JP4357998B2 - ポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法に関する。
ポリ乳酸系樹脂は、天然に存在する乳酸を重合されて得られた樹脂であり、自然界に存在する微生物によって分解可能な生分解性樹脂であると共に、常温での機械的特性についても優れていることから注目を集めている。
ポリ乳酸系樹脂の原料となる乳酸は、分子中に不斉炭素原子を有するために光学活性を示し、D体、L体、及び、D体とL体とが等量混合してなるラセミ体の三種類が存在する。
そのために、乳酸を重合させて得られるポリ乳酸は、上記三種類の乳酸の混合割合と重合方法を調整することによって種々の性質を有するものとすることができ、現実に、ポリ乳酸には、結晶性のものから非結晶性のものまで多種多様存在し、融点又は軟化点も様々である。
一方、合成樹脂から発泡体を得る方法として、合成樹脂及び物理発泡剤を押出機に供給して溶融混練し押出機から押出発泡させる方法が挙げられるが、押出発泡時に合成樹脂が発泡ガスを保持し得る程度の張力を有している必要がある。
ところが、上記ポリ乳酸は、これを固化状態から加熱すると、ある温度を境にして大きく軟化又は溶融して粘度の低い状態となってしまい、そのために、ポリ乳酸は、発泡ガスを保持し得る張力を発現させる温度領域が極めて狭く、発泡させ難い樹脂とされている。
そこで、ポリ乳酸を変性させて発泡性を向上させることが試みられており、特許文献1には、多糖類と、乳酸及びポリ乳酸からなる群より選ばれた少なくとも一種とを脱水重縮合反応させて得られる分解性共重合体、無機フィラー発泡核剤、発泡助剤及び揮発型発泡剤を含むポリ乳酸系発泡体製造用組成物が提案されている。
しかしながら、このポリ乳酸系発泡体製造用組成物を製造するには、複雑な工程と特殊な設備が必要とされるばかりでなく、分解性共重合体は、ポリ乳酸が本来有している優れた生分解性が損なわれているといった問題点があった。
又、特許文献2には、重量平均分子量及びL体とD体とのモル比が所定範囲内にあるポリ乳酸系樹脂と、イソシアネート化合物とからなる生分解性耐熱樹脂組成物が提案されている。
しかしながら、イソシアネート化合物を含有させると、得られる発泡体にイソシアネート化合物に起因した臭いが生じるといった問題点の他に、押出機内に長時間に亘って滞留していたイソシアネート化合物が発泡体中に異物として混入して発泡体の外観性を損なったり、押出機に取り付けたダイ口金出口部を詰まらせてしまって発泡体に裂けを生じさせるといった問題点があった。
更に、イソシアネート化合物は生分解性を有するものではないために、上記生分解性耐熱樹脂組成物を発泡させて得られる発泡体も、やはりポリ乳酸が本来有している優れた生分解性が損なわれているといった問題点があった。
特開2000−44716号公報 特開2002−155197号公報
本発明は、ポリ乳酸系樹脂の本来有する優れた生分解性を維持しつつポリ乳酸系発泡体を安定的に製造することができるポリ乳酸系発泡体の製造方法を提供する。
本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法は、150℃における平衡コンプライアンス(Jeo)が1.4×10 -4 〜4×10 -4 Pa-1で且つ150℃における溶融粘度が9000〜14000Pa・secであってエポキシ化合物の存在下で重合させて得られるポリ乳酸系樹脂及び物理発泡剤を押出機に供給して押出発泡させることを特徴とする。
上記ポリ乳酸系樹脂は下記式1で示される。このポリ乳酸系樹脂は、L−乳酸及び/又はD−乳酸を重合させるか、或いは、L−ラクチド、D−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドを開環重合させることによって得ることができ、何れのポリ乳酸系樹脂であってもよい。
Figure 0004357998
ポリ乳酸系樹脂を製造するに際して、モノマーとしてL体又はD体のみ、或いは、モノマーとしてL体とD体とを併用した場合においてL体又はD体の何れか一方を他方に比して多量に用いた時は、得られるポリ乳酸系樹脂は結晶性となる一方、モノマーとしてL体とD体とを略同量づつ用いた場合には、得られるポリ乳酸系樹脂は非結晶性となるが、耐熱性に優れている点から、結晶性のポリ乳酸系樹脂が好ましい。
なお、ポリ乳酸系樹脂の製造時に、エポキシ化亜麻仁油やエポキシ化大豆油などのエポキシ化合物が添加される。ポリ乳酸系樹脂の製造時に、過酸化物などの溶融強度改質剤、脂肪族ポリエステルなどの耐衝撃性改質剤、可塑剤、結晶核剤、酸化防止剤、安定剤、顔料などの添加剤を添加してもよい。
そして、平衡コンプライアンス(Jeo)は、クリープ測定から得られる溶融粘度の尺度となるものであり、上記ポリ乳酸系樹脂の150℃における平衡コンプライアンス(Jeo)は、小さいと、押出機から押出されたポリ乳酸系樹脂に押出方向に直交する方向に波打ち現象が発生し、得られるポリ乳酸系発泡体に縞(コルゲーションとも言われる)が生じて外観が低下したり或いは厚みが不均一になると共に、波打ち部における山部分と谷部分との間においてポリ乳酸系樹脂発泡体の強度に差が生じてしまう一方、大きいと、押出発泡時にメルトフラクチャーが発生し、得られるポリ乳酸系樹脂の外観性が低下するので、1.4×10 -4 〜4×10 -4 Pa -1 に限定される。
ここで、ポリ乳酸系樹脂の150℃における平衡コンプライアンス(Jeo)は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、直径が25mmで且つ厚みが1mmのポリ乳酸系樹脂からなる試験片を作製する。そして、この試験片に150℃で100Paの応力を100秒間に亘って加え、この時の歪み量γ(t)を経時的に測定する。なお、tは、試験片に応力を加え始めてから経過した時間(秒)をいう。
