JP2011213896A - サンバイザー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】石油由来原料以外の原料により、従来品と同程度以上の機能を有するサンバイザーを提供する。
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂発泡体を型内発泡成形したポリ乳酸系樹脂発泡成形体からなるサンバイザーであって、該ポリ乳酸系樹脂発泡体がポリ乳酸系樹脂を少なくとも含み、前記ポリ乳酸系樹脂が示差走査熱量計で測定した際に結晶化由来の発熱ピークを有し、前記発熱ピークは、それを温度の低い方から第1、第2、第3及び第4の区分に四等分した場合、(1)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計が10J/g以上であり、(2)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計に対して、第1、第3及び第4の区分の発熱量の合計が45%以上である形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡体からなることを特徴とするサンバイザーにより上記課題を解決する。
【選択図】図3
【解決手段】ポリ乳酸系樹脂発泡体を型内発泡成形したポリ乳酸系樹脂発泡成形体からなるサンバイザーであって、該ポリ乳酸系樹脂発泡体がポリ乳酸系樹脂を少なくとも含み、前記ポリ乳酸系樹脂が示差走査熱量計で測定した際に結晶化由来の発熱ピークを有し、前記発熱ピークは、それを温度の低い方から第1、第2、第3及び第4の区分に四等分した場合、(1)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計が10J/g以上であり、(2)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計に対して、第1、第3及び第4の区分の発熱量の合計が45%以上である形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡体からなることを特徴とするサンバイザーにより上記課題を解決する。
【選択図】図3
Description
本発明は、自動車用のサンバイザー及びその製造方法に関する。更に詳しくは、外観及び耐熱性に優れたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を用いたサンバイザー及びその製造方法に関する。
自動車用のサンバイザーには、軽量であること、低温から高温までの激しい温度変化に耐え得ること、繰り返し圧縮に耐え得ること、衝撃吸収性、難燃性、耐熱性及び軽量性に優れることが求められており、より一層の品質改善及び生産コスト低減に向けた取り組みが行われ続けている。
このような、厳しい条件とコストとを両立させる自動車用のサンバイザーとして、熱可塑性ポリエステル系樹脂の予備発泡粒子を型内発泡成形して形成された発泡成形体からなる発泡層で芯材を被覆したものが知られている(特許文献1参照)。
特許文献1にかかる発明は、熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる発泡成型体を利用したものである。しかし、自動車用のサンバイザーの全生産量は膨大な数に昇り、たとえポリエステル系樹脂がリサイクル可能であるとしても、環境や資源という観点から石油由来原料以外の自然循環型の再生可能材料により、従来品と同程度以上の製品を製造することが必要とされる。本発明は、石油由来原料以外の自然循環型の再生可能材料を用いることにより環境や資源の問題を解決し、かつ従来品と同程度以上の機能を有するサンバイザーを提供することをその課題とする。
本発明の発明者等は、鋭意検討の結果、示差走査熱量計で測定した際に結晶化由来の発熱ピークの一部が低温側にシフトしたポリ乳酸系樹脂を含むポリ乳酸系樹脂発泡体であれば、外観、融着性及び耐熱性に優れたサンバイザーを得られること意外にも見出すことで本発明に至った。
かくして本発明によれば、ポリ乳酸系樹脂発泡体を型内発泡成形したポリ乳酸系樹脂発泡成形体からなる自動車内装材であって、該ポリ乳酸系樹脂発泡体がポリ乳酸系樹脂を少なくとも含み、前記ポリ乳酸系樹脂が示差走査熱量計で測定した際に結晶化由来の発熱ピークを有し、
前記発熱ピークは、それを温度の低い方から第1、第2、第3及び第4の区分に四等分した場合、
(1)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計が10J/g以上であり、
(2)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計に対して、第1、第3及び第4の区分の発熱量の合計が45%以上である
形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡体からなることを特徴とするサンバイザーが提供される。
前記発熱ピークは、それを温度の低い方から第1、第2、第3及び第4の区分に四等分した場合、
(1)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計が10J/g以上であり、
(2)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計に対して、第1、第3及び第4の区分の発熱量の合計が45%以上である
形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡体からなることを特徴とするサンバイザーが提供される。
また、本発明によれば、上記のサンバイザーの製造方法であって、
0.05〜0.5g/cm3の嵩密度のポリ乳酸系樹脂1次発泡体をガラス転移温度(Tg)−20℃〜ガラス転移温度(Tg)+5℃の温度範囲で10〜300秒間加熱することで発泡させて、0.02〜0.2g/cm3の嵩密度のポリ乳酸系樹脂高倍発泡体を得ることを特徴とするサンバイザーの製造方法が提供される。
0.05〜0.5g/cm3の嵩密度のポリ乳酸系樹脂1次発泡体をガラス転移温度(Tg)−20℃〜ガラス転移温度(Tg)+5℃の温度範囲で10〜300秒間加熱することで発泡させて、0.02〜0.2g/cm3の嵩密度のポリ乳酸系樹脂高倍発泡体を得ることを特徴とするサンバイザーの製造方法が提供される。
本発明によるサンバイザーは、型内成形時に速やかに結晶化度を上昇できるポリ乳酸系樹脂発泡体からなるので、外観、融着性及び耐熱性に優れたサンバイザーを提供できる。
更に、第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計が12J/g以上であり、
第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計に対して、第1、第3及び第4の区分の発熱量の合計が50%以上である場合、外観、融着性及び耐熱性をより向上できる。
第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計に対して、第1、第3及び第4の区分の発熱量の合計が50%以上である場合、外観、融着性及び耐熱性をより向上できる。
また、ポリ乳酸系樹脂が、乳酸又はラクチドのD体及びL体の双方の光学異性体からなるモノマー成分を含有しかつD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が5モル%未満であるか、あるいは、D体又はL体のうちのいずれか一方の光学異性体からなるモノマー成分のみに由来する場合、外観、融着性及び耐熱性をより向上できる。
更に、ポリ乳酸系樹脂が、30J/g以上の結晶融解の吸熱ピークの吸熱量を有する場合、外観、融着性及び耐熱性をより向上できる。
また、ポリ乳酸系樹脂発泡体が、0.05〜0.5g/cm3の嵩密度のポリ乳酸系樹脂1次発泡体を加熱することで発泡して得られた0.02〜0.2g/cm3の嵩密度のポリ乳酸系樹脂高倍発泡体である場合、外観、融着性及び耐熱性をより向上できる。
更に、0.05〜0.5g/cm3の嵩密度のポリ乳酸系樹脂1次発泡体をガラス転移温度(Tg)−20℃〜ガラス転移温度(Tg)+5℃の温度範囲で10〜300秒間加熱することで発泡させて、ポリ乳酸系樹脂発泡体として、0.02〜0.2g/cm3の嵩密度のポリ乳酸系樹脂高倍発泡体を得る場合、外観、融着性及び耐熱性をより向上可能なサンバイザーを簡便に製造できる。
(発熱ピーク)
本発明によるサンバイザーは、特定の示差走査熱量計(DSC)で測定した際に結晶化由来の発熱ピーク(非結晶から結晶へ遷移する際の発熱量に対応)を有するポリ乳酸系樹脂発泡体からなる。具体的には、この発熱ピークは、それを温度の低い方から第1、第2、第3及び第4の区分に四等分した場合、
(1)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量(以下、全発熱量ともいう)の合計が10J/g以上であり、
(2)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計に対して、第1、第3及び第4の区分の発熱量の合計が45%以上である
形状を有している。要するに、構成(1)で発熱ピークの大きさが特定され、構成(2)で発熱ピークの横の広がりが特定されている。なお、全発熱量及び発熱量は絶対値であり、発熱ピークの面積に対応している。また、結晶化由来の発熱ピークは、ポリ乳酸系樹脂の種類によっても異なるが、通常60〜110℃の範囲に発現する。
本発明によるサンバイザーは、特定の示差走査熱量計(DSC)で測定した際に結晶化由来の発熱ピーク(非結晶から結晶へ遷移する際の発熱量に対応)を有するポリ乳酸系樹脂発泡体からなる。具体的には、この発熱ピークは、それを温度の低い方から第1、第2、第3及び第4の区分に四等分した場合、
(1)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量(以下、全発熱量ともいう)の合計が10J/g以上であり、
(2)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計に対して、第1、第3及び第4の区分の発熱量の合計が45%以上である
