しかしながら、特許文献1〜3に記載の木質床構造体は、フロアの歩行感、または防音性・遮音性を目的として、緩衝材や制振材の材質および厚さが選定されており、人が転倒したとき等に受ける衝撃までも考慮して構成されたものではない。したがって、これらの木質床構造体では、転倒時に受ける衝撃を充分に吸収することができない場合がある。
また、特許文献4および5の樹脂製床材は、転倒時の衝撃を考慮すべく、前記JIS A6519に準拠して、床の硬さは、加速度計を取り付けたヘッドモデル(床の硬さの測定装置)を高さ200mmから落下させ、床に衝突したときに加速度計で測定し、発生する加速度Gの最大値が100G以下となるように、表面材および衝撃吸収材を選定している。しかしながら、実際、家庭内における転倒では、この2倍以上の衝撃エネルギがフロアに付与されることが想定される。したがって、これらの樹脂床材からなるフロアであっても、充分に衝撃エネルギは吸収できないおそれがある。
このような課題を鑑みて、本発明は、転倒時などに生じる衝撃エネルギを木質床構造体に吸収させて人体が受ける衝撃を低減することを課題とし、より具体的には、これまでの評価基準の2倍以上の衝撃エネルギが木質床構造体に付与された場合であっても、この衝撃エネルギを吸収し、衝撃時のG値が100G以下となる木質床構造体を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、発明者は多くの実験と研究を継続して行って、鋭意検討を重ねた結果、木質床構造体に付与する衝撃エネルギをこれまでの評価基準(JIS A6519)の2倍以上とした場合(以下「高衝撃時」という)、
(a1)木質表面材の凹溝の底部から木質表面材の表面までの木質表面材の厚さ
(a2)木質表面材の裏面に形成された凹溝の占有率(凹溝面積率)
(b1)衝撃吸収材の圧縮応力−ひずみ
(b2)衝撃吸収材の厚さ
の4つの因子が、高衝撃時における衝撃を吸収するための因子であるということがわかった。すなわち、上記(a1),(a2)は、高衝撃時における凹溝の底部から木質表面材の表面の木材の撓みに寄与した因子であり、(b1),(b2)は、高衝撃時における衝撃吸収材の圧縮変形に寄与した因子である。そして、上述した木材の撓みと衝撃吸収材の圧縮変形とがバランス良く作用する特定の関係を、これら4つの因子が同時に満たしたときに、高衝撃時に木質床構造体が衝撃エネルギを画期的に吸収できるとの新たな知見を得た。
本発明は、この新たな知見に基づくものであり、木質表面材と、前記木質表面材の裏面に積層した衝撃吸収材とを少なくとも備えた木質床構造体であって、以下に示す点を特徴とするものである。
すなわち、木質表面材は、
(A1)前記木質表面材の裏面に、溝底部から前記木質表面材の表面までの前記木質表面材の厚さが、2.0〜4.5mmの範囲となるように、一方向に沿った複数の凹溝(35)が形成されており、
(A2)該凹溝により形成された前記裏面の各凸部の凸面積のうち、前記凹溝の溝方向に沿った前記凸部の中心線と、該凸部に隣接する前記凹溝の開口部の開口縁とにより挟まれた面積を第1の面積とし、前記凸部に隣接する前記凹溝の開口部の開口面積のうち、前記凹溝の溝方向に沿った前記凹溝の中心線と、前記開口縁とにより挟まれた面積を第2の面積とし、前記第1の面積と前記第2の面積とを合わせた総面積に対する、第2の面積の割合を、凹溝面積率としたときに、該凹溝面積率は、2.28〜21.88%の範囲にあり、
このような範囲を満たす木質表面材に対して、衝撃吸収材は、
(B1)前記衝撃吸収材のJIS K 6767に準拠する圧縮応力−50%ひずみは、0.3MPa以下の範囲にあり、
(B2)前記衝撃吸収材の厚さは、6〜10mmの範囲にあることを特徴とする。
本発明に係る木質床構造体によれば、これまでの評価基準の2倍以上(実際には、2.3倍)の衝撃エネルギが木質床構造体に作用した場合(高衝撃時)であっても、高衝撃時のG値は100G以下となる。したがって、本発明の木質床構造体を床下地面に配置した木質フロアによれば、転倒時などに生じる衝撃エネルギを木質フロアに効果的に吸収させることができ、衝撃力に対して安全性を高めることができる。
すなわち、木質表面材が上述した(A1)および(A2)の範囲を満たす場合、木質表面材の凹溝の底部から木質表面材の表面までの部分が、凹溝により区分された凸部同士を連結する連結部となり、この連結部が、高衝撃時に衝撃エネルギが作用したときに、板バネの如き緩衝材として作用して撓むことになる。
