JP2009073955A - ポリ乳酸系樹脂発泡体 - Google Patents

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Abstract

【課題】結晶性ポリ乳酸系重合体を主成分とする樹脂組成物による高発泡倍率の発泡体を安定的に提供する。
【解決手段】 重量平均分子量が40万〜150万、好ましくは50万〜130万、さらに好ましくは60万〜100万であり、加熱下で十分に結晶化させた後に、示差走査熱量分析(DSC)測定を行った場合、ポリ乳酸成分に由来する結晶融解熱が観測される結晶性ポリ乳酸系重合体を85重量%以上含有するポリ乳酸系重合体を使用する発泡体。また、結晶性ポリ乳酸系重合体が分岐構造を有するポリ乳酸系重合体を使用する発泡体。
【選択図】なし

Description

本発明は、結晶性ポリ乳酸系重合体からなる樹脂組成物による高発泡倍率の発泡体に関する。
原油を初めとする石化燃料使用による大気中への炭酸ガス放出、それに伴う地球温暖化が近年一層深刻さを増しつつあり、二酸化炭素排出量削減への社会の要請は年々強調されてきている。この状況下、カーボンフリーを促進するための非石化原料の検討が加速され、特に、ポリ乳酸樹脂は主原料となる乳酸がコーンスターチやコーンシロップなどを発酵させることで製造できるため、植物由来の樹脂として注目を浴びてきた。さらに、ポリ乳酸樹脂は、土壌またはコンポスト中で微生物に分解される生分解性を有することから、現行石油由来樹脂を置き換えるものとして大きな期待が寄せられている。ポリ乳酸による成型容器や緩衝材は、使用後に自然環境下で分解し、例えば食品トレーとして使用した際、期限切れ容器を容器ごと廃棄してコンポスト化することができる等、これまでの分別回収に比べ、手間やコストの削減が可能となり、産廃削減にも大きく貢献が期待できる。既にフィルムや繊維ではポリ乳酸樹脂を用いた製品が商品化されており、また、発泡シートにおいてもその実用化の研究・開発が盛んに行われている。
ポリ乳酸樹脂は、溶融時の張力が低く、歪み硬化性も乏しいために発泡成型において、気泡構造が安定せず、また気泡の成長とともに気泡破れが発生し、均一な発泡体を得ることが困難である。このポリ乳酸の発泡を安定して行うために、これまで数々の方法が提案されてきた。
例えば、ポリ乳酸に発泡剤としてジメチルエーテル等を添加し特定の温度領域で押出発泡させる技術(特許文献1)、ポリ乳酸を重合段階にて特定の粘度に調整し、高級脂肪酸等の発泡安定剤を加え、物理発泡剤により押出発泡させる技術(特許文献2)、ポリ乳酸に層状ケイ酸塩等を添加し、発泡する技術(特許文献3)が挙げられる。しかしながら、これら技術では発泡体は得られるものの、ポリ乳酸自身の発泡時の粘度は不十分であり、得られる発泡体は低発泡倍率となる。高発泡倍率においては気泡が連続化し、不均一な発泡体しか得られない。
このため、ポリ乳酸自身の改質を目的として幾つかの試みも提案されている。例えば、ポリ乳酸へ(メタ)アクリル酸エステル、過酸化物を添加し、溶融混練により架橋を生じさせる方法(特許文献4,5)、多価イソシアネート化合物を添加し、溶融混練により架橋させる方法(特許文献6、7)等である。しかしながら、これら方法では押出機内での滞留部分にて架橋反応が進行しすぎるため、ゲル化物等が発生し、安定して発泡させることが出来ない。
さらには、ポリ乳酸の酸末端との反応性を持つ官能基を有する単量体を添加し、粘度、歪み硬化度をコンロールする方法も提案されているが(特許文献8)、この方法においてもゲル化物の発生が少なく、かつ均一な高発泡倍率の発泡体を安定的に得ることは出来ていない。
このように、ポリ乳酸樹脂を発泡させる技術については、多く研究、提案が為されているが、未だに安定、かつ均一な高発泡倍率の発泡体を得る技術は、見出されていない。
特開2003−261704号公報 特開2005−254752号公報 特開2002−363393号公報 特開2003−286360号公報 特開2004−051803号公報 特開2002−155197号公報 特開2003−238789号公報 特開2005−239932号公報
