JP2003041036A - 脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂発泡体及びその製造方法

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JP2003041036A
JP2003041036A JP2001231252A JP2001231252A JP2003041036A JP 2003041036 A JP2003041036 A JP 2003041036A JP 2001231252 A JP2001231252 A JP 2001231252A JP 2001231252 A JP2001231252 A JP 2001231252A JP 2003041036 A JP2003041036 A JP 2003041036A
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temperature
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acid
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JP2001231252A
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English (en)
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Takaaki Hirai
孝明 平井
Hiroyuki Tarumoto
裕之 樽本
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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  • Molding Of Porous Articles (AREA)
  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂を容易
に発泡させる方法を提供しようとするものである。 【解決手段】 脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂を
溶融し、引き続いてこの樹脂を融点以下の温度に冷却し
たとき、樹脂がすぐに固化しないで、暫らく過冷却され
た液状にとどまるような樹脂を選び、これを押出機に入
れて溶融し発泡剤を加え、樹脂の融点以下の温度で押し
出し発泡させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、脂肪族−芳香族コポ
リエステル系樹脂発泡体及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリエステル系樹脂、例えばポリ
エチレンテレフタレート(PET)は、融点が高く強靭
で耐候性が良好なために、繊維、壜など種々の用途に用
いられている。ところが、この樹脂は自然に分解する性
質を持たないために、この樹脂の成形品は廃棄したあと
も永くそのままの形状で残るので、最近はそのリサイク
ル方法等が検討されている。他方、脂肪族ポリエステル
樹脂、例えばポリ乳酸樹脂は融点が低いために、広く利
用されるに至っていないが、生分解性を持つので、最近
はこの樹脂の成形品は環境にやさしい物として注目を集
めるに至っている。
【0003】脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂は、
芳香族エステルと脂肪族エステルとが混在する樹脂であ
って、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとのほ
ぼ中間の性質を持つものとなる。この場合、脂肪族エス
テルと芳香族エステルとに何を用いるか、また両者の共
重合割合をどのようにするかによって、両者の良好な特
性を活かし、欠点を補った樹脂が得られる。現に、最近
では良好な物性とくに優れた柔軟性と耐衝撃性とを持
ち、しかも生分解可能な脂肪族−芳香族コポリエステル
系樹脂が開発されて、シート、フィルム、袋、不織布等
として利用されるに至っている。
【0004】脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂(以
下、これを脂芳樹脂と略称する)は、一般に結晶性のも
のである。従って、脂芳樹脂を加熱すると、脂芳樹脂は
融点付近で急激に溶融し、溶融した結果粘度の低い液体
となる。だから、脂芳樹脂を押出機に入れて押出機内で
発泡剤を圧入し、これを押し出し発泡しようとすると、
押し出された脂芳樹脂は粘度が低いために気泡を保持す
ることができない。このために、脂芳樹脂を押し出し発
泡させて、発泡体とすることは困難である。また、押し
出しに限らず、一般に脂芳樹脂の発泡を記載した文献は
極めて少ない。
【0005】特表2000−510189号公報は、特
