JP4687527B2 - 静電荷像現像用トナー製造方法、静電荷像現像用トナー - Google Patents

静電荷像現像用トナー製造方法、静電荷像現像用トナー Download PDF

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Description

本発明は、静電荷像現像用トナー製造方法及び静電荷像現像用トナーに関する。
省エネルギー化が進む中、電子写真業界では、消費電力を低減するため低温定着化の技術が開発されている。
低温定着可能な静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーともいう)は、画像形成時にトナーオフセットを発生したり、トナーボトル或いはカートリッジ中に保存している間にトナーが凝集してしまうという保管安定性に問題が有った。
オフセット発生防止と保管安定性を両立させるため、トナー粒子の構造をコア・シェル構造とする手法が考えられ、従来より検討されてきている。
コア・シェル構造のトナー粒子を作製する方法としては、重合性単量体を溶液中で重合した樹脂粒子を凝集、融着させてコア部を形成し、更に樹脂粒子溶液を添加しコア部の表面上にシェル層を形成する方法が知られている(特許文献1、2参照。)。
しかしながら、前記したコア部形成後に、シェル用の樹脂粒子を添加しコア・シェル構造のトナー粒子を作製する手法では、コア部形成のための凝集、融着工程、シェル層形成のための凝集、融着工程と2度凝集、融着工程を行う必要があった。このため、製造工程が複雑で製造に時間がかかっているのが現状である。
特開2004−109939号公報 特開2002−116574号公報
本発明は、低温定着性を確保し、且つトナーオフセットが発生せず保管安定性に優れたコア・シェル構造を有するトナー粒子及びそのトナー粒子を簡易化した製造工程で、且つ短時間で製造できるトナー製造方法を提供することを目的とする。
本発明の課題は、下記構成を採ることにより達成される。
1.
少なくとも疎水性樹脂のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する親水性樹脂と疎水性樹脂とを有する樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて得られた凝集粒子を熟成することにより、凝集粒子の外側に親水性樹脂を配向させ、内部に疎水性樹脂を配向させてコア・シェル構造を形成することを特徴とする静電荷像現像用トナー製造方法。
2.
前記親水性樹脂のガラス転移温度が、前記疎水性樹脂のガラス転移温度より3〜25℃高いことを特徴とする前記1に記載の静電荷像現像用トナー製造方法。
3.
少なくとも疎水性樹脂のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する親水性樹脂と疎水性樹脂とを有する樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて得られた凝集粒子を熟成することにより、凝集粒子の外側に親水性樹脂を配向させ、内部に疎水性樹脂を配向させてコア・シェル構造を形成することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
4.
前記親水性樹脂のガラス転移温度が、前記疎水性樹脂のガラス転移温度より3〜25℃高いことを特徴とする前記3に記載の静電荷像現像用トナー。
本発明は、低温定着性を確保し、且つトナーオフセットが発生せず保管安定性に優れたコア・シェル構造を有するトナー粒子及びそのトナー粒子を簡易化した製造工程で、且つ短時間で製造できるトナー製造方法を提供することができる。
本発明者らは、コア・シェル構造を有するトナー粒子を、簡素化した製造工程で、且つ短時間で作製する方法について検討を行った。
種々検討の結果、低ガラス転移温度(低Tg)コア部と高ガラス転移温度(高Tg)シェル層とからなるコア・シェル構造のトナー粒子を、凝集、融着工程1回で製造できることを見出した。
具体的には、高ガラス転移温度(高Tg)の親水性樹脂と低ガラス転移温度(低Tg)の疎水性樹脂とを有する樹脂粒子を凝集させて得られた凝集粒子を、熱エネルギー(加熱)により融着と同時に熟成することにより、親水性樹脂がトナー母体の外側(シェル層に相当)に配向され、疎水性樹脂が内部(コア部に相当)に配向され、コア・シェル構造になる。
このように親水性樹脂と疎水性樹脂とが凝集粒子中で配向する理由は、親水性樹脂が水系媒体に引かれて外側に配向し、疎水性樹脂が水系媒体に反発し、且つ親水性樹脂よりも低ガラス転移温度を有しているので内部に配向するものと考えられる。
凝集粒子の外側(シェル層)に高Tgの親水性樹脂が存在し、内部(コア部)に低Tgの樹脂が存在することにより、低温定着性能を確保し、且つトナーオフセットが発生せず保管安定性に優れたトナーを製造することができる。
公知のコア・シェル構造のトナーを作製する方法では、重合性単量体を溶液中で重合した樹脂粒子を凝集、融着させてコア部を形成し、更に樹脂粒子溶液を添加しコア部の上にシェル層を形成するので工程が複雑になり、時間もかかってしまう。更に、コア部用の樹脂粒子とシェル層用の樹脂粒子も準備しなければならず、装置も大がかりになる。
しかし、本発明の製造方法では、樹脂粒子を凝集させて得られた凝集粒子を融着と同時に熟成するだけでコア・シェル構造のトナーを作製することができ、装置の単純化、工程の短縮、時間の短縮を図ることができる。
また、本発明に係るコア・シェル構造を有するトナー粒子の製法では、従来のコア粒子上にシェル用粒子を付着・融着させる方法に比べて、1工程少なくなる上に、トナー性能としても、耐熱保管安定性、定着オフセット性が向上できたのである。要因としては、本発明に係るトナーは、トナー粒子内部での水に対する配向性を利用してコア・シェル構造を形成しているため、トナー粒子内部で中心から表面に向けて樹脂組成の配向が生じ、疎水性樹脂の持つ熱特性がそのままトナー粒子表面に出てしまうことがなくなるためである。
コア粒子をシェル用粒子で被覆する手法では、コアが被覆できなかったり、何らかの外的付加によりシェル層が剥けたり、ヒビが入ってしまうとコア粒子自体の影響がそのまま出てしまうのである。
尚、親水性樹脂とは、樹脂を構成する組成成分中に酸モノマー(重合性単量体)を含む樹脂である。
酸モノマーとは、例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−アクリルアシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
その他の樹脂を構成する塑性成分としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレン或いはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸誘導体が挙げられる。
親水性樹脂中の酸モノマーの添加量(組成比)としては、0.5〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは1.0〜5.0質量%である。また、親水性樹脂としては、酸モノマーの組成比率の異なる2種以上の樹脂を組み合わせて用いることが好ましい。酸モノマー比率が異なる親水性樹脂によって、低ガラス転移温度の疎水性樹脂を2種以上の親水性樹脂で被覆する形となるため、耐熱性の低い疎水性樹脂を8割以上に被覆することができるためである。
