JP2014105299A - 帯電防止性シート及び成形品 - Google Patents

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正博 石田
Kenichi Yakushido
健一 藥師堂
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Abstract

【課題】 本発明は、帯電防止性、透明性、耐ブロッキング性に優れ、特に印刷加工を施される成形品用途に適した帯電防止性シートを提供せんとするものである。
【解決手段】 シートが、熱可塑性樹脂(A)、イオン系界面活性剤(B)、および非イオン系界面活性剤(C)を含有する組成物(D)からなる層を有し、組成物(D)に含有されるイオン系界面活性剤(B)および非イオン系界面活性剤(C)の質量比が、2≦(B)/(C)≦20であることを特徴とする帯電防止性シートである。
【選択図】なし

Description

本発明は、帯電防止性、透明性、耐ブロッキング性に優れ、特に印刷加工を施される成形品用途に適した帯電防止性シートおよび成形品に関する。
従来より、芳香族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、およびポリ塩化ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂シートは、食品用成形容器やクリアケース等の各種パッケージ用途、カレンダーケースやクリアファイル等の雑貨用途、およびブリスター用途の成形材料として広く利用されている。これらは、優れた電気絶縁性を有している反面、静電気が帯電蓄電しやすいという欠点も有しているため、ごみやホコリが付着して外観を損ねてしまうことや、加工シートとして使用する際に、帯電によりシート同士がブロッキングして加工性を損なってしまうことがある。
一般的にシートに帯電防止性を付与する方法としては、シートの表面に帯電防止剤を塗布する方法や、シートの生産時の押出工程において帯電防止剤をシートに直接練りこむ方法が用いられてきた。
特許文献1には、シートの表面に帯電防止性樹脂を使用して耐電防止性シートを得る技術が開示されている。
特許文献2には、熱可塑性樹脂に耐電防止剤を添加して耐電防止性シートを得る技術が開示されている。
特開平7−26223号公報 特開2005−097598号公報
特許文献1に記載の技術では、フィルムのべとつきやフィルム同士のブロッキングが起こりやすく、また、塗布型はインキ密着性が悪いために印刷用途として使用できない等の問題がある。
特許文献2に記載の技術では、必要な帯電防止性を得るためには、熱可塑性樹脂に添加する帯電防止剤の添加量が多くなりやすく、耐熱性や透明性等の熱可塑性樹脂本来の特性が失われやすかったり、シートの製造コストが高くなりやすい等の問題がある。
以上のように従来技術では、帯電防止性、透明性、耐ブロッキング性に優れ、特に印刷加工を施される成形品用途に適したシートは未だに達成されていなかった。
そこで本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、帯電防止性、透明性、耐ブロッキング性に優れ、特に成形品用途に適した帯電防止性シートを提供せんとするものである。
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採用するものである。
1) 熱可塑性樹脂(A)、イオン系界面活性剤(B)、および非イオン系界面活性剤(C)を含有する組成物(D)からなる層を有し、
組成物(D)に含有されるイオン系界面活性剤(B)および非イオン系界面活性剤(C)の質量比が、2≦(B)/(C)≦20であることを特徴とする帯電防止性シート。
2) 熱可塑性樹脂(A)が、芳香族ポリエステル系樹脂(a1)、脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)、ポリオレフィン系樹脂(a3)、アクリル系樹脂(a4)、ポリ塩化ビニル系樹脂(a5)、ポリ酢酸ビニル系樹脂(a6)、ポリビニルアルコール系樹脂(a7)、およびエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(a8)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする1)に記載の帯電防止性シート。
3) 芳香族ポリエステル系樹脂(a1)が、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、およびポリエチレンナフタレート系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする2)に記載の帯電防止性シート。
