JP2005162804A - ポリ乳酸系樹脂組成物および発泡体並びにその発泡体の製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂組成物および発泡体並びにその発泡体の製造方法 Download PDF

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真一 福永
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Abstract

【課題】
商業的に容易に入手できる結晶性ポリ乳酸樹脂を主たる原料とする押出発泡用樹脂コンパウンドおよびそれからなる高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡体の提供と、化学的に安定な二酸化炭素のみを発泡ガスとして用いる該発泡体の安全かつ安定な製造技術を提供すること。
【解決手段】100℃、72時間真空乾熱処理によって結晶化させた後の結晶融解エンタルピー(ΔHm)が2J/g以上、35J/g以下かつ、190℃、60sec−1における溶融粘度が10〜10Pa・Sである結晶性ポリ乳酸を主たる成分とするポリ乳酸系樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、高倍率のポリ乳酸押出発泡体およびその製造方法に関する。
近年、石油事情、また環境問題といった観点から、従来の合成樹脂製品はリサイクル、リユースされるようになってきている。主に魚箱、家電緩衝材、食品トレー等に用いられる発泡スチロール(発泡ポリスチレン)も例外ではなく、主にマテリアルリサイクルされるようになってきている。
しかし、こう言ったマテリアルリサイクルの試みは大型家電の緩衝材等、使用後の回収が容易なものに限られており、回収が容易であっても臭いや汚れの激しい魚箱等はサーマルリサイクルされているケースが多い。
また、一般小売業者、飲食店で発生するものや末端消費者が直接自宅に持ち帰る商品に使用されているものの回収率はきわめて低い。
こういった、回収が困難な発泡スチロール製品は一般ゴミといっしょに廃棄されることが多いが、相応の設備を有しない焼却処分場では、その高い燃焼カロリーゆえに焼却炉を傷めてしまうという問題がある。
本発明者らは、これらの状況に鑑み、燃焼カロリーが低く炉を傷めず、しかも微生物による分解が可能な発泡資材として、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子およびその成形体を開発し、特許文献1等でその技術を開示して来た。
一方、食品廃棄物リサイクル法の施行において生分解性樹脂素材が食品廃棄物と一緒に廃棄することが認められたことから、生分解性プラスチックからなる食品トレーがにわかに注目を集めるようになった。しかし、現状、生分解プラスチックの多くは一般食材の包装資材に用いるには、高価すぎる。このため発泡軽量化によるコストダウンが試みられてきているが、押出発泡法によって10倍を超える高倍率の溶融押出発泡体を得るのは困難であり、一部特許文献等に記載はあるものの、現実には10倍を超える発泡倍率のポリ乳酸系押出発泡体は市場に登場していないのが実情である。
樹脂を溶融発泡させるについてはポリエチレンやポリプロピレンの溶融発泡の開発段階で詳細に検討されてきたごとく、発泡温度領域における粘度(溶融張力)と発泡ガスの圧力バランスが適正な範囲にあることが要求される。
しかし、一般に商業的に入手可能なポリ乳酸は結晶性のものがほとんどで、融点近傍で極端な粘度変化を生じる上、溶融張力が低く、高濃度の発泡ガスを導入・保持することが困難であるため、従来、非晶性のポリ乳酸を原料として用い、各種増粘剤、架橋剤による増粘(溶融張力の調整)が試みられてきた。
例えば、特許文献2では適正な溶融張力を得るために、重量平均分子量10数万のポリ乳酸にホウ酸、酸化マグネシウム等の無機系増粘剤やヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の架橋剤の添加している。