本発明の目的は、結晶性ポリ乳酸系重合体からなる樹脂組成物による高発泡倍率の発泡体を安定的に提供することにある。
本発明は、特定の分子量の結晶性ポリ乳酸系重合体、もしくは特定の分子構造のポリ乳酸系共重合体を使用するという以下の手段を採用することで、前記課題を解決できることを見出したものである。すなわち、
(1)重量平均分子量が40〜150万である結晶性ポリ乳酸系重合体を85重量%以上含有することを特徴とする発泡体。
(2)結晶性ポリ乳酸系重合体が分岐構造を有することを特徴とする(1)に記載の発泡体である。
本発明によれば、結晶性ポリ乳酸系重合体からなる樹脂組成物による、高倍率発泡体を安定に、かつ均一に作成、提供することが出来る。
以下、本発明の発泡体について、実施の形態を説明する。
本発明の発泡体は、重量平均分子量が40〜150万である結晶性ポリ乳酸系重合体を85重量%以上含有することを特徴とする発泡体である。
本発明における結晶性ポリ乳酸系重合体とは、結晶性ポリ乳酸系重合体中の乳酸由来の成分が90重量%以上であるものを指す。乳酸由来の成分としては、実質的にL−乳酸および/またはD―乳酸からなるホモポリ乳酸が好ましく用いられる。組成物中の乳酸由来の成分が90重量%未満の場合、結晶性ポリ乳酸系重合体の結晶性が低下したり、ガラス転移温度が低下するなどするために、発泡体としての耐熱性が不足したり、また、生分解性が不十分となる場合がある。
なお、本発明でいう結晶性ポリ乳酸系重合体とは、加熱下で十分に結晶化させた後に、適当な温度範囲で示差走査熱量分析(DSC)測定を行った場合、ポリ乳酸成分に由来する結晶融解熱が観測されるものを言う。
結晶性ポリ乳酸系重合体としては、例えば均一なホモポリ乳酸を用いる場合にはその光学純度が80%以上のホモポリ乳酸を使用すればよい。あるいは、光学純度の異なる2種以上のホモポリ乳酸を併用することも可能である。なお、通常、ホモポリ乳酸は光学純度が高いほど結晶性や融点が高く、例えば光学純度が98%以上のポリL−乳酸では融点は約170℃程度である。光学純度が低いと、耐熱性が低下する傾向にあり好ましくない。発泡体に高い耐熱性を付与したい際には、使用するポリ乳酸のうち少なくとも1種に光学純度が96%以上のホモポリ乳酸を含むことが好ましい。
ポリ乳酸の製造は、公知の方法を用いることが出来る。例えば、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸(ラセミ体)を原料として一旦環状2量体であるラクチドを生成せしめ、その後開環重合を行う2段階のラクチド法、または当該原料を溶媒中で直接脱水縮合を行う一段階の直接重合法が挙げられる。本発明においてホモポリ乳酸を用いる場合はいずれの製法によって得られたものであってもよい。
本発明における結晶性ポリ乳酸系重合体の重量平均分子量は、40万〜150万、好ましくは50万〜130万、さらに好ましくは60万〜100万である。重量平均分子量が40万未満では、発泡に必要な粘度を得ることが出来ず、150万を超える場合は、押出成型において生産性が著しく低下するためである。重量平均分子量をかかる範囲とすることで、高発泡倍率の発泡体作成に十分な粘度を付与することができる。
結晶性ポリ乳酸系重合体の重量平均分子量を40万〜150万と調整する方法としては、上記ラクチド法、直接重合法のいずれの方法で得られたのものでも良い。また、これら重合後に重量平均分子量を調整する方法として、一般的な固相重合や、二官能基を有する化合物との末端基同士の反応等により目的とする40万〜150万の重量平均分子量を得ることが出来る。ここでいう固相重合とは、対象とするポリマーの融点より低い温度でポリマーの重合反応を進め、分子量を目的とするレベルまで増加させる重合方法である。固相重合としては、例えば特開平8−34843号公報、特開2001−192444号公報、特開2005−263949号公報に記載の方法をとることが出来る。
なお、重量平均分子量は、実施例に記載の方法で測定する。
