JP4928920B2 - 型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微細な気泡を有し、且つ、型内発泡成形によって外観、耐熱性及び機械的強度に優れたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
ポリ乳酸系樹脂は、天然に存在する乳酸を重合されて得られた樹脂であり、自然界に存在する微生物によって分解可能な生分解性樹脂であると共に、常温での機械的特性についても優れていることから注目を集めている。
ポリ乳酸系樹脂は、一般に、D−乳酸及び/又はL−乳酸を重合させるか、或いは、L−ラクチド、D−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群から選ばれた一又は二以上のラクチドを開環重合させることによって製造されている。
そして、得られるポリ乳酸系樹脂は、該ポリ乳酸系樹脂中に含有されるD体成分或いはL体成分の含有比率によって物性、特に結晶性が変化し、具体的には、D体成分或いはL体成分のうちの少ない方の光学異性体の割合が多くなるにしたがってポリ乳酸系樹脂の結晶性が低下し、やがて非結晶性となる。
又、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、水蒸気などの熱媒体によってポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱して軟化させると共に発泡させ、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡圧によって発泡粒子同士を融着一体化させて所望形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造する方法、所謂、型内発泡成形が提案されている。
具体的には、特許文献1には、L体とD体のモル比が95/5〜60/40、又は40/60〜5/95であるポリ乳酸にイソシアネート基≧2.0当量/モルのポリイソシアネート化合物を該ポリ乳酸に対して0.5〜5重量%配合し反応させた樹脂組成物を所定条件で熟成させてなる樹脂組成物が提案され、そして、上記樹脂組成物から粒子を製造し、この粒子に発泡剤及び発泡助剤を含浸させ、得られた発泡性粒子を予備発泡させて発泡粒子を製造し、この発泡粒子を金型に充填して発泡させて所望形状を有する成形体を成形することが開示されている。
しかしながら、上記ポリ乳酸系樹脂は、そのL体成分又はD体成分のうちの少ない方の光学異性体成分のモル比が5モル%以上であり、ポリ乳酸系樹脂は結晶性が低いか或いは非結晶性であって耐熱性に劣り、得られる成形体の耐熱性は充分ではなく、せいぜい50℃程度であって、実用上の使用には問題点があった。
そこで、L体又はD体のうちの少ない方の光学異性体のモル比が5モル未満である結晶性の高いポリ乳酸系樹脂を用いることが考えられるが、粒子に発泡剤を含浸させて発泡性粒子とし、この発泡性粒子を加熱して予備発泡させていることから、この発泡過程で加えられる熱によってポリ乳酸系樹脂の結晶化が進行してしまい、結晶化度の高い発泡粒子となり、その結果、得られる発泡粒子の融着性が低下してしまい、このような発泡粒子を用いて得られる成形体は、融着性が悪くて機械的強度が低いといった問題点があった。
又、上記方法は、気泡が比較的微細な発泡粒子を得ることができるものの、樹脂組成物から粒子を製造する工程と、この粒子に発泡剤及び発泡助剤を含浸させ、得られた発泡性粒子を発泡させる工程とを必要とし、生産性に劣るといった問題点があった。
この点に付き、押出発泡法は一段階の工程で発泡粒子を製造することができる点において生産性に優れているものの、ポリ乳酸系樹脂の押出発泡が難しく、得られる発泡粒子の気泡を微細にすることができないといった問題点を有していた。
特開2000−17038号公報
本発明は、微細な気泡を有し、且つ、型内発泡成形によって外観、耐熱性及び機械的強度に優れたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法を提供する。
本発明の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法は、ポリ乳酸系樹脂100重量部とポリカーボネート系樹脂0.5〜25重量部とからなるポリ乳酸系樹脂組成物を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練し押出発泡して押出発泡体を製造し、この押出発泡体を粒子状に切断して発泡粒子を製造する型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法であって、上記ポリ乳酸系樹脂が、その構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が5モル%未満であるか、或いは、構成モノマー成分としてD体又はL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを含有していることを特徴とする。以下の説明において、「型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子」を単に「ポリ乳酸系樹脂発泡粒子」と表現することがある。
本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂組成物を構成するポリ乳酸系樹脂は、一般に市販されているポリ乳酸系樹脂を用いることができ、具体的には、ポリ乳酸系樹脂は下記化1で示され、D−乳酸及びL−乳酸をモノマーとして共重合させるか、D−乳酸又はL−乳酸の何れか一方をモノマーとして重合させるか、或いは、D−ラクチド、L−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドを開環重合させることによって得ることができ、何れのポリ乳酸系樹脂であってもよい。
Figure 0004928920

そして、ポリ乳酸系樹脂を製造するに際して、モノマーとしてD体とL体とを併用した場合においてD体若しくはL体のうちの少ない方の光学異性体の割合が5モル%未満であるとき、又は、モノマーとしてD体若しくはL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを用いた場合、即ち、上記ポリ乳酸系樹脂が、その構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が5モル%未満であるか、或いは、構成モノマー成分としてD体又はL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを含有している場合は、得られるポリ乳酸系樹脂は、その結晶性が高く、融点が高くなる一方、モノマーとしてD体とL体とを併用した場合においてD体又はL体のうちの少ない方の割合が5モル%以上である時は、少ない方の光学異性体が増加するにしたがって、得られるポリ乳酸系樹脂は、その結晶性が低くなり、やがて非結晶となる。
従って、本発明では、構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が5モル%未満であるポリ乳酸系樹脂か、或いは、構成モノマー成分としてD体又はL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを含有しているポリ乳酸系樹脂を用いることによって、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の耐熱性を高いものとしている。
更に、D体とL体をモノマーとして併用して重合させて得られたポリ乳酸系樹脂としては、D体又はL体のうちの何れか少ない方の光学異性体の割合が4モル%未満であるモノマーを重合させて得られたポリ乳酸系樹脂が好ましく、D体又はL体のうちの何れか少ない方の光学異性体の割合が3モル%未満であるモノマーを重合させて得られたポリ乳酸系樹脂がより好ましく、D体又はL体のうちの何れか少ない方の光学異性体の割合が2モル%未満であるモノマーを重合させて得られたポリ乳酸系樹脂が特に好ましい。
即ち、構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が4モル%未満であるポリ乳酸系樹脂が好ましく、構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が3モル%未満であるポリ乳酸系樹脂がより好ましく、構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が2モル%未満であるポリ乳酸系樹脂が更に好ましい。