トナー粒子中に占める親水性樹脂の割合は、5〜80質量%が好ましい。
《ガラス転移温度》
本発明に用いられる親水性樹脂のTgは、疎水性樹脂のTgより高いことが好ましい。
具体的には、親水性樹脂のTgは、疎水性樹脂のTgより3〜25℃高いものが好ましい。
疎水性樹脂とは、樹脂を構成する組成成分中に酸モノマー(重合性単量体)を含まない樹脂である。具体的には、親水性樹脂の構成成分中より、酸モノマーを含まない重合性単量体で形成される樹脂全てが該当する。親水性樹脂と疎水性樹脂の組み合わせとしては、各樹脂を構成する重合性単量体として特に限定されるものではではい。
本発明に用いられる少なくとも親水性樹脂と疎水性樹脂とを有する樹脂粒子は、樹脂粒子として1種であってもよいし、2種以上の混合物でもよい。
1種の樹脂粒子とする場合は、1個の樹脂粒子中に親水性樹脂と疎水性樹脂とを有することとなり、コアが疎水性樹脂でシェルが親水性樹脂のような多層構造樹脂粒子、もしくは親水性樹脂中に疎水性樹脂がドメインで分散しているようなドメイン構造を有する樹脂粒子などを用いる。また、2種以上の樹脂粒子の混合物の場合は、親水性樹脂のみから形成される樹脂粒子、疎水性樹脂のみから形成される樹脂粒子、前述した親水性樹脂と疎水性樹脂とを1個の樹脂粒子に併せ持つ樹脂粒子からの組み合わせが考えられる。ただし、親水性樹脂と疎水性樹脂はいずれかの樹脂粒子中に必ず含まれるものとする。本発明に係る樹脂粒子としては、樹脂粒子同士の凝集のしやすさから、1種の樹脂粒子とすることが好ましいため、多層構造粒子が好ましく、特に親水性樹脂が最表面層に存在している多層構造粒子が好ましく用いられる。
はじめに、本発明に係るトナーの粒径、ガラス転移温度について説明する。
《トナーの粒径》
本発明に係るトナーは、体積基準におけるメディアン径(D50)で3〜8μmが好ましく、4〜7μmがより好ましい。
体積基準におけるメディアン径(D50)の測定は、以下のようにして行う。
「コールターマルチサイザーIII」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出する。測定手段としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20g(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液をサンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10質量%になるまでピペットにて注入する。この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値が得られる。測定機において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャー径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割して各頻度値を算出する、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径を体積基準におけるメディアン径とする。
本発明に係るガラス転移温度(Tg)の測定は、以下のようにして行う。
測定は、示差走査カロリーメーター「DSC−7」(パーキンエルマー社製)、熱分析装置コントローラ「TAC7/DX」(パーキンエルマー社製)を用いて行うことができる。
操作手順としては、測定サンプル4.5〜5.0mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パン「KitNo.0219−0041」に封入し、「DSC−7サンプルホルダー」にセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行う。
ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間の最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移温度として示す。
《コア・シェル構造の確認》
本発明に係るトナー粒子のコア・シェル構造の確認は、例えば透過型電子顕微鏡を用いコア粒子とシェルとの界面となる境界線を目視にて確認する方法や樹脂の硬度差で検知する方法により確認されるものである。
透過型電子顕微鏡による確認方法としては、例えば、LEM−2000型(トプコン社製)、JEM−2000FX(日本電子製)等が用いられる。具体的には、まずトナー粒子を常温硬化性のエポキシ樹脂中に十分分散させた後、包埋し、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた後加圧成形する。必要により得られたブロックを四三酸化ルテニウム、または、四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、トナー粒子1個の断面が視野に入る倍率(約10000倍)にて写真撮影する。次に、前記写真において、着色剤やワックス等の存在領域を目視観察により確認しつつコア粒子とシェルとの界面となる境界線を目視にて確認する。
樹脂の硬度差で検知する方法としては、走査型プローブ顕微鏡SP1380N、多機能型ユニットSPA400(エスアイアイ・ナノテクノロジー(株)社製)を用いて行った。測定試料には、トナー粒子をエポキシ樹脂に包埋し、60℃で24時間硬化後、ダイヤモンド歯を供えたミクロトームを用い平面を切り出すことにより、断面を平滑化し、トナー粒子断面の観察できるブロックを用いた。スキャナーはFS−100N(内面100μm、垂直15μm)、マイクロカンチレバーは窒化ケイ素製SN−AF01(バネ定数0.08N/m)を用いて、測定モードはマイクロ粘弾性モード(VE−AFM)で行った。加振周波数3〜5kHz、加振振幅4〜6nmに設定し、形状像、振幅A、Asinδ、Acosδの4画面を各10μm×10μmの測定エリアで同時に測定し、振幅像にてシェル層を目視観察により確認した。
測定を行うトナー粒子の数は、いずれの手法においても100個とし、そのうちの8割以上の粒子にコア・シェル構造が確認された場合に、コア・シェル構造を有するトナーとするものである。
コア・シェル構造とは、上記コア・シェル構造の確認方法により、コア粒子の8割以上の表面が、樹脂層によって覆われている状態を示すものである。樹脂層とは、樹脂粒子同士が融着し形成された状態を示すものであり、外添剤粒子などの粒子が付着もしくは固着されている状態とは異なるものである。
《トナー製造方法》
本発明のトナー製造方法を図1に基づいて説明するが、本発明のトナー製造方法はこれに限定されるものではない。
図1は、コア・シェル構造のトナー母体が形成される過程の一例を示す模式図である。
図1のAは、3段重合で親水性樹脂と疎水性樹脂とを有する樹脂粒子が形成される過程を示す模式図である。
図1のBは、樹脂粒子を凝集させて凝集粒子が形成される過程(凝集工程)を示す模式図である。