該特許文献の実施例では重量平均分子量10数万のポリ乳酸を用い、二酸化炭素を発泡ガスとして5部(対樹脂)添加して、ダイ温度140℃で溶融押出発泡して18〜21倍(ポリブチレンサクシネートブレンド系では22倍)の発泡倍率を達成したと記されているが、増粘剤と発泡剤に上述のものを使用し、この条件で溶融押出発泡したのでは、20
倍近くに発泡させることは極めて困難である。
特許文献3では、ポリ乳酸 に無機フィラーと発泡助剤とを加えて、揮発型発泡剤により押出発泡させることを提案している。無機フィラーとしては、シリカ、ゼオライト等ほとんど全ての無機フィラーが使用でき、発泡助剤としては金属石鹸やモンタン酸金属塩等が使用できると説明されており、さらに発泡剤としてはほとんど全ての揮発性発泡剤が使用できるかのように説明されている。しかし、実施例では無機フィラーとしてタルク、発泡助剤としてステアリン酸カルシウム又はモンタン酸カルシウム、発泡剤として二酸化炭素が使用されているに過ぎず、実施例で得られた発泡体も発泡倍率が5.8〜6.4倍という低倍率のものにとどまっている。
特許文献4〜特許文献6では、75℃と100℃における溶融張力に基づく溶融粘度の値が特定の範囲にある非晶性ポリ乳酸を用いて溶融押出発泡する方法が記述されているが、該特許文献の発明者自らが記述しているように、現状工業生産されて商業的に入手可能なポリ乳酸には特許文献4〜特許文献6に規定されている粘度範囲にあるものは実際上ない。
むしろ、商業的に入手可能な樹脂の大半は、75℃〜100℃の温度域で、特許文献4〜特許文献6に記載されている粘度範囲よりも低い粘度を示す場合がほとんどであるが、それでもこの温度域では極めて押出しトルクが高くなり、発泡体を商業的に安定量産することは極めて困難である。
また、これらの特許文献にあるような非晶性ポリ乳酸を用いた場合、高倍率の発泡体が得られても、いかなる方法でも結晶化させることができないため、耐熱温度が低く、その用途は限られてしまう。
特許文献4では、発泡剤にブタンを用いて90℃で発泡し、かさ密度30〜90kg/m(13〜42倍;実施例では50kg/m;25倍)の均一な発泡体を得たとしている。しかし、ブタンはポリ乳酸との相溶性に乏しいため均質な発泡体はできにくく、高発泡化を狙って高比率で圧入しても突沸が頻発して安定的に生産することが難しい。このことは、当該特許文献の発明者が特許文献5において、特許文献4の実施例(ブタン単独発泡)を比較例にとって、発泡後に収縮して良好な発泡体は得られなかった、と記述していることからも明らかである。
特許文献5では、特許文献4と同様の粘度範囲のポリ乳酸を炭化水素(実施例ではブタン)と二酸化炭素を発泡剤として併用して溶融押出発泡することによって90%を超える高い独立気泡率と高発泡倍率(かさ密度45〜55kg/m:23〜27倍)を達成したとしているが、二酸化炭素とブタンの両方の供給設備が必要であるうえ、ブタンを併用する為、安全性の点でも課題が残る。
特許文献6では、特許文献4と同様の粘度範囲のポリ乳酸を発泡剤としてジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテルのうちのいずれかを必須成分として用いることにより、高い発泡倍率(密度20〜200kg/m;6〜62倍)を達成できるとしており、炭化水素、二酸化炭素との併用も可能と記している。特にジメチルエーテルのみを用いた場合、最大発泡倍率50倍(かさ密度25.7kg/m)を達成したとしているが、エーテル類や炭化水素類は爆発性があるため、防爆の設備が必要で汎用性に欠ける。
設備の防爆化は特許文献4〜特許文献6に共通して言えることであり、また環境負荷の点からも低沸点の炭化水素類やエーテル類を大気中に放出するのは好ましいこととは言え
ない。
国際公開第99/21915号パンフレット 特開2000−7815号公報 特開2000−7816号公報 特開2002−317066号公報 特開2002−322309号公報 特開2003−20335号公報
本発明が解決しようとする課題は、商業的に容易に入手できる結晶性ポリ乳酸樹脂を主たる原料とする押出発泡用樹脂コンパウンドおよびそれからなる高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡体の提供と、化学的に安定な二酸化炭素のみを発泡ガスとして用いる該発泡体の安全かつ安定な製造技術の提供にある。