そして、測定した歪み量γ(t)を応力σ(Pa)で除す(式2)ことによってクリープコンプライアンスJ(t)を算出し、縦軸にJ(t)を、横軸に時間t(秒)をとって、図1に示したようなクリープ曲線1を描く。
J(t)=γ(t)/σ・・・式2
上記クリープ曲線1は、時間tが小さい間は原点を始点として曲線を描くが、50秒前後から徐々に直線状に変化して、55〜60秒では概ね直線状となる。次に、クリープ曲線1における55〜60秒の直線部分をこの直線部分に沿って時間が0となる方向に直線状に延長させて平衡コンプライアンス直線2を描く。この平衡コンプライアンス直線における縦軸との切片、即ち、tが0となる値を平衡コンプライアンス(Jeo)とする。
平衡コンプライアンス直線=t/η0 +Jeo
但し、η0 は無剪断粘度(Pa)
更に、ポリ乳酸系樹脂の150℃における溶融粘度は、大きいと、押出発泡時の押出負荷が大きくなり過ぎて、押出機の負荷を超えてしまい押出せなくなったり、或いは、押出発泡時にポリ乳酸系樹脂の伸びが悪くなるために良好な発泡体を得ることできない一方、小さいと、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を発泡に適した温度領域に保持することが困難となるので、9000〜14000Pa・secに限定される。
ここで、上記ポリ乳酸系樹脂の溶融粘度は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、上述した要領で平衡コンプライアンス(Jeo)を測定するに際し、測定し始めて55秒目から60秒経過までの間(t=55〜60)、0.5秒間隔で試験片の溶融粘度を測定し、その溶融粘度の相加平均値をポリ乳酸系樹脂の150℃における溶融粘度とする。
なお、ポリ乳酸系樹脂の150℃における平衡コンプライアンス(Jeo)及び溶融粘度は、例えば、Reologica Instruments A.B.社から商品名「STRESSRHEOMETER DAR−100」で市販されている粘弾性測定機を用いて測定することができる。
又、上記物理発泡剤としては、一般的に発泡体の製造に用いられているものを用いることができ、例えば、プロパン、ブタン、ペンタンなどの炭化水素、二酸化炭素、窒素、ヘリウムなどの不活性ガス、塩化メチル、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル化合物などが挙げられ、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体の独立気泡率が高くて外観性に優れていることから、ジメチルエーテルを用いることが好ましいが、ジメチルエーテルだけでは気泡が大きくなり易いので、気泡を微細化するために、ジメチルエーテルと炭化水素とを併用すること、ジメチルエーテルと二酸化炭素とを併用することがより好ましい。
そして、物理発泡剤として、ジメチルエーテル、炭化水素又は二酸化炭素に加えて、その他の物理発泡剤を併用する場合、ジメチルエーテル、炭化水素及び二酸化炭素の総量が物理発泡剤中50重量%以上の割合で含有されるように調整することが好ましい。
次に、物理発泡剤としてジメチルエーテルと炭化水素とを併用する場合について詳細に説明する。ジメチルエーテルは、押出機内で溶融状態のポリ乳酸系樹脂に対して優れた相溶性を有しており、顕著な可塑化効果を奏して押出発泡の発泡性を著しく改善するものの、ジメチルエーテルは、ポリ乳酸系樹脂に対して相溶性が良過ぎるために気泡を大きくする傾向を示す。
これに対して、炭化水素は、ポリ乳酸系樹脂との相溶性に劣るので押出発泡時の気泡の微細化効果を奏するものの、炭化水素のみを発泡剤として用いると、上述のようにポリ乳酸系樹脂との相溶性が低いために発泡途上の気泡膜が破れてしまい、得られる発泡体内に大きな空隙が発生し易い。
しかるに、物理発泡剤としてジメチルエーテルと炭化水素とを併用すると、ジメチルエーテルと炭化水素が互いの欠点を補完しつつ両者の長所を相乗的に発揮し、ポリ乳酸系樹脂の押出発泡性を向上させつつ微細な気泡を有するポリ乳酸系樹脂発泡体を得ることができる。
そして、物理発泡剤としてジメチルエーテルと炭化水素とを併用する場合において、物理発泡剤中におけるジメチルエーテルの含有量は、少ないと、ポリ乳酸系樹脂が発泡に適した粘度を示す温度領域が狭くなって、高発泡倍率の発泡体を得にくくなったり発泡体中に大きな空隙が発生したりすることがある一方、多いと、得られる発泡体の気泡が大きくなって外観が低下することがあるので、5〜95重量%が好ましく、10〜90重量%がより好ましく、15〜85重量%が特に好ましい。
更に、上記炭化水素としてブタンを用いること、即ち、ジメチルエーテルとブタンとを併用することが、ポリ乳酸系樹脂の押出発泡性を向上させることができると共に得られる発泡体の気泡を均一且つ微細化することができ好ましい。
上記ブタンとしては、ノルマルブタン、イソブタンが挙げられ、イソブタンが好ましく、ノルマルブタンとイソブタンは併用されてもよい。そして、イソブタンとノルマルブタンとを併用する場合、ブタン中におけるイソブタンの含有量は、発泡体の気泡をより微細化することができることから、30重量%以上が好ましい。
続いて、物理発泡剤としてジメチルエーテルと二酸化炭素とを併用する場合について詳細に説明する。二酸化炭素も炭化水素と同様に、ポリ乳酸系樹脂との相溶性に劣るので押出発泡時の気泡の微細化効果を奏するものの、二酸化炭素のみを発泡剤として用いると、上述のようにポリ乳酸系樹脂との相溶性が低いために発泡途上の気泡膜が破れてしまい、得られる発泡体内に大きな空隙が発生し易い。
しかるに、物理発泡剤としてジメチルエーテルと二酸化炭素とを併用すると、ジメチルエーテルと二酸化炭素が互いの欠点を補完しつつ両者の長所を相乗的に発揮し、ポリ乳酸系樹脂の押出発泡性を向上させて微細な気泡を有するポリ乳酸系樹脂発泡体を得ることができる。
