JP2012242792A - 表示板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透明の樹脂基板10と、その上に積層形成された意匠性を有するインク膜11と、その上に形成された複数のインク層12とからなる表示板である。インク層12は、鉛筆硬度がF以上であり、インク層12にステンレス鋼からなる円柱状治具を圧力3MPaで60秒間押し付けた後に0.5mm/minの速度で引きはがしたときにかかる応力が40kPa以下である。インク層12は、インク膜11上において互いに間隔を開けて島状に形成されている。
【選択図】図2
Description
近年、表示板は、意匠性を向上させるために、圧空成形等により立体的な形状に加熱成形して用いられる。また、表示板は、所望の形状に打ち抜く切断加工が施されたり、表示板上に穴を形成するためにパンチで打ち抜き加工等が施されたりして用いられる。そして、表示装置において、表示板は、振動による異音の発生等を防止するために、インク膜側を支持板などの他部材に押圧して保持される。
一方、硬度の高いインク膜を形成すると、表示板に打ち抜き加工を施す際に、インク膜にひび割れが発生してしまうおそれがある。
上記インク層は、鉛筆硬度がF以上であり、上記インク層にステンレス鋼からなる円柱状治具を圧力3MPaで60秒間押し付けた後に0.5mm/minの速度で引きはがしたときにかかる応力が40kPa以下であり、
上記インク層は、上記インク膜上において互いに間隔を開けて島状に形成されていることを特徴とする表示板にある(請求項1)。
そのため、上記表示板の表面におけるべたつきを低下させることができる。それ故、上記表示板の表面におけるゴミの付着を抑制することができる。
そのため、上記表示板においては、表面の強度が優れており、上記表示板を他部材に押圧して用いても、インク膜がつぶれたり、剥がれたりしてしまうことを防止することができる。そのため、上記表示板の上記インク層側にバックライトを配置して用いても光漏れを防止することができる。
また、上記インク層として、鉛筆硬度がF以上のものを採用しているため、上記インク膜としては比較的柔らかいものを用いることが可能になり、上記表示板の延伸性を高めることが可能になる。そのため、上記表示板の成形性を向上させることもできる。
上記表示板は、透明の樹脂基板と、該樹脂基板上に形成された意匠性を有するインク膜と、該インク膜上に形成された複数のインク層とを有する。
上記樹脂基板は透光性を有し、上記インク膜には、可視光を透過する透過部と、可視光を透過しない不透過部とを有することが好ましい。そして、使用者が視認する面(意匠面)とは反対側の裏面から上記表示板に光を照射することにより、上記インク膜における上記透過部を明るく表示させるバックライト式の表示板に用いられることが好ましい。
この場合には、上記表示板における上記インク膜の優れた意匠性を最大限に発揮することができる。そしてこの場合には、上記表示板を、例えば自動車室内の運転席前部のインストルメントパネル等の自動車メータ計器盤用の表示板、又はエアコンの表示板等に好適に用いることができる。
上記透過部及び上記不透過部は、上記インク膜の色、厚み、及び印刷密度等を調整することにより形成できる。具体的には、上記透過部は、例えば上記インク膜の厚みを小さくしたり、印刷密度を小さくしたり、また、色の濃度を薄くしたりして形成できる。一方、上記不透過部は、例えば上記インク膜の厚みを大きくしたり、黒色のインクからなるインク膜を積層させたりして形成できる。
この場合には、上記樹脂基板に透光性を付与することができるため、上記表示板を上述のバックライト式の表示板に好適に用いることができる。
より好ましくは、上記樹脂基板はポリカーボネート樹脂からなることがよい。
この場合には、上記樹脂基板が優れた延伸性を示すことができるため、上記表示板の成形性を向上させることができる。
上記インク層は、好ましくはインクジェット印刷により形成されていることがよい。
この場合には、上記インク膜上において互いに間隔を開けて島状に形成された上記インク層を形成しやすくなる。インクジェット印刷においては、インクを吹き付ける部位と吹き付けない部位をドット単位で制御することが可能であるからである。
また、上記インク膜についても、上記インク層と同様にインクジェット印刷により形成することが好ましい。
この場合には、上記インク膜及び上記インク層を同一の印刷装置で形成することができるため、上記表示板の製造工程が少なくなりその製造が容易になる。