定の脂芳樹脂を用いてこれを発泡させることを記載して
いる。その場合の特定の脂芳樹脂とは、普通の脂芳樹脂
の末端に分岐剤を付加して得られた樹脂である。そこで
用いられる分岐剤は、例えばペンタエリスリトール又は
トリメリット酸のような多官能化合物であって、樹脂の
溶融粘度を上昇させるために添加されるものであって、
樹脂に高い溶融強度を与えるものである。
【0006】特表2000−510189号公報は、実
施例2において、このような特定の樹脂を用いて押し出
し発泡させた例を記載している。その記載によれば、特
定の樹脂は融点109℃であって、これを120℃の温
度で押し出し発泡させて密度0.75g/ccの発泡体
を得ている。しかし、この発泡体は低い発泡倍率を持っ
たものであって、約1.6倍に発泡しているに過ぎな
い。
【0007】上述のように、脂芳樹脂は結晶性の樹脂で
あって、低い溶融粘度を持つものであるために発泡させ
にくく、発泡させたとしても、2倍以下の低い倍率に発
泡させることができるに過ぎなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、脂芳樹脂
を容易に発泡させることができる方法を提供しようとす
るものである。また、この発明は、これまで得られなか
った高倍率に、均一に発泡した良質の脂芳樹脂の発泡体
を提供するものである。
【0009】
【課題解決のための手段】この発明者は、脂芳樹脂の示
す溶融粘度について検討した。その結果、この発明者
は、樹脂の中には次のような特性を持つものが存在する
ことを見出した。すなわち、脂芳樹脂を溶融し、これに
発泡剤を圧入して発泡剤含有溶融物としたのち、これを
冷却すると、溶融した脂芳樹脂は、脂芳樹脂の融点以下
の温度になってもすぐには固化しないで、暫らく過冷却
された液状にとどまるという特性を持った樹脂が存在す
ることを見出した。そして、この過冷却された液状にと
どまる樹脂は、発泡に適した粘度を持つものであること
を見出した。この発明は、この過冷却されて液状を保持
している脂芳樹脂を利用して、これを押し出し発泡させ
ることを骨子とするものである。
【0010】この発明者が見出した脂芳樹脂についての
上述の知見は、これをさらに具体的に説明すると、次の
とおりである。この発明者は市販の脂芳樹脂の中から融
点が104℃のものを選んで、その溶融粘度を測定し
た。測定装置としてはReometorics社製のD
ynamic Analyzer RDA IIを用
い、測定周波数を1rad/secとし、降温速度を1
0℃/3分とし、ジオメトリーとしてコーンプレートア
ングル0.04rad、ギャップ50μmを用いて、貯
蔵弾性率Xと損失弾性率Yとを測定した。その結果、図
1に示すような値を得た。
【0011】このことから、この脂芳樹脂は、融点が1
08℃であるに拘らず、108℃よりも約50℃だけ低
い温度において、なお流動性を持っていて貯蔵弾性率が
10 4 〜106 Paの範囲内にあることを見出した。従
って、この発明では、溶融状態が融点よりも50℃だけ
低い温度に冷却したとき、なお流動状態にあって貯蔵弾
性率が104 〜106 Paの範囲内にあるような脂芳樹
脂を選んで用いることとしたのである。
【0012】一般に樹脂を押し出し発泡させる場合に
は、結晶性の樹脂では結晶の融点以上の温度で押し出
し、非晶性の樹脂ではガラス転移点以上の温度で押し出
すのが常識である。なぜならば、融点以下の温度やガラ
ス転移点以下の温度で押し出そうとすると樹脂が金型の
中で固化して押し出すことができなくなるからである。
【0013】事実これまでは、例えば樹脂として融点が
255℃の結晶性のポリエチレンテレフタレートを用い
て、これを押し出し発泡させるには樹脂温度を270〜
290℃とし、樹脂として融点が160℃のポリプロピ
レンを押し出し発泡させるには樹脂温度を170℃とし
ていたし、また樹脂としてガラス転移点が90〜95℃
の非晶性のポリスチレンを押し出し発泡させるには樹脂
温度を120〜160℃として来た。何れも押し出すと
きの樹脂温度は、樹脂の融点又はガラス転移点よりも高
い温度として来た。
【0014】ところが、この発明では溶融状態から冷却
して樹脂温度を融点以下にしたとき、なお流動性を示す
脂芳樹脂を選んで用いることとするので、融点以下の温
度で押し出し発泡させることができることとなるのであ
る。
【0015】脂芳樹脂を押し出す時の温度を脂芳樹脂の
融点以下としただけでは、押出温度についての下限がな
い。実際には融点から余りにも大きく離れた低い温度で
押し出そうとすると、脂芳樹脂はもはや固化して押し出
すことができなくなる。この発明者が実験した結果で
は、押出温度の下限は、融点よりも40℃だけ低い温度
とするのが妥当である。そこで、この発明では脂芳樹脂
の押出温度を脂芳樹脂の融点を上限とし、融点より40
℃だけ低い温度を下限とすることとした。
【0016】こうして、この発明は、溶融状態から融点
よりも50℃だけ低い温度にまで冷却したとき、10秒
以内ではなお流動状態にあって、貯蔵弾性率が104