4) 脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)が、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、およびポリカプロラクトン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする2)又は3)に記載の帯電防止性シート。
5) ポリオレフィン系樹脂(a3)が、ポリエチレン系樹脂、およびポリプロピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする2)〜4)のいずれかに記載の帯電防止性シート。
6) アクリル系樹脂(a4)が、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂であることを特徴とする2)〜5)のいずれかに記載の帯電防止性シート。
7) イオン系界面活性剤(B)がスルホン基を持ち、
非イオン系界面活性剤(C)が下記化合物群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする1)〜6)のいずれかに記載の帯電防止性シート。
化合物群:脂肪族アルカノールアミド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級アルコール(i)、アルキルフェノール(ii)、脂肪酸(iii)、脂肪族アミン(iv)、脂肪族アミド(v)、ポリプロピレングリコール(vi)、ソルビタン脂肪酸エステル(vii)、前記(i)〜(vii)のエチレンオキサイド付加物。
8) ヘイズが10%以下であることを特徴とする1)〜7)のいずれかに記載の帯電防止性シート。
9) 1)〜8)のいずれかに記載の帯電防止性シートからなる成形品。
本発明によれば、帯電防止性、透明性、耐ブロッキング性に優れ、特に印刷加工を施される成形品用途に適した帯電防止性シートが提供される。また本発明の帯電防止性シートを用いてなる成形品は、帯電防止性に優れ、クリアファイル、クリアケース等に代表される印刷加工を施された成形品として好ましく用いることができる。さらに本発明の帯電防止性シートは、熱版直接過熱方式の真空成形加工および熱版直接過熱方式の真空圧空成形加工用途に適用した際にも、帯電防止性、防曇性、透明性、耐ブロッキング性といった点で優れた性質を維持できる効果も有する。
以下、本発明の帯電防止性シートについて説明する。なお、本明細書において「シート」とは、二次元的な構造物、例えば、フィルム、プレート等を含む意味に用いる。
本発明の帯電防止性シートは、熱可塑性樹脂(A)、イオン系界面活性剤(B)、および非イオン系界面活性剤(C)を含有する組成物(D)からなる層を有することが重要である。
例えば、組成物(D)が熱可塑性樹脂(A)とイオン系界面活性剤(B)だけ、あるいは、熱可塑性樹脂(A)と非イオン系界面活性剤(C)だけからなる場合は、帯電防止性の効果を発揮させるために多量の界面活性剤を含有する必要があり、シートの透明性を低下させてしまう。
本発明の帯電防止性シートは、熱可塑性樹脂(A)、イオン系界面活性剤(B)、および非イオン系界面活性剤(C)を含有する組成物(D)からなる層を有することにより、界面活性剤の含有量が比較的少量ですみ、シートの透明性を維持したまま帯電防止効果を発揮させることができる。
なお、シートが帯電防止性を有するとは、シートの表面比抵抗値が1012Ω/口以下である状態を意味する。
本発明の帯電防止性シートは、組成物(D)が含有するイオン系界面活性剤(B)および非イオン系界面活性剤(C)の質量比が、2≦(B)/(C)≦20(ここで(B)/(C)は、イオン系界面活性剤(B)の質量/非イオン系界面活性剤(C)の質量、を意味する。)であることが重要である。
従来から、シートに高い帯電防止性を付与するために多量の各種界面活性剤を熱可塑性樹脂に添加した技術はあったものの、透明性や耐熱性等の本来熱可塑性樹脂が有する良好な特性を維持することが不可能であった。本発明の発明者らはこの課題について鋭意検討を行った結果、上述した特定の界面活性剤を特定の割合で添加することにより、従来技術に比較して総量として遙かに少量の界面活性剤の添加で高い帯電防止効果を付与できることを見出し本発明に至った。すなわち、上述したとおり、質量比が2≦(B)/(C)≦20の範囲で相対的に多量のイオン系界面活性剤(B)と相対的に少量の非イオン系界面活性剤(C)を併用することで、高い帯電防止効果を付与できる。本発明の効果が発現する原理については、未だ明らかではないが、以下の通りと推定される。
本来、熱可塑性樹脂に添加、混合された各種界面活性剤は、その後さらに溶融成形された後、経時とともに成形品の表面に移行しブリードするとともに帯電防止性付与効果を発揮するものである。また、一般的にイオン系界面活性剤(B)と非イオン系界面活性剤(C)の単体それぞれを熱可塑性樹脂に添加した場合を比較すると、前者の方が比較的少量で帯電防止付与効果を発揮しやすいが、一方で透明性は悪化しやすい。本発明では相対的に多量のイオン系界面活性剤(B)に相対的に少量の非イオン系界面活性剤(C)を併用することで、(B)のみを単体で添加する場合に比べて(B)の表面への移行とブリードを飛躍的に促進し、併用する(C)の量を加えた界面活性剤添加総量で比較しても大幅に少ない添加量で高い帯電防止性付与効果を得られるものと推定している。
