JP4773870B2 - ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、種々の形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を効率良く安定的に製造することができるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造方法に関する。
ポリ乳酸系樹脂は、天然に存在する乳酸を重合されて得られた樹脂であり、自然界に存在する微生物によって分解可能な生分解性樹脂であると共に、常温での機械的特性についても優れていることから注目を集めている。そして、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填して加熱、発泡させてポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造する、所謂、型内発泡成形が行われている。
例えば、特許文献1には、ポリ乳酸を主成分とする樹脂から形成された発泡粒子を型内に5〜70%の圧縮率となるように充填した後、金型内に110℃を超える温度を有する水蒸気を高圧力にて供給して発泡粒子を加熱、融着一体化させるポリ乳酸発泡粒子成形体の製造方法が開示されている。
しかしながら、ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度は、ポリスチレン系樹脂に比較して極めて低く、約50℃であることから、100℃を超える高圧の水蒸気を金型内に供給してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱した場合、ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度との温度差が大きいために、水蒸気の温度及び加圧条件を精度良く調整しないと、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体に収縮が生じたり、或いは、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面が悪化したり、更に、発泡粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の結晶化が急激に進んでしまい、発泡粒子同士の熱融着性が阻害されて、融着性の悪いポリ乳酸系樹脂発泡成形体となるといった問題点があった。
又、一般的に、水蒸気の製造にはボイラーが用いられているが、新たにポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造する製造設備を考えた場合、ボイラーを導入することはコスト、スペース、維持管理などが煩雑で大がかりなものとなってしまうといった問題点もあった。
更に、複雑な形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造する場合、金型内に充填した発泡粒子を均一に加熱するために、金型に形成した水蒸気の供給口の位置や大きさの設計に工数を要するといった問題点や、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の形状自体が制限されるといった問題点を有していた。
又、特許文献2には、脂肪族ポリエステル、分散材及び発泡剤を所定割合で含有し且つ脂肪族ポリエステルの結晶化度が20%以下である樹脂組成物からなる発泡性粒子を金型内に充填して加熱発泡させて発泡成形体を製造することが記載されている。
そして、発泡性粒子の加熱方法としては、発泡性粒子を加熱発泡させるのに必要なエネルギーを何らかの方法で与える方法であれば公知公用の方法を用いることができ、例えば、金型を熱媒体中に付け込んだり、温調された雰囲気下にさらしたり、金型中に加熱された窒素、水蒸気、炭酸ガスなどの不活性ガスを吹き込んだりすることが記載されているものの、具体的には、金型内にスチーム(水蒸気)(第7頁左欄第14〜15行)や熱風(第9頁右欄第18行)を圧入することが記載されているだけであり、発泡性粒子の加熱方法としては、従来から行われている水蒸気や熱風を金型内に圧入することが開示されているに過ぎない。
しかも、水蒸気や熱風などの気体は比熱が小さいことから、金型内に供給する際の温度は高い温度に設定せざるを得ず、その結果、上述したように、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体に収縮や、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面性の低下が生じ、或いは、発泡粒子同士の熱融着性が低下するといった問題点を生じていた。
特開2003−64213号公報 特開平11−166069号公報
本発明は、比熱の高い水に着目し、水を加熱媒体として用いることにより、複雑な形状を有し且つポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の熱融着性に優れ外観及び機械的強度に優れたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を効率良く安定的に製造することができるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造方法を提供する。
本発明のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造方法は、結晶化度が30%以下で且つ連続気泡率が30%以下のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を60〜100℃の水で加熱することによって上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させて上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士を一体化させた後に冷却することを特徴とする。
上記ポリ乳酸系樹脂は下記化1で示され、D−乳酸及びL−乳酸をモノマーとして共重合させるか、D−乳酸又はL−乳酸の何れか一方をモノマーとして重合させるか、或いは、D−ラクチド、L−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドを開環重合させることによって得ることができ、何れのポリ乳酸系樹脂であってもよい。
Figure 0004773870
ポリ乳酸系樹脂を製造するに際して、モノマーとしてL体又はD体のみ、或いは、モノマーとしてL体とD体とを併用した場合においてL体又はD体の何れか一方を他方に比して多量に用いた時は、得られるポリ乳酸系樹脂は結晶性となる一方、モノマーとしてL体とD体とを略同量づつ用いた場合には、得られるポリ乳酸系樹脂は非結晶性となるが、耐熱性及び機械的強度に優れている点から、本発明においては、結晶性のポリ乳酸系樹脂を用いることが好ましい。
ポリ乳酸系樹脂を製造する際に用いられるモノマーとしてL体とD体とを併用した場合、モノマー中におけるD体或いはL体の含有量の少ない方のモノマー量は、0.5〜5モル%が好ましい。これは、モノマー中におけるD体或いはL体の含有量の少ない方のモノマー量が5モル%を超えると、ポリ乳酸系樹脂の結晶性が低くなって、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の耐熱性が低下することがある一方、モノマー中におけるD体或いはL体の含有量の少ない方のモノマー量が0.5モル%を下回ると、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂の結晶化度が急激に上昇し、その結果、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の熱融着性が低下してポリ乳酸系樹脂発泡成形体の機械的強度や外観性が低下することがあるからである。
ここで、ポリ乳酸系樹脂中におけるD体又はL体の含有量は以下の方法によって測定することができる。先ず、ポリ乳酸系樹脂をクロロホルムに溶解させて、ポリ乳酸系樹脂の濃度が10mg/ミリリットルのクロロホルム溶液を作製する。次に、旋光計を用いて25℃にて波長589nmの偏光をクロロホルム溶液に照射して、クロロホルム溶液の比旋光度を測定する。
一方、モノマーとしてD体のみを用いて重合して得られたポリ乳酸系樹脂、或いは、モノマーとしてL体のみを用いて重合して得られたポリ乳酸系樹脂について、上述と同様の要領で比旋光度を測定してもよいが、この比旋光度は、通常、既に測定されており、D体のみを用いて重合して得られたポリ乳酸系樹脂は+156°、モノマーとしてL体のみを用いて重合して得られたポリ乳酸系樹脂は−156°とされている。
そして、下記式に基づいてポリ乳酸系樹脂中におけるD体成分又はL体成分の量を算出することができる。
D体成分量(モル%)=100×{クロロホルム溶液の比旋光度−(−156)}
/{156−(−156)}
L体成分量(モル%)=100−(D体成分量)
ところが、結晶性のポリ乳酸系樹脂は、その結晶化速度が速いことから、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を後述するような押出発泡によって製造する場合、ポリ乳酸系樹脂の中から押出発泡に適したものを選択する必要があり、溶融粘弾性が押出発泡に適したポリ乳酸系樹脂を選択するか、或いは、ポリ乳酸系樹脂を粘弾性が押出発泡に適した状態となるように改質することが好ましい。