10 6 Paの範囲内にある脂芳樹脂を選び、この樹脂を
押出機内で溶融してこれに発泡剤を含ませ、得られた発
泡剤含有樹脂を冷却して、樹脂温度を樹脂の融点と、融
点より40℃だけ低い温度との間に維持して、樹脂を押
出機から押し出し発泡させることを特徴とする、脂芳樹
脂発泡体の製造方法を提供するものである。
【0017】また、この発明は、特定の脂芳樹脂から成
り、均一に高倍率に発泡し、弾性に富み、機械的強度に
すぐれた良質の発泡体を提供するものである。その発泡
体は、融点よりも50℃だけ低い温度にまで冷却したと
き、10秒以内ではなお流動状態にあって、貯蔵弾性率
が104 〜106 Paの範囲内にあるコポリマから成
り、0.04〜0.4g/cm3 の密度を持つ発泡体で
あって、5%圧縮強度が0.02〜0.1MPa、25
%圧縮永久歪が5%以下の範囲内にあることを特徴とす
るものである。
【0018】ここで、5%圧縮強度及び25%圧縮永久
歪は、次のように測定して得た値である。いずれもJI
S K7100の「プラスチックの状態調整および試験
場所の標準状態」に準拠して、温度が23±2℃とし、
相対湿度が50±5%の環境下で測定した。測定方法は
次のとおりである。
【0019】5%圧縮強度:発泡体を押出方向に垂直に
切断し、原径×10mm(厚み)の試験片を切り出し、
テンシロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック
社製)により、圧縮速度を10mm/分として試験片を
厚み方向に圧縮し、5%圧縮時の圧縮強度を測定した。
【0020】圧縮永久歪:5%圧縮強度と同じようにし
て、試験片を切り出し、テンシロン万能試験機UCT−
10T(オリエンテック社製)により、圧縮速度10m
m/分の速度で試験片を厚み方向に圧縮し、25%圧縮
された状態で12時間保持した後、試験片を圧縮状態か
ら開放し、24時間後の試験片厚みを測定し、下記式に
より、圧縮永久歪を算出した。 圧縮永久歪(%)=(試験片の初めの厚み(mm)−試
験後の厚み(mm))/試験片の初めの厚み(mm)×
100
【0021】
【発明実施の形態】この発明では樹脂として脂芳樹脂を
用いる。脂芳樹脂は、ジオールとジカルボン酸との縮合
により生成されるか、又は末端に水酸基とカルボキシル
基とを持ったヒドロキシカルボン酸の縮合によって生成
されるものである。ジオールとしては、脂肪族基のみを
含むものが用いられるが、ジカルボン酸としては、脂肪
族基を含むものと芳香族基を含むものとの両者が用いら
れる。また、ヒドロキシカルボン酸としては脂肪族基を
含むものと、芳香族基を含むものとが同時に用いられ
る。
【0022】脂芳樹脂を構成するジオールとしては、以
下に述べるようなものを用いることができる。エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、2,2−ジメチル−1,3−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−
1,6−ヘキサンジオール、チオジエタール、1,3−
シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3
−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール、テ
トラエチレングリコール等である。これらのうち、好ま
しいのは、ジオールは、エチレングリコール、プロピレ
ングリコール、1,4−ブタンジオール等である。
【0023】脂芳樹脂を構成するジカルボン酸として
は、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸との両者
が用いられる。そのうち、脂肪族ジカルボン酸として
は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピ
メリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,
2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロ
ペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリ
コール酸、イタコン酸、マレイン酸、2,5−ノルボル
ナンジカルボン酸及びそれらのエステル形成性誘導体を
用いることができる。そのうちで好ましいのは、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸である。
【0024】また、脂芳樹脂を構成するジカルボン酸の
うち、芳香族ジカルボン酸としては1,4−テレフタル
酸、1,3−テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、及びそれら
のエステル形成性誘導体を用いることができる。そのう
ちで好ましいのは、1,4−テレフタル酸、1,3−テ
レフタル酸である。
【0025】末端に水酸基とカルボキシル基を持ったヒ