上述した観点から、イオン系界面活性剤(B)および非イオン系界面活性剤(C)の質量比(B)/(C)が、2より小さい場合、帯電防止効果を発揮させるためにイオン系界面活性剤(B)を多量に含有する必要があり、透明性を損なってしまう。一方、(B)/(C)が、20より大きい場合も上記と同様の理由から、透明性を損なってしまう。
特にイオン系界面活性剤(B)よりも非イオン系界面活性剤(C)の比率が多い場合には、帯電防止効果を発揮させるために、界面活性剤(B)および(C)の含有量が多く必要となり、シート成形時の溶融粘度低下を起こし成形不良となってしまう場合がある。また、非イオン系界面活性剤は熱履歴に弱いために、シートとなった際、熱履歴をうけたことで、シート同士が粘着によるブロッキングを起こしてしまう場合がある。
イオン系界面活性剤(B)および非イオン系界面活性剤(C)の質量比(B)/(C)が、5≦(B)/(C)≦15であることが好ましく、5≦(B)/(C)≦10であることがより好ましい。
なお、組成物(D)の全体100質量%におけるイオン系界面活性剤(B)の含有量は、0.3質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。1.5質量%を超える場合は、添加する界面活性剤の種類にもよるがシートの透明性が悪化する場合がある。
なお、本発明での界面活性剤とは、分子鎖中に親水基と親油基とを有する化合物である。
本発明でのイオン系界面活性剤(B)とは、上述の界面活性剤の中でも純水に溶解したときに電離する親水基を有する界面活性剤を意味する。なおイオン系界面活性剤(B)は、カチオン系の界面活性剤、アニオン系の界面活性剤のいずれを用いることも可能であり、カチオン系の界面活性剤とアニオン系の界面活性剤を混合して使用することもできる。
カチオン系の界面活性剤とは、純水中で電離して陽イオンになる親水基を有する界面活性剤であり、アニオン系の界面活性剤とは、純水中で電離して陰イオンになる親水基を有する界面活性剤である。
本発明での非イオン系界面活性剤(C)とは、上述の界面活性剤の中でも純水中で電離しない親水基を有する界面活性剤を意味する。
親水基とは、水に溶解しやすい官能基であり、具体的には、スルホン基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。
純水中で電離して陽イオンになる親水基とは、具体的には、第3級アミノ基をあげることができる。
純水中で電離して陰イオンになる親水基とは、具体的には、スルホン基、カルボキシル基等をあげることができる。
親油基とは、水に溶解しにくい官能基であり、具体的には、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基等があげられる。
本発明の帯電防止性シートは、イオン系界面活性剤(B)がスルホン基を持ち、非イオン系界面活性剤(C)が下記化合物群から選ばれる少なくとも1種類であることが好ましい。
化合物群:脂肪族アルカノールアミド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級アルコール(i)、アルキルフェノール(ii)、脂肪酸(iii)、脂肪族アミン(iv)、脂肪族アミド(v)、ポリプロピレングリコール(vi)、ソルビタン脂肪酸エステル(vii)、前記(i)〜(vii)のエチレンオキサイド付加物
スルホン基を持つイオン系界面活性剤(B)は、アルキル基、アルキルアリール基その他の親油基と、純水中で陰イオンに電離する親水基であるスルホン基を持つ分子量1000程度以下、特に500程度以下のイオン系界面活性剤が好ましい。
スルホン基を持つイオン系界面活性剤(B)としては、例えば、アルキルスルホン酸金属塩が好適である。スルホン基を持つイオン系界面活性剤(B)が、アルキルスルホン酸金属塩の場合には、帯電防止効果の面でアルキル基の炭素数が11〜15であることが好ましい。またスルホン基を持つイオン系界面活性剤(B)が、アルキルスルホン酸金属塩の場合には、金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等を使用することができるが、好ましくはナトリウム塩である。アルキルスルホン酸金属塩は1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明の帯電防止性シートに用いる非イオン系界面活性剤(C)として使用される化合物群について説明する。
非イオン系界面活性剤(C)として好適な脂肪族アルカノールアミドは、高級脂肪酸とアルカノールアミドの縮合によって合成される。高級脂肪酸は特に限定されないが、C12〜20の脂肪酸が好適に使用できる。高級脂肪酸としては、具体的には、ステアリン酸が望ましい。アルカノールアミドは、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミンが好適に使用できる。