具体的には、ポリ乳酸系樹脂として、融点(mp)と、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとが下記式1を満たすポリ乳酸系樹脂を用いることが好ましい。
(ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃)
≦(交点における温度T)≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
ここで、動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率は、粘弾性において弾性的な性質を示す指標であって、発泡過程における気泡膜の弾性の大小を示す指標であり、発泡過程において、気泡膜の収縮力に抗して気泡を膨張させるのに必要な発泡圧の大小を示す指標である。
即ち、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率が低いと、気泡膜が伸長された場合、気泡膜が伸長力に抗して収縮しようとする力が小さく、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造に必要とする発泡圧によって発泡膜が容易に伸長してしまう結果、気泡膜が過度に伸長してしまい破泡を生じる一方、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率が高いと、気泡膜に伸長力が加わった場合、伸長に抗する気泡膜の収縮力が大きく、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造に必要とする発泡圧で一旦、気泡が膨張したとしても、温度低下などに起因する経時的な発泡圧の低下に伴って気泡が収縮してしまう。
又、動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率は、粘弾性において粘性的な性質を示す指標であって、発泡過程における気泡膜の粘性を示す指標であり、発泡過程において、気泡膜をどの程度まで破れることなく伸長させることができるかの許容範囲を示す指標であると同時に、発泡圧によって所望大きさに気泡を膨張させた後、この膨張した気泡をその大きさに維持する能力を示す指標でもある。
即ち、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率が低いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造に必要とする発泡圧によって気泡膜が伸長された場合、気泡膜が容易に破れてしまう一方、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率が高いと、発泡力が気泡膜によって熱エネルギーに変換されてしまい、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造時に気泡膜を円滑に伸長させることができず、気泡を膨張させることができない。
このように、ポリ乳酸系樹脂を発泡させてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造するにあたっては、発泡過程において、ポリ乳酸系樹脂は、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得るために必要とされる発泡圧によって気泡膜が破れることなく適度に伸長するための弾性力、即ち、貯蔵弾性率を有している必要があると共に、上記発泡圧によって気泡膜が破れることなく円滑に伸長し、所望大きさに膨張した気泡をその大きさに発泡圧の経時的な減少にかかわらず維持しておくための粘性力、即ち、損失弾性率を有している必要がある。
つまり、押出発泡工程において、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率及び損失弾性率の双方が押出発泡に適した値を有している必要があり、このような押出発泡に適した貯蔵弾性率及び損失弾性率を押出発泡工程においてポリ乳酸系樹脂に付与するために、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T(以下「貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T」ということがある)とポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが下記式1を満たすことが好ましく、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率及び損失弾性率をそれらのバランスをとりながら押出発泡に適したものとしてポリ乳酸系樹脂の押出発泡性を良好なものとし、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を安定的に製造することができる。
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃〕
≦交点における温度T≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
更に、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが上記式1を満たすように調整する理由を下記に詳述する。
先ず、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも40℃を越えて低い場合には、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の損失弾性率が貯蔵弾性率に比して大き過ぎるために、損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまう。
そこで、ポリ乳酸系樹脂の損失弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の粘性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の弾性力にとっては発泡力が大き過ぎてしまい、気泡膜が破れて破泡を生じて良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができず、逆に、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の弾性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の粘性力にとっては発泡力が小さく、ポリ乳酸系樹脂が発泡しにくくなり、やはり良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができない。
又、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも高いと、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率が損失弾性率に比して大き過ぎるために、上述と同様に損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまう。
そこで、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の弾性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の粘性力にとっては発泡力が大き過ぎてしまい、気泡膜が破れて破泡を生じ良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができず、逆に、ポリ乳酸系樹脂の損失弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の粘性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の弾性力にとっては発泡力が小さく、ポリ乳酸系樹脂が発泡力で一旦、発泡したとしても、経時的な発泡力の低下に伴って気泡が収縮してしまって、やはり良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができない。
そして、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが上記式1を満たすように調整する方法としては、ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量が高くなるにしたがって、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tが高くなることから、ポリ乳酸系樹脂の重合時に反応時間或いは反応温度を調整することによって、得られるポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を調整する方法、押出発泡前に或いは押出発泡時にポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を増粘剤や架橋剤を用いて調整する方法が挙げられる。