ドロキシカルボン酸としては、4−(ヒドロキシメチ
ル)シクロヘキサンカルボン酸、ヒドロキシピバリン
酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、グリコール酸、乳酸及
びそれらのエステル形成性誘導体を用いることができ
る。また、芳香族基を含んだヒドロキシカルボン酸とし
ては、サリチル酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸を用い
ることができる。
【0026】これらのジオールとジカルボン酸とを重縮
合させ、又はヒドロキシカルボン酸を重縮合させて得ら
れた脂芳樹脂は既に販売されている。例えば、イースト
マンケミカル社からイースターバイオ(Eastar
BIO)の名称で販売され、ビーエーエスエフ社からエ
コフレックス(Ecoflex)の名称で販売されてい
るものが、これに該当している。この発明ではこれらの
樹脂を用いることができる。
【0027】脂芳樹脂としては、次のような組成を持つ
ものを用いるのが好ましい。すなわち、ジカルボン酸全
体の中で、芳香族ジカルボン酸が5〜80モル%を占
め、その中でも10〜75モル%、とりわけ15〜70
モル%を占めるものが好ましい。また脂芳樹脂は、固有
粘度(IV値)が0.8〜2.0、とりわけ0.9〜
1.5であるものが好ましい。
【0028】また、脂芳樹脂はこれに少量の他の樹脂を
混合して用いることができる。例えば、芳香族ポリエス
テル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリオレフィ
ン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などを用いることができ
る。
【0029】この発明では、脂芳樹脂を押出機に入れて
押出機の中で脂芳樹脂を溶融する。押出機としてはどの
ような形成のものでも用いることができる。例えば、単
軸押出機でも、二軸押出機でも、またこれらを連結した
タンデム型の押出機でも用いることができる。押出機と
しては、脂芳樹脂をよく混合するとともに溶融し、発泡
剤を均一に含ませることができて、そのあとで引き続い
て樹脂を融点以下に冷却して、押し出すことができる能
力を持ったものを用いる必要がある。
【0030】この発明では、脂芳樹脂を押出機に入れ押
出機内で溶融してこれに発泡剤を含ませる。発泡剤とし
ては色々なものを用いることができる。発泡剤は大別す
ると、脂芳樹脂の融点以上の温度で分解してガスを発生
する固体化合物、加熱すると脂芳樹脂内で気化する液
体、加圧下で脂芳樹脂に溶解される不活性な気体に分け
られるが、この発明では何れをも用いることができる。
【0031】上述の固体化合物としては、例えばアゾジ
カルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミ
ン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウム
等を用いることができる。また、気化する液体として
は、例えばプロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペ
ンタン、i−ペンタン、ヘキサンのような飽和脂肪族炭
化水素、ベンゼン、キシレン、トルエンのような芳香族
炭化水素、塩化メチル、フレオン(登録商標)のような
ハロゲン化炭化水素等を用いることができる。また、不
活性な気体としては例えば二酸化炭素、窒素等を用いる
ことができる。
【0032】これらの発泡剤の中では、プロパン、n−
ブタン、i−ブタン、炭酸ガスを用いるのが好ましい。
それはこれらの発泡剤が溶融された脂芳樹脂中に溶解さ
れて安定な状態で存在すること、並びに脂芳樹脂の融点
以下の温度で押し出す時に、脂芳樹脂の形状が安定して
いて、脂芳樹脂が均一に発泡するに至るからである。
【0033】この発明では、脂芳樹脂を押し出し発泡さ
せるにあたって、これまで他の樹脂の押し出し発泡の際
に用いられて来た種々の添加剤を、添加することができ
る。例えば、これまで気泡調整剤として、タルク、炭酸
カルシウム、硼砂、硼酸亜鉛、水酸化アルミニウム、シ
リカ、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸リチウ
ム、炭酸カリウム、弗素樹脂粉末等が添加されて来た
が、この発明でもこれらの気泡調整剤を添加することが
できる。気泡調整剤の量は、その種類によって異なる
が、一般には脂芳樹脂100重量部に対し0.01〜5
重量部の範囲内にするのが適している。
【0034】そのほか添加剤としては、帯電防止剤、難
燃剤、着色剤を用いることができる。帯電防止剤として
は、例えば第4級アンモニウム塩化合物を用いることが
できる。
【0035】この発明では、上述のような発泡剤を含ま
せられた脂芳樹脂が、溶融されて融点以上の温度にある
間に、脂芳樹脂を冷却して融点以下の温度にする。この
とき、脂芳樹脂は温度にムラがなく一様に冷却されて、
