を形成する装置を用いてクリアトナー層を形成したときに、にごりのない均一で高い光沢度を有する良好な仕上がりのプリント物を安定して作製することができる様になった。
この様に本発明では、熱ローラ方式の定着装置を用いて透かし画像を定着するときには巻き付きを起こさず、画像支持体全面に光沢層を形成するときには画像上ににごりを発生せずに均一で高い光沢度のプリント物が得られるクリアトナーの提供を可能にした。さらに、本発明では、画像支持体上全面にクリアトナーを供給してクリアトナー層を形成したとき、クリアトナー層形成装置よりプリント物より脱離させずに安定した搬送が行え、排出時に搬送部材からスムーズに剥離する安定した搬送性能を可能にした。
クリアトナーを用いて画像支持体上に透かし画像を形成することが可能な画像形成装置の断面構成図である。 加熱ローラと加圧ローラを有する定着装置の一例を示す概略図である。 加熱ローラとベルトを有する定着装置の一例を示す概略図である。 画像支持体全面に供給されたクリアトナーを加熱、溶融し、画像支持体全面にクリアトナー層を形成するクリアトナー層形成装置の模式図である。 本発明に係るクリアトナーの断面構造を示す模式図である。 ローラ定着装置での搬送性評価を行ったときに画像支持体上に出力した透かし画像を示す模式図である。
本発明は、画像支持体上の所定領域への透かし画像形成や画像支持体全面へのクリアトナー層形成を行う画像形成方法に使用されるクリアトナーに関する。本発明に係るクリアトナーは、2つ以上の極性基を有するビニル系モノマーを用いて形成された樹脂とワックスを少なくとも含有してなり、かつ、平均ドメイン相が0.10μm以上0.85μm以下のドメイン相を有する構造のものである。この様な構成のクリアトナーを用いることにより、クリアトナー層を形成するときに装置との間で密着性と離型性という相反する性能をタイミングよく発現させて円滑なプリント作成を可能にした。また、クリアトナー層表面ににごり等の画像欠陥のない良好な仕上がりのプリント物を作成することが可能になった。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本発明でいう「クリアトナー」とは、光吸収や光散乱の作用により着色を示す着色剤(たとえば、着色顔料、着色染料、黒色カーボン粒子、黒色磁性粉等)を含有しないトナー粒子のことである。また、本発明でいうクリアトナーは、通常、無色透明であるが、クリアトナーを構成する樹脂やワックス、外添剤の種類や添加量により透明度が若干低下するものもあるが、実質的に無色透明なものである。
また、本発明でいう「クリアトナー層」とは、上記クリアトナーを用いて画像支持体上に形成されたクリアトナーの領域のことで、当該「クリアトナーの領域」は定着処理前のもの及び定着処理後のものの両方を意味するものである。特に、本発明では、画像支持体全面に形成されたクリアトナーの領域も含むもので、さらに、一般に「光沢面」と呼ばれる画像支持体全面に形成されたクリアトナー領域を溶融、硬化させて形成した面のことも含むものである。
また、本発明でいう「画像」とは、たとえば文字画像やイメージ画像の様に、ユーザに情報を提供する媒体としての形態を有するものをいう。すなわち、画像支持体上でトナーやインク等が存在する領域のみを指すのではなく、通常「白地」と呼ばれるトナーやインク等が存在していない領域も含めて構成されるもので、これらの領域が結合した状態でユーザへ情報を提供する形態になっているものである。また、本発明でいう「画像」は、クリアトナー層を有するものとクリアトナー層を有さないものの両方を含むものである。さらに、本発明は、クリアトナー層で被覆される画像の形成方法を特に限定するものではなく、電子写真方式、印刷方式、インクジェット方式、銀塩写真方式等、公知の画像形成方法により作製した画像上にクリアトナー層を形成するものである。
本発明に係るクリアトナーについて説明する。本発明に係るクリアトナーは、少なくとも樹脂とワックスを含有するもので、当該樹脂は少なくとも2つ以上の極性基を有するビニル系モノマーを用いて形成されるものである。また、平均ドメイン径が0.10μm以上0.85μm以下のワックスのドメイン相を分散させた構造を有するものである。
本発明に係るクリアトナーの断面構造を図5に示す。図5に示すクリアトナーTは、連続相であるマトリクス相M中にワックスのドメイン相Dを分散させたいわゆる相分離構造を有するものである。そして、クリアトナー粒子T中に分散しているドメイン相Dの大きさ、すなわち平均ドメイン径が0.10μm以上0.85μm以下のものである。ドメイン相Dの大きさを上記範囲内にすることにより、画像支持体上にクリアトナー層を形成したとき、クリアトナー層表面と装置との間での接着性維持と剥離性発現をタイミングよく行える様にしているものとみられる。これは、ワックス成分より構成されるドメイン相Dの大きさを規定することで、溶融時に均一なワックス被膜がクリアトナー層表面にムラなく形成され、均一なワックス被膜によりベルト部材との間で接着性と剥離性をタイミングよく発現するためと考えられる。
すなわち、ドメイン相の大きさを上記範囲にすると、加熱時にワックスはクリアトナー層表面に向かってほぼ同じ時間で移動できるので、クリアトナー層表面をワックスでムラなく均一に被覆することができるものと考えられる。クリアトナーを溶融後、プリント物をクリアトナー層形成装置のベルト部材に密着させるとき、均一な厚さのワックス被膜を介してプリント物とベルト部材を密着させるので、両者間にはすき間が形成されず、密着による均一な接着性が作用するものと考えられる。その結果、プリント物に重力以外の外力がほとんど加わらない搬送時にはプリント物とベルト部材との間で接着力が維持されて、プリント物は剥離することなく搬送されるものと考えられる。続いてベルト部材の搬送方向を変更させると、プリント物に外力が加わることになり、両者間に作用する接着力が解除され、プリント物はベルト部材より剥離するものと考えられる。この様に、ムラのない均一なワックス被膜の形成により、プリント物とベルト部材との間で接着性と剥離性をタイミングよく作用することができるものと考えられる。また、ムラのない均一なワックス被膜がプリント物最表面に形成されているので、プリント物表面では光の屈折や反射にバラツキがおこらず、にごり等の画像不良の発生をなくしているものと考えられる。
一方、ドメイン相があまり大きくなると、ドメイン相中央のワックス成分とドメイン相外周付近のワックス成分では所定時間内でのクリアトナー粒子表面への移動を終えることが困難になり、均一な厚さのワックス被膜の形成が困難になるものと考えられる。その結果、厚さにバラツキのあるワックス被膜を介してプリント物はベルト部材に密着することになり、両者間にすき間が形成されて接着性にバラツキが生じ、プリント物の安定した搬送と剥離が行えなくなるものと考えられる。また、厚さにバラツキのあるワックス被膜がプリント物最表面に形成されるので、プリント物表面では光の屈折や反射にバラツキが生じ易くなり、にごり等の画像不良が発生し易くなるものと考えられる。
本発明に係るトナーでは、ドメイン相の大きさは、後述する極性基を複数有するビニル系モノマーの添加量を変化させて制御することが可能である。具体的には、極性基を複数有するビニル系モノマーの添加量を多くするとドメイン相は小さくなり、極性基を複数有するビニル系モノマーの添加量を少なくするとドメイン相は大きくなる。
これは、樹脂を構成する分子鎖中に極性基の影響が作用する微小な領域を形成することになり、この領域では極性基による電気的な偏りが存在し、これに起因する双極子モーメントの作用により樹脂分子間に水素結合が形成されるものと考えられる。そして、水素結合が存在する領域は樹脂分子の凝集を促進させる一方で、ワックス成分の凝集を阻害する様に作用するものと考えられる。その結果、極性基を複数有するビニル系モノマーの添加量を多くするとトナー粒子中の水素結合密度が高くなるので、ワックス成分の凝集が阻害され、小さなドメイン相を形成するものと考えられる。一方、極性基を複数有するビニル系モノマーの添加量を少なくするとトナー粒子中の水素結合密度が低くなるので、ワックス成分は凝集し易くなり、大きなドメイン相を形成するものと考えられる。以上の様な理由により、トナー粒子中に形成されるドメイン相の大きさは、樹脂を構成する極性基を複数有するビニル系モノマーの添加量により制御されているものと考えられる。
本発明に係るクリアトナーのワックスのドメイン相の大きさ、すなわち、平均ドメイン径は、たとえば、透過型電子顕微鏡(TEM)等でクリアトナー粒子の断面構造を観察することにより、算出することが可能である。ここで、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてクリアトナー粒子中のドメイン相の大きさを算出する方法について説明する。透過型電子顕微鏡によるクリアトナー粒子中のドメイン相の大きさの算出方法は、たとえば、以下の手順で試料を作製し、当該試料を透過型電子顕微鏡を用いて撮影し、得られる写真画像より算出することが可能である。
先ず、クリアトナーを常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分分散させた後、包埋し、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた後、加圧成形を行ってクリアトナーを含有したブロックを作製する。作製したブロックに、必要な場合には四三酸化ルテニウム、または、四三酸化オスミウムを併用して染色処理を行った後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて、厚さ200nmの薄片状に切り出して測定用試料を作製する。
この様にして薄片状にした測定用試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)にセットして、クリアトナーの断面構造を写真撮影する。このとき、電子顕微鏡の倍率はトナー1個の断面が視野に入る倍率とすることが好ましく、具体的には、ネガ倍率を280倍に設定して撮影を行い、引き伸ばしにより倍率12,000倍の写真画像を作成する。この様にして作成した倍率12,000倍の写真画像を市販の画像処理装置「LuzexIII(ニレコ(株)製)」で解析することによりドメイン相の大きさ(平均ドメイン径)を算出することができる。ここで、「平均ドメイン径」、すなわち、「ドメイン相の大きさ」は、作成した写真画像を前記画像処理装置で解析する際、たとえば、トナー粒子20個中に存在する各ドメインについて各々円相当径を算出し、その算術平均値を「平均ドメイン径」とする。
なお、クリアトナーのドメイン相の観察が可能な透過型電子顕微鏡の具体的な機種としては、たとえば、「LEM−2000型(トプコン社製)」や「JEM−2000FX(日本電子製)」等の当業者の間で通常よく知られている機種が挙げられる。