そして、物理発泡剤としてジメチルエーテルと二酸化炭素とを併用する場合において、物理発泡剤中におけるジメチルエーテルの含有量は、少ないと、ポリ乳酸系樹脂が発泡に適した粘度を示す温度領域が狭くなって、高発泡倍率の発泡体を得にくくなったり発泡体中に大きな空隙が発生したりすることがある一方、多いと、得られる発泡体の気泡が大きくなって外観が低下することがあるので、50〜98重量%が好ましく、60〜96重量%がより好ましく、70〜94重量%が特に好ましい。
次に、上記ポリ乳酸系樹脂及び物理発泡剤を押出機に供給する。このような押出機としては、従来から汎用されている押出機であれば、特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機、複数の押出機を連結させたタンデム型の押出機が挙げられ、タンデム型の押出機が好ましい。
そして、上記押出機にポリ乳酸系樹脂及び物理発泡剤を供給するのであるが、押出機にポリ乳酸系樹脂を供給して溶融、混練し、この押出機中の溶融状態にあるポリ乳酸系樹脂中に上記物理発泡剤を注入ポンプを用いて圧入することが好ましい。
物理型発泡剤として、炭化水素又は二酸化炭素と、ジメチルエーテルとを併用する場合、炭化水素又は二酸化炭素と、ジメチルエーテルとを予め混合させた上で押出機中に圧入する他に、炭化水素又は二酸化炭素と、ジメチルエーテルとを別々のタイミングで押出機中に圧入してもよいが、炭化水素又は二酸化炭素と、ジメチルエーテルとを予め混合させた上で押出機中に圧入することが好ましい。
又、炭化水素又は二酸化炭素と、ジメチルエーテルとを別々のタイミングで押出機中に圧入する場合には、ジメチルエーテルを押出機中に圧入した後に炭化水素又は二酸化炭素を押出機中に圧入するのが好ましい。
これは、溶融状態のポリ乳酸系樹脂中にジメチルエーテルを圧入することによってポリ乳酸系樹脂の溶融粘度を低下させることができ、この溶融粘度が低下した状態でポリ乳酸系樹脂中に炭化水素又は二酸化炭素を圧入することによって、炭化水素又は二酸化炭素をポリ乳酸系樹脂中により均一に分散させることができるからである。
又、ポリ乳酸系樹脂中における物理発泡剤の分散性を向上させるために、発泡剤の臨界温度以上の温度に加熱され且つ発泡剤の臨界圧力以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中に、発泡剤を圧入するのが好ましく、具体的には、押出機中にて発泡剤の臨界温度以上の温度に加熱され且つ発泡剤の臨界圧力以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中に、発泡剤をその臨界圧力以上の圧力で圧入する方法が挙げられる。
具体的には、ジメチルエーテルの場合には、ジメチルエーテルの臨界温度は127℃で臨界圧力が5.3MPaであることから、127℃以上の温度に加熱され且つ5.3MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中にジメチルエーテルを圧入することが好ましく、152℃以上の温度に加熱され且つ6.6MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中にジメチルエーテルを圧入することがより好ましく、170℃以上の温度に加熱され且つ8.6MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中にジメチルエーテルを圧入することが特に好ましい。
イソブタンの場合には、イソブタンの臨界温度は135℃で臨界圧力が3.6MPaであることから、135℃以上の温度に加熱され且つ3.6MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中にイソブタンを圧入することが好ましく、160℃以上の温度に加熱され且つ5MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中にイソブタンを圧入することがより好ましく、170℃以上の温度に加熱され且つ7MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中にイソブタンを圧入することが特に好ましい。
又、ノルマルブタンの場合には、ノルマルブタンの臨界温度は152℃で臨界圧力が3.8MPaであることから、152℃以上の温度に加熱され且つ3.8MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中にノルマルブタンを圧入することが好ましく、160℃以上の温度に加熱され且つ5MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中にノルマルブタンを圧入することがより好ましく、170℃以上の温度に加熱され且つ7MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中にノルマルブタンを圧入することが特に好ましい。
更に、二酸化炭素の場合には、二酸化炭素の臨界温度は31℃で臨界圧力が7.4MPaであるが、ポリ乳酸系樹脂の溶融温度を考慮すると、120℃以上の温度に加熱され且つ7.4MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中に二酸化炭素を圧入することが好ましく、140℃以上の温度に加熱され且つ9MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中に二酸化炭素を圧入することがより好ましく、160℃以上の温度に加熱され且つ10MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中に二酸化炭素を圧入することが特に好ましい。