図1のCは、凝集粒子を融着と同時に熟成させてコア・シェル構造のトナー母体が形成される過程(融着・熟成工程)を示す模式図である。
図1において、10は樹脂粒子、11は親水性樹脂部、12は疎水性樹脂部、13は親水性樹脂部、21は着色剤粒子、22は凝集粒子、31、32は融着・熟成過程の粒子、33は融着・熟成完了後のトナー母体、34は親水性樹脂からなるシェル層、35は疎水性樹脂からなるコア部を示す。
図1に示すように、先ず、親水性樹脂と疎水性樹脂とを含む樹脂粒子10を作製し、この樹脂粒子10を凝集して凝集粒子22を形成し、この凝集粒子を融着してコア・シェル構造のトナー母体を製造する。
尚、トナー母体とは、外添剤を処理してトナーとする前のものである。
次に、本発明のトナー製造方法について詳細に説明する。
トナー製造方法としては、少なくとも親水性樹脂と疎水性樹脂とを有する樹脂粒子を、凝集させて凝集粒子を作製し、該凝集粒子を融着する工程を含む製法であれば特に限定されるものではなく、樹脂粒子の作製法として具体的には、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合・凝集法、ミニエマルジョン重合・凝集法、分散重合法、溶解懸濁法等を挙げることができる。
以下、乳化重合・凝集法について説明する。
〈乳化重合・凝集法〉
乳化重合・凝集法は、少なくとも親水性樹脂と疎水性樹脂とを有する樹脂粒子を水系媒体中で凝集、融着させて調製する方法である。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。即ち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、或いは樹脂及び着色剤等より構成される粒子を複数以上塩析、凝集、融着させる方法、特に水中に、これらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、更に加熱、撹拌しながら熟成を行い、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、トナーを形成することができる。
本発明のトナー製造方法においては、重合性単量体に離型剤を溶解或いは分散した後、水系媒体中に機械的に微粒分散させ、ミニエマルジョン重合法により重合性単量体を重合させる工程を経て形成した複合樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集、融着させる方法が好ましく用いられる。
次に、ミニエマルジョン重合・凝集法によるトナー製造方法の一例について詳細に説明する。
(1)離型剤をラジカル重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)親水性樹脂と疎水性樹脂とを有する樹脂粒子の分散液を調製するための重合工程
(3)水系媒体中で樹脂粒子と着色剤粒子を凝集させて凝集粒子を得る凝集工程
(4)凝集した凝集粒子を熱エネルギーにより融着させるとともに熟成して、親水性樹脂をトナー母体の表面に、疎水性樹脂を内部に配向させてコア・シェル構造のトナー母体を作製する融着・熟成工程
(5)トナー母体の分散液を冷却する冷却工程
(6)冷却されたトナー母体の分散液から当該トナー母体を固液分離し、当該トナー母体から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(7)洗浄処理されたトナー母体を乾燥する乾燥工程
必要に応じ
(8)乾燥処理されたトナー母体に外添剤を添加する工程が含まれていてもよい。
以下、各工程について説明する。
〔溶解/分散工程〕
この工程は、ラジカル重合性単量体に離型剤を溶解或いは分散させて、当該離型剤のラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
〔重合工程〕
この重合工程の好適な一例においては、界面活性剤を含有した水系媒体中に、前記離型剤を溶解或いは分散含有したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性のラジカル重合開始剤からのラジカルにより当該液滴中において重合反応を進行させる。尚、前記水系媒体中に、核粒子として樹脂粒子を添加しておいても良い。
この重合工程により、離型剤と親水性樹脂と疎水性樹脂とを有する樹脂粒子が得られる。かかる樹脂粒子は、着色された粒子であってもよく、着色されていない粒子であってもよい。着色された樹脂粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。また、着色されていない樹脂粒子を使用する場合には、後述する融着・熟成工程において、樹脂粒子の分散液に、着色剤粒子の分散液を添加し、樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させることでトナー母体とすることができる。
〔凝集工程〕
樹脂粒子と、必要に応じ着色剤粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し凝集粒子を形成する。また、当該凝集工程においては、樹脂粒子や着色剤粒子とともに、離型剤粒子や荷電制御剤などの内添剤粒子なども凝集させることができる。樹脂粒子、着色剤粒子、離型剤粒子や荷電制御剤などの内添剤粒子の添加時期としては、凝集粒子径が最終粒径の約半分になる時点までに全ての粒子が添加されることが好ましい。
〔融着・熟成工程〕
融着・熟成は、熱エネルギー(加熱)により行う方法が好ましい。
具体的には、前記凝集工程において凝集した粒子を、加熱撹拌することにより、粒子中で樹脂分子レベルで流動化させて、媒体である水となじみやすい親水性樹脂を粒子表面に移動させ、水と反発しあう疎水性樹脂を粒子内部へ移動させ、疎水性樹脂コア/親水性樹脂シェルに配向させ、コア・シェル構造を有するトナー母体を形成させる。
疎水性樹脂コア/親水性樹脂シェルの構成とするための条件としては、樹脂を分子量レベルで流動化させる必要があるため、加熱温度は樹脂の最も高いガラス転移温度(maxTg)より30℃以上高い温度であることが好ましく、より好ましくは(maxTg)+40℃以上でる。水を含む水系媒体を使用する場合は、水の沸点より、上限は100℃未満とする。また、加熱温度に反比例する形で、30分〜5時間程度必要でるが、2時間以上十分に流動化させることが好ましい。更に、撹拌条件としては、凝集粒子同士の合一が生じにくい層流状態であり、且つ、温度分布が均一であることが好ましいため、撹拌翼形状としてはマックスブレンド翼またはフルゾーン翼を用いることが好ましい。
〔冷却工程〕
この工程は、前記トナー母体の分散液を冷却処理する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
〔洗浄工程〕
この洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却されたトナー母体の分散液から当該トナー母体を固液分離し、固液分離されたトナーケーキ(ウェット状態にあるトナー母体をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、洗浄処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う洗浄法など特に限定されるものではない。
〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥されたトナー母体を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥されたトナー母体の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理されたトナー母体同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
〔外添処理工程〕
この工程は、乾燥されたトナー母体に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
(結着樹脂)
前述して疎水性樹脂と親水性樹脂を採用する。
更に、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
疎水性樹脂または親水性樹脂を構成するモノマー(重合性単量体)はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系またはジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
また、乳化重合・凝集法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等を使用することができる。
(連鎖移動剤)
樹脂の分子量を調整する為には、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが可能である。用いられる連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく例えばn−オクチルメルカプタン、n−デシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル等のメルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素及びα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
(着色剤)
本発明に用いられる着色剤は、公知の無機または有機着色剤を使用することができる。具体的な着色剤を以下に示す。
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
また、マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
また、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
また、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
尚、これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用しても良い。また、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのが良い。
(離型剤)
本発明に用いられる離型剤は、公知の化合物を用いることができる。
このようなものとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
トナーに含有される離型剤の量は、トナー全体に対し1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
(荷電制御剤)
本発明に係るトナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、公知の化合物を用いることができる。
(外部添加剤)
外部添加剤として使用できる無機粒子としては、従来公知のものを挙げることができる。具体的には、シリカ微粒子、チタニア微粒子、アルミナ微粒子及びこれらの複合酸化物等を好ましく用いることができる。これら無機粒子は疎水性であることが好ましい。
外部添加剤として使用できる有機微粒子としては、個数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の微粒子を挙げることができる。かかる有機微粒子の構成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などのを挙げることができる。
《現像剤》
本発明に係るトナーは、一成分現像剤、二成分現像剤として用いることができる。
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、或いはトナー中に0.1μm〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものが挙げられ、いずれも使用することができる。
また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の磁性粒子を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記キャリアの粒子径は、20〜100μmが好ましく、25〜80μmがより好ましい。
キャリアの粒子径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂によりコートされているもの、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コート用の樹脂としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。これらの中では、スチレン−アクリル樹脂でコートしたコートキャリアが外部添加剤の離脱防止や耐久性を確保できより好ましい。
《画像形成》
本発明に係るトナーは、トナー像が形成された転写材を、定着装置を構成する加熱部材間を通過させて定着する接触型定着方式の画像形成装置に好適に使用される。
以下、画像形成装置、定着装置について説明する。
図2は、本発明に用いられる画像形成装置の一例を示す断面図である。
図2において、20Y(20M、20C、20Bk)は画像形成ユニット、21Y(21M、21C、21Bk)は感光体ドラム、22Y(22M、22C、22Bk)はスコロトロン帯電器、23Y(23M、23C、23Bk)は露光光学系、24Y(24M、24C、24Bk)は現像器、25Y(25M、25C、25Bk)はクリーニング装置、34Y(34M、34C、34Bk)は転写器、40は定着装置、115は転写材搬送ベルト、160は搬送部、Pは転写材を示す。
以下、図2の画像形成装置について説明する。
図2の画像形成装置では、4組の画像形成ユニット20Y、20M、20C、20Bkが転写材搬送ベルト115に沿って設けられている。
各画像形成ユニットは、感光体ドラム21Y(21M、21C、21Bk)、スコロトロン帯電器22Y(22M、22C、22Bk)、露光光学系23Y(23M、23C、23Bk)、現像器24Y(24M、24C、24Bk)及びクリーニング装置(クリーニング手段)25Y(25M、25C、25Bk)より構成され、各画像形成ユニットの感光体ドラム(21Y、21M、21C、21Bk)上に形成された各トナー像を、タイミングを合わせて搬送されてくる転写材(転写紙、OHP等)Pに、転写手段としての転写器34Y(34M、34C、34Bk)により順次転写して、重ね合わせカラートナー像を形成する。