したがって、上記インク膜及び上記インク層は、インクジェット印刷により形成されていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記表示板の成形性を向上させることができる。上記表示板の延伸率が70%未満の場合には、上記表示板に対して圧空成形等の成形加工を行う際に、ひび割れなどが発生するおそれがある。
一般に、ポリカーボネート樹脂からなる樹脂基板とその表面に形成したインク膜とからなる表示板において、その延伸率を70%以上にするためには、インク膜を柔らかくする必要があるため、表面の硬度が不十分になる傾向がある。
本発明の表示板においては、上記インク膜の表面に鉛筆硬度F以上という硬度の高い上記インク層が互いに間隔を開けて島状に形成されている。そのため、該インク層が高い硬度を発揮することができるため、上記インク膜には、比較的柔らかい材質を用いることが可能になる。そのため、上述のように、延伸率70%以上の表示板を形成し易くなる。
また、成形を行う場合には、印刷形成したインク膜及びインク層の膜厚が延伸される部位において当初の膜厚よりも減少し、光が漏光するおそれがあるという観点から、上記表示板の延伸率は300%以下がよい。
鉛筆硬度がF未満である場合には、上記表示板がそのインク膜形成側の表面において十分な硬度を示すことができなくなるおそれがある。そのため、上記表示板を上記インク膜及び上記インク層が形成された側において支持板などの他部材に押圧した際に、インク膜がつぶれてしまうおそれがある。上述のバックライト式の表示板として用いた場合には、光が漏れだしてしまうおそれがある。
密着強度が40kPaを超える場合には、上記表示板の表面のべたつきが高くなり、ゴミが付着し、付着したゴミが取れ難くなるおそれがある。
上記インク層は、例えば30〜300μmの円相当径で上記インク膜上に形成することができる。
この場合には、上記インク膜上に上記インク層を形成した上記表示板が奏する上述の作用効果を顕著に示すことができる。即ち、上記表示板においては、上記インク膜の表面に硬度の高い上記インク層が形成されているため、上記表示板を支持板などの他部材に押圧して用いても、インク膜がつぶれてしまうことを防止することができる。
この場合には、UV硬化手法を採用することにより、熱を利用して印刷膜を形成する従来のスクリーン印刷よりも省エネルギー化を図ることができる。
この場合には、上記インク膜及び上記インク層の強度をより向上させることができる。
上記インク膜の厚みが10μm未満の場合には、成形時に、延伸される部位において膜厚が減少した際に、上記インク膜が所望の色を維持することができなくなるおそれがある。一方、50μmを超える場合には、例えばアクリル樹脂等の硬化収縮率が高い樹脂基板を採用した際に、インク膜の膜厚を大きくすると内部応力が大きくなり、硬化時に皺又は割れが発生するおそれがある。
上記インク層の厚みが上記インク膜の厚みの1/10未満の場合には、下地となる上記インク膜の物性が強く発現してしまい、上記インク膜と上記インク層との複合膜としての物性が低下するおそれがある。一方、上記インク層の厚みが50μmを超える場合には、例えばアクリル樹脂等の硬化収縮率が高い樹脂基板を採用した際に、インク膜の膜厚を大きくすると内部応力が大きくなり、硬化時に皺又は割れが発生するおそれがある。
この場合には、上記インク層により、上記インク膜の意匠性を損ねることを防止することができる。
また、上記インク層は、有色や半透明のインクで形成することもできる。
この場合には、上記表示板は、上記インク層と上記インク膜とを組み合わせた立体的な意匠性を示すことができる。
次に、上記表示板の実施例について、図1〜図12を用いて説明する。
本例においては、表示板1として、車両用計器のメータ文字盤を作製する(図1参照)。
図1及び図2に示すごとく、本例の表示板1は、樹脂基板10と、この樹脂基板10上に形成されたインク膜11と、このインク膜11の上に形成された複数のインク層12とからなる。
本例の表示板1は、図1及び図2に示すごとく、透明の樹脂基板10と、その上に積層形成されたシート状のインク膜11とを有している。樹脂基板10は、ポリカーボネート樹脂からなり、インク膜11は、使用者が視認する面である意匠面101とは反対側の裏面102に形成されている。
インク膜11には、可視光を透過することが可能な透過部111が形成されており、この透過部111が表示板1における文字、記号、絵柄等を形成している。インク膜11には、可視光を透過しない黒色の不透過部112も形成されている。