そして、物理発泡剤として複数の発泡剤を併用し、複数の発泡剤を同時にポリ乳酸系樹脂中に圧入する場合は、各発泡剤が有する臨界温度及び臨界圧力のうちの最大値が目安となる。
例えば、ジメチルエーテル、イソブタン及びノルマルブタンを併用する場合には、ジメチルエーテル、イソブタン及びノルマルブタンの臨界温度及び臨界圧力の最大値が目安となるので、152℃以上の温度に加熱され且つ5.3MPa以上の圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中にジメチルエーテル、イソブタン及びノルマルブタンを圧入することが好ましい。
又、押出機としてタンデム型の押出機を用いる場合には、一段目の押出機で発泡剤を圧入、分散された溶融状態のポリ乳酸系樹脂は、一段目の押出機と二段目の押出機を接続している接続管を介して二段目の押出機に連続的に供給されるが、接続管内において、物理発泡剤を構成している発泡剤のうちの最も高い臨界温度以上にポリ乳酸系樹脂を加熱すると共に、物理発泡剤を構成している発泡剤のうちの最も高い臨界圧力以上の圧力をポリ乳酸系樹脂に加えることによって、発泡剤を超臨界状態にてポリ乳酸系樹脂中に更に多量に且つ均一に溶解させることができ、よって、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体の連続気泡率を低下させることができると共に機械的強度を向上させることができる。
更に、一段目の押出機は、ポリ乳酸系樹脂中に発泡剤を充分に分散させることを目的とするが、このような押出機としては、混合・混練性に優れた二軸押出機、発泡剤の圧入部付近にダルメージやピンのような高混練部分を有するスクリューを備えた単軸押出機が好ましい。
加えて、二段目の押出機は、ポリ乳酸系樹脂を発泡適正温度に冷却することを主な目的とするが、このような押出機としては、スクリューを低回転で回転させても、物理発泡剤を含有するポリ乳酸系樹脂を均一に発泡適正温度に冷却することができるスクリュー、例えば、ダルメージ部を有するスクリュー、スクリューフライトの一部を切欠いたスクリューを有する押出機が好ましい。
なお、上記物理発泡剤の溶融状ポリ乳酸系樹脂中への圧入量は、少ないと、ポリ乳酸系樹脂が発泡しないことがあり、又、多いと、破泡することがあるので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.5〜10重量部が好ましく、1〜9重量部がより好ましく、1.5〜8重量部が特に好ましい。
更に、上記押出機には、ポリ乳酸系樹脂及び物理発泡剤に加えて高級脂肪酸アルコール性エステルを供給することが好ましい。このように高級脂肪酸アルコール性エステルを押出機に供給することによって、ポリ乳酸系樹脂の可塑剤として有効に作用して押出発泡時の条件幅を拡げることができると共に、ポリ乳酸系樹脂と物理発泡剤、特に、炭化水素との相溶化剤としても有効に作用し、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体に大きな空隙が発生するのを防止することができ、更に、高級脂肪酸アルコール性エステルは帯電防止剤としての作用をも有し、ジメチルエーテルや炭化水素のような可燃性の発泡剤を用いた場合の発火事故などを防止する効果も奏する。
上記高級脂肪酸アルコール性エステルとは、高級脂肪酸と多価アルコールとにより形成されるエステルであって、そのエステル一分子中に遊離した水酸基を一個以上含むものをいい、分子中にエーテル結合を有しないものが好ましい。
そして、上記高級脂肪酸としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸などの飽和若しくは不飽和で炭素数が10〜30の一価の高級脂肪酸、又は、これらの高級脂肪酸が混在する牛脂肪酸、糠油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸などが挙げられる。
又、上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリット、ソルビット、ソルビタン、マンニット、マンニタン、ジペンタエリスリット、ジグリセリンなどが挙げられる。
そして、上記高級脂肪酸アルコール性エステルとしては、例えば、ラウリン酸モノグリセライド、パルミチン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ペンタエリスリットモノラウレート、ジペンタエリスリットジステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキ糠油脂肪酸エステル、ソルビタンモノパリミテート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、マンニタンモノオレエート、マンニタンモノラウレートなどが挙げられ、ステアリン酸モノグリセライドが好ましい。
又、高級脂肪酸アルコール性エステルの添加量は、少ないと、上述したような高級脂肪酸アルコール性エステルの作用が発現しないことがある一方、多いと、高級脂肪酸アルコール性エステルがポリ乳酸系樹脂発泡体の表面にブリードアウトしてべたつくので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部が好ましく、0.02〜1.5重量部がより好ましく、0.03〜1重量部が特に好ましい。
更に、従来から発泡体の製造に用いられてきた添加剤を押出機に供給してもよい。このような添加剤としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、棚砂、醐酸亜鉛、水酸化アルミニウム、シリカ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、弗素樹脂粉末などの気泡調整剤;脂肪酸エステル化合物、脂肪酸アマイド化合物などの脂肪酸化合物、第四級アンモニウム塩化合物などの帯電防止剤;難燃剤;着色剤などが挙げられる。