特に、構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が2モル%未満であるポリ乳酸系樹脂を用いた型内発泡成形用ポリスチレン系樹脂発泡粒子を使用し型内発泡成形して得られたポリスチレン系樹脂発泡成形体は、150℃程度の高温においても優れた寸法安定性を発揮し優れた耐熱性を有する。
そして、構成モノマー成分としてD体及びL体を含有するポリ乳酸系樹脂は、D体又はL体のうちの何れか少ない方の光学異性体の割合が少なくなればなる程、ポリ乳酸系樹脂は、その結晶性のみならず融点も上昇する。よって、発泡粒子を金型内に充填して発泡させて得られる発泡成形体の耐熱性も向上し、発泡成形体は高い温度であってもその形態を維持することができ、発泡成形体を金型から高い温度のまま取り出すことが可能となって発泡成形体の金型内における冷却時間が短縮され、発泡成形体の生産効率を向上させることもできる。
ここで、ポリ乳酸系樹脂中におけるD体又はL体の含有量は以下の方法によって測定することができる。先ず、ポリ乳酸系樹脂をクロロホルムに溶解させて、ポリ乳酸系樹脂の濃度が10mg/ミリリットルのクロロホルム溶液を作製する。次に、旋光計を用いて25℃にて波長589nmの偏光をクロロホルム溶液に照射して、クロロホルム溶液の比旋光度を測定する。
一方、モノマーとしてD体のみを用いて重合して得られたポリ乳酸系樹脂、或いは、モノマーとしてL体のみを用いて重合して得られたポリ乳酸系樹脂について、上述と同様の要領で比旋光度を測定してもよいが、この比旋光度は、通常、既に測定されており、D体のみを用いて重合して得られたポリ乳酸系樹脂は+156°、モノマーとしてL体のみを用いて重合して得られたポリ乳酸系樹脂は−156°とされている。
そして、下記式に基づいてポリ乳酸系樹脂中におけるD体成分又はL体成分の量を算出することができる。
D体成分量(モル%)=100×{クロロホルム溶液の比旋光度−(−156)}
/{156−(−156)}
L体成分量(モル%)=100−(D体成分量)
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は押出発泡によって製造されることから、ポリ乳酸系樹脂としては、融点(mp)と、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとが下記式1を満たすことが好ましい。
(ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃)
≦(交点における温度T)≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
ここで、動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率は、粘弾性において弾性的な性質を示す指標であって、発泡過程における気泡膜の弾性の大小を示す指標であり、発泡過程において、気泡膜の収縮力に抗して気泡を膨張させるのに必要な発泡圧の大小を示す指標である。
即ち、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率が低いと、気泡膜が伸長された場合、気泡膜が伸長力に抗して収縮しようとする力が小さく、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造に必要とする発泡圧によって発泡膜が容易に伸長してしまう結果、気泡膜が過度に伸長してしまい破泡を生じる一方、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率が高いと、気泡膜に伸長力が加わった場合、伸長に抗する気泡膜の収縮力が大きく、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造に必要とする発泡圧で一旦、気泡が膨張したとしても、温度低下などに起因する経時的な発泡圧の低下に伴って気泡が収縮してしまう。
又、動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率は、粘弾性において粘性的な性質を示す指標であって、発泡過程における気泡膜の粘性を示す指標であり、発泡過程において、気泡膜をどの程度まで破れることなく伸長させることができるかの許容範囲を示す指標であると同時に、発泡圧によって所望大きさに気泡を膨張させた後、この膨張した気泡をその大きさに維持する能力を示す指標でもある。
即ち、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率が低いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造に必要とする発泡圧によって気泡膜が伸長された場合、気泡膜が容易に破れてしまう一方、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率が高いと、発泡力が気泡膜によって熱エネルギーに変換されてしまい、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造時に気泡膜を円滑に伸長させることが難しくなり、気泡を膨張させることが困難になる。
このように、ポリ乳酸系樹脂を発泡させてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造するにあたっては、発泡過程において、ポリ乳酸系樹脂は、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得るために必要とされる発泡圧によって気泡膜が破れることなく適度に伸長するための弾性力、即ち、貯蔵弾性率を有している必要があると共に、上記発泡圧によって気泡膜が破れることなく円滑に伸長し、所望大きさに膨張した気泡をその大きさに発泡圧の経時的な減少にかかわらず維持しておくための粘性力、即ち、損失弾性率を有していることが好ましい。
つまり、押出発泡工程において、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率及び損失弾性率の双方が押出発泡に適した値を有していることが好ましく、このような押出発泡に適した貯蔵弾性率及び損失弾性率を押出発泡工程においてポリ乳酸系樹脂に付与するために、ポリ乳酸系樹脂は、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが、下記式1を満たすことが好ましく、下記式2を満たすことがより好ましく、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率及び損失弾性率をそれらのバランスをとりながら押出発泡に適したものとして押出発泡性を良好なものとし、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を安定的に製造することができる。
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃〕
≦交点における温度T≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−35℃〕
≦交点における温度T≦〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−10℃〕
・・・式2
更に、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが上記式1を満たすように調整するのが好ましい理由を下記に詳述する。
先ず、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも40℃を越えて低い場合には、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の損失弾性率が貯蔵弾性率に比して大き過ぎるために、損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまう。