非イオン系界面活性剤(C)として好適な高級アルコール(i)、アルキルフェノール(ii)、脂肪酸(iii)、脂肪族アミン(iv)、脂肪族アミド(v)の有するアルキル基は、C8〜C22が好適に使用できる。
非イオン系界面活性剤(C)として好適な上記(i)〜(v)のエチレンオキサイド付加物のエチレンオキサイド付加モル数は、結合している親油基にもよるが、通常2〜20モルが選ばれる。付加モル数が多いと樹脂に配合したときに透明性を阻害しやすい傾向がある。
非イオン系界面活性剤(C)として好適なポリプロピレングリコール(vi)は、分子量500〜5000の化合物が好適に使用できる。
非イオン系界面活性剤(C)として好適なポリプロピレングリコール(vi)のエチレンオキサイド付加物は、そのエチレンオキサイド付加モル数は結合している親油基にもよるが、通常2〜20モルが選ばれる。
非イオン系界面活性剤(C)として好適なソルビタン脂肪酸エステル(vii)を構成する脂肪酸はC12〜C18が好適に使用できる。
非イオン系界面活性剤(C)として好適なソルビタン脂肪酸エステル(vii)のエチレンオキサイド付加物は、そのエチレンオキサイド付加モル数は結合している親油基にもよるが、通常2〜20モルが選ばれる。
非イオン系界面活性剤(C)として好適なポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸は、C12〜C18が好適に使用できる。また、グリセリンはジグリセリン、テトラグリセリン、およびデカグリセリンのいずれからも選ぶことができるが、テトラグリセリンが好ましい。
非イオン系界面活性剤(C)として特に好ましいのは、脂肪族アミン(iv)のエチレンオキサイド付加物である。
本発明の帯電防止性シートは、ヘイズが10%以下であることが好ましい。ヘイズが10%以下であれば、このような帯電防止性シートを用いてなる成形品は、内容物の視認性に優れ、商品として見栄えがよい等、高い意匠性を有した包装容器あるいは包装シートとして好ましく用いることができる。ヘイズが10%より大きいと透明性が不十分であり、実用化に好ましくない場合がある。なお、ヘイズが1%未満であれば、シートに傷がつきやすく、このような積層シートを包装用容器あるいは包装シートにした時に外観が悪くなってしまう場合があるため、ヘイズは1%以上であることが好ましい。本発明の帯電防止性シートのさらに好ましいヘイズは、2%以上8%以下である。なおヘイズの下限は前述の通り1%であるが、ヘイズの下限は4%程度であれば、包装用容器や包装シート等の透明性の必要な用途に使用するに際し、十分な値である。
ヘイズを10%以下とするためには、組成物(D)の全体100質量%において、イオン系界面活性剤(B)および非イオン系界面活性剤(C)を合わせて0.2質量%以上1.3質量%以下とする方法が好ましい。この範囲の場合、高い帯電防止性と低いヘイズを両立する好適な範囲となる。同様の観点からさらに好ましい範囲は、組成物(D)の全体100質量%において、イオン系界面活性剤(B)および非イオン系界面活性剤(C)を合わせて0.2質量%以上1.0質量%である。
本発明の帯電防止性シートは、組成物(D)からなる層のみを有する単層シートでもよく、また組成物(D)からなる層の他に別の層を有する積層シートであってもよい。なお、積層シートの場合には、少なくとも一方の最外層に組成物(D)からなる層を有することが好ましく、透明性を維持しつつ帯電防止性を発現させるためには、シートの表裏両最外層に組成物(D)からなる層が形成されている積層シートが好ましい態様である。積層シートとする場合には、最外層の一方または両方に組成物(D)からなる層の積層厚みを薄くすることが好ましい。この場合、熱可塑性樹脂の高い透明性を維持し、さらに帯電防止効果を発揮する点で好適な場合がある。また、積層シートとする場合の組成物(D)からなる層の一層あたりの厚みは、最外層に設ける場合、十分な帯電防止効果を付与するためには通常15〜50μmであることが好ましい。さらに積層シート全体の厚みにおける組成物(D)からなる層の厚み一層の比率としては、製造性の観点から、通常1/20〜9/10の範囲が好ましい。
本発明の帯電防止性シートは、ぬれ張力が40mN/m以上であることが好ましい。この範囲であれば、シートの帯電防止効果に加えて良好な防曇効果も発揮する。
ぬれ張力を40mN/m以上とするためには、組成物(D)において、イオン系界面活性剤(B)および非イオン系界面活性剤(C)の質量比(B)/(C)が、6≦(B)/(C)≦18とする方法が好ましい。
また、組成物(D)からなる層の表面をコロナ処理することにより、界面活性剤をシート表面にブリードアウトさせ、さらにぬれ張力をあげることができる。現実的にぬれ張力は54mN/mが上限となる。
本発明の帯電防止性シートが積層シートである場合、前述したとおり組成物(D)からなる層が最外層となる積層構成が好ましい態様であり、この場合も組成物(D)からなる層のぬれ張力が40mN/m以上であることが好ましい。
本発明の帯電防止性シートに用いる熱可塑性樹脂(A)は、芳香族ポリエステル系樹脂(a1)、脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)、ポリオレフィン系樹脂(a3)、アクリル系樹脂(a4)、ポリ塩化ビニル系樹脂(a5)、ポリ酢酸ビニル系樹脂(a6)、ポリビニルアルコール系樹脂(a7)、およびエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(a8)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。
芳香族ポリエステル系樹脂(a1)としては、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、およびポリエチレンナフタレート系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを例示することができる。
芳香族ポリエステル系樹脂(a1)としてポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いる場合、公知のポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いることができ、特に限定されるものではないが、エチレンテレフタレート単位の他に、他のジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、フタル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)エタン、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等)やジオール(例えば、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)で構成された単位を含有していてもよい。
脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)としては、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、およびポリカプロラクトン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを例示することができる。
脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)としてポリ乳酸系樹脂を用いる場合、公知のポリ乳酸系樹脂を用いることができ、特に限定されないが、乳酸以外の他のコモノマー成分を含有していてもよい。当該コモノマー成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等のグリコール化合物、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸等のジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オン等のラクトン類等を挙げることができる。また、ホモポリ乳酸や上述の共重合ポリ乳酸の他にステレオコンプレックスポリ乳酸を用いることも可能である。
脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)としてポリブチレンサクシネート系樹脂を用いる場合、公知のポリブチレンサクシネート系樹脂を用いることができ、特に限定されないが、ブタンジオールおよびコハク酸以外の他のコモノマー成分を含有してもいてもよい。当該コモノマー成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコール等のグリコール化合物、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸等のジカルボン酸、グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸、カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オン等のラクトン類等を挙げることができる。
ポリオレフィン系樹脂(a3)としては、ポリエチレン系樹脂、およびポリプロピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを例示することができる。