本発明では、(A1)の如く凹溝の底部から木質表面材の表面までの木質表面材の厚さ(上述した連結部の厚さ)を、2.0〜4.5mmの範囲としたが、連結部の厚さが2mm未満の場合には、高衝撃時における連結部の強度が不足してしまい、連結部から破損するおそれがある。一方、連結部の厚さが4.5mmを超えた場合には、連結部が撓み難くなり(板バネの弾性率が高くなり)、高衝撃時における衝撃を充分に吸収することができないことがある。
また、本発明では、(A2)の如く木質表面材の凹溝面積率を、2.28〜21.88%の範囲としたが、凹溝面積率が2.28%未満の場合には、上述した連結部の占める割合が少なくなるため、連結部が緩衝材としての役割を充分に果たすことができない。一方、凹溝面積率が21.88%を超えた場合には、裏面の凸部の占める割合が少なくなるため、木質表面材の剛性が低下するおそれがある。さらに、各凸部の凸面積の減少に伴い、高衝撃時には、凸部により衝撃吸収材に作用する押圧が増加し、衝撃吸収材が埋没するおそれもある。
さらに、衝撃吸収材が(B1)および(B2)の範囲を満たす場合、衝撃吸収材は、高衝撃時に衝撃エネルギが作用したときに、撓んだ連結部を有した木質表面材に対して、圧縮バネの如き緩衝材として作用して、圧縮変形することになる。
本発明では、(B1)の如く衝撃吸収材の圧縮応力−50%ひずみを、0.3MPa以下の範囲内としたが、0.3MPaを超えた場合には、高衝撃時に、連結部の撓みによる木質表面材の変形に追従するように、衝撃吸収材が変形し難くなり、高衝撃時における衝撃を充分に吸収することができないことがある。
なお、本発明において、JIS K 6767に準拠する圧縮応力−50%ひずみとは、1分間に衝撃吸収材の厚さの50%まで潰す速度で圧縮するのに要する応力である。なお、衝撃吸収材の物性を示す指標として、JIS K 6767に準拠する圧縮応力−50%ひずみを選定した理由としては、高衝撃時に、衝撃吸収材が、瞬間的に少なくとも50%程度圧縮変形することが、発明者の実験から解ったからである。
また、本発明では、(B2)の如く前記衝撃吸収材の厚さを、6〜10mmの範囲としたが、衝撃吸収材の厚さが、6mm未満の場合には、前記高衝撃時に、衝撃吸収材が局所的に収縮し難くなり、衝撃エネルギが吸収され難い状態(底打ち状態)となる。一方、衝撃吸収材の厚さが10mmを超えたとしても、それ以上の衝撃吸収性能の改善が期待できないことがある。また、衝撃吸収材の厚さの増加は、フロアの踏み心地性を阻害することもあるので、必要以上に衝撃吸収材の厚さを増加させないほうがよい。
発明による木質床構造体において、木質表面材は、上述した(A1)および(A2)を満たすのであれば、その材質および厚さは任意とする。好ましくは、木質表面材は、無垢材、合板、木質繊維板、LVL、OSB、集成材、PB、またはこれらの2種以上を接着積層した複合基材、等を挙げることができる。また、木質表面材に熱処理や蒸気処理、その他、樹脂、熱水、または薬剤等で処理(樹脂含浸を含む)したりしたものでもよい。木質表面材の表面に印刷したり、化粧単板を積層したりしてもよく、本発明では、木質系材料を積層した状態のものも木質表面材として含むものであり、積層状態の木質表面材が、上述した条件を満たすものであればよい。木質表面材に用いる木質繊維板には、インシュレーションボード、HDF(高密度繊維板)、MDF、ハードボード等が例として挙げられる。
本発明による木質床構造体において、前記衝撃吸収材は、上述した(B1)および(B2)を満たすのであれば、その材質は任意とする。好ましくは、合成樹脂発泡体またはゴム発泡体である。合成樹脂発泡体には、例として、ポリエチレン系樹脂発泡体(例えば、ポリエチレン樹脂発泡体、ポリエチレンビニルアルコール樹脂発泡体、ポリエチレンビニルアセテート樹脂発泡体)、ポリスチレン系樹脂発泡体、ウレタン発泡体、これらの樹脂を2種以上配合した樹脂発泡体等を挙げることができる。ゴム発泡体には、例として、合成ゴム発泡体、天然ゴム発泡体を挙げることができる。
ここで、上述した各凸部の幅は、木質表面材、およびこれを構成する木質床構造体の強度を確保することができるのであれば、特に限定されるものではない。しかしながら、より好ましい態様としては、前記木質表面材には、前記凸部のうち、前記木質表面材の端部に形成された端部凸部を有しており、該端部凸部の幅は、少なくとも該端部凸部に隣接した凸部の幅よりも広くなっている。この態様によれば、木質床構造体の製造または木質フロアの施工時に、木質表面材の端部を作業者が把持した際に、この端部が自重により破損しやすいところ、端部に形成された端部凸部の幅を、少なくともこれに隣接した凸部の幅よりも広くすることにより、このような破損を防止することができる。
さらに、好ましい態様としては、前記衝撃緩衝材は、前記溝方向に沿って厚さ方向に接合された複数の衝撃緩衝片からなり、前記木質表面材には、前記凸部のうち、該衝撃緩衝片同士の接合部分に位置するように形成された幅広凸部を有しており、該幅広凸部の幅は、少なくとも該幅広凸部に隣接した凸部の幅よりも、広くなっている。