そこで、ポリ乳酸系樹脂の損失弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の粘性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の弾性力にとっては発泡力が大き過ぎてしまい、気泡膜が破れて破泡を生じて良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることが困難となり、逆に、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の弾性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の粘性力にとっては発泡力が小さく、ポリ乳酸系樹脂が発泡し難くなり、やはり良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることが困難となる。
又、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも高いと、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率が損失弾性率に比して大き過ぎるために、上述と同様に損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまう。
ここで、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、JIS K7121:1987に準拠してポリ乳酸系樹脂の示差走査熱量分析を行い、得られたDSC曲線における融解ピークの温度をポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とする。なお、融解ピークの温度が複数個ある場合には、最も高い温度とする。
又、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは下記の要領で測定されたものをいう。即ち、ポリ乳酸系樹脂を9.33×104 Paの減圧下にて80℃で3時間に亘って乾燥する。このポリ乳酸系樹脂をその融点よりも40〜50℃だけ高い温度に加熱した測定プレート上に載置して窒素雰囲気下にて5分間に亘って放置し溶融させる。
次に、直径が25mmの平面円形状の押圧板を用意し、この押圧板を用いて測定プレート上のポリ乳酸系樹脂を押圧板と測定プレートとの対向面間の間隔が1mmとなるまで上下方向に押圧する。そして、押圧板の外周縁からはみ出したポリ乳酸系樹脂を除去した後、5分間に亘って放置する。
しかる後、歪み5%、周波数1rad/秒、降温速度2℃/分、測定間隔30秒の条件下にて、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定を行って貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定する。次に、横軸を温度とし、縦軸を貯蔵弾性率及び損失弾性率として、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描く。なお、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描くにあたっては、測定温度を基準として互いに隣接する測定値同士を直線で結ぶ。
そして、得られた貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tを上記グラフから読み取ることによって得ることができる。なお、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線とが複数箇所において互いに交差する場合は、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との複数の交点における温度のうち最も高い温度を、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとする。
又、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは、Reologica Instruments A.B 社から商品名「DynAlyser DAR-100」 にて市販されている動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
そして、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが上記式1を満たすように調整する方法としては、ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量が高くなるにしたがって、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tが高くなることから、ポリ乳酸系樹脂の重合時に反応時間或いは反応温度を調整することによって、得られるポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を調整する方法、押出発泡前に或いは押出発泡時にポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を増粘剤や架橋剤を用いて調整する方法が挙げられる。
なお、ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を増粘剤や架橋剤を用いて調整する場合には、式1、式2の適用にあたっては、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造する要領において発泡剤を用いないこと以外は同様の要領にて非発泡ポリ乳酸系樹脂粒子を作製し、この非発泡ポリ乳酸系樹脂粒子を用いて動的粘弾性測定を行えばよく、ポリ乳酸系樹脂の融点も非発泡ポリ乳酸系樹脂粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂組成物の融点(mp)を測定すればよい。
又、本発明のポリ乳酸系樹脂発泡粒子では、上記ポリ乳酸系樹脂100重量部に対してポリカーボネート系樹脂0.5〜25重量部を添加してなるポリ乳酸系樹脂組成物を押出発泡させてなる。
本発明において用いられるポリカーボネート系樹脂とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又は、ジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる芳香族ポリカーボネート系樹脂であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノール−A)から製造されたポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテルなどのジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホンなどのジヒドロキシジアリールスルホン類などが挙げられる。
このように、ポリ乳酸系樹脂を押出発泡させるにあたって、ポリカーボネート系樹脂をポリ乳酸系樹脂に対して所定量だけ含有させることによって、ポリ乳酸系樹脂の結晶化度の上昇を抑えつつ、ポリカーボネート系樹脂を発泡核剤として作用させて、ポリ乳酸系樹脂組成物を押出発泡させて得られる押出発泡体、ひいては、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の気泡の微細化が図られる。
更に、ポリ乳酸系樹脂組成物の押出発泡時において、ポリカーボネート系樹脂は高い溶融粘度を有しており、この高い溶融粘度を維持したまま押出発泡させることによって、ポリ乳酸系樹脂及びポリカーボネート系樹脂からなるポリ乳酸系樹脂組成物を押出発泡に適した溶融粘度に調整することができ、その結果、ポリ乳酸系樹脂組成物の押出発泡時における破泡を防止して押出発泡性を向上させており、得られる押出発泡体、ひいては、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率を低く抑えることができる。
従って、ポリ乳酸系樹脂及びポリカーボネート系樹脂からなるポリ乳酸系樹脂組成物を押出発泡させてなる押出発泡体を粒子状に切断してなるポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、ポリ乳酸系樹脂の結晶化度が抑えられており、型内発泡成形において優れた熱融着性を発揮すると共に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は微細な気泡を有しており独立気泡率が高く(連続気泡率が低い)、型内発泡成形においてポリ乳酸系樹脂発泡粒子は高い二次発泡力を発揮し、よって、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、型内発泡成形にて互いに強固に熱融着一体化して優れた外観及び機械的強度を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。