次に、本発明に係るクリアトナーを構成する樹脂を形成する際に使用される極性基を複数有するビニル系モノマーについて説明する。本発明に係るクリアトナーを構成する樹脂は、少なくとも、極性基を複数有するビニル系モノマーを用いて形成されるものである。
ここで、「極性基を複数有するビニル系モノマー」中の「極性基」とは、基を構成する各原子の電気陰性度の差に起因して原子間で電気的な偏りを生じているとみられる官能基のことである。具体的には、官能基中に酸素原子や窒素原子等を含むもので、水酸基(−OH)、カルボニル基(−C=O)、カルボキシル基(−COOH)、アミノ基(−NH)、ニトロ基(−NO)、スルホニル基(−SOH)、シアノ基(−CN)等がある。また、「ビニル系モノマー」とは、ビニル基(CH=CH−)等の炭素原子間の不飽和結合を分子構造中に少なくとも1組有し、重合開始剤の下でこの炭素原子不飽和結合を介して付加反応を行って重合体を形成することが可能な有機化合物のことである。
本発明に係るクリアトナーを形成する際に使用される「極性基を複数有するビニル系モノマー」としては、たとえば、カルボキシル基(−COOH)を複数有するビニル系モノマーが好ましく用いられるものの代表的なものである。カルボキシル基(−COOH)を複数有するビニル系モノマーの具体例としては、たとえば、カルボキシル基を2つ有するイタコン酸、マレイン酸、フマル酸等や、カルボキシル基を3つ有するアコニット酸等が挙げられる。以下に、カルボキシル基を複数個有するビニル系モノマーの具体例を示す。
Figure 2011186116
本発明では、上記極性基を複数有するビニル系モノマーの中でもイタコン酸、マレイン酸、アコニット酸を用いて形成された樹脂よりなるクリアトナーが好ましく、イタコン酸を用いて形成された樹脂よりなるクリアトナーが特に好ましい。
また、前述した様に、極性基を複数有するビニル系モノマーの添加量が少ないと形成されるクリアトナー粒子は大きなドメイン相を有するものが得られ、添加量が多くなると小さなドメイン相のクリアトナーを形成することができる。本発明では、樹脂を形成する際、極性基を複数有するビニル系モノマーの添加量を、ビニル系モノマー全量に対して0.1質量%〜5質量%とすることが好ましく、0.4質量%〜2.5質量%とすることがより好ましい。
次に、本発明に係るクリアトナーを構成する樹脂を作製する際に、上述した極性基を複数有するビニル系モノマーといっしょに使用可能なビニル系モノマーについて説明する。本発明に係るクリアトナーを構成する樹脂を作製する際に「極性基を複数有するビニル系モノマー」とともに使用可能なビニル系モノマーは、特に限定されるものではなく、公知のビニル系モノマーを使用することが可能である。
以下に、使用可能なビニル系モノマーの具体例を示すが、本発明に係るクリアトナーを構成する樹脂の作製に使用可能なビニル系モノマーは下記に示すもののみに限定されるものではない。
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(8)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(9)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等。
また、以下に示す多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂を作製することも可能である。多官能性ビニル類の具体例を以下に示す。すなわち、
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等
上記樹脂の分子量は、クリアトナーとしての性能を安定して発現することが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、たとえば、数平均分子量Mnで5,000以上50,000以下のもの等が好ましい。また、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnは、たとえば、1.0以上1.5以下となる様なものは好ましいものの1つである。クリアトナーを構成する樹脂の数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwが上記関係を満たすことにより、定着時にシャープな溶融性が発現されるので、このことは写像性の高い光沢面の形成に寄与するものと期待される。
次に、本発明に係るクリアトナーに使用されるワックスについて説明する。前述した様に、本発明に係るクリアトナーは、平均ドメイン径が0.10μm以上0.85μm以下のワックスのドメイン相を分散させた相分離構造を有するもので、樹脂成分より構成されるマトリクス相にワックス成分より構成されるドメイン相を分散させた構造をとるものである。
本発明に係るクリアトナーに使用可能なワックスは、樹脂成分との間で相分離構造を形成することが可能なものであれば特に限定されるものではなく、公知のワックスを使用することが可能である。以下に、本発明に係るクリアトナーに使用可能なワックスの具体例を示すが、本発明で使用可能なワックスは以下のもののみに限定されるものではない。
(1)炭化水素系ワックス
パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、サゾールワックス等
(2)エステル系ワックス
トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等
(3)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等
(4)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトン等
(5)その他
カルナウバワックス、モンタンワックス等。
上記ワックスの中でも「炭化水素系ワックス」は、非極性の性質を有する分子鎖より構成されるので、極性部位をところどころに有する樹脂相に対して良好な非相溶性を発現し、所定粒径のドメイン相を形成する上で有利に作用するものと考えられる。
本発明に係るクリアトナーに使用可能な炭化水素系ワックスには、その分子構造から、直鎖状炭化水素化合物、分岐鎖状炭化水素化合物、分子構造上に環状構造を有する炭化水素化合物等がある。
直鎖状炭化水素化合物には、たとえば、主成分がノルマルパラフィンと呼ばれるパラフィンワックスより構成される石油ワックスや、フィッシャートロプスワックス、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックスがある。ここで、パラフィンワックスとは、減圧蒸留抽出油より公知の方法で分離して得られたものである。また、フィッシャートロプスワックスとは、一酸化炭素と水素とからなる合成ガスより合成される炭化水素の蒸留から、またはこれらに水素添加して得られる炭素数が16〜78の炭化水素化合物のことである。さらに、ポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスは、エチレンやプロピレンの重合、ポリエチレンやポリプロピレンの熱分解により得られるものである。
次に、分岐鎖状炭化水素化合物と分子構造上に環状構造を有する炭化水素化合物には、たとえば、以下に示すマイクロクリスタリンワックスや、イソパラフィンが主成分であるワックスが挙げられる。マイクロクリスタリンワックスの具体例には、たとえば、HNP−0190、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1090、Hi−Mic−2045、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−2095等(いずれも日本精蝋(株)製)がある。ここで、マイクロクリスタリンワックスとは、石油ワックスの中で主成分がイソパラフィンと呼ばれる分岐鎖状炭化水素化合物やシクロパラフィンと呼ばれる環状炭化水素化合物の割合が高いワックスである。マイクロクリスタリンワックスは、低結晶性のイソパラフィンやシクロパラフィンを多く含有するため、パラフィンワックスに比べて結晶が小さく、分子量が大きいものである。マイクロクリスタリンワックスは、一般に、炭素原子数が60〜150、数平均分子量Mnが900以上2000以下、融点が60〜90℃である。
また、イソパラフィンが主成分であるワックスの具体例には、たとえば、EMW−0001、EMW−0003等がある。
ワックスの融点は、通常40〜160℃にすることが好ましく、ワックスの融点を上記範囲内にすることで加熱による溶融がムラなく迅速に行え、クリアトナー層表面に均一な厚みのワックス被膜を形成する上で有利に作用するものと考えられる。また、ワックスの融点を50〜120℃、好ましくは60〜90℃にすることで、低い加熱温度でも良好なワックス溶融を実現し、クリアトナー層形成時のエネルギー消費量を低減させることが期待できる。また、クリアトナー中のワックス含有量は、1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
次に、本発明に係るクリアトナーの製造方法について説明する。
本発明に係るクリアトナーは、少なくとも、前述した極性基を複数有するビニル単量体を用いて樹脂を形成するものであり、また、作製されたクリアトナー粒子は所定の大きさのドメイン相を有するものである。本発明に係るクリアトナーは、前述した様に、極性基を複数有するビニル系モノマーの添加量により、ワックス成分より構成される所定粒径のドメイン相が形成されるものと考えられている。したがって、本発明に係るクリアトナーの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の電子写真方式の画像形成に使用されているトナーの製造方法を適用することができる。具体的には、混練、粉砕、分級工程を経てトナーを作製するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合法によるトナー製造方法を適用することで、本発明に係るクリアトナーを作製することが可能である。
その中でも、重合法によるクリアトナーの作製は、大きさの揃ったドメイン相を有するクリアトナー粒子を作製する上で有利な方法とみられる。重合法によるトナー製造方法は、たとえば、懸濁重合、乳化重合等の重合反応により樹脂粒子を形成する工程を有するものであり、その中でも重合反応を経て作製した樹脂粒子を凝集、融着させて粒子を形成する会合工程を経て作製されるものが特に好ましい。
以下に、本発明に係るクリアトナーの作製方法の一例として、乳化会合法によるクリアトナーの作製方法について説明する。乳化会合法によるクリアトナーの作製方法は、たとえば、以下の工程を経て行われる。
(1)樹脂粒子分散液の作製工程
(2)樹脂粒子の凝集・融着工程(会合工程)
(3)熟成工程
(4)冷却工程
(5)洗浄工程
(6)乾燥工程
(7)外添剤処理工程
以下、各工程について説明する。
(1)樹脂粒子分散液の作製工程