形状を有している。要するに、構成(1)で発熱ピークの大きさが特定され、構成(2)で発熱ピークの横の広がりが特定されている。なお、全発熱量及び発熱量は絶対値であり、発熱ピークの面積に対応している。また、結晶化由来の発熱ピークは、ポリ乳酸系樹脂の種類によっても異なるが、通常60〜110℃の範囲に発現する。
なお、発泡体は、粒子状であっても、粒子の集合体状であってもよいが、粒子状であることが後の発泡成形の際の取り扱いが容易であるため好ましい。
ところで、上記特許文献中には結晶性ポリ乳酸樹脂に用いた場合が例示されている。しかし、発明者等が、実際に特許文献に例示された方法をD体量が5モル%以下の高結晶性ポリ乳酸樹脂に用いた場合、発泡剤として用いる炭酸ガスの可塑効果によりポリ乳酸樹脂の結晶化度が上がってしまい、水蒸気で加熱しても発泡できないことを確認している(比較例3及び4参照)。
ところで、上記特許文献中には結晶性ポリ乳酸樹脂に用いた場合が例示されている。しかし、発明者等が、実際に特許文献に例示された方法をD体量が5モル%以下の高結晶性ポリ乳酸樹脂に用いた場合、発泡剤として用いる炭酸ガスの可塑効果によりポリ乳酸樹脂の結晶化度が上がってしまい、水蒸気で加熱しても発泡できないことを確認している(比較例3及び4参照)。
(1)発熱ピークの大きさ(全発熱量)
全発熱量が10J/gより小さいと、結晶化度が上昇しているため型内成形時にポリ乳酸系樹脂発泡体同士の熱融着性が低下して、得られる発泡成形体の機械的強度及び外観が低下する。好ましい全発熱量は12J/g以上であり、より好ましい全発熱量は14J/g以上である。また、全発熱量が大きいと結晶化が完了するまでに時間がかかるため、全発熱量の上限は、35J/gであることが好ましい。
全発熱量が10J/gより小さいと、結晶化度が上昇しているため型内成形時にポリ乳酸系樹脂発泡体同士の熱融着性が低下して、得られる発泡成形体の機械的強度及び外観が低下する。好ましい全発熱量は12J/g以上であり、より好ましい全発熱量は14J/g以上である。また、全発熱量が大きいと結晶化が完了するまでに時間がかかるため、全発熱量の上限は、35J/gであることが好ましい。
(2)発熱ピークの横の広がり
一般に結晶性ポリ乳酸樹脂の発熱ピークは一山の略三角形形状を示す。これに対して、本発明の発泡体を構成するポリ乳酸系樹脂は、上記一山の発熱ピークと、それより低温側に更に他の発熱ピークを発現させた二山又は二山が合成された略台形形状や略半円形状を示す。低温側の他の発熱ピークについては、まだ化学的に解明されていない。しかし、発明者等は、ポリ乳酸系樹脂が加熱及び発泡による樹脂の延伸の作用により、ごく軽微に結晶化した結晶前駆体に由来する発熱ピークであると考えている(結晶前駆体を含む発泡体を改質発泡体と称する)。発明者等は、この低温側の発熱ピークが、一般的な一山の発熱ピークを有するポリ乳酸系樹脂に比べて、比較的速やかな結晶化に寄与する、と考えている。
一般に結晶性ポリ乳酸樹脂の発熱ピークは一山の略三角形形状を示す。これに対して、本発明の発泡体を構成するポリ乳酸系樹脂は、上記一山の発熱ピークと、それより低温側に更に他の発熱ピークを発現させた二山又は二山が合成された略台形形状や略半円形状を示す。低温側の他の発熱ピークについては、まだ化学的に解明されていない。しかし、発明者等は、ポリ乳酸系樹脂が加熱及び発泡による樹脂の延伸の作用により、ごく軽微に結晶化した結晶前駆体に由来する発熱ピークであると考えている(結晶前駆体を含む発泡体を改質発泡体と称する)。発明者等は、この低温側の発熱ピークが、一般的な一山の発熱ピークを有するポリ乳酸系樹脂に比べて、比較的速やかな結晶化に寄与する、と考えている。
また、上記結晶前駆体が生じても発熱ピークの総熱量はあまり減少しないため、型内成形時に融着を阻害することもなくかつ速やかに結晶化が進み、外観や耐熱性に優れた発泡成形体を得ることができる。
第1、第3及び第4の区分の発熱量の合計が、第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計の45%未満の割合の場合、外観及び耐熱性に優れた発泡成形体を得ることが困難となる。より好ましい割合は50%以上であり、更に好ましくは55%以上である。割合の上限は、65%であることが好ましい。また、第1の区分の発熱量が、第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計の25%以上の割合であることが好ましく、30%以上の割合であることがより好ましい。この第1の区分は、上記結晶前駆体を主として含む区分であると発明者等は考えている。なお、第2の区分は、一山の発熱ピークの場合、最も大きな割合を占める区分である。
(ポリ乳酸系樹脂)
ポリ乳酸系樹脂は、一般に市販されているポリ乳酸系樹脂を用いることができる。具体的には、D−乳酸及びL−乳酸の共重合体、D−乳酸(D体)又はL−乳酸(L体)のいずれか一方の単独重合体、D−ラクチド(D体)、L−ラクチド(L体)及びDL−ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドの開環重合体が挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂は、一般に市販されているポリ乳酸系樹脂を用いることができる。具体的には、D−乳酸及びL−乳酸の共重合体、D−乳酸(D体)又はL−乳酸(L体)のいずれか一方の単独重合体、D−ラクチド(D体)、L−ラクチド(L体)及びDL−ラクチドからなる群より選ばれた一又は二以上のラクチドの開環重合体が挙げられる。
ここで、D体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の割合が5モル%未満であるD体とL体との共重合体、及びD体又はL体のいずれか一方の単独重合体は、少ない方の光学異性体が減少するにしたがって、結晶性が高くなり融点が高くなる傾向がある。一方、D体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の割合が5モル%以上であるD体とL体との共重合体は、少ない方の光学異性体が増加するにしたがって、結晶性が低くなり、やがて非結晶となる傾向がある。
従って、例えば、高い耐熱性が望まれる用途では、前者のポリ乳酸系樹脂を、複雑な空間への充填性の向上が望まれる用途では、後者のポリ乳酸系樹脂を使用できる。
従って、例えば、高い耐熱性が望まれる用途では、前者のポリ乳酸系樹脂を、複雑な空間への充填性の向上が望まれる用途では、後者のポリ乳酸系樹脂を使用できる。
また、後者のポリ乳酸系樹脂は、改質発泡体を金型内に充填して更に発泡させて得られる発泡成形体の耐熱性を向上できるので、発泡成形体は高い温度であってもその形態を維持できる。従って、発泡成形体を金型から高い温度のまま取り出すことが可能となって発泡成形体の金型内における冷却時間が短縮され、発泡成形体の生産効率を向上させることもできる。
更に、D体とL体との共重合体は、D体又はL体のうちのいずれか少ない方の光学異性体の割合が4モル%未満であることが好ましく、3モル%未満であることより好ましく、2モル%未満であることが特に好ましい。
ここで、1次発泡体を押出発泡法で得る場合、ポリ乳酸系樹脂は、その融点(mp)と、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tとが下記式1を満たすように調整されることが好ましい。
(ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃)
≦(交点における温度T)≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
(ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃)
≦(交点における温度T)≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
ここで、動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率は、粘弾性において弾性的な性質を示す指標であって、発泡過程における気泡膜の弾性の大小を示す指標であり、発泡過程において、気泡膜の収縮力に抗して気泡を膨張させるのに必要な発泡圧の大小を示す指標である。
即ち、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率が低いと、気泡膜が伸長された場合、気泡膜が伸長力に抗して収縮しようとする力が小さい。そのため、1次発泡体の製造に必要とする発泡圧によって発泡膜が容易に伸長してしまう結果、気泡膜が過度に伸長してしまい破泡を生じることがある。一方、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた貯蔵弾性率が高いと、気泡膜に伸長力が加わった場合、伸長に抗する気泡膜の収縮力が大きくなる。そのため、1次発泡体の製造に必要とする発泡圧で一旦、気泡が膨張したとしても、温度低下等に起因する経時的な発泡圧の低下に伴って気泡が収縮してしまうことがある。
また、動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率は、粘弾性において粘性的な性質を示す指標である。具体的には、発泡過程における気泡膜の粘性を示す指標である。特に、発泡過程において、気泡膜をどの程度まで破れることなく伸長できるかの許容範囲を示す指標であると同時に、発泡圧によって所望大きさに気泡を膨張させた後、この膨張した気泡をその大きさに維持する能力を示す指標でもある。
即ち、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率が低いと、1次発泡体の製造に必要とする発泡圧によって気泡膜が伸長された場合、気泡膜が容易に破れてしまうことがある。一方、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定にて得られた損失弾性率が高いと、発泡力が気泡膜によって熱エネルギーに変換されてしまい、1次発泡体の製造時に気泡膜を円滑に伸長させることが難しくなり、気泡を膨張させることが困難になることがある。
このように、ポリ乳酸系樹脂を発泡させて1次発泡体を製造するにあたっては、発泡過程において、発泡圧によって気泡膜が破れることなく適度に伸長するための弾性力、即ち、貯蔵弾性率を有していることが好ましい。加えて、発泡圧によって気泡膜が破れることなく円滑に伸長し、所望大きさに膨張した気泡をその大きさに発泡圧の経時的な減少にかかわらず維持しておくための粘性力、即ち、損失弾性率を有していることが好ましい。
つまり、押出発泡工程において、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率及び損失弾性率の双方が押出発泡に適した値を有していることが好ましく、このような押出発泡に適した貯蔵弾性率及び損失弾性率を押出発泡工程においてポリ乳酸系樹脂に付与するために、ポリ乳酸系樹脂における動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T(以下「温度T」という)と、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが、好ましくは下記式1を満たすように、より好ましくは式2を満たすように調整される。この調整により、貯蔵弾性率及び損失弾性率をそれらのバランスをとりながら押出発泡性を良好なものとし、1次発泡体を安定的に製造できる。
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−40℃〕
≦交点における温度T≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−35℃〕
≦交点における温度T≦〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−10℃〕・・・式2
≦交点における温度T≦ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)・・・式1
〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−35℃〕
≦交点における温度T≦〔ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)−10℃〕・・・式2
更に、温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とが上記式1を満たすように調整されるのが好ましい理由を下記に詳述する。
まず、温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも40℃を超えて低い場合には、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の損失弾性率が貯蔵弾性率に比して大き過ぎるために、損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまう。
まず、温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも40℃を超えて低い場合には、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の損失弾性率が貯蔵弾性率に比して大き過ぎるために、損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまう。
そこで、ポリ乳酸系樹脂の損失弾性率に適した発泡力、即ち、粘性に合わせた発泡力とすると、弾性力に対する発泡力が大き過ぎてしまい、気泡膜が破れて破泡を生じて良好な1次発泡体を得られないことがある。逆に、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率に適した発泡力、即ち、弾性に合わせた発泡力とすると、粘性力に対する発泡力が小さく、ポリ乳酸系樹脂が発泡しにくくなり、良好な1次発泡体を得られないことがある。
また、温度Tが、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)よりも高いと、押出発泡時におけるポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率が損失弾性率に比して大き過ぎることになる。そのため、上述と同様に損失弾性率と貯蔵弾性率とのバランスが崩れてしまうことがある。
そこで、ポリ乳酸系樹脂の貯蔵弾性率に適した発泡力、即ち、弾性に合わせた発泡力とすると、粘性力に対する発泡力が大き過ぎてしまい、気泡膜が破れて破泡を生じ良好な1次発泡体を得られないことがある。逆に、ポリ乳酸系樹脂の損失弾性率に適した発泡力、即ち、粘性に合わせた発泡力とすると、弾性力に対する発泡力が小さく、ポリ乳酸系樹脂が一旦発泡したとしても、経時的な発泡力の低下に伴って気泡が収縮してしまって、やはり良好な1次発泡体を得られないことがある。
ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量が高くなるにしたがって、温度Tが高くなる。よって、温度Tと、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とを上記式1を満たすように調整するには、ポリ乳酸系樹脂の重合時に反応時間又は反応温度を調整することによって、得られるポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を調整する方法、押出発泡前に又は押出発泡時にポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量を増粘剤や架橋剤を用いて調整する方法が挙げられる。なお、重量平均分子量は、5.0×104〜40×104の範囲であることが好ましい。
発泡体には、必要に応じて他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、加水分解抑制剤等が挙げられる。
発泡体には、必要に応じて他の成分が含まれていてもよい。他の成分としては、難燃剤、帯電防止剤、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、加水分解抑制剤等が挙げられる。
(1次発泡体の製造)
1次発泡体は、公知の方法によって製造できる。例えば、以下の押出発泡法が挙げられる。以下の方法は、1次発泡体が粒子状の場合の一方法である。
まず、ポリ乳酸系樹脂を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練する。この後、押出機の前端に取り付けた図1及び2に示すノズル金型からポリ乳酸系樹脂押出物を押出発泡させる。
1次発泡体は、公知の方法によって製造できる。例えば、以下の押出発泡法が挙げられる。以下の方法は、1次発泡体が粒子状の場合の一方法である。
まず、ポリ乳酸系樹脂を押出機に供給して発泡剤の存在下にて溶融混練する。この後、押出機の前端に取り付けた図1及び2に示すノズル金型からポリ乳酸系樹脂押出物を押出発泡させる。
なお、上記押出機としては、汎用されている押出機であれば、特に限定されない。例えば、単軸押出機、二軸押出機、複数の押出機を連結させたタンデム型の押出機が挙げられる。
また、発泡剤としては、汎用されているものが用いられる。例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウム等の化学発泡剤;プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル等のエーテル類、二酸化炭素、窒素等の物理発泡剤等が挙げられる。この内、ジメチルエーテル、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、二酸化炭素が好ましく、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンがより好ましく、ノルマルブタン、イソブタンが特に好ましい。
発泡剤量は、少ないと、1次発泡体を所望発泡倍率まで発泡できないことがある。一方、多いと、発泡剤が可塑剤として作用することから溶融状態のポリ乳酸系樹脂の粘弾性が低下し過ぎて発泡性が低下し良好な1次発泡体を得ることができないことがある。加えて1次発泡体の発泡倍率が高過ぎて結晶化度を制御できなくなる場合がある。よって、発泡剤量は、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部が好ましく、0.2〜4重量部がより好ましく、0.3〜3重量部が特に好ましい。
なお、押出機には気泡調整剤が添加されることが好ましい。ただし、気泡調整剤の多くは、1次発泡体の結晶核剤として作用するため、ポリ乳酸系樹脂の結晶化を促進しない気泡調整剤を用いることが好ましい。そのような気泡調整剤としては、ポリテトラフルオロエチレン粉末、アクリル樹脂で変性されたポリテトラフルオロエチレン粉末が挙げられる。
また、押出機に供給される気泡調整剤の量は、少ないと、1次発泡体の気泡が粗大となり、得られる発泡成形体の外観が低下することがある。一方、多いと、ポリ乳酸系樹脂を押出発泡させる際に破泡を生じて1次発泡体の独立気泡率が低下することがある。よって、気泡調整剤の量は、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、0.01〜3重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好ましく、0.1〜1重量部が特に好ましい。
ノズル金型1から押出されたポリ乳酸系樹脂押出物は引き続き切断工程に入る。ポリ乳酸系樹脂押出物の切断は、回転軸2をモータ3により回転させ、ノズル金型1の前端面1aに配設された回転刃5を2000〜10000rpmの一定の回転数で回転させて行う。
全ての回転刃5はノズル金型1の前端面1aに常時、接触しながら回転している。ノズル金型1から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出物は、回転刃5と、ノズル金型1におけるノズルの出口部11端縁との間に生じる剪断応力によって、一定の時間間隔毎に大気中において切断されて1次発泡体とされる。この時、ポリ乳酸系樹脂押出物の冷却が過度とならない範囲内において、ポリ乳酸系樹脂押出物に水を霧状に吹き付けてもよい。
ノズル金型1のノズル内においてポリ乳酸系樹脂が発泡しないことが好ましい。そのため、ポリ乳酸系樹脂は、ノズル金型1のノズルの出口部11から吐出された直後は、未だに発泡しておらず、吐出されてから僅かな時間が経過した後に発泡を始める。従って、ポリ乳酸系樹脂押出物は、ノズル金型1のノズルの出口部11から吐出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する、未発泡部に先んじて押出された発泡途上の発泡部とからなる。
ノズル金型1のノズルの出口部11から突出されてから発泡を開始するまでの間、未発泡部はその状態を維持する。この未発泡部が維持される時間は、ノズル金型1のノズルの出口部11における樹脂圧力や、発泡剤量等によって調整できる。ノズル金型1のノズルの出口部11における樹脂圧力が高いと、ポリ乳酸系樹脂押出物はノズル金型1から押出されてから直ぐに発泡することはなく未発泡の状態を維持する。ノズル金型1のノズルの出口部11における樹脂圧力の調整は、ノズルの口径、押出量、ポリ乳酸系樹脂の溶融粘度及び溶融張力によって調整できる。発泡剤量を適正な量に調整することによって金型内部においてポリ乳酸系樹脂が発泡することを防止し、未発泡部を確実に形成できる。
ポリ乳酸系樹脂の押出温度(押出機の先端部におけるポリ乳酸系樹脂の温度)は、低いと、フラクチャーが生じ、得られた1次発泡体同士が付きやすくなる。一方、ポリ乳酸系樹脂の押出温度が高いと、ポリ乳酸系樹脂の分解が促進し、1次発泡体の発泡性及び連続気泡率が低下し易くなる。従って、押出温度は、ポリ乳酸系樹脂の融点よりも10〜50℃高い温度が好ましく、ポリ乳酸系樹脂の融点よりも15〜45℃高い温度がより好ましく、ポリ乳酸系樹脂の融点よりも20〜40℃高い温度が特に好ましい。
全ての回転刃5はノズル金型1の前端面1aに常時、接触した状態でポリ乳酸系樹脂押出物を切断していることから、ポリ乳酸系樹脂押出物は、ノズル金型1のノズルの出口部11から吐出された直後の未発泡部において切断されて1次発泡体が製造される。
得られた1次発泡体は、ポリ乳酸系樹脂押出物をその未発泡部で切断していることから、切断部の表面には気泡断面は存在しない。そして、1次発泡体の表面全面は、気泡断面の存在しない表皮層で被覆されている。従って、1次発泡体は、発泡ガスの抜けがなく優れた発泡性を有していると共に連続気泡率も低く、更に、表面の熱融着性にも優れている。
1次発泡体の表面は、気泡断面が露出していない表皮層から形成されている。そのため1次発泡体に由来する改質発泡体を型内発泡成形に用いた時、改質発泡体同士の熱融着性が良好であり、得られる発泡成形体は、表面ムラがなく外観に優れていると共に優れた機械的強度を有している。
また、回転刃5は一定の回転数で回転していることが好ましい。回転刃5の回転数は、2000〜10000rpmが好ましく、3000〜9000rpmがより好ましく、4000〜8000rmpが更に好ましい。
2000rpmを下回ると、ポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃5によって切断できないことがある。そのため、1次発泡体同士が合体したり、1次発泡体の形状が不均一となることがある。10000rpmを上回ると下記の問題点を生じることがある。
2000rpmを下回ると、ポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃5によって切断できないことがある。そのため、1次発泡体同士が合体したり、1次発泡体の形状が不均一となることがある。10000rpmを上回ると下記の問題点を生じることがある。
第一の問題点は、回転刃による切断応力が大きくなって、1次発泡体がノズルの出口部から冷却部材に向かって飛散される際に、1次発泡体の初速が速くなることがある。その結果、ポリ乳酸系樹脂押出物を切断してから、1次発泡体が冷却部材に衝突するまでの時間が短くなり、1次発泡体の発泡が不充分となることである。第二の問題点は、回転刃及び回転軸の摩耗が大きくなって回転刃及び回転軸の寿命が短くなることである。
1次発泡体は、回転刃5による切断応力によって切断と同時に外方又は前方に向かって飛散され、冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に直ちに衝突する。1次発泡体は、冷却ドラム41に衝突するまでの間も発泡をし続けており、発泡によって略球状に成長している。
冷却ドラム41の周壁部41bの内周面は全面的に冷却液42で被覆されており、冷却ドラム41の周壁部41bの内周面に衝突した1次発泡体は直ちに冷却されて、発泡が停止する。このように、ポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃5によって切断した後に、1次発泡体を直ちに冷却液42によって冷却していることで、1次発泡体を構成しているポリ乳酸系樹脂の結晶化度が上昇するのを防止できると共に、1次発泡体が過度に発泡するのを防止できる。
従って、1次発泡体は、型内発泡成形時に優れた発泡性及び熱融着性を発揮する。型内発泡成形時に1次発泡体の結晶化度を上昇させて、ポリ乳酸系樹脂の耐熱性を向上でき、得られる発泡成形体は、優れた耐熱性を有している。
なお、冷却液42の温度は、低いと、冷却ドラム41の近傍に位置するノズル金型が過度に冷却されて、ポリ乳酸系樹脂の押出発泡に悪影響が生じることがある一方、高いと、1次発泡体を構成しているポリ乳酸系樹脂の結晶化度が高くなり、1次発泡体の熱融着性が低下することがある。よって、温度は、0〜45℃が好ましく、5〜40℃がより好ましく、10〜35℃が特に好ましい。
そして、得られる1次発泡体の結晶化度は、30%以下が好ましく、3〜28%がより好ましく、5〜26%が特に好ましい。1次発泡体の結晶化度は、ノズル金型1からポリ乳酸系樹脂押出物が押出されてから1次発泡体が冷却液42に衝突するまでの時間や、冷却液42の温度によって調整できる。
1次発泡体の嵩密度が小さいと、1次発泡体の連続気泡率が上昇して、高倍発泡工程時に1次発泡体に必要な発泡力を付与できないことがある。一方、大きいと、得られる1次発泡体の気泡が不均一となって、高倍発泡工程時における一次発泡体の発泡性が不充分となることがある。よって、嵩密度は、0.02〜0.6g/cm3が好ましく、0.03〜0.5g/cm3がより好ましく、0.04〜0.4g/cm3が特に好ましい。
そして、1次発泡体の連続気泡率は、高いと、高倍発泡工程時や型内発泡成形時に改質発泡体が殆ど発泡せず、改質発泡体同士の融着性が低くなって、得られる発泡成形体の機械的強度が低下することがある。よって、連続気泡率は、20%未満が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が特に好ましい。なお、1次発泡体の連続気泡率の調整は、押出機からのポリ乳酸系樹脂の押出発泡温度、押出機への発泡剤の供給量等を調整することによって行われる。
また、1次発泡体の粒径は、小さいと、高倍発泡工程時に1次発泡体の発泡性が低下することがある。一方、大きいと、型内発泡成形時に金型内への改質発泡体の充填性が低下することがある。よって、0.5〜5.0mmが好ましく、1.0〜4.5mmがより好ましく、1.5〜4mmが特に好ましい。
(改質発泡体の製法)
上記結晶前駆体は、1次発泡体の加熱や延伸により生じさせることができ、高倍発泡工程時の加熱と発泡による延伸で生じさせることが工程上好ましい。
加熱温度が低いと結晶化が進まず結晶前駆体を生じさせることができないことがある。また、加熱温度がガラス転移温度(Tg)よりも高くなるに従い、結晶前駆体ではなく通常の結晶化が進んでしまうことがある。結晶化が進むと、型内成形時にポリ乳酸系樹脂発泡体同士の熱融着性が低下して、得られる発泡成形体の機械的強度及び外観性が低下することがある。好ましい加熱温度はTg−20℃〜Tg+5℃であり、より好ましくはTg−15℃〜Tg+3℃であり、更に好ましくはTg−10℃〜Tg+1である。
上記結晶前駆体は、1次発泡体の加熱や延伸により生じさせることができ、高倍発泡工程時の加熱と発泡による延伸で生じさせることが工程上好ましい。
加熱温度が低いと結晶化が進まず結晶前駆体を生じさせることができないことがある。また、加熱温度がガラス転移温度(Tg)よりも高くなるに従い、結晶前駆体ではなく通常の結晶化が進んでしまうことがある。結晶化が進むと、型内成形時にポリ乳酸系樹脂発泡体同士の熱融着性が低下して、得られる発泡成形体の機械的強度及び外観性が低下することがある。好ましい加熱温度はTg−20℃〜Tg+5℃であり、より好ましくはTg−15℃〜Tg+3℃であり、更に好ましくはTg−10℃〜Tg+1である。
また、加熱時間は、短いと十分に結晶前駆体を生じさせることができないことがあり、長いと結晶前駆体を経て結晶化してしまうことがある。そのため、加熱時間は、好ましくは10〜300秒であり、より好ましくは20〜270秒であり、更に好ましくは30〜240秒である。
ここで、例えば、上記の高倍発泡工程により、0.05〜0.5g/cm3の嵩密度の1次発泡体を、0.02〜0.2g/cm3の嵩密度の改質発泡体とすることができる。ここで、改質発泡体は、1次発泡体の嵩密度より1.6倍以上高い嵩密度を有していることが好ましい。
高倍発泡工程の前に、上記一次発泡体に不活性ガスを含浸させて、一次発泡体の発泡力を向上させてもよい。一次発泡体の発泡力を向上させることにより、低い温度でも結晶化度を上げることなく速やかに高発泡倍率の改質発泡体が得られる。なお、不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
一次発泡体に不活性ガスを含浸させる方法としては、例えば、圧力容器中で常圧以上の圧力を有する不活性ガス雰囲気下に1次発泡体を置くことによって不活性ガスを含浸させる方法が挙げられる。
なお、不活性ガスが二酸化炭素である場合、0.1〜1.5MPaの二酸化炭素雰囲気中に一次発泡粒子を20分〜24時間に亘って置いて、一次発泡体中に二酸化炭素を含浸させて発泡性を向上させておくことが好ましい。また、含浸させる際の雰囲気温度は、高いと一次発泡体の結晶化度が上がるおそれがあるため、0〜40℃が好ましく、5〜35℃がより好ましく、10〜30℃が更に好ましい。
なお、不活性ガスが二酸化炭素である場合、0.1〜1.5MPaの二酸化炭素雰囲気中に一次発泡粒子を20分〜24時間に亘って置いて、一次発泡体中に二酸化炭素を含浸させて発泡性を向上させておくことが好ましい。また、含浸させる際の雰囲気温度は、高いと一次発泡体の結晶化度が上がるおそれがあるため、0〜40℃が好ましく、5〜35℃がより好ましく、10〜30℃が更に好ましい。
(発泡成形体)
このようにして得られた改質発泡体を金型のキャビティ内に充填して加熱することで、改質発泡体を更に発泡させる。この加熱により、改質発泡体同士をそれらの発泡圧によって互いに融着一体化できるので、融着性に優れた発泡成形体を得ることができる。また、この加熱により、改質発泡体を構成するポリ乳酸系樹脂の結晶化度を上昇できるので、耐熱性に優れた発泡成形体を得ることができる。
このようにして得られた改質発泡体を金型のキャビティ内に充填して加熱することで、改質発泡体を更に発泡させる。この加熱により、改質発泡体同士をそれらの発泡圧によって互いに融着一体化できるので、融着性に優れた発泡成形体を得ることができる。また、この加熱により、改質発泡体を構成するポリ乳酸系樹脂の結晶化度を上昇できるので、耐熱性に優れた発泡成形体を得ることができる。
なお、改質発泡体の加熱媒体としては、特に限定されず、水蒸気の他に、熱風、温水等が挙げられる。この内、温水を用いることが好ましい。これは、温水は、液体状であって比熱が大きいことから、温度が低くても金型内の改質発泡体に発泡に必要な高い熱量を充分に付与できるからである。従って、改質発泡体を加熱し過ぎることなく、充分に加熱、発泡できる。そのため、加熱媒体として水蒸気や熱風を用いた時に生じたような改質発泡体表面の熱収縮を生じさせることなく、改質発泡体同士をそれらの発泡力によって互いに強固に熱融着一体化できる。その結果、得られる発泡成形体は、優れた機械的強度を有していると共に外観にも優れている。
また、高圧の水蒸気を用いるのに比べて、低い圧力で型内発泡成形を行うことができるので、金型の設計強度を低く抑えることができる。そのため、複雑な形状を有する金型でも成形可能であると共に、コンパクトな金型でも成形可能である。その結果、発泡成形体の生産性を向上できる。
加熱媒体として用いる水の温度は、低いと、金型内に充填した改質発泡体の発泡が不充分となり、改質発泡体同士の熱融着性が低下する。そのため発泡成形体の機械的強度や外観性が低下することがある。一方、高いと、水を高圧状態としなければならず、ボイラーのような大掛かりな設備を要する。よって、水の温度は、60〜100℃が好ましく、70〜99℃がより好ましく、80〜98℃が特に好ましい。
金型内に充填した改質発泡体に温水を供給して改質発泡体を加熱する方法としては、特に限定されず、例えば、(1)公知の型内発泡成形機に水蒸気の代わりに温水を供給する方法、(2)改質発泡体を充填した金型を、温水中に浸漬する方法等が挙げられる。この内、複雑な形状の金型であっても金型全体、即ち、改質発泡体を全体的に均一に加熱、発泡できる(2)の方法が好ましい。
金型内に充填した改質発泡体の温水による加熱時間は、短いと、改質発泡体の加熱が不充分となって改質発泡体同士の熱融着が不充分となり、又は改質発泡体の結晶化度が充分に上昇しないことがある。その結果、得られる発泡成形体の耐熱性が低下することがある。一方、長いと、発泡成形体の生産性が低下することになる。加熱時間は、20秒〜1時間が好ましい。
型内発泡成形後、金型内に形成された発泡成形体は、冷却した上で金型を開放することで取り出すことができる。発泡成形体の冷却温度は、高いと、改質発泡体を充分に固化できないことがある。その結果、金型から取り出した時に膨らんで金型のキャビティ形状通りの発泡成形体とならないことがある。よって冷却温度は、発泡成形体の表面温度が好ましくは50℃以下となるように、より好ましくは0〜45℃となるように、特に好ましくは0〜40℃となるように、最も好ましくは0〜35℃となるように設定できる。
上記冷却方法としては、特に限定されないが、(1)金型を50℃以下の雰囲気中に放置する方法、(2)金型に50℃以下の水又は空気を吹き付ける方法、(3)金型を50℃以下の水中に浸漬させる方法が挙げられる。この内、複雑な形状の金型であっても金型全体を均一に冷却できることから、(3)の冷却方法が好ましい。なお、冷却時間は、冷却方法や金型の大きさ等に応じて適宜、調整できる。例えば、50℃以下の水中に金型を浸漬させる場合には、1〜10分が好ましい。
発泡成形体の結晶化度は、低いと、耐熱性が低下することがある。一方、高いと、発泡成形体が脆くなることがある。そのため、結晶化度は、好ましくは40〜65%、より好ましくは45〜64%、特に好ましくは50〜63%である。
なお、金型は、特に限定されず、例えば、鉄系金属、アルミニウム系金属、銅系金属、亜鉛系金属等から構成されていてもよい。この内、熱伝導性及び加工性の観点からアルミニウム系金属から構成されていることが好ましい。
更に、型内発泡成形前に、上記改質発泡体に更に不活性ガスを含浸させて、改質発泡体の発泡力を向上させてもよい。発泡力を向上させることにより、型内発泡成形時に改質発泡体同士の融着性が向上し、得られる発泡成形体に更に優れた機械的強度を付与できる。なお、不活性ガスとしては、例えば、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
改質発泡体に更に不活性ガスを含浸させる方法としては、例えば、圧力容器中で常圧以上の圧力を有する不活性ガス雰囲気下に1次発泡体を置くことによって改質発泡体中に不活性ガスを含浸させる方法が挙げられる。不活性ガスは、改質発泡体を金型内に充填する前に含浸させてもよく、改質発泡体を金型内に充填した後に金型ごと不活性ガス雰囲気下に置くことで含浸させてもよい。なお、不活性ガスが二酸化炭素である場合、0.1〜1.2MPaの二酸化炭素雰囲気中に改質発泡体を20分〜24時間に亘って放置することが好ましい。圧力は大気圧を基準としている。
上述した発泡成形体からなる本発明のサンバイザーは、植物由来の材料からなるため、石油資源に負担をかけない。また、生分解性であるため、使用後の処理段階においても環境負荷が少ない。本発明のサンバイザーが広く普及することにより、資源や環境に貢献することができる。
以下、実施例を挙げて更に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例に記載した各種測定法及び製造条件を以下で説明する。
(D体又はL体の含有量)
ポリ乳酸系樹脂中におけるD体又はL体の含有量は以下の方法によって測定する。ポリ乳酸系樹脂を凍結粉砕し、ポリ乳酸系樹脂の粉末200mgを三角フラスコ内に供給した後、三角フラスコ内に1Nの水酸化ナトリウム水溶液30ミリリットルを加える。そして、三角フラスコを振りながら65℃に加熱してポリ乳酸系樹脂を完全に溶解させる。しかる後、1N塩酸を三角フラスコ内に供給して中和し、pHが4〜7の分解溶液を作製し、メスフラスコを用いて所定の体積とする。
次に、分解溶液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、液体クロマトグラフを用いて分析し、得られたチャートに基づいてD体及びL体由来のピーク面積から面積比を存在比としてD体量及びL体量を算出する。そして、上述と同様の要領を5回繰り返して行い、得られたD体量及びL体量をそれぞれ相加平均した値を、ポリ乳酸系樹脂のD体量及びL体量とする。
HPLC装置(液体クロマトグラフ):日本分光社製商品名「PU−2085 Plus型システム」
カラム:住友分析センター社製商品名「SUMICHIRAL OA5000」(4.6mmφ×250mm)
カラム温度:25℃
移動相:2mMCuSO4水溶液と2−プロパノールとの混合液
(CuSO4水溶液:2−プロパノール(体積比)=95:5)
移動相流量:1.0ミリリットル/分
検出器:UV254nm
注入量:20マイクロリットル
ポリ乳酸系樹脂中におけるD体又はL体の含有量は以下の方法によって測定する。ポリ乳酸系樹脂を凍結粉砕し、ポリ乳酸系樹脂の粉末200mgを三角フラスコ内に供給した後、三角フラスコ内に1Nの水酸化ナトリウム水溶液30ミリリットルを加える。そして、三角フラスコを振りながら65℃に加熱してポリ乳酸系樹脂を完全に溶解させる。しかる後、1N塩酸を三角フラスコ内に供給して中和し、pHが4〜7の分解溶液を作製し、メスフラスコを用いて所定の体積とする。
次に、分解溶液を0.45μmのメンブレンフィルターで濾過した後、液体クロマトグラフを用いて分析し、得られたチャートに基づいてD体及びL体由来のピーク面積から面積比を存在比としてD体量及びL体量を算出する。そして、上述と同様の要領を5回繰り返して行い、得られたD体量及びL体量をそれぞれ相加平均した値を、ポリ乳酸系樹脂のD体量及びL体量とする。
HPLC装置(液体クロマトグラフ):日本分光社製商品名「PU−2085 Plus型システム」
カラム:住友分析センター社製商品名「SUMICHIRAL OA5000」(4.6mmφ×250mm)
カラム温度:25℃
移動相:2mMCuSO4水溶液と2−プロパノールとの混合液
(CuSO4水溶液:2−プロパノール(体積比)=95:5)
移動相流量:1.0ミリリットル/分
検出器:UV254nm
注入量:20マイクロリットル
(貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T)
貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは次のようにして測定する。
まず、発泡粒子を製造する要領において、発泡剤を添加しないこと以外は同様の要領にて、ポリ乳酸系樹脂粒子を得る。
このポリ乳酸系樹脂粒子を9.33×104Paの減圧下にて80℃で3時間に亘って乾燥する。このポリ乳酸系樹脂粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の融点よりも40〜50℃だけ高い温度に加熱した測定プレート上に載置して窒素雰囲気下にて5分間に亘って放置し溶融させる。
次に、直径が25mmの平面円形状の押圧板を用意し、この押圧板を用いて測定プレート上のポリ乳酸系樹脂を押圧板と測定プレートとの対向面間の間隔が1mmとなるまで上下方向に押圧する。そして、押圧板の外周縁からはみ出したポリ乳酸系樹脂を除去した後、5分間に亘って放置する。
しかる後、歪み5%、周波数1rad/秒、降温速度2℃/分、測定間隔30秒の条件下にて、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定を行って貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定する。次に、横軸を温度とし、縦軸を貯蔵弾性率及び損失弾性率として、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描く。なお、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描くにあたっては、測定温度を基準として互いに隣接する測定値同士を直線で結ぶ。
そして、得られた貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点を読み取ることで温度Tが得られる。なお、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線とが複数箇所において互いに交差する場合は、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との複数の交点における温度のうち最も高い温度を、温度Tとする。
また、温度Tは、Reologica Instruments A.B社から商品名「DynAlyser DAR−100」にて市販されている動的粘弾性測定装置を用いて測定する。
貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度Tは次のようにして測定する。
まず、発泡粒子を製造する要領において、発泡剤を添加しないこと以外は同様の要領にて、ポリ乳酸系樹脂粒子を得る。
このポリ乳酸系樹脂粒子を9.33×104Paの減圧下にて80℃で3時間に亘って乾燥する。このポリ乳酸系樹脂粒子を構成しているポリ乳酸系樹脂の融点よりも40〜50℃だけ高い温度に加熱した測定プレート上に載置して窒素雰囲気下にて5分間に亘って放置し溶融させる。
次に、直径が25mmの平面円形状の押圧板を用意し、この押圧板を用いて測定プレート上のポリ乳酸系樹脂を押圧板と測定プレートとの対向面間の間隔が1mmとなるまで上下方向に押圧する。そして、押圧板の外周縁からはみ出したポリ乳酸系樹脂を除去した後、5分間に亘って放置する。
しかる後、歪み5%、周波数1rad/秒、降温速度2℃/分、測定間隔30秒の条件下にて、ポリ乳酸系樹脂の動的粘弾性測定を行って貯蔵弾性率及び損失弾性率を測定する。次に、横軸を温度とし、縦軸を貯蔵弾性率及び損失弾性率として、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描く。なお、貯蔵弾性率曲線及び損失弾性率曲線を描くにあたっては、測定温度を基準として互いに隣接する測定値同士を直線で結ぶ。
そして、得られた貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点を読み取ることで温度Tが得られる。なお、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線とが複数箇所において互いに交差する場合は、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との複数の交点における温度のうち最も高い温度を、温度Tとする。
また、温度Tは、Reologica Instruments A.B社から商品名「DynAlyser DAR−100」にて市販されている動的粘弾性測定装置を用いて測定する。
(粒径)
発泡粒子の粒径は、直径を直接、ノギスを用いて次のようにして測定する。即ち、発泡粒子の切断面における最も長い直径(長径)及び最も短い直径(短径)を測定すると共に、発泡粒子における切断面に直交する方向の長さを測定する。発泡粒子30個の長径、短径及び長さの相加平均値を粒径とする。
発泡粒子の粒径は、直径を直接、ノギスを用いて次のようにして測定する。即ち、発泡粒子の切断面における最も長い直径(長径)及び最も短い直径(短径)を測定すると共に、発泡粒子における切断面に直交する方向の長さを測定する。発泡粒子30個の長径、短径及び長さの相加平均値を粒径とする。
(連続気泡率)
連続気泡率は次のようにして測定する。
まず、体積測定空気比較式比重計の試料カップを用意し、この試料カップの80%程度を満たす量の発泡粒子の全重量A(g)を測定する。次に、上記発泡粒子全体の体積B(cm3)を比重計を用いて1−1/2−1気圧法により測定する。なお、体積測定空気比較式比重計は、例えば、東京サイエンス社から商品名「1000型」にて市販されている。
続いて、金網製の容器を用意し、この金網製の容器を水中に浸漬し、この水中に浸漬した状態における金網製の容器の重量C(g)を測定する。次に、この金網製の容器内に発泡粒子を全量入れた上で、この金網製の容器を水中に浸漬し、水中に浸漬した状態における金網製の容器とこの金網製容器に入れた発泡粒子の全量とを併せた重量D(g)を測定する。
そして、下記式に基づいて発泡粒子の見掛け体積E(cm3)を算出し、この見掛け体積Eと発泡粒子全体の体積B(cm3)に基づいて下記式により発泡粒子の連続気泡率を算出する。なお、水1gの体積を1cm3とする。
E=A+(C−D)
連続気泡率(%)=100×(E−B)/E
連続気泡率は次のようにして測定する。
まず、体積測定空気比較式比重計の試料カップを用意し、この試料カップの80%程度を満たす量の発泡粒子の全重量A(g)を測定する。次に、上記発泡粒子全体の体積B(cm3)を比重計を用いて1−1/2−1気圧法により測定する。なお、体積測定空気比較式比重計は、例えば、東京サイエンス社から商品名「1000型」にて市販されている。
続いて、金網製の容器を用意し、この金網製の容器を水中に浸漬し、この水中に浸漬した状態における金網製の容器の重量C(g)を測定する。次に、この金網製の容器内に発泡粒子を全量入れた上で、この金網製の容器を水中に浸漬し、水中に浸漬した状態における金網製の容器とこの金網製容器に入れた発泡粒子の全量とを併せた重量D(g)を測定する。
そして、下記式に基づいて発泡粒子の見掛け体積E(cm3)を算出し、この見掛け体積Eと発泡粒子全体の体積B(cm3)に基づいて下記式により発泡粒子の連続気泡率を算出する。なお、水1gの体積を1cm3とする。
E=A+(C−D)
連続気泡率(%)=100×(E−B)/E
(DSC測定)
発熱量、吸熱量、結晶化度、及び融点は次のようにして測定する。
発泡粒子又は発泡成形体を4mg試料として採取する。得られた試料を、JIS K7121に記載の測定法に準拠して、10℃/分の速度にて30℃から210℃まで昇温しながら、示差走査熱量計(DSC:エスアイアイナノテクノロジー社製 示差走査熱量計装置 「DSC6220型」)を用いて、1mg当たりの発熱量及び融解熱量を測定する。両熱量を下記式に代入することで結晶化度を算出する。
発熱量、吸熱量、結晶化度、及び融点は次のようにして測定する。
発泡粒子又は発泡成形体を4mg試料として採取する。得られた試料を、JIS K7121に記載の測定法に準拠して、10℃/分の速度にて30℃から210℃まで昇温しながら、示差走査熱量計(DSC:エスアイアイナノテクノロジー社製 示差走査熱量計装置 「DSC6220型」)を用いて、1mg当たりの発熱量及び融解熱量を測定する。両熱量を下記式に代入することで結晶化度を算出する。
ここで、発泡粒子又は発泡成形体の発熱量は、DSC曲線の結晶化由来の発熱ピークと結晶融解の吸熱ピークの間の直線部分をベースラインとして引き、発熱ピークの高温側でベースラインから離れる点から、発熱ピークの低温側でベースラインの延長線と交わる点までのベースラインとDSC曲線に囲まれる部分の面積から求められる値とする。また、結晶融解の吸熱ピークの低温側直近に小さな発熱ピークが現れる場合は、該発熱ピークの低温側でベースラインから離れる点から、発熱ピークの高温側でベースラインの延長線と交わる点までのベースラインとDSC曲線に囲まれる部分の面積から求められる値とする。
発熱ピークの高温側からベースラインを引く理由は、発熱ピークの低温側には、ガラス転移やエンタルピー緩和、及び発泡粒子からの発泡剤の逸散に由来する、なだらかな吸熱ピークが発熱ピークの直近に現れるため、発熱ピークの低温側からはベースラインを引くことができないからである。
また、発泡粒子又は発泡成形体の吸熱量は、DSC曲線の結晶化由来の発熱ピークと結晶融解の吸熱ピークの間の直線部分をベースラインとして引き、吸熱ピークの低温側でベースラインから離れる点から、吸熱ピークの高温側でベースラインに戻る点までのベースラインとDSC曲線に囲まれた部分の面積から求められる値とする。ただし、吸熱ピークの低温側に小さな発熱ピークが現れる場合は、吸熱ピークとベースラインが交わる点と吸熱ピークの高温側でベースラインに戻る点までのベースラインとDSC曲線に囲まれた部分の面積から求められる値とする。
また、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)は、得られたDSC曲線における融解ピークの頂点の温度をポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とする。なお、融解ピークの頂点が複数個ある場合には、最も高い温度とする。
発熱ピークの高温側からベースラインを引く理由は、発熱ピークの低温側には、ガラス転移やエンタルピー緩和、及び発泡粒子からの発泡剤の逸散に由来する、なだらかな吸熱ピークが発熱ピークの直近に現れるため、発熱ピークの低温側からはベースラインを引くことができないからである。
また、発泡粒子又は発泡成形体の吸熱量は、DSC曲線の結晶化由来の発熱ピークと結晶融解の吸熱ピークの間の直線部分をベースラインとして引き、吸熱ピークの低温側でベースラインから離れる点から、吸熱ピークの高温側でベースラインに戻る点までのベースラインとDSC曲線に囲まれた部分の面積から求められる値とする。ただし、吸熱ピークの低温側に小さな発熱ピークが現れる場合は、吸熱ピークとベースラインが交わる点と吸熱ピークの高温側でベースラインに戻る点までのベースラインとDSC曲線に囲まれた部分の面積から求められる値とする。
また、ポリ乳酸系樹脂の融点(mp)は、得られたDSC曲線における融解ピークの頂点の温度をポリ乳酸系樹脂の融点(mp)とする。なお、融解ピークの頂点が複数個ある場合には、最も高い温度とする。
(嵩密度)
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。即ち、JIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度を測定する。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度(g/cm3)
=〔試料を入れたメスシリンダーの質量(g)−メスシリンダーの質量(g)〕
/〔メスシリンダーの容量(cm3)〕
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。即ち、JIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定し、下記式に基づいてポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度を測定する。
ポリ乳酸系樹脂発泡粒子の嵩密度(g/cm3)
=〔試料を入れたメスシリンダーの質量(g)−メスシリンダーの質量(g)〕
/〔メスシリンダーの容量(cm3)〕
(見掛け密度)
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の見掛け密度は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載の方法で測定する。
ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の見掛け密度は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載の方法で測定する。
(耐熱性)
得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を120℃に維持された電気オーブン内に22時間に亘って放置する。そして、電気オーブン内に放置する前後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の寸法を測定し、下記式に基づいて寸法変化率を算出し耐熱性として評価する。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の寸法は、縦方向、横方向及び高さ方向の寸法の相加平均値とする。
寸法変化率(%)=100×(加熱後の寸法−加熱前の寸法)/加熱前の寸法
得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体を120℃に維持された電気オーブン内に22時間に亘って放置する。そして、電気オーブン内に放置する前後のポリ乳酸系樹脂発泡成形体の寸法を測定し、下記式に基づいて寸法変化率を算出し耐熱性として評価する。なお、ポリ乳酸系樹脂発泡成形体の寸法は、縦方向、横方向及び高さ方向の寸法の相加平均値とする。
寸法変化率(%)=100×(加熱後の寸法−加熱前の寸法)/加熱前の寸法
(実施例1)
図1及び図2に示した製造装置を用いて発泡粒子を製造した。まず、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製商品名「TERRAMAC HV−6250H」、融点(mp):169.1℃、D体比率:1.2モル%、L体比率:98.8モル%、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:138.8℃)100重量部、気泡調整剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末(旭硝子社製 商品名「フルオンL169J」)0.1重量部を口径が65mmの単軸押出機に供給して溶融混練した。なお、単軸押出機内において、ポリ乳酸系樹脂を始めは190℃にて溶融混練した後に220℃まで昇温させながら溶融混練した。
図1及び図2に示した製造装置を用いて発泡粒子を製造した。まず、結晶性のポリ乳酸系樹脂(ユニチカ社製商品名「TERRAMAC HV−6250H」、融点(mp):169.1℃、D体比率:1.2モル%、L体比率:98.8モル%、動的粘弾性測定にて得られた、貯蔵弾性率曲線と損失弾性率曲線との交点における温度T:138.8℃)100重量部、気泡調整剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末(旭硝子社製 商品名「フルオンL169J」)0.1重量部を口径が65mmの単軸押出機に供給して溶融混練した。なお、単軸押出機内において、ポリ乳酸系樹脂を始めは190℃にて溶融混練した後に220℃まで昇温させながら溶融混練した。
続いて、単軸押出機の途中から、イソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなるブタンをポリ乳酸系樹脂100重量部に対して1.2重量部となるように溶融状態のポリ乳酸系樹脂に圧入して、ポリ乳酸系樹脂中に均一に分散させた。
しかる後、押出機の先端部において、溶融状態のポリ乳酸系樹脂を190℃に冷却した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型1の各ノズルから剪断速度7621sec-1でポリ乳酸系樹脂を押出発泡させた。なお、マルチノズル金型1の温度は200℃に維持されていた。
なお、マルチノズル金型1は、出口部11の直径が1.0mmのノズルを10個有しており、ノズルの出口部11は全て、マルチノズル金型1の前端面1aに想定した、直径が139.5mmの仮想円A上に等間隔毎に配設されていた。
なお、マルチノズル金型1は、出口部11の直径が1.0mmのノズルを10個有しており、ノズルの出口部11は全て、マルチノズル金型1の前端面1aに想定した、直径が139.5mmの仮想円A上に等間隔毎に配設されていた。
そして、回転軸2の後端部外周面には、四枚の回転刃5が回転軸2の周方向に等間隔毎に一体的に設けられており、各回転刃5はマルチノズル金型1の前端面1aに常時、接触した状態で仮想円A上を移動するように構成されていた。
更に、冷却部材4は、正面円形状の前部41aと、この前部41aの外周縁から後方に向かって延設されかつ内径が315mmの円筒状の周壁部41bとからなる冷却ドラム41を備えていた。そして、供給管41d及びドラム41の供給口41cを通じて冷却ドラム41内に冷却水42が供給されており、周壁部41bの内面全面には、この内面に沿って20℃の冷却水42が前方に向かって螺旋状に流れていた。
更に、冷却部材4は、正面円形状の前部41aと、この前部41aの外周縁から後方に向かって延設されかつ内径が315mmの円筒状の周壁部41bとからなる冷却ドラム41を備えていた。そして、供給管41d及びドラム41の供給口41cを通じて冷却ドラム41内に冷却水42が供給されており、周壁部41bの内面全面には、この内面に沿って20℃の冷却水42が前方に向かって螺旋状に流れていた。
そして、マルチノズル金型1の前端面1aに配設した回転刃5を4800rpmの回転数で回転させてあり、マルチノズル金型1の各ノズルの出口部11から押出発泡されたポリ乳酸系樹脂押出物を回転刃5によって切断して略球状の1次発泡粒子を製造した。ポリ乳酸系樹脂押出物は、マルチノズル金型1のノズルから押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなっていた。そして、ポリ乳酸系樹脂押出物は、ノズルの出口部11の開口端において切断されており、ポリ乳酸系樹脂押出物の切断は未発泡部において行われていた。
なお、1次発泡粒子の製造にあたっては、まず、マルチノズル金型1に回転軸2を取り付けずかつ冷却部材4をマルチノズル金型1から退避させておいた。この状態で、単軸押出機からポリ乳酸系樹脂押出物を押出発泡させ、ポリ乳酸系樹脂押出物が、マルチノズル金型1のノズルから押出された直後の未発泡部と、この未発泡部に連続する発泡途上の発泡部とからなることを確認した。次に、マルチノズル金型1に回転軸2を取り付けかつ冷却部材4を所定位置に配設した後、回転軸2を回転させ、ポリ乳酸系樹脂押出物をノズルの出口部11の開口端において回転刃5で切断して1次発泡粒子を製造した。
1次発泡粒子は、回転刃5による切断応力によって外方又は前方に向かって飛ばされ、冷却部材4の冷却ドラム41の内面に沿って流れている冷却水42に衝突して直ちに冷却された。
冷却された1次発泡粒子は、冷却ドラム41の排出口41e及び排出管41fを通じて冷却水42と共に排出された後、脱水機にて冷却水42と分離された。得られた1次発泡粒子は、その粒径が2.2〜2.6mmであり、嵩密度が0.2g/cm3であり、結晶化度が19.3%であった。
冷却された1次発泡粒子は、冷却ドラム41の排出口41e及び排出管41fを通じて冷却水42と共に排出された後、脱水機にて冷却水42と分離された。得られた1次発泡粒子は、その粒径が2.2〜2.6mmであり、嵩密度が0.2g/cm3であり、結晶化度が19.3%であった。
次に、1次発泡粒子を密閉容器内に入れ、この密閉容器内に二酸化炭素を1.0MPaの圧力にて圧入して25℃にて6時間に亘って放置して1次発泡粒子に二酸化炭素を含浸させた。
上記1次発泡粒子を圧力容器から取り出して、直ちに撹拌機付きの熱風乾燥機に供給し、撹拌しながら54℃の乾燥した熱風で3分間に亘って加熱して発泡させた。その結果、粒径が2.8〜3.5mm、嵩密度が0.047g/cm3、結晶化度が22.3%の高発泡倍率の改質発泡粒子を得た。この改質発泡粒子をDSCで測定したところ、結晶化に由来するピークが二山形状を示していた。また、発熱ピークを温度で四等分して温度の低い方から第1、第2、第3、第4分割とした際の、発熱ピークの熱量に占める第1、第3、第4分割の熱量の合計の割合は59.1%であった。
上記1次発泡粒子を圧力容器から取り出して、直ちに撹拌機付きの熱風乾燥機に供給し、撹拌しながら54℃の乾燥した熱風で3分間に亘って加熱して発泡させた。その結果、粒径が2.8〜3.5mm、嵩密度が0.047g/cm3、結晶化度が22.3%の高発泡倍率の改質発泡粒子を得た。この改質発泡粒子をDSCで測定したところ、結晶化に由来するピークが二山形状を示していた。また、発熱ピークを温度で四等分して温度の低い方から第1、第2、第3、第4分割とした際の、発熱ピークの熱量に占める第1、第3、第4分割の熱量の合計の割合は59.1%であった。
次に、改質発泡粒子を密閉容器内に入れ、この密閉容器内に二酸化炭素を0.8MPaの圧力にて圧入して25℃にて24時間に亘って放置して改質発泡粒子に二酸化炭素を含浸させた。
続いて、改質発泡粒子を横300mm、縦120mm、厚み20mm発泡成形体の、サンバイザーとしての発泡成形体を製造するためのアルミニウム製の金型のキャビティ内に充填した。また、金型は、この金型のキャビティ内と金型外部とを連通させるために、直径が8mmの円形状の供給口を20mm間隔毎に備えていた。各供給口には、開口幅が1mmの格子部を設けることで、金型内に充填した高発泡粒子がこの供給口を通じて金型外に流出せず、供給口を通じて金型外からキャビティ内に水を円滑に供給できるように構成した。