ここで、ポリ乳酸系樹脂組成物中におけるポリカーボネート系樹脂の含有量は、少ないと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の気泡の微細化が不充分となったり、或いは、ポリ乳酸系樹脂組成物の押出発泡時に破泡が発生し易くなって、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率が上昇する一方、多いと、ポリカーボネート系樹脂が僅かに有する結晶核剤としての作用が大きくなり、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子を構成するポリ乳酸系樹脂の結晶化度が高くなり熱融着性が低下し、良好なポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができないので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.5〜25重量部に限定され、1.5〜15重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。
又、ポリカーボネート系樹脂のメルトフローレイトは、小さいと、ポリ乳酸系樹脂組成物の溶融粘度が高くなり、ポリ乳酸系樹脂組成物の押出発泡性が低下する一方、大きいと、ポリ乳酸系樹脂組成物の押出発泡時における溶融粘度が低くなり、ポリ乳酸系樹脂組成物の押出発泡時における破泡が発生し易くなるので、0.5〜10g/10分が好ましく、1〜9g/10分がより好ましく、2〜8g/10分が特に好ましい。なお、ポリカーボネート系樹脂のメルトフローレイトは、ASTM−D1238に準拠して300℃にて測定したものをいう。
次に、上記型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法について説明する。先ず、ポリ乳酸系樹脂とポリカーボネート系樹脂とからなるポリ乳酸系樹脂組成物を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練した後、押出機の先端に取り付けた金型から押出発泡させる。この押出発泡させて得られた押出発泡体の形態は、特に限定されず、ストランド状、シート状などが挙げられるが、ポリスチレン系樹脂発泡粒子を効率良く得ることができるので、ストランド状が好ましい。
なお、ポリ乳酸系樹脂とポリカーボネート系樹脂とを押出機に供給する方法としては、ポリ乳酸系樹脂とポリカーボネート系樹脂とを予め混合しておき、この混合物を押出機に供給する方法、ポリ乳酸系樹脂とポリカーボネート系樹脂とを別々の供給フィード部から押出機に供給する方法、ポリ乳酸系樹脂とポリカーボネート系樹脂とのマスターバッチを作成し、このマスターバッチを押出機に供給する方法などが挙げられる。
なお、押出機としては、従来から汎用されている押出機であれば、特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機、複数の押出機を連結させたタンデム型の押出機が挙げられる。
又、上記発泡剤としては、従来から汎用されているものが用いられ、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどの化学発泡剤;プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタンなどのフロン、二酸化炭素、窒素などの物理発泡剤などが挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましい。
そして、押出機に供給される発泡剤量としては、少ないと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を所望発泡倍率まで発泡させることができないことがある一方、多いと、発泡剤が可塑剤として作用することから溶融状態のポリ乳酸系樹脂の粘弾性が低下し過ぎて発泡性が低下し良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができなかったり或いはポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡倍率が高過ぎる場合があるので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜4重量部がより好ましく、0.3〜3重量部が特に好ましい。
なお、押出機には気泡調整剤が添加されることが好ましく、ポリカーボネート系樹脂と気泡調整剤とを併用することによって、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の気泡の微細化をより図ることができる。しかしながら、気泡調整剤の多くは、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶核剤として作用するため、ポリ乳酸系樹脂の結晶化を促進し難い気泡調整剤を少量用いることが好ましく、このような気泡調整剤としては、ポリテトラフルオロエチレン粉末、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
又、押出機に供給される気泡調整剤の量としては、少ないと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の気泡が粗大となり、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の外観が低下することがある一方、多いと、ポリ乳酸系樹脂を押出発泡させる際に破泡を生じてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の独立気泡率が低下することがあるので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好ましく、0.1〜1重量部が特に好ましい。
押出機に取り付ける金型としては、特に限定されないが、ポリ乳酸系樹脂を押出発泡させて均一微細な気泡を形成できる金型が好ましく、このような金型としては、ノズル金型が好ましく、ノズルを複数有するマルチノズル金型がより好ましい。
マルチノズル金型のノズルの出口直径は、小さいと、押出圧力が高くなりすぎて押出発泡が困難となることがある一方、大きいと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の径が大きくなって金型への充填性が低下するので、0.2〜2mmが好ましく、0.3〜1.6mmがより好ましく、0.4〜1.2mmが特に好ましい。
そして、ノズル金型のノズルの口金出口部分におけるポリ乳酸系樹脂組成物の剪断速度は、小さいと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡倍率が低下し或いはポリ乳酸系樹脂発泡粒子の気泡が粗大となることがある一方、大きいと、フラクチャーが発生して安定的に押出発泡することができないことがあるので、1000〜30000sec-1が好ましく、2000〜25000sec-1がより好ましく、3000〜20000sec-1が特に好ましい。
なお、ノズル金型のノズルの口金出口部分における剪断速度は、下記式に基づいて算出されたものをいう。
剪断速度(sec-1)=4×Q/(πr3
但し、Qは、ポリ乳酸系樹脂組成物の体積押出量(cm3 /sec)であり(Qを質量押出量(g/sec)から算出する場合は、ポリ乳酸系樹脂組成物の密度は1.0g/cm3 とする)、rは、ノズルの半径(cm)である。
又、フラクチャーを低減させるために、ノズル金型のランド部の長さは、ノズル金型のノズルの出口直径の4〜30倍が好ましく、ノズル金型のノズルの出口直径の5〜20倍がより好ましい。これは、ノズル金型のランド部の長さがノズル金型のノズルの出口直径に比較して小さいと、フラクチャーが発生して安定的に押出発泡することができないことがある一方、ノズル金型のランド部の長さがノズル金型のノズルの出口直径に比較して大きいと、ノズル金型に大きな圧力が加わり過ぎて押出発泡ができない場合があるからである。