融点以下の温度になるが、なお流動性を保っている状態
にすることが必要である。
【0036】前述のように、樹脂として溶融状態から融
点よりも50℃だけ低い温度にまで冷却したとき、図1
に示したような貯蔵弾性率を示し、具体的に貯蔵案定率
が104 〜106 Paの範囲内にある脂芳樹脂を用いる
と押出機内で、上述のように発泡剤の含浸に引き続いて
樹脂を融点以下の温度に冷却した場合に、樹脂はなお流
動状態になっている。この発明では、この状態で樹脂を
押し出し発泡させる。
【0037】溶融した発泡剤含有樹脂を一様に融点以下
にまで冷却するには色々な方法を採ることができる。そ
の方法は、押出機のシリンダーを冷却水等で冷却す
る、高混練機能を有するスクリューを使用する方法
(具体的には、多数のピンを有するスクリューや、スク
リューフライトに多数の切欠き部を有するスクリュー)
等である。
【0038】この発明は、こうして融点以上の高温にあ
った発泡剤含有樹脂を融点以下に冷却する。そして、発
泡剤含有樹脂が融点よりも40℃だけ低い温度以上にあ
る間に、樹脂を押出機の先端に付設された金型から押し
出して発泡させる。このとき、金型を通る樹脂は、押し
出しを行うに充分な流動性を持っており、また発泡を行
うに充分な溶融粘度を持っている。
【0039】金型としては、所望の発泡体形状に応じた
オリフィスを持ったものを用いることができる。金型の
オリフィスから押し出されたあとの脂芳樹脂は、従来の
ポリスチレンやポリオレフィンと同じような操作によ
り、外形を整えるとともに空気冷却されて発泡体とされ
る。
【0040】
【発明の効果】この発明により、脂芳樹脂の中から、そ
の融点より50℃だけ低い温度にまで冷却したとき、1
0秒以内ではなお流動状態にあって、貯蔵案定率が10
4 〜106 Paの範囲内にある樹脂を選んで用いるの
で、この樹脂を押出機内で溶融したのち、引き続き冷却
して樹脂温度をその融点と、融点よりも40℃だけ低い
温度との間に維持して押し出したとき、樹脂はなお押し
出しができる状態にあるとともに、発泡に適した粘度を
持っている。そのため、溶融した樹脂に発泡剤を含めて
上記の温度で押し出すと、樹脂をそのまま押し出し発泡
させることができうる。従って、分岐剤を添加すること
が必要とされた従来技術に比べると、押し出し発泡が容
易であり、安価に発泡させることができる。
【0041】しかも得られた発泡体は0.04〜0.4
g/cm3 という低い密度を持った独立気泡性のもので
あり、高倍率に発泡しており、また均一に発泡していて
ムラがなく5%圧縮強度が0.02〜0.1MPa、2
5%圧縮永久歪が5%以下の範囲内で弾性回復の早いも
のである。また得られた発泡体は引張弾性率が0.3〜
3.2MPa、破断点伸長率が80〜200%で柔軟性
の良好なものである。
【0042】なお、上記発泡体は、5%圧縮強度が0.
03〜0.095MPa、さらには0.04〜0.09
MPaの範囲内に収まるように揃えることもでき、また
25%圧縮永久歪を4%以下、さらには3%以下とする
こともでき、引張弾性率0.35〜3.1MPa、さら
には0.4〜3.1MPaの範囲内とし、破断点伸長率
を90〜190%、さらには100〜180%とするこ
ともできる。このために、この発泡体は緩衝材、断熱
材、充填材などとして価値の高いものである。この発明
はこのような利益を与えるものとなる。
【0043】以下に、実施例と比較例とを挙げて、この
発明のすぐれている所以を説明する。以下で単に部とい
うのは重量部を意味している。なお、実施例中では得ら
れた発泡体の物性を測定しているが、そのうち5%圧縮
強度と25%圧縮永久歪とは、さきに述べた方法によっ
て測定した値である。
【0044】また、実施例中では得られた発泡体の引張
弾性率と破断点伸長率とを測定したが、それは次のよう
にして得た値である。まず、測定環境は圧縮強度を測定
した場合と同じく、23±2℃の温度で、50±5%の
相対湿度下である。測定方法は、発泡体の中央部を押出
方向に平行な2つの面で切断し、JIS K6251が
規定するダンベル状7号型の試験片を切り出し、テンシ
ロン万能試験機UCT−10T(オリエンテック社製)
により、チャック間距離を20mm、引張速度を50m
m/分として、試験片を押出方向に引張り、引張弾性率
及び破断点伸長率を測定した。
【0045】
【実施例1】脂芳樹脂として、イーストマンケミカル社
の商品名Eastar BIO GPを用いた。この樹
脂は、融点が104℃でIV値が1.10で、これを溶
融して冷却したとき、図1に示したような貯蔵弾性率を
示すものであった。
【0046】上記の脂芳樹脂100部に気泡調整剤とし
て四弗化エチレン樹脂0.1部を混合し、この混合物を
口径が40mm、L/Dが35の押出機に投入した。押
出機内で初め135℃に加熱して樹脂を溶融し、その後
樹脂温度を170℃まで上昇させ、押出機のバレルの途
中から溶融樹脂に発泡剤を圧入した。発泡剤としてはi
−ブタンが35重量%、n−ブタンが65重量%からな
る混合物を用い、この発泡剤を樹脂100部に対し2.
