JP5216619B2 - 型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法に関する。
ポリ乳酸系樹脂は、天然に存在する乳酸を重合されて得られた樹脂であり、自然界に存在する微生物によって分解可能な生分解性樹脂であると共に、常温での機械的特性についても優れていることから注目を集めている。
ポリ乳酸系樹脂は、一般に、D−乳酸及び/又はL−乳酸を重合させるか、或いは、L−ラクチド、D−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群から選ばれた一又は二以上のラクチドを開環重合させることによって製造されている。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させてポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造する方法としては、型内発泡成形が提案されている。上記型内発泡成形とは、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、熱水や水蒸気などの熱媒体によってポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱して発泡させ、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡圧によって発泡粒子同士を融着一体化させて所望形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を製造する方法である。
特許文献1には、生分解性ポリエステル系樹脂により型内成形用の予備発泡粒子を連続して製造するに際し、生分解性ポリエステル系樹脂と発泡剤とを押出機で混練し、発泡されたストランドとして押出し、この発泡ストランドをカットして予備発泡粒子を得るようにしたことを特徴とする生分解性ポリエステル系樹脂予備発泡粒子の連続製造方法が開示されている。そして、上記発泡ストランドをカットする方法として、発泡しつつあるストランドを冷却しながらカットする、所謂ホットカット方式が好ましいことが開示されている(段落番号〔0030〕)。
しかしながら、発泡ストランドをカットして予備発泡粒子を製造するにあたって、予備発泡粒子同士の合着を生じ、生産性が低いといった問題点を有している。
又、特許文献2には、押出機先端に取付けたダイより押出された溶融樹脂をダイ面を摺接しながら回転するカッターで切断してペレット化し、水中に落下させて冷却する空中ホットカット方式による造粒方法において、上記樹脂がポリ4−メチル−1ペンテンであり、ダイ面に形成される溶融樹脂膜を固化するため冷却水を散布ないし噴霧させる造粒方法が記載されている。
上記造粒方法は、合着ペレットやグレープ状ペレットの発生率を低減させるために、ダイ面に冷却水を散布又は噴霧して溶融樹脂膜を固化させてダイ面から剥離させ、カッター刃とダイ面との密着性を良好に維持し、カッターによって溶融樹脂を切断する際の切れ味を良好に保持するものである。
しかしながら、上記造粒方法では、ダイから押出された溶融樹脂に冷却水がかかり、溶融樹脂の発泡が阻害され、溶融樹脂の発泡倍率が低下するといった問題点を生じる。そして、ダイに冷却水を直接、散布又は噴霧するためにノズルの目詰まりが頻繁に発生し、発泡粒子の粒径や発泡倍率にばらつきが生じるといった問題点を有している。
特開2002−302567号公報 特許第3996695号公報
本発明は、ノズル金型から押出されたポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃によって切断して得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の合着数を低減させて型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子(以下「ポリ乳酸系樹脂発泡粒子」と略することがある)を効率的に製造することができる型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法を提供する。
本発明の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法は、ポリ乳酸系樹脂及び増粘剤を含有し且つ180℃における粘度が4900〜20000Pa・sであるポリ乳酸系樹脂組成物を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練する工程と、上記押出機の前端に取り付けたノズル金型からポリ乳酸系樹脂押出物を押出し、このポリ乳酸系樹脂押出物を発泡させながら、上記ノズル金型の前端面に接触しながら回転する回転刃によって切断してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造し、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を切断応力によって飛散させる工程と、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を上記ノズル金型の前方に配設した冷却部材に衝突させて冷却する工程とを備えていることを特徴とする。
先ず、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造に用いられる製造装置について説明する。図1中、1は、押出機の前端に取り付けられたノズル金型である。このノズル金型は、ポリ乳酸系樹脂組成物を押出発泡させて均一微細な気泡を形成でき好ましい。そして、図2に示したように、ノズル金型2の前端面1aには、ノズルの出口部11、11・・・が複数個、同一仮想円A上に等間隔毎に形成されている。なお、押出機の前端に取り付けるノズル金型は、ノズル内においてポリ乳酸系樹脂組成物が発泡しなければ、特に限定されない。
ノズル金型1のノズルの数は、少ないと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造効率が低下する一方、多いと、互いに隣接するノズルから押出発泡されるポリ乳酸系樹脂押出物同士が接触して合体し、或いは、ポリ乳酸系樹脂押出物を切断して得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士が合体することがあるので、2〜80個が好ましく、5〜60個がより好ましく、8〜50個が特に好ましい。
ノズル金型1におけるノズルの出口部11の直径は、小さいと、押出圧力が高くなりすぎて押出発泡が困難となることがある一方、大きいと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の径が大きくなって金型への充填性が低下するので、0.2〜2mmが好ましく、0.3〜1.6mmがより好ましく、0.4〜1.2mmが特に好ましい。
そして、ノズル金型1におけるノズルの出口部11におけるポリ乳酸系樹脂組成物の剪断速度は、小さいと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡倍率が低下し或いはポリ乳酸系樹脂発泡粒子の気泡が粗大となることがある一方、大きいと、フラクチャーが発生して安定的に押出発泡することができないことがあるので、1000〜30000sec-1が好ましく、2000〜25000sec-1がより好ましく、3000〜20000sec-1が特に好ましい。
なお、ノズル金型のノズルの出口部11における剪断速度は、下記式に基づいて算出されたものをいう。
剪断速度(sec-1)=4×Q/(πr3
但し、Qは、ポリ乳酸系樹脂組成物の体積押出量(cm3/sec)であり(Qを質量押出量(g/sec)から算出する場合は、ポリ乳酸系樹脂組成物の密度は1.0g/cm3とする)、rは、ノズルの半径(cm)である。
又、フラクチャーを低減させるために、ノズル金型1のランド部の長さは、ノズル金型1のノズルにおける出口部11の直径の4〜30倍が好ましく、ノズル金型1のノズルにおける出口部11の直径の5〜20倍がより好ましい。これは、ノズル金型のランド部の長さがノズル金型のノズルの出口部直径に比較して小さいと、フラクチャーが発生して安定的に押出発泡することができないことがある一方、ノズル金型のランド部の長さがノズル金型のノズルの出口部直径に比較して大きいと、ノズル金型に大きな圧力が加わり過ぎて押出発泡ができない場合があるからである。
そして、ノズル金型1の前端面1aにおけるノズルの出口部11、11・・・で囲まれた部分には、回転軸2が前方に向かって突出した状態に配設されており、この回転軸2は、後述する冷却部材4を構成する冷却ドラム41の前部41aを貫通してモータなどの駆動部材3に連結されている。
更に、上記回転軸2の後端部の外周面には一枚又は複数枚の回転刃5、5・・・が一体的に設けられており、全ての回転刃5は、その回転時には、ノズル金型1の前端面1aに常時、接触した状態となる。なお、回転軸2に複数枚の回転刃5、5・・・が一体的に設けられている場合には、複数枚の回転刃5、5・・・は回転軸2の周方向に等間隔毎に配列されている。又、図2では、一例として、四個の回転刃5、5・・・を回転軸2の外周面に一体的に設けた場合を示した。
そして、回転軸2が回転することによって回転刃5、5・・・は、ノズル金型1の前端面1aに常時、接触しながら、ノズルの出口部11、11・・・が形成されている仮想円A上を移動し、ノズルの出口部11、11・・・から押出されたポリ乳酸系樹脂押出物を順次、連続的に切断可能なように構成されている。
又、ノズル金型1の少なくとも前端部と、回転軸2とを包囲するように冷却部材4が配設されている。この冷却部材4は、ノズル金型1よりも大径な正面円形状の前部41aと、この前部41aの外周縁から後方に向かって延設された円筒状の周壁部41bとを有する有底円筒状の冷却ドラム41とを備えている。
更に、冷却ドラム41の周壁部41bにおけるノズル金型1の外方に対応する部分には、冷却液42を供給するための供給口41cが内外周面間に亘って貫通した状態に形成されている。冷却ドラム41の供給口41cの外側開口部には冷却液42を冷却ドラム41内に供給するための供給管41dが接続されている。
冷却液42は、供給管41dを通じて、冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に沿って斜め前方に向かって供給されるように構成されている。そして、冷却液42は、供給管41dから冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に供給される際の流速に伴う遠心力によって、冷却ドラム41の周壁部41b内周面に沿って螺旋状を描くように前方に向かって進む。そして、冷却液42は、周壁部41bの内周面に沿って進行中に、徐々に進行方向に直交する方向に広がり、その結果、冷却ドラム41の供給口41cより前方の周壁部41bの内周面は冷却液42によって全面的に被覆された状態となるように構成されている。
なお、冷却液42としては、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を冷却することができれば、特に限定されず、例えば、水、アルコールなどが挙げられるが、使用後の処理を考慮すると、水が好ましい。
そして、冷却ドラム41の周壁部41bの前端部下面には、その内外周面間に亘って貫通した状態に排出口41eが形成されており、この排出口41eの外側開口部には排出管41fが接続されており、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子及び冷却液42を連続的に排出できるように構成されている。