特許文献2、3にもあるようにポリ乳酸樹脂、特に結晶性ポリ乳酸樹脂を通常の溶融押出発泡設備で混練するには樹脂温度を120℃以上に保つ必要がある。しかし、このような樹脂温度では、樹脂の粘性が低すぎて二酸化炭素のような蒸気圧の極めて高い気体を樹脂中に大量に内包させることが極めて難しく、ダイから出た段階で破泡してしまう。このため低倍率の発泡体しか得られなかった。
また、商業的に入手可能な結晶性ポリ乳酸を、特許文献4〜6にある条件で、100℃以下の低温で押出そうとしても押出機のトルクが高くなりすぎ、二酸化炭素の供給圧も異常に高くなり、満足な結果が得られなかった。
しかし、本発明者らは、鋭意検討した結果、商業的に入手可能なポリ乳酸樹脂のうち特定の結晶化特性と溶融粘度を有するものを主たる成分とする樹脂組成物を用い、熱溶融状態で二酸化炭素を32℃以上7.4MPa以上の圧力で圧入しすることにより、ポリ乳酸樹脂には5重量%を超える二酸化炭素が導入可能になり、二酸化炭素の可塑効果によって120℃以下での溶融押出しが可能となることを見出した。さらに、口金近傍の圧力を7.4MPa以上に保つことによって、発泡温度が100℃以上であっても発泡時の膨張による結晶化と、大量の二酸化炭素の気化による冷却効果で一気に樹脂が冷却されて高倍率で安定した発泡体が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、100℃、72時間真空乾熱処理によって結晶化させた後の結晶融解エンタルピーが2J/g以上、35J/g以下であり、かつ190℃、60sec−1における溶融粘度が10〜10Pa・Sである結晶性ポリ乳酸を主たる成分とするポリ乳酸系樹脂組成物を用い、32℃以上の二酸化炭素を7.4MPa以上の圧力で該樹脂組成物100重量部あたり5重量部よりも多く圧入して溶融混練し、口金近傍の温度を100℃〜120℃、圧力を7.4MPa以上に保って押出し発泡することにより、二酸化炭素のみでかさ密度25〜125kg/m(発泡倍率10〜50倍)の高倍率の発泡体が得られる。
本発明により商業的に容易に入手可能な結晶性ポリ乳酸を主たる成分とする高倍率溶融押出発泡が可能な樹脂組成物の提供が可能となり、該樹脂組成物を環境負荷の少ない二酸化炭素のみを発泡剤として高倍率発泡させることができるようになった。
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂は商業的に入手可能な樹脂であればどれでも良いというわけではなく、以下の2つの物性を併せ持ったもので無ければならない。
(1)100℃、72時間真空乾熱処理によって結晶化させた後、示差走査熱量計(DSC)を用いて10℃/minの昇温速度で測定した90℃〜180℃の結晶融解エンタルピーの積算値が、2J/g以上、35J/g以下、好ましくは5J/g以上30J/g以下である結晶性を有する。
(2)190℃、60sec−1における溶融粘度が10〜10Pa・S、より好ましくは10〜10Pa・Sである。
上述(1)の条件による結晶融解エンタルピーΔHmが2J/g未満の場合、発泡後いかなる方法を以ってしても結晶化による耐熱性を付与することができない。また、ΔHmが35J/gを超える場合、口金出口温度近傍における温度、圧力の微妙な変動によって結晶化速度が変化し易く、製品物性が安定しない。このため、結晶化エンタルピーは大きければよいというものではなく、このような適正な範囲が存在するのである。
また、溶融粘度が上述(2)の範囲になく、極端に低すぎる場合は、たとえ本発明の(1)の条件を満足していても発泡時の溶融張力が不足し、5重量%を超える二酸化炭素の供給を行なっても発泡時に破泡して高倍率の発泡体は得られない。また、極端に高すぎる場合は、5%を超える二酸化炭素の供給が困難になったり、混練トルクが高くなりすぎて120℃を切る温度での押出し発泡が困難になるため、好ましくない。
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂は、上に述べた物性値を満たしている結晶性ポリ乳酸樹脂であれば特にその組成を問わない。
ポリ乳酸系樹脂の結晶性はL体/D体比率のみで結晶性が決まるわけではなく、本発明に用いるポリ乳酸系樹脂は上述の物性を満足していればL体/D体比率等のモノマー組成を問わず用いることができる。