更に、押出機の先端に取り付けた金型からポリ乳酸系樹脂組成物を押出発泡させる際のポリ乳酸系樹脂組成物の樹脂温度は、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとの間において下記式3を満たすことが好ましく、下記式4を満たすことがより好ましい。
(貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T+40℃)≦樹脂温度
≦(貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T+90℃)・・・式3
(貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T+50℃)≦樹脂温度
≦(貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T+80℃)・・・式4
これは、押出機に取り付けた金型からポリ乳酸系樹脂組成物を押出発泡させる際のポリ乳酸系樹脂組成物の樹脂温度が低いと、フラクチャーが発生して得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の外観性が低下し或いは押出負荷が大きくなり過ぎて押出機からの押出発泡が困難となることがある一方、樹脂温度が高いと、ポリ乳酸系樹脂組成物の溶融粘度が低くなり過ぎて良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができないことがあるからである。
そして、押出機から押出発泡された押出発泡体を冷却して、押出発泡体の結晶化が進行するのを抑制し、この押出発泡体を粒子状に切断して得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度が好ましくは30%未満となるように、より好ましくは3〜28%となるように、特に好ましくは5〜25%となるように調整する。
ここで、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度は、示差走査熱量計(DSC)を用いてJIS K7121に記載の測定方法に準拠して10℃/分の昇温速度にて昇温しながら測定された1mg当たりの冷結晶化熱量及び1mg当たりの融解熱量に基づいて下記式により算出することができる。
Figure 0004928920
このように、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度を30%未満に調整することによって、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の融着性を確保し、型内発泡成形時、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させて得られる発泡粒子同士の融着性を良好なものとすることができる。又、型内発泡成形途上において、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度を上昇させて、ポリ乳酸系樹脂の耐熱性を向上させることができ、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、優れた融着性及び耐熱性を有している。
そして、押出発泡体の冷却方法としては、押出発泡された押出発泡体の結晶化度の上昇を速やかに停止できる方法が好ましく、具体的には、押出機から押出発泡された押出発泡体を水面に浮かせて冷却する方法、押出機から押出発泡された押出発泡体に水などを霧状に吹き付ける方法、低温に温度調節された冷却板上に、押出機から押出発泡された押出発泡体を接触させることによって冷却させる方法、押出機から押出発泡された押出発泡体に冷風などの冷却された気体を吹き付ける方法などが挙げられる。なお、押出発泡体を水面に浮かせて冷却する場合は、水温は0〜45℃に調整することが好ましい。
次に、上述のようにして冷却された押出発泡体を粒子状に切断することによってポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができる。押出発泡体を粒子状に切断する切断機としては、ペレタイザーやホットカット機などが挙げられ、又、切断機の切断方法としては、ドラムカッター式やファンカッター式があるが、押出発泡体の切断時に押出発泡体に割れや欠けが発生しにくいことから、ファンカッター式の切断方法を用いることが好ましい。なお、上記では、押出発泡体の冷却後に、押出発泡体を切断する場合を説明したが、押出機から押出発泡させると同時に押出発泡体を切断して粒子状とした後に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を冷却するようにしてもよい。
このようにして得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度は、小さいと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率が上昇して、型内発泡成形における発泡時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子に必要な発泡力を付与することができない虞れがある一方、大きいと、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の気泡が不均一となって、型内発泡成形時におけるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡性が不充分となることがあるので、0.03〜0.5g/cm3 が好ましく、0.05〜0.4g/cm3 がより好ましく、0.07〜0.3g/cm3 が特に好ましい。
そして、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率は、高いと、型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子が殆ど発泡せず、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の融着性が低くなって、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の機械的強度が低下することがあるので、40%以下が好ましく、35%以下がより好ましく、30%以下が特に好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率の調整は、押出機からのポリ乳酸系樹脂組成物の押出発泡温度、押出機への発泡剤の供給量などを調整することによって行われる。
ここで、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率は下記の要領で測定される。先ず、体積測定空気比較式比重計の試料カップを用意し、この試料カップの80%程度を満たす量のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の全重量A(g)を測定する。次に、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子全体の体積B(cm3 )を比重計を用いて1−1/2−1気圧法により測定する。なお、体積測定空気比較式比重計は、例えば、東京サイエンス社から商品名「1000型」にて市販されている。
続いて、金網製の容器を用意し、この金網製の容器を水中に浸漬し、この水中に浸漬した状態における金網製の容器の重量C(g)を測定する。次に、この金網製の容器内に上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を全量入れた上で、この金網製の容器を水中に浸漬し、水中に浸漬した状態における金網製の容器とこの金網製容器に入れたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の全量とを併せた重量D(g)を測定する。
そして、下記式に基づいてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の見掛け体積E(cm3 )を算出し、この見掛け体積Eと上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子全体の体積B(cm3 )に基づいて下記式によりポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率を算出することができる。なお、水1gの体積を1cm3 とした。