この態様によれば、衝撃緩衝片を用いることにより、木質表面材の形状に合わせて好適に衝撃吸収材を積層することができるばかりでなく、衝撃緩衝片同士の接合部分に位置には、幅広の幅広凸部が位置するので、この部分における木質床構造体の強度を高めることができる。
そして、上述した木質床構造体として、前記木質表面材の裏面に、衝撃吸収材を積層したものを、床下地面に敷設して本願の発明に係る木質フロアとしてもよく、床下地面に衝撃吸収材を敷設した後に、衝撃吸収材の表面に単数または複数の木質表面材を敷設して本願の発明に係る木質フロアとしてもよい。
本発明によれば、これまでの評価基準の2倍以上の衝撃エネルギが木質フロアに付与された場合(高衝撃時)であっても、この衝撃エネルギを吸収し、高衝撃時のG値を100G以下となる木質フロアを得ることができる。
以下、実施の形態に基づき本発明を説明する。図1は、本発明に係る形態の木質フロアを構成する木質床構造体の一例を示す模式図であり、(a)は、木質床構造体の裏面側から見た木質床構造体の分解斜視図であり、(b)は、本発明に係る形態の木質床構造体の部分断面図である。
図2は、本発明に係る形態の木質床構造体を構成する木質表面材の凹溝面積率を説明するための模式図であり、(a)は、図1に示す木質表面材の凹溝面積率を説明するための図であり、(b)は、別の態様における凹溝面積率を説明するための図である。
図3は、本発明に係る形態の木質床構造体をモデル化した図であり、図4は、図1に示す木質床構造体を床下地面に配置した木質フロアの一例を示す模式図であり、(a)は、製造された木質床構造体を床下地面に配置した木質フロアの一例を示す模式図、(b)は、木質フロアを床下地面で、木質床構造体を製造し、木質フロアとした一例を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る木質床構造体10は、木質表面材3と、その裏面に積層した衝撃吸収材4とを備える。これらの積層界面には従来の木質床構造体で用いられている適宜の接着剤が塗布されて、全体が積層一体化している。
木質表面材3は、インシュレーションボード、MDF,HDF、ハードボード等の木質繊維板、合板、パーティクルボード、配向性ストランドボード(OSB)、LVL、集成材、無垢材等を挙げることができる。本実施形態では、木質表面材3は、長方形状であるが、正方形状でもよく、表面が化粧用に印刷する場合や、化粧単板、化粧シート、突板のような表面化粧材30aが貼着されていても良い。
なお、ここで、本実施形態では、表面化粧材30aが、木質系の化粧材を用いている。木質系の化粧材を用いる場合には、基材に対して剛性を有するため、木質表面材3の一部を構成し、それ以外の樹脂系の化粧材の場合には、基材に対して剛性を有しないため、木質表面材3の一部を構成しないものとする。
また、木質表面材3の周縁には、一対の雄実部および雌実部からなる実部31が形成されており、木質表面材3の表面32から裏面34までの厚さ(見かけ上の厚さ)は、2.5〜30mmであることが好ましい。
さらに、木質表面材3の裏面34には、断面矩形状の複数の凹溝が形成されている。具体的には、図1(a)に示すように、凹溝は、木質表面材3の短手方向(一方向)に沿って形成された複数の凹溝35,35,…が形成されている。
ここで、図1(b)に示すように、各凹溝35の溝底部35aから木質表面材3の表面32までの木質表面材3の厚さt1は、2.0〜4.5mmの範囲にある。すなわち、上述したように、木質表面材3の表面32から裏面34までの木質表面材の厚さ(見かけ上の厚さ)は、2.5〜30mmであるので、凹溝35の開口部から溝底部までの溝深さは、0.5〜28mmとなる。
このような結果、凹溝35により区分された裏面34には、木質表面材3の短手方向に沿って、複数の凸部38,38,・・・が形成されことになる。これにより、後述する衝撃吸収材4に積層したときに、凸部38を設けていない平板状の木質表面材(厚さ2.0〜4.5mm)のものに比べて、木質床構造体10の剛性を高めることができる。さらには、木質表面材3の見かけ上の厚さを確保することができるので、上述した実部31を容易に形成することができる。
さらに、本実施形態では、木質表面材3の端部に形成された凸部(端部凸部)38Aの幅d1は、これに隣接する凸部38の幅d2よりも広くなるように、複数の凹溝35が形成される。木質床構造体10の製造または後述する木質フロア1の施工時に、木質表面材10の端部を作業者が把持した際に、この端部が自重により破損することを防止することができる。特に、短手方向に沿って、凹溝35を形成した場合には、上述したような端部の破損が懸念されるため、このような凸部の幅の関係を満たすことが好ましい。