なお、上記気泡調整剤の添加量は、種類によって異なるが、一般的に、結晶性のポリ乳酸系樹脂100重量に対して0 .01〜5重量部が好ましい。なお、気泡調整剤として例示されているタルク、炭酸カルシウムは充填剤としても用いることができ、このような場合には、結晶性のポリ乳酸系樹脂100重量に対して15〜25重量部が好ましい。
次に、押出機内で溶融、混練され且つ物理発泡剤が分散されたポリ乳酸系樹脂は発泡適性温度とされた上で押出機から押出発泡されてポリ乳酸系樹脂発泡体を得ることができる。
ここで、本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂は、上述の如く、所定の平衡コンプライアンス(Jeo)及び溶融粘度を有していることから、一般的なポリ乳酸系樹脂とは異なり、押出発泡性に優れている。
更に、ポリ乳酸系樹脂の種類及び所望する発泡体の発泡倍率の大小に分けて詳細に説明すると、ポリ乳酸系樹脂が結晶性であって所望する発泡倍率が10倍未満といった小さい場合には、ポリ乳酸系樹脂に対する物理発泡剤の添加量が少ないので、物理発泡剤を含有したポリ乳酸系樹脂の溶融粘度の低下が少なく、融点よりも高い幅広い温度領域において押出発泡に適した溶融張力を得ることができ良好なポリ乳酸系樹脂発泡体を得ることができる。なお、本発明においてポリ乳酸系樹脂の融点とは、ポリ乳酸系樹脂に何ら添加剤を含有させていない状態におけるポリ乳酸系樹脂の融点をいい、具体的には、JIS K7121に準拠して測定し、融解ピーク温度を融点とした。
一方、ポリ乳酸系樹脂が結晶性であって所望する発泡体の発泡倍率が10倍以上といった大きい場合には、ポリ乳酸系樹脂に対する物理発泡剤の添加量が多いので、物理発泡剤を含有したポリ乳酸系樹脂の溶融粘度の低下が大きく、融点よりも高い温度領域では、ポリ乳酸系樹脂を押出発泡に適した溶融粘度とすることが極めて困難である。
即ち、本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂は、所定の平衡コンプライアンス(Jeo)及び溶融粘度を有しており、優れた押出発泡性を有していることから、発泡倍率が小さい場合には物理発泡剤の種類を問わずに良好なポリ乳酸系樹脂発泡体を得ることができる。
一方、所望するポリ乳酸系樹脂発泡体の発泡倍率が大きい場合には、本発明のような、押出発泡性に優れたポリ乳酸系樹脂であっても円滑に押出発泡することができないことがある。
このような場合には、ジメチルエーテルを含有する物理型発泡剤と、本発明で用いられる特定のポリ乳酸系樹脂との組み合わせによって、ポリ乳酸系樹脂に優れた押出発泡性を発現させることができる。
つまり、ジメチルエーテルは ポリ乳酸系樹脂に対して相溶性に優れている上に可塑化効果に優れていることから、ジメチルエーテルを含有するポリ乳酸系樹脂をその融点以下の温度に冷却した場合にあっても、ポリ乳酸系樹脂に良好な流動性を付与することができる。
従って、ポリ乳酸系樹脂を押出機内において流動性を確保しつつ融点以下の温度に冷却して押出発泡に適した張力とした上で押出機から押出発泡させることができ、良好なポリ乳酸系樹脂発泡体を得ることができる。
ポリ乳酸系樹脂の押出温度としては、具体的には、融点〜(融点−40℃)が好ましく、(融点−1℃)〜(融点−30℃)がより好ましく、(融点−2℃)〜(融点−20℃)が特に好ましい。
なお、ポリ乳酸系樹脂をその融点以下に冷却する方法としては、特に限定されないが、例えば、多数のピンを有するスクリュー或いは多数の切欠きを有するスクリューフライト付きのスクリューのような高い混練能を有するスクリューを用いてポリ乳酸系樹脂を混練しながら押出機のシリンダ(バレル)を冷却水などで冷却する方法が挙げられる。
又、ポリ乳酸系樹脂が非結晶性である場合には、所定の平衡コンプライアンス(Jeo)及び溶融粘度を有しており押出発泡性に優れていることから、発泡倍率の大小を問わず、押出機内において軟化点以上の温度にて発泡に適した張力となるまで充分に冷却することができ、良好なポリ乳酸系樹脂発泡体を得ることができる。
上述のように、本発明で定める特定のポリ乳酸系樹脂を用いることによって、ポリ乳酸系樹脂の種類及び発泡倍率の大小を問わず、必要に応じて、物理発泡剤にジメチルエーテルを含有させることによってポリ乳酸系樹脂を良好な状態に押出発泡させることができる。
そして、本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法によれば種々の形態を有する発泡体を得ることができるが、一例としてポリ乳酸系樹脂発泡シートを製造する要領を説明する。
ポリ乳酸系樹脂発泡シートを製造する要領としては、例えば、(1) 押出機内で溶融、混練され且つ物理発泡剤が分散されたポリ乳酸系樹脂を発泡適正温度に冷却した上で押出機に取り付けられたサーキュラダイから筒状に押出発泡させた後、この筒状発泡体を拡径させつつ冷却マンドレルに供給して連続的に冷却した上で、この筒状発泡体を任意の部分において押出方向に連続的に切断、展開して長尺状のポリ乳酸系樹脂発泡シートを製造する方法、(2) 押出機内で溶融、混練され且つ物理発泡剤が分散されたポリ乳酸系樹脂を発泡適正温度に冷却した上で押出機に取り付けられたTダイ又はフラットダイからシート状に押出発泡させて長尺状のポリ乳酸系樹脂発泡シートを製造する方法が挙げられる。