次に、本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂について説明する。本発明で用いられるポリ乳酸系樹脂は、一般に市販されているポリ乳酸系樹脂を用いることができ、具体的には、D−乳酸及びL−乳酸をモノマーとして共重合させるか、D−乳酸又はL−乳酸の何れか一方をモノマーとして重合させるか、或いは、D−ラクチド、L−ラクチド及びDL−ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドを開環重合させることによって得ることができ、何れのポリ乳酸系樹脂であってもよい。
そして、ポリ乳酸系樹脂を製造するに際して、モノマーとしてD体とL体とを併用した場合においてD体若しくはL体のうちの少ない方の光学異性体の割合が5モル%未満である場合、又は、モノマーとしてD体若しくはL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを用いた場合、即ち、上記ポリ乳酸系樹脂が、その構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が5モル%未満であるか、或いは、構成モノマー成分としてD体又はL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを含有している場合は、得られるポリ乳酸系樹脂は、その結晶性が高くなり融点が高くなる一方、モノマーとしてD体とL体とを併用した場合においてD体又はL体のうちの少ない方の割合が5モル%以上である時は、少ない方の光学異性体が増加するにしたがって、得られるポリ乳酸系樹脂は、その結晶性が低くなり、やがて非結晶となる。
従って、本発明では、構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が5モル%未満であるポリ乳酸系樹脂か、或いは、構成モノマー成分としてD体又はL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを含有しているポリ乳酸系樹脂を用いることが好ましい。このようなポリ乳酸系樹脂を用いることによって、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の耐熱性を高いものとすることができる。
更に、D体とL体をモノマーとして併用して重合させて得られたポリ乳酸系樹脂としては、D体又はL体のうちの何れか少ない方の光学異性体の割合が4モル%未満であるモノマーを重合させて得られたポリ乳酸系樹脂が好ましく、D体又はL体のうちの何れか少ない方の光学異性体の割合が3モル%未満であるモノマーを重合させて得られたポリ乳酸系樹脂がより好ましく、D体又はL体のうちの何れか少ない方の光学異性体の割合が2モル%未満であるモノマーを重合させて得られたポリ乳酸系樹脂が特に好ましい。
即ち、構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が4モル%未満であるポリ乳酸系樹脂が好ましく、構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が3モル%未満であるポリ乳酸系樹脂がより好ましく、構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が2モル%未満であるポリ乳酸系樹脂が更に好ましい。
そして、構成モノマー成分としてD体及びL体を含有するポリ乳酸系樹脂は、D体又はL体のうちの何れか少ない方の光学異性体の割合が少なくなればなる程、ポリ乳酸系樹脂は、その結晶性のみならず融点も上昇する。よって、発泡粒子を金型内に充填して発泡させて得られる発泡成形体の耐熱性も向上し、発泡成形体は高い温度であってもその形態を維持することができる。従って、発泡成形体を金型から高い温度のまま取り出すことが可能となって発泡成形体の金型内における冷却時間が短縮され、発泡成形体の生産効率を向上させることもできる。
ここで、ポリ乳酸系樹脂中におけるD体又はL体の含有量は以下の方法によって測定することができる。ポリ乳酸系樹脂を凍結粉砕し、ポリ乳酸系樹脂の粉末200mgを三角フラスコ内に供給した後、三角フラスコ内に1Nの水酸化ナトリウム水溶液30ミリリットルを加える。そして、三角フラスコを振りながら65℃に加熱してポリ乳酸系樹脂を完全に溶解させる。しかる後、1N塩酸を三角フラスコ内に供給して中和し、pHが4〜7の分解溶液を作製し、メスフラスコを用いて所定の体積とする。
次に、分解溶液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、液体クロマトグラフを用いて分析し、得られたチャートに基づいてD体及びL体由来のピーク面積から面積比を存在比としてD体量及びL体量を算出する。そして、上述と同様の要領を5回繰り返して行い、得られたD体量及びL体量をそれぞれ相加平均して、ポリ乳酸系樹脂のD体量及びL体量とした。
HPLC装置(液体クロマトグラフ):日本分光社製 商品名「PU-2085 Plus型システ
ム」
カラム:住友分析センター社製 商品名「SUMICHIRAL OA5000」(4.6mmφ×250mm)
カラム温度:25℃
移動相:2mMCuSO4水溶液と2-プロパノールとの混合液
(CuSO4水溶液:2-プロパノール(体積比)=95:5)
移動相流量:1.0ミリリットル/分
検出器:UV 254nm
注入量:20マイクロリットル
そして、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、押出発泡によって製造される。従って、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂組成物のポリ乳酸系樹脂は、その融点(mp)と、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとが下記式1を満たすように調整されることが好ましい。
(ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃)
≦(交点における温度T)≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
ここで、動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率は、粘弾性において弾性的な性質を示す指標であって、発泡過程における気泡膜の弾性の大小を示す指標であり、発泡過程において、気泡膜の収縮力に抗して気泡を膨張させるのに必要な発泡圧の大小を示す指標である。
即ち、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率が低いと、気泡膜が伸長された場合、気泡膜が伸長力に抗して収縮しようとする力が小さく、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造に必要とする発泡圧によって発泡膜が容易に伸長してしまう結果、気泡膜が過度に伸長してしまい破泡を生じる一方、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率が高いと、気泡膜に伸長力が加わった場合、伸長に抗する気泡膜の収縮力が大きく、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造に必要とする発泡圧で一旦、気泡が膨張したとしても、温度低下などに起因する経時的な発泡圧の低下に伴って気泡が収縮してしまう。
又、動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率は、粘弾性において粘性的な性質を示す指標であって、発泡過程における気泡膜の粘性を示す指標であり、発泡過程において、気泡膜をどの程度まで破れることなく伸長させることができるかの許容範囲を示す指標であると同時に、発泡圧によって所望大きさに気泡を膨張させた後、この膨張した気泡をその大きさに維持する能力を示す指標でもある。
即ち、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率が低いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造に必要とする発泡圧によって気泡膜が伸長された場合、気泡膜が容易に破れてしまう一方、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率が高いと、発泡力が気泡膜によって熱エネルギーに変換されてしまい、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造時に気泡膜を円滑に伸長させることが難しくなり、気泡を膨張させることが困難になる。
このように、ポリ乳酸系樹脂組成物を発泡させてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造するにあたっては、発泡過程において、ポリ乳酸系樹脂は、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得るために必要とされる発泡圧によって気泡膜が破れることなく適度に伸長するための弾性力、即ち、貯蔵弾性率を有している必要があると共に、上記発泡圧によって気泡膜が破れることなく円滑に伸長し、所望大きさに膨張した気泡をその大きさに発泡圧の経時的な減少にかかわらず維持しておくための粘性力、即ち、損失弾性率を有していることが好ましい。
つまり、押出発泡工程において、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率及び損失弾性率の双方が押出発泡に適した値を有していることが好ましく、このような押出発泡に適した貯蔵弾性率及び損失弾性率を押出発泡工程においてポリ乳酸系樹脂に付与するために、ポリ乳酸系樹脂における動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T(以下「貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T」ということがある)と、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが、好ましくは下記式1を満たすように、より好ましくは式2を満たすように調整することによって、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率及び損失弾性率をそれらのバランスをとりながら押出発泡に適したものとしてポリ乳酸系樹脂の押出発泡性を良好なものとし、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を安定的に製造することができる。
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃〕
≦交点における温度T≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−35℃〕
≦交点における温度T≦〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−10℃〕
・・・式2
更に、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが上記式1を満たすように調整するのが好ましい理由を下記に詳述する。
先ず、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも40℃を越えて低い場合には、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の損失弾性率が貯蔵弾性率に比して大き過ぎるために、損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまう。