さらに、図2(a)に示すように、本実施形態に係る木質表面材3は、前記第1の面積S1と前記第2の面積S2とを合わせた総面積(S1+S2)に対する、第2の面積S2の割合を、凹溝面積率(S2/(S1+S2)としたときに、凹溝面積率は、2.28〜21.88%の範囲にある。
ここで、第1の面積S1は、凹溝35が隣接した裏面34の各凸部38の凸面積のうち、凹溝35の溝方向に沿った凸部38の中心線C1と、凸部38に隣接する前記凹溝35の開口部の開口縁35cとにより挟まれた面積であり、凸部38の凸面積の半分に相当する。なお、凸面積とは、裏面を構成する凸部の表面積である。
一方、第2の面積S2は、凸部38に隣接する凹溝35の開口部35bの開口面積のうち、凹溝35の溝方向に沿った凹溝35の中心線C2と、開口縁35cとにより挟まれた面積を第2の面積S2であり、上述した凸部38に隣接する凹溝35の開口面積の半分に相当する。なお、開口面積とは、凹溝35の開口部35bの開口縁35cにより挟まれた部分の面積である。
具体的には、本実施形態の場合には、木質表面材3の中央に位置する各凸部38は隣接する凹溝35に挟まれており、隣接する一対の凹溝35,35のそれぞれに対して、上述した凹溝面積率の範囲を満たしていればよい。一方、木質表面材3の両側の端部に位置する各凸部38Aは、端部側に形成された凹溝35に対して、上述した凹溝面積率の範囲を満たせばよく、実部31側は特に限定されない。
一方、別の態様として、凹溝35’のみが、図1(b)に示す深さ(すなわち厚さt1=2.0〜4.5mm)を満たし、かつ凹溝35’に交差(たとえば直交する)横凹溝36’の深さが図1(b)に示す深さ以下(すなわち厚さt1が4.5mm以上)場合には、図2(b)に示すように、凹溝35’の溝深さに比して、横凹溝36’の溝深さは同等または浅いことになる。このことから、凸部38’は横凹溝36’を含む部分とみなすことができる。これにより、凹溝面積率は、各凸部38’の第1の面積S1’と、各凸部38’に隣接した凹溝35’の開口部の第2の面積S2’とを合わせた総面積(S1’+S2’)に対する開口面積S2’の割合(S2’/(S1’+S2’))となる。
ここで、上述した範囲の凹溝35、35’の溝形状は矩形状であったが、この凹溝面積率を満たすのであれば、特にその溝形状は特定されるものではなく、機械加工を行う場合には、溝加工する加工機側にそのまま依存して差し支えない。また、このような溝加工は、レーザー加工、ウォータージェット加工、超音波カッター、エンドミル(ルーター)、のこ(丸のこ等)、ナイフ刃、トムソン刃、等の従来知られている加工手段により加工することができる。
このようにして、木質表面材3が上述した範囲を満たす場合、木質表面材3の凹溝35の溝底部35aから木質表面材3の表面32までの部分が、凹溝35により区分された凸部38,38同士を連結する連結部39となる。高衝撃時に、木質床構造体10に衝撃エネルギが作用したときに、図3に示すように、凸部38はほとんど撓まず、連結部39が、板バネK1の如く作用して撓むことになる。木質表面材3の中央部に形成された凸部38では、連結部39が、凸部の両側を拘束した板バネの如く作用する。一方、木質表面材3の端部に形成された凸部38Aでは、連結部39が、弾性変形可能な片持ち梁(板バネ)の如く作用する。
ここで、凹溝35の溝底部35aから木質表面材3の表面32までの木質表面材3の厚さ(上述した連結部39の厚さ)は、図3に示す板バネK1の厚さ(板バネの曲げつよさ)とみなすことができ、さらに、木質表面材3の凹溝面積率は、この板バネK1の個数とみなすことができる。
このような結果、連結部39の厚さを2mm〜4.5mmとしたが、その厚さが2mm未満の場合には、高衝撃時における連結部39の強度が不足してしまい、連結部39から破損するおそれがある。一方、連結部39の厚さが4.5mmを超えた場合には、連結部39が撓み難くなり(板バネの曲げ弾性率が高くなり過ぎて)、高衝撃時における衝撃を充分に吸収することができないことがある。また、さらに好ましくは、連結部39の厚さは、2.0〜3.5mmであり、後述する発明者らの実験からも明らかなように、この範囲の厚さとすることにより、さらに衝撃吸収性を向上させることができる。
一方、木質表面材3の凹溝面積率を、2.28〜21.88%の範囲としたが、凹溝面積率が2.28%未満の場合には、連結部39の占める割合が少なくなるため、連結部39が緩衝材としての役割を充分に果たすことができない。また、凹溝面積率が21.88%を超えた場合には、裏面34の凸部38の占める割合が少なくなるため、木質表面材3の剛性が低下するおそれがある。さらに、各凸部38の凸面積S1の減少に伴い、高衝撃時には、凸部により衝撃吸収材に作用する押圧が増加し、衝撃吸収材4が埋没するおそれもある。