ダイの口金出口部分におけるポリ乳酸系樹脂の剪断速度は、低いと、ダイ内部で一次発泡してしまってポリ乳酸系樹脂発泡シートの外観や品質が低下することがあるので、300sec-1以上が好ましいが、高すぎると、メルトフラクチャーが発生してポリ乳酸系発泡シートの外観や品質が低下してしまうことがあるので、300〜10000sec-1がより好ましく、400〜8000sec-1が特に好ましく、500〜6000sec-1が最も好ましい。
なお、上記サーキュラダイの口金出口部分におけるポリ乳酸系樹脂の剪断速度は、下記二重管での計算式により算出されたものをいう。
剪断速度(sec-1)=6Q/〔π(L2 2 −L1 2 )(L2 −L1 )〕
但し、Qは体積押出量(cm3 /sec)であり(Qを質量押出量(g/sec)から算出する場合は、ポリ乳酸系樹脂の密度は1.0g/cm3 とする)、L1 (cm)は(r0 −t0 /2)であり、L2 (cm)は(r0 +t0 /2)であり、r0 は(サーキュラダイの外側口金の出口部における内径+サーキュラダイの内側口金の出口部における外径)/4であり、t0 (cm)はサーキュラダイの口金出口部分の間隔である。
又、上記Tダイ又はフラットダイの口金出口部分におけるポリ乳酸系樹脂の剪断速度は、下記平行溝の計算式により算出されたものをいう。
剪断速度(sec-1)=6Q/(W×d2
但し、Qは、体積押出量(cm3 /sec)であり(Qを質量押出量(g/sec)から算出する場合は、ポリ乳酸系樹脂の密度は1.0g/cm3 とする)、dは、ダイ出口平行溝の間隔(cm)、Wは、ダイ出口平行溝の幅(cm)である。
更に、発泡倍率が3倍以上のポリ乳酸系樹脂発泡シートを製造する場合には、ダイの口金出口部分が出口に向かって徐々に拡がっている押出孔(オリフィス)を有するサーキュラダイを用いることが好ましい。このようなサーキュラダイを用いることによって、幅方向に縞の少ない高発泡倍率なポリ乳酸系樹脂発泡シートを得ることができる。
又、熱成型用のポリ乳酸系樹脂発泡シートを製造する場合には、サーキュラダイの内側口金における出口部の外径と、冷却マンドレルにおけるサーキュラダイ側先端の外径との比(冷却マンドレルにおけるサーキュラダイ側先端の外径/サーキュラダイの内側口金における出口部の外径)が2〜5となるように調整することが好ましく、2.5〜4.5となるように調整することがより好ましい。
上述のように、本発明のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法によれば、種々の発泡倍率を有する均質なポリ乳酸系樹脂発泡体を得ることができ、このポリ乳酸系樹脂発泡体は、断熱材、緩衝材、工業用部材、建材、土木資材、農業用資材、食品包装材などといった多種多様な用途に用いることができる。特に、ポリ乳酸系樹脂発泡シートとすると、熱成形によって食品容器、果実用トレー、梱包材などといったより幅広い用途に用いることができる。
熱成形に用いられるポリ乳酸系樹脂発泡シートの厚みは、薄いと、クッション性や断熱性が低下することがある一方、厚いと、熱成形性が低下することがあるので、0.5〜5mmが好ましく、0.7〜4mmがより好ましく、0.8〜3mmが特に好ましい。
又、熱成形に用いられるポリ乳酸系樹脂発泡シートの密度は、小さいと、ポリ乳酸系樹脂発泡シートの強度が低下することがある一方、大きいと、断熱性が低下することがあるので、0.02〜0.4g/cm3 が好ましく、0.03〜0.3g/cm3 がより好ましく、0.04〜0.2g/cm3 が特に好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡体の密度は、JIS K7222:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に準拠して測定されたものをいう。
請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法は、150℃における平衡コンプライアンス(Jeo)が1×10-4〜1×10-3Pa-1で且つ150℃における溶融粘度が5000〜20000Pa・secであるポリ乳酸系樹脂及び物理発泡剤を押出機に供給して押出発泡させることを特徴とするので、所望形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡体を安定して製造することができる。
そして、得られるポリ乳酸系樹脂発泡体は、ポリ乳酸系樹脂が本来有している生分解性を発揮し、自然界に存在する微生物によって分解可能なものであり、地球環境の保護を図ることができる。
又、請求項2に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法は、請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法において、物理発泡剤がジメチルエーテルを含有することを特徴とするので、結晶性のポリ乳酸系樹脂から発泡倍率が大きい発泡体を製造する場合にあっても、押出機内において流動性を保持しつつポリ乳酸系樹脂が発泡に適した粘度となるまで充分に冷却した上で押出発泡させることができ、良好なポリ乳酸系樹脂発泡体を安定的に得ることができる。
更に、請求項3又は請求項4に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法は、請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法において、物理発泡剤が、ジメチルエーテルと、炭化水素又は二酸化炭素とからなることを特徴とするので、微細な気泡を有するポリ乳酸系樹脂発泡体を安定的に製造することができる。
最後に、請求項5に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法において、押出機に高級脂肪酸アルコール性エステルを供給することを特徴とするので、ポリ乳酸系樹脂の押出発泡条件をより幅広く確保することができると共に、ポリ乳酸系樹脂発泡体に空隙が発生するのを更に確実に防止して優れた品質のポリ乳酸系樹脂発泡体を得ることができる。