E=A+(C−D)
連続気泡率(%)=100×(E−B)/E
又、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の粒径は、小さいと、型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡性が低下することがある一方、大きいと、型内発泡成形時に金型内へのポリ乳酸系樹脂発泡粒子の充填性が低下することがあるので、1.0〜5.0mmが好ましい。そして、押出発泡体がストランド状であり、このストランド状の押出発泡体をその長さ方向に所定間隔毎に切断してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造した場合、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子における切断面に直交する方向の長さは、5mm以下が好ましい。
ここで、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の粒径は、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の直径を直接、ノギスを用いて測定することができる。なお、押出発泡体がストランド状であり、このストランド状の押出発泡体をその長さ方向に所定間隔毎に切断してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造した場合には、各ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の切断面における最も長い直径(長径)及び最も短い直径(短径)を測定すると共に、各ポリ乳酸系樹脂発泡粒子における切断面に直交する方向の長さを測定し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の長径、短径及び長さの相加平均値をポリ乳酸系樹脂発泡粒子の粒径とする。
このようにして得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型のキャビティ内に充填して加熱し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させることによって、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させて得られる発泡粒子同士をそれらの発泡圧によって互いに融着一体化させると共にポリ乳酸系樹脂の結晶化度を上昇させて、融着性及び耐熱性に優れた所望形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。
なお、金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子の加熱媒体としては、特に限定されず、水蒸気の他に、熱風などが挙げられる。水蒸気の圧力は、低いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度を充分に上昇させることができず、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の耐熱性が低下することがある一方、高いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の温度上昇が急激なものとなり、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度の上昇がポリ乳酸系樹脂発泡粒子の溶融速度に追いつかず、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子が溶けてしまい、発泡圧が不足して、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させて得られる発泡粒子同士の融着性が低下し或いは得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体に収縮が生じることがあるので、適宜調整される。
又、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体の融着率は、40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が特に好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の融着率は、下記の要領で測定されたものをいう。先ず、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体を折り曲げて所定箇所から切断する。そして、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の切断面に露出している発泡粒子の全粒子数N1 を目視により数えると共に、材料破壊した発泡粒子、即ち、分割された発泡粒子の粒子数N2 を目視により数え、下記式に基づいて融着率を算出することができる。
融着率(%)=100×材料破壊した発泡粒子の粒子数N2 /発泡粒子の全粒子数N1
更に、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子に更に不活性ガスを常温にて含浸させて、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡力を向上させてもよい。このようにポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡力を向上させることにより、型内発泡成形時におけるポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させて得られる発泡粒子同士の融着性が向上し、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体は更に優れた機械的強度を有する。なお、上記不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウムなどが挙げられる。
本発明の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、上述の如き構成を有しているので、結晶化度が低く抑えられていると共に、気泡は微細にして独立気泡率が高く、型内発泡成形時において、優れた熱融着性を発揮すると共に二次発泡性にも優れており、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を二次発泡させて得られる発泡粒子同士は高い発泡圧によって強固に熱融着一体化すると同時に、ポリ乳酸系樹脂の結晶化度を高めて耐熱性に優れたものとすることができ、よって、本発明の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子によれば、型内発泡成形によって外観性、耐熱性及び機械的強度に優れたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。
そして、本発明の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子では、ポリ乳酸系樹脂として、構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が5モル%未満であるポリ乳酸系樹脂か、或いは、構成モノマー成分としてD体又はL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを含有している結晶性のポリ乳酸系樹脂を用いていることから、この型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いて得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は結晶化度が高くて耐熱性に優れている。
更に、上記型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、結晶性が高いポリ乳酸系樹脂をポリカーボネート系樹脂により溶融粘度の調整を図って押出発泡に適したものとし、押出発泡によってポリ乳酸系樹脂を発泡させたものであり、従来のようにポリ乳酸系樹脂粒子を一旦、作製し、このポリ乳酸系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて予備発泡させる場合と異なり、粒子状にしてから熱を加えることはなく、よって、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度は抑えられており、型内発泡成形において優れた融着性を発揮する。