さらに、本実施形態に係る衝撃吸収材4は、衝撃吸収材4のJIS K 6767に準拠する圧縮応力−50%ひずみ(以下、圧縮応力−50%ひずみという)が、0.3MPa以下の範囲にあり、その厚さt2は、6〜10mmの範囲にある。
図3に示すように、衝撃吸収材4は、高衝撃時に衝撃エネルギが作用したときに、撓んだ連結部39を有した木質表面材3に対して、圧縮バネK2の如く作用して、圧縮変形することになる。このように、衝撃吸収材4の圧縮応力−50%ひずみは、図3に示す圧縮バネK2の圧縮方向の強さとみなすことができ、さらに、衝撃吸収材4の厚さは、圧縮バネK2の長さとみなすことができる。
そして、衝撃吸収材4の圧縮応力−50%ひずみを、0.3MPa以下の範囲内としたが、0.3MPaを超えた場合には、高衝撃時に、連結部39の撓みによる木質表面材3の変形に追従するように、衝撃吸収材4が変形し難くなり、高衝撃時における衝撃を充分に吸収することができないことがある。
なお、衝撃吸収材4の圧縮応力−50%ひずみを、低くすればするほど、衝撃吸収材4のクッション性が向上することは当然のことであるが、この値が小さ過ぎた場合には、フロアの踏み心地性が阻害されることもあり、さらには、高衝撃時に衝撃吸収材4がこれ以上圧縮変形し難いこともある。従って、好ましくは、衝撃吸収材4の圧縮応力−50%ひずみは、発明者の以下に示す実験から、0.15MPa以上であることがより好ましい。
また、衝撃吸収材4の厚さを、6〜10mmの範囲としたが、衝撃吸収材4の厚さが、6mm未満の場合には、高衝撃時に、衝撃吸収材が局所的に収縮し難くなり、衝撃エネルギが吸収され難い状態(底打ち状態)となる。また、衝撃吸収材4の厚さが10mmを超えたとしても、それ以上の衝撃吸収性能の改善が期待できないことがある。また、衝撃吸収材4の厚さの増加は、フロアの踏み心地性を阻害することもあるので、必要以上に衝撃吸収材4の厚さを増加させないほうがよい。
衝撃吸収材4は、衝撃吸収材4の圧縮応力−50%ひずみが、0.3MPa以下の範囲を満たし、その厚さt2は、6〜10mmの範囲を満たす、合成樹脂発泡体またはゴム発泡体である。合成樹脂発泡体には、例として、ポリエチレン系樹脂発泡体(例えば、ポリエチレン樹脂発泡体、ポリエチレンビニルアルコール樹脂発泡体、ポリエチレンビニルアセテート樹脂発泡体)、ポリスチレン系樹脂発泡体、ウレタン発泡体、これらの樹脂を2種以上配合した樹脂発泡体等を挙げることができる。ゴム発泡体には、例として、合成ゴム発泡体、天然ゴム発泡体を挙げることができる。また、衝撃吸収材4の圧縮応力−50%ひずみは、衝撃吸収材の材質や炭酸カルシウムなどの添加剤または発泡倍率等を変更することにより調整することができる。また、2種以上の樹脂を配合する場合には、その配合割合を変更することで調整できる。
さらに、木質床構造体10の裏面側に裏面材(図示せず)を設けてもよく、この場合には、裏面材として、厚さ1mm以上の、インシュレーションボード、MDF、HDF、ハードボード等の木質繊維板、合板、パーティクルボード、配向性ストランドボード(OSB)、LVL、集成材、無垢材、合成樹脂板、金属板、紙等を挙げることができる。また、裏面材の代わりに防湿シートを用いてもよい。
図4は、本発明に係る別の形態の木質フロアを構成する木質床構造体の一例を示す模式図である。図1の木質床構造体10と相違する点は、衝撃吸収材を溝方向に沿って分割した2つの衝撃緩衝片を用いた点と、この衝撃緩衝片同士の接合部分に位置する凸部の形状である。したがって、図1に示す木質床構造体の部分と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
図4に示すように、木質床構造体10Aの衝撃緩衝材4は、長手方向の中央において、溝方向に沿って分割された衝撃緩衝片4a,4aにより構成されている。各衝撃緩衝片4a,4aは、木質表面材3の裏面34に積層されている。この積層状態で、衝撃緩衝材4は、衝撃緩衝片4a,4a同士が溝方向に沿って接合された接合部分4bを有している。
木質表面材3の裏面34には、複数の凸部38のうち、衝撃緩衝片4a,4a同士の接合部分4bに位置するように形成された幅広凸部(38B)を有している。ここで、幅広凸部38Bの幅d3は、少なくとも幅広凸部38Bに隣接した凸部38の幅d4よりも、広くなっている。
この態様によれば、衝撃緩衝片4a,4aを用いることにより、木質表面材3の形状に合わせて好適に衝撃吸収材4を積層することができるばかりでなく、衝撃緩衝片4a,4a同士の接合部分4bの位置には、幅広の幅広凸部38Bが位置するので、この部分における木質床構造体10Aの強度を高めることができる。
