JP2012211295A - 生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法 - Google Patents
生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2012211295A JP2012211295A JP2011160135A JP2011160135A JP2012211295A JP 2012211295 A JP2012211295 A JP 2012211295A JP 2011160135 A JP2011160135 A JP 2011160135A JP 2011160135 A JP2011160135 A JP 2011160135A JP 2012211295 A JP2012211295 A JP 2012211295A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- biodegradable
- resin
- polyester resin
- biodegradable aliphatic
- foam sheet
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
- Biological Depolymerization Polymers (AREA)
Abstract
【解決手段】生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂、生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂、及び、収縮防止剤を含有する樹脂組成物を押出発泡させて生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを製造する生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法であって、前記樹脂組成物には、190℃での溶融張力が0.5cN以上1.0cN以下で、且つ、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度が200Pa・s以上600Pa・s以下となる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、該生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)との融点の差が15℃以内となる生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)とが、55:45〜98:2の質量比率(A:B)で含有されており、且つ、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)との合計100質量部に対して前記収縮防止剤が0.05質量部以上5質量部以下となる割合で含有されていることを特徴とする生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法を提供する。
【選択図】 なし
Description
近年、山野、河川、或いは、海岸といった場所において不法に投棄された包装材で景観が損なわれるといった問題に対する対策が求められるようになってきており、自然環境下で分解可能な生分解性のポリエステル系樹脂の発泡体が包装材などに利用されるようになってきている。
また、この種の包装材とは別に園芸用、農業用の資材を生分解性の発泡体で形成させて土壌中において自然分解させることが行われたりもしている。
この内、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂については、該生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂組成物を押出機で押出発泡させて発泡体を作製する技術が十分に確立がされておらず、特にシート状の発泡体(発泡シート)を良好な発泡状態で製造することが困難な状況となっている。
しかし、生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂は、一般に軟質であるために得られる製品に十分な強度を付与することが困難な状況となっている。
例えば、本発明によれば、生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの発泡状態や厚みなどにもよるが、押出(MD)方向において測定した引張破断点エネルギーが1.1J以上もの値を示す強度に優れた生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを得ることができる。
まず、生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを形成させるための原材料について説明する。
前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)は、発泡シートの主成分となるもので190℃での溶融張力が0.5cN以上1.0cN以下で、且つ、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度が200Pa・s以上600Pa・s以下となるものを用いる。
そして、本実施形態においては、190℃での溶融張力が0.5cN以上1.0cN以下となる低溶融張力の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を用いながらも強度に優れ良好な発泡状態の発泡シートが作製され得る。
以下に各材料についてより詳しく説明する。
前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂は、本実施形態に係る発泡シートの主成分であり、上記のような溶融特性を有する生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を採用することが重要なのは、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度が200Pa・s未満となるようなものでは、該生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を含んだ樹脂組成物を押出発泡させる際において破泡が生じ易くなる結果良好な発泡状態の発泡シートを得ることが困難になるためである。