そこで、ポリ乳酸系樹脂の損失弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の粘性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の弾性力にとっては発泡力が大き過ぎてしまい、気泡膜が破れて破泡を生じて良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができず、逆に、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の弾性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の粘性力にとっては発泡力が小さく、ポリ乳酸系樹脂が発泡しにくくなり、やはり良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることが困難となる。
又、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも高いと、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率が損失弾性率に比して大き過ぎるために、上述と同様に損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまう。
そこで、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の弾性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の粘性力にとっては発泡力が大き過ぎてしまい、気泡膜が破れて破泡を生じ良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができず、逆に、ポリ乳酸系樹脂の損失弾性率に適した発泡力、即ち、ポリ乳酸系樹脂の粘性に合わせた発泡力とすると、ポリ乳酸系樹脂の弾性力にとっては発泡力が小さく、ポリ乳酸系樹脂が発泡力で一旦、発泡したとしても、経時的な発泡力の低下に伴って気泡が収縮してしまって、やはり良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることが困難となる。
そして、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが上記式1を満たすように調整する方法としては、ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量が高くなるにしたがって、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tが高くなることから、ポリ乳酸系樹脂の重合時に反応時間或いは反応温度を調整することによって、得られるポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を調整する方法、押出発泡前に或いは押出発泡時にポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を増粘剤や架橋剤を用いて調整する方法が挙げられる。
ここで、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、JIS K7121:1987に準拠してポリ乳酸系樹脂の示差走査熱量分析を行い、得られたDSC曲線における融解ピークの温度をポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とする。なお、融解ピークの温度が複数個ある場合には、最も高い温度とする。
又、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは下記の要領で測定されたものをいう。先ず、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造する要領において、発泡剤を添加しないこと以外は同様の要領にて、ポリ乳酸系樹脂粒子を得る。
このポリ乳酸系樹脂粒子を9.33×104Paの減圧下にて80℃で3時間に亘って乾燥する。このポリ乳酸系樹脂粒子を該ポリ乳酸系樹脂粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の融点よりも40〜50℃だけ高い温度に加熱した測定プレート上に載置して窒素雰囲気下にて5分間に亘って放置し溶融させる。
次に、直径が25mmの平面円形状の押圧板を用意し、この押圧板を用いて測定プレート上のポリ乳酸系樹脂を押圧板と測定プレートとの対向面間の間隔が1mmとなるまで上下方向に押圧する。そして、押圧板の外周縁からはみ出したポリ乳酸系樹脂を除去した後、5分間に亘って放置する。
しかる後、歪み5%、周波数1rad/秒、降温速度2℃/分、測定間隔30秒の条件下にて、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定を行って貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定する。次に、横軸を温度とし、縦軸を貯蔵弾性率及び損失弾性率として、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描く。なお、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描くにあたっては、測定温度を基準として互いに隣接する測定値同士を直線で結ぶ。
そして、得られた貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tを上記グラフから読み取ることによって得ることができる。なお、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線とが複数箇所において互いに交差する場合は、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との複数の交点における温度のうち最も高い温度を、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとする。
又、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは、Reologica Instruments A.B 社から商品名「DynAlyser DAR-100」にて市販さ
れている動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。
そして、上記ポリ乳酸系樹脂及び増粘剤を含有し且つ180℃における粘度が4900〜20000Pa・sであるポリ乳酸系樹脂組成物を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練した後、押出機の前端に取り付けたノズル金型1からポリ乳酸系樹脂押出物を押出発泡させながら回転刃5によって切断しポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造する。
なお、上記押出機としては、従来から汎用されている押出機であれば、特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機、複数の押出機を連結させたタンデム型の押出機が挙げられる。
ノズル金型1から押出発泡された直後の溶融状態のポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃によって切断していることから、ポリ乳酸系樹脂押出物同士が切断中に或いはポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士がポリ乳酸系樹脂押出物の切断後に接触した場合、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士が合着し易い。
特に、ポリ乳酸系樹脂は、押出機内での加熱によって加水分解し樹脂劣化により分子量の低下を生じ、その結果、ポリ乳酸系樹脂の粘度が低下してポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の合着が生じやすい。
ここで、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の合着を抑える方法として、ノズル金型のノズル数を減らすか、或いは、ノズル同士の間隔を広げる方法が考えられるが、この方法では、型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造効率の低下を招き好ましくない。
そこで、本発明では、ポリ乳酸系樹脂及び増粘剤を含有するポリ乳酸系樹脂組成物を押出機に供給している。このように、ポリ乳酸系樹脂に増粘剤を含有させてポリ乳酸系樹脂組成物の粘度を上昇させている。
更に、ポリ乳酸系樹脂に増粘剤を含有させることによって押出機内における加水分解に起因した樹脂劣化を防止し、ポリ乳酸系樹脂の分子量の低下を防止してポリ乳酸系樹脂組成物の粘度低下も防止している。
このように、ポリ乳酸系樹脂に増粘剤を含有させることによって、ポリ乳酸系樹脂の分解を抑制しながら、増粘剤によって積極的にポリ乳酸系樹脂組成物の粘度を上昇させ、ポリ乳酸系樹脂押出物を切断中又は切断後に、ポリ乳酸系樹脂押出物同士又はポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士が衝突した場合にあっても、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士が合着するのを効果的に低減させている。
上記増粘剤としては、ポリ乳酸系樹脂に含有させることによってポリ乳酸系樹脂組成物の粘度を上昇させる添加剤であれば、特に限定されないが、カルボジイミド化合物、イソシアネ−ト化合物、エポキシ基を含有する化合物、オキサゾリン基を含有する化合物が好ましく、押山機内でのポリ乳酸系樹脂の加水分解の抑制効果が高く、樹脂劣化によるポリ乳酸系樹脂の分子量の低下を効果的に防止することができるので、カルボジイミド化合物がより好ましい。なお、増粘剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
力ルボジイミド化合物としては、分子内に2個以上の(−N=C=N−)で表されるカルボジイミド基を有しておればよく、カルボジイミド基を二個以上有する多価カルボジイミド化合物としては、例えば、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(4,4’−ビフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(1,6−へキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(1,3−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5−トリイソプロピルベンゼンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)などのポリカルボジイミド化合物が挙げられる。なお、ポリカルボジイミド化合物としては、例えば、日清紡社から商品名「力ルボジライトLA−1」で市販されている。
又、イソシアネート化合物としては、イソシアネート基を二個以上有する多価イソシアネート化合物であればよく、例えば、多官能芳香族イソシアネート、多官能脂肪族イソシアネート、芳香族ポリイソシアネート又は脂肪族ポリイソシアネートの何れであってもよい。
具体的には、イソシアネート化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、 トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(p−イソシアナトフェニル)チオフォスファイト、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどが挙げられる。