この他に、L体の比率がD体の比率に比して大きいモノマーから得られたポリ乳酸系樹脂の場合、D体の比率が増加するにつれてポリ乳酸系樹脂の融点(mp)が低下することから、モノマー中のD体の比率を調整することによってポリ乳酸系樹脂の融点(mp)を調整し、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが上記式1を満たすように調整する方法が挙げられる。
ここで、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、JIS K7121:1987に準拠してポリ乳酸系樹脂の示差走査熱量分析を行い、得られたDSC曲線における融解ピークの温度をポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とする。なお、融解ピークの温度が複数個ある場合には、最も高い温度とする。
又、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは下記の要領で測定されたものをいう。即ち、ポリ乳酸系樹脂を9.33×104 Paの減圧下にて80℃で3時間に亘って乾燥する。このポリ乳酸系樹脂を該ポリ乳酸系樹脂の融点よりも40〜50℃だけ高い温度に加熱した測定プレート上に載置して窒素雰囲気下にて5分間に亘って放置し溶融させる。
次に、直径が25mmの平面円形状の押圧板を用意し、この押圧板を用いて測定プレート上のポリ乳酸系樹脂を押圧板と測定プレートとの対向面間の間隔が1mmとなるまで上下方向に押圧する。そして、押圧板の外周縁からはみ出したポリ乳酸系樹脂を除去した後、5分間に亘って放置する。
しかる後、歪み5%、周波数1rad/秒、降温速度2℃/分、測定間隔30秒の条件下にて、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定を行って貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定する。次に、横軸を温度とし、縦軸を貯蔵弾性率及び損失弾性率として、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描く。なお、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描くにあたっては、測定温度を基準として互いに隣接する測定値同士を直線で結ぶ。
そして、得られた貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tを上記グラフから読み取ることによって得ることができる。なお、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線とが複数箇所において互いに交差する場合は、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との複数の交点における温度のうち最も高い温度を、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとする。
動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは、Reologica Instruments A.B 社から商品名「DynAlyser DAR-100」 にて市販されている動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を構成するポリ乳酸系樹脂には他の樹脂、好ましくは他の生分解性樹脂、具体的には、脂肪族ポリエステルや脂肪族−芳香族ポリエステルが含有されていてもよいが、ポリ乳酸系樹脂が50重量%以上となるように調整することが好ましく、70重量%以上となるように調整することがより好ましく、80重量%以上となるように調整することが特に好ましい。
そして、本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、結晶化度が30%以下で且つ連続気泡率が30%以下であれば、特に限定されず、公知の製造方法によって製造されたものが用いられる。ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法としては、例えば、(1) 公知の要領で製造されたポリ乳酸系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて発泡性ポリ乳酸系樹脂粒子を製造し、このポリ乳酸系樹脂粒子を加熱、発泡させてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造する製造方法、(2) ポリ乳酸系樹脂を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練して押出機から押出発泡して得られたポリ乳酸系樹脂押出発泡体をその後に或いは押出発泡直後に粒子状に切断加工してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造する製造方法などが挙げられ、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度を制御し易いことから、上記(2) のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法が好ましい。
次に、上記(2) のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法について具体的に説明する。先ず、上記ポリ乳酸系樹脂を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練した後、押出機の先端に取り付けた金型から押出発泡させるが、この押出発泡させて得られたポリ乳酸系樹脂押出発泡体の形態は、特に限定されず、ストランド状、シート状などが挙げられるが、ストランド状が好ましい。
なお、上記押出機としては、従来から汎用されている押出機であれば、特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機、複数の押出機を連結させたタンデム型の押出機が挙げられる。
又、上記発泡剤としては、従来から汎用されているものが用いられ、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどの化学発泡剤;プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタンなどのフロン、二酸化炭素、窒素、アルゴンなどの物理発泡剤などが挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましい。
そして、押出機に供給される発泡剤量としては、少ないと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を所望発泡倍率まで発泡させることができないことがある一方、多いと、発泡剤が可塑剤として作用することから溶融状態のポリ乳酸系樹脂の粘弾性が低下し過ぎて発泡性が低下し良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができなかったり或いはポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡倍率が高過ぎる場合があるので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜4重量部がより好ましく、0.3〜3重量部が特に好ましい。
なお、押出機には気泡調整剤が添加されることが好ましいが、気泡調整剤の多くは、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶核剤として作用するため、ポリ乳酸系樹脂の結晶化を過度に促進しない気泡調整剤を用いることが好ましく、このような気泡調整剤としては、ポリテトラフルオロエチレン粉末、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
又、押出機に供給される気泡調整剤の量としては、少ないと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の気泡が粗大となり、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の外観が低下することがある一方、多いと、ポリ乳酸系樹脂を押出発泡させる際に破泡を生じてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の独立気泡率が低下することがあるので、ポリ乳酸ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好ましく、0.1〜1重量部が特に好ましい。
そして、押出機から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出発泡体を冷却して、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体の結晶化が進行するのを抑制し、このポリ乳酸系樹脂押出発泡体を粒子状に切断してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得る。得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度は、30%以下に限定され、3〜28%が好ましく、5〜26%がより好ましい。