また、本実施形態において溶融粘度が600Pa・s以下の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を用いるのは、溶融粘度が600Pa・sを超える生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を用いると押出発泡において溶融樹脂の粘度が高すぎて十分な発泡倍率を有する発泡シートが得られ難くなるためである。
このような点においては、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度は、210Pa・s以上580Pa・s以下が好ましく、220Pa・s以上550Pa・s以下がより好ましい。
ただし、用いる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂の溶融張力が過度に低いと押出発泡させる際において気泡膜が破れて連続気泡が形成され易くなり、良好な発泡シートを得ることが困難となる。
即ち、本実施形態においては、連続気泡率の低い、高い発泡倍率の発泡シートをより確実に得られ易くなることから前記のような溶融張力(190℃での溶融張力が0.5cN以上1.0cN以下)を有する生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂を用いるものである。
(溶融粘度)
溶融粘度は、JIS K 7199:1999「プラスチック−キャピラリーレオメーター及びスリットダイレオメーターによるプラスチックの流れ特性試験方法」記載の方法により測定することができる。
即ち、ツインボアキャピラリーレオメーター(Rheologic 5000T(イタリア チアスト社製))を用いて測定することができ、垂直方向に配された内径15mmのバレル内に試料を収容させて、190℃の温度で5分間予備加熱して溶融させた後に、バレルの上部からピストンを挿入して、該ピストンの降下速度を0.0556mm/s(剪断速度:100.1s-1)の一定速度とし、前記バレルの下端に設けたキャピラリー(ダイ径:1.0mm、ダイ長さ:10mm、流入角度:90度(コニカル))から溶融樹脂を紐状に押出し、この時に観察される見かけの粘度を測定し溶融粘度とすることができる。
溶融張力も、ツインボアキャピラリーレオメーター(Rheologic 5000T(イタリア チアスト社製))を用いて以下のようにして測定することができる。
即ち、垂直方向に配された内径15mmのバレル内に試料を収容させて、190℃の温度で5分間予備加熱して溶融させた後に、バレルの上部からピストンを挿入して、該ピストンで押出速度が0.0773mm/sの一定速度となるようにしてバレルの下端に設けたキャピラリー(ダイ径:2mm、ダイ長さ:8mm、流入角度:90度(コニカル))から溶融樹脂を紐状に押し出させ、この紐状物を、キャピラリーの下方250mmの位置に配された張力検出プーリーに巻き掛けた後、巻き取りロールを用いて巻き取らせ、巻取り初めの速度を4mm/sとし、その後の加速を12mm/s2として徐々に巻取り速度を速め、紐状物が破断する寸前において張力検出プーリーで観察される張力を溶融張力とすることができる。
なお、この時、張力の測定値が振れる場合は、破断直前の極大値と極小値の中間点を溶融張力とすることができる。
本実施形態において好ましく用いられる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、グリコールと脂肪族ジカルボン酸との重縮合などにより得られるポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンオキザレート、ポリブチレンオキザレート、ポリネオペンチルオキザレート、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケートなどが挙げられる。
また、本実施形態において好ましく用いられる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリグリコール酸やポリ乳酸などのようなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらの共重合体、ポリ(ε−カプロラクトン)やポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(3−ヒドロキシカプロレート)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエート)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)のようなポリ(β−ヒドロキシアルカノエート)及びポリ(4−ヒドロキシブチレート)などの脂肪族ポリエステルを挙げることができる。
本実施形態においては、これらのなかでもポリブチレンサクシネートが特に好ましく用いられ得る。
なお、本実施形態においては、上記例示の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂の内の一種類を選択して用い得る他に、上記例示の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂の内の複数を混合して用いることもでき、上記例示以外の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂も採用が可能である。
前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)とともに本実施形態の発泡シートの製造に用いられる生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(以下「脂芳樹脂」ともいう)は、脂肪族エステルと芳香族エステルとが混在する樹脂である。
より詳しくは、脂肪族のジカルボン酸と芳香族のジカルボン酸とが混在し、これが脂肪族の二価アルコールとエステル結合して得られた樹脂である。
なかでも、芳香族ジカルボン酸が10〜75モル%を占め残りが脂肪族ジカルボン酸となっているものが好ましく、芳香族ジカルボン酸が15〜70モル%を占め残りが脂肪族ジカルボン酸となっているものが特に好ましい。
また、脂芳樹脂は固有粘度(IV値)が0.8〜2.0のものが好ましく、0.9〜1.5のものが特に好ましい。
この脂肪族のジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
なお、多くの場合、これらのなかでも、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールが用いられている。
そのうちの脂肪族ジカルボン酸としては種々のものが知られており、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸及びそれらのエステル形成性誘導体が用いられている。