この工程は、クリアトナーを構成する樹脂を形成する工程である。具体的には、たとえば、水系媒体中に、少なくとも、前述した極性基を複数有するビニル系モノマーとその他のビニル系モノマーを添加、分散させておき、この状態で前記ビニル系モノマーを乳化重合させて反応を行う。この様にして、100nm程度の大きさの樹脂粒子を形成するものである。
この工程では、たとえば、水系媒体中に前述した極性基を複数有するビニル系モノマーと他のビニル系モノマーを添加した後、乳化分散処理を施すことにより、ビニル系モノマーの油滴が形成される。そして、水系媒体中に分散させた油滴中でラジカル重合反応を行うことにより樹脂粒子を形成するものである。なお、この工程では、極性基を複数有するビニル系モノマーとその他のビニル系モノマーとともにワックスを水系媒体中に添加することも可能で、分散処理を施すことによりワックス成分を含有してなるビニル系モノマーの油滴が形成される。そして、ワックス成分を含有してなる油滴中でラジカル重合反応を行うことによりワックス成分を含有する樹脂粒子を形成することができる。
ラジカル重合反応は、前述の油滴中に重合開始剤を含有させてラジカルを生成させることにより、油滴中で極性基を複数有するビニル系モノマーと他のビニル系モノマーとの間で重合反応が開始し、重合反応を経て樹脂粒子を形成するものである。あるいは、水系媒体中に添加した重合開始剤より生成したラジカルを油滴中に供給することによりラジカル重合を開始して樹脂粒子を形成する方法もある。
ラジカル重合を行うときの温度は、極性基を複数有するビニル系モノマーと他のビニル系モノマーの種類やラジカルを生成する重合開始剤の種類にもよるが、通常50〜100℃が好ましく、55〜90℃がより好ましい。また、重合反応時間は、極性基を複数有するビニル系モノマーや他のビニル系モノマー及びラジカルの反応速度にもよるが2〜12時間が好ましい。
この工程では、水系媒体中に、少なくとも、極性基を複数有するビニル系モノマーと他のビニル系モノマーを添加した後、公知の方法による機械的エネルギーの作用で分散処理を行って単量体の油滴を形成するものである。機械的エネルギーによる油滴分散を行う分散装置は、特に限定されるものではなく、たとえば高速回転するロータを備えた市販の撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)(エム・テクニック(株)製)」等が代表的な装置に挙げられる。前述した撹拌装置の他にも、超音波分散機や機械式ホモジナイザ、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザ等の装置が挙げられる。これらの装置により水系媒体中に100nm前後の油滴の分散粒子を形成することが可能である。
また、本発明でいう「水系媒体」とは、水と水に溶解可能な有機溶剤から構成される液体のことで、少なくとも水を50質量%以上含有したものである。ここで、水系媒体を構成する水以外の成分である水に溶解可能な有機溶剤には、たとえば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等がある。これらの中でも樹脂を溶解しない有機溶剤であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶剤が好ましい。
(2)樹脂粒子の凝集・融着工程(会合工程)
この工程は、前述の工程で形成した樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて粒子を形成し、凝集により形成した粒子を加熱して融着させて粒子(外添処理する前のクリアトナーの母体粒子のこと)を作製する工程で、会合工程とも呼ばれるものである。すなわち、極性基を複数有するビニル系モノマーと他のビニル系モノマーを乳化重合させて形成した樹脂粒子を凝集、融着させて粒子を作製するものである。
この工程では、前記樹脂粒子を存在させた水系媒体中に、塩化マグネシウム等に代表されるアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等の凝集剤を添加することにより、前記樹脂粒子を凝集させる。次いで、水系媒体中を前記樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱して凝集を進行させると同時に凝集させた樹脂粒子同士の融着を行う。そして、凝集を進行させて粒子の大きさが目標になったときに、食塩等の塩を添加して凝集を停止させる。
なお、本発明に係るクリアトナーを作製する場合、クリアトナー粒子中にワックス成分を含有させておく必要がある。前述したワックス成分を含有している樹脂粒子を使用する場合はそのまま樹脂粒子を凝集・融着させて粒子を形成するが、ワックス成分を含有していない樹脂粒子を用いる場合は、樹脂粒子ともにワックス粒子を添加して凝集・融着を行うことになる。この場合、予めワックス粒子分散液を作製しておき、これを樹脂粒子分散液に添加して凝集・融着を行う。ワックス粒子分散液は、前述したビニル系モノマーの油滴を形成するときと同じ様に、水系媒体中にワックスを添加後、公知の方法による機械的エネルギーの作用で分散処理を行って形成される100nm程度のワックス粒子の分散液である。
(3)熟成工程
この工程は、上記凝集・融着工程に引き続き、反応系を加熱処理することにより粒子の形状を所望の平均円形度になるまで熟成するいわゆる形状制御工程とも呼ばれる工程である。
(4)冷却工程
この工程は、前記粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/分の冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
(5)洗浄工程
この工程は、上記工程で所定温度まで冷却された前記粒子の分散液より粒子を固液分離する工程と、固液分離されてウェットのトナーケーキと呼ばれるケーキ状集合体となった粒子より界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去するための洗浄工程からなる。
洗浄処理は、ろ液の電気伝導度がたとえば10μS/cm程度になるまで水洗浄する。固液分離方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用する減圧ろ過法、フィルタプレス等を使用するろ過法等があり、本発明では特に限定されるものではない。
(6)乾燥工程
この工程は、洗浄処理された前記粒子を乾燥処理する工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤ、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
また、乾燥された粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。なお、乾燥処理された粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサ、コーヒーミル、フードプロセッサ等の機械式の解砕装置を使用することができる。
(7)外添剤処理工程
この工程は、乾燥処理した粒子に外添剤や滑剤を添加する工程である。前記乾燥工程を経た粒子はそのままクリアトナー粒子として使用できるが、外添剤を添加することによりクリアトナーの帯電性や流動性、クリーニング性を向上させることができる。これら外添剤には、公知の無機微粒子や有機微粒子、脂肪族金属塩を使用することができ、その添加量はトナー全体に対して0.1〜10.0質量%、好ましくは0.5〜4.0質量%である。また、外添剤は種々のものを組み合わせて添加することができる。なお、外添剤を添加する際に使用する混合装置としては、たとえば、タービュラミキサ、ヘンシェルミキサ、ナウタミキサ、V型混合機、コーヒーミル等の公知の機械式の混合装置がある。
公知の無機微粒子としては、たとえば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等がある。なお、これら無機微粒子を疎水化処理したものを使用することも可能である。
シリカ微粒子の具体例としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等がある。
チタニア微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等がある。
アルミナ微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等がある。
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
これら外添剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。
以上の工程を経ることにより、乳化会合法により本発明に係るクリアトナーを作製することができる。
次に、本発明に係るクリアトナーを上述した乳化会合法で作製する場合に使用することが可能な重合開始剤、分散安定剤、界面活性剤等について説明する。
本発明に係るクリアトナーを構成する結着樹脂は、前述した様に、極性基を複数有するビニル系モノマーと他のビニル系モノマーを用いて形成されるもので、公知の油溶性あるいは水溶性の重合開始剤を使用することができる。油溶性の重合開始剤としては、具体的には、以下に示すアゾ系またはジアゾ系重合開始剤や過酸化物系重合開始剤がある。すなわち、
(1)アゾ系またはジアゾ系重合開始剤
2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等
(2)過酸化物系重合開始剤
ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジン等
また、乳化重合法で樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等がある。
また、樹脂粒子の分子量調整のために、公知の連鎖移動剤を用いることもできる。具体的には、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素、α−メチルスチレンダイマー等がある。
また、本発明では、前述した様に、極性基を複数有するビニル系モノマーと他のビニル系モノマーを水系媒体中に分散させた状態下で重合し、重合により得られた樹脂粒子を水系媒体中に分散させ、これを凝集、融着してクリアトナーを作製する。これらトナー材料を水系媒体中に安定して分散させておく分散安定剤を使用することが好ましい。分散安定剤としては、たとえば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等のものがある。また、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等、一般に界面活性剤として使用されるものも分散安定剤として使用できる。