又、エポキシ基を含有する化合物としては、エポキシ基を含有するアクリル・スチレン系化合物が好ましく、構成モノマー成分として、エポキシ基を含有するアクリル系単量体と、スチレン系単量体とを含有してなるビニル重合体がより好ましい。
そして、エポキシ基を含有するアクリル系単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、本発明において、(メタ)アクリルは、アクリル又はメタクリルを意味する。又、スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどが挙げられる。
更に、構成モノマー成分として、エポキシ基を含有するアクリル系単量体と、スチレン系単量体とを含有してなるビニル重合体は、エポキシ基を含有するアクリル系単量体及びスチレン系単量体以外の単量体を構成モノマー成分として含有していてもよく、このような単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロへキシルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどが挙げられる。
なお、エポキシ基を含有するアクリル・スチレン系化合物は、例えば、東亞合成社から商品名「ARUFON UG−4000」「ARUFON UG−4010」「ARUFON UG−4030」「ARUFON UG−4040」「ARUFON UG−4070」で市販されている。
オキサゾリン化合物としては、例えば、2,2’−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−フェニレンビス(4,4’ −ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビスオキサゾリン、2,2’−テトラメチレンビスオキサゾリン、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)などが挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂組成物の180℃における粘度は、低いと、ノズル金型から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃で切断した時に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士が衝突すると合着を生じる一方、高いと、ポリ乳酸系樹脂組成物の発泡性が低下し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いて型内発泡成形を行った場合にポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の熱融着性が低下するので、4900〜20000Pa・sに限定され、4900〜19000Pa・sが好ましく、4900〜18000Pa・sがより好ましい。
なお、ポリ乳酸系樹脂組成物の180℃における粘度は下記の要領で測定される。先ず、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造する要領において、発泡剤を添加しないこと以外は同様の要領にて、ポリ乳酸系樹脂粒子を得る。
次に、ポリ乳酸系樹脂粒子を射出成形機を用いて180℃にて直径が25mmで且つ厚みが3mmの平面円形状の試験片を作成する。この試験片を3時間に亘って80℃に加熱する。
しかる後、試験片をプレート上に載置し、試験片を窒素雰囲気下にて180℃にて5分間に亘って放置して完全に溶融させる。次に、直径25mmの平面円形状の一対の一定厚みを有する押圧板を用意する。一対の押圧板間に試験片を配設した後、試験片を180℃で5分間に亘って加熱し、しかる後、試験片をその厚みが1mmとなるまで押し潰し、押圧板の外周縁からはみ出したポリ乳酸系樹脂組成物を取り除いて試験体を作製する。なお、一対の押圧板は、その両面が水平となるようにする。試験体を5分間に亘って放置した後、試験体に水平方向の圧力が100Paの一定圧力となるように上側の押圧板を回転させた状態で0〜60秒間の粘度を測定し、55〜60秒の試験体の粘度の相加平均値をポリ乳酸系樹脂組成物の180℃における粘度とする。なお、粘度測定後の試験体に気泡が発生していた場合、この試験体の粘度は採用しない。
そして、押出機に供給するカルボジイミド化合物の量は、少ないと、押出機内におけるポリ乳酸系樹脂の分子量の低下を抑制することができず、或いは、ポリ乳酸系樹脂組成物の粘度を充分に上昇させることができず、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士が衝突した場合にポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士が合着し易くなる一方、多いと、ポリ乳酸系樹脂組成物の粘度が高くなりすぎて、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子を用いて型内発泡成形を行った場合に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の熱融着性が低下することがあるので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、0.03〜4.5重量部がより好ましい。
又、上記発泡剤としては、従来から汎用されているものが用いられ、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウムなどの化学発泡剤;プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサンなどの飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテルなどのエーテル類、塩化メチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタンなどのフロン、二酸化炭素、窒素などの物理発泡剤などが挙げられ、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましい。なお、発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
そして、押出機に供給される発泡剤量としては、少ないと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を所望発泡倍率まで発泡させることができないことがある一方、多いと、発泡剤が可塑剤として作用することから溶融状態のポリ乳酸系樹脂組成物の粘弾性が低下し過ぎて発泡性が低下し良好なポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができない場合があるので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜4重量部がより好ましく、0.3〜3重量部が特に好ましい。
なお、押出機には気泡調整剤が供給されることが好ましいが、気泡調整剤の多くは、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶核剤として作用するため、ポリ乳酸系樹脂の結晶化を促進しない気泡調整剤を用いることが好ましく、このような気泡調整剤としては、ポリテトラフルオロエチレン粉末、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン粉末が好ましい。
又、押出機に供給される気泡調整剤の量としては、少ないと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の気泡が粗大となり、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の外観が低下することがある一方、多いと、ポリ乳酸系樹脂組成物を押出発泡させる際に破泡を生じてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の独立気泡率が低下することがあるので、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して0.01〜3重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好ましく、0.1〜1重量部が特に好ましい。
そして、ノズル金型1から押出されたポリ乳酸系樹脂押出物は引き続き切断工程に入る。ポリ乳酸系樹脂押出物の切断は、回転軸2を回転させ、ノズル金型1の前端面1aに配設された回転刃5、5・・・を好ましくは2000〜10000rpmの一定の回転数で回転させて行う。
全ての回転刃5はノズル金型1の前端面1aに常時、接触しながら回転しており、ノズル金型1から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出物は、回転刃5と、ノズル金型1におけるノズルの出口部11端縁との間に生じる剪断応力によって、一定の時間間隔毎に大気中において切断されてポリ乳酸系樹脂発泡粒子とされる。この時、ポリ乳酸系樹脂押出物の冷却が過度とならない範囲内において、ポリ乳酸系樹脂押出物に水を霧状に吹き付けてもよい。
本発明では、ノズル金型1のノズル内においてポリ乳酸系樹脂組成物が発泡しないようにしている。そして、ポリ乳酸系樹脂組成物は、ノズル金型1のノズルの出口部11から吐出された直後は、未だに発泡しておらず、吐出されてから僅かな時間が経過した後に発泡を始める。従って、ポリ乳酸系樹脂押出物は、ノズル金型1のノズルの出口部11から吐出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する、未発泡部に先んじて押出された発泡途上の発泡部とからなる。
ノズル金型1のノズルの出口部11から突出されてから発泡を開始するまでの間、未発泡部はその状態を維持する。この未発泡部が維持される時間は、ノズル金型1のノズルの出口部11における樹脂圧力や、発泡剤量などによって調整することができる。ノズル金型1のノズルの出口部11における樹脂圧力が高いと、ポリ乳酸系樹脂押出物はノズル金型1から押出されてから直ぐに発泡することはなく未発泡の状態を維持する。ノズル金型1のノズルの出口部11における樹脂圧力の調整は、ノズルの口径、押出量、ポリ乳酸系樹脂組成物の溶融粘度及び溶融張力によって調整することができる。発泡剤量を適正な量に調整することによって金型内部においてポリ乳酸系樹脂組成物が発泡することを防止し、未発泡部を確実に形成することができる。
そして、全ての回転刃5はノズル金型1の前端面1aに常時、接触した状態でポリ乳酸系樹脂押出物を切断していることから、ポリ乳酸系樹脂押出物は、ノズル金型1のノズルの出口部11から吐出された直後の未発泡部において切断されてポリ乳酸系樹脂発泡粒子が製造される。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、ポリ乳酸系樹脂押出物をその未発泡部で切断していることから、切断部の表面には気泡断面は存在しない。そして、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の表面全面は、気泡断面の存在しない表皮層で被覆されている。従って、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、発泡ガスの抜けがなく優れた発泡性を有していると共に連続気泡率も低く、更に、表面の熱融着性にも優れている。