ポリオレフィン系樹脂(a3)としてポリエチレン系樹脂を用いる場合、公知のポリエチレン系樹脂を用いることができ、特に限定されないが、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等の単独重合体、およびエチレンと50質量%以下の例えば酢酸ビニル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸エステル、芳香族アルキルエステル、芳香族ビニル等のビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体またはグラフト共重合体等を挙げることができる。
ポリオレフィン系樹脂(a3)としてポリプロピレン系樹脂を用いる場合、公知のポリプロピレン系樹脂を用いることができ、特に限定されないが、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、ホモポリプロピレン、および50質量%以上のプロピレンと50質量%以下の例えば酢酸ビニル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸エステル、芳香族アルキルエステル、芳香族ビニル等のビニル化合物とのランダム共重合体、ブロック共重合体またはグラフト共重合体等を挙げることができる。
アクリル系樹脂(a4)としては、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂を例示することができる。
アクリル系樹脂(a4)としてポリ(メタ)アクリレート系樹脂を用いる場合、公知のポリ(メタ)アクリレート系樹脂を用いることができ、特に限定されないが、アクリレートおよびメタクリレートから選ばれる少なくとも1種の単量体を構成単位とするものであり、2種以上の単量体を共重合して用いても構わない。ポリ(メタ)アクリレート系樹脂を構成するアクリレートおよびメタクリレートとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノブチルアクリレート等のアクリレート、およびメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のメタクリレートを挙げることができる。
本発明の帯電防止性シートに用いる熱可塑性樹脂(A)は、芳香族ポリエステル系樹脂(a1)、脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)、ポリオレフィン系樹脂(a3)、アクリル系樹脂(a4)、ポリ塩化ビニル系樹脂(a5)、ポリ酢酸ビニル系樹脂(a6)、ポリビニルアルコール系樹脂(a7)、およびエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(a8)からなる群より選ばれる2種類以上の樹脂を含有していても良い。2種類以上の熱可塑性樹脂の組み合わせは、特に限定されないが、例えば、芳香族ポリエステル系樹脂(a1)としてポリブチレンテレフタレート・アジペート共重合体を選定し、脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)としてポリ−L−乳酸を選定した場合は耐衝撃性と耐電防止性に優れたシートを得ることができるし、また、脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)としてポリ−L−乳酸を選定し、アクリル系樹脂(a4)としてポリ(メタ)アクリレート系樹脂を選定した場合は耐熱性と透明性と耐電防止性に優れたシートを得ることができる。さらに、芳香族ポリエステル系樹脂(a1)としてポリエチレンテレフタレート・イソフタレート共重合体を選定し、ポリオレフィン系樹脂(a3)として無水マレイン酸変性ポリプロピレンを選定した場合は水蒸気バリア性と帯電防止性に優れたシートを得ることができる。
本発明の耐電防止性シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の耐衝撃改良剤、酸化防止剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、抗酸化剤、イオン交換剤、結晶核剤、着色顔料等あるいは滑剤として、無機微粒子や有機粒子、有機滑剤を必要に応じて添加してもよい。また、これらの添加剤は、本発明の耐電防止性シートが積層シートである場合は、組成物(D)からなる層とその他の層の両方の層に添加してもよいし、どちらか一方の組成物のみに添加してもよい。
酸化防止剤としてはヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系等が例示される。着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄等の無機顔料の他、シアニン系、スチレン系、フタロシアイン系、アンスラキノン系、ペリノン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、キノクリドン系、チオインディゴ系等の有機顔料等を使用することができる。