転写材Pは、転写材搬送ベルト115に乗って搬送され、転写材分離手段としての紙分離AC除電器161による除電作用と、所定の間隔を空けて搬送部160に設けられる分離部材である分離爪210とにより、搬送ベルトから分離される。
次に転写材Pは、搬送部160を通った後、加熱ローラ41と、加圧ローラ42とにより構成される定着装置(定着手段)40へと搬送され、加熱ローラ41と加圧ローラ42により形成されるニップ部Tで転写材Pが挟持され、熱と圧力とが加えられることにより転写材P上の重ね合わせトナー像が定着された後、機外へ排出される。
前記露光手段には像露光光源として、半導体レーザを用いた走査光学系、及びLEDや液晶シャッター等の固体スキャナー等を用いることができる。
転写材を搬送する転写材搬送ベルト115には、ポリイミド、ポリカーボネート、PVdF等の高分子フィルムや、シリコンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴムにカーボンブラック等の導電性フィラーを添加して導電化したもの等が用いられ、ドラム状、ベルト状どちらでもよいが、装置設計の自由度の観点からベルト状が好ましい。
また、転写ベルトの表面は、適当に粗面化されていることが好ましい。転写ベルトの十点表面粗さRzを0.5〜2μmにすることにより、転写材と転写ベルトの密着性を高め、転写ベルト上での転写材の揺動を防止し、感光体から転写材へのトナー像の転写性を良好にすることができる。
本発明に用いられる転写材とは、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、転写体或いは転写紙と通常よばれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
図3は、本発明に用いられる定着装置(加圧ローラと加熱ローラを用いたタイプ)の一例を示す断面図である。
図3に示す定着装置10は、加熱ローラ71と、これに当接する加圧ローラ72とを備えている。尚、図3において、17は転写材(転写紙)P上に形成されたトナー像である。
加熱ローラ71は、フッ素樹脂または弾性体からなる被覆層82が芯金81の表面に形成されてなり、線状ヒーターよりなる加熱部材75を内包している。
芯金81は、金属から構成され、その内径は10〜70mmとされる。芯金81を構成する金属としては特に限定されるものではないが、例えば鉄、アルミニウム、銅等の金属或いはこれらの合金を挙げることができる。
芯金81の肉厚は0.1〜15mmとされ、省エネの要請(薄肉化)と、強度(構成材料に依存)とのバランスを考慮して決定される。例えば、0.57mmの鉄よりなる芯金と同等の強度を、アルミニウムよりなる芯金で保持するためには、その肉厚を0.8mmとする必要がある。
被覆層82の表面を構成するフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)及びPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などを例示することができる。
フッ素樹脂からなる被覆層82の厚みは10〜500μmとされ、好ましくは20〜400μmとされる。
フッ素樹脂からなる被覆層82の厚みが10μm未満であると、被覆層としての機能を十分に発揮することができず、定着装置としての耐久性を確保することができない。一方、500μmを超える被覆層の表面には紙粉によるキズがつき易く、当該キズ部にトナーなどが付着し、これに起因する画像汚れを発生する問題がある。
また、被覆層82を構成する弾性体としては、LTV、RTV、HTVなどの耐熱性の良好なシリコンゴム及びシリコンスポンジゴムなどを用いることが好ましい。
被覆層82を構成する弾性体のアスカーC硬度は、80°未満とされ、好ましくは60°未満とされる。
また、弾性体からなる被覆層82の厚みは0.1〜30mmが好ましく、0.1〜20mmがより好ましい。
加熱部材75としては、ハロゲンヒーターを好適に使用することができる。
加圧ローラ72は、弾性体からなる被覆層84が芯金83の表面に形成されてなる。被覆層84を構成する弾性体としては特に限定されるものではなく、ウレタンゴム、シリコンゴムなどの各種軟質ゴム及びスポンジゴムを挙げることができ、被覆層84を構成するものとして例示したシリコンゴム及びシリコンスポンジゴムを用いることが好ましい。
また、被覆層84の厚みは0.1〜30mmが好ましく、0.1〜20mmがより好ましい。
また、定着温度(加熱ローラ10の表面温度)は70〜210℃、定着線速は80〜640mm/secが好ましい。また、加熱ローラのニップ幅は8〜40mm、好ましくは11〜30mmに設定する。
尚、加熱ローラは、シリコンオイルを1プリント当たり0.3mg以下塗布して用いても良いが、オイルレスで用いても良い。
図4は、本発明に用いられる定着装置(ベルトと加熱ローラを用いたタイプ)の一例を示す概略図である。
図4の定着装置10は、ニップ幅を確保するためにベルトと加熱ローラを用いたタイプのもので、定着ローラ601とシームレスベルト11、及びシームレスベルト11を介して定着ローラ601に押圧される圧力パッド(圧力部材)12a、圧力パッド(圧力部材)12b、潤滑剤供給部材40とで主要部が構成されている。
定着ローラ601は、金属製のコア(円筒状芯金)10aの周囲に耐熱性弾性体層10b、及び離型層(耐熱性樹脂層)10cを形成したものであり、コア10aの内部には、加熱源としてのハロゲンランプ14が配置されている。定着ローラ601の表面の温度は温度センサ15によって計測され、その計測信号により、図示しない温度コントローラによってハロゲンランプ14がフィードバック制御されて、定着ローラ601の表面が一定温度になるように調整される。シームレスベルト11は、定着ローラ601に対し所定の角度巻き付けられるように接触し、ニップ部を形成している。
シームレスベルト11の内側には、低摩擦層を表面に有する圧力パッド12がシームレスベルト11を介して定着ローラ601に押圧される状態で配置されている。圧力パッド12は、強いニップ圧がかかる圧力パッド12aと、弱いニップ圧がかかる圧力パッド12bとが設けられ、金属製等のホルダー12cに保持されている。
更にホルダー12cには、シームレスベルト11がスムーズに摺動回転するようにベルト走行ガイドが取り付けられている。ベルト走行ガイドはシームレスベルト11内面と摺擦するため摩擦係数が低い部材が望ましく、且つ、シームレスベルト11から熱を奪いにくいように熱伝導の低い部材がよい。
図5は、本発明に用いられる定着装置(ソフトローラと加熱ローラを用いたタイプ)の一例を示す概略図である。
図5に示す定着装置10は、定着ニップを確保するとともに、転写材の巻き付きを防止し、画質に優れるソフトローラと加熱ローラを用いたタイプのもので、加熱ローラ部材として加熱ローラ601と、ソフトローラ部材としてのソフトローラ17bを用い、加熱ローラ601の内部に加熱部材としてのハロゲンランプ14を備えたものである。