図1および図5の如く構成された木質床構造体10(10A)は、床下地面に配置して木質フロア1とされる。具体的には、図5(a)に示すように、木質床構造体10(10A)を、床下地面に敷き詰めて木質フロア1を構築してもよく、図5(b)に示すように、床下地面に、衝撃吸収材4を敷設し、衝撃吸収材4の上に木質表面材3の順に敷設して、木質フロア1としてもよい。すなわち、本発明でいうところの「木質床構造体を床下地面に配置した木質フロア」とは、図5(a)および(b)のいずれの木質フロアも含むものである。
このようにして構成された、木質フロア1は、高衝撃時に、衝撃荷重により木質表面材3を撓ませて、衝撃吸収材4ばかりでなく、木質表面材3に衝撃エネルギの吸収を担わせることができる。この結果、これまでの評価基準の2倍以上の衝撃エネルギが木質フロアに作用した場合であっても、この衝撃エネルギを吸収し、高衝撃時のG値を100G以下とすることができる。
以下、実施例と比較例により本発明を説明する。なお、以下、本発明の実施例では、床下地面を合板下地面として評価したが、本発明の床下地面は、これに限定されるものではない。
[実施例A1:連結部の厚さ]
以下に示すようにして、木質フロアの試験体を製作した。木質表面材として150×150mm、10mm厚の5プライのラワン合板を準備し、各凸部の幅が40mmとなり、溝形状が矩形状で開口部の溝幅が1.4mmとなり、連結部の厚さが2mm(溝深さ8.0mm)となり、複数の凸部のうちの1つの凸部の中央が、木質表面材の中央に一致するように、等ピッチで、のこ刃により溝加工を施した。さらに、木質表面材の中央に凸部が形成されるように、凹溝に直交するように凹溝と同じピッチで凹溝よりも溝深さの浅い横凹溝(溝深さ3.5mm)(図2(b)参照)を溝加工により形成した。
衝撃吸収材として、JIS K 6767に準拠する圧縮応力−50%ひずみ(以下、圧縮応力−50%ひずみという)が0.26MPa、厚さ8mmのポリエチレン樹脂発泡体(発泡倍率10倍、見かけ密度110kg/m3)を接着して、木質床構造体とした。さらに、この木質床構造体の表面に、オレフィンシートとPETシートを貼り合わせた0.6mm厚の化粧シートを貼り付けた。ここで、この化粧シートの樹脂は木材よりも可撓性が高いため(木質床構造体の剛性のほとんど寄与しないため)、上述した実施形態において示したように、化粧シートの厚さは、連結部の厚さに含めない。
なお、本実施例および以下に示す実施例および比較例における圧縮応力−50%ひずみは、1分間に、50mm×50mm、厚さ20mmの衝撃吸収材を50%まで潰す速度で圧縮するのに要する応力を測定したものであり、上述するJIS K 6767に準拠する圧縮応力−50%ひずみの値である。
そして、後述する図6(b)に示すように、303mm×606mm、厚さ11mmの合板下地51の表面を床下地面とし、この床下地面(合板下地51の表面)の中央に、上述した木質床構造体10を敷設して、木質フロアの試験体とした。
[実施例A2,A3]
実施例A1と同じように木質フロアの試験体を製作した。実施例A2および実施例A3が、実施例A1と相違する点は、木質表面材の連結部の厚さを、それぞれ3mm、4mmにした点である。
[比較例A1,A2]
実施例A1と同じように木質フロアの試験体を製作した。比較例A1および比較例A2が実施例A1と相違する点は、木質表面材の連結部の厚さを、それぞれ1mm,5mmにした点である。
<衝撃試験>
施工された木質フロアの衝撃時のG値をJIS A6519に準じて測定した。繰り返しになるが、ヘッドモデルが床に衝突したときの加速計に出力される加速度の最大値を衝撃時のG値という。ただし、JIS A6519の「床の硬さ試験」の測定方法は、落下高さを200mmとしているが、ここでは、落下高さ460mmの場合における、衝撃時のG値(以下、「高衝撃時のG値」という)を測定した。
また、測定にあたっては、図6(a),(b)に示すように、コンクリート床50の上に図示の寸法の木枠(試験台)52を配置し、この木枠52の上部の中央根太53に、木質床構造体10が位置するように木質フロア1(木質床構造体10と合板下地51の組合せ)を配置した。木質フロア1における前記木枠52の中央根太53の中央部に対応する箇所を衝撃点Pとし、そこに測定装置(不図示)が落ちるようにした。その結果を表1および図7に示した。
[評価A]