なお、多くの場合、これらのなかでも、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が用いられている。
なお、多くの場合、これらのなかでも、1,4−テレフタル酸、1,3−テレフタル酸が用いられている。
例えば、脂肪族のものとしては、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボン酸、ヒドロキシピバリン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、グリコール酸、乳酸及びそれらのエステル形成性誘導体が用いられおり、芳香族に属するヒドロキシカルボン酸としては、サリチル酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸等が用いられている。
例えば、ビーエーエスエフ(BASF)社からエコフレックス(Ecoflex)の商品名で市販されているものなどが採用可能である。
脂芳樹脂(B)に上記の規定を設けているのは、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)の融点と脂芳樹脂(B)の融点との間に15℃を超える差異を生じさせると両樹脂の発泡適正温度域に大きな違いが生じて、良好な発泡シートを得ることができないおそれがあるためである。
なお、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、及び、脂芳樹脂(B)のいずれか一方、又は、両方に複数種類の樹脂が採用される場合には、それぞれ最も多く含有されるものどうしの間で融点の差が15℃以内となっていれば良く、僅かにしか含有されていない生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)や脂芳樹脂(B)にまで上記のような融点の関係が担保される必要はない。
ただし、より確実に良好な発泡シートを得るためには、全ての生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と全ての脂芳樹脂(B)との間に融点差15℃以内の関係が保たれていることが好ましい。
前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記脂芳樹脂(B)とを上記のような比率で用いるのは、この範囲外では、発泡シートに十分な強度が発揮されなくなるおそれを有するためである。
本実施形態において生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの形成に用いる前記収縮防止剤(C)は、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記脂芳樹脂(B)との合計100質量部に対する割合が0.05質量部以上5質量部以下の範囲の内のいずれかとなるように前記樹脂組成物に含有される。
なお、収縮防止剤の含有量に上記のような範囲が設けられているのは、収縮防止剤の量が上記範囲未満であると製造時における発泡シートの収縮が大きくなって、十分発泡させることが困難になるおそれを有し、一方で過度に含有させると押出自体が困難になるおそれを有するためである。
即ち、本実施形態においては、良好な発泡状態の発泡シートを安定して製造するために前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記脂芳樹脂(B)との合計100質量部に対する前記収縮防止剤の割合を0.05質量部以上5質量部以下に設定している。
本実施形態においては、これらのなかでもステアリン酸モノグリセライドが特に好ましく用いられ得る。
なお、本実施形態においては、上記例示の収縮防止剤の内の一種類を選択して用い得る他に、上記例示の収縮防止剤の内の複数を混合して用いることもでき、上記例示以外のもので従来収縮防止剤として公知のものも採用が可能である。
前記不活性ガスとしては、例えば、炭酸ガス、窒素等が挙げられる。
また、前記脂肪族炭化水素としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン等が挙げられ、前記脂環族炭化水素としては、例えば、シクロペンタン、シクロへキサン等が挙げられる。
本実施形態においては、上記の中でも特にノルマルブタンやイソブタンが好ましく用いられ得る。
なお、前記分解型発泡剤は、揮発性発泡剤と併用することで発泡状態を調整することができ、気泡調整剤として用いることができる。
本実施形態の生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法においては、押出機と、該押出機の先端に取り付けたダイとを用い、前記のような生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)、脂芳樹脂(B)、収縮防止剤(C)、発泡剤(D)及び気泡調整剤(E)を含んだ樹脂組成物を前記押出機において溶融混練し、前記ダイの吐出口からシート状に押出発泡させる方法を採用することができる。
なお、発泡シートの製造に際しては、前記ダイとしてサーキュラーダイやフラットダイを用いるなどして前記樹脂組成物をシート状に押出発泡させることができる。
これらの内ではサーキュラーダイを用いることが好ましい。
このとき良好なる発泡状態の発泡シートを得る上においては、前記ダイでの剪断速度が1000sec-1以上となる条件で押出発泡させることが好ましい。
ただし、過度に剪断速度を向上させても、金型先端部において剪断発熱を起こし、発泡シートの発泡状態を一定以上には良好なものとすることができず、かえって気泡破れ等を生じてしまうため、通常、前記剪断速度は5000sec-1以下とされる。
サーキュラーダイの吐出口における剪断速度は、下記の計算式により算出される。
剪断速度γ(sec-1)=(6×Q)/〔π×(D/10)×(t/10)2〕
ただし、「Q(cm3 /s)」は、単位時間当たりに押出される樹脂組成物の体積であり、「 D(mm)」は吐出口の内側開口縁の直径で「t(mm)」は吐出口の開口幅である。
フラットダイの吐出口における剪断速度は、下記の計算式により算出される。
剪断速度γ(sec-1)=(6×Q)/〔(W/10)×(t/10)2 〕
ただし、但し、「Q(cm3 /s)」は、単位時間当たりに押出される樹脂組成物の体積であり、「W(mm)」は吐出口の長さで、「t(mm)」は吐出口の開口幅である。