本発明の発泡体に使用する重量平均分子量が40万〜150万の結晶性ポリ乳酸系重合体を含有する発泡体は、発泡体100重量%に対し、重量平均分子量が40万〜150万の結晶性ポリ乳酸系重合体が85重量%以上100重量%以下であり、好ましくは90重量%以上100重量%以下、さらに好ましくは95重量%以上100重量%以下である。発泡体100重量%に対して、重量平均分子量40万〜150万の結晶性ポリ乳酸系重合体が85重量%未満では、発泡のための適正な粘度が得られず、安定的に高発泡倍率の発泡体を得ることができない。
さらに、本発明における結晶性ポリ乳酸系重合体は、分岐構造を有することでさらに良好な実施形態となる。ポリ乳酸系重合体に分岐構造を導入する方法は、既知の方法を利用することが出来る。例えば、分子鎖末端に水酸基を有する多官能ポリエステルポリオールとの重縮合、もしくは分子内に三官能以上のグリシジル基を有するポリマーとの反応等が挙げられる。
分子内に三官能以上のグリシジル基を有するポリマーは、エピクロロヒドリンを、2つ以上の末端の活性な水素基を有する分子と反応させることにより、従来の方法を使用して一般に製造される。例えば、ビスフェノールAのエピクロロヒドリンとの反応により調製したビスフェノール型エポキシ化合物、ノボラック樹脂をエピクロロヒドリンと反応させることにより調製したノボラック型エポキシ化合物、カルボン酸をエピクロロヒドリンと反応させることにより調製したポリグリシジルエステル、ならびに脂肪族アルコールおよびエピクロロヒドリンから調製したグリシジルエーテル等である。
また、本発明の発泡体においては、本発明の目的を阻害しないことを前提に、重量平均分子量40万〜150万の結晶性ポリ乳酸系重合体以外の他成分を含有させることができる。この他成分の含有量は、発泡体100重量%に対し0重量%以上15重量%以下であり、好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは5重量%以下である。発泡体100重量%に対して、15重量%より多くの他成分を含有させる場合、結晶性ポリ乳酸系樹脂組成物の結晶性が低下したり、ガラス転移温度が低下するなどして発泡体としての耐熱性が不足したり、安定発泡を阻害する場合がある。
発泡体に含有させることができる他成分としては特に制限はないが、例えば、非晶性のポリ乳酸や、以下の様なポリ乳酸以外の生分解性樹脂を含有させても良い。例としては、以下のラクトン樹脂、例えば、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、エナントラクトンや4−メチルカプロラクトン、2,2,4−トリメチルカプロラクトンなどの各種メチル化ラクトンの単独重合体または共重合体、及びそれらの混合物、以下に代表される脂肪族ポリエステル、例えば、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリブチレンサクシネート/カーボネート等のジオールとジカルボン酸または該酸無水物等の誘導体を重縮合してなる脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート/サクシネート、ポリエチレンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンテレフタレート/サクシネート、ポリブチレンテレフタレート/アジペート等の芳香族共重合ポリエステル、ポリヒドロキシブチレート・バリレート等の天然直鎖状ポリエステル系樹脂、ポリグリコール酸などのポリヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。ポリ乳酸との相溶性が良好で、ポリ乳酸の有しない柔軟性に優れている点で、ポリエチレンサクシネート、ポリブテンテレフタレート/アジペート、ポリブチレンサクシネート/カーボネート等が特に好ましく、中でもポリブチレンテレフタレート/アジペートが最も好ましい。