一方、溶融粘度は分子量および分子量分布によって主に支配されるが、添加剤や挟雑物の影響を強く受けるので、必ずしも分子量や分子量分布で規定されるものではなく、ポリ乳酸系樹脂組成物としてその粘度範囲にあればよい。
また、一般に可塑剤として用いられる化合物群のうち、1種または2種以上をポリ乳酸系樹脂組成物中に少量添加すると発泡条件の変化の影響を受けにくくなり発泡条件幅を広く取ることができるようになるため、さらに安定した高倍率発泡体を得ることができる。
用いる可塑剤は、ポリ乳酸と相溶性で可塑効果をもつものであれば特に限定されないが、好ましくはカルボン酸エステル類、ジカルボン酸エステル類、ロジン誘導体、トリグリセライド類の1種または2種以上混合して用いることができ、具体的にはビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ビス(ブチルジグリコール)アジペート、メチルアセチルリシノレート、ジブチルセバケート、2−(2−メトキシ)エチルベンジルアジペート、ビス[2−(2−メトキシ)エチル]アジペート、ジベンジルアジペート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル−2−(2−ブトキシエトキシ)エチルアジペート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチルベンジルアジペート、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、デヒドロア
ビエチン酸、レボピマル酸、パラストリン酸、ピマル酸、イソピマル酸、サンダラコピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、ポリ(1,3−ブタンジオールアジペート)、トリアセチンなどが挙げられる。
これらの可塑剤の添加量はその可塑効果によって調整する必要があるが、通常可塑剤としての効果が得られる10%以上もの量を添加すると押出発泡時の溶融粘度(溶融張力)が顕著に低下し、高倍率の発泡体が得られない。このため、本発明における可塑剤の添加量は0.1%〜5%が好ましく、より好ましくは0.5%〜3%である。
その他、本発明のポリ乳酸系樹脂には該ポリ乳酸系樹脂の物性値を大きく損なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、発泡助剤、核剤、結晶化促進剤などの公知の添加剤を、本発明の要件と特性を損なわない範囲で配合して樹脂組成物とすることができる。
酸化防止剤としては、P−tブチルヒドロキシトルエン、P−tブチルヒドロキシアニソール等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤が挙げられる。
熱安定剤としては、トリフェニルフホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等;紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、P−tブチルフェニルサリシレートなどが挙げられる。
発泡助剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸等のステアリン酸系化合物、モンタン酸カルシウム、モンタン酸亜鉛、モンタン酸バリウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸アルミニウム、モンタン酸等のモンタン酸系化合物、その他パラフィン、ステアロアミド等が挙げられる。
帯電防止剤としては、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルホネート等が挙げられる。
難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等のハロゲン系難燃剤のほか、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどのリン酸系難燃剤やシリコン系難燃剤が挙げられるが、環境負荷と効果の点でリン酸系難燃剤が好ましく用いられる。