また、水系媒体中で重合性単量体を用いて重合を行なう場合、界面活性剤を使用して前記重合性単量体の油滴を水系媒体中に均一に分散させる必要がある。このとき、使用可能な界面活性剤は、特に限定されるものではないが、たとえば、以下に示すイオン性界面活性剤が好ましいものとして使用できる。イオン性界面活性剤には、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、脂肪酸塩等があり、スルホン酸塩には、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等がある。
また、硫酸エステル塩には、たとえば、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等があり、脂肪酸塩には、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等がある。
また、ノニオン性界面活性剤を使用することも可能で、具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等がある。
次に、本発明に係るクリアトナーを用いて行う画像形成方法について説明する。
本発明では、前述した構成のクリアトナーを用いて画像支持体上の所定領域に透かし画像を形成し、これを熱ローラ方式の定着装置を用いて定着すると、画像支持体が加熱ローラに巻き付くことのない安定した定着が行える様になった。また、前述した構成のクリアトナーを用いて画像支持体全面にクリアトナー層を形成すると、画像上ににごりのない均一で高い光沢度を有するプリント物を安定して作成することができる様になった。
なお、本発明では、画像支持体上の所定領域内に形成される透かし画像や画像支持体全面に形成される光沢面を有するクリアトナー層は前述したクリアトナーで作成するが、これら以外の画像を作製する方法は特に限定されるものではない。たとえば、電子写真方式、印刷方式、インクジェット方式、銀塩写真方式等の公知の画像形成方法により画像を形成することが可能である。
最初に、ローラ定着装置を用いてクリアトナー画像を定着する画像形成装置について説明する。図1は、本発明に係るクリアトナーを用いて画像支持体上に透かし画像を形成することが可能なローラ方式の定着装置を搭載した画像形成装置の断面構成図である。
図1の画像形成装置では、電子写真方式により各色トナーを用いてフルカラー画像を形成することが可能で、かつ、フルカラートナー画像に加えて透かし画像を構成するクリアトナーで作成した画像を形成することが可能である。そして、図1の画像形成装置は、フルカラー画像を形成する各色トナーと、画像支持体上の所定領域に形成された透かし画像を構成するクリアトナーを加熱、加圧して定着するローラ定着方式の定着装置50を搭載している。
図1に示す画像形成装置2は、通常「タンデム型カラー画像形成装置」とも呼ばれるもので、クリアトナー供給部20Sと、複数組のトナー画像形成部20Y、20M、20C、20Bk、ベルト状の中間転写ベルト26と給紙装置40及び定着装置50等から構成されるものである。
画像形成装置2の上部には、画像読取部23が設置されている。原稿台上に載置された原稿は画像読取部23の原稿画像走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、ラインイメージセンサに読み込まれる。ラインイメージセンサにより光電変換されたアナログ信号は、制御手段において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、露光部30S、30Y、30M、30C、30Bkに入力される。
本発明では、構成要素を総称する場合にはアルファベットの添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成要素を指す場合にはS(クリアトナー)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の添え字を付した参照符号で示す。
クリアトナー供給部20Sは、本発明に係るクリアトナーを画像支持体上の所定領域に透かし画像形成を行うものである。また、イエロー色のトナー画像形成を行うイエロー画像形成部20Y、マゼンタ色のトナー画像形成を行うマゼンタ画像形成部20M、シアン色のトナー画像形成を行うシアン画像形成部20C、及び黒色のトナー画像を形成する黒色画像形成部20Bkがある。
クリアトナー供給部20Sと前記各トナー画像形成部20Y、20M、20C、20Bkは、それぞれ以下のものを有する。すなわち、
(1)像担持体としてのドラム状の感光体21(21S、21Y、21M、21C、21Bk)
(2)帯電極22(22S、22Y、22M、22C、22Bk)
(3)露光部30(30S、30Y、30M、30C、30Bk)
(4)現像装置24(24S、24Y、24M、24C、24Bk)
(5)クリーニング装置25(25S、25Y、25M、25C、25Bk)
(6)一次転写ローラ27(27S、27Y、27M、27C、27Bk)を有する。
感光体21は、たとえば、有機光導電体を含有させた樹脂よりなる感光層がドラム状の金属基体の外周面に形成されてなる有機感光体よりなり、搬送される画像支持体Pの幅方向(図1において紙面に対して垂直方向)に伸びる状態で配設されている。感光層を構成する樹脂には、たとえば、ポリカーボネート樹脂等の公知の感光層形成用樹脂が用いられる。なお、図1に示す実施形態では、ドラム状の感光体21を用いた構成例を説明しているが、これに限られずベルト状の感光体を用いてもよい。
現像装置24は、それぞれ本発明に係るクリアトナー(S)、イエロートナー(Y)、マゼンタトナー(M)、シアントナー(C)及び黒色(Bk)の異なる色のトナーとキャリアからなる2成分現像剤を内包してなる。2成分現像剤として、フェライトをコアとしてその周りに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、本発明に係るクリアトナー、公知の結着樹脂と公知の顔料やカーボンブラック等の着色剤、荷電制御剤、シリカ、酸化チタン等を含有してなる各色のトナーとから構成される。
キャリアは、たとえば平均粒径が10〜50μm、飽和磁化10〜80emu/gを有しトナーは粒径4〜10μmである。また、本発明に係るクリアトナーを含めて、図1に示す画像形成装置で使用されるトナーの帯電特性は、負帯電特性であり平均電荷量としては−20〜−60μC/gであることが好ましい。2成分現像剤は、これらキャリアとトナーとをトナー濃度が4質量%〜10質量%にとなる様に混合、調整したものである。
中間転写体である中間転写ベルト26は、複数のローラにより回転可能に支持されている。中間転写ベルト26はたとえば10〜1012Ω・cmの体積抵抗を有する無端形状のベルトである。中間転写ベルト26は、たとえば、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)等の公知の樹脂材料を用いて形成することができる。中間転写ベルト26の厚みは50〜200μmが好ましい。
クリアトナー供給部20S、トナー画像形成部20Y、20M、20C、20Bkより各感光体21(21S、21Y、21M、21C、21Bk)上に形成されたクリアトナー層と各色トナー画像は、回転する中間転写ベルト26上に一次転写ローラ27(27S、27Y、27M、27C、27Bk)により順次転写され(一次転写)、中間転写ベルト26上には透かし画像と合成されたフルカラー画像が形成される。一方、画像転写後、感光体21Y、21M、21C、21Bkは各色のクリーニング装置25(25S、25Y、25M、25C、25Bk)により残留トナーが除去される。
給紙装置40の用紙収納部(トレイ)41内に収容された転写材Pは、第1給紙部42により給紙され、給紙ローラ43、44、45A、45B、レジストローラ(第2給紙部)46等を経て、2次転写ローラ29に搬送され、転写材P上に透かし画像とフルカラー画像が転写される(二次転写)。
なお、画像形成装置2の下部に鉛直方向に縦列配置された3段の用紙収納部41は、ほぼ同一の構成をなすから、同符号を付した。また、3段の給紙部42も、ほぼ同一の構成をなすから、同符号を付してある。用紙収納部41、給紙部42を含めて給紙装置40と称す。
透かし画像とフルカラー画像が転写された画像支持体Pは、定着装置50において画像支持体Pが挟持され、加熱、加圧の作用で溶融、固化することにより、クリアトナーにより形成された透かし画像とフルカラーのトナー画像が画像支持体P上に固定される。画像支持体Pは、搬送ローラ対57に挟持されて搬送され、排紙搬送路に設けられた排紙ローラ47から排出され、装置外の排紙トレイ90上に載置される。
一方、二次転写ローラ29により画像支持体P上に透かし画像とフルカラートナー画像を転写した後、さらに、画像支持体Pを曲率分離した中間転写ベルト26は、中間転写ベルト用のクリーニング装置261により残留したトナーが除去される。
なお、画像支持体Pの両面に透かし画像とフルカラー画像を形成する場合は、画像支持体Pの第1面に形成した透かし画像とフルカラー画像を溶融、固化処理した後、画像支持体Pを分岐板49により排紙搬送路から分岐させ、両面搬送路48に導入して表裏反転してから再び給紙ローラ45Bから搬送される。画像支持体Pはクリアトナー供給部20S、各色の画像形成部20Y、20M、20C、20Bkにより第2面上にも透かし画像と各色よりなるフルカラートナー画像を形成し、ローラ定着方式の定着装置50により加熱加圧処理されて排紙ローラ47により装置外に排出される。この様にして、画像支持体P両面にクリアトナーにより形成された透かし画像を有するフルカラー画像を形成することができる。
以上の手順により、図1に示す画像形成装置では画像支持体P上に本発明に係るクリアトナーを用いて形成された透かし画像を有するフルカラー画像を形成することができる。
本発明では、画像支持体P上のクリアトナーを用いて形成された透かし画像をローラ定着方式の定着装置を用いて、加熱、溶融させて定着することが可能である。本発明でいう「ローラ定着方式の定着装置」とは加熱ローラを有する定着装置のことで、たとえば、加熱ローラと加圧ローラ、あるいは、加熱ローラと加圧ベルトより構成されるものがある。
図2は、加熱ローラと加圧ローラを有する定着装置の一例を示す概略図である。
図2に示す定着装置50は、加熱ロール51と、これに当接する加圧ロール52とを備えている。なお、図2において、56は分離爪、Pはクリアトナーにより形成された透かし画像を有する転写材(転写紙)である。
加熱ロール51は、たとえば、フッ素樹脂や弾性体からなる被覆層51cが芯金51bの表面に形成されてなり、線状ヒータよりなる加熱部材51aを内包している。
芯金51bは金属から構成され、その内径は10〜70mmである。芯金51bを構成する金属は、特に限定されるものではないが、たとえば、鉄、アルミニウム、銅等の金属や、これらの合金を挙げることができる。
芯金51bの肉厚は0.1〜15mmであり、省エネの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定することが好ましい。たとえば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