そして、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を型内発泡成形に用いた時、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の表面は、気泡断面が露出していない表皮層から形成されていることから、発泡粒子同士の熱融着性が良好であり、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、表面ムラがなく外観に優れていると共に優れた機械的強度を有している。
又、上述したように、回転刃5は一定の回転数で回転しているが、回転刃5の回転数は、2000〜10000rpmが好ましく、3000〜9000rpmがより好ましく、4000〜8000rmpが特に好ましい。
これは、回転刃5が2000rpmを下回ると、ポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃5によって確実に切断することができず、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士が合着したり、或いは、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の形状が不均一となることがあるからである。
一方、回転刃5の回転数が10000rpmを上回ると下記の問題点を生じ易くなるからである。第一の問題点は、回転刃による切断応力が大きくなって、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子がノズルの出口部から冷却部材に向かって飛散される際に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の初速が速くなる。その結果、ポリ乳酸系樹脂押出物を切断してから、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子が冷却部材に衝突するまでの時間が短くなり、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡が不充分となってポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡倍率が低くなることがある。第二の問題点は、回転刃及び回転軸の摩耗が大きくなって回転刃及び回転軸の寿命が短くなることがあるからである。
そして、上述のようにして得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、回転刃5による切断応力によって切断と同時に外方或いは前方に向かって飛散され、冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に直ちに衝突する。ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、冷却ドラム41に衝突するまでの間も発泡をし続けており、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は発泡によって略球状に成長している。
冷却ドラム41の周壁部41bの内周面は全面的に冷却液42で被覆されており、冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に衝突したポリ乳酸系樹脂発泡粒子は直ちに冷却されて、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡は停止する。このように、ポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃5によって切断した後に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を直ちに冷却液42によって冷却していることから、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の結晶化度が上昇するのを防止していると共に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子が過度に発泡するのを防止している。
従って、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、型内発泡成形時に優れた発泡性及び熱融着性を発揮する。そして、型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度を上昇させて、ポリ乳酸系樹脂組成物の耐熱性を向上させることができ、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、優れた耐熱性を有している。
なお、冷却液42の温度は、低いと、冷却ドラム41の近傍に位置するノズル金型が過度に冷却されて、ポリ乳酸系樹脂組成物の押出発泡に悪影響が生じることがある一方、高いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の結晶化度が高くなり、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の熱融着性が低下することがあるので、0〜45℃が好ましく、5〜40℃がより好ましく、10〜35℃が特に好ましい。
そして、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度は、30%以下が好ましく、3〜28%がより好ましく、5〜26%が特に好ましい。ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度は、ノズル金型1からポリ乳酸系樹脂押出物が押出されてからポリ乳酸系樹脂発泡粒子が冷却液42に衝突するまでの時間や、冷却液42の温度によって調整することができる。
ここで、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度は、示差走査熱量計(DSC)を用いてJIS K7121に記載の測定方法に準拠して10℃/分の昇温速度にて昇温しながら測定された1mg当たりの冷結晶化熱量及び1mg当たりの融解熱量に基づいて下記式により算出することができる。
Figure 0005216619
このようにして得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度は、小さいと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率が上昇して、型内発泡成形における発泡時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子に必要な発泡力を付与することができない虞れがある一方、大きいと、得られるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の気泡が不均一となって、型内発泡成形時におけるポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡性が不充分となることがあるので、0.02〜0.6g/cm3が好ましく、0.03〜0.5g/cm3がより好ましく、0.04〜0.4g/cm3が特に好ましい。
そして、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率は、高いと、型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子が殆ど発泡せず、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の融着性が低くなって、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の機械的強度が低下することがあるので、20%未満が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が特に好ましい。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率の調整は、押出機からのポリ乳酸系樹脂組成物の押出発泡温度、押出機への発泡剤の供給量などを調整することによって行われる。
ここで、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率は下記の要領で測定される。先ず、体積測定空気比較式比重計の試料カップを用意し、この試料カップの80%程度を満たす量のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の全重量A(g)を測定する。次に、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子全体の体積B(cm3)を比重計を用いて1−1/2−1気圧法により測定する。なお、体積測定空気比較式比重計は、例えば、東京サイエンス社から商品名「1000型」にて市販されている。
続いて、金網製の容器を用意し、この金網製の容器を水中に浸漬し、この水中に浸漬した状態における金網製の容器の重量C(g)を測定する。次に、この金網製の容器内に上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を全量入れた上で、この金網製の容器を水中に浸漬し、水中に浸漬した状態における金網製の容器とこの金網製容器に入れたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の全量とを併せた重量D(g)を測定する。
そして、下記式に基づいてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の見掛け体積E(cm3)を算出し、この見掛け体積Eと上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子全体の体積B(cm3)に基づいて下記式によりポリ乳酸系樹脂発泡粒子の連続気泡率を算出することができる。なお、水1gの体積を1cm3 とした。
E=A+(C−D)
連続気泡率(%)=100×(E−B)/E
又、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の粒径は、小さいと、型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡性が低下することがある一方、大きいと、型内発泡成形時に金型内へのポリ乳酸系樹脂発泡粒子の充填性が低下することがあるので、0.5〜5.0mmが好ましく、1.0〜4.5mmがより好ましく、1.5〜4mmが特に好ましい。
ここで、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の粒径は、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の直径を直接、ノギスを用いて測定することができる。具体的には、各ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の切断面における最も長い直径(長径)及び最も短い直径(短径)を測定すると共に、各ポリ乳酸系樹脂発泡粒子における切断面に直交する方向の長さを測定し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の長径、短径及び長さの相加平均値をポリ乳酸系樹脂発泡粒子の粒径とする。
このようにして得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型のキャビティ内に充填して加熱し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させることによって、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を発泡させて発泡粒子同士をそれらの発泡圧によって互いに融着一体化させると共にポリ乳酸系樹脂の結晶化度を上昇させて、融着性及び耐熱性に優れた所望形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。