例えば、融点115℃程度の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)を脂芳樹脂(B)とともにブタンなどの揮発性発泡剤で発泡させるのであれば、一旦、樹脂組成物を押出機で200℃程度に加熱して前記揮発性発泡剤を樹脂組成物中に分散させた後、発泡に適した115℃〜125℃程度の温度に冷却して押出発泡を実施させることができる。
なお、本発明においては、製造する生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを上記用途に限定するものではない。
また、生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの原材料や製造方法などの技術事項も上記例示のものに限定されるものではなく、本発明の効果を著しく損なわない範囲において適宜変更が可能なものである。
まず、生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)であるポリブチレンサクシネート樹脂〔三菱化学社製、商品名「GS−Pla FZ91D」、融点115℃、溶融粘度(190℃、100sec-1):260Pa・s 溶融張力(190℃):0.72cN〕90質量部と生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)であるポリブチレンアジペート・テレフタレート〔BASF社製「エコフレックス」融点:110〜120℃〕10質量部との合計100質量部に対して収縮防止剤(C)であるステアリン酸モノグリセライド〔花王社製「エキセル84」〕0.5質量部、気泡調整剤(E)〔重炭酸塩/有機酸混合マスターバッチ、大日精化工業社製、商品名「ファインセルマスター SSC PO410K」〕0.5質量部の割合で配合した原材料を用意した。
50mmのシリンダー径の押出機(第一押出機)と60mmのシリンダー径の押出機(第二押出機)とが連結されたタンデム型押出機に前記原材料を供給し、前記第一押出機のシリンダー温度を220℃に設定して該第一押出機で前記原材料を溶融混練させた後、発泡剤としてブタンガスを前記原材料とブタンガスとを併せた総質量に占める割合が3質量%となるように圧入してさらに溶融混練させた。
この第一押出機で溶融混練した混練物を第二押出機で発泡に適した状態となるように冷却し、該第二押出機の先端に取り付けたサーキュラーダイの吐出口〔ダイスリット間隔(t)0.21mm、ダイスリット径(D)70mm〕から温度が115℃となるようにして樹脂組成物を押出発泡させ、発泡シートを円筒状に押出した。
その後、円筒状の発泡シートを直径220mmのマンドレルに沿わせ冷却した後にカッターで押出方向に沿って連続的に切り込みを入れて展開し、厚み0.21mm、密度0.28g/cm3の発泡シートを得た。
この押出発泡における吐出量は26.5kg/hで、ダイでの剪断速度は3614sec-1であった。
この実施例においては、押出発泡の状態も安定しており、良好なる発泡状態の発泡シートを得ることができた。
また、この発泡シートの押出方向における引張破断点エネルギーを測定したところ、1.29Jであった。
すなわち、まず発泡シートサンプルから押出方向が長手方向となるようにISO1798:2008タイプ1に規定されるダンベル状試験片を5個作製し、オリエンテック社製の引張試験機「テンシロン万能試験機 UCT−10T」をチャック間が100mmとなるようにセットし、該チャックに前記試験片を挟んで500mm/minの試験速度で引張り試験を行い、それぞれの試験片の伸びの原点から試験片が破断した点までの荷重を変位で積分し、該積分値を平均して引張破断点エネルギーを求めた。
なお、ロードセルは1kNのものを用い、測定レンジ幅を0〜200Nに設定し試験片の伸びの変位はチャック間隔で計測し、伸びの原点は、試験片の引張り弾性率の傾き直線が変位軸と交差した点とした。
なお、引張り弾性率の傾き直線は、引張試験で測定される荷重の値がフルスケール(200N)に対して0.2%〜30%となる区間を0.3%ピッチで区切り、それぞれの区間における荷重差と変位差とにより傾きを求め、傾きの最大値から2番目、3番目、4番目の傾きを元データとして最小二乗法により求められる直線である。
生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)であるポリブチレンサクシネート樹脂〔三菱化学社製、商品名「GS−Pla FZ91D」、融点115℃、溶融粘度(190℃、100sec-1):260Pa・s 溶融張力(190℃):0.72cN〕80質量部と生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)であるポリブチレンアジペート・テレフタレート〔BASF社製「エコフレックス」融点:110〜120℃〕20質量部との合計100質量部に対して収縮防止剤(C)であるステアリン酸モノグリセライド〔花王社製「エキセル84」〕0.5質量部、気泡調整剤(E)〔重炭酸塩/有機酸混合マスターバッチ、大日精化工業社製、商品名「ファインセルマスター SSC PO410K」〕0.5質量部の割合で配合した原材料を用意した。
40mmのシリンダー径の押出機(第一押出機)と50mmのシリンダー径の押出機(第二押出機)とが連結されたタンデム型押出機に前記原材料を供給し、前記第一押出機のシリンダー温度を220℃に設定して該第一押出機で前記原材料を溶融混練させた後、発泡剤としてブタンガスを前記原材料とブタンガスとを併せた総質量に占める割合が3質量%となるように圧入してさらに溶融混練させた。
この第一押出機で溶融混練した混練物を第二押出機で発泡に適した状態となるように冷却し、該第二押出機の先端に取り付けたサーキュラーダイの吐出口〔ダイスリット間隔(t)0.31mm、ダイスリット径(D)30mm〕から温度が119℃となるようにして樹脂組成物を押出発泡させ、発泡シートを円筒状に押出した。
その後、円筒状の発泡シートを直径100mmのマンドレルに沿わせ冷却した後にカッターで押出方向に沿って連続的に切り込みを入れて展開し、厚み0.41mm、密度0.16g/cm3の発泡シートを得た。
この押出発泡における吐出量は10.7kg/hで、ダイでの剪断速度は1562sec-1であった。
この実施例においては、押出発泡の状態も安定しており、良好なる発泡状態の発泡シートを得ることができた。
また、この発泡シートの押出方向における引張破断点エネルギーを先の実施例と同様に測定したところ、1.67Jであった。
生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)との質量比率を80:20に代えて60:40とした以外は、実施例2と同様に押出発泡を実施した。
なお、ここでは、厚み0.22mm、密度0.30g/cm3、押出方向の引張破断点エネルギーが1.47Jの発泡シートを得た。