ここで、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度は、示差走査熱量計(DSC)を用いてJIS K7121に記載の測定方法に準拠して10℃/分の昇温速度にて昇温しながら測定された1mg当たりの冷結晶化熱量及び1mg当たりの融解熱量に基づいて下記式により算出することができる。
Figure 0004773870
このように、本発明では、結晶化度が30%以下のポリ乳酸系樹脂粒子が用いられる。これは、結晶化度が30%を超えるポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、結晶性ポリ乳酸系樹脂の融点である130〜180℃に近い高い耐熱性を有しており、後述するように、60〜100℃の水でポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱、発泡させても、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士を良好に熱融着一体化させることができず、機械的強度及び外観性に劣るポリ乳酸系樹脂発泡成形体しか得られないからである。
更に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度を30%以下に限定することによって、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の熱融着性を確保し、型内発泡成形時に、60〜100℃の水によって加熱した際のポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の熱融着性を良好なものとすることができると共に、型内発泡成形途上において、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度を上昇させて、ポリ乳酸系樹脂の耐熱性を向上させることができ、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体に優れた融着性及び耐熱性を付与することができる。
そして、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体の冷却方法としては、押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出発泡体の結晶化度の上昇を速やかに停止できる方法が好ましく、具体的には、押出機から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出発泡体を水面に浮かせて冷却する方法、押出機から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出発泡体に水などを霧状に吹き付ける方法、低温に温度調節された冷却板上に、押出機から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出発泡体を接触させることによって冷却させる方法、押出機から押出発泡された押出発泡体に冷風などの冷却された気体を吹き付ける方法などが挙げられる。なお、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体を冷却する上記水や冷風の温度は、ポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度よりも低い温度が好ましく、50℃以下がより好ましく、45℃以下が特に好ましく、40℃以下が最も好ましい。
次に、上述のようにして冷却されたポリ乳酸系樹脂押出発泡体を粒子状に切断することによってポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができる。ポリ乳酸系樹脂押出発泡体を粒子状に切断する切断機としては、ペレタイザーやホットカット機などが挙げられ、又、切断機の切断方法としては、ドラムカッタ式やファンカッタ式があるが、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体の切断時にポリ乳酸系樹脂押出発泡体に割れや欠けが発生しにくいことから、ファンカッタ式の切断方法を用いることが好ましい。なお、上記では、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体の冷却後に、ポリ乳酸系樹脂押出発泡体を切断する場合を説明したが、押出機から押出発泡させると同時にポリ乳酸系樹脂押出発泡体を切断して粒子状とした後に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を冷却するようにしてもよい。
このようにして得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度は、小さいと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率が上昇して、型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子に必要な発泡力を付与することができない虞れがある一方、大きいと、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の気泡が不均一となって、型内発泡成形時のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡性が不充分となることがあるので、0.01〜0.6g/cm3 が好ましく、0.015〜0.5g/cm3 がより好ましく、0.02〜0.4g/cm3 が特に好ましい。
なお、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。具体的には、JIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用い、下記式に基づいてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度を測定することができる。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度(g/cm3
=〔試料を入れたメスシリンダーの質量(g)−メスシリンダーの質量(g)〕
/〔メスシリンダーの容量(cm3 )〕
そして、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率は、高いと、型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子が殆ど発泡せず、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の融着性が低くなって、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の機械的強度が低下することがあるので、30%以下に限定され、28%以下が好ましく、26%以下がより好ましく、24%以下が特に好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率の調整は、押出発泡温度及び発泡剤量を調整することによって行われる。
ここで、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率は下記の要領で測定される。先ず、体積測定空気比較式比重計の試料カップを用意し、この試料カップの80%程度を満たす量のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の全重量A(g)を測定する。次に、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子全体の体積B(cm3 )を比重計を用いて1−1/2−1気圧法により測定する。なお、体積測定空気比較式比重計は、例えば、東京サイエンス社から商品名「1000型」にて市販されている。
続いて、金網製の容器を用意し、この金網製の容器を水中に浸漬し、この水中に浸漬した状態における金網製の容器の重量C(g)を測定する。次に、この金網製の容器内に上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を全量入れた上で、この金網製の容器を水中に浸漬し、水中に浸漬した状態における金網製の容器とこの金網製容器に入れたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の全量とを併せた重量D(g)を測定する。
そして、下記式に基づいてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の見掛け体積E(cm3 )を算出し、この見掛け体積Eと上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子全体の体積B(cm3 )に基づいて下記式によりポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率を算出することができる。なお、水1gの体積を1cm3 とした。
E=A+(C−D)
連続気泡率(%)=100×(E−B)/E