発泡核剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、二酸化チタン、タルク、ゼオライト、マイカ、アルミナ、ベントナイト、カオリン等があるが、特にタルクは結晶化促進剤としても働くことが知られている。
結晶促進剤としては、上述のタルク以外にエチレンジアミンジステアリン酸アミド等のアミド系化合物などが挙げられ、発泡時の結晶化速度調整に有効である。
本発明のポリ乳酸系樹脂組成物からなる発泡体を得るための装置としては単軸押出装置、2軸押出装置、押出装置2台を連結したタンデム型押出装置が挙げられるが、発泡条件を細かく設定することが可能なタンデム型押出装置が好ましく用いられる。
特に本発明では7.4MPa以上、場合によっては20MPaを超える圧力で二酸化炭素を樹脂に圧入するので、相応の体圧性能を備えた装置が必要であり、溶融押出装置に二酸化炭素を7.4MPa以上好ましくは20MPaを超える圧力で導入することが可能な
装置が必要である。
このような要件を備えた押出し発泡装置としては(株)カワタのMCF押出成形システム(φ35−φ50タンデム押出機とSCF定量供給装置;二酸化炭素フィーダー)などが挙げられる。
また、本発明のポリ乳酸系コンパウンドは、あらかじめ混合してペレット化しても良いし、押出し発泡をする際にコンパウンドしてそのまま押出しても良いが、製造コスト面を考慮してタンデム型押出機の1段目の押出機で必要な成分を充分に溶融コンパウンドしたあと二酸化炭素を導入し、2段目の押出機で押出し温度まで冷却して発泡させる方法が一般的である。
以下、タンデム型押出機を例にとって説明するが、要点は二酸化炭素の注入圧力・温度と二酸化炭素導入量、および押出し発泡時のダイ近傍温度と圧力であり、単軸型押出機を用いる場合も同様である。
タンデム型押出機は単軸×単軸、二軸×単軸の組合せがあるが、添加剤の混和性を考慮して決定すればよく、混和性に問題が無ければ設備コスト面から単軸×単軸を選択する場合が多い。
タンデム型押出機の1段目のバレル温度は、用いる乳酸形樹脂が十分溶融する温度で、必要な成分が充分にコンパウンドできる温度であれば特に限定されないが、ポリ乳酸の熱劣化が起こらない250℃以下の温度が好ましく、押出機にかかる負荷と2段目での冷却効率を考慮して、通常は用いるポリ乳酸の融点〜融点+50℃の範囲に設定する。
二酸化炭素の注入温度・圧力は超臨界〜亜臨界の状態を保って5%を超える二酸化炭素を樹脂中に供給することができれば特に限定されないが、二酸化炭素の超臨界域である7.4MPa以上、32℃以上が好ましく、更に好ましくは10MPa以上、40℃以上の二酸化炭素を注入する。
2段目の押出機では、1段目の押出機を出たコンパウンドが2段目出口のダイまでに必要な温度まで充分に冷える様にバレル温度を設定してやればよい。
発泡に際しては、樹脂温度が高すぎると樹脂の伸張粘度低くなりすぎてが二酸化炭素の膨張圧に負けて破泡してしまい、低すぎるとトルクが高くなりすぎて安定な生産が難しくなる為、100℃〜120℃が好ましく、比較的冷却効率の悪いブロック体等を製造する場合は100℃〜110℃がさらに好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を説明する。
<結晶融解エンタルピーの測定>
ポリ乳酸系樹脂組成物の主たる成分である各種ポリ乳酸樹脂の結晶融解エンタルピーの測定は、以下の方法で行なった。
入手したポリ乳酸樹脂を液体窒素で冷却粉砕して粉末化し、100℃の恒温器で真空中、72時間静置結晶化させて、測定用試料とした。
その後、該測定用試料をPerkin ElmerDSC7を用いて窒素雰囲気下、0℃〜200℃まで10℃/minにて昇温して、ガラス転移点(Tg)、融点(Tm)および結晶融解エンタルピー(ΔHm)を90℃〜180℃の積算値として求めた。
<溶融粘度>
溶融粘度は、東洋精機製作所製「キャピログラフ1C−PDM−C」を用いて測定温度190℃、剪断速度60sec−1で測定した。
<ポリ乳酸樹脂>
ポリ乳酸樹脂としては、商業的に入手可能な樹脂5点(A〜E:いずれもCargill Dow LLCから入手)を用意した。また、これとは別に以下に示す方法で、非晶性ポリ乳酸樹脂Fを調製して用いた。