被覆層51cの表面を構成するフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等が挙げられる。
フッ素樹脂からなる被覆層51cの厚みは10〜500μmであり、好ましくは20〜400μmである。
フッ素樹脂からなる被覆層51cが薄くなると、被覆層としての機能を発揮しにくくなるので、定着装置としての耐久性を確保することが困難になる。一方、被覆層51cが厚くなると、被覆層表面に紙粉によるキズがつき易くなる。発生したキズ部にはトナー等が付着し易くなる。
また、被覆層51cを構成する弾性体としては、LTV、RTV、HTV等の良好な耐熱性を有するシリコーンゴム及びシリコーンスポンジゴムなどを用いることが好ましい。
被覆層51cを構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは60°未満とされる。
また、被覆層510cの厚みは0.1〜30mmが好ましく、0.1〜20mmがより好ましい。
加熱部材51aとしては、ハロゲンヒータが代表的なものとして挙げられる。
加圧ロール52は、弾性体からなる被覆層52cが芯金52b表面に形成されてなる。被覆層52cを構成する弾性体は、特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどの各種軟質ゴム及びスポンジゴムが挙げられるが、この中でも、シリコーンゴム及びシリコーンスポンジゴムが好ましい。また、被覆層52cの厚みは0.1〜30mmが好ましく、0.1〜20mmがより好ましい。
また、定着温度(加熱ロール240の表面温度)は、定着時に転写材上に形成されているトナー画像を溶融させることの可能な温度で、後述する定着線速にもよるが、たとえば、110〜180℃である。また、定着線速は80〜640mm/secが好ましく、加熱ロール51と加圧ロール52のニップ幅は通常8〜40mmであり、好ましくは11〜30mmである。
なお、分離爪56は、定着処理された転写材Pが加熱ロール51に巻き付くのを防止するために設けられているものである。
次に、図3は加熱ローラとベルトを有する定着装置の一例を示す概略図である。図3に示す定着装置50は、ニップ幅を確保するためにベルトと加熱ローラを用いたタイプのもので、加熱ローラ51とシームレスベルト53、及びシームレスベルト53を介して加熱ローラ51に押圧される圧力パッド(圧力部材)54a、圧力パッド(圧力部材)54b、潤滑剤供給部材55とで主要部が構成されている。
加熱ローラ51は、金属製の芯金51bの周囲に耐熱性弾性体層51c、及び離型層(耐熱性樹脂層)51dより形成され、芯金51bの内部には加熱源としてハロゲンランプ51aが配置されている。加熱ローラ51の表面温度は温度センサ57により計測され、その計測信号に基づいて図示しない温度コントローラによりハロゲンランプ51aがフィードバック制御され、加熱ローラ51表面が一定温度になるように調整される。シームレスベルト53は、加熱ローラ51に対し所定の角度で巻き付けられるように接触し、ニップ部を形成している。
シームレスベルト53の内側には、低摩擦層を表面に有する圧力パッド54がシームレスベルト53を介して加熱ローラ51に押圧される状態で配置されている。圧力パッド54は、強いニップ圧がかかる圧力パッド54aと、弱いニップ圧がかかる圧力パッド54bとが設けられ、金属製等のホルダ54cに保持されている。
ホルダ54cには、シームレスベルト53がスムーズに摺動回転するようにベルト走行ガイドが取り付けられている。ベルト走行ガイドはシームレスベルト53内面と摺擦するため摩擦係数が低い部材が望ましく、かつ、シームレスベルト53から熱を奪いにくいように熱伝導の低い部材が好ましい。なお、シームレスベルト53の材質の具体例としては、たとえばポリイミドが挙げられる。
次に、画像形成された画像支持体上全面に高い光沢度を有するクリアトナー層を形成することが可能なクリアトナー層形成装置について説明する。図4は、画像支持体全面に供給されたクリアトナーを加熱、溶融し、高い光沢度を有するクリアトナー層を画像支持体全面に形成するクリアトナー層形成装置の模式図である。
図4のクリアトナー層形成装置は、プリンタや印刷装置等の画像形成装置に接続させて使用することが可能である。画像支持体上へのクリアトナー層の形成は、先ず、プリンタ等の画像形成装置により画像形成された側の画像支持体全面に供給されているクリアトナーを定着ローラ等により加熱、溶融させる。続いて、溶融状態のクリアトナーを介して画像支持体をベルト部材に密着させ、この状態で画像支持体を搬送しながらクリアトナーを冷却、硬化させる。画像支持体全面に形成されたクリアトナー層を硬化後、画像支持体をベルト部材より剥離する。この様にして、画像支持体全面に均一な光沢面を有するプリント物を作成することができる。
図4に示すクリアトナー層形成装置1は、少なくとも以下の構成を有するものである。すなわち、
(1)画像支持体全面にわたりクリアトナーが供給された状態にある画像支持体Pを加熱し、同時に加圧する加熱加圧装置10
(2)加熱加圧装置10により溶融したクリアトナー面と接触し、クリアトナー面との間に接着面を形成して画像支持体Pを搬送するベルト部材11
(3)ベルト部材11に接着した状態で搬送されている画像支持体Pに冷却用のエアを供給する冷却ファン12と13
(4)冷却ファン12と13より供給されるエアの作用で冷却され、クリアトナー面が固着した画像支持体を搬送する搬送ロール14より構成されるものである。
以下、各構成について具体的に説明する。
最初に加熱加圧装置10について説明する。図4に示す様に、加熱加圧装置10は一定速度で駆動する一対のロール101と102との間に、クリアトナーを供給した画像支持体Pを挟持して搬送し、搬送した画像支持体を加熱加圧するものである。すなわち、画像支持体Pの全面に供給されたクリアトナーは、加熱加圧装置10による加熱により溶融し、かつ、溶融したクリアトナーは加圧により均一な厚みを有する層になる。ここで、一対のロール101と102の一方または両方の中心に熱源を設けることにより、画像支持体全面に供給したクリアトナーを溶融させる様に加熱することができる。また、2つのロール101と102はロール間で溶融したクリアトナーを確実に加圧できる様、圧接している構造を採ることが好ましい。
図4のクリアトナー層形成装置1は、消費電力量や作業効率の観点から、たとえば、加熱加圧装置10を構成するロール101を加熱ロールとし、ロール102を加圧ロールとする構成とすることで十分な加熱と加圧が行える。ロール101と102の一方または両方の表面には、シリコーンゴム層あるいはフッ素ゴム層を配置することができ、加熱と加圧を行うニップ領域の幅を1mm〜8mm程度の範囲にすることが好ましい。
加熱ロール101は、たとえば、アルミニウム等の金属製の基体表面に、シリコーンゴム等からなる弾性体層を被覆してなり、所定の外径に形成されたものである。加熱ロール101の内部には、加熱源としてたとえば300〜350Wのハロゲンランプを配設しておき、当該加熱ロール101の表面温度が所定温度となる様に内部から加熱する。
加圧ロール102は、たとえば、アルミニウム等の金属製の基体表面に、シリコーンゴム等からなる弾性体層を被覆してなり、さらに、当該弾性体層表面にPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)製のチューブ等による離型層を被覆して、所定の外径に形成されたものである。加圧ロール102の内部にも、加熱源としてたとえば300〜350Wのハロゲンランプを配設することができ、当該加圧ロール102の表面温度が所定温度になる様に内部から加熱する。
画像形成面全面にクリアトナーが供給されている画像支持体Pは、加熱加圧装置10の加熱ロール101と加圧ロール102で形成される圧接部(ニップ部)に搬送され、このとき、クリアトナーが供給されている面が加熱ロール101側になる様に搬送される。そして、加熱ロール101と加圧ロール102との圧接部を通過する間に、クリアトナーは加熱、溶融すると同時に、画像面上にクリアトナー層として融着する。
次に、ベルト部材11について説明する。図4に示す様にベルト部材11は、加熱ロール101と、当該加熱ロール101を含む複数のロール101、103、104により回動可能に支持されている無端ベルト状の構成を有するものである。ベルト部材11は、前述した様に、加熱ロール101、剥離ロール103、従動ロール104からなる複数のロールにより回動可能に懸回張設され、図示しない駆動源により回転駆動する加熱ロール101により所定の移動速度駆動する様になっている。そして、加熱ロール101による駆動と剥離ロール103、従動ロール104によるテンションにより所定のプロセススピードでシワなく回動駆動させることができる。
ベルト部材11は、溶融したクリアトナー面を介して画像支持体Pと密着し、クリアトナーとの密着面を介して画像支持体Pを搬送するものである。この様に、ベルト部材11は加熱溶融したクリアトナー面に密着するので、ある程度の耐熱性と機械的強度を有する公知の材質で作製することができる。具体的には、たとえば、ポリイミド、ポリエーテルポリイミド、PES(ポリエーテルサルフォン樹脂)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)等の耐熱性フィルム樹脂が挙げられる。そして、前記耐熱性フィルム樹脂の少なくともクリアトナー層当接面側にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPFA等のフッ素樹脂やシリコーンゴムの離型層を設けることが好ましい。
ベルト部材11の厚さは、溶融したクリアトナー面との接着面を介して画像支持体の搬送が行えるものであれば特に限定されるものではなく、公知の厚さのもので使用することができる。具体的には、耐熱性フィルム樹脂の厚さは20μm〜80μm、離型層の厚さは10μm〜30μmが好ましく、また、総厚は20μm〜110μmが好ましい。具体的な形態としては、たとえば、厚さ80μmのポリイミド製無端状フィルム上に、厚さ30μmのシリコーンゴム層を被覆したもの等がある。
次に、冷却ファン12と13について説明する。図4に示すクリアトナー層形成装置1は、前記ベルト部材11内面側の加熱ロール101と剥離ロール103との間に冷却ファン12、ベルト部材11の外面側の加圧ロール102と搬送ロール14の間に冷却ファン13を有する。ここで、ベルト部材11の外面は、溶融したクリアトナー面を介して画像支持体Pと接着し、接着面を形成した状態で画像支持体Pの担持搬送を行う面のことである。