5部の割合で圧入した。その後樹脂を冷却して樹脂温度
を96℃として押出機の先端に付設した金型の口径3m
mのオリフィスから押し出した。
【0047】得られた発泡体は均一に発泡し、密度が
0.202g/cm3 で約6倍に発泡していた。この発
泡体の5%圧縮強度は0.075MPa、25%圧縮永
久歪は2.8%、引張弾性率は2.9MPa、破断点伸
長率は102%であった。
【0048】
【比較例1】実施例1において、発泡剤圧入後の樹脂の
冷却をゆるめて、金型内の脂芳樹脂の温度を108℃と
し、融点よりも4℃高い温度で押し出した以外は、実施
例1と全く同様にして実施した。
【0049】樹脂は金型から断続的に押し出され、一様
な発泡体を得ることができなかった。
【0050】
【比較例2】比較例1において樹脂が一様に押し出され
るまで発泡剤の圧入量を減らすこととした以外は比較例
1と全く同様にして実施した。このときの発泡剤の圧入
量は樹脂100部に対して1.0部であった。またこの
とき、金型内の樹脂温度は110℃であった。
【0051】得られた発泡体は密度が0.526g/c
3 で約2.3倍に発泡していたが、内部に空洞があっ
て一様に発泡していなかった。この発泡体の5%圧縮強
度は0.12MPa、25%圧縮永久歪は5.4%であ
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明で用いることのできる脂芳樹脂の温度
と貯蔵弾性率及び損失弾性率との関係を示したグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:04 B29K 105:04 C08L 67:02 C08L 67:02 Fターム(参考) 4F074 AA65A AA66A AA68A BA07 BA13 BA16 BA20 BA32 BA33 BA35 BA36 BA37 BA38 BA39 BA40 BA44 BA53 CA22 CC22X CC32X CC32Y CC33X CC33Y DA02 DA08 DA22 4F207 AA03 AB02 AB05 AB09 AB12 AB16 AE02 AG20 AK02 AR06 KA01 KA11 KF04 KK41

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂で
    あって、溶融状態からその融点より50℃だけ低い温度
    にまで冷却したときの貯蔵弾性率が104 〜106 Pa
    の範囲内にある樹脂から成り、0.04〜0.4g/c
    3 の密度を持つ発泡体であって、5%圧縮強度が0.
    02〜0.1MPa、25%圧縮永久歪が5%以下の範
    囲内にあることを特徴とする、脂肪族−芳香族コポリエ
    ステル系樹脂発泡体。
  2. 【請求項2】 脂肪族−芳香族コポリエステル系樹脂で
    あって、溶融状態からその融点より50℃だけ低い温度
    にまで冷却したときの貯蔵弾性率が104 〜106 Pa
    の範囲内にある樹脂を選び、この樹脂を押出機内で溶融
    して、これに発泡剤を含ませ、得られた発泡剤含有樹脂
    を冷却して、樹脂温度を樹脂の融点と、融点より40℃
    だけ低い温度との間に維持して、樹脂を押出機から押し
    出し発泡させることを特徴とする、脂肪族−芳香族コポ
    リエステル系樹脂発泡体の製造方法。
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