<非晶性ポリ乳酸樹脂Fの調製>
L−ラクチド240gおよびメソラクチド160g、オクタン酸第一スズ0.04gと、ラウリルアルコール0.12gを、攪拌機を備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封入し、真空で2時間脱気した。窒素ガスで置換した後、200℃/1333Pa(10mmHg)で2時間加熱攪拌した。反応終了後、下部取り出し口からポリ乳酸の溶融物を抜き出し、空冷し、ペレタイザーにてカットした。得られたポリ乳酸 は重量平均分子量(Mw)15万であった。
各ポリ乳酸樹脂のTg、Tm、ΔHmを表1に示す。
Figure 2005162804
<実施例1〜6、比較例1〜3>
(株)カワタのMCF押出成形システム(φ35−φ50タンデム押出機とSCF定量供給装置;二酸化炭素フィーダー)を用い、樹脂Cについて表2のごとく発泡条件を変化させて発泡させた。樹脂はいったん35mmφ押出機で溶融し、溶融状態で二酸化炭素を所定圧で所定量圧入した後、50mmφ押出機で徐冷して所定温度まで樹脂温度を下げ、所定圧でリングダイから押出した。
Figure 2005162804
実施例1〜6から明らかなように、溶融したポリ乳酸樹脂Cにポリ乳酸樹脂二酸化炭素を32℃以上、7.4MPa以上の圧力で樹脂組成物100重量部に対して5重量部よりも多く圧入添加し、ダイ近傍の樹脂温度100℃以上120℃以下、出口圧7.4MPa以上で押出すことによって発泡倍率10倍以上の発泡体を得ることが可能である。
比較例1〜3から明らかなように二酸化炭素のフィード量が5%以下では発泡倍率が10倍以下であり、5%を超えるフィード量であってもダイ近傍温度が120℃以上の場合、破泡等による二酸化炭素の抜けが激しく、発泡倍率は上がらない。
また、表には示していないが、二酸化炭素供給圧が7.4MPa以下の低圧では充分な二酸化炭素の溶解量が得られず、ダイにおける樹脂圧が7.4MPa以下である場合は二酸化炭素とポリ乳酸樹脂が相分離してしまい、不均一で低倍の発泡体しかえられなかった。<実施例7〜10、比較例4〜5>
実施例6と同条件で樹脂A〜Fを用いて発泡させた。その結果を表3に示す。
Figure 2005162804
実施例7〜10から明らかなように、ΔHが35J/g以下の樹脂を用いた場合には概ね10倍を超える発泡倍率が得られ、35J/gを超える場合、発泡に伴なう結晶化が早く、樹脂単独では高倍率発泡体は得られない。また、非晶性ポリ乳酸を用いた場合は、発泡後の収縮が激しく、結果的に10倍を超える発泡体を得ることは難しい。

Claims (5)

  1. 100℃、72時間真空乾熱処理によって結晶化させた後の結晶融解エンタルピー(ΔHm)が2J/g以上、35J/g以下かつ、190℃、60sec−1における溶融粘度が10〜10Pa・Sである結晶性ポリ乳酸を主たる成分とするポリ乳酸系樹脂組成物。
    但し、結晶融解エンタルピー(ΔHm)は示差走査熱量計(DSC)で室温から200℃まで10℃/minで昇温した第1回走査の90℃〜180℃の積分値とする。
  2. 100℃、72時間真空乾熱処理によって結晶化させた後の結晶融解エンタルピー(ΔHm)が5J/g以上、30J/g以下かつ、190℃、60sec−1における溶融粘度が10〜10Pa・Sである結晶性ポリ乳酸を主たる成分とするポリ乳酸系樹脂組成物。
  3. ポリ乳酸系樹脂組成物がトリグリセライド、カルボン酸またはジカルボン酸のエステル、ロジン誘導体のうち、少なくとも1種を構成成分とする可塑剤を0.1〜5%含んでいる、請求項1または請求項2記載の樹脂組成物及。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の樹脂組成物からなる、かさ密度125kg/m以下の発泡体。
  5. ポリ乳酸系樹脂組成物を溶融し、二酸化炭素を32℃以上、7.4MPa以上の圧力で樹脂組成物100重量部に対して5重量部よりも多く圧入添加し、ダイ近傍の樹脂温度100℃以上120℃以下、出口圧7.4MPa以上で押出すことを特徴とする、請求項4記載のポリ乳酸系樹脂組成物発泡体の製造方法。
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