また本発明の発泡体には、本発明の効果を阻害しない範囲において、その他の各種添加剤成分を添加してもよい。例えば、添加剤として、酸化防止剤、滑剤、熱安定剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、結晶核剤、可塑剤、抗菌剤、生分解促進剤、発泡剤分解促進剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、充填剤、防臭剤、発泡助剤、気泡安定剤、金属害防止剤、加水分解速度調整剤などであり、これらを単独もしくは2種類以上併用して添加してもよい。
公知の可塑剤としては、例えば、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジシクロヘキシルなどのフタル酸エステル系、アジピン酸ジ−1−ブチル、アジピン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−n−ブチル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどの脂肪族二塩基酸エステル系、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシル、リン酸ジフェニルオクチルなどのリン酸エステル系、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリブチルなどのヒドロキシ多価カルボン酸エステル系、アセチルリシノール酸メチル、ステアリン酸アミルなどの脂肪酸エステル系、グリセリントリアセテート、トリエチレングリコールジカプリレートなどの多価アルコールエステル系、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステル、エポキシステアリン酸オクチルなどのエポキシ系可塑剤、ポリプロピレングリコールセバシン酸エステルなどのポリエステル系可塑剤、ポリアルキレンエーテル系、エーテルエステル系、アクリレート系などが挙げられる。なお、安全性の面から、米食品衛生局(FDA)の認可がなされている可塑剤を用いることが好ましい。
酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などが例示される。
結晶核剤としては、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチエレンビスラウリル酸アミドなどの脂肪族カルボン酸アミド系や、脂環族カルボン酸アミド系、芳香族カルボン酸アミド系などの有機系、あるいはタルク、スメクタイトなどの層状ケイ酸塩など無機系が例示される。
着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などの無機顔料の他、シアニン系、スチレン系、フタロシアイン系、アンスラキノン系、ペリノン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、キノクリドン系、チオインディゴ系などの有機顔料等を使用することができる。
また、成形品の易滑性や耐ブロッキング性の向上を目的として、無機微粒子を添加する際には、例えば、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどを用いることができる。
上述した各種添加剤成分の中でも、ポリ乳酸は酸化劣化し易いポリマーであることから、外観美麗な発泡体を得るために酸化防止剤を含んでいることが特に好ましい。
本発明の発泡体を得るための発泡剤としては、発泡体を得るために使用できるものであれば、いずれでもよく、化学発泡剤、物理発泡剤、またそれら2種以上の組合せなどを用いることができる。
化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロジニトリル、アゾジカルボン酸バリウムなどのアゾ化合物、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジドなどのヒドラジド化合物、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどのニトロソ化合物、ヒドラゾジカルボンアミドなどのヒドラゾ化合物、5−フェニルテトラゾール、5−アミノテトラゾール、アゾビステトラゾール系、ビステトラゾール系などのテトラゾール化合物、重炭酸ソーダ、炭酸ソーダなどを挙げることができる。