このようにして得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型のキャビティ内に充填して加熱し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させることによって、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士をそれらの発泡圧によって互いに融着一体化させると共にポリ乳酸系樹脂の結晶化度を上昇させて、融着性及び耐熱性に優れた所望形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。
ここで、本発明では、金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子の加熱媒体として60〜100℃の水を用いている。水は、液体状であって比熱が大きいことから、温度が低くても金型内のポリ乳酸系樹脂発泡粒子に発泡に必要な高い熱量を充分に付与することができる。
従って、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱し過ぎることなく、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充分に加熱、発泡させることができ、加熱媒体として水蒸気や熱風を用いた時に生じたようなポリ乳酸系樹脂発泡粒子表面の熱収縮を生じさせることなく、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士をそれらの発泡力によって互いに強固に熱融着一体化させることができ、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、優れた機械的強度を有していると共に外観性にも優れている。
そして、従来のように高圧の水蒸気を用いるのに比べて、低い圧力で型内発泡成形を行うことができるので、金型の設計強度を低く抑えることができ、複雑な形状を有する金型を容易に製作することができると共に、金型自体もコンパクトなものとして取扱性の向上を図ることができ、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の生産性の向上を図ることができる。
加熱媒体として用いる水の温度は、低いと、金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡が不充分となりポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の熱融着性が低下して得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の機械的強度や外観性が低下することがある一方、高いと、水を高圧状態としなければならず、ボイラーなどの大掛かりな設備を要するので、60〜100℃に限定され、70〜99℃が好ましく、80〜98℃がより好ましい。
金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子に60〜100℃の水を供給してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱する方法としては、特に限定されず、例えば、(1) 従来から用いられている型内発泡成形機において水蒸気の代わりに60〜100℃の水を金型内に供給する方法、(2) ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充填した金型を、60〜100℃の水中に浸漬してポリ乳酸系樹脂発泡粒子に水を供給する方法などが挙げられ、複雑な形状の金型であっても金型全体、即ち、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を全体的に均一に加熱、発泡させることができることから、上記(2) の方法が好ましい。
金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子の水による加熱時間は、短いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の加熱が不充分となってポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の熱融着が不充分となり、或いは、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度が不充分に上昇せず、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の耐熱性が低下することがある一方、長いと、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の生産性が低下するだけであるので、20秒〜1時間が好ましい。
そして、60〜100℃の水でポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱して型内発泡成形を行った後、金型内に形成されたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を冷却した上で金型を開放して所望形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。
金型内に形成されたポリ乳酸系樹脂発泡成形体の冷却は、高いと、金型内のポリ乳酸系樹脂発泡粒子が充分に固化しておらず、金型から取り出した時に膨らんで金型のキャビティ形状通りのポリ乳酸系樹脂発泡成形体とならない虞れがあるので、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度が好ましくは50℃以下となるように、より好ましくは0〜45℃となるように、特に好ましくは0〜40℃となるように、最も好ましくは0〜35℃となるように冷却する。
ここで、金型内に形成されたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を冷却する方法としては、特に限定されないが、(1) 金型を50℃以下の雰囲気中に放置する方法、(2) 金型に50℃以下の水又は空気を吹き付ける方法、(3) 金型を50℃以下の水中に浸漬させる方法が挙げられ、複雑な形状の金型であっても金型全体を均一に冷却することができることから、上記(3) の冷却方法が好ましい。なお、冷却時間は、冷却方法や金型の大きさなどに応じて適宜、調整されればよく、例えば、50℃以下の水中に金型を浸漬させる場合には、1〜10分が好ましい。
そして、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体の結晶化度は、低いと、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の耐熱性が低下する一方、高いと、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体が脆くなることがあるので、好ましくは30〜60%、より好ましくは32〜59%、特に好ましくは34〜58%となるように型内発泡成形条件を調整するのがよい。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の結晶化度は、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度の測定方法と同様であるのでその説明を省略する。
なお、金型を形成している材料としては、特に限定されず、例えば、鉄系金属、アルミニウム系金属、銅系金属、亜鉛系金属などが挙げられ、熱伝導性及び加工性の観点からアルミニウム系金属が好ましい。
更に、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子に更に不活性ガスを含浸させて、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡力を向上させてもよい。このようにポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡力を向上させることにより、型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の融着性が向上し、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体は更に優れた機械的強度を有する。なお、上記不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴンなどが挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子に不活性ガスを含浸させる方法としては、例えば、常圧以上の圧力を有する不活性ガス雰囲気下にポリ乳酸系樹脂発泡粒子を置くことによってポリ乳酸系樹脂発泡粒子中に不活性ガスを含浸させる方法が挙げられ、このような場合、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填する前に不活性ガスを含浸させてもよいが、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填した後に金型ごと不活性ガス雰囲気下に置き、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子に不活性ガスを含浸させてもよい。なお、不活性ガスが二酸化炭素である場合、0.1〜1.5MPaの二酸化炭素雰囲気中にポリ乳酸系樹脂発泡粒子を20分〜24時間に亘って放置することが好ましい。