インク層12は、鉛筆硬度がFであり、インク層にステンレス鋼からなる円柱状治具を圧力3MPaで60秒間押し付けた後に0.5mm/minの速度で引きはがしたときにかかる応力(インク層に対する密着強度)が40kPa以下(具体的には31.8kPa)である。インク層に対する密着強度の測定は、シート状に印刷形成したインク層に対して行うことができる。
本例においては、図4(a)〜(d)に示すごとく、樹脂基板10上のほぼ全面に、インクジェット印刷によりUV硬化性インクを噴射し、UVを照射して該UV硬化性インクを硬化させてインク膜11を形成し、さらにインク膜11上に、インクジェット印刷によりUV硬化性インクを噴射し、UVを照射して該UV硬化性インクを硬化させてインク層12を形成する。
インク膜11の形成にあたっては、図1に示すような意匠画像をコンピュータにより作成し、この意匠画像に基づいて、透明及びフルカラーのUV硬化性インクを用いたインクジェット法により樹脂基板10に画像を印刷し、インクを硬化させてインク膜11を形成する。
まず、車両用計器のメータ文字盤としての画像(図1参照)をコンピュータで作成した後、この画像データをインクジェット印刷装置に入力した。このとき、解像度、インクの液滴量、色および網点率等を指定することができる。
インク膜11の形成にあたっては、UV硬化性のアクリルモノマー(単官能モノマー及び多官能モノマー)、顔料、及び光開始剤を含有するUV硬化性インクを用いた。
また、上述の密着強度は、英弘精機(株)製の「テクスチャアナライザー」を用いて測定した。測定に用いる円柱状治具としては、直径φ4mmのものを使用して測定した。密着強度の測定は、インク層の形成に用いたUV硬化性のインクをシート上に印刷形成したインク層について行った。
また、インク層12の形成にあたっては、UV硬化性のアクリルモノマー(単官能モノマー及び多官能モノマー)、及び光開始剤を含有するUV硬化性インクを用いた。
このようにして得られた板状の表示板1を用いて延伸率の評価を行った。
即ち、まず、図5に示すごとく、板状の表示板からJIS5号ダンベル形状の試験片100を打ち抜いた。同図において、試験片100の寸法は、a=33(mm)、b=25(mm)、c=41(mm)、d=115(mm)、e=6(mm)、f=25(mm)である。そして、試験片100を温度180℃の環境下で、引張速度50mm/minで矢印3の方向に切断するまで引っ張った。切断時における試験片の平坦部分(図5において長さaで示されてる部分)の長さを測定し、これをl(mm)とした。そして、引張試験前の試験片の平坦部分の長さaと、測定した長さlの値から、延伸率E(%)を次式により算出した。その結果を後述の表1に示す。
E=(l−a)/a×100(本例においてはa=33)
このようにして、図1及び図2に示す表示板1を作製した。これを試料X1とする。
具体的には、表示板においてポンチ打ち抜き加工により形成した貫通孔の周囲を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。試料X1の表示板における貫通孔の周囲のSEM画像を図6(a)に示す。そして、貫通孔の周囲に発生しうるひび割れの有無を確認した。ひび割れが観察されなかった場合を「○」として評価し、ひび割れが観察された場合を「×」として評価した。その結果を後述の表1に示す。
具体的には、表示板の平坦部分に3MPaの圧力を60秒間印加した。次いで、圧力を印加した部分を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。そのSEM画像を図7(a)に示す。同図においては、圧力を印加した領域を点線で囲って示してある。そして、インク膜及びインク層が剥がれ樹脂基板が露出する露出部分の有無を確認した。露出部分が観察されなかった場合を「○」として評価し、露出部分が観察された場合を「×」として評価した。その結果を後述の表1に示す。
具体的には、まず、表示板を、インク膜及びインク層を形成した側を上に向けて1週間放置した。次いで、表示板を上下方向に数回動かすことにより、表面に付着したゴミを軽く振り払った後、走査型電子顕微鏡(SEM)でインク膜及びインク層におけるゴミの付着の有無を確認した。そのSEM画像を図8(a)に示す。そして、ゴミの付着が観察されなかった場合を「○」として評価し、ゴミの付着が観察された場合を「×」として評価した。その結果を後述の表1に示す。