物理発泡剤としては、エタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレン、石油エーテル、塩化メチル、モノクロルトリフルオロメタン、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン、水、空気、炭酸ガス、窒素ガスなどを挙げることができ、容易に使用できるという点から、ブタン、ペンタン、ヘキサン、水、空気、炭酸ガス、窒素ガスが好ましく、水、空気、炭酸ガス、窒素ガスがより好ましく、水、空気、炭酸ガスがさらに好ましい。
本発明における高発泡倍率とは、見かけ密度が60kg/m3以下である。見かけ密度が60kg/m3より大きい場合、柔軟・軽量性を欠き、また容器等に成型した際、保温性、断熱性に劣る。見かけ密度を低くすることにより、単位面積当たりの樹脂量が減少し、コスト競争力が著しく向上する。他素材比コスト競争力の向上は、ポリ乳酸樹脂発泡体の普及に不可欠であり、見かけ密度を小さくすることはポリ乳酸樹脂発泡体における最大の課題の一つである。なお、本発明における見かけ密度とは実施例に記載する方法で測定された値をいう。なお、本発明の発泡体における見かけ密度に下限はなく、小さい程高倍率化できるために好ましいが、本発明の発泡体は見かけ密度20kg/m未満は現在の技術では達成困難であるため、現実的な下限は20kg/m以上と考えられる。
本発明の発泡体を得る方法は特に限定されないが、例えば、結晶性ポリ乳酸系重合体を押出機で溶融混練し、Tダイから押出し、シート状に成型した後、密閉したオートクレーブ中にガス及び/又は超臨界流体とともに封入し、一定時間含浸させたのちオートクレーブの圧力を開放して発泡させる方法、押出機の先端に取り付けた金型内で、結晶性ポリ乳酸系重合体と発泡剤の溶融混練物を押出しと同時に金型内にて発泡させる方法、結晶性ポリ乳酸系重合体と発泡剤の溶融混練物を、Tダイあるいは環状ダイから連続的に押出発泡させる方法等がある。中でも、コストなどの観点から、結晶性ポリ乳酸系重合体に、発泡剤として二酸化炭酸、など安価な不活性ガスを超臨界状態で圧入し、結晶性ポリ乳酸系重合体の融点以下の温度でTダイあるいは環状ダイから連続的に押出発泡させる方法が好ましい。これら不活性ガスは、結晶性ポリ乳酸系重合体100重量部に対して、3〜10重量部の範囲で用いられる。不活性ガスの添加量が3重量部を下回ると得られる発泡体の発泡倍率が低くなり、高発泡倍率の発泡体は得られず、10重量部を超えると発泡時のガス抜けが多く、気泡が破泡しやすく外観が劣り、均一な発泡体が得られない。高発泡倍率の発泡体を得るには、不活性ガスの量は4〜9部が好ましく、5〜8部が更に好ましい。
以下、一例として、特にこの方法について詳細に記載する。
本発明法において用いる結晶性ポリ乳酸系重合体は、必要に応じその他添加物とともに従来公知の混合方法によって事前に混合することができる。例えば、ヘンシェルミキサによる混合、バンバリミキサによる混合、ミキシングロールによる混合、混練押出機による混合する方法などがあり、単独または併用して使用される。なお、本発明で用いる結晶性ポリ乳酸系重合体は、加熱下で加水分解を受けやすいため、予め真空乾燥機で含有水分率を500ppm以下に低下させておくことが好ましく、100ppm以下とすることがさらに好ましい。
