JP2012237178A - 木質床構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】木質床構造体は、木質表面材3と、木質表面材3の裏面34に積層した衝撃吸収材4とを少なくとも備えている。木質表面材3には、連結部の厚さt1が、2.0〜4.5mmの範囲となるように、一方向に沿った複数の凹溝35が形成されている。凸部38の中心線C1と、凸部38に隣接する前記凹溝35の開口部35bの開口縁35cとにより挟まれた面積を第1の面積S1とし、凹溝35の中心線C2と、前記開口縁35cとにより挟まれた面積を第2の面積S2とし、第1の面積S1と前記第2の面積S2とを合わせた総面積に対する、第2の面積S2の割合を、凹溝面積率としたときに、該凹溝面積率は、2.28〜21.88%の範囲にある。衝撃吸収材4の圧縮応力−50%ひずみは、0.3MPa以下の範囲にあり、衝撃吸収材4の厚さは、6〜10mmの範囲にある。
【選択図】図1
Description
(a1)木質表面材の凹溝の底部から木質表面材の表面までの木質表面材の厚さ
(a2)木質表面材の裏面に形成された凹溝の占有率(凹溝面積率)
(b1)衝撃吸収材の圧縮応力−ひずみ
(b2)衝撃吸収材の厚さ
の4つの因子が、高衝撃時における衝撃を吸収するための因子であるということがわかった。すなわち、上記(a1),(a2)は、高衝撃時における凹溝の底部から木質表面材の表面の木材の撓みに寄与した因子であり、(b1),(b2)は、高衝撃時における衝撃吸収材の圧縮変形に寄与した因子である。そして、上述した木材の撓みと衝撃吸収材の圧縮変形とがバランス良く作用する特定の関係を、これら4つの因子が同時に満たしたときに、高衝撃時に木質床構造体が衝撃エネルギを画期的に吸収できるとの新たな知見を得た。
(A1)前記木質表面材の裏面に、溝底部から前記木質表面材の表面までの前記木質表面材の厚さが、2.0〜4.5mmの範囲となるように、一方向に沿った複数の凹溝(35)が形成されており、
(A2)該凹溝により形成された前記裏面の各凸部の凸面積のうち、前記凹溝の溝方向に沿った前記凸部の中心線と、該凸部に隣接する前記凹溝の開口部の開口縁とにより挟まれた面積を第1の面積とし、前記凸部に隣接する前記凹溝の開口部の開口面積のうち、前記凹溝の溝方向に沿った前記凹溝の中心線と、前記開口縁とにより挟まれた面積を第2の面積とし、前記第1の面積と前記第2の面積とを合わせた総面積に対する、第2の面積の割合を、凹溝面積率としたときに、該凹溝面積率は、2.28〜21.88%の範囲にあり、
このような範囲を満たす木質表面材に対して、衝撃吸収材は、
(B1)前記衝撃吸収材のJIS K 6767に準拠する圧縮応力−50%ひずみは、0.3MPa以下の範囲にあり、
(B2)前記衝撃吸収材の厚さは、6〜10mmの範囲にあることを特徴とする。
以下に示すようにして、木質フロアの試験体を製作した。木質表面材として150×150mm、10mm厚の5プライのラワン合板を準備し、各凸部の幅が40mmとなり、溝形状が矩形状で開口部の溝幅が1.4mmとなり、連結部の厚さが2mm(溝深さ8.0mm)となり、複数の凸部のうちの1つの凸部の中央が、木質表面材の中央に一致するように、等ピッチで、のこ刃により溝加工を施した。さらに、木質表面材の中央に凸部が形成されるように、凹溝に直交するように凹溝と同じピッチで凹溝よりも溝深さの浅い横凹溝(溝深さ3.5mm)(図2(b)参照)を溝加工により形成した。
実施例A1と同じように木質フロアの試験体を製作した。実施例A2および実施例A3が、実施例A1と相違する点は、木質表面材の連結部の厚さを、それぞれ3mm、4mmにした点である。
実施例A1と同じように木質フロアの試験体を製作した。比較例A1および比較例A2が実施例A1と相違する点は、木質表面材の連結部の厚さを、それぞれ1mm,5mmにした点である。
施工された木質フロアの衝撃時のG値をJIS A6519に準じて測定した。繰り返しになるが、ヘッドモデルが床に衝突したときの加速計に出力される加速度の最大値を衝撃時のG値という。ただし、JIS A6519の「床の硬さ試験」の測定方法は、落下高さを200mmとしているが、ここでは、落下高さ460mmの場合における、衝撃時のG値(以下、「高衝撃時のG値」という)を測定した。
表1に示すように、比較例A2の木質フロアと比較して、連結部の厚さが2.0〜4.0mmの実施例A1およびA2の木質フロアは、高衝撃時のG値が、100G以下(具体的には91G以下)と小さくなった。さらに、図7からも明らかなように、高衝撃時のG値が100以下となる連結部の厚さは、4.5mm以下であることがわかる。また、実施例A1およびA2の木質フロアは、いずれも高衝撃時のG値が90G以下となった。また、比較例A2と比較して、比較例A1の木質フロアは、高衝撃時のG値が、100G以下と小さくなっているが、高衝撃時において、木質表面材が溝部から破損した。
実施例A2と同じように木質フロアの試験体を製作した。実施例B1〜実施例B5の木質フロアが、実施例A2と相違する点は、凹溝の幅(1.4mm)を変えずに、横凹溝を設けずに一方向のみに複数の凹溝を形成し、これにより凹溝面積率を変更した点である。