なお、金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子の加熱媒体としては、特に限定されず、水蒸気の他に、熱風、温水などが挙げられるが、60〜100℃の水を用いることが好ましい。これは、水は、液体状であって比熱が大きいことから、温度が低くても金型内のポリ乳酸系樹脂発泡粒子に発泡に必要な高い熱量を充分に付与することができるからである。
従って、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱し過ぎることなく、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充分に加熱、発泡させることができ、加熱媒体として水蒸気や熱風を用いた時に生じたようなポリ乳酸系樹脂発泡粒子表面の熱収縮を生じさせることなく、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士をそれらの発泡力によって互いに強固に熱融着一体化させることができ、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、優れた機械的強度を有していると共に外観にも優れている。
そして、高圧の水蒸気を用いるのに比べて、低い圧力で型内発泡成形を行うことができるので、金型の設計強度を低く抑えることができ、複雑な形状を有する金型を容易に製作することができると共に、金型自体もコンパクトなものとして取扱性の向上を図ることができ、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の生産性の向上を図ることができる。
加熱媒体として用いる水の温度は、低いと、金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡が不充分となりポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の熱融着性が低下して得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の機械的強度や外観性が低下することがある一方、高いと、水を高圧状態としなければならず、ボイラーなどの大掛かりな設備を要するので、60〜100℃が好ましく、70〜99℃がより好ましく、80〜98℃が特に好ましい。
金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子に60〜100℃の水を供給してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱する方法としては、特に限定されず、例えば、(1)従来から用いられている型内発泡成形機において水蒸気の代わりに60〜100℃の水を金型内に供給する方法、(2)ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充填した金型を、60〜100℃の水中に浸漬してポリ乳酸系樹脂発泡粒子に水を供給する方法などが挙げられ、複雑な形状の金型であっても金型全体、即ち、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を全体的に均一に加熱、発泡させることができることから、上記(2)の方法が好ましい。
金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子の水による加熱時間は、短いと、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の加熱が不充分となってポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の熱融着が不充分となり、或いは、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度が不充分に上昇せず、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の耐熱性が低下することがある一方、長いと、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の生産性が低下するだけであるので、20秒〜1時間が好ましい。
そして、60〜100℃の水でポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱して型内発泡成形を行った後、金型内に形成されたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を冷却した上で金型を開放して所望形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。
金型内に形成されたポリ乳酸系樹脂発泡成形体の冷却は、高いと、金型内のポリ乳酸系樹脂発泡粒子が充分に固化しておらず、金型から取り出した時に膨らんで金型のキャビティ形状通りのポリ乳酸系樹脂発泡成形体とならない虞れがあるので、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の表面温度が好ましくは50℃以下となるように、より好ましくは0〜45℃となるように、特に好ましくは0〜40℃となるように、最も好ましくは0〜35℃となるように冷却する。
ここで、金型内に形成されたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を冷却する方法としては、特に限定されないが、(1)金型を50℃以下の雰囲気中に放置する方法、(2)金型に50℃以下の水又は空気を吹き付ける方法、(3)金型を50℃以下の水中に浸漬させる方法が挙げられ、複雑な形状の金型であっても金型全体を均一に冷却することができることから、上記(3)の冷却方法が好ましい。なお、冷却時間は、冷却方法や金型の大きさなどに応じて適宜、調整されればよく、例えば、50℃以下の水中に金型を浸漬させる場合には、1〜10分が好ましい。
そして、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体の結晶化度は、低いと、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の耐熱性が低下する一方、高いと、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体が脆くなることがあるので、好ましくは40〜65%、より好ましくは45〜64%、特に好ましくは50〜63%となるように型内発泡成形条件を調整するのがよい。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の結晶化度は、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の結晶化度の測定方法と同様であるのでその説明を省略する。
なお、金型を形成している材料としては、特に限定されず、例えば、鉄系金属、アルミニウム系金属、銅系金属、亜鉛系金属などが挙げられ、熱伝導性及び加工性の観点からアルミニウム系金属が好ましい。
更に、型内発泡成形前に、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子に更に不活性ガスを含浸させて、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡力を向上させてもよい。このようにポリ乳酸系樹脂発泡粒子の発泡力を向上させることにより、型内発泡成形時にポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士の融着性が向上し、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体は更に優れた機械的強度を有する。なお、上記不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴンなどが挙げられ、二酸化炭素が好ましい。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子に不活性ガスを含浸させる方法としては、例えば、常圧以上の圧力を有する不活性ガス雰囲気下にポリ乳酸系樹脂発泡粒子を置くことによってポリ乳酸系樹脂発泡粒子中に不活性ガスを含浸させる方法が挙げられる。このような場合、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填する前に不活性ガスを含浸させてもよいが、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填した後に金型ごと不活性ガス雰囲気下に置き、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子に不活性ガスを含浸させてもよい。なお、不活性ガスが二酸化炭素である場合、大気圧に対して0.1〜1.5MPaの二酸化炭素の加圧雰囲気下にてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を20分〜24時間に亘って放置することが好ましい。
上記のように、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子に不活性ガスを含浸させた場合、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子をこのまま、金型内にて加熱、発泡させてもよいが、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を金型内に充填する前に加熱して二次発泡させて、更に高発泡の二次発泡粒子とした上で金型内に充填して加熱、発泡させてもよい。このような二次発泡粒子を用いることによって、高発泡倍率のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得ることができる。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱する加熱媒体としては、乾燥した空気が好ましい。
なお、二次発泡粒子を金型内に充填し成形する場合にも、大気圧に対して0.1〜1.5MPaの不活性ガスの加圧雰囲気、好ましくは二酸化炭素雰囲気中に二次発泡粒子を20分〜24時間に亘って放置して、二次発泡粒子中に不活性ガスを含浸させて発泡性を向上させることが好ましい。
そして、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を二次発泡させて高発泡の二次発泡粒子とする際の温度は、高いと、ポリ乳酸系樹脂の結晶化度が上昇し、二次発泡粒子同士の熱融着性が低下して、得られるポリ乳酸系樹脂発泡成形体の機械的強度及び外観が低下するので、70℃未満が好ましい。
本発明の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法は、上述の如く、回転刃をノズル金型の前端面に常時、接触させながら所定回転数で回転させ、ノズル金型から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出物を上記回転刃によって切断しているので、ポリ乳酸系樹脂押出物を確実に切断して、略球状のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得ることができる。従って、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を型内発泡成形に用いた場合には、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子は全方向に略均一に発泡して、発泡粒子同士が互いに全方向において強固に熱融着一体化する。