表1に示すように、比較例A2の木質フロアと比較して、連結部の厚さが2.0〜4.0mmの実施例A1およびA2の木質フロアは、高衝撃時のG値が、100G以下(具体的には91G以下)と小さくなった。さらに、図7からも明らかなように、高衝撃時のG値が100以下となる連結部の厚さは、4.5mm以下であることがわかる。また、実施例A1およびA2の木質フロアは、いずれも高衝撃時のG値が90G以下となった。また、比較例A2と比較して、比較例A1の木質フロアは、高衝撃時のG値が、100G以下と小さくなっているが、高衝撃時において、木質表面材が溝部から破損した。
比較例A2の木質フロアにおける高衝撃時のG値が、実施例A1〜A3のものに比べた高かったのは、連結部の厚さが厚くなり過ぎて、この部分がバネ板のように撓まなかったからであると考えられる。
このような結果から、凹溝の溝底部から木質表面材の表面までの木質表面材の厚さは、2.0〜4.5mmの範囲であれば、高衝撃時に、凸部はほとんど撓まずに、連結部が板バネの如く作用して撓むと考えられる。ここで、連結部の厚さが1mmの場合には、高衝撃時における連結部の強度が不足したと考えられ、厚さが4.5mmを超えた場合には、連結部が撓み難くなり、高衝撃時における衝撃を充分に吸収することができないと考えられる。さらに、図7から、連結部の厚さが2.0〜3.5mmであれば、さらに衝撃吸収性能を向上させることができる。
[実施例B1〜B5:凹溝面積率]
実施例A2と同じように木質フロアの試験体を製作した。実施例B1〜実施例B5の木質フロアが、実施例A2と相違する点は、凹溝の幅(1.4mm)を変えずに、横凹溝を設けずに一方向のみに複数の凹溝を形成し、これにより凹溝面積率を変更した点である。
具体的には、実施例B1〜B5の凸部の幅は、それぞれ、5mm(凹溝面積率21.88%),10mm(凹溝面積率12.28%),40mm(凹溝面積率3.38%:実施例A2と同じ),60mm(凹溝面積率2.28%)で、等ピッチで凹溝を形成し、木質表面材の中央に、複数ある凸部のうちの1つの凸部の中央が一致するように、木質フロアを製作した。これら木質フロアに対して、高衝撃時のG値を実施例A2と同様にして測定した。その結果を表2および図8に示した。
さらに、実施例B1〜B5に対しては、上述した幅の凸部が、端部に一致するように溝加工した木質表面材を備えた木質フロアを製作し、この端部に形成された凸部の中央における高衝撃時のG値を実施例A2と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
[比較例B1およびB2]
実施例A2と同じように木質フロアの試験体を製作した。比較例B1およびB2の木質フロアが、実施例A2と相違する点は、凹溝の幅(1.4mm)を変えずに、それそれ、凸部の幅が70mm(凹溝面積率1.96%),80mm(凹溝面積率1.72%)となるように、等ピッチで凹溝を形成した点である。これら木質フロアに対して、高衝撃時のG値を実施例A2と同様にして測定した。その結果を表2および図8に示した。さらに、上述した幅の凸部が、端部に一致するように溝加工した木質表面材を備えた木質フロアを製作し、この端部に形成された凸部の中央における高衝撃時のG値を実施例A2と同様にして測定した。その結果を表2に示す。
[評価B]
表2に示すように、比較例B1,B2の木質フロアと比較して、凹溝面積率が2.28〜21.88%となる実施例B1〜B5の木質フロアの中央部または端部における、高衝撃時のG値は100G以下(具体的には95G以下)と小さくなった。比較例B1,B2の木質フロアの中央部または端部における高衝撃時のG値は、100Gを超えた。
さらに、図8からも明らかなように、比較例B1およびB2の如く、高衝撃時のG値は、凹溝面積率が2.28%未満となってから、急速に増加していることがわかる。これは、上述した連結部の占める割合が少なくなるため、連結部が緩衝材としての役割を充分に果たすことができないことによると考えられる。
このような結果から、凹溝面積率が2.28%以上であれば、木質表面材の中央部または端部に拘わらず、連結部が緩衝材として作用するといえ、凹溝面積率が少なくとも21.88%以下であれば、高衝撃時において、衝撃吸収材を積層した状態で木質表面材の剛性を確保することができると考えられる。
[実施例C1〜C5:圧縮応力−50%ひずみ]
実施例A2と同じように木質フロアの試験体を製作した。実施例C1〜実施例C4の木質フロアが、実施例A2と相違する点は、衝撃吸収材(厚さ8mm)の材質である。具体的には、実施例C1の衝撃吸収材は、ポリエチレンビニルアセテート(EVA)樹脂発泡体(発泡倍率15倍、見かけ密度80kg/m3)であり、圧縮応力−50%ひずみは、0.15MPaである。
実施例C2の衝撃吸収材は、ポリエチレンビニルアセテート(EVA)樹脂発泡体(発泡倍率12倍、見かけ密度100kg/m3)であり、圧縮応力−50%ひずみは、0.18MPaである。