図4のクリアトナー層形成装置1は、前述の加熱加圧装置10により所定厚さで溶融しているクリアトナー層を介して画像支持体Pをベルト部材11の外面に密着させ、この状態で画像支持体Pを搬送すると同時にクリアトナー層を冷却して硬化させる。冷却ファン12、13は、クリアトナー層を介してベルト部材11に密着して搬送されている画像支持体Pにエアを供給して搬送中の画像支持体Pを強制的に冷却する。クリアトナー層形成装置1は、冷却ファン12、13にそれぞれ連接させて冷却用のヒートシンクあるいはヒートパイプを配設させることができる。この様な冷却用のヒートシンクあるいはヒートパイプにより溶融状態にあるクリアトナー層の冷却と硬化を促進させることができる。
上記冷却ファン12、13による強制冷却により、ベルト部材11に搬送中の画像支持体Pのクリアトナー層の硬化を促進させる。そして、画像支持体P上のクリアトナー層は、画像支持体Pが搬送補助ロール14や剥離ロール103が配置されているベルト端部付近に到達するまでに冷却、硬化が完了している。そして、画像支持体Pはベルト端部でベルト部材11面より剥離される。
先ず、ベルト11の搬送方向が変化するベルト端部付近まで搬送されてきた画像支持体Pは、まだクリアトナー層を介してベルト部材11に密着している。この状態で搬送補助ロール14が搬送中の画像支持体Pの裏面に接触して保持する。搬送補助ロール14が画像支持体Pを裏面より保持している状態でベルト部材11は剥離ロール103の配置されている個所に到達し、ここでベルト部材11の搬送方向は従動ロール104側の方向(図の上方)に変更させられる。このとき、画像支持体Pは自身の剛性(腰)によりベルト部材11より剥離され、搬送補助ロール14に重力が移動することによりベルト部材からの剥離が促進されてクリアトナー層形成装置1より分離、排出される。
以上の手順により、図4に示すクリアトナー層形成装置1は、画像を形成した側の画像支持体全面にムラのない均一な光沢面を有するクリアトナー層を形成することができる。すなわち、前述の手順は以下の工程よりなる。
(1)画像支持体全面に供給されたクリアトナーを加熱、溶融させる。
(2)溶融状態のクリアトナーを介して画像支持体Pをベルト部材11に密着させ、この状態で搬送しながらクリアトナーを冷却、硬化させる。
(3)クリアトナーが十分に硬化した段階で画像支持体Pをベルト部材11より剥離させる。
(4)ベルト部材11より剥離された画像支持体Pはクリアトナー層形成装置外に排出される。
そして、本発明では前述した構成のクリアトナーにより、ベルト部材11が剥離ロール103により搬送方向を変えるまでクリアトナー層の密着性を保持し安定した搬送を実現させ、剥離時にはじめて離型性がタイミングよく発現する様にしている。
なお、図4に示すクリアトナー層形成装置は、搬送補助ロール14と剥離ロール103により、画像支持体Pをベルト部材11より剥離しているが、剥離ロール103以外の剥離手段を用いることも可能である。たとえば、剥離ロール103に代えて、剥離爪をベルト部材11と画像支持体Pの間に配置させ、画像支持体Pをベルト部材11より剥離することも可能である。
本発明に係るクリアトナーを用いてクリアトナー層を形成することが可能な画像支持体は、一般に転写材とも呼ばれるもので、公知の方法により可視画像形成が可能であり、当該可視画像上にクリアトナー層を形成、保持することが可能な部材である。本発明で使用可能な画像支持体としては、公知のものが挙げられ、たとえば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、あるいは、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等がある。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、下記文中に「部」と記載されている個所があるが「質量部」を表すものである。
1.「クリアトナー1〜11」の作製
以下に記載の11種類のクリアトナーを用意した。
1−1.「樹脂微粒子A1」の作製
(1)第1段重合
撹拌装置を取り付けた容器内に下記化合物を投入して単量体組成物を調製し、
スチレン 91質量部
n−ブチルアクリレート 49質量部
メタクリル酸 29質量部
イタコン酸 6.6質量部
n−オクチルメルカプタン 2.6質量部
さらに、上記化合物からなる単量体組成物中に、
パラフィンワックス「HNP−57」(日本精鑞社製) 70質量部
を投入し、80℃に加温して溶解させて「混合溶液1」を調製した。
一方、アニオン系界面活性剤(ポリオキシ(2)ドデシルエーテル硫酸エステルナトリウム塩1.5質量部をイオン交換水650質量部に溶解させて界面活性剤水溶液を調製し、これを90℃に加温し、前記「混合溶液1」を添加した。その後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて3時間混合、分散処理し、分散粒径210nmの乳化粒子を含有する分散液を調製した。
次に、90℃に加熱したイオン交換水700質量部を前記分散液中に添加し、さらに、過硫酸カリウム(KPS)3質量部をイオン交換水120質量部に溶解させた溶液を添加してこの系を82℃にした後、3時間加熱、撹拌することにより重合反応を行った。この様にして、「樹脂微粒子分散液a1」を作製した。
(2)第2段重合
前記「樹脂微粒子分散液a1」に、過硫酸カリウム(KPS)3質量部をイオン交換水120質量部に溶解させた溶液を添加し、80℃にした後、下記化合物からなる「混合溶液(2)を1時間かけて滴下した。
スチレン 248質量部
n−ブチルアクリレート 82質量部
n−オクチルメルカプタン 3.5質量部
滴下終了後、80℃の温度下で3時間加熱、撹拌を行って重合反応を行った後、28℃に冷却して「樹脂微粒子分散液A1」を作製した。「樹脂微粒子分散液A1」を構成する「樹脂微粒子A1」のガラス転移温度は42.3℃であった。なお、「樹脂微粒子A1」を作製する際に使用した各ビニル系単量体の割合は、スチレンが67.1質量%、n−ブチルアクリレートが25.9質量%、メタクリル酸が5.7質量%、イタコン酸が1.3質量%であった。
1−2.「樹脂微粒子分散液A2〜A7」の作製
(1)「樹脂微粒子分散液A2」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製において、第1段重合の「混合溶液1」を調製する際、メタクリル酸の添加量を33.5質量部、イタコン酸の添加量を2.0質量部に変更した他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A2」を作製した。「樹脂微粒子分散液A2」を構成する「樹脂微粒子A2」のガラス転移温度は42.7℃であった。また、「樹脂微粒子A2」を作製する際に使用した各ビニル系単量体の割合は、スチレンが67.1質量%、n−ブチルアクリレートが25.9質量%、メタクリル酸が6.6質量%、イタコン酸が0.4質量%であった。
(2)「樹脂微粒子分散液A3」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製において、第1段重合の「混合溶液1」を調製する際、メタクリル酸の添加量を22.5質量部、イタコン酸の添加量を12.6質量部に変更した他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A3」を作製した。「樹脂微粒子分散液A3」を構成する「樹脂微粒子A3」のガラス転移温度は41.2℃であった。また、「樹脂微粒子A3」を作製する際に使用した各ビニル系単量体の割合は、スチレンが67.1質量%、n−ブチルアクリレートが25.9質量%、メタクリル酸が4.6質量%、イタコン酸が2.5質量%であった。
(3)「樹脂微粒子分散液A4」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A2」の作製において、第1段重合の「混合溶液」を調製する際にイタコン酸に代えてマレイン酸を2.0質量部添加した他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A4」を作製した。「樹脂微粒子分散液A4」を構成する「樹脂微粒子A4」のガラス転移温度は38.7℃であった。また、「樹脂微粒子A4」を作製する際に使用した各ビニル系単量体の割合は、スチレンが67.1質量%、n−ブチルアクリレートが25.9質量%、メタクリル酸が6.6質量%、マレイン酸が0.4質量%であった。
(4)「樹脂微粒子分散液A5」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製において、第1段重合の「混合溶液1」を調製する際、イタコン酸に代えてフマル酸を6.6質量部添加した他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A5」を作製した。「樹脂微粒子分散液A5」を構成する「樹脂微粒子A5」のガラス転移温度は39.2℃であった。また、「樹脂微粒子A4」を作製する際に使用した各ビニル系単量体の割合は、「樹脂微粒子A1」と同様、スチレンが67.1質量%、n−ブチルアクリレートが25.9質量%、メタクリル酸が5.7質量%、フマル酸が1.3質量%であった。
(5)「樹脂微粒子分散液A6」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製において、第1段重合の「混合溶液1」を調製する際、イタコン酸に代えてアコニット酸を4.4質量部、メタクリル酸を31.6質量部に変更した他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A6」を作製した。「樹脂微粒子分散液A6」を構成する「樹脂微粒子A6」のガラス転移温度は41.2℃であった。また、「樹脂微粒子A4」を作製する際に使用した各ビニル系単量体の割合は、「樹脂微粒子A1」と同様、スチレンが67.1質量%、n−ブチルアクリレートが25.9質量%、メタクリル酸が6.2質量%、アコニット酸が0.8質量%であった。
(6)「樹脂微粒子分散液A7」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製において、第1段重合の「混合溶液1」を調製する際、メタクリル酸の添加量を35質量部、イタコン酸の添加量を0.6質量部に変更した他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A3」を作製した。「樹脂微粒子分散液A3」を構成する「樹脂微粒子A3」のガラス転移温度は43.2℃であった。また、「樹脂微粒子A3」を作製する際に使用した各ビニル系単量体の割合は、スチレンが67.1質量%、n−ブチルアクリレートが25.9質量%、メタクリル酸が6.9質量%、イタコン酸が0.1質量%であった。