加熱ローラ601とソフトローラ17bとの間にニップ部Nを形成し、ニップ部Nを通して熱と圧力とを加えることにより、転写材P上のトナー像を定着するものである。上記において、ソフトローラ17bの内部にも加熱部材としてのハロゲンランプ(不図示)を配設するようにしてもよい。
《転写材》
本発明に用いる転写材は、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、記録材或いは転写紙と通常よばれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙や上質紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〈樹脂粒子の作製〉
(樹脂粒子Aの作製)3層構造樹脂粒子の作製
第1段重合(親水性樹脂の重合)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8gをイオン交換水3000gを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させたものを添加し、再度液温80℃とし、下記単量体混合溶液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を調製した。これを「樹脂粒子(1A)」とする。
スチレン 564.0g
n−ブチルアクリレート 160.0g
メタクリル酸 76.0g
n−オクチルメルカプタン 16.0g
第2段重合(疎水性樹脂の重合)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7gをイオン交換水800gに溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、前記樹脂粒子(1A)を260gと、下記単量体混合溶液を90℃にて溶解させた溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
スチレン 246.0g
n−ブチルアクリレート 119.0g
n−オクチルメルカプタン 1.5g
ポリエチレンワックス(融点80℃) 190.0g
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を得た。これを「樹脂粒子(2A)」とする。
第3段重合(親水性樹脂の重合)
更に「樹脂粒子(2A)」の溶液に、過硫酸カリウム11gをイオン交換水400gに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、
スチレン 432.0g
n−ブチルアクリレート 138.0g
メタクリル酸 30.0g
n−オクチルメルカプタン 1.0g
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し樹脂粒子を得た。これを「樹脂粒子A」とする。
(樹脂粒子B、C、Dの作製)3層構造樹脂粒子の作製
「樹脂粒子A」の重合に用いた重合性単量体を、表1のように変更して「樹脂粒子B、C、D」を作製した。
(樹脂粒子Eの作製)2層構造樹脂粒子の作製
第1段重合
スチレン 255.5g
n−ブチルアクリレート 80.0g
メタクリル酸 29.0g
n−オクチルメルカプタン 1.5g
ポリエチレンワックス(融点80℃) 190.0g
からなる混合液を、撹拌装置を取り付けたステンレス釜に入れ、70℃に加温し溶解して単量体混合溶液を調製した。
一方、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2gをイオン交換水1350gに溶解した界面活性剤溶液を70℃に加熱し、前記単量体混合溶液に添加混合した後、循環径路を有する機械式分散機「クリアミックス」(エム・テクニック社製)により70℃で30分間分散を行い、乳化分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム7.5gをイオン交換水150gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を78℃にて1.5時間にわたり加熱撹拌して重合を行い、樹脂粒子を得た。
第2段重合
上記で得られた樹脂粒子に、過硫酸カリウム12gをイオン交換水220gに溶解した開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、
スチレン 402.0g
n−ブチルアクリレート 198.0g
n−オクチルメルカプタン 8.0g
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却して「樹脂粒子E」を得た。
(樹脂粒子Fの作製)2層構造樹脂粒子の作製
「樹脂粒子E」の作製において用いた重合性単量体を、表1のように変更して「樹脂粒子F」を作製した。
(樹脂粒子Gの作製)1層構造樹脂粒子の作製
スチレン 259.0g
n−ブチルアクリレート 88.0g
メタクリル酸 18.3g
n−オクチルメルカプタン 1.5g
ポリエチレンワックス(融点80℃) 190.0g
からなる混合液を、撹拌装置を取り付けたステンレス釜に入れ、70℃に加温し溶解して単量体溶液を調製した。
一方、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2gをイオン交換水1350gに溶解した界面活性剤溶液を70℃に加熱し、前記単量体溶液に添加混合した後、循環径路を有する機械式分散機「クリアミックス」(エム・テクニック社製)により70℃で30分間分散を行い、乳化分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム7.5gをイオン交換水150gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を78℃にて1.5時間にわたり加熱撹拌して重合を行い、「樹脂粒子G」を得た。
(樹脂粒子Hの作製)1層構造樹脂粒子の作製
「樹脂粒子G」の作製において用いた重合性単量体を、表1のように変更して「樹脂粒子H」を作製した。
(樹脂粒子Iの作製)1層構造樹脂粒子の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8gをイオン交換水3000gを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させたものを添加し、再度液温80℃とし、下記単量体混合液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子を調製した。これを「樹脂粒子I」とする。
スチレン 576.0g
n−ブチルアクリレート 184.0g
メタクリル酸 40.0g
n−オクチルメルカプタン 5.5g
表1に、樹脂粒子A〜Iの重合段数、その作製に用いた重合性単量体、酸モノマー組成比、Tgを示す。
Figure 0004687527
〈着色剤分散液の作製〉