また、この時の樹脂温度は121℃、吐出量は10.6kg/hでダイでの剪断速度は1548sec-1であった。
生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)との質量比率を90:10に代えて50:50とした以外は、実施例1と同様に押出発泡を実施した。
なお、ここでは、厚み0.21mm、密度0.28g/cm3の発泡シートを得た。
また、この時の樹脂温度は115℃、吐出量は26.4kg/hでダイでの剪断速度は3600sec-1で、実施例1と略同条件であったが、得られた発泡シートの押出方向における引張破断点エネルギーは1.04Jと低いものであった。
以上のことからも、本発明によれば、良好な発泡状態を示し、十分な強度を有する製品を作製可能な生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法が提供され得ることがわかる。
Claims (3)
- 生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂、生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂、及び、収縮防止剤を含有する樹脂組成物を押出発泡させて生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートを製造する生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法であって、
前記樹脂組成物には、190℃での溶融張力が0.5cN以上1.0cN以下で、且つ、温度190℃、剪断速度100sec-1の条件下で測定される溶融粘度が200Pa・s以上600Pa・s以下となる生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と、該生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)との融点の差が15℃以内となる生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)とが55:45〜98:2の質量比率(A:B)で含有されており、且つ、前記生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(A)と前記生分解性脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(B)との合計100質量部に対して前記収縮防止剤が0.05質量部以上5質量部以下となる割合で含有されていることを特徴とする生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法。 - 前記収縮防止剤が、ステアリン酸モノグリセライドである請求項1記載の生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法。
- 製造する生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの厚みが0.2mm以上1.0mm以下で、密度が0.1g/cm3以上0.4g/cm3以下である請求項1又は2記載の生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011160135A JP5728322B2 (ja) | 2011-03-24 | 2011-07-21 | 生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011066100 | 2011-03-24 | ||
JP2011066100 | 2011-03-24 | ||
JP2011160135A JP5728322B2 (ja) | 2011-03-24 | 2011-07-21 | 生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012211295A true JP2012211295A (ja) | 2012-11-01 |
JP5728322B2 JP5728322B2 (ja) | 2015-06-03 |
Family
ID=47265513
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011160135A Active JP5728322B2 (ja) | 2011-03-24 | 2011-07-21 | 生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5728322B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021050286A (ja) * | 2019-09-25 | 2021-04-01 | 株式会社カネカ | 樹脂組成物およびその利用 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10305471A (ja) * | 1997-03-05 | 1998-11-17 | Jsp Corp | 脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法 |
JP2000136256A (ja) * | 1997-09-19 | 2000-05-16 | Showa Denko Kk | 生分解性発泡体用樹脂組成物 |
JP2003268143A (ja) * | 2002-03-15 | 2003-09-25 | Mitsubishi Chemicals Corp | 発泡体製造用脂肪族ポリエステル系樹脂及び発泡体 |
JP2004059819A (ja) * | 2002-07-31 | 2004-02-26 | Mitsui Chemicals Inc | 印刷用脂肪族ポリエステル発泡シート |
JP2006131703A (ja) * | 2004-11-04 | 2006-05-25 | Shin Etsu Polymer Co Ltd | 発泡体およびその製造方法 |
JP2009221337A (ja) * | 2008-03-14 | 2009-10-01 | Mitsubishi Chemicals Corp | 樹脂組成物並びに該樹脂組成物からなる成形品及びフィルム |
-
2011
- 2011-07-21 JP JP2011160135A patent/JP5728322B2/ja active Active