更に、本発明の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法では、ポリ乳酸系樹脂及び増粘剤を含有するポリ乳酸系樹脂組成物を押出機に供給しており、ポリ乳酸系樹脂組成物の粘度を増粘剤によって上昇させていると共に、ポリ乳酸系樹脂が押出機内における加熱によって加水分解してポリ乳酸系樹脂の分子量が低下し、ポリ乳酸系樹脂組成物の粘度が低下するのをできるだけ抑えており、その結果、ポリ乳酸系樹脂押出物の切断中にポリ乳酸系樹脂押出物同士が接触し、又は、ポリ乳酸系樹脂押出物の切断後にポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士が衝突しても合着しにくく、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を効率良く製造することができる。
又、上記型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法において、増粘剤がカルボジイミド化合物である場合には、押山機内でのポリ乳酸系樹脂の加水分解を更に抑制し、ポリ乳酸系樹脂の分解による分子量の低下を抑制してポリ乳酸系樹脂の粘度低下をより効果的に抑えており、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を更に効率良く製造することができる。
型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造装置の一例を示した模式断面図である。 マルチノズル金型を正面から見た模式図である。
1 ノズル金型
2 回転軸
3 駆動部材
4 冷却部材
41 冷却ドラム
42 冷却液
5 回転刃
本発明においてポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量、分散度、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度、合着粒子割合及び成形性、並びに、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の加熱寸法変化率は下記の要領によって測定されたものをいう。
(ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量及び分散度)
各実施例及び比較例において発泡剤を用いないこと以外は同様の要領にてポリ乳酸系樹脂粒子を作製し、得られたポリ乳酸系樹脂粒子約30mgをクロロホルム10ミリリットルに溶解し、非水系0.45μmクロマトディスクでろ過後、HPLC装置(液体クロマトグラフ)(Water社製 商品名「Detector484、Pump510」)を用いてポリスチレン換算重量平均分子量及び分散度を測定した。
なお、測定条件としては、
カラム:昭和電工社製 商品名「Shodex GPC K-806L」(φ8.0mm×300mm)二本
カラム温度:40℃
移動相:クロロホルム
移動相流量:1.2ミリリットル/分
注入・ポンプ温度:室温
検出:UV254nm
注入量:50ミリリットル
検量線用標準ポリスチレン:
昭和電工社製 商品名「Shodex」重量平均分子量 1030000
東ソー社製 重量平均分子量 5480000,3840000,355000,102000,37900,9100,2630,495
(ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度)
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。即ち、JIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度を測定した。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度(g/cm3
=〔試料を入れたメスシリンダーの質量(g)−メスシリンダーの質量(g)〕
/〔メスシリンダーの容量(cm3)〕
(合着粒子割合)
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子を5ミリリットルの容器ですくい取り、容器内に入っているポリ乳酸系樹脂発泡粒子の数A(個)を数えると共に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子が二つ以上合体してなる合着粒子の数B(個)を数え、下記式に基づいて算出した。なお、合着粒子は一個として数えた。
合着粒子割合(%)=100×B/A
(成形性)
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を密閉容器内に入れ、この密閉容器内に二酸化炭素を0.30MPaの圧力にて圧入して常温にて24時間に亘って放置してポリ乳酸系樹脂発泡粒子に二酸化炭素を含浸させた。
次に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子をアルミニウム製の金型のキャビティ内に充填した。なお、金型のキャビティの内寸は、縦30mm×横300mm×高さ300mmの直方体形状であった。又、金型に、この金型のキャビティ内と金型外部とを連通させるために、直径が8mmの円形状の供給口を20mm間隔毎に合計252個形成した。なお、各供給口には、開口幅が1mmの格子部を設けてあり、金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子がこの供給口を通じて金型外に流出しないように形成されている一方、金型の供給口を通じて金型外からキャビティ内に水を円滑に供給することができるように構成されている。
そして、加熱水槽内に95℃に維持された水を溜め、この加熱水槽内の水中に、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充填した金型を完全に5分間に亘って浸漬して、金型の供給口を通じて金型のキャビティ内のポリ乳酸系樹脂発泡粒子に水を供給し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱、発泡させてポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士を熱融着一体化させた。
次に、加熱水槽内から金型を取り出した。そして、別の冷却水槽に20℃に維持された水を溜め、この冷却水槽内に金型を完全に5分間に亘って浸漬して、金型内のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を冷却した。
上記の方法で得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体の外観を目視観察して下記基準にて評価した。
○:ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の伸びが良く、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体はキャビティ形
状に成形されていた。
×:合着粒子が多く、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の伸びが悪くなるため、ポリ乳酸系樹脂
発泡成形体の外観が悪かった。
(加熱寸法変化率)
成形性の測定要領と同様の要領でポリ乳酸系樹脂発泡成形体を成形した。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を120℃に維持された電気オーブン内に22時間に亘って放置した。
次に、電気オーブン内に放置する前後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の寸法を測定し、下記式に基づいて加熱寸法変化率を算出した。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の寸法は、縦方向、横方向及び高さ方向の寸法の相加平均値とした。
加熱寸法変化率(%)=100×(加熱後の寸法−加熱前の寸法)/加熱前の寸法
(実施例1)
図1及び図2に示した製造装置を用いて型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造した。先ず、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製 商品名「TERRAMAC HV−6250H」、融点(mp):169.1℃、D体比率:1.2モル%、L体比率:98.8モル%、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:138.8℃)100重量部、増粘剤としてポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(日清紡社製 商品名「カルボジライトLA−1」)0.2重量部及び気泡調整剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末(旭硝子社製 商品名「フルオンL169J」)0.1重量部を含有するポリ乳酸系樹脂組成物を口径が65mmの単軸押出機に供給して溶融混練した。なお、単軸押出機内において、ポリ乳酸系樹脂組成物を始めは180℃にて溶融混練した後に210℃まで昇温させながら溶融混練した。
続いて、単軸押出機の途中から、イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなるブタンをポリ乳酸系樹脂100重量部に対して1.0重量部となるように溶融状態のポリ乳酸系樹脂組成物に圧入して、ポリ乳酸系樹脂中に均一に分散させた。
しかる後、押出機の先端部において、溶融状態のポリ乳酸系樹脂組成物を180℃に冷却した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型1の各ノズルから剪断速度18118sec-1でポリ乳酸系樹脂組成物を押出発泡させた。なお、マルチノズル金型1の温度は220℃に維持されていた。
なお、マルチノズル金型1は、出口部11の直径が0.5mmのノズルを20個有しており、ノズルの出口部11は全て、マルチノズル金型1の前端面1aに想定した、直径が139.5mmの仮想円A上に等間隔毎に配設されていた。
そして、回転軸2の後端部外周面には、四枚の回転刃5が回転軸2の周方向に等間隔毎に一体的に設けられており、各回転刃5はマルチノズル金型1の前端面1aに常時、接触した状態で仮想円A上を移動するように構成されていた。
更に、冷却部材4は、正面円形状の前部41aと、この前部41aの外周縁から後方に向かって延設され且つ内径が315mmの円筒状の周壁部41bとからなる冷却ドラム41を備えていた。そして、供給管41d及びドラム41の供給口41cを通じて冷却ドラム41内に冷却水42が供給されており、周壁部41bの内面全面には、この内面に沿って20℃の冷却水42が前方に向かって螺旋状に流れていた。
そして、マルチノズル金型1の前端面1aに配設した回転刃5を4800rpmの回転数で回転させてあり、マルチノズル金型1の各ノズルの出口部11から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃5によって切断して略球状のポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造した。ポリ乳酸系樹脂押出物は、マルチノズル金型1のノズルから押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなっていた。そして、ポリ乳酸系樹脂押出物は、ノズルの出口部11の開口端において切断されており、ポリ乳酸系樹脂押出物の切断は未発泡部において行われていた。
