JP4578309B2 - ポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法、ポリ乳酸系樹脂発泡成形品の製造方法及びポリ乳酸系樹脂発泡体 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法、ポリ乳酸系樹脂発泡成形品の製造方法及びポリ乳酸系樹脂発泡体 Download PDF

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本発明は、ポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法、ポリ乳酸系樹脂発泡成形品の製造方法及びポリ乳酸系樹脂発泡体に関する。
ポリ乳酸系樹脂は、天然に存在する乳酸を重合されて得られた樹脂であり、自然界に存在する微生物によって分解可能な生分解性樹脂であると共に、常温での機械的特性についても優れていることから注目を集めている。
ポリ乳酸系樹脂の原料となる乳酸は、分子中に不斉炭素原子を有するために光学活性を示し、D体、L体、及び、D体とL体とが等量混合してなるラセミ体の三種類が存在する。
そのために、乳酸を重合させて得られるポリ乳酸系樹脂は、上記三種類の乳酸の混合割合と重合方法を調整することによって種々の性質を有するものとすることができ、現実に、ポリ乳酸には、結晶性のものから非結晶性のものまで多種多様存在し、融点又は軟化点も様々である。
特許文献1には、ポリ乳酸系重合体を主体成分とする熱可塑性重合体(A)と、(メタ)アクリル酸エステル(B1)及び/又はグリシジルエーテル(B2)とを、有機過酸化物(C)の存在下に架橋反応させて得られる発泡用樹脂組成物を発泡成形した発泡体であって、密度が0.04g/cm3 以下である生分解性樹脂発泡体が提案されているが、この生分解性樹脂発泡体は、その発泡倍率が非常に高いことから機械的強度に劣るものであった。
特開2004−51803号公報
そこで、本発明者らは、実用的に広範囲に用いることができる発泡倍率が中・低倍率であるポリ乳酸系樹脂発泡体を製造すべく鋭意検討したところ、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率と損失弾性率とに着目することによって、発泡倍率が中・低倍率であって優れた機械的強度及び熱成形性を有し且つポリ乳酸系樹脂の本来有する優れた生分解性を有するポリ乳酸系樹脂発泡体を製造することができることを見出した。
即ち、本発明は、ポリ乳酸系樹脂の本来有する優れた生分解性を維持しつつ、優れた機械的強度及び熱成形性を有するポリ乳酸系発泡体及びその製造方法、並びに、ポリ乳酸系樹脂発泡体を用いたポリ乳酸系樹脂発泡成形品の製造方法を提供するものである。
本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法は、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、融点(mp)とが下記条件を満たす結晶性のポリ乳酸系樹脂、及び、気泡調整剤を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練した後、押出機の先端に取り付けられた金型から押出発泡させて密度が0.13〜0.6g/cm3 のポリ乳酸系樹脂発泡体を製造することを特徴とする。
(ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃)
≦貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T
≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)
上記ポリ乳酸系樹脂は下記式1で示される。このポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸及び/又はD−乳酸を重合させるか、或いは、L−ラクチド、D−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドを開環重合させることによって得ることができ、何れのポリ乳酸系樹脂であってもよい。
Figure 0004578309
ポリ乳酸系樹脂を製造するに際して、モノマーとしてL体又はD体のみ、或いは、モノマーとしてL体とD体とを併用した場合においてL体又はD体の何れか一方を他方に比して多量に用いた時は、得られるポリ乳酸系樹脂は結晶性となる一方、モノマーとしてL体とD体とを略同量づつ用いた場合には、得られるポリ乳酸系樹脂は非結晶性となるが、耐熱性及び機械的強度に優れている点から、本発明においては、結晶性のポリ乳酸系樹脂が用いられる。
そして、ポリ乳酸系樹脂を製造する際に用いられるモノマーとしてL体とD体とを併用した場合、モノマー中におけるD体の含有量は、少ないと、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体が硬くて脆くなることがある一方、多いと、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体が柔らかくなって機械的強度が低下することがあるので、0.5〜5重量%が好ましい。
そして、本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂は、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T(以下「交点における温度T」と表記することがある)と、融点(mp)とが下記式2を満たしている必要があり、下記式3を満たしていることが好ましく、下記式4を満たしていることがより好ましい。
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃〕
≦交点における温度T≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式2
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−35℃〕
≦交点における温度T≦〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−10℃〕・・・式3
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−30℃〕
≦交点における温度T≦〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−20℃〕・・・式4
ここで、動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率は、粘弾性において弾性的な性質を示す指標であって、発泡過程における気泡膜の弾性の大小を示す指標であり、発泡過程において、気泡膜の収縮力に抗して気泡を膨張させるのに必要な発泡圧の大小を示す指標である。
即ち、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率が低いと、気泡膜が伸長された場合、気泡膜が伸長力に抗して収縮しようとする力が小さく、密度が0.13〜0.6g/cm3 の発泡体の製造に必要とする発泡圧によって発泡膜が容易に伸長してしまう結果、気泡膜が過度に伸長してしまい破泡を生じる一方、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率が高いと、気泡膜に伸長力が加わった場合、伸長に抗する気泡膜の収縮力が大きく、密度が0.13〜0.6g/cm3 の発泡体の製造に必要とする発泡圧で一旦、気泡が膨張したとしても、温度低下などに起因する経時的な発泡圧の低下に伴って気泡が収縮してしまう。
又、動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率は、粘弾性において粘性的な性質を示す指標であって、発泡過程における気泡膜の粘性を示す指標であり、発泡過程において、気泡膜をどの程度まで破れることなく伸長させることができるかの許容範囲を示す指標であると同時に、発泡圧によって所望大きさに気泡を膨張させた後、この膨張した気泡をその大きさに維持する能力を示す指標でもある。
即ち、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率が低いと、密度が0.13〜0.6g/cm3 の発泡体の製造に必要とする発泡圧によって気泡膜が伸長された場合、気泡膜が容易に破れてしまう一方、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率が高いと、発泡力が気泡膜によって熱エネルギーに変換されてしまい、密度が0.13〜0.6g/cm3 の発泡体の製造に必要とする発泡圧程度の圧力では気泡膜を伸長させることができず、気泡を膨張させることができない。
このように、ポリ乳酸系樹脂を発泡させ、密度が0.13〜0.6g/cm3 といった発泡倍率が中・低倍率の発泡体を製造するにあたっては、発泡過程において、ポリ乳酸系樹脂は、密度が0.13〜0.6g/cm3 のポリ乳酸系樹脂発泡体を得るために必要とされる発泡圧によって気泡膜が破れることなく適度に伸長するための弾性力、即ち、貯蔵弾性率を有している必要があると共に、上記発泡圧によって気泡膜が破れることなく円滑に伸長し、所望大きさに膨張した気泡をその大きさに発泡圧の経時的な減少にかかわらず維持しておくための粘性力、即ち、損失弾性率を有している必要がある。
つまり、発泡工程において、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率及び損失弾性率の双方が発泡に適した値を有している必要があり、このような発泡に適した貯蔵弾性率及び損失弾性率を発泡工程においてポリ乳酸系樹脂に付与するために、発明者らが鋭意研究した結果、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとポリ乳酸系樹脂の融点(mp)との関係について着目し、これら温度の関係が上述の式2を満たすように調整することによって、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率及び損失弾性率をそれらのバランスをとりながら発泡に適したものとしてポリ乳酸系樹脂の発泡性を良好なものとし、密度が0.13〜0.6g/cm3 のポリ乳酸系樹脂発泡体を安定的に製造することができることを見出した。
更に、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とを上記式2を満たすように調整した理由を下記に詳述する。
ここで、密度が0.13〜0.6g/cm3 である、発泡倍率が中・低倍率のポリ乳酸系樹脂発泡体は、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)付近の樹脂温度で押出発泡させることが好ましい。
しかるに、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも40℃を越えて低い場合には、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の損失弾性率が貯蔵弾性率に比して大き過ぎるために、損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまう。
そこで、ポリ乳酸系樹脂の損失弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の粘性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の弾性力にとっては発泡力が大き過ぎてしまい、気泡膜が破れて破泡を生じて良好な発泡体を得ることができず、逆に、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の弾性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の粘性力にとっては発泡力が小さく、ポリ乳酸系樹脂が発泡しにくくなり、やはり良好な発泡体を得ることができない。
又、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも高いと、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率が損失弾性率に比して大き過ぎるために、上述と同様に損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまう。
そこで、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の弾性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の粘性力にとっては発泡力が大き過ぎてしまい、気泡膜が破れて破泡を生じて良好な発泡体を得ることができず、逆に、ポリ乳酸系樹脂の損失弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の粘性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の弾性力にとっては発泡力が小さく、ポリ乳酸系樹脂が発泡力で一旦、発泡したとしても、経時的な発泡力の低下に伴って気泡が収縮してしまって、やはり良好な発泡体を得ることができない。
そして、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが上記式2を満たすように調整する方法としては、ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量が高くなるにしたがって、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tが高くなることから、ポリ乳酸系樹脂の重合時に反応時間或いは反応温度を調整することによって得られるポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を調整する方法、押出発泡前に或いは押出発泡時にポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を増粘剤や架橋剤を用いて調整する方法が挙げられる。
このような観点から、ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は、140,000〜300,000が好ましく、150,000〜270,000がより好ましく、160,000〜250,000が特に好ましい。更に、ポリ乳酸系樹脂の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、3.2〜10が好ましく、3.4〜9がより好ましく、3.6〜8が特に好ましい。
この他に、L体の比率がD体の比率に比して大きいモノマーから得られたポリ乳酸系樹脂の場合、D体の比率が増加するにつれてポリ乳酸系樹脂の融点(mp)が低下することから、モノマー中のD体の比率を調整することによってポリ乳酸系樹脂の融点(mp)を調整し、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが上記式2を満たすように調整する方法が挙げられる。
ここで、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、JIS K7121: 1987に準拠してポリ乳酸系樹脂の示差走査熱量分析を行い、得られたDSC曲線における融解ピークの温度をポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とする。なお、融解ピークの温度が複数個ある場合には、最も高い温度とする。
又、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは下記の要領で測定されたものをいう。即ち、ポリ乳酸系樹脂を9.33×104 Paの減圧下にて80℃で3時間に亘って乾燥する。このポリ乳酸系樹脂を該ポリ乳酸系樹脂の融点よりも40〜50℃だけ高い温度に加熱した測定プレート上に載置して窒素雰囲気下にて5分間に亘って放置し溶融させる。
次に、直径が25mmの平面円形状の押圧板を用意し、この押圧板を用いて測定プレート上のポリ乳酸系樹脂を押圧板と測定プレートとの対向面間の間隔が1mmとなるまで上下方向に押圧する。そして、押圧板の外周縁からはみ出したポリ乳酸系樹脂を除去した後、5分間に亘って放置する。
しかる後、歪み5%、周波数1rad/秒、降温速度2℃/分、測定間隔30秒の条件下にて、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定を行って貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定する。次に、横軸を温度とし、縦軸を貯蔵弾性率及び損失弾性率として、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描く。なお、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描くにあたっては、測定温度を基準として互いに隣接する測定値同士を直線で結ぶ。
そして、得られた貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tを上記グラフから読み取ることによって得ることができる。なお、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線とが複数箇所において互いに交差する場合は、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との複数の交点における温度のうち最も高い温度を、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとする。なお、動的粘弾性測定によって、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を測定する場合、ポリ乳酸系樹脂に後述する結晶核剤が含有されている時は、結晶核剤を含有した状態のポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を測定する。
又、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは、Reologica Instruments A.B 社から商品名「DynAlyser DAR-100」 にて市販されている動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
又、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tでの弾性率、即ち、貯蔵弾性率又は損失弾性率は、低いと、発泡中のポリ乳酸系樹脂の粘弾性が低くなり、気泡膜が発泡圧によって破れて破泡を生じることがある一方、高いと、発泡圧によって気泡膜を伸長させて気泡を所望大きさに膨張させることができず、発泡が不安定になることがあるので、1.0×103 〜1.0×105 Paが好ましく、5.0×103 〜9.0×104 Paがより好ましく、1.0×104 〜8.0×104 Paが特に好ましい。
なお、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tでの弾性率(貯蔵弾性率又は損失弾性率)は、ポリ乳酸系樹脂の重合時に反応時間或いは反応温度を調整することによって、ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を調整する方法、押出発泡前に或いは押出発泡時にポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を増粘剤や架橋剤を用いて調整する方法が挙げられる。
又、気泡調整剤は、気泡の大きさを調整する作用を奏するものであり、このような気泡調整剤としては、従来から発泡体の製造に用いられていたものであれば、特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン、タルク、炭酸カルシウム、硼酸、硼酸亜鉛、水酸化アルミニウム、シリカ、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどが挙げられ、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を分解することなく、気泡の微細化を図ることができることから、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレンが好ましく、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレンがより好ましい。なお、上記気泡調整剤は、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレンを除いて、後述する結晶核剤としての作用も奏する。
そして、気泡調整剤の添加量としては、少ないと、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体の気泡が粗大となり外観が低下することがある一方、多いと、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体に破泡が生じ、ポリ乳酸系樹脂発泡体の独立気泡率が低下することがあるので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好ましく、0.1〜1重量部が特に好ましい。
又、ポリ乳酸系樹脂の結晶化を促進してポリ乳酸系樹脂に優れた耐熱性及び機械的強度を付与するために、ポリ乳酸系樹脂に結晶核剤を添加してもよい。このような結晶核剤としては、例えば、ベントナイト、モンモリロナイトなどが挙げられる。
なお、上述のように、気泡調整剤の中には結晶核剤としての作用を有するものも存在するが、本発明においては、結晶核剤としての作用を有するか否かを問わず、気泡の大きさを調整する作用を有するものは全て「気泡調整剤」とする一方、気泡の大きさを調整する作用を有しないがポリ乳酸系樹脂の結晶化を促進する作用を有するものを「結晶核剤」として区別する。
そして、結晶核剤の添加量としては、少ないと、結晶核剤を添加した効果が発現しないことがある一方、多いと、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体に破泡が生じ、ポリ乳酸系樹脂発泡体の独立気泡率が低下することがあるので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部が好ましい。
更に、ポリ乳酸系樹脂には、気泡調整剤や結晶核剤の他に、エポキシ化亜麻仁油やエポキシ化大豆油などのエポキシ化合物や過酸化物などの溶融強度改質剤、脂肪族ポリエステルなどの耐衝撃性改質剤、可塑剤、酸化防止剤、安定剤、顔料などの添加剤を添加してもよい。
又、上記発泡剤としては、従来から発泡体の製造に用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどの化学発泡剤;プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタンなどのフロン、二酸化炭素、窒素などの物理発泡剤などが挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましく、イソブタンが最も好ましい。なお、上記発泡剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
発泡剤中にイソブタンを含有していることが好ましいが、これは、イソブタンは、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体中に残存し易く、ポリ乳酸系樹脂発泡体中に長期間に亘って含有させておくことができるからである。しかも、ポリ乳酸系樹脂発泡体中にイソブタンを含有させていると、ポリ乳酸系樹脂発泡体を熱成形時に円滑に二次発泡させて肉厚が薄くなるのを防止することができると共にポリ乳酸系樹脂を熱成形に適した状態に可塑化させることができる。
よって、イソブタンを含有するポリ乳酸系樹脂発泡体を長期間に亘って熱成形に適した状態に保持することができると共に、ポリ乳酸系樹脂発泡体を熱成形することによって外観性、軽量性及び機械的強度に優れたポリ乳酸系樹脂発泡成形品を精度良く得ることができる。
又、発泡剤中におけるイソブタンの含有量は、少ないと、ポリ乳酸系樹脂発泡体の二次発泡性や成形性が低下することがあるので、70〜100重量%が好ましく、75〜100重量%がより好ましく、80〜100重量%が特に好ましい。
更に、上記発泡剤の添加量は、少ないと、ポリ乳酸系樹脂を所望密度まで発泡させることができないことがある一方、多いと、発泡剤が可塑剤として作用することから溶融状態のポリ乳酸系樹脂の粘弾性が低下し過ぎて発泡性が低下し良好なポリ乳酸系樹脂発泡体を得ることができなかったり或いは得られるポリ乳酸系樹脂発泡体の密度が低下し過ぎたりすることがあるので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜4重量部がより好ましく、0.3〜3重量部が特に好ましい。
なお、発泡剤として化学発泡剤を用いた場合にあっても、化学発泡剤から発生する発泡ガスは押出機内における加圧によって液体状態或いは超臨界状態となっており、ポリ乳酸系樹脂を可塑化する作用を奏している。
次に、上記ポリ乳酸系樹脂及び気泡調整剤を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練した後、押出機の先端に取り付けられた金型から押出発泡させることによって密度が0.13〜0.6g/cm3 のポリ乳酸系樹脂発泡体を得ることができる。
ここで、ポリ乳酸系樹脂発泡体の密度は、上述の通り、0.13〜0.6g/cm3 となるように調整されるが、これは、密度が低いと、ポリ乳酸系樹脂発泡体が柔らかくなって機械的強度が低下する一方、高いと、ポリ乳酸系樹脂の軽量性、断熱性及び緩衝性が低下するからである。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡体の密度は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載の方法で測定されたものをいう。
上記押出機としては、従来から汎用されている押出機であれば、特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機、複数の押出機を連結させたタンデム型の押出機が挙げられ、タンデム型の押出機が好ましい。
そして、押出機の先端に取り付けられた金型からポリ乳酸系樹脂を押出発泡させる時の押出温度、即ち、ポリ乳酸系樹脂を押出機から押出す際のポリ乳酸系樹脂の温度としては、低いと、フラクチャーが発生してポリ乳酸系樹脂発泡体の外観が低下したり或いは押出負荷が大きくなり過ぎて押出機から押し出すことができなくなることがある一方、高いと、ポリ乳酸系樹脂の溶融粘度が低過ぎて良好なポリ乳酸系樹脂を得ることができないことがあるので、(貯蔵弾性立曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T+20℃)〜(貯蔵弾性立曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T+40℃)が好ましい。
上記金型としては、従来から押出発泡に用いられてきたものであれば、特に限定されず、例えば、サーキュラ金型、Tダイ、フラットダイなどが挙げられ、ポリ乳酸系樹脂発泡シートを製造する場合、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体の発泡倍率や結晶化度などを考慮すると、サーキュラ金型と冷却用マンドレルとを併用することが好ましい。又、表面に波打ち現象(コルゲート現象)のない外観に優れたポリ乳酸系樹脂発泡体を得るために、押出孔が押出機側からリップ側に向かって徐々に拡開してなる金型を用いることが好ましい。
上述のように、サーキュラ金型と冷却用マンドレルとを併用してポリ乳酸系樹脂発泡シートを製造するには、サーキュラ金型から円筒状に押出発泡させて得られた円筒状発泡体を徐々に拡径させた後に冷却用マンドレルに供給して冷却し、しかる後、円筒状発泡体の一部を押出方向に連続的に内外周面間に亘って切断、展開してポリ乳酸系樹脂発泡シートを製造することができる。
この時、サーキュラ金型のリップにおける内ダイの外径と冷却用マンドレルの押出機側端部の外径との比(内ダイの外径/マンドレルの外径)は、小さいと、得られるポリ乳酸系樹脂発泡シートのコルゲート現象を抑えることができないことがある一方、大きいと、得られるポリ乳酸系樹脂発泡シートの熱成形性が低下することがあるので、2〜5が好ましく、2.5〜4.5がより好ましく、3〜4が特に好ましい。
更に、密度が0.13〜0.6g/cm3 のポリ乳酸系樹脂発泡体の押出温度は、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)付近の温度であることから、溶融状態のポリ乳酸系樹脂と金型表面との滑りが悪いことがある。そこで、上記サーキュラ金型は、内部に断面円形状の中空部が形成された外ダイと、この外ダイの中空部内に配設された内ダイとからなり、外ダイと内ダイとの対向面間によって断面円環状の樹脂流通部が形成されているところ、この樹脂流路部の開口端部における、内外ダイの何れか一方側或いは双方の表面全面をセラミックス材料を用いて形成することが好ましく、このようにサーキュラ金型を構成することによって、ポリ乳酸系樹脂発泡体の外観をより向上させることができる。
上記セラミックス材料としては、ジルコニア、タングステンカーバイト、窒化チタン、炭化チタン、炭窒化チタンなどが挙げられるが、加工性、耐磨耗性、滑り性などを考慮すると、窒化チタンが好ましい。
そして、サーキュラ金型の樹脂流路部の開口端部における、内外ダイの何れか一方側或いは双方の表面全面をセラミックス材料を用いて形成する方法としては、特に限定されず、例えば、内外ダイ自体をセラミックス材料から形成する方法の他に、ダイ表面にセラミックス材料を溶射し或いは蒸着する方法などが挙げられる。
このようにして得られたポリ乳酸系樹脂発泡体の結晶化度は、高いと、ポリ乳酸系樹脂発泡体の熱成形性が低下することがあるので、30%以下が好ましく、3〜25%がより好ましく、5〜20%が特に好ましい。
上記ポリ乳酸系樹脂発泡体の結晶化度の調整方法としては、例えば、(1)結晶核剤の種類や結晶核剤の添加量を調整する方法、(2)金型から押出されたポリ乳酸系樹脂発泡体の冷却速度を調整する方法、上記(1)(2)を併用する方法などが挙げられる。
上記(2)の方法の一例を具体的に説明すると、押出機の先端に取り付けられたサーキュラ金型から押出発泡させて得られた円筒状発泡体を徐々に拡径させた後に冷却用マンドレルに供給し円筒状発泡体を冷却するに際して、円筒状発泡体の冷却速度を冷却マンドレルによって制御する方法が挙げられる。この時、円筒状発泡体の冷却速度を速くすると、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体の結晶化度を低く抑えることができる一方、円筒状発泡体の冷却速度を遅くすると、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体の結晶化度を高くすることができる。
上述のように、ポリ乳酸系樹脂発泡体の結晶化度を低く抑えること、具体的には、ポリ乳酸系樹脂発泡体の結晶化度を30%以下に調整することによって、ポリ乳酸系樹脂発泡体の熱成形性を向上させることができ、ポリ乳酸系樹脂発泡体を所望形状に正確に熱成形することができる。更に、ポリ乳酸系樹脂発泡体を熱成形するにあたって、成形後の冷却速度を調整することによってポリ乳酸系樹脂発泡体の結晶化度を向上させると、得られる成形品の耐熱性を向上させることができる。
ここで、ポリ乳酸系樹脂発泡体の結晶化度は、示差走査熱量計(DSC)を用いてJIS K7121に記載の測定方法に準拠して10℃/分の昇温速度にて昇温しながら測定された1mg当たりの冷結晶化熱量及び1mg当たりの融解熱量に基づいて下記式により算出することができる。
Figure 0004578309
このようにして製造されたポリ乳酸系樹脂発泡体は、全体的に略均一な密度0.13〜0.6g/cm3 を有するものであり、優れた機械的強度、耐熱性及び耐薬品性を有しており、食品包装材、緩衝材、工業用部材、建材、土木資材、農業用資材などとして好適に用いることができる。
そして、上記ポリ乳酸系樹脂発泡体の連続気泡率は、高いと、ポリ乳酸系樹脂発泡体の熱成形性、二次発泡性及び外観が低下することがあるので、50%以下が好ましく、40%がより好ましく、30%以下が特に好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡体の連続気泡率は、ASTM D−2856−87に準拠して1−1/2−1気圧法にて測定されたものをいう。
更に、イソブタンを含有する発泡剤を用いて製造されたポリ乳酸系樹脂発泡体の場合、上述したように、イソブタンはポリ乳酸系樹脂発泡体中に残存し易いことから、ポリ乳酸系樹脂発泡体は、長期間に亘って熱成形に適した状態を維持し、熱成形によって機械的強度に優れた所望形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形品に容易に熱成形することができる。
上記熱成形時におけるポリ乳酸系樹脂発泡体中に含有される発泡剤量は、少ないと、ポリ乳酸系樹脂発泡体の熱成形時における二次発泡や可塑化が低下し、ポリ乳酸系樹脂発泡体の熱成形性が低下したり、或いは、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形品の肉厚が薄くなって機械的強度が低下することがあるので、0.2重量%以上が好ましく、多過ぎると、熱成形時にポリ乳酸系樹脂発泡体が軟化し過ぎて垂れ下がりなどの不具合を生じ、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形品に皺が生じることがあるので、0.25〜2.5重量%がより好ましい。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡体中に含有される発泡剤量は下記の要領で測定することができる。即ち、ポリ乳酸系樹脂発泡体から、縦5mmで且つ横35mmの平面長方形状の試験片を切り出し、この試験片の重量W1 を測定する。なお、試験片の最大厚みが5mmを越える場合、試験片の最大厚みが5mmとなるように調整する。
そして、試験片中に含まれる発泡剤のチャートをガスクロマトグラフから得、予め測定しておいた、発泡剤の検量線に基づいて絶対検量線法により、試験片中に含有される発泡剤量W2 を算出し、下記式に基づいて算出することができる。
ポリ乳酸系樹脂発泡体中に含有される発泡剤量(重量%)=100×W2 /W1
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡体中に含有される発泡剤量は、具体的には、島津製作所から商品名「GC−14B」にて市販されているガスクロマトグラフを用いて下記条件にて測定することができる。
カラム温度:100℃ 注入口温度:120℃
検出器温度:120℃ キャリアガス:ヘリウム
ヘリウム流量:1ミリリットル/秒 加熱炉温度:200℃
カラム:WATERS社製 商品名「ポラパックQ」(80/100)3mmφ×1.5m
検出器:TCD(熱伝導度検出器)
本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法は、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、融点(mp)とが上記式2を満たす結晶性のポリ乳酸系樹脂、発泡剤及び気泡調整剤を押出機に供給して溶融混練した後、押出機の先端に取り付けられた金型から押出発泡させて密度が0.13〜0.6g/cm3 のポリ乳酸系樹脂発泡体を製造することを特徴とするので、発泡時における溶融状態のポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率及び損失弾性率を発泡に適したものとすることができ、ポリ乳酸系樹脂発泡体を安定的に製造することができる。
そして、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体は、ポリ乳酸系樹脂が本来有している生分解性を発揮し、自然界に存在する微生物によって分解可能なものであり、地球環境の保護を図ることができる。
又、上記製造方法において、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tでのポリ乳酸系樹脂の弾性率が1.0×103 〜1.0×105 Paである場合には、ポリ乳酸系樹脂の発泡性をより優れたものとすることができ、ポリ乳酸系樹脂発泡体を更に安定的に製造することができる。
更に、上記製造方法において、気泡調整剤がポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする場合には、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を分解することなく、気泡の微細化を図ることができ、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体は微細な気泡を有しており、機械的強度、耐熱性及び熱成形性に優れている。
そして、上記製造方法において、ポリテトラフルオロエチレンがアクリル樹脂で変性されている場合には、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を分解することなく、気泡の微細化を更に効果的に図ることができ、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体は更に微細な気泡を有しており、機械的強度、耐熱性及び熱成形性に更に優れている。
又、上記製造方法において、発泡剤がイソブタンを含有する場合には、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体中に熱成形に適した量のイソブタンを長期間に亘って残存させることができ、よって、ポリ乳酸系樹脂発泡体は、これに残存するイソブタンによって熱成形時に適度な二次発泡及び可塑化を生じ、優れた熱成形性を長期間に亘って保持することができる。
更に、上記製造方法において、発泡剤中にイソブタンを70〜100重量%含有する場合には、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体中に、熱成形に適した量のイソブタンをより確実にしかも更に長期間に亘って安定的に残存させることができ、よって、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体は、より優れた熱成形性を有している上に、この優れた熱成形性を更に長期間に亘って保持することができる。
そして、イソブタンを含有する発泡剤を用いて得られたポリ乳酸系樹脂発泡体を、該ポリ乳酸系樹脂発泡体中に残存する発泡剤量が0.2重量%以上の状態にて熱成形することによって、ポリ乳酸系樹脂発泡体を熱成形時に適度に二次発泡及び可塑化させて精度良く熱成形することができ、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形品は所望形状に正確に成形されていると共に十分な肉厚を有し機械的強度にも優れている。
最後に、本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体は、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと融点(mp)とが上記式2を満たすポリ乳酸系樹脂からなると共に、密度が0.13〜0.6g/cm3 で且つ結晶化度が30%以下であることを特徴とするので、ポリ乳酸系樹脂が本来有している生分解性を発揮し、自然界に存在する微生物によって分解可能なものであり、地球環境の保護を図ることができると共に、機械的強度、熱成形性、耐熱性及び耐油性に優れており、種々の用途に好適に用いることができる。
(実施例1)
結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC TE−6100」、融点(mp):167.8℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:140.3℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点の温度Tにおける弾性率(貯蔵弾性率又は損失弾性率):5.37×104 Pa)100重量部及び気泡調整剤としてアクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン(三菱レイヨン社製 商品名「メタブレンA−3000」)0.25重量部を、一段目となる口径50mmの単軸押出機と二段目となる口径65mmの単軸押出機とを接続管を介して接続してなるタンデム型の押出機の一段目の押出機に供給した。なお、図1に、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を示した。
そして、ポリ乳酸系樹脂を一段目の押出機にて始めは190℃に加熱し、220℃まで徐々に加熱しながら溶融、混練すると共に、一段目の押出機の途中からブタン(イソブタン:ノルマルブタン(重量比)=35:65)をポリ乳酸系樹脂100重量部に対して1.0重量部の割合で圧入して、ポリ乳酸系樹脂中にブタンを均一に分散させた。
しかる後、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を一段目の押出機から接続管を介して二段目の押出機に連続的に供給した。二段目の押出機にて溶融状態のポリ乳酸系樹脂を165.8℃に冷却した後、二段目の押出機の先端に取り付けられたサーキュラダイ(サーキュラ金型のリップにおける内ダイの外径:60mm、サーキュラ金型のリップにおける内外ダイ間の間隔:0.5mm)から20kg/時間の押出速度で円筒状に押出発泡した。なお、上記樹脂温度は、二段目の押出機とサーキュラダイとの間にブレーカープレートを挿入し、そのブレーカープレートの中心部に熱電対を挿入することにより測定した。なお、サーキュラ金型の樹脂流通部における内ダイ側の表面に窒化チタンを蒸着させて、内ダイ表面のうちポリ乳酸系樹脂の接触する部分を窒化チタンで全面的に被覆した。
そして、上記円筒状発泡体を徐々に拡径した後、温度20℃の冷却水で冷却され且つ長さ方向の全長に亘って一定の外径を有する円柱状の冷却用マンドレル(外径:205mm、長さ:400mm)に連続的に供給し冷却した上で、円筒状発泡体をその任意の部分において押出方向に連続的に内外周面間に亘って切断し展開することによってポリ乳酸系樹脂発泡シートを連続的に製造した。この長尺状のポリ乳酸系樹脂発泡シートを巻き取り機によってロール状に巻き取った。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.18g/cm3 、厚みが2.0mm、結晶化度が16%、連続気泡率が20.7%であり、均一で且つ微細な気泡を有しており大きな空隙がないと共に厚みも均一なものであり、優れた外観を有していた。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シート内の空隙の有無は、発泡シートを任意の箇所にて押出方向に直交した面で切断し、その切断面を目視観察することによって判断した。
(実施例2)
ブタンをポリ乳酸系樹脂100重量部に対して1.0重量部の代わりに0.4重量部としたこと、二段目の押出機にて溶融状態のポリ乳酸系樹脂を165.8℃に冷却する代わりに170.2℃としたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂シートを得た。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.40g/cm3 、厚みが1.0mm、結晶化度が14%、連続気泡率が25.2%であり、均一で且つ微細な気泡を有しており大きな空隙がないと共に厚みも均一なものであり、優れた外観を有していた。
(実施例3)
ポリ乳酸系樹脂として、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC HV−6200」、融点(mp):167.4℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:139.5℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点の温度Tにおける弾性率(貯蔵弾性率又は損失弾性率):4.23×104 Pa)を用いたこと、二段目の押出機にて溶融状態のポリ乳酸系樹脂を165.8℃に冷却する代わりに164.3℃としたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂シートを得た。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.18g/cm3 、厚みが2.0mm、結晶化度が10%、連続気泡率が22.6%であり、均一で且つ微細な気泡を有しており大きな空隙がないと共に厚みも均一なものであり、優れた外観を有していた。
(実施例4)
気泡調整剤としてアクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン0.25重量部の代わりに、タルク2重量部を用いたこと、発泡剤としてブタン(イソブタン:ノルマルブタン(重量比)=35:65)をポリ乳酸系樹脂100重量部に対して1.0重量部用いる代わりに、イソブタンをポリ乳酸系樹脂100重量部に対して1.3重量部用いたこと、二段目の押出機においてポリ乳酸系樹脂を165.8℃に冷却する代わりに、166.9℃に冷却したこと、押出速度を20kg/時間の代わりに、32kg/時間としたこと以外は実施例1と同様の要領でポリ乳酸系樹脂発泡シートを得た。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.21g/cm3 、厚みが1.4mm、結晶化度が17%、連続気泡率が22.5%であり、均一で且つ微細な気泡を有しており大きな空隙がないと共に厚みも均一なものであり、優れた外観を有していた。
(実施例5)
ポリ乳酸系樹脂として、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC HV−6200」、融点(mp):167.4℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:139.5℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点の温度Tにおける弾性率(貯蔵弾性率又は損失弾性率):4.23×104 Pa)を用いたこと、発泡剤としてブタン(イソブタン:ノルマルブタン(重量比)=35:65)をポリ乳酸系樹脂100重量部に対して1.0重量部用いる代わりに、イソブタンをポリ乳酸系樹脂100重量部に対して1.4重量部用いたこと、二段目の押出機においてポリ乳酸系樹脂を165.8℃に冷却する代わりに、164.5℃に冷却したこと、押出速度を20kg/時間の代わりに、26kg/時間としたこと以外は実施例1と同様の要領でポリ乳酸系樹脂発泡シートを得た。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.21g/cm3 、厚みが1.4mm、結晶化度が14%、連続気泡率が21.0%であり、均一で且つ微細な気泡を有しており大きな空隙がないと共に厚みも均一なものであり、優れた外観を有していた。
(実施例6)
ポリ乳酸系樹脂として、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC HV−6200」、融点(mp):167.4℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:139.5℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点の温度Tにおける弾性率(貯蔵弾性率又は損失弾性率):4.23×104 Pa)を用いたこと、発泡剤としてブタン(イソブタン:ノルマルブタン(重量比)=35:65)をポリ乳酸系樹脂100重量部に対して1.0重量部用いる代わりに1.4重量部用いたこと、二段目の押出機においてポリ乳酸系樹脂を165.8℃に冷却する代わりに、164.5℃に冷却したこと、押出速度を20kg/時間の代わりに、26kg/時間としたこと以外は実施例1と同様の要領でポリ乳酸系樹脂発泡シートを得た。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.21g/cm3 、厚みが1.4mm、結晶化度が14%、連続気泡率が22.2%であり、均一で且つ微細な気泡を有しており大きな空隙がないと共に厚みも均一なものであり、優れた外観を有していた。
(比較例1)
ポリ乳酸系樹脂として、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC TE−4000」、融点(mp):170.3℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:105.0℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点の温度Tにおける弾性率(貯蔵弾性率又は損失弾性率):1.17×105 Pa)を用いたこと、二段目の押出機にて溶融状態のポリ乳酸系樹脂を165.8℃に冷却する代わりに164.3℃としたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂シートを得た。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.30g/cm3 、厚みが1.2mm、結晶化度が15%、連続気泡率が87.3%であり、破泡により内部には大きな空隙が形成れていると共に外観も悪いものであった。
(比較例2)
ポリ乳酸系樹脂として、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「LACTY 9010」、融点(mp):142.4℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:101.7℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点の温度Tにおける弾性率(貯蔵弾性率又は損失弾性率):1.06×105 Pa)を用いたこと、ポリ乳酸系樹脂を一段目の押出機にて始めに加熱する温度を190℃の代わりに160℃としたこと、ポリ乳酸系樹脂を一段目の押出機にて徐々に220℃まで加熱する代わりに180℃まで加熱したこと、二段目の押出機にて溶融状態のポリ乳酸系樹脂を165.8℃に冷却する代わりに138.8℃としたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂シートを得た。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.26g/cm3 、厚みが1.4mm、結晶化度が8%、連続気泡率が65.1%であり、破泡により内部には大きな空隙が形成れていると共に外観も悪いものであった。
上記ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mn、並びに、得られたポリ乳酸系樹脂発泡シートの熱成形性及び連続気泡率を下記に示した方法で測定した。又、実施例4〜6で得られたポリ乳酸系樹脂発泡シートから得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形品の底面部厚みを下記に示した方法で測定した。更に、実施例4〜6について、押出発泡直後から3週間及び4週間経過した後におけるポリ乳酸系樹脂発泡シート中に含有される発泡剤量を上述の方法で測定した。上述の測定で得られた結果を表1〜3に示した。なお、表1において、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tを単に「温度T」と表記した。又、実施例6において、押出発泡直後から4週間が経過したポリ乳酸系樹脂発泡シート中に含有される発泡剤量は検出限界以下であった。
(ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mn)
ポリ乳酸系樹脂を110℃に保持されたオルトジクロロベンゼン3.5ミリリットルに溶解し、ガスクロマトグラフ(Waters社製 商品名「GPC 150−C」)を用いて下記条件下にてポリスチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnを測定した。
カラム:昭和電工社製 商品名「Shodex UT−806M」3本
カラム温度:100℃
移動相:オルトジクロロベンゼン
移動相流量:1.0ミリリットル/分
注入口温度:100℃
注入量:300マイクロリットル
検出:RI
検量線用標準ポリスチレン樹脂
昭和電工社製 商品名「Shodex」
重量平均分子量:1030000
東ソー社製
重量平均分子量:5480000、3840000、355000、102400、37900、9100、2630、495
(熱成形性)
押出発泡直後から2週間経過後のポリ乳酸系樹脂発泡シートを、125℃に加熱した一対の加熱板で両面から挟持して6秒間に亘って加熱した。しかる後、ポリ乳酸系樹脂発泡シートを25℃に保持した成形金型を用いて6秒間に亘って有底円筒状に成形加工して成形品を得た。なお、円筒状発泡体の内面が成形品の内側となるようにした。そして、この成形品の底部のコーナ部外面を目視観察し、下記基準により判断した。
○・・・亀裂は全くなかった。
×・・・亀裂が発生していた。
(連続気泡率)
ポリ乳酸系樹脂発泡シートの連続気泡率をASTM D2856−87に準拠して測定した。具体的には、ポリ乳酸系樹脂発泡シートから該発泡シートの厚み方向の全長に亘って切り込むことによって一辺25mmの平面正方形状のシート状試験片を複数枚切り出し、この複数枚の試験片を厚み方向に全体の厚みが25mm程度となるように重ね合わせて積層体を形成した。
次に、上記積層体の見掛け体積をノギスを用いて正確に測定した上で、空気比較式比重計を用いて1−1/2−1気圧法によって体積を測定し、下記式により連続気泡率を算出した。なお、1−1/2−1気圧法による積層体の体積は、東京サイエンス社から商品名「空気比較式比重計1000型」で市販されている空気比較式比重計を用いて測定した。 連続気泡率(%)=100×(見掛け体積−空気比較式比重計による積層体の体積)
/見掛け体積
(底面部厚み)
押出発泡直後から4週間経過後のポリ乳酸系樹脂発泡シートから一辺が30cmの平面正方形状の試験片を切り出した。そして、130℃に加熱した一対の加熱板で試験片を両面から挟持して8秒間に亘って加熱した。
一方、縦が10.5cmで且つ横が20.5cmの平面横長長方形状の底面部の四方外周縁から上方における斜め外方に向かって周壁部が延設されてなる皿状の金型を用意し、この皿状の金型を用いて上記試験片をマッチモールド成形により熱成形して、皿状のポリ乳酸系樹脂発泡成形品を得た。そして、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形品の底面部中央の厚みを測定し、この底面部中央の厚みを底面部厚みとして評価した。
Figure 0004578309
Figure 0004578309
Figure 0004578309
図1は、実施例1で用いられたポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を示したグラフである。

Claims (8)

  1. 動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、融点(mp)とが下記条件を満たす結晶性のポリ乳酸系樹脂、及び、気泡調整剤を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練した後、押出機の先端に取り付けられた金型から押出発泡させて密度が0.13〜0.6g/cm3 のポリ乳酸系樹脂発泡体を製造することを特徴とするポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法。
    (ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃)
    ≦貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T
    ≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)
  2. 動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tでのポリ乳酸系樹脂の弾性率が1.0×103 〜1.0×105 Paであることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法。
  3. 気泡調整剤がポリテトラフルオロエチレンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法。
  4. ポリテトラフルオロエチレンがアクリル樹脂で変性されていることを特徴とする請求項3に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法。
  5. 発泡剤がイソブタンを含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法。
  6. 発泡剤中にイソブタンを70〜100重量%含有することを特徴とする請求項5に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法。
  7. 動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、融点(mp)とが下記条件を満たす結晶性のポリ乳酸系樹脂、及び、気泡調整剤を押出機に供給して、イソブタンを含有する発泡剤の存在下にて溶融混練した後、押出機の先端に取り付けられた金型から押出発泡させて密度が0.13〜0.6g/cm3 のポリ乳酸系樹脂発泡体を製造し、このポリ乳酸系樹脂発泡体を該ポリ乳酸系樹脂発泡体中に含有される発泡剤量が0.2重量%以上の状態にて熱成形することを特徴とするポリ乳酸系樹脂発泡成形品の製造方法。
    (ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃)
    ≦貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T
    ≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)
  8. 動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、融点(mp)とが下記式を満たすポリ乳酸系樹脂からなると共に、密度が0.13〜0.6g/cm3 で且つ結晶化度が30%以下であることを特徴とするポリ乳酸系樹脂発泡体。
    (ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃)
    ≦貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T
    ≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)
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