(実施例1)
ラクチド8000重量部(D−ラクチド:560重量部、L−ラクチド:7440重量部)、触媒としてスズ(ビス−2−エチルヘキサノエート)1重量部及びエポキシ化大豆油28重量部を180〜220℃で10時間に亘って溶融重合した後に脱揮し、未反応のラクチドを除去した上でペレット化した。
次に、得られたペレット100重量部及び(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.1重量部を二軸押出機に供給して180℃で溶融混練して結晶性のポリ乳酸系樹脂ペレットを得た。なお、ポリ乳酸系樹脂は、その平衡コンプライアンス(Jeo)が1.8×10-4Pa-1、150℃における溶融粘度が11133Pa・sec、融点が144.5℃であった。
そして、上記ポリ乳酸系樹脂ペレット100重量部、ステアリン酸モノグリセライド0.75重量部及びタルク1重量部を、一段目となる口径50mmの単軸押出機と二段目となる口径65mmの単軸押出機とを接続管を介して接続してなるタンデム型の押出機の一段目の押出機に供給した。
そして、ポリ乳酸系樹脂を一段目の押出機にて始めは150℃に加熱し、徐々に185℃まで加熱しながら溶融、混練すると共に、一段目の押出機の途中からジメチルエーテル4.7重量部を、185℃に加熱され且つ15MPaの圧力が加えられた溶融状態のスチレン系樹脂中に15MPa以上の圧力でもって圧入した直後に、イソブタン1.9重量部を、185℃に加熱され且つ15MPaの圧力が加えられた溶融状態のポリ乳酸系樹脂中に15MPa以上の圧力でもって圧入して、ポリ乳酸系樹脂中にジメチルエーテル及びイソブタンを均一に分散させた。
しかる後、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を一段目の押出機から接続管を介して二段目の押出機に連続的に供給した。なお、接続管内におけるポリ乳酸系樹脂の温度は175℃、ポリ乳酸系樹脂に加えられた圧力は14MPaであった。
そして、二段目の押出機にて溶融状態のポリ乳酸系樹脂は、スクリューフライトが一部切り欠かれたスクリューで樹脂温度126℃に冷却された後、二段目の押出機の先端に取り付けられたサーキュラダイから30kg/時間の押出速度で円筒状に押出発泡された。なお、上記樹脂温度は、二段目の押出機とサーキュラダイとの間にブレーカープレートを挿入し、そのブレーカープレートの中心部に熱電対を挿入することにより測定した。
ここで、上記サーキュラダイの口金出口部分における剪断速度は5.46×102 sec-1であった。なお、体積押出量Qは、8.33cm3 /sec、L1 は2.936cm、L2 は3.006cm、r0 は2.971cm、t0 は0.07cm、サーキュラダイの外側口金の出口部における内径は6.000cm、サーキュラダイの内側口金の出口部における外径は5.884cmであった。サーキュラダイの口金出口部分の押出孔は出口に向かって徐々に拡がっており、外側口金の出口部の開き角度は30°、内側口金の出口部の開き角度は35°であった。
そして、上記円筒状発泡体を冷却水で冷却されたマンドレルに連続的に供給して冷却した上で、円筒状発泡体をその任意の部分において押出方向に連続的に切断し展開することによって幅530mmのポリ乳酸系樹脂発泡シートを連続的に製造し、この長尺状のポリ乳酸系樹脂発泡シートを巻き取り機によってロール状に巻き取った。マンドレルのサーキュラダイ側先端の外径は17cmであった。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.060g/cm3 、厚みが2.60mmであり、均一で且つ微細な気泡を有しており大きな空隙がないと共に厚みも均一なものであった。ポリ乳酸系樹脂発泡シート内の空隙の有無は、発泡シートを任意の箇所にて押出方向に直交した面で切断し、その切断面を目視観察することによって判断した。
(実施例2)
ジメチルエーテルを4.7重量部の代りに5.1重量部とし、イソブタンの代わりに二酸化炭素0.9重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡シートを得た。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.069g/cm3 、厚みが2.25mmであり、均一で且つ微細な気泡を有しており大きな空隙がないと共に厚みも均一なものであった。
(比較例1)
ポリ乳酸系樹脂として、結晶性のポリ乳酸系樹脂(三井化学社販売 商品名「LACEA H−440」、150℃における平衡コンプライアンス(Jeo):8.1×10-5Pa-1、150℃における溶融粘度:36790Pa・sec、融点:151℃)を用いたこと、二段目の押出機にて樹脂温度132℃にポリ乳酸系樹脂を冷却したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡シート得た。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.060g/cm3 、厚みが約2.60mmであり、波打ち現象が発生し全幅に亘って10本の縞が形成され、厚みが不均一で外観性に劣るものであった。
(比較例2)
ポリ乳酸系樹脂として、非晶性のポリ乳酸系樹脂(三井化学社販売 商品名「LACEA H−280」、150℃における平衡コンプライアンス(Jeo):8.2×10-5Pa-1、150℃における溶融粘度:26313Pa・sec、JIS K7206に準拠したビカット軟化点:55℃)を用いたこと、二段目の押出機にて樹脂温度110℃にポリ乳酸系樹脂を冷却したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡シート得た。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.063g/cm3 、厚みが約2.50mmであり、波打ち現象が発生し全幅に亘って8本の縞が形成され、厚みが不均一で外観性に劣るものであった。