ドデシル硫酸ナトリウム90gをイオン交換水1600gに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420gを徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調整した。これを、「着色剤分散液」とする。この着色剤分散液における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
《トナーの作製》
〈トナー母体Bk1の作製〉
(凝集工程)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、「樹脂粒子A」を固形分換算で300gと、イオン交換水1400gと、「着色剤分散液」120gと、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3gをイオン交換水120gに溶解させた溶液を仕込み、液温を30℃に調整した後、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム35gをイオン交換水35gに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、90℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。
体積基準におけるメディアン径(D50)が6.0μmになった時点で、塩化ナトリウム150gをイオン交換水600gに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。
(融着・熟成工程)
粒子成長を停止させた後、融着・熟成工程として、液温度98℃にて2時間加熱撹拌することにより、粒子間の融着を進行させると同時に熟成して親水性樹脂を粒子の表面に、疎水性樹脂を内部への局在化を行い、コア・シェル構造の粒子を作製した。撹拌はフルゾン翼を有する攪拌機を用いて、層流状態となるように行った。
その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを4.0に調整し、撹拌を停止した。
(洗浄、乾燥工程)
熟成工程にて作製した粒子をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40」(松本機械社製)で固液分離し、トナー母体のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで水洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体Bk1」を作製した。
〈トナー母体Bk2の作製〉
「トナー母体Bk1」の作製で用いた「樹脂粒子A」を「樹脂粒子B」とし、融着・熟成工程の温度及び時間を表2に示すように変更する他は同様にして、「トナー母体Bk2」を作製した。
〈トナー母体Bk3の作製〉
「トナー母体Bk1」の作製で用いた「樹脂粒子A」を「樹脂粒子C」とし、融着・熟成工程の温度及び時間を表2に示すように変更する他は同様にして、「トナー母体Bk3」を作製した。
〈トナー母体Bk4の作製〉
「トナー母体Bk1」の作製で用いた「樹脂粒子A」を「樹脂粒子E」とた以外は同様にして、「トナー母体Bk4」を作製した。
〈トナー母体Bk5の作製〉
「トナー母体Bk1」の作製で用いた「樹脂粒子A」を「樹脂粒子F」とた以外は同様にして、「トナー母体Bk5」を作製した。
〈トナー母体Bk6の作製〉
「トナー母体Bk1」の作製で用いた「樹脂粒子A」を、固形分換算で「樹脂粒子G」を45g、「樹脂粒子H」を255gに変更した以外は同様にして「トナー母体Bk6」を作製した。
〈トナー母体Bk7の作製〉
「トナー母体Bk1」の作製で用いた「樹脂粒子A」を、固形分換算で「樹脂粒子E」を270g、「樹脂粒子G」を30gに変更した以外は同様にして「トナー母体Bk7」を作製した。
〈トナー母体Bk8の作製〉
「トナー母体Bk1」の作製で用いた「樹脂粒子A」を、固形分換算で「樹脂粒子G」に変更した以外は同様にして「トナー母体Bk8」を作製した。
〈トナー母体Bk9の作製〉
「トナー母体Bk1」の作製で用いた「樹脂粒子A」を、固形分換算で「樹脂粒子H」に変更した以外は同様にして「トナー母体Bk9」を作製した。
〈トナー母体Bk10の作製〉
「トナー母体Bk1」の作製で用いた「樹脂粒子A」を、固形分換算で「樹脂粒子D」に変更した以外は同様にして「トナー母体Bk9」を作製した。
〈トナー母体Bk11の作製〉
(1回目の凝集、融着(コア部形成)工程)
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、「樹脂粒子D」を固形分換算で300gと、イオン交換水1400gと、「着色剤分散液1」120gと、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3gをイオン交換水120gに溶解させた溶液を仕込み、液温を30℃に調整した後、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム35gをイオン交換水35gに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、90℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。
この状態で、「コールターマルチサイザーIII」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径(D50)が5.0μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液を添加して粒子の成長を停止させ、更に融着処理として液温度を98℃にて6時間にわたり加熱撹拌して融着を継続させて、体積基準におけるメディアン径(D50)が5.0μmのコア部を作製した。尚、撹拌はフルゾン翼を有する攪拌機を用いた。
(2回目の凝集、融着(シェル層形成)工程)
上記コア部が形成された溶液に、「樹脂粒子I」を100g添加し、3時間にわたり加熱撹拌を継続し、コア部粒子表面に「樹脂粒子I」を凝集、融着させた。ここで、塩化ナトリウム40.2gをイオン交換水1000gに溶解した水溶液を加え、8℃/分の条件で冷却し、塩酸を添加してpHを4.0に調整し、撹拌を停止した。
(洗浄、乾燥工程)
上記工程にて作製した粒子をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×
40」(松本機械社製)で固液分離し、トナー母体のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで水洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥して「トナー母体Bk11」を作製した。
(トナー母体へ外添剤混合)
上記で得られた「トナー母体Bk1〜Bk11」に、疎水性酸化ケイ素(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)を0.3質量%添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工社製)により混合して、「トナーBk1〜Bk11」を作製した。