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH10305471A (ja) * | 1997-03-05 | 1998-11-17 | Jsp Corp | 脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法 |
JP2000136256A (ja) * | 1997-09-19 | 2000-05-16 | Showa Denko Kk | 生分解性発泡体用樹脂組成物 |
JP2003268143A (ja) * | 2002-03-15 | 2003-09-25 | Mitsubishi Chemicals Corp | 発泡体製造用脂肪族ポリエステル系樹脂及び発泡体 |
JP2004059819A (ja) * | 2002-07-31 | 2004-02-26 | Mitsui Chemicals Inc | 印刷用脂肪族ポリエステル発泡シート |
JP2006131703A (ja) * | 2004-11-04 | 2006-05-25 | Shin Etsu Polymer Co Ltd | 発泡体およびその製造方法 |
JP2009221337A (ja) * | 2008-03-14 | 2009-10-01 | Mitsubishi Chemicals Corp | 樹脂組成物並びに該樹脂組成物からなる成形品及びフィルム |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021050286A (ja) * | 2019-09-25 | 2021-04-01 | 株式会社カネカ | 樹脂組成物およびその利用 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP5728322B2 (ja) | 2015-06-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP1449867B1 (en) | Window of polylactic acid based resin films | |
US20080262118A1 (en) | Extruded Polylactide Foams Blown With Carbon Dioxide | |
JP4845424B2 (ja) | 生分解性ポリマー系発泡延伸フィルムおよび積層フィルム | |
EP2271695B1 (en) | Extruded foams made with polylactides that have high molecular weights and high intrinsic viscosities | |
JP5941052B2 (ja) | ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法、およびその成形体の製造方法 | |
JP4578309B2 (ja) | ポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法、ポリ乳酸系樹脂発泡成形品の製造方法及びポリ乳酸系樹脂発泡体 | |
JP5728322B2 (ja) | 生分解性ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法 | |
JP4011512B2 (ja) | 結晶性ポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法 | |
WO2022202397A1 (ja) | マルチフィラメント及びその製造方法、並びに、ステープル及びその製造方法 | |
JP2003136592A (ja) | 生分解性二軸延伸フィルム | |
JP4146625B2 (ja) | 生分解性軟質フィルム | |
JP5695994B2 (ja) | 生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂発泡シートの製造方法 | |
JP2003155358A (ja) | 生分解性フィルム | |
KR101438032B1 (ko) | 상용성이 우수한 생분해 폴리락트산계 고분자블렌드 조성물, 그를 이용한 내열성의 압출발포시트 및 그로부터 제조된 발포성형체 | |
JP4357998B2 (ja) | ポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法 | |
JP2005154524A (ja) | 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及びフィルム | |
JP2019183140A (ja) | 改質されたポリ乳酸樹脂の製造方法 | |
JP2004269606A (ja) | 乳酸系樹脂組成物 | |
JP2019183097A (ja) | ポリ乳酸樹脂発泡体 | |
JP2003041036A (ja) | 脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂発泡体及びその製造方法 | |
JP2004308016A (ja) | ポリ乳酸系フラットヤーン | |
JP2023105918A (ja) | 発泡体用組成物、および発泡体 | |
JP2023049669A (ja) | 発泡解繊成形用の樹脂組成物、発泡解繊成形体、および発泡解繊成形体の成形方法 | |
JP2004059819A (ja) | 印刷用脂肪族ポリエステル発泡シート | |
JP2011213905A (ja) | ポリ乳酸系樹脂発泡粒子、その製造方法および発泡成形体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140207 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20141027 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20141031 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20141204 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150327 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150406 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5728322 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |