JP2021050286A - 樹脂組成物およびその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂を含み、成形性や生分解性を損なうことなく、成形時に帯電防止性を有する樹脂組成物、およびその成形体を提供する。【解決手段】脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとを含み、前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリヒドロキシブチレート系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂(但し、乳酸骨格を含む樹脂を除く。)である、樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、脂肪族ポリエステル系樹脂を含む樹脂組成物およびその利用に関する。
近年、廃棄プラスチックによる環境問題がクローズアップされている。中でも、廃棄プラスチックによる海洋や土壌の環境汚染は深刻であり、自然環境下で分解する生分解性プラスチックの普及が期待されている。
そのような生分解性プラスチックとしては、例えば、澱粉、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネートアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、ポリカプロラクトン等が存在する。特に、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂は、海水中および土壌中で生分解が進行し、ポリブチレンサクシネート系樹脂は、土壌中で生分解が進行し得る材料であるため、環境汚染の問題を解決する素材として注目されている。
ところで、包装フィルムの中でも、電子部品の保存に用いられるものには、帯電による電子部品への電撃を避けるために帯電防止性が求められる。しかし、一般的にポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂等の脂肪族ポリエステル系樹脂は、帯電性が高く、何らかの処理による帯電防止性付与が求められる。
生分解性プラスチックの中では、特に、ポリ乳酸について、帯電防止性を付与する技術が報告されている。
特許文献1では、ポリ乳酸骨格を含む脂肪族ポリエステル共重合体(コハク酸・アジピン酸・1,4−ブタンジオール・乳酸ポリエステル共重合体)に、特定のグリセリン・脂肪族カルボン酸エステル、ジグリセリン・脂肪族カルボン酸エステルおよび脂肪族カルボン酸を、特定量添加して、帯電防止性を付与する技術が開示されている。
特許文献2では、ポリ乳酸樹脂に、帯電防止剤として特定の第4級アンモニウム塩を添加する技術が開示されている。
特開2006−143841 特開2006−176648
しかし、特許文献1および2の技術は、ポリ乳酸樹脂に限られる技術といえ、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂等の脂肪族ポリエステル系樹脂について、成形体に帯電防止性を付与し得る帯電防止剤が明らかになっていない。
そこで、本発明の一態様は、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂を含み、成形性や生分解性を損なうことなく、成形時に帯電防止性を有する樹脂組成物、およびその成形体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリ乳酸骨格を有しないポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂と、特定の帯電防止剤とを含む樹脂組成物とすることにより、当該樹脂組成物を用いた成形体が帯電防止性に優れるとの新規知見を見出し、本発明を完成するに至った。
したがって、本発明の一態様は、脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとを含み、前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂(但し、乳酸骨格を含む樹脂を除く。)である、樹脂組成物である。
本発明の一態様によれば、成形時に帯電防止性を有する樹脂組成物、およびその成形体を提供することができる。
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。
〔1.概要〕
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物(以下、「本樹脂組成物」と称する。)は、脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとを含み、前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂(但し、乳酸骨格を含む樹脂を除く。)である。
本発明者らは、乳酸骨格を含まないポリ(3−ヒドロキシブチレート)やポリブチレンサクシネートからなる脂肪族ポリエステル系樹脂を含む成形体について、鋭意検討を行った結果、以下の知見を得ることに成功した。
すなわち、本発明者らは、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル系樹脂に特定の脂肪酸エステルを含ませることにより、成形性や生分解性を損なうことなく、帯電防止性を有する成形体を得られることを見出した。
本発明者らのこれまでの研究開発において、(i)ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル系樹脂は、ポリ乳酸樹脂に比べて、帯電防止剤を添加した際に低分子化(低粘度化)してしまう場合があること、(ii)特に塩基性の帯電防止剤を用いると、練りこみの際に当該脂肪族ポリエステル系樹脂の急激な分解(低分子化)を起こす場合があること、(iii)ポリマータイプの帯電防止剤を用いると、生分解性を損なう場合があること、(iv)脂肪族ポリエステル系樹脂が低分子化(低粘度化)してしまうと、所望の粘度(メルトフローレート)が確保できず、例えばシートやフィルムに成形することが困難である、といった新たな課題を見出した。
このような技術課題のもと、ポリ乳酸骨格を含まないポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル系樹脂を含む樹脂について、当業者といえども、成形性や生分解性を損なうことなくシートやフィルムを得ることは非常に困難であった。
本発明者らは、乳酸骨格を有しないポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル系樹脂に、特定の脂肪酸エステルを含ませることにより、低分子化を抑制でき、成形性や生分解性を損なうことなく帯電防止性を有する成形体を得られることを見出した。かかる新規知見は、驚くべきことであるといえる。
本樹脂組成物は、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂等の脂肪族ポリエステル系樹脂に特定の脂肪酸エステルを含ませることにより、成形性や生分解性を損なうことなく、成形体(例えば、シート、フィルム等)の帯電防止性を高め得るとの効果を奏する。なお、本明細書において、帯電防止性は、後述する実施例の方法で測定した表面抵抗率(Ω/□)を指標として判断され得る。以下、本樹脂組成物の構成について詳説する。
〔2.樹脂組成物〕
本樹脂組成物は、脂肪族ポリエステル系樹脂であるポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂を含む。また、本樹脂組成物は、脂肪酸エステルを含む。
ここで、本樹脂組成物におけるポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂およびポリブチレンサクシネート系樹脂は、乳酸骨格を含まない。すなわち、本樹脂組成物におけるポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂およびポリブチレンサクシネート系樹脂は、乳酸骨格を含む樹脂を除く。本明細書において、「乳酸骨格を含む樹脂」とは、樹脂の少なくとも一部に乳酸由来の構造を含む樹脂を意味する。乳酸骨格を含む樹脂としては、上記の定義に含まれる限り特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸、乳酸由来の構造を含む共重合体等が挙げられる。
乳酸骨格を含む樹脂は、温度が55℃以上の土壌中で生分解され得るものの、低温での土壌生分解性や海洋分解性を有さない。本樹脂組成物におけるポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂およびポリブチレンサクシネート系樹脂は、乳酸骨格を含まないことにより、低温での土壌中および海水中でも生分解が進行し、海洋汚染の問題を解決し得るという利点を有する。すなわち、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂は、低温での土壌中および海水中で生分解が進行し、ポリブチレンサクシネート系樹脂は、低温での土壌中でも生分解が進行し得る。
以下において、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂をP3HB系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂をPBS系樹脂と略して言及する場合がある。
<ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂>
本樹脂組成物に含まれるポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂は、微生物から生産され得る脂肪族ポリエステル樹脂であって、3−ヒドロキシブチレートを繰り返し単位とするポリエステル樹脂である。当該ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂は、3−ヒドロキシブチレートのみを繰り返し単位とするポリ(3−ヒドロキシブチレート)であってもよいし、3−ヒドロキシブチレートと他のヒドロキシアルカノエートとの共重合体であってもよい。また、前記ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂は、単独重合体と1種または2種以上の共重合体の混合物、または、2種以上の共重合体の混合物であってもよい。
P3HB系樹脂としては、例えば、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(P3HB3HH)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバリレート)(P3HB3HV)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)(P3HB4HB)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシデカノエート)(P3HB3HD)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)(P3HB3HO)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタデカノエート)(P3HB3HOD)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシデカノエート)(P3HB3HD)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバリレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(P3HB3HV3HH)等が挙げられる。中でも、工業的に生産が容易であることから、P3HB、P3HB3HH、P3HB3HV、P3HB4HBが好ましい。
本発明の一実施形態において、P3HB系樹脂は、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシデカノエート)からなる群より選択される少なくとも1種である。
さらには、繰り返し単位の組成比を変えることで、融点、結晶化度を変化させ、ヤング率、耐熱性等の物性を変化させることができ、ポリプロピレンとポリエチレンとの間の物性を付与することが可能であること、また上記したように工業的に生産が容易であり、物性的に有用なプラスチックであるという観点から、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)が好ましい。特に、180℃以上の加熱下で熱分解しやすい特性を有するポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂の中でも、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)は、融点が低く、低温での成形加工が可能となる観点から好ましい。
前記ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)の繰り返し単位の組成比は、柔軟性と強度のバランスの観点から、3−ヒドロキシブチレート単位/3−ヒドロキシヘキサノエート単位の組成比が、80/20〜99/1(mol/mol)であることが好ましく、75/15〜97/3(mo1/mo1)であることがより好ましい。その理由は、柔軟性の点から99/1以下が好ましく、また樹脂が適度な硬度を有する点で80/20以上が好ましいからである。
P3HB系樹脂は、例えば、微生物により産生され得る。P3HB系樹脂を生産する微生物としては、P3HB系樹脂の生産能を有する微生物であれば特に限定されない。例えば、P3HB生産菌としては、1925年に発見されたBacillus megateriumが最初で、他にもカプリアビダス・ネケイター(Cupriavidus necator)(旧分類:アルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus、ラルストニア・ユートロフア(Ralstonia eutropha))、アルカリゲネス・ラタス(Alcaligenes latus)等の天然微生物が挙げられる。これらの微生物ではP3HBが菌体内に蓄積されることが知られている。
また、ヒドロキシブチレートとその他のヒドロキシアルカノエートとの共重合体の生産菌としては、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバリレート)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)生産菌であるアエロモナス・キヤビエ(Aeromonas caviae)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)生産菌であるアルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)等が知られている。特に、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)に関し、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)の生産性を上げるために、P3HA合成酵素群の遺伝子を導入したアルカリゲネス・ユートロファス AC32株(Alcaligenes eutrophus AC32, FERM BP−6038)(T.Fukui,Y.Doi,J.Bateriol.,179,p4821−4830(1997))等がより好ましく、これらの微生物を適切な条件で培養して菌体内にポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)を蓄積させた微生物菌体が用いられる。また上記以外にも、生産したいP3HB系樹脂に合わせて、各種P3HB系樹脂合成関連遺伝子を導入した遺伝子組換え微生物を用いても良いし、基質の種類を含む培養条件の最適化をすればよい。
また、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)は、例えば、国際公開第2010/013483号公報に記載された方法によっても製造され得る。ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)の市販品としては、株式会社カネカ「カネカ生分解性ポリマーPHBH」(登録商標)などが挙げられる。
P3HB系樹脂の分子量は、目的とする用途で実質的に十分な物性を示すものであればよく、特に限定されない。P3HB系樹脂の重量平均分子量の範囲は、50,000〜3,000,000が好ましく、より好ましくは、100,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは、300,000〜700,000である。重量平均分子量を50,000以上とすることにより、フィルムの強度がより向上する傾向がある。一方、重量平均分子量を3,000,000以下とすることにより、加工性がより向上し、成形がより容易となる傾向がある。当該P3HB系樹脂は、後述のように、均一に且つ適度に架橋されたP3HB系樹脂であることが好ましいが、前記重量平均分子量の数値は、P3HB系樹脂を架橋する前に測定される値である。
前記重量平均分子量の測定方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(昭和電工社製「Shodex GPC−101」)を用い、カラムにポリスチレンゲル(昭和電工社製「Shodex K−804」)を用い、クロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算した場合の分子量として求めることができる。この際、検量線は、重量平均分子量31,400、197,000、668,000、および1,920,000のポリスチレンを使用して作成する。当該GPCにおけるカラムとしては、前記分子量を測定するのに適切なカラムを使用すればよい。
本発明の一実施形態において、P3HB系樹脂は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の一実施形態において、本樹脂組成物におけるP3HB系樹脂の含有量は、特に限定されないが、20重量%以上が好ましく、より好ましくは、30重量%以上であり、さらに好ましくは、40重量%以上であり、特に好ましくは、60重量%以上であり、とりわけ好ましくは、70重量%以上である。P3HB系樹脂の含有量を20重量%以上とすることにより、樹脂層の生分解性がいっそう良好となる傾向がある。P3HB系樹脂の含有量の上限は特に限定されないが、95重量%以下が好ましく、より好ましくは、92重量%以下であり、さらに好ましくは、90重量%以下である。
<ポリブチレンサクシネート系樹脂>
本樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネート系樹脂を含む。本明細書において、「ポリブチレンサクシネート系樹脂」は、1,4−ブタンジオールとコハク酸とを構造単位に有する脂肪族ポリエステル重合体である。
本発明の一実施形態において、ポリブチレンサクシネート系樹脂としては、生分解性を損なわない範囲で、1,4−ブタンジオールおよびコハク酸以外の任意のジオール、ジカルボン酸、あるいはヒドロキシアルカノエートを構造単位に有していても良く、例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートとテレフタル酸との共重合体、ポリブチレンサクシネートとリンゴ酸との共重合体、ポリブチレンサクシネートとセバシン酸との共重合体、ポリブチレンサクシネートとアゼライン酸との共重合体等が挙げられる。中でも、工業的な入手性、耐熱性、海洋分解性の観点から、ポリブチレンサクシネートが好ましい。
本発明の一実施形態において、ポリブチレンサクシネート系樹脂は、本発明の効果を奏する限り、上記以外のジオール、上記以外のジカルボン酸等を含んでもよい。そのようなジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。また、そのようなジカルボン酸としては、例えば、スペリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、無水コハク酸、無水アジピン酸等が挙げられる。
本発明の一実施形態においてポリブチレンサクシネート系樹脂は、市販品を用いてもよく、例えば、昭和電工社製ビオノーレ3001MD等が使用され得る。
<脂肪酸エステル>
本樹脂組成物は、帯電防止剤として、脂肪酸エステルを含む。本樹脂組成物が脂肪酸エステルを含むことにより、帯電防止性を有する成形体を製造することができる。
本発明の一実施形態において、脂肪酸エステルは、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、脂肪酸モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセライド、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。中でも、少量での帯電防止性付与の観点から、脂肪酸モノグリセライドまたはソルビタン脂肪酸エステルが好ましい。
本樹脂組成物における脂肪酸モノグリセライドは、グリセリンと、脂肪酸とのモノエステルであれば特に限定されない。本発明の一実施形態において、脂肪酸モノグリセライドは、例えば、グリセリンと、炭素数が5〜25個の脂肪酸とのモノエステルであり得る。上記脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸等が挙げられる。脂肪酸モノグリセライドとしては、特に限定されないが、例えば、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンモノオレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノカプリレート等が挙げられる。中でも、少量での帯電防止性付与の観点から、グリセリンモノステアレートが好ましい。
本樹脂組成物におけるソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビタンと、脂肪酸とのエステルであれば特に限定されない。本発明の一実施形態において、ソルビタン脂肪酸エステルは、例えば、ソルビタンと、炭素数が5〜25個の脂肪酸とのエステルであり得る。上記脂肪酸としては、例えば、カプロン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸等が挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンベヘネート、ソルビタンオレート、ソルビタンラウレート、ソルビタンカプリレート等が挙げられる。中でも、少量での帯電防止性付与の観点から、ソルビタンラウレートが好ましい。
本発明の一実施形態において、本樹脂組成物における脂肪酸エステルの含有量は、例えば、上記脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重量部であり、好ましくは、0.15〜3.0重量部であり、より好ましくは、0.17〜2.0重量部であり、特に好ましくは、0.2〜1.0重量部である。脂肪酸エステルの含有量が0.1重量部以上であることにより、本樹脂組成物の成形の際に帯電防止性を付与し得る。特に、脂肪酸エステルの含有量を0.2重量部以上とすることにより、成形体(例えば、フィルム、シート等)の帯電防止性がいっそう良好となり得る。また、脂肪酸エステルの含有量が5.0重量部以下であることにより、脂肪酸エステルのブリードによる成形体表面のべたつきを低減し得る。
<その他>
(結晶核剤)
本樹脂組成物は、結晶核剤を含んでいてもよい。結晶核剤としては、例えば、脂肪酸アミド、多価アルコール等が好適に用いられる。脂肪酸アミドの例としては、ベヘン酸アミド等が挙げられ、多価アルコールの例としては、ペンタエリスリトール、ガラクチトール、マンニトール等が挙げられる。結晶核剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。結晶核剤の含有量は、適宜設定することができ、特に限定されない。
(外滑剤)
本樹脂組成物は、外滑剤を含んでいてもよい。外滑剤としては、例えば、エルカ酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等が挙げられる。外滑剤は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。外滑剤の含有量は、適宜設定することができ、特に限定されない。
(他の樹脂)
本樹脂組成物は、P3HB系樹脂以外の樹脂(以下、「他の樹脂」と称する場合がある。)を含んでいてもよい。他の樹脂としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、本樹脂組成物の成形により得られる成形体がP3HB系樹脂の特徴である生分解性が要求される用途に用いられる場合には、生分解性樹脂であることが好ましい。他の樹脂としては、例えば、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂およびポリブチレンサクシネート系樹脂以外の、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸が重縮合した構造からなる脂肪族ポリエステルや、脂肪族化合物と芳香族化合物との両方をモノマーとする脂肪族芳香族ポリエステル等が挙げられる。前者の例としては、ポリエチレンサクシネート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリエチレンセバケート、ポリブチレンセバケート等が挙げられる。後者の例としては、ポリ(ブチレンアジペート−co−ブチレンテレフタレート)(PBAT)、ポリ(ブチレンセバケート−co−ブチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンアゼレート−co−ブチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンサクシネート−co−ブチレンテレフタレート)(PBST)等が挙げられる。なお、他の樹脂は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の一実施形態において、本樹脂組成物における他の樹脂の含有量は、特に限定されないが、P3HB系樹脂100重量部に対して、250重量部以下が好ましく、より好ましくは、100重量部以下であり、さらに好ましくは、50重量部以下であり、特に好ましくは、20重量部以下である。他の樹脂の含有量の下限は、特に限定されず、0重量部であってもよい。
(その他の成分)
本樹脂組成物は、上記以外のその他の成分を含んでいてもよい。例えば、本発明の効果を阻害しない範囲で、有機系または無機系フィラー等を含んでいてもよい。中でも、得られるフィルムの生分解性およびカーボンニュートラルの観点から、例えば、木屑、木粉、オガ屑等の木質系材料、米殻、米粉、澱粉、コーンスターチ、稲わら、麦わら、天然ゴム等の天然由来の材料が好ましい。当該有機系または無機系フィラーの含有量は、適宜設定することができ、特に限定されない。有機系または無機系フィラーは、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる
また、上述の有機系または無機系フィラーの他にも、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常の添加剤として使用される顔料、染料等の着色剤、活性炭、ゼオライト等の臭気吸収剤、バニリン、デキストリン等の香料、酸化防止剤、抗酸化剤、耐候性改良剤、紫外線吸収剤、撥水剤、抗菌剤、しゅう動性改良剤、その他の副次的添加剤の一種または二種以上を含んでいてもよい。当該添加剤の含有量も、適宜設定することができる。
本発明の一実施形態において、本樹脂組成物のメルトフローレイトは、例えば、測定温度165℃、加重5kgにて0.5〜15g/10minあり、好ましくは、1〜12g/10minであり、より好ましくは、2〜10g/10minである。本樹脂組成物のメルトフローレイトが上記範囲内であると、適度な粘度の樹脂組成物が得られ、良好にシート等の成形体を製造することができる。なお、メルトフローレイトが上記範囲を超えた場合には、樹脂組成物の粘度が低くなり、成形体を得ることができない。
〔3.製造方法〕
本発明の一実施形態に係る樹脂組成物の製造方法(以下、「本製造方法」と称する。)は、脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとを押出機内で溶融混練する工程を含み、前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂(但し、乳酸骨格を含む樹脂を除く。)である。本製造方法により、成形性や生分解性を損なうことなく、成形時に帯電防止性を有する樹脂組成物を製造することができる。
本製造方法において、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂およびポリブチレンサクシネート系樹脂については、〔2.樹脂組成物〕の項で説明したものが援用される。
本製造方法において、脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとを押出機に投入する工程は、特に限定されず、例えば、押出機に、脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとを順次投入してもよいし、脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとを同時に投入してもよい。特に好ましくは、押出機内で溶融混練する工程の前に、さらに、脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとをドライブレンドする工程を含むことが好ましい。すなわち、本製造方法では、脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとをドライブレンドにて予め混合したうえで、当該混合物を押出機に投入することが好ましい。
本明細書において「ドライブレンド」とは、脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとを実質的に水分を含まない条件下で混合することを意味する。押出機内への投入前に、上記ドライブレンド工程を含むことにより、混合物中における脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとの分散性が均一となり、良好な成形体が製造できるという利点を有する。ドライブレンドの具体的な条件は、常法に従って当業者が適宜設定することができ、例えば、実施例に記載の条件が使用される。
〔4.成形体〕
本発明の一実施形態に係る成形体(以下、「本成形体」と称する。)は、本樹脂組成物から構成される。本成形体は、成形時に帯電防止性を有する樹脂組成物から構成されているため、帯電防止性が必要とされる種々の用途において利用され得る。
本成形体は、本樹脂組成物から構成されるものであれば特に限定されないが、例えば、紙、フィルム、シート、チューブ、板、棒、容器(例えば、ボトル容器)、袋、部品等が挙げられる。
本発明の一実施形態において、帯電防止性を有するフィルムやシートは、包装材料として各種包装体に使用することができる。したがって、本成形体は、上記使用態様の観点から、フィルムまたはシートであることが好ましい。上記包装体としては、特に限定されないが、サイドシール包装体、三方シール包装体、ピロー包装体、スタンディングパウチ等が挙げられる。
本成形体の帯電防止性は、後述する実施例の方法で測定した表面抵抗率(Ω/□)を指標として判断され得る。本発明の一実施形態において、本成形体の表面抵抗率は、例えば、9.5×1013Ω/□以下であり、好ましくは、7.0×1013Ω/□以下であり、より好ましくは、5.0×1013Ω/□以下であり、特に好ましくは、3.0×1013Ω/□以下である。本成形体の表面抵抗率が上記範囲内であると、帯電防止性を有する。
(フィルムおよびシートの製造方法)
本発明の一実施形態において、フィルム、シート等の成形体を製造する場合、例えば、押出フィルム成形からなる成形方法によって製造することができる。例えば、上記脂肪族ポリエステル系樹脂(上記ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂または上記ポリブチレンサクシネート系樹脂)と上記脂肪酸エステルとを押出機内で溶融混練した後、押出機出口に接続されているTダイからフィルム形状に押出する工程、およびフィルム形状に押出された溶融樹脂をロールに当てることで冷却、固化させ、フィルムとして引き取る工程によって製造することができる。押出フィルム成形の具体的な条件は、常法に従って当業者が適宜設定することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
すなわち、本発明の一実施形態は、以下である。
<1>脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとを含み、
前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂(但し、乳酸骨格を含む樹脂を除く。)である、樹脂組成物。
<2>前記脂肪酸エステルが、脂肪酸モノグリセライドまたはソルビタン脂肪酸エステルである、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記脂肪酸エステルは、前記脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重量部含む、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
<4>前記ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシデカノエート)からなる群より選択される少なくとも1種である、<1>〜<3>のいずれかに記載の樹脂組成物。
<5><1>〜<4>のいずれかに記載の樹脂組成物から構成される成形体。
<6>脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとを押出機内で溶融混練する工程を含み、
前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂(但し、乳酸骨格を含む樹脂を除く。)である、樹脂組成物の製造方法。
<7>前記工程の前に、さらに、前記脂肪族ポリエステル系樹脂と前記脂肪酸エステルとをドライブレンドする工程を含む、<6>に記載の樹脂組成物の製造方法。
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔材料〕
実施例および比較例において、以下の材料を使用した。
<ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂>
A−1:国際公開第2013/147139号公報に記載の方法に準じて得た、3−ヒドロキシヘキサノエート(3HH)組成が11.2モル%、GPCで測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が58万であるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(P3HB3HH)
A−2:国際公開第2008/010296号公報に記載の方法に準じて得た、3HH組成が5.4モル%、GPCで測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が62万であるP3HB3HH
A−3:Ecomann社製EM5400F[ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)(P3HB4HB)]
<ポリブチレンサクシネート系樹脂>
A−4:昭和電工社製ビオノーレ3001MD
<帯電防止剤>
B−1:リケマールS−100(グリセリンモノステアレート)(東邦化学工業社製)
B−2:リケマールL−250A(ソルビタンラウレート)(理研ビタミン社製)
B−3:アンステックスSA−35(アルキルジエタノールアミン)(東邦化学工業社製)
〔測定方法〕
実施例および比較例における測定を、以下の方法で行った。
(表面抵抗率)
アドバンテスト社製デジタル超高抵抗機R8340を用いて表面抵抗率を測定した。簡潔には、JIS K6911に沿って、100μmのフィルムを用いて行った。
(メルトフローレイト)
安田精機製作所社製メルトフローインデックステスターを用いてメルトフローレイト(g/10min)を測定した。簡潔には、JIS K7210に沿って、A法、温度条件165℃、荷重5.0kgにて行った。
〔実施例1〕
P3HB系樹脂(A−1)および帯電防止剤(B−1)を表1に示す配合比でドライブレンドした。得られた混合物を、同方向噛合型二軸押出機(東芝機械社製:TEM26ss)に投入し、設定温度120〜160℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混錬し、ストランドカットすることでペレットを得た。
得られたペレットを用いて、上記の方法により、メルトフローレイトを測定した。結果を表1に示す。
また、得られたペレットを用いて、押出機設定温度130〜160℃、アダプターおよびダイス設定温度(樹脂温度)160℃にて、Tダイ成形によるフィルム(シート)の製造を行った。押出の条件は、スクリュー回転数30rpm、ダイギャップ250umとし、押出後に、60℃に温調したロールをシートに当てながら1m/分で引き取ることにより、100μmのフィルム(シート)を製造した。
上記の方法により、製造後7日経過したフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
帯電防止剤の添加量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例3〜4〕
帯電防止剤の種類および添加量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例5〜8〕
P3HB系樹脂の種類、ならびに帯電防止剤の種類および添加量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例9〜12〕
P3HB系樹脂の種類、ならびに帯電防止剤の種類および添加量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
〔実施例13〜16〕
P3HB系樹脂をPBS系樹脂に変更し、帯電防止剤の種類および量を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2021050286
〔比較例1〕
帯電防止剤を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
〔比較例2〕
帯電防止剤を添加せず、P3HB系樹脂の種類を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
〔比較例3〕
帯電防止剤を添加せず、P3HB系樹脂の種類を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
〔比較例4〕
帯電防止剤を添加せず、P3HB系樹脂をPBS系樹脂に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。
〔比較例5〕
P3HB系樹脂の種類、ならびに帯電防止剤の種類および量を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。フィルム(シート)は、メルトフローレイトが高すぎるために成形できず、表面抵抗率の測定は不可であった。
〔比較例6〕
P3HB系樹脂の種類、ならびに帯電防止剤の種類および量を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。フィルム(シート)は、メルトフローレイトが高すぎるために成形できず、表面抵抗率の測定は不可であった。
〔比較例7〕
P3HB系樹脂の種類、ならびに帯電防止剤の種類および量を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。フィルム(シート)は、メルトフローレイトが高すぎるために成形できず、表面抵抗率の測定は不可であった。
〔比較例8〕
P3HB系樹脂をPBS系樹脂に変更し、帯電防止剤の種類および量を表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ペレットおよびフィルムを製造した。また、実施例1と同様の方法により、得られたペレットのメルトフローレイトおよび得られたフィルムの表面抵抗率を測定した。結果を表2に示す。フィルム(シート)は、メルトフローレイトが高すぎるために成形できず、表面抵抗率の測定は不可であった。
Figure 2021050286
〔結果〕
表1および2より、実施例では、比較例に比して、表面抵抗率が低い結果となった。また、実施例では、メルトフローレイトの結果で示されるように、シート成形が可能な程度の適度な粘度を示した。
以上より、本発明の樹脂組成物は、樹脂の特性を損なうことなく、得られた成形体の表面抵抗率が既存の樹脂組成物より低いものであることが分かった。
本樹脂組成物は、成形時に帯電防止性を有するため、電子包装材、食品包装材、その他の分野に好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. 脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとを含み、
    前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂(但し、乳酸骨格を含む樹脂を除く。)である、樹脂組成物。
  2. 前記脂肪酸エステルが、脂肪酸モノグリセライドまたはソルビタン脂肪酸エステルである、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記脂肪酸エステルは、前記脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対して、0.1〜5.0重量部含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバレレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)およびポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシデカノエート)からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物から構成される成形体。
  6. 脂肪族ポリエステル系樹脂と脂肪酸エステルとを押出機内で溶融混練する工程を含み、
    前記脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)系樹脂またはポリブチレンサクシネート系樹脂(但し、乳酸骨格を含む樹脂を除く。)である、樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記工程の前に、さらに、前記脂肪族ポリエステル系樹脂と前記脂肪酸エステルとをドライブレンドする工程を含む、請求項6に記載の樹脂組成物の製造方法。
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