又、上記のように、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子に不活性ガスを含浸させた場合、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子をこのまま、金型内にて加熱、発泡させてもよいが、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填する前に加熱、発泡させて、高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡粒子とした上で金型内に充填して加熱、発泡させてもよい。このような高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いることによって、高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱する加熱媒体としては、乾燥した空気が好ましい。
なお、高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡粒子とした上で金型内に充填し成形する場合にも、0.1〜1.5MPaの不活性ガス雰囲気、好ましくは二酸化炭素中にポリ乳酸系樹脂発泡粒子を20分〜24時間に亘って置いて、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子中に不活性ガスを含浸させて発泡性を向上させておくことが好ましい。
そして、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させて高発泡倍率の発泡粒子とする際の温度としては、高いと、ポリ乳酸系樹脂の結晶化度が上昇し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の熱融着性が低下して得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の機械的強度及び外観性が低下するので、70℃未満が好ましい。
本発明のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造方法は、結晶化度が30%以下で且つ連続気泡率が30%以下のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を60〜100℃の水で加熱することによって上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させて上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士を一体化させた後に冷却することを特徴とし、水は比熱の高い液体であって低い温度であっても高い熱量を保有していることから高い温度に加熱しなくてもポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充分に加熱、発泡させることができ、よって、水を加熱媒体として用いることによって、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の表面に熱収縮を生じさせることなく充分に加熱して発泡させてポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士を強固に熱融着一体化させることができ、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、優れた機械的強度及び外観性を有している。
そして、本発明のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造方法は、上述のように、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の加熱媒体として水を使用しており、その温度も60〜100℃であって常圧下にて行うことが可能であるので、特別な設備を要せず、しかも、金型も特別な構造や材料を採用する必要がないので、複雑な形状を有する金型を採用することができ、複雑な形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を精度良く容易に且つ確実に製造することができる。
更に、本発明では、結晶化度が30%以下のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いていることから、型内発泡成形時における融着性に優れていると共に、この型内発泡時に加えられる熱によってポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度を、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の融着性を阻害させないように上昇させて、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体に優れた耐熱性を付与することができ、よって、本発明のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造方法によれば、優れた耐熱性及び機械的強度を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。
加えて、本発明では、連続気泡率が30%以下のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いていることから、型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子に充分な発泡力を発現させることができ、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の熱融着性を向上させて、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その機械的強度及び外観性に優れている。
又、上記ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造方法において、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充填した金型を60〜100℃の水中に浸漬させることによって上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱する場合には、金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子を全体的に且つ均一に加熱して発泡させることができ、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、より優れた機械的強度及び外観性を有している。
本発明において、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の見掛け密度及び融着率は下記の要領によって測定されたものをいう。
(ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の見掛け密度)
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の見掛け密度は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載の方法で測定されたものをいう。
(ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の融着率)
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体を折り曲げて所定箇所から切断する。そして、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の切断面に露出している発泡粒子の全粒子数N1 を目視により数えると共に、材料破壊した発泡粒子、即ち、分割された発泡粒子の粒子数N2 を目視により数え、下記式に基づいて融着率を算出することができる。
融着率(%)=100×材料破壊した発泡粒子の粒子数N2 /発泡粒子の全粒子数N1
(実施例1)
結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC HV−6200」、融点:167.4℃、D体比率:1.5重量%、L体比率:98.5重量%、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:139.5℃、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点の温度Tにおける弾性率(貯蔵弾性率又は損失弾性率):4.23×104 Pa)100重量部及び気泡調整剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末(旭硝子社製 商品名「フルオンL169J」)0.1重量部を口径が65mmの単軸押出機に供給して溶融混練した。