ついで、結晶性ポリ乳酸系重合体単独もしくはその他添加物の混合物を押出機内にて溶融混練する。押出機としては、単軸押出機、二軸押出機、また、これらを組み合わせたタンデム型押出機等を用いることが出来る。これらの中でも、押出機としては、結晶性ポリ乳酸系重合体を良く混合するとともに溶融し、発泡剤を均一に含ませることができて、引き続き所定の温度に冷却して維持し、押し出すことができるという観点からタンデム型押出機を用いることが最も好ましい。また、必要に応じて、押出機とダイの間にギヤポンプ等を設置してもよい。例えば、タンデム型の溶融押出機を用いる場合、一段目の押出機で発泡剤を圧入して樹脂中に分散させた後、発泡剤を含有させた溶融樹脂組成物を二段目の押出機に連続的に供給する。この場合、発泡剤としては炭酸ガスなどの安価な不活性ガスを用いることが好ましい。また発泡剤は、臨界温度以上、臨界圧力以上の条件(超臨界状態)にて圧入されることが好ましい。二段目の押出機においては、引き続き冷却して樹脂組成物の融点以下の温度で維持し押し出すことが好ましい。この場合、比較的低温での押出しにより熱分解を抑制しつつ、かつ融点以上で押し出す場合に比べて溶融粘度を高いレベルで保ったまま押出発泡させることができるため、より安定的に高発泡倍率の発泡体を得ることが出来る。
押出機の先端には、Tダイあるいは環状ダイ等公知のものを付設し、シート状の発泡体を得ることが出来る。表面が平滑な高発泡倍率の発泡体を得るには環状ダイがより好ましい。シート状に押出発泡させて発泡体シートを得ることができる。環状ダイを使用する場合は、ダイから吐出された筒状の発泡体を冷却したマンドレルに沿って進行させつつ冷却し、その後冷却した筒状発泡体を軸線方向に切り開いて発泡シートとする。必要に応じて、シートに平滑性、平坦性を付与するために、引き続いてニップロールによる成形を行なうことが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。なお、諸特性は、以下の方法により測定し、評価したものである。
(1)重量平均分子量
東ソー(株)製HLC8220GPCにて、カラムとしてTSKゲルスーパーHN−H(H−0028および0029)、ガードカラムとしてTSKガードカラムスーパーH−H(K−0008)を用いて測定した。カラム温度は40℃、クロロホルムを溶媒としPMMAを標準に算出した。
(2)酸価
精秤した試料をo−クレゾール(水分5%)調整液に溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加の後、0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより測定した。試料1トンの中和に必要なKOHのモル数を酸価(当量/重量トン)とする。
(3)見かけ密度
浮力式比重測定装置(Mirage社製Electronic Densimetor:型式MD-30S)により、試料の質量と資料の水中での重量から算出した。
(4)発泡体の外観
発泡体表面を目視により下記の通り判定した。
○・・・表面が平滑で気泡が均一である
△・・・表面は平滑であるが気泡が粗い
×・・・表面が粗く気泡も粗い
(5)成形性
真空成形を行い、それぞれ外観及び成形絞り比を評価した。
外観は、発泡体を真空成形した成形体について、目視により膨れや皺の有無で判断した。
成形絞り比は、直径D、深さHの垂直円筒状の雌型上において発泡体を加熱し、真空成形機を用いてストレート成形したときに、発泡体が破れることなく、円筒状に展開、伸長される限界での、H/Dの値のことである。なお、ここにおいて直径Dは50mmである。
発泡体の表面温度が80、100、120℃の3点について成形絞り比(H/D)を測定し、その値について以下の基準で判断した。
成形性○:2点以上の温度で成形絞り比0.50以上、かつ外観良好。
成形性△:1点の温度で成形絞り比0.50以上、かつ外観良好。
成形性×:成形絞り比0.50以上となる温度がない、あるいは外観不良。
(6)生分解性
試料を冷凍粉砕して粉体または顆粒状とし、JIS K6953に従って生分解度を求めた。生分解度が60%に到達する処理期間から下記のとおり判定した。
○・・・3ヶ月以内で生分解度が60%に到達
△・・・3ヶ月で生分解性が60%未満であり、かつ6ヶ月以内で生分解度が60%に到達
×・・・6ヶ月の処理期間が経っても生分解度は60%未満
(7)総合評価
上記、「見かけ密度」、「発泡体の外観」、「成型性」、「生分解性」における評価結果から、以下の基準で総合評価を行った。
総合評価○:見かけ密度が60kg/m以下、且つ「発泡体の外観」、「成型性」、「生分解性」のすべての評価が○の場合。