(比較例3)
ポリ乳酸系樹脂として、結晶性のポリ乳酸系樹脂(島津製作所社販売 商品名「LACTY 9010」、150℃における平衡コンプライアンス(Jeo):1.5×10-4Pa-1、150℃における溶融粘度:22105Pa・sec、融点:142.4℃)を用いたこと、二段目の押出機にて樹脂温度129℃にポリ乳酸系樹脂を冷却したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡シート得た。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡シートは、その密度が0.062g/cm3 、厚みが約2.55mmであり、波打ち現象が発生し全幅に亘って6本の縞が形成され、厚みが不均一で外観性に劣るものであった。
ポリ乳酸系樹脂発泡体を構成するポリ乳酸系樹脂の平衡コンプライアンス(Jeo)及び得られたポリ乳酸系樹脂発泡体の連続気泡率を下記に示した方法で測定し、その結果を表1に示した。
〔平衡コンプライアンス(Jeo)〕
ポリ乳酸系樹脂を卓上型手動射出成形機(山城精機製作所社製 商品名「HC−7」)を用いて樹脂温180℃(ポリ乳酸系樹脂の溶融が不充分な場合は190℃)の条件下にて直径25mm、厚さ3mmの円盤状の成形体を作製した。
次に、成形体を真空乾燥機に供給して80℃に3時間に亘って加熱し乾燥処理を施した後、粘弾性測定機(Reologica Instruments A.B.社製 商品名「STRESSRHEOMETER DAR−100」)における、平行に配設され且つ直径25mmの平面円形状の一対の上下プレートの下側プレート上に直ちに配設した。
そして、成形体を窒素雰囲気下に下側プレート上にて190℃で約5分間放置して完全に溶融させた。しかる後、上記上下プレートを用いて成形体を厚さ1mmとなるまで上下方向から圧縮し、上下プレートの外周縁から外方にはみ出した樹脂部分を除去した上で、150℃に冷却し、その後、5分間放置して試験片を作製した。
続いて、試験片に150℃で100Paの応力を100秒間に亘って加え、この時の歪み量γ(t)を経時的に測定した。なお、tは、試験片に応力を加え始めてから経過した時間(秒)をいう。又、測定後に試験片に気泡が発生していたものについては採用しなかった。
そして、測定した歪み量γ(t)を応力σ(100Pa)で除す(式3)ことによってクリープコンプライアンスJ(t)を算出し、縦軸にJ(t)を、横軸に時間(秒)をとって、図1に示したようなクリープ曲線1を描いた。
J(t)=γ(t)/100・・・式3
次に、クリープ曲線1における55〜60秒の直線部分をこの直線部分に沿って時間が0となる方向に直線状に延長させて平衡コンプライアンス直線2を描き、この平衡コンプライアンス直線における縦軸との切片、即ち、tが0となる値を平衡コンプライアンス(Jeo)とした。
〔連続気泡率〕
ポリ乳酸系樹脂発泡シートの連続気泡率をASTM D2856−87に準拠して測定した。具体的には、ポリ乳酸系樹脂発泡シートから該発泡シートの厚み方向の全長に亘って切り込むことによって一辺25mmの平面正方形状のシート状試験片を複数枚切り出し、この複数枚の試験片を厚み方向に全体の厚みが25mm程度となるように重ね合わせて積層体を形成した。
次に、上記積層体の見掛け体積をノギスを用いて正確に測定した上で、空気比較式比重計を用いて1−1/2−1気圧法によって体積を測定し、下記式により連続気泡率を算出した。なお、1−1/2−1気圧法による積層体の体積は、東京サイエンス社から商品名「空気比較式比重計1000型」で市販されている空気比較式比重計を用いて測定した。 連続気泡率(%)=100×(見掛け体積−空気比較式比重計による積層体の体積)
/見掛け体積
Figure 0004357998
ポリ乳酸系樹脂の平衡コンプライアンス(Jeo)を測定する際に得られるクリープ曲線及び平衡コンプライアンス直線の一例を示したグラフである。
符号の説明
1 クリープ曲線
2 平衡コンプライアンス直線

Claims (5)

  1. 150℃における平衡コンプライアンス(Jeo)が1.4×10 -4 〜4×10 -4 Pa-1で且つ150℃における溶融粘度が9000〜14000Pa・secであってエポキシ化合物の存在下で重合させて得られるポリ乳酸系樹脂及び物理発泡剤を押出機に供給して押出発泡させることを特徴とするポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法。
  2. 物理発泡剤がジメチルエーテルを含有することを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法。
  3. 物理発泡剤がジメチルエーテル及び炭化水素からなることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法。
  4. 物理発泡剤がジメチルエーテル及び二酸化炭素からなることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法。
  5. 押出機に高級脂肪酸アルコール性エステルを供給することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のポリ乳酸系樹脂発泡体の製造方法。
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