なお、押出機は、その供給部を190℃に、圧縮部を210℃に、発泡剤の注入・混練部を200℃に、計量部を190℃に保持した。
続いて、単軸押出機の途中から、イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなるブタンをポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.71重量部となるように溶融状態のポリ乳酸系樹脂に圧入して、ポリ乳酸系樹脂中に均一に分散させた。
しかる後、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を200℃に冷却した後、単軸押出機の先端に取り付けたマルチノズル金型の各ノズルから押出発泡させてストランド状のポリ乳酸系樹脂押出発泡体を製造した。
続いて、ストランド状のポリ乳酸系樹脂押出発泡体を、マルチノズル金型の各ノズル先端から60cmの距離に亘って空冷により冷却し、続いて、ストランド状のポリ乳酸系樹脂押出発泡体を2mの距離に亘って冷却水槽内の水面上に浮かせて冷却した。なお、冷却水槽内の水温は、30℃であった。
なお、マルチノズル金型は、出口直径が1.0mmのノズルが15個、配設されており、ランド部の長さは7mmであった。又、マルチノズル金型のノズルから押出発泡させた際の樹脂温度は、単軸押出機の先端部と金型との間にブレーカープレートを挿入し、このブレーカープレートの中心部に熱電対を挿入することによって測定した。
そして、ストランド状のポリ乳酸系樹脂押出発泡体を充分に水切りした後、このポリ乳酸系樹脂押出発泡体をファンカッタ式のペレタイザーを用いて2.2mm毎に円柱状に切断してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その嵩密度が0.21g/cm3 で、粒径が1.7〜2.3mmで、結晶化度は22.8%で、連続気泡率は22.2%であった。
次に、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を密閉容器内に入れ、この密閉容器内に二酸化炭素を1MPaの圧力にて圧入して常温にて1時間に亘って放置してポリ乳酸系樹脂発泡粒子に二酸化炭素を含浸させた。
続いて、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子をアルミニウム製の金型のキャビティ内に充填した。なお、金型のキャビティの内寸は、縦20mm×横100mm×高さ200mmの直方体形状であった。又、金型に、この金型のキャビティ内と金型外部とを連通させるために、直径が8mmの円形状の供給口を20mm間隔毎に合計130個、形成した。なお、供給口には、幅1mmのスリット部を複数、形成してあり、金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子がこの供給口を通じて金型外に流出しないように形成されている一方、金型の供給口を通じて金型外からキャビティ内に水を円滑に供給することができるように構成されていた。
そして、加熱水槽内に75℃に維持された水を溜め、この加熱水槽内の水中にポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充填した金型を完全に5分間に亘って浸漬して、金型の供給口を通じて金型のキャビティ内のポリ乳酸系樹脂発泡粒子に水を供給し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱、発泡させてポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士を熱融着一体化させた。
次に、加熱水槽内から金型を取り出した。そして、別の冷却水槽に30℃に維持された水を溜め、この冷却水槽内に金型を完全に2分間に亘って浸漬して、金型内のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を冷却した。
金型を冷却水槽から取り出して金型を開放して直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。冷却水槽から取り出した直後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度は31℃であった。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.17g/cm3 で、結晶化度が36.0%で、融着率が70%であった。
(実施例2)
加熱水槽内の水の温度を75℃の代わりに95℃としたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。冷却水槽から取り出した直後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度は32℃であった。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.17g/cm3 で、結晶化度が41.9%で、融着率が70%であった。
(実施例3)
実施例1で得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を密閉容器内に供給し、この密閉容器内に二酸化炭素を1.0MPaの圧力で圧入して常温にて6時間に亘って放置してポリ乳酸系樹脂発泡粒子に二酸化炭素を含浸した。
上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を密閉容器から取り出し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を65℃の乾燥した熱風で3分間に亘って加熱して発泡させ、密度が0.058g/cm3 、結晶化度が25.1%、連続気泡率が10.3%のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を実施例2と同様の要領で金型内に充填して加熱、発泡させて直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。冷却水槽から取り出した直後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度は31℃であった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.055g/cm3 で、結晶化度が45.0%で、融着率が70%であった。
(実施例4)
加熱水槽内の水の温度を75℃の代わりに95℃とし、加熱水槽内の水中に金型を5分間の代わりに8分間に亘って完全に浸漬させたこと以外は実施例1と同様にして直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。冷却水槽から取り出した直後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度は33℃であった。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.17g/cm3 で、結晶化度が51.5%で、融着率が80%であった。
(実施例5)
加熱水槽内の水の温度を75℃の代わりに95℃とし、加熱水槽内の水中に金型を5分間の代わりに30分間に亘って完全に浸漬させたこと以外は実施例1と同様にして直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。冷却水槽から取り出した直後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度は33℃であった。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.17g/cm3 で、結晶化度が52.3%で、融着率が80%であった。
(実施例6)
結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC TE−4000」、融点:170.3℃、D体比率:1.6重量%、L体比率:98.4重量%)100重量部、改質剤(東亜合成社製 商品名「XGM−4530」、重量平均分子量:11000、エポキシ価:1.8mmol/g)2.0重量部、及び、気泡調整剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末(旭硝子社製 商品名「フルオンL169J」)0.1重量部を口径が65mmの単軸押出機に供給して溶融混練したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その嵩密度が0.20g/cm3 で、粒径が1.7〜2.2mmで、結晶化度は21.6%で、連続気泡率は19.8%であった。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を実施例2と同様の要領で金型内に充填して加熱、発泡させて直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。冷却水槽から取り出した直後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度は31℃であった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.17g/cm3 で、結晶化度が42.2%で、融着率が60%であった。