実施例A2と同じように木質フロアの試験体を製作した。比較例B1およびB2の木質フロアが、実施例A2と相違する点は、凹溝の幅(1.4mm)を変えずに、それそれ、凸部の幅が70mm(凹溝面積率1.96%),80mm(凹溝面積率1.72%)となるように、等ピッチで凹溝を形成した点である。これら木質フロアに対して、高衝撃時のG値を実施例A2と同様にして測定した。その結果を表2および図8に示した。さらに、上述した幅の凸部が、端部に一致するように溝加工した木質表面材を備えた木質フロアを製作し、この端部に形成された凸部の中央における高衝撃時のG値を実施例A2と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
表2に示すように、比較例B1,B2の木質フロアと比較して、凹溝面積率が2.28〜21.88%となる実施例B1〜B5の木質フロアの中央部または端部における、高衝撃時のG値は100G以下(具体的には95G以下)と小さくなった。比較例B1,B2の木質フロアの中央部または端部における高衝撃時のG値は、100Gを超えた。
実施例A2と同じように木質フロアの試験体を製作した。実施例C1〜実施例C4の木質フロアが、実施例A2と相違する点は、衝撃吸収材(厚さ8mm)の材質である。具体的には、実施例C1の衝撃吸収材は、ポリエチレンビニルアセテート(EVA)樹脂発泡体(発泡倍率15倍、見かけ密度80kg/m3)であり、圧縮応力−50%ひずみは、0.15MPaである。
実施例A2と同じように木質フロアの試験体を製作した。比較例C1の木質フロアが、実施例A2と相違する点は、衝撃吸収材(厚さ8mm)の特性である。具体的には、比較例C1の衝撃吸収材は、ポリエチレン樹脂発泡体(発泡倍率8倍、見かけ密度130kg/m3)であり、圧縮応力−50%ひずみは、0.38MPaである。比較例C1の木質フロアに対して、高衝撃時のG値を実施例A2と同様にして測定した。その結果を表3および図9に示した。
表3に示すように、比較例C1の木質フロアと比較して、圧縮応力−50%ひずみが0.15〜0.25MPaの実施例C1〜C4の木質フロアは、高衝撃時のG値が、100G以下(具体的には99G以下)と小さくなった。さらに、図9からも明らかなように、高衝撃時のG値が100G以下となる圧縮応力−50%ひずみは、0.3MPa以下であることがわかる。また、実施例C1〜C3の木質フロアは、いずれも高衝撃時のG値が89G以下となった。
実施例A2と同じように木質フロアの試験体を製作した。実施例D1〜実施例D5の木質フロアが、実施例A2と相違する点は、衝撃吸収材の厚さであり、それぞれ、6mm、7mm、8mm(実施例A2と同じ)、9mm、10mmにした点である。
実施例A2と同じように木質フロアの試験体を製作した。比較例D1の木質フロアが、実施例A2と相違する点は、衝撃吸収材の厚さを、5mmにした点である。
表4および図10に示すように、比較例D1の木質フロアと比較して、6mm〜10mmの厚さの衝撃吸収材を持つ実施例D1〜D5の木質フロアは、高衝撃時のG値が、100G以下(具体的には86G以下)と小さくなった。
Claims (4)
- 木質表面材(3)と、該木質表面材(3)の裏面(34)に積層した衝撃吸収材(4)とを少なくとも備えた木質床構造体(10)であって、
前記木質表面材(3)の裏面(34)には、溝底部(35a)から前記木質表面材(3)の表面(32)までの前記木質表面材(3)の厚さ(t1)が、2.0〜4.5mmの範囲となるように、一方向に沿った複数の凹溝(35)が形成されており、
該凹溝(35)により形成された前記裏面(34)の各凸部(38)の凸面積のうち、前記凹溝(35)の溝方向に沿った前記凸部(38)の中心線(C1)と、該凸部(38)に隣接する前記凹溝(35)の開口部(35b)の開口縁(35c)とにより挟まれた面積を第1の面積(S1)とし、
前記凸部(38)に隣接する前記凹溝(35)の開口部(35b)の開口面積のうち、前記凹溝(35)の溝方向に沿った前記凹溝(35)の中心線(C2)と、前記開口縁(35c)とにより挟まれた面積を第2の面積(S2)とし、
前記第1の面積(S1)と前記第2の面積(S2)とを合わせた総面積に対する、第2の面積(S2)の割合を、凹溝面積率としたときに、該凹溝面積率は、2.28〜21.88%の範囲にあり、
前記衝撃吸収材(4)のJIS K 6767に準拠する圧縮応力−50%ひずみは、0.3MPa以下の範囲にあり、
前記衝撃吸収材(4)の厚さ(t2)は、6〜10mmの範囲にあることを特徴とする木質床構造体。 - 前記木質表面材(3)には、前記凸部のうち、前記木質表面材(3)の端部に形成された端部凸部(38A)を有しており、
該端部凸部(38A)の幅(d1)は、少なくとも該端部凸部(38A)に隣接した凸部(38)の幅(d2)よりも、広くなっていることを特徴とする請求項1に記載の木質床構造体。 - 前記衝撃緩衝材(4)は、前記溝方向に沿って接合された複数の衝撃緩衝片(4a,4a)からなり、
前記木質表面材(3)には、前記凸部のうち、該衝撃緩衝片(4a,4a)同士の接合部分(4b)に位置するように形成された幅広凸部(38B)を有しており、
該幅広凸部(38B)の幅(d3)は、少なくとも該幅広凸部(38B)に隣接した前記凸部(38)の幅(d4)よりも、広くなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の木質床構造体。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の木質床構造体(10)を床下地面に配置した木質フロア。
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