総合評価△:見かけ密度が60kg/m以下、且つ「発泡体の外観」、「成型性」、「生分解性」の評価結果において1つ以上△評価を有し×評価がない場合。
総合評価×:見かけ密度が60kg/mより大きい、もしくは「発泡体の外観」、「成型性」、「生分解性」の評価結果において×評価がある場合。
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
固相重合により分子量を表1に示す値に調整した結晶性ポリ乳酸系重合体を予め温度60℃、10torr以下の真空度で4時間乾燥した後、結晶性ポリ乳酸系重合体100重量部に対し、気泡核調整剤としてタルク3部を添加し、第一段押出機がL/D=32、スクリュー径40mmφ、第二段押出機がL/D=34、スクリュー径50mmφのタンデム型押出機に連続的に投入し、第一段押出機のシリンダーの途中から炭酸ガスを、結晶性ポリ乳酸系重合体100重量部に対して7重量部添加しながら、直径22mmφのサーキュラーダイから押出し、直径80mmφのマンドレルで冷却しながら切開し、巾約200mmのシート状発泡体を作成した。
第一段押出機の温度はシリンダー6ゾーンに対して、シリンダー1を150℃、シリンダー2〜6を200℃とし、第二段押出機の温度はシリンダー6ゾーンに対し、シリンダー1を80℃、シリンダー2を180℃に設定、シリンダー3からシリンダー6は130℃、ダイ温度を130℃とした。樹脂温度は130℃、ダイ部分での圧力は17MPaであった。得られたシート状発泡体の物性を表1に示す。厚みは2.8mm、密度は40kg/m(25倍発泡)と高倍発泡化できており、外観、成型性、生分解性ともに良好な結果であった。
(実施例2〜5)
固相重合により調整した結晶性ポリ乳酸系重合体の分子量およびタルクの配合量が表1に示す値としている以外は、実施例1と同様な条件で発泡体を得た。いずれの配合においても、密度50kg/m以下の外観、成型性、生分解性ともに良好な発泡体が得られた。
(実施例6)
固相重合を実施する代わりに、分子内に二つ以上のエポキシ官能基を有する化合物としてJohnsonPolymer社製ADR-4368(エホ゜キシ当量285g/mol)をポリ乳酸に対し0.4重量部配合すること以外、実施例1と同様の方法で発泡体を得た。厚みは2.3mm、密度は36kg/m(28倍発泡)と高倍発泡化できており、外観、成型性、生分解性ともに良好な結果であった。
(実施例7)
固相重合を実施する代わりに、分子内に二つ以上のエポキシ官能基を有する化合物としてJohnsonPolymer社製ADR-4368(エホ゜キシ当量285g/mol)をポリ乳酸に対し0.7重量部配合すること以外、実施例1と同様の方法で発泡体を得た。厚みは2.2mm、密度は36kg/m(28倍発泡)と高倍発泡化できており、外観、成型性、生分解性ともに良好な結果であった。
(比較例1〜3)
結晶性ポリ乳酸系重合体の分子量、およびタルクの配合量を表1に示した値としたこと以外は、実施例1と同様な条件で発泡体を得た。しかしながら、いずれの配合においても、密度は50kg/mより大きく、高倍発泡化は出来なかった。発泡体外観も凹凸が酷く、不均一であった。
Figure 2009073955
Figure 2009073955
本発明の発泡体は、植物由来の樹脂を主成分とし、生分解性を有することから、例えば食品トレーとして使用した際、期限切れ容器を容器ごと廃棄してコンポスト化することができる等、これまでの分別回収に比べ、手間やコストの削減が可能となり、産廃削減にも大きく貢献が期待できる。本発泡体にて、現行石油由来樹脂を置き換えることにより、二酸化炭素排出量削減に繋がり、地球温暖化の進行抑制に貢献できる。

Claims (2)

  1. 重量平均分子量が40万〜150万である結晶性ポリ乳酸系重合体を85重量%以上含有することを特徴とする発泡体。
  2. 結晶性ポリ乳酸系重合体が分岐構造を有することを特徴とする、請求項1記載の発泡体。
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