具体的には、まず、試料X1の場合と同様に、ポリカーボネート樹脂からなる厚み約0.6mmの樹脂基板40を準備した(図9(a)参照)。次いで、画像データが入力されたインクジェット印刷装置で、UV硬化性インクを用いたインクジェット法により、樹脂基板40に対して、UV硬化性インクを印刷し、紫外線を照射して硬化させ、図9(b)に示すごとく、樹脂基板40上に、ほぼ全面を覆う厚み20μmのインク膜41を形成した。UV硬化性インクとしては、試料X1と同様のものを用いた。
インク膜及びインク層の具体的な形成方法は、上記試料X1と同様である。
このようにして板状の表示板4を得た。この板状の表示板4について、上記試料X1の場合と同様にして、延伸率を測定した。その結果を後述の表1に示す。
試料X2は、インク層として、シート状のインク層をインク膜上に積層形成した点を除いては上記試料X1と同様にして作製したものである。
試料X2についても、試料X1と同様にして、プレス性、耐荷重性、及びタック性の評価を行った。その結果を後述の表1に示す。また、試料X2について、プレス性の評価におけるSEM画像を図6(b)に示し、耐荷重性の評価におけるSEM画像を図7(b)に示した。タック性の評価におけるSEM画像は、試料X1とほぼ同様であったため、SEM画像を図面として示すことは省略した。
具体的には、まず、試料X1の場合と同様に、ポリカーボネート樹脂からなる厚み約0.6mmの樹脂基板50を準備した(図10(a)参照)。次いで、画像データが入力されたインクジェット印刷装置で、UV硬化性インクを用いたインクジェット法により、樹脂基板50に対して、UV硬化性インクを印刷し、紫外線を照射して硬化させ、図10(b)及び(c)に示すごとく、樹脂基板50上に、ほぼ全面を覆う厚み20μmのインク膜51を形成した。UV硬化性インクとしては、試料X1と同様のものを用いた。
インク膜の具体的な形成方法は、上記試料X1と同様である。
このようにして板状の表示板5を得た。板状の表示板について、JIS5600K(1999年)の規定に準拠して表面硬度(鉛筆硬度)を調べたところ、4Bであった。また、この板状の表示板5について、上記試料X1の場合と同様にして、延伸率を測定した。その結果を後述の表1に示す。
試料X3は、インク層を形成していない点を除いては上記試料X1と同様にして作製したものである。
試料X3についても、試料X1と同様にして、プレス性、耐荷重性、及びタック性の評価を行った。その結果を後述の表1に示す。また、試料X3について、プレス性の評価におけるSEM画像を図6(c)に示し、耐荷重性の評価におけるSEM画像を図7(c)に示した。タック性の評価におけるSEM画像を図8(b)に示す。
図12に、インク膜上に、霧吹きによりUV硬化性インクを吹き付けて、UVを照射して硬化させてインク層を形成した表示板の例を示す。同図は、このようにして作製した表示板のレーザ鏡焦点顕微鏡写真を示し、各インク層は、円相当径で30μm〜300μmの大きさで形成されている。
10 樹脂基板
11 インク膜
12 インク層
Claims (5)
- 透明の樹脂基板と、該樹脂基板上に積層形成された意匠性を有するインク膜と、該インク膜上に形成された複数のインク層とからなる表示板において、
上記インク層は、鉛筆硬度がF以上であり、上記インク層にステンレス鋼からなる円柱状治具を圧力3MPaで60秒間押し付けた後に0.5mm/minの速度で引きはがしたときにかかる応力が40kPa以下であり、
上記インク層は、上記インク膜上において互いに間隔を開けて島状に形成されていることを特徴とする表示板。 - 請求項1に記載の表示板において、該表示板は、延伸率が70%以上であることを特徴とする表示板。
- 請求項1又は2に記載の表示板において、該表示板は、上記インク膜及び上記インク層が形成された側面の少なくとも一部を他部材に押圧して用いられることを特徴とする表示板。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示板において、上記インク膜及び上記インク層は、UV硬化性インクからなることを特徴とする表示板。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の表示板において、上記インク膜及び上記インク層は、インクジェット印刷により形成されていることを特徴とする表示板。
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