表2は、凝集工程で用いた樹脂粒子、融着(熟成)温度、シェル層形成工程で用いた樹脂粒子、融着(熟成)工程とシェル層形成に要した時間を示す。
Figure 0004687527
(トナーC1〜C11の作製)
「トナーBk1〜Bk11」の作製で用いた「リーガル330R」(キャボット社製)の20gを「C.I.ピグメントブルー15:3」の10gに変更した以外は同様にして「トナーC1〜C11」を作製した。
(トナーM1〜M11の作製)
「トナーBk1〜Bk11」の作製で用いた「リーガル330R」(キャボット社製)の20gを「C.I.ピグメントレッド122」の17gに変更した以外は同様にして「着色粒M1〜M11」を作製した。
(トナーY1〜Y11の作製)
「トナーBk1〜Bk11」の作製で用いた「リーガル330R」(キャボット社製)の20gを「C.I.ピグメントイエロー74」の18gに変更した以外は同様にして「トナーY1〜Y11」を作製した。
尚、「トナーC1〜C11」、「トナーM1〜M11」及び「トナーY1〜Y11」の製造工程と、作製に要した時間は「トナーBk1〜Bk11」と同じ、同等であったので省略する。
《現像剤の調製》
上記で得られた各トナーにシリコン樹脂を被覆した体積メディアン径(D50)50μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6質量%の各現像剤を調製した。
《評価》
上記で作製したトナーについて、下記の項目を評価した。尚、現像剤は各トナーに対応したものを用いた。尚、評価において、◎及び○は問題が無く合格、×は問題が有り不合格とした。
(目視評価)
〈保管安定性〉
上記調製した各トナー2gをサンプル管に取り、タッピングデンサーで500回振とうした後、55℃、35%RHの環境下で2時間放置した。次いで、48メッシュの篩いに入れ、一定の振動条件で篩い、メッシュ上の残留したトナー量の比率(質量%)を測定し、これをトナー凝集率とし、下記のようにトナー保存性をランク評価した。
◎:トナー凝集率が15質量%未満である(保存性が極めて良好)
○:トナー凝集率が15〜45質量%である(保存性が良好)
×:トナー凝集率が45質量%を越える(保冷輸送の必要有り)。
(画像評価)
画像の評価装置としては、図2に記載の画像形成装置に、図4の定着装置を装着して用いた。尚、定着速度、熱ロールの表面材質は以下のようにした。
定着速度:280mm/sec(約50枚/A4版、横送り)
加熱ロールの表面材質:PTFE
評価は、上記評価装置に上記で作製したトナーを順番に装填し、以下の評価項目について行った。
〈定着オフセット〉
定着オフセットの評価は、低温低湿(10℃、20%RH)の環境で、画素率5%の線画原稿を用いて行った。同環境にて調湿されたA4版の上質紙(65g/m2)で連続1000枚のプリントを行い、1000枚のプリント後の画像上及び熱ロール表面を直接目視観察し、プリント画像及び熱ロール表面に発生したトナー付着によるオフセットの程度で評価した。
評価基準
◎:画像上及び熱ロール表面ともにオフセットの発生が見られず良好
○:画像上には見られないが熱ロールにはオフセットが発生しているが実用問題ない
×:画像上にオフセットによる汚れが発生し実用上問題有り。
〈定着可能温度〉
定着可能温度の評価は、常温常湿(20℃、50%RH)の環境で、熱ロールから排出直後の転写材の表面温度を90℃〜200℃まで5℃刻みで変更し、定着画像を作製した。尚、転写材としてはA4版の上質紙(65g/m2)を使用した。
定着可能温度は、得られた定着画像の定着強度を、「電子写真技術の基礎と応用:電子写真学会編」第9章1.4項に記載のメンディングテープ剥離法に準じた方法を用いて求めた。具体的には、転写材表面温度を変更し、全色でトナー付着量が0.6mg/cm2である5mm角のべた定着画像を作製した後、「スコッチメンディングテープ」(住友3M社製)で剥離する前後の画像濃度を測定し、画像濃度の残存率を定着率として求めた。
テープ剥離法
1)5mm角のべた黒の絶対反射濃度D0を測定する
2)「メンディングテープ」(住友3M社製:No.810−3−12相当)を軽く張り付ける
3)1kPaの圧力でテープを3.5回往復擦り付ける
4)180°の角度、200gの力でテープを剥がす
5)剥離後の絶対反射濃度D1を測定する
6)定着率=100×D1/D0(%)
定着率が90%以上得られた定着温度を定着可能温度としして評価した。尚、画像濃度の測定には反射濃度計「RD−918」(マクベス社製)を使用した。
表3に、評価結果を示す。
Figure 0004687527
評価結果から明らかなように、「実施例1〜7」は製造工程が単純で、何れの評価項目も優れているが、「比較例1〜4」は評価項目のいくつかの項目に問題が有り、「比較例4」は製造工程が長く複雑で製造に時間がかかりトナー製造方法としては問題有ることが判る。
コア・シェル構造型のトナー母体が形成される過程の一例を示す模式図である。 本発明に用いられる画像形成装置の一例を示す断面図である。 本発明に用いられる定着装置(加圧ローラと加熱ローラを用いたタイプ)の一例を示す断面図である。 本発明に用いられる定着装置(ベルトと加熱ローラを用いたタイプ)の一例を示す概略図である。 本発明に用いられる定着装置(ソフトローラと加熱ローラを用いたタイプ)の一例を示す概略図である。
符号の説明
10 樹脂粒子
11 親水性樹脂
12 疎水性樹脂
13 親水性樹脂
21 着色剤粒子
22 凝集粒子
31、32 融着・熟成過程の粒子
33 融着・熟成完了後のトナー母体
34 シェル層
35 コア部

Claims (4)

  1. 少なくとも疎水性樹脂のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する親水性樹脂と疎水性樹脂とを有する樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて得られた凝集粒子を熟成することにより、凝集粒子の外側に親水性樹脂を配向させ、内部に疎水性樹脂を配向させてコア・シェル構造を形成することを特徴とする静電荷像現像用トナー製造方法。
  2. 前記親水性樹脂のガラス転移温度が、前記疎水性樹脂のガラス転移温度より3〜25℃高いことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー製造方法。
  3. 少なくとも疎水性樹脂のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する親水性樹脂と疎水性樹脂とを有する樹脂粒子を水系媒体中で凝集させて得られた凝集粒子を熟成することにより、凝集粒子の外側に親水性樹脂を配向させ、内部に疎水性樹脂を配向させてコア・シェル構造を形成することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  4. 前記親水性樹脂のガラス転移温度が、前記疎水性樹脂のガラス転移温度より3〜25℃高いことを特徴とする請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
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