なお、改質剤は、エポキシ基を有するアクリル・スチレン系化合物(東亜合成社製 商品名「ARUFON UG−4030」、重量平均分子量:11000、エポキシ価:1.8mmol/g)30重量%及びポリ乳酸系樹脂(三井化学社製 商品名「LACEA H−100」)70重量%から構成されていた。
(実施例7)
冷却水槽中の水の温度を30℃の代わりに55℃としたこと以外は実施例1と同様にして直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。冷却水槽から取り出した直後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度は57℃であった。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.17g/cm3 で、結晶化度が42.4%で、融着率が70%であったが、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の中央部が膨張した状態であった。
(比較例1)
ストランド状のポリ乳酸系樹脂押出発泡体を冷却水槽内の水面に浮かせて冷却する代わりに、ポリテトラフルオロエチレンで表面が被覆された鉄製冷却板上に接触させることによって冷却したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その嵩密度が0.20g/cm3 で、粒径が1.7〜2.2mmで、結晶化度は30.8%で、連続気泡率は23.8%であった。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いて実施例2と同様の要領で直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。冷却水槽から取り出した直後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度は31℃であった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.17g/cm3 で、結晶化度が43.0%で、融着率が10%であり、融着性が悪く、又、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面には部分的に欠陥があり外観性が悪かった。
(比較例2)
実施例1で得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を密閉容器内に供給し、この密閉容器内に二酸化炭素を1.0MPaの圧力で圧入して常温にて6時間に亘って放置してポリ乳酸系樹脂発泡粒子に二酸化炭素を含浸した。
上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を密閉容器から取り出し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を70℃の熱風で2分間に亘って加熱して発泡させ、密度が0.056g/cm3 、結晶化度が35.9%、連続気泡率が11.2%のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を実施例2と同様の要領で金型内に充填して加熱、発泡させて直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。冷却水槽から取り出した直後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度は31℃であった。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.052g/cm3 で、結晶化度が44.3%で、融着率が0%であり、融着性が悪く、又、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面には部分的に欠陥があり外観性が悪かった。
(比較例3)
イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなるブタンをポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.71重量部の代わりに0.93重量部となるようにしたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その嵩密度が0.18g/cm3 で、粒径が1.7〜2.2mmで、結晶化度は23.7%で、連続気泡率は30.4%であった。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用い、加熱水槽内の水の温度を75℃の代わりに95℃とし、加熱水槽内の水中に金型を5分間の代わりに30分間に亘って完全に浸漬させたこと以外は実施例1と同様にして直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。冷却水槽から取り出した直後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度は33℃であった。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.15g/cm3 で、結晶化度が43.3%で、融着率が30%であり、融着性が悪く、又、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面には部分的に欠陥があり外観性が悪かった。
(比較例4)
加熱水槽内の水の温度を75℃の代わりに58℃としたこと以外は実施例1と同様にして直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。冷却水槽から取り出した直後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度は31℃であった。なお、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、その見掛け密度が0.17g/cm3 で、結晶化度が29.8%で、融着率が30%であり、融着性が悪く、又、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面には部分的に欠陥があり外観性が悪かった。
(比較例5)
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充填した金型を加熱水槽内の水中に浸漬する代わりに、75℃に維持された空気循環式電気オーブン内に放置したこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造を試みたが、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士は全く融着しておらず、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができなかった。
実施例3,4で得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体の耐熱性を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
(耐熱性)
得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を120℃に維持された電気オーブン内に22時間に亘って放置し、電気オーブン内に放置する前後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の寸法を測定し、下記式に基づいて寸法変化率を算出し耐熱性として評価した。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の寸法は、縦方向、横方向及び高さ方向の寸法の相加平均値とした。
寸法変化率(%)=100×(加熱後の寸法−加熱前の寸法)/加熱前の寸法
Figure 0004773870

Claims (2)

  1. 結晶化度が30%以下で且つ連続気泡率が30%以下のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を60〜100℃の水で加熱することによって上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させて上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士を一体化させた後に冷却することを特徴とするポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造方法。
  2. ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充填した金型を60〜100℃の水中に浸漬させることによって上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱することを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の製造方法。
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