続いて、改質発泡粒子を横300mm、縦120mm、厚み20mm発泡成形体の、サンバイザーとしての発泡成形体を製造するためのアルミニウム製の金型のキャビティ内に充填した。また、金型は、この金型のキャビティ内と金型外部とを連通させるために、直径が8mmの円形状の供給口を20mm間隔毎に備えていた。各供給口には、開口幅が1mmの格子部を設けることで、金型内に充填した高発泡粒子がこの供給口を通じて金型外に流出せず、供給口を通じて金型外からキャビティ内に水を円滑に供給できるように構成した。
次に、加熱水槽内の85℃に維持された温水中に改質発泡粒子を充填した金型を完全に40秒間に亘って浸漬した。この浸漬により、金型の供給口を通じて金型のキャビティ内の発泡粒子に温水を供給することで、改質発泡粒子を加熱、2次発泡させて改質発泡粒子同士を熱融着一体化させて発泡成形体を得た。
次に、加熱水槽内から金型を取り出した。そして、冷却水槽内の20℃に維持された水中に金型を完全に5分間に亘って浸漬した。この浸漬により、金型内の発泡成形体を冷却した。
金型を冷却水槽から取り出した後、金型を開放することで直方体形状の発泡成形体を得た。金型を冷却水槽から取り出して金型を開放して直方体形状の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、見掛け密度が0.047g/cm3で非常に優れた外観を有していた。性能評価の結果を表1に示す。
金型を冷却水槽から取り出した後、金型を開放することで直方体形状の発泡成形体を得た。金型を冷却水槽から取り出して金型を開放して直方体形状の発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、見掛け密度が0.047g/cm3で非常に優れた外観を有していた。性能評価の結果を表1に示す。
(実施例2)
熱風乾燥機での熱風の温度を47℃とし、加熱時間を210秒と変えたこと以外は実施例1と同様にして改質発泡粒子を得た。得られた改質発泡粒子は粒径が2.5〜3.4mm、嵩密度が0.058g/cm3、結晶化度が23.1%であった。この改質発泡粒子をDSCで測定したところ、結晶化に由来するピークが略半円形状を示していた。また、発熱ピークを温度で四等分して温度の低い方から第1、第2、第3、第4分割とした際の、発熱ピークの熱量に占める第1、第3、第4分割の熱量の合計の割合は54.3%だった。
次に、得られた改質発泡粒子から実施例1と同様の要領にて、発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、見掛け密度が0.058g/cm3で非常に優れた外観を有していた。性能評価の結果を表1に示す。
熱風乾燥機での熱風の温度を47℃とし、加熱時間を210秒と変えたこと以外は実施例1と同様にして改質発泡粒子を得た。得られた改質発泡粒子は粒径が2.5〜3.4mm、嵩密度が0.058g/cm3、結晶化度が23.1%であった。この改質発泡粒子をDSCで測定したところ、結晶化に由来するピークが略半円形状を示していた。また、発熱ピークを温度で四等分して温度の低い方から第1、第2、第3、第4分割とした際の、発熱ピークの熱量に占める第1、第3、第4分割の熱量の合計の割合は54.3%だった。
次に、得られた改質発泡粒子から実施例1と同様の要領にて、発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、見掛け密度が0.058g/cm3で非常に優れた外観を有していた。性能評価の結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で得られた1次発泡粒子を、密閉容器内に供給した。この密閉容器内に二酸化炭素を0.3MPa(G)の圧力にて圧入して25℃で24時間に亘って放置することで、1次発泡粒子に二酸化炭素を含浸させた。
次に、二酸化炭素が含浸した1次発泡粒子から実施例1と同様の要領にて、発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、全体的に膨らんでおり外観不良であった。
なお、1次発泡粒子をDSCで測定したところ、結晶化に由来するピークはシャープな一山の略三角形形状を示していた。また、発熱ピークを温度で四等分して温度の低い方から第1、第2、第3、第4分割とした際の、発熱ピークの熱量に占める第1、第3、第4分割の熱量の合計の割合は36.5%であった。性能評価の結果を表1に示す。
実施例1で得られた1次発泡粒子を、密閉容器内に供給した。この密閉容器内に二酸化炭素を0.3MPa(G)の圧力にて圧入して25℃で24時間に亘って放置することで、1次発泡粒子に二酸化炭素を含浸させた。
次に、二酸化炭素が含浸した1次発泡粒子から実施例1と同様の要領にて、発泡成形体を得た。得られた発泡成形体は、全体的に膨らんでおり外観不良であった。
なお、1次発泡粒子をDSCで測定したところ、結晶化に由来するピークはシャープな一山の略三角形形状を示していた。また、発熱ピークを温度で四等分して温度の低い方から第1、第2、第3、第4分割とした際の、発熱ピークの熱量に占める第1、第3、第4分割の熱量の合計の割合は36.5%であった。性能評価の結果を表1に示す。
(比較例2)
熱風乾燥機での熱風の温度を52℃から68℃に変えたこと以外は実施例1と同様にして、高発泡粒子を得た。得られた高発泡粒子は粒径が2.8〜3.6mm、嵩密度が0.041g/cm3、結晶化度が28.5%であった。この高発泡粒子をDSCで測定したところ、結晶化に由来するピークは一山の略三角形形状を示していた。また、発熱ピークを温度で四等分して温度の低い方から第1、第2、第3、第4分割とした際の、発熱ピークの熱量に占める第1、第3、第4分割の熱量の合計の割合は35.3%であった。
次に、得られた高発泡粒子から実施例1と同様の要領にて、発泡成形体を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、密度が0.041g/cm3で非常に優れた外観を有していた。性能評価の結果を表1に示す。
熱風乾燥機での熱風の温度を52℃から68℃に変えたこと以外は実施例1と同様にして、高発泡粒子を得た。得られた高発泡粒子は粒径が2.8〜3.6mm、嵩密度が0.041g/cm3、結晶化度が28.5%であった。この高発泡粒子をDSCで測定したところ、結晶化に由来するピークは一山の略三角形形状を示していた。また、発熱ピークを温度で四等分して温度の低い方から第1、第2、第3、第4分割とした際の、発熱ピークの熱量に占める第1、第3、第4分割の熱量の合計の割合は35.3%であった。
次に、得られた高発泡粒子から実施例1と同様の要領にて、発泡成形体を得た。得られたポリ乳酸系樹脂発泡成形体は、密度が0.041g/cm3で非常に優れた外観を有していた。性能評価の結果を表1に示す。
(比較例3)
発泡倍率20倍の発泡ポリプロピレンにて、実施例1と同形状、同寸法の発泡成形体を製造した。性能評価の結果を表1に示す。
発泡倍率20倍の発泡ポリプロピレンにて、実施例1と同形状、同寸法の発泡成形体を製造した。性能評価の結果を表1に示す。
表1から、発熱ピークの全発熱量に対して、第1、第3及び第4の区分の熱量の合計の占める割合が、45%以上の改質発泡粒子を使用した場合、外観、融着性及び耐熱性に優れた発泡成形体を得られることがわかる。
なお、実施例1及び2、比較例1及び2のDSC曲線を図3〜6に示す。図中、Xは結晶化由来の発熱ピークを意味する。
なお、実施例1及び2、比較例1及び2のDSC曲線を図3〜6に示す。図中、Xは結晶化由来の発熱ピークを意味する。
1ノズル金型:1a前端面:2回転軸:3モータ:4冷却部材:5回転刃:11出口部:41冷却ドラム:41a前部:41b周壁部:41c供給口:41d供給管:41e排出口:41f排出管:42冷却液:A仮想円:X結晶化由来の発熱ピーク
Claims (6)
- ポリ乳酸系樹脂発泡体を型内発泡成形したポリ乳酸系樹脂発泡成形体からなる自動車内装材であって、該ポリ乳酸系樹脂発泡体がポリ乳酸系樹脂を少なくとも含み、前記ポリ乳酸系樹脂が示差走査熱量計で測定した際に結晶化由来の発熱ピークを有し、
前記発熱ピークは、それを温度の低い方から第1、第2、第3及び第4の区分に四等分した場合、
(1)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計が10J/g以上であり、
(2)第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計に対して、第1、第3及び第4の区分の発熱量の合計が45%以上である
形状を有するポリ乳酸系樹脂発泡体からなることを特徴とするサンバイザー。 - 前記ポリ乳酸系樹脂発泡体が第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計が12J/g以上であり、第1、第2、第3及び第4の区分の発熱量の合計に対して、第1、第3及び第4の区分の発熱量の合計が50%以上である請求項1に記載のサンバイザー。
- 前記ポリ乳酸系樹脂は、乳酸又はラクチドのD体及びL体の双方の光学異性体からなりかつD体又はL体のうちの少ない方の光学異性体の含有量が5モル%未満のモノマー成分に由来するか、あるいは、D体又はL体のうちのいずれか一方の光学異性体からなるモノマー成分のみに由来する請求項1又は2に記載のサンバイザー。
- 前記ポリ乳酸系樹脂が、30J/g以上の結晶融解の吸熱ピークの吸熱量を有する請求項1〜3のいずれか1つに記載のサンバイザー。
- 前記ポリ乳酸系樹脂発泡体が、0.05〜0.5g/cm3の嵩密度のポリ乳酸系樹脂1次発泡体を加熱することで発泡して得られた0.02〜0.2g/cm3の嵩密度のポリ乳酸系樹脂高倍発泡体である請求項1〜4のいずれか1つに記載のサンバイザー。
- 請求項1〜5のいずれか1つに記載のサンバイザーの製造方法であって、
0.05〜0.5g/cm3の嵩密度のポリ乳酸系樹脂1次発泡体をガラス転移温度(Tg)−20℃〜ガラス転移温度(Tg)+5℃の温度範囲で10〜300秒間加熱することで発泡させて、0.02〜0.2g/cm3の嵩密度のポリ乳酸系樹脂高倍発泡体を得ることを特徴とするサンバイザーの製造方法。
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