なお、上述のポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造にあたっては、先ず、マルチノズル金型1に回転軸2を取り付けず且つ冷却部材4をマルチノズル金型1から退避させておいた。この状態で、単軸押出機からポリ乳酸系樹脂押出物を押出発泡させ、ポリ乳酸系樹脂押出物が、マルチノズル金型1のノズルから押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなることを確認した。次に、マルチノズル金型1に回転軸2を取り付け且つ冷却部材4を所定位置に配設した後、回転軸2を回転させ、ポリ乳酸系樹脂押出物をノズルの出口部11の開口端において回転刃5で切断してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造した。
このポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、回転刃5による切断応力によって外方或いは前方に向かって飛ばされ、冷却部材4の冷却ドラム41の内面に沿って流れている冷却水42に衝突して直ちに冷却された。
冷却されたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、冷却ドラム41の排出口41eを通じて冷却水42と共に排出された後、脱水機にて冷却水42と分離された。得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子は、その粒径が1.0〜2.2mmであり、嵩密度が0.20g/cm3であった。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の表面は、表皮層で全面的に被覆されていた。表皮層には気泡断面は存在していなかった。
次に、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を密閉容器内に入れ、この密閉容器内に二酸化炭素を大気圧に対して0.3MPa高い圧力にて圧入して20℃にて24時間に亘って放置してポリ乳酸系樹脂発泡粒子に二酸化炭素を含浸させた。
続いて、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子をアルミニウム製の金型のキャビティ内に充填した。なお、金型のキャビティの内寸は、縦30mm×横300mm×高さ300mmの直方体形状であった。又、金型に、この金型のキャビティ内と金型外部とを連通させるために、直径が8mmの円形状の供給口を20mm間隔毎に合計252個、形成した。なお、各供給口には、開口幅が1mmの格子部を設けてあり、金型内に充填したポリ乳酸系樹脂発泡粒子がこの供給口を通じて金型外に流出しないように形成されている一方、金型の供給口を通じて金型外からキャビティ内に水を円滑に供給することができるように構成されていた。
そして、加熱水槽内に95℃に維持された水を溜め、この加熱水槽内の水中にポリ乳酸系樹脂発泡粒子を充填した金型を完全に5分間に亘って浸漬して、金型の供給口を通じて金型のキャビティ内のポリ乳酸系樹脂発泡粒子に水を供給し、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を加熱、発泡させてポリ乳酸系樹脂発泡粒子同士を熱融着一体化させた。
次に、加熱水槽内から金型を取り出した。そして、別の冷却水槽に20℃に維持された水を溜め、この冷却水槽内に金型を完全に5分間に亘って浸漬して、金型内のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を冷却した。
金型を冷却水槽から取り出して金型を開放して直方体形状のポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子発泡成形体は、非常に優れた外観を有していた。
(実施例2)
ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(日清紡社製 商品名「カルボジライトLA−1」)を0.2重量部の代わりに2.0重量部としたこと、出口部11の直径が0.7mmであるノズルを40個有し、且つ、ノズルの出口部11が全て、直径が139.5mmの仮想円A上に等間隔毎に配設されてなるマルチノズル金型1を用い、マルチノズル金型1の各ノズルから剪断速度4952sec-1でポリ乳酸系樹脂組成物を押出発泡させたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子及びポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の粒径は1.6〜2.4mmで且つ嵩密度が0.20g/cm3であった。又、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、非常に優れた外観を有していた。
(実施例3)
ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(日清紡社製 商品名「カルボジライトLA−1」)を0.2重量部の代わりに0.05重量部としたこと、出口部11の直径が1.0mmであるノズルを20個有し、且つ、ノズルの出口部11が全て、直径が139.5mmの仮想円A上に等間隔毎に配設されてなるマルチノズル金型1を用い、マルチノズル金型1の各ノズルから剪断速度4529sec-1でポリ乳酸系樹脂組成物を押出発泡させたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子及びポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の粒径は1.8〜2.8mmで且つ嵩密度が0.20g/cm3であった。又、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、非常に優れた外観を有していた。
(実施例4)
増粘剤として、ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(日清紡社製 商品名「カルボジライトLA−1」)0.2重量部、及び、エポキシ基を含有するアクリル・スチレン系化合物とポリ乳酸系樹脂とのマスターバッチ0.5重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子及びポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。
なお、エポキシ基を含有するアクリル・スチレン系化合物とポリ乳酸系樹脂とのマスターバッチは、エポキシ基を含有するアクリル・スチレン系化合物(東亞合成社製 商品名「ARUFON UG−4030」、重量平均分子量:11000、エポキシ価:1.8mmol/g)30重量%と、ポリ乳酸系樹脂(三井化学社製 商品名「LACEA H−100」)70重量%とから構成されていた。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の粒径は1.0〜2.2mmで且つ嵩密度が0.20g/cm3であった。又、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、非常に優れた外観を有していた。
(実施例5)
ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(日清紡社製 商品名「カルボジライトLA−1」)を0.2重量部の代わりに4.0重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子及びポリ乳酸系樹脂発泡成形体を得た。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の粒径は1.0〜2.2mmで且つ嵩密度が0.20g/cm3であった。又、得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、非常に優れた外観を有していた。
(比較例1)
ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)を用いなかったこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を得たが、ポリ乳酸系樹脂発泡粒子が複数個合体してなる合着粒子が発生した。
得られたポリ乳酸系樹脂発泡粒子の粒径は1.0〜2.2mmで且つ嵩密度が0.20g/cm3であった。
(比較例2)
ポリ(4,4’−ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)(日清紡社製 商品名「カルボジライトLA−1」)を0.2重量部の代わりに6重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造しようとしたが、押出時の圧力が高くなり過ぎてポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造することができなかった。
ポリ乳酸系樹脂組成物の粘度を測定し、その結果を表1に示した。ポリ乳酸系樹脂組成物を構成しているポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量(Mw)及び分散度を測定し、その結果を表1に示した。ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の合着粒子割合及び成形性、並びに、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の加熱寸法変化率を測定し、その結果を表2に示した。
Figure 0005216619
Figure 0005216619

Claims (4)

  1. ポリ乳酸系樹脂及び増粘剤を含有し且つ180℃における粘度が4900〜20000Pa・sであるポリ乳酸系樹脂組成物を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練する工程と、上記押出機の前端に取り付けたノズル金型からポリ乳酸系樹脂押出物を押出し、このポリ乳酸系樹脂押出物を発泡させながら、上記ノズル金型の前端面に接触しながら回転する回転刃によって切断してポリ乳酸系樹脂発泡粒子を製造し、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を切断応力によって飛散させる工程と、上記ポリ乳酸系樹脂発泡粒子を上記ノズル金型の前方に配設した冷却部材に衝突させて冷却する工程とを備えていることを特徴とする型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
  2. ポリ乳酸系樹脂が、構成モノマー成分としてD体及びL体の双方の光学異性体を含有し且つD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が5モル%未満であるか、或いは、構成モノマー成分としてD体又はL体のうちの何れか一方の光学異性体のみを含有していることを特徴とする請求項1の記載の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
  3. 増粘剤がカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
  4. 押出機にポリ乳酸系樹脂100重量部に対して増粘剤0.01〜5重量部を供給することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の型内発泡成形用ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の製造方法。
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