また、加工品の易滑性や耐ブロッキング性の向上等を目的として、粒子を添加する際には、例えば無機粒子としては、シリカ等の酸化ケイ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の各種炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の各種硫酸塩、カオリン、タルク等の各種複合酸化物、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等の各種リン酸塩、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の各種酸化物、フッ化リチウム等の各種塩等からなる微粒子を使用することができる。
また有機粒子としては、シュウ酸カルシウムや、カルシウム、バリウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム等のテレフタル酸塩等からなる微粒子が使用される。架橋高分子粒子としては、ジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体からなる微粒子が挙げられる。その他、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂、熱硬化性フェノール樹脂等の有機微粒子も好ましく使用される。
無機粒子、有機粒子ともその平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜3μm、最も好ましくは0.08〜2μmである。
熱可塑性樹脂(A)として2種類以上の熱可塑性樹脂を用いる場合、もしくは組成物(D)に上述のような添加剤を添加する場合の溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸または二軸押出機等の通常使用されている混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸または二軸押出機の使用が好ましい。
またその混合順序についても特に制限はなく、例えば、熱可塑性樹脂に着色剤として酸化チタンを添加する場合は、ドライブレンド後、溶融混練機に供給する方法や、熱可塑性樹脂と酸化チタンを溶融混練したマスターバッチを作製後、該マスターバッチと熱可塑性樹脂とを溶融混練する方法等が挙げられる。
本発明の帯電防止性シートは、例えばTダイキャスト法、インフレーション法、カレンダー法等の公知のフィルムの製造法により得ることが出来るが、Tダイを用いて熱可塑性樹脂を溶融混練して押し出すTダイキャスト法が好ましい。
本発明の帯電防止性シートは、無延伸シート、シート流れ方向またはシート幅方向の1軸延伸シート、および2軸延伸シートのいずれであっても良い。さらに、シート流れ方向に延伸した後にシート幅方向に延伸し、さらに再度シート流れ方向に延伸する等、3回以上の延伸工程を経たシートであっても良い。シートの延伸方法としては公知の延伸方法を用いることができる。
本発明の帯電防止性シートは、例えば、印刷適性の向上を目的として、シート表面に表面処理を施しても良い。表面処理の方法としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理等が挙げられ、いずれの方法を用いることができるが、連続処理が可能であり、既存の製膜設備への装置設置が容易な点や処理の簡便さからコロナ放電処理が最も好ましいものとして例示できる。シートが延伸シートである場合は、上述の表面処理は延伸前に行っても良いし、延伸後に行っても良い。また、複数回の延伸工程を経る場合は、1回目の延伸と2回目の延伸の間に表面処理を行うなど、延伸工程と延伸工程の間に表面処理を行っても良い。表面処理の効果を得やすくするという観点から、シートが延伸シートである場合は、延伸工程の後に表面処理を施すことが特に好ましい。
本発明の帯電防止性シートは、成形することにより成形品として好適に用いることができる。本発明の帯電防止性シートを用いてなる本発明の成形品の成形法としては、真空成形、真空圧空成形、プラグアシスト成形、ストレート成形、フリードローイング成形、プラグアンドリング成形、スケルトン成形等の各種成形法を適用することができる。各種成形法におけるシート予熱方式としては、間接加熱方式と熱板直接加熱方式があり、間接加熱方式はシートから離れた位置に設置された加熱装置によってシートを予熱する方式であり、熱板直接加熱方式は、シートと熱板が接触することによってシートを予熱する方式であるが、本発明の帯電防止性シートは、熱板直接加熱方式の真空成形加工、または熱板直接加熱方式の真空圧空成形加工に好ましく用いることができる。
すなわち、帯電防止性の機能をコーティングにより付与している公知のシートを熱板直接加熱方式で加熱した場合、シート加熱時にコーティング層が熱板に移行してしまい、帯電防止性や防曇性の効果が薄れてしまうことがある。一方で、本発明の帯電防止性シートを使用した場合は、熱板直接加熱時に熱板に、仮にシート表面の界面活性剤が熱板に移行したとしても、シート内部から界面活性剤が再度ブリードアウトし、成形品使用時には帯電防止効果を発揮できる場合が多い。