又、本発明の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法は、上述の如き構成を有しており、ポリカーボネート系樹脂をポリ乳酸系樹脂に対して所定量含有させていることから、ポリ乳酸系樹脂組成物を押出発泡に適した溶融粘度に調整して押出発泡性を向上させ、且つ、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の結晶化度の上昇を効果的に抑制することができ、よって、微細な独立気泡が多くを占めて二次発泡性に優れ且つ融着性に優れたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を容易に製造することができる。
本発明においてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度及びポリ乳酸系樹脂発泡成形体の見掛け密度は下記の要領によって測定されたものをいう。
(ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度)
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。即ち、JIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度を測定した。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度(g/cm3
=〔試料を入れたメスシリンダーの質量(g)−メスシリンダーの質量(g)〕
/〔メスシリンダーの容量(cm3 )〕
(ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の見掛け密度)
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の見掛け密度は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載の方法で測定されたものをいう。
(ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の平均気泡径)
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の平均気泡径をASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定した。即ち、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体を試験体として3個用意し、X方向、Y方向及びZ方向の各方向に試験体を一個づつ切断し、各切断面の中央部を走査型電子顕微鏡(日立製作所製 商品名「S−3000N」)を用いて17〜20倍(場合によっては200倍)の適度な倍率に拡大して撮影した。なお、X方向、Y方向及びZ方向は、三次元の座標軸の各方向をいい、一の方向は、他の二つの方向に対して90°に直交している。
しかる後、撮影した画像をA4用紙上に4画像づつ印刷し、各画像上に切断方向に平行な長さが60mmの直線を任意に6本描き、各直線上に存在する気泡数を数え、直線毎に式5から気泡の平均弦長(t)を算出し、これらの気泡の平均弦長(t)の相加平均値を各画像の気泡の気泡弦長(t)とした。そして、画像毎における気泡の平均弦長(t)の相加平均値を算出し、この相加平均値を切断方向における気泡の平均弦長(t)として、式6から切断方向における気泡径Dを算出した。なお、画像上に直線を描くに際して、直線ができるだけ気泡を貫通するように描いた。但し、直線が気泡に接してしまう場合には、直線に接した気泡も気泡数に含めた。
平均弦長(t)=60/(気泡数×写真の倍率)・・・式5
気泡径D=平均弦長(t)/0.616・・・式6
そして、X方向の気泡径Dx、Y方向の気泡径Dy及びZ方向の気泡径Dzの相加平均値を平均気泡径Dとした。
平均気泡径D=(Dx+Dy+Dz)/3
(ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の加熱寸法変化率)
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の加熱寸法変化率をJIS K6767に準拠して150℃にて測定した。
(実施例1)
結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC HV−6200」、融点:167.4℃、D体比率:1.5モル%、L体比率:98.5モル%、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:139.5℃)100重量部及び芳香族系ポリカーボネート系樹脂としてポリ−4,4'−イソプロピレンジフェニルカーボネート(日本ジーイープラスチックス社製 商品名「レキサン 153」、メルトフローレイト:3.1g/10分、ビカット軟化温度:148℃)3.1重量部からなるポリ乳酸系樹脂組成物、並びに、気泡調整剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末(旭硝子社製 商品名「フルオンL169J」)0.1重量部を口径が65mmの単軸押出機に供給して始めは190℃にて溶融混練させた後に240℃まで徐々に昇温させながら溶融混練した。
そして、押出機の途中から、イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなるブタンをポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.7重量部となるように溶融状態のポリ乳酸系樹脂組成物中に圧入して、ポリ乳酸系樹脂組成物中に均一に分散させた。
しかる後、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を冷却した後、押出機の先端に取り付けたマルチノズル金型の各ノズルから剪断速度5659sec-1で押出発泡させてストランド状の押出発泡体を製造した。
続いて、ストランド状の押出発泡体を、マルチノズル金型の各ノズル先端から60cmの距離に亘って空冷により冷却し、続いて、ストランド状の押出発泡体を2mの距離に亘って冷却水槽内の水面上に浮かせて冷却した。なお、冷却水槽内の水温は、30℃であった。
なお、マルチノズル金型は、出口直径が1.0mmのノズルが15個、配設されており、ランド部の長さは7mmであり、200℃に保持されていた。又、マルチノズル金型のノズルから押出発泡させた際のポリ乳酸系樹脂組成物の樹脂温度を、押出機の先端部と金型との間にブレーカープレートを挿入し、このブレーカープレートの中心部に熱電対を挿入することによって測定したところ、204℃であった。
そして、ストランド状の押出発泡体を充分に水切りした後、この押出発泡体をファンカッター式のペレタイザーを用いて2.3mm毎に円柱状に切断してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その粒径が1.7〜2.3mmであり、嵩密度、平均気泡径、結晶化度及び連続気泡率は表1に示した通りであった。
次に、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を密閉容器内に入れ、この密閉容器内に二酸化炭素を0.49MPaの圧力にて圧入して常温にて24時間に亘って放置してポリ乳酸系樹脂発泡粒子に二酸化炭素を含浸させた。
続いて、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填して型締めし、この金型内にゲージ圧0.018MPaの水蒸気を20秒間に亘って供給して、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱、発泡させて、このポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させて得られる発泡粒子同士を融着一体化させ、更に、この状態にて120秒間に亘って保温した後に水冷して、縦300mm×横400mm×高さ20mmの直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.18g/cm3 で、融着率は70%で、加熱寸法変化率は0.4%であり、良好な外観を呈していた。