実施例C3の衝撃吸収材は、ポリエチレン樹脂発泡体(発泡倍率10倍、見かけ密度110kg/m3)であり、圧縮応力−50%ひずみは、0.26MPaであり、実施例A2と同じである。
実施例C4の衝撃吸収材は、ポリエチレン樹脂発泡体(発泡倍率10倍、見かけ密度100kg/m3)であり、圧縮応力−50%ひずみは、0.25MPaである。なお、実施例C3と実施例C4は、同じ材質であるが、ポリエチレン樹脂の種類を変えたり、炭酸カルシウム等の添加剤の添加量を変えたりすることにより、圧縮応力−50%ひずみを変化させたものである。
実施例C1〜C4の木質フロアに対して、高衝撃時のG値を実施例A2と同様にして測定した。その結果を表3および図9に示した。
[比較例C1]
実施例A2と同じように木質フロアの試験体を製作した。比較例C1の木質フロアが、実施例A2と相違する点は、衝撃吸収材(厚さ8mm)の特性である。具体的には、比較例C1の衝撃吸収材は、ポリエチレン樹脂発泡体(発泡倍率8倍、見かけ密度130kg/m3)であり、圧縮応力−50%ひずみは、0.38MPaである。比較例C1の木質フロアに対して、高衝撃時のG値を実施例A2と同様にして測定した。その結果を表3および図9に示した。
[評価C]
表3に示すように、比較例C1の木質フロアと比較して、圧縮応力−50%ひずみが0.15〜0.25MPaの実施例C1〜C4の木質フロアは、高衝撃時のG値が、100G以下(具体的には99G以下)と小さくなった。さらに、図9からも明らかなように、高衝撃時のG値が100G以下となる圧縮応力−50%ひずみは、0.3MPa以下であることがわかる。また、実施例C1〜C3の木質フロアは、いずれも高衝撃時のG値が89G以下となった。
比較例C1の木質フロアにおける高衝撃時のG値が、実施例C1〜C4のものに比べた高かったのは、これらの高衝撃時に衝撃吸収材が変形し難くなり、衝撃を充分に吸収することができなかったからであると考えられる。
このような結果から、衝撃吸収材の圧縮応力−50%ひずみは、0.30MPa以下であれば、高衝撃時における衝撃を吸収することができると考えられる。また、高衝撃時において、圧縮応力−50%ひずみが0.15MPa未満から低下するに従って、高衝撃時のG値は、緩やかに上昇するものと考えられる。これは、衝撃吸収材が柔らかいため、高衝撃時には、衝撃吸収材が厚さ方向に潰れやすくなるからであると考えられる。従って、衝撃吸収材の圧縮応力−50%ひずみは、0.15MPa以上であることがより好ましい。
[実施例D1〜D5:衝撃吸収材厚さ]
実施例A2と同じように木質フロアの試験体を製作した。実施例D1〜実施例D5の木質フロアが、実施例A2と相違する点は、衝撃吸収材の厚さであり、それぞれ、6mm、7mm、8mm(実施例A2と同じ)、9mm、10mmにした点である。
実施例D1〜D5の木質フロアに対して、高衝撃時のG値を実施例A2と同様にして測定した。その結果を表4および図10に示した。
[比較例D1]
実施例A2と同じように木質フロアの試験体を製作した。比較例D1の木質フロアが、実施例A2と相違する点は、衝撃吸収材の厚さを、5mmにした点である。
比較例D1の木質フロアに対して、高衝撃時のG値を実施例A2と同様にして測定した。その結果を表4および図10に示した。
[評価]
表4および図10に示すように、比較例D1の木質フロアと比較して、6mm〜10mmの厚さの衝撃吸収材を持つ実施例D1〜D5の木質フロアは、高衝撃時のG値が、100G以下(具体的には86G以下)と小さくなった。
このような結果から、衝撃吸収材の厚さは、6〜10mmであれば、高衝撃時における衝撃を吸収することができると考えられる。また、図10に示すように、衝撃吸収材の厚さが薄くなるに従って、衝撃時のG値が増加している。これは、衝撃吸収材が局所的に収縮し難くなり、衝撃エネルギが吸収され難い状態(底打ち状態)となると考えられる。
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
例えば、実施例では、衝撃吸収材として、ポリエチレンビニルアセテート(EVA)樹脂発泡体、ポリエチレン樹脂発泡体を用いたが、圧縮応力−50%ひずみは、0.3MPa以下の範囲を満たす材料であれば、特に、その材質は限定されるものではない。また、実施例では、凹溝の溝幅を一定として、そのピッチを変更することにより、凹溝面積率を変更したが、凹溝面積率が、2.28〜21.88%の範囲にあるのであれば、溝幅とピッチの関係は特に限定されるものではない。また、図4では、衝撃緩衝材を2分割したが、この分割数に限定されるものではなく、この分割位置における接合部分に応じて、木質表面材の裏面に幅広凸部を設ければよい。