(7)「樹脂微粒子分散液A8」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製で、第1段重合の「混合溶液1」を調製する際、スチレンの添加量を97質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を47質量部、メタクリル酸の添加量を22.5質量部、イタコン酸の添加量を12.2質量部に変更した。また、第2段重合でスチレンの添加量を240質量部、n−ブチルアクリレートの添加量を78質量部に変更し、かつ、イタコン酸を12.2質量部添加した。その他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A8」を作製した。「樹脂微粒子分散液A8」を構成する「樹脂微粒子A8」のガラス転移温度は38.9℃であった。また、「樹脂微粒子A8」を作製する際に使用した各ビニル系単量体の割合は、スチレンが66.4質量%、n−ブチルアクリレートが24.4質量%、メタクリル酸が4.4質量%、イタコン酸が4.8質量%であった。
(8)「樹脂微粒子分散液A9」の作製
前記「樹脂微粒子分散液A1」の作製において、第1段重合の「混合溶液1」を調製する際、イタコン酸を添加せず、メタクリル酸の添加量を35.6質量部に変更した他は同じ手順で「樹脂微粒子分散液A9」を作製した。「樹脂微粒子分散液A9」を構成する「樹脂微粒子A9」のガラス転移温度は43.5℃であった。また、「樹脂微粒子A9」を作製する際に使用した各ビニル系単量体の割合は、スチレンが67.0質量%、n−ブチルアクリレートが26.0質量%、メタクリル酸が7.0質量%であった。
以上の手順で作製した「樹脂微粒子A1〜A9」を構成するスチレン、n−ブチルアクリレート、メタクリル酸、イタコン酸等の極性基を複数有するビニル系モノマーの組成比、ガラス転移温度を下記表1に示す。
Figure 2011186116
1−3.「クリアトナー1」の作製
(1)「クリアトナー母体粒子1」の作製(凝集・融着工程)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
「樹脂微粒子分散液A1」 400質量部(固形分換算)
イオン交換水 1250質量部
ドデシル硫酸ナトリウム 8.5質量部
を投入、撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を撹拌の下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温させ、80℃に保持させたまま上記「樹脂微粒子A1」の凝集、融着を継続した。この状態で「マルチサイザー3(ベックマンコールター社製)」を用いて形成されている粒子の粒径測定を行い、粒子の体積基準メディアン径が6.0μmになったときに、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解させた水溶液を添加して凝集を停止させた。
凝集停止後、熟成処理として液温を80℃にして加熱撹拌を3時間行って融着を継続させて「クリアトナー母体粒子1」を形成させた。その後、液温を30℃まで冷却し、塩酸を使用して液中をpHを2に調整して撹拌を停止した。
上記工程を経て作製した「クリアトナー母体粒子分散液1」をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40(松本機械(株)製)」で固液分離し、「クリアトナー母体粒子1」のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機でろ液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄した後「フラッシュジェットドライヤ(セイシン企業(株)製)」に移し、水分量が1.0質量%になるまで乾燥処理を行って「クリアトナー母体粒子1」を作製した。
(2)外添処理
作製した「クリアトナー母体粒子1」に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行うことにより「クリアトナー1」を作製した。
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm、疎水化度68)
1.0質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm、疎水化度63)
0.3質量部
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
以上の手順により、「クリアトナー1」を作製した。なお、上記手順で作製した「クリアトナー1」の体積基準メディアン径は6.0μmであった。
1−4.「クリアトナー2〜9」の作製
前記「クリアトナー1」の作製で、「樹脂微粒子分散液A1」に代えて「樹脂微粒子分散液A2〜A9」をそれぞれ用いた他は同じ手順で「クリアトナー2〜9」を作製した。なお、上記手順で作製した「クリアトナー2〜9」の体積基準メディアン径はいずれも6.0μmであった。
1−5.「クリアトナー10、11」の作製
前記特許文献1(特開2008−151851号)の記載内容にしたがって、文献中の段落0045の表1に記載されている「ポリエステル樹脂D」を作製し、これを用いて公知の方法により「クリアトナー10」を作製した。なお、前記特許文献1にはトナーにワックスを含有する旨の記載や示唆がなかったので、文献の記載にしたがってワックスを使用せずにクリアトナーを作製した。また、前記特許文献5(特開2006−11218号公報)の記載内容にしたがって、文献中の段落0074に記載された手順でワックスを含有するポリエステル樹脂よりなる「クリアトナー11」を作製した。なお、これら「クリアトナー10、11」には、上記クリアトナー「1〜9」を作製するときと同様の上記外添処理を施すとともに、体積基準メディアン径を6.0μmにした。
2.「クリアトナー1〜11」の構造解析
市販の透過型電子顕微鏡(TEM)「JEM−2000FX(日本電子製)」を用いて上記各クリアトナー粒子の構造解析を行った。先ず、作製した「クリアトナー1〜11」をそれぞれ常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分分散させた後、包埋し、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた後、加圧成形を行ってクリアトナーを含有したブロックを作製した。作製したブロックをダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて、厚さ200nmの薄片状に切り出して測定用試料を作製した。
作製した薄片状の測定用試料を透過型電子顕微鏡(TEM)にセットして、クリアトナーの断面構造を写真撮影した。このとき、ネガ倍率を280倍に設定して撮影を行い、引き伸ばしにより倍率1200倍の写真画像を作成した。この様にして作成した写真画像を市販の画像処理装置「LuzexIII(ニレコ(株)製)」で解析し、クリアトナー粒子中に形成されているドメイン相の大きさ(平均ドメイン径)を算出した。なお、「ドメイン相の大きさ」は、作成した写真画像を前記画像処理装置で解析する際、クリアトナー粒子20個中に存在する各ドメインについて各々円相当径を算出し、その算術平均値を「ドメイン相の大きさ(平均ドメイン径)」とした。以上の手順で算出した「クリアトナー1〜11」のドメイン相の大きさを表2に示す。
Figure 2011186116
表2に示す様に、「クリアトナー1〜8」には、平均ドメイン径が0.10μm〜0.85μmの複数の相が粒子中に存在していることが確認された。一方、「クリアトナー10」には、「クリアトナー1〜9」でみられたドメイン相は観察されず、「クリアトナー11」には、粒子中に3.0μmのドメインが存在していることが確認された。
3.評価実験
3−1.クリアトナー現像剤の調製
前記「クリアトナー1〜11」に対して、メチルメタクリレート樹脂を被覆してなる体積平均粒径40μmのフェライトキャリアを、クリアトナー濃度が6質量%になるように混合し、2成分現像剤の形態をとる「クリアトナー現像剤1〜11」を調製した。
3−2.評価実験その1(ローラ定着装置搬送性評価)
加熱ローラと加圧ローラ、分離爪を有する定着装置を搭載した市販のデジタルカラー複合機「bizhub C353(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」に、前記クリアトナー現像剤を搭載し、定着装置での画像支持体の搬送性を評価した。評価は、温度20℃、相対湿度55%RHの環境下で、各クリアトナー現像剤を用いてA4サイズの画像支持体上に図6に示す様に○、△、□及び☆型の透かし画像Sを2列に形成した後、当該透かし画像を有する画像支持体が加熱ローラに巻き付きを起こさずに搬送されることを評価した。
ここで、本発明の構成を満たす「クリアトナー1〜8」を用いて評価を行ったものを「実施例1〜8」、本発明の構成から外れる「クリアトナー9〜11」を用いて評価を行ったものを「比較例1〜3」とした。また、A4サイズの画像支持体には、市販の「OKトップコート+(坪量157g/m、紙厚131μm)(王子製紙(株)製)」を使用し、50枚の画像支持体に連続で透かし画像形成を行った後、続けて定着装置を通過させて下記評価基準に基づいて行った。◎〜△を合格とする。すなわち、
(評価基準)
◎:全ての画像支持体が、加熱ローラへの巻き付きを起こさず、かつ、分離爪に接触せずに定着装置を通過した
○:加熱ローラへの巻き付きを起こす傾向は見られず、分離爪に接触したものが5〜10枚確認されたが画像上に分離爪のあとは認められなかった
△:加熱ローラへの巻き付きを起こす傾向が若干みられ、分離爪に接触したものが目立ったが画像上に分離爪のあとは認められなかった
×:加熱ローラへの巻き付き発生が確認され、画像上に分離爪のあとが認められるものがあった。
結果を表3に示す。
Figure 2011186116
表3に示す様に、平均ドメイン径が0.10μm以上0.85μm以下の相を有する「クリアトナー1〜8」を用いた「実施例1〜8」は、いずれも加熱ローラへの巻き付きによる問題のおそれのないものであることが確認された。一方、ワックスを含有していない「クリアトナー10」を用いた「比較例2」は、加熱ローラへの巻き付きの発生が確認されるとともに画像上に分離爪のあとが認められ、ローラ定着装置を用いて画像形成が行えないことを確認した。
3−3.評価実験その2(光沢面形成時評価)
(1)評価条件
下記(a)〜(c)に示す市販の画像形成装置を使用してA4サイズの画像支持体上に同一の画像を形成した後、当該画像支持体全面に前記「クリアトナー1〜9」をそれぞれ供給してクリアトナー層を形成した。クリアトナーが供給された各画像支持体を図4のクリアトナー層形成装置1に持っていき、クリアトナーを加熱、溶融させた後、画像支持体をベルト部材に密着させて搬送、剥離させて画像支持体全面にクリアトナー層(光沢面)を形成する操作を行った。
各クリアトナーに対して、(a)〜(c)に示す画像形成装置で画像形成された画像支持体を150枚ずつ、合計で450枚用意し、連続操作により搬送性とクリアトナーにより形成された画像面の仕上がりを評価した。連続操作を行う際、各画像形成装置で画像形成された画像支持体が同じ条件でクリアトナー層を形成させるため、「電子写真方式で画像出力した画像支持体→インクジェット方式で画像出力した画像支持体→製版方式で画像出力した画像支持体→電子写真方式で画像出力した画像支持体→・・・」の順番を繰り返してクリアトナー層形成の操作を行った。