(実施例2)
ポリ−4,4'−イソプロピレンジフェニルカーボネートの量を3.1重量部の代わりに5.3重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その粒径が1.7〜2.3mmであり、嵩密度、平均気泡径、結晶化度及び連続気泡率は表1に示した通りであった。
そして、得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いて実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.18g/cm3 で、融着率は70%で、加熱寸法変化率は0.4%であり、良好な外観を呈していた。
(実施例3)
ポリ−4,4'−イソプロピレンジフェニルカーボネートの量を3.1重量部の代わりに11.1重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その粒径が1.7〜2.3mmであり、嵩密度、平均気泡径、結晶化度及び連続気泡率は表1に示した通りであった。
そして、得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いて実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.18g/cm3 で、融着率は50%で、加熱寸法変化率は0.3%であり、良好な外観を呈していた。
(実施例4)
芳香族系ポリカーボネート系樹脂として、ポリ−4,4'−イソプロピレンジフェニルカーボネート(日本ジーイープラスチック社製 商品名「レキサン 131」、メルトフローレイト:4.6g/10分、ビカット軟化温度:148℃)5.3重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その粒径が1.7〜2.3mmであり、嵩密度、平均気泡径、結晶化度及び連続気泡率は表1に示した通りであった。
そして、得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いて実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.18g/cm3 で、融着率は70%で、加熱寸法変化率は0.4%であり、良好な外観を呈していた。
(実施例5)
ポリ乳酸系樹脂組成物として、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC TE−4000」、融点:170.3℃、D体比率:1.6モル%、L体比率:98.4モル%)100重量部及び芳香族系ポリカーボネート系樹脂としてポリ−4,4'−イソプロピレンジフェニルカーボネート(日本ジーイープラスチックス社製 商品名「レキサン 153」、メルトフローレイト:3.1g/10分、ビカット軟化温度:148℃)5.3重量部、並びに、架橋剤であるエポキシ基を有するアクリル・スチレン系化合物とポリ乳酸系樹脂とのマスターバッチ2重量部からなるものを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その粒径が1.7〜2.2mmであり、嵩密度、平均気泡径、結晶化度及び連続気泡率は表1に示した通りであった。
なお、架橋剤であるエポキシ基を有するアクリル・スチレン系化合物とポリ乳酸系樹脂とのマスターバッチは、エポキシ基を有するアクリル・スチレン系化合物(東亜合成社製 商品名「ARUFON UG−4030」、重量平均分子量:11000、エポキシ価:1.8mmol/g)30重量%と、ポリ乳酸系樹脂(三井化学社製 商品名「LACEA H−100」)70重量%とから構成されていた。
そして、得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いて実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.18g/cm3 で、融着率は70%で、加熱寸法変化率は0.4%であり、良好な外観を呈していた。
又、押出機への発泡剤の圧入をしなかったこと以外は、上記と同様の要領で測定用ポリ乳酸系樹脂粒子を製造し、この測定用ポリ乳酸系樹脂粒子を用いて動的粘弾性測定を行ったところ、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは、138℃であった。又、測定用ポリ乳酸系樹脂粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の融点(mp)を測定したところ、171.1℃あった。
(比較例1)
ポリ−4,4'−イソプロピレンジフェニルカーボネートの量を3.1重量部の代わりに0.4重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その粒径が1.7〜2.3mmであり、嵩密度、平均気泡径、結晶化度及び連続気泡率は表1に示した通りであった。
そして、得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いて実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.18g/cm3 で、融着率は70%で、加熱寸法変化率は0.4%であった。
(比較例2)
ポリ−4,4'−イソプロピレンジフェニルカーボネートの量を3.1重量部の代わりに28重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その粒径が1.7〜2.3mmであり、嵩密度、平均気泡径、結晶化度及び連続気泡率は表1に示した通りであった。
そして、得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いて実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ようとしたが、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士が全く熱融着せず、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができなかった。
Figure 0004928920

Claims (3)

  1. ポリ乳酸系樹脂100重量部とポリカーボネート系樹脂0.5〜25重量部とからなるポリ乳酸系樹脂組成物を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練し押出発泡して押出発泡体を製造し、この押出発泡体を粒子状に切断して発泡粒子を製造する型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法であって、上記ポリ乳酸系樹脂が、その構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が5モル%未満であるか、或いは、構成モノマー成分としてD体又はL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを含有していることを特徴とする型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
  2. ポリ乳酸系樹脂組成物が、ポリ乳酸系樹脂100重量部とポリカーボネート系樹脂0.5〜10重量部とからなることを特徴とする請求項1に記載の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
  3. ポリ乳酸系樹脂が、その融点(mp)と、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとが下記式1を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
    (ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃)
    ≦(交点における温度T)≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
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