画像支持体上への画像出力に使用した画像形成装置は以下のとおりである。すなわち、
(a)電子写真方式:「bizhub C353(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」
(b)インクジェット方式:「インクジェットプリンタPX−5800(セイコーエプソン(株)製)」
(c)製版方式:「RISOデジタルスクリーン製版機 SP400D(理想科学工業(株)製)」
評価は、評価実験その1のときと同様、温度20℃、相対湿度55%RHの環境下で、画像支持体に市販の「OKトップコート+(坪量157g/m、紙厚131μm)(王子製紙(株)製)」を使用して行った。なお、各種画像形成装置を用いて出力した画像は、画像支持体中央部にクリアトナー層形成装置の搬送方向に対して垂直方向に幅10cmの帯状のベタ黒画像を出力し、ベタ黒画像の両側に搬送方向に対して垂直方向に帯状の白地画像を出力したものである。
ここで、ローラ定着装置搬送性評価と同様、本発明の構成を満たす「クリアトナー1〜8」を用いて評価を行ったものを「実施例1〜8」、本発明の構成から外れる「クリアトナー9〜11」を用いて評価を行ったものを「比較例1〜3」とした。
なお、図4に示すクリアトナー層形成装置1は下記条件に設定した。すなわち、
(a)クリアトナーの現像量:4g/m
(b)ベルト部材材質:ポリイミドフィルム(厚さ50μm)上にPFA層(厚さ10μm)を配置したもの
(c)ベルト部材表面粗さ(初期表面粗さ):Ra 0.4μm
(d)加熱、加圧ロールの仕様
・加熱ロール:外径100mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体
・加圧ロール:外径80mm、厚さ10mmのアルミニウム製基体上に厚さ3mmのシリコーンゴム層を配置したもの
・加熱ロール及び加圧ロールの内部にハロゲンランプを各々配置したものでロール表面温度は、加熱ロールが155℃、加圧ロールが115℃に設定(サーミスタにより温度制御)
・加熱ロールと加圧ロールのニップ幅:11mm
(e)剥離ロール位置での転写材温度:50±5℃になるように設定
(f)加熱、加圧ロールニップ部より剥離ロール位置までの距離:620mm
(g)画像支持体基準搬送速度:220mm/秒
(h)画像支持体搬送方向:A4サイズの上記画像支持体を横方向に搬送させる
(i)評価環境:常温常湿環境(温度20℃、相対湿度55%RH)
(2)評価項目
〈クリアトナー層形成装置における画像支持体搬送性能評価〉
この評価は、クリアトナー層が形成された画像支持体のベルト部材による搬送性能と剥離ローラを通過時の剥離性能を評価するとともに、排出されたプリント物上におけるキズ発生の有無を目視で評価するものである。図1に示す画像形成装置1は、加熱加圧装置10で画像支持体上に形成したクリアトナー層を加熱、溶融し、溶融したクリアトナー面をベルト部材11面に密着させて画像支持体を搬送し、剥離ロール103の位置でベルト部材11より剥離するものである。下記3項目が○と△のものを合格とした。
(評価基準)
(a)ベルト部材による搬送性能
○;全てベルト部材から剥離せず安定した搬送が行えた
△;ベルト部材から若干剥離しかかったものが見られたが搬送には全く影響を与えなかった
×;ベルト部材から剥離して落下するものが発生する等、搬送に支障をきたすものが出た。
(b)剥離ロール位置での剥離性能
○;全てベルト部材より剥離して安定した排出が行えた
△;ベルト部材からの剥離に若干時間を要したものが見られたが排出には全く影響を与えなかった
×;ベルト部材からの剥離に間に合わず、搬送に支障をきたすものが出た。
(c)プリント物上におけるキズ発生
○;全ての5枚ともクリアトナー層面及び裏面の両面にキズ発生がみられなかった
×;クリアトナー層面及び裏面のいずれか一方、または、両面にキズ発生したものがあった。
〈クリアトナー層の仕上がり評価(にごり発生の有無)〉
画像支持体上に出力されている幅10cmの帯状のベタ黒画像上に形成されているクリアトナー層を目視観察してにごり(白濁)の有無を評価した。評価は20人の被験者に試料を提示してあらゆる角度から目視観察させて行ったもので、にごりがないと判定した被験者数の割合を算出し、被験者の50%以上が「にごりがない」と判定したものを合格とし、80%以上のものは優れているものと判定した。
以上の結果を表4に示す。
Figure 2011186116
表4に示す様に、「クリアトナー1〜8」を用いた「実施例1〜8」では、図4に示すクリアトナー層形成装置を用いて良好な搬送性が得られ、形成された光沢面はにごりのない良好な仕上がりのものが得られた。一方、「比較例1、3」では、搬送中の画像支持体がベルト部材より脱離して搬送不良を起こし易いものになった。また、光沢面ににごりが顕著に現れていた。
1 クリアトナー層形成装置
10 加熱加圧装置
101 加熱ロール
102 加圧ロール
103 剥離ロール
104 従動ロール
11 ベルト部材
12、13 冷却ファン
14 搬送補助ロール
2 画像形成装置
20S クリアトナー供給部
20Y、20M、20C、20Bk 画像形成部
21(21S、21Y、21M、21C、21Bk) 感光体
22(22S、22Y、22M、22C、22Bk) 帯電装置
24(24S、24Y、24M、24C、24Bk) 現像装置
25(25S、25Y、25M、25C、25Bk) クリーニング装置
26 中間転写ベルト
27(27S、27Y、27M、27C、27Bk) 1次転写ロール
30S、30Y、30M、30C、30Bk 露光部
50 ローラ定着装置
D ドメイン相
M マトリクス相
P 画像支持体
S 透かし画像
T クリアトナー

Claims (11)

  1. 少なくとも、樹脂とワックスを含有するとともに、
    平均ドメイン径が0.10μm以上0.85μm以下のワックスのドメイン相を分散させた相分離構造を有し、
    前記樹脂が、少なくとも、複数の極性基を有するビニル系モノマーを用いて形成されるものであることを特徴とするクリアトナー。
  2. 前記極性基がカルボキシル基(−COOH)であることを特徴とする請求項1に記載のクリアトナー。
  3. 前記複数の極性基を有するビニル系モノマーが、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のクリアトナー。
  4. 前記複数の極性基を有するビニル系モノマーが、イタコン酸であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のクリアトナー。
  5. 前記クリアトナーは、
    電子写真感光体表面に形成された静電潜像を現像してクリアトナーの画像を形成し、
    前記クリアトナーの画像が画像支持体上の所定領域に転写された後、
    ローラ定着装置により定着されて、
    前記画像支持体の所定領域にクリアトナーの画像を形成する画像形成方法に使用されるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のクリアトナー。
  6. 前記クリアトナーは、
    画像支持体全面に供給された後、加熱、溶融され、
    前記画像支持体上で溶融しているときにベルトに密着させられ、
    前記ベルトに密着させられた状態で冷却されて、
    前記画像支持体全面にクリアトナー層を形成する画像形成方法に使用されるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のクリアトナー。
  7. 少なくとも、
    電子写真感光体表面に潜像を形成する潜像形成工程と、
    前記電子写真感光体表面に形成された静電潜像にクリアトナーを供給してクリアトナー画像を形成する現像工程と、
    前記現像工程で形成されたクリアトナー画像を転写体表面に転写する転写工程と、
    前記転写工程を経て画像支持体上に転写されたクリアトナー画像をローラ定着装置を用いて定着する定着工程と、を有する画像形成方法であって、
    前記画像形成方法に使用されるクリアトナーは、
    少なくとも、樹脂とワックスを含有するとともに、
    平均ドメイン径が0.10μm以上0.85μm以下のワックスのドメイン相を分散させた相分離構造を有し、
    前記樹脂が、少なくとも、複数の極性基を有するビニル系モノマーを用いて形成されるものであることを特徴とする画像形成方法。
  8. 少なくとも、
    画像支持体全面に供給されたクリアトナーを加熱、溶融する工程と、
    前記画像支持体のクリアトナーが供給された側の面をベルトに密着させ、ベルトに密着させた状態で前記クリアトナーを冷却する工程と、
    前記画像支持体をベルトより剥離する工程を有する画像形成方法であって、
    前記画像形成方法に使用されるクリアトナーは、
    少なくとも、樹脂とワックスを含有するとともに、
    平均ドメイン径が0.10μm以上0.85μm以下のワックスのドメイン相を分散させた相分離構造を有し、
    前記樹脂が、少なくとも、複数の極性基を有するビニル系モノマーを用いて形成されるものであることを特徴とする画像形成方法。
  9. 前記極性基がカルボキシル基(−COOH)であることを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成方法。
  10. 前記複数の極性基を有するビニル系モノマーが、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、アコニット酸のいずれかであることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の画像形成方法。
  11. 前記複数の極性基を有するビニル系モノマーが、イタコン酸であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011138113A (ja) * 2009-12-01 2011-07-14 Konica Minolta Business Technologies Inc クリアトナー、画像形成方法
JP2012103579A (ja) * 2010-11-12 2012-05-31 Konica Minolta Business Technologies Inc 箔転写面形成用トナー、箔転写方法、及び、箔転写面形成用トナーの製造方法
JP2018105951A (ja) * 2016-12-26 2018-07-05 キヤノン株式会社 画像形成方法、画像形成装置及びトナーキット

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