本発明の帯電防止性シートを用いてなる成形品は、例えば食品用の成形容器、飲料用カップ蓋等の容器類や、ブリスターパック等の各種容器包装類、その他、帯電防止性や防曇性を必要とする各種用途に好ましく用いることができる。
本発明の帯電防止性シートおよび/または成形品は、印刷加工等を施してもよい。例えば、印刷加工を施した本発明の帯電防止性シートは各種容器、ブリスターパック、カード、クリアファイル、クリアケース等の用途に好ましく用いることができるが、印刷加工を施す前の本発明の帯電防止性シートが透明である場合は、既存の印刷加工機を使用することができ、かつ、透明でありながら帯電防止性に優れる点から、クリアケースや卓上カレンダーケース、クリアファイル用途等に特に好ましく用いることができる。また一方で、本発明の帯電防止性シートおよび/または成形品が公知の方法で白色等に着色されている場合は、カード用途等に好ましく用いることができる。また、印刷加工の順序は特に限定されないが、帯電防止性シートを成形加工する場合、印刷加工は成形加工前に行ってもよいし、成形加工後に行ってもよい。
本発明の帯電防止性シートの全体厚みとしては、特に制限はないが、成形品としての使用を考えた場合は通常0.1mmから1.0mm程度である。本発明の帯電防止性シートが容器用途やブリスターパック用途として用いられる場合には、帯電防止性シートの全体厚みが通常0.15mmから0.7mm程度が好適であり、本発明の帯電防止性シートが印刷加工物用途として用いられる場合には、シートの全体厚みが通常0.1mmから0.4mm程度が好適である。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定及び評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)組成物(D)中の界面活性剤の含有量(質量%)
製造の際の配合量から、界面活性剤の含有量を算出した。
(2)組成物(D)中の界面活性剤の質量比
製造の際のイオン系界面活性剤(B)と非イオン系界面活性剤(C)の添加量から算出した。
(3)印刷性:インキ密着性
紫外線硬化型インキ(T&K TOKA社製 UV STP 藍)を用い、ロールコート法でシートの表面に約2μmの厚みにインキ層を塗布した。その後、照射強度80W/cmの紫外線を照射距離9cmで8秒間照射し硬化させ、試料を作製した。
シートとインキとの密着性をJIS−K5600(1999年制定)に記載のクロスカット法によるテープ剥離により評価した。まず、試料片にカッターナイフを用いて直交する縦横7本ずつの平行線を1mm間隔で引き、碁盤目状に36個のマス目を作製した。これらのマス目の上に粘着テープ(ニチバン社製「セロテープ(登録商標)」24mm幅)を貼り付け、均一に密着させた後、粘着テープを瞬時に引き剥がし、試験片のインキ層の剥離状態を観察し、剥がれずに残ったマス目の割合から、以下の基準で評価した。
○:90%以上
×:90%未満。
(4)耐ブロッキング性
シートをA4サイズに10枚切り出し、シート10枚を重ね合わせた状態で、200g/cmの荷重をかけ、40℃の雰囲気下で24時間放置後、重ね合わせたシートの束からシート1枚ずつを摘み上げ、下記の基準で判定した。
○:ブロッキングはなく、容易に1枚ずつ摘み上げることができる。
×:ブロッキングしており、一度にシート数枚がくっついてくる。
(5)透明性:ヘイズ値(%)
ヘイズメーターHGM−2DP型(スガ試験機社製)を用いてヘイズ値を測定した。測定は1サンプルにつき5回行い、5回の測定の平均値から求めた。
(6)シート厚み(mm)
厚みをシート全幅に対して、マイクロゲージで10点測定し、厚みの平均値を求めて、シート厚みとした。
[使用した熱可塑性樹脂]
(PET):
ポリエチレンテレフタレート樹脂(東レ(株)製、商品名「F20S」)。
(PET/I):
ポリエチレンテレフタレートイソフタレート樹脂(東レ(株)製、商品名「F51M」)。
(PBSA):
ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂(昭和電工(株)製、商品名「ビオノーレ #3001」)。
(PP):
プロピレン−エチレンランダム共重合樹脂(住友化学(株)製、商品名「ノーブレン WF577PG11」)。
(PMMA):
ポリメチルメタクリレート樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名「デルペット 80NH」)。
(PVC):
塩化ビニル樹脂(信越化学工業(株)製、商品名「TK−1000」)。
(EVOH):
エチレンビニルアルコール樹脂((株)クラレ製、商品名「エバール F104B」)。
(PBT):
ポリブチレンテレフタレート樹脂(東レ(株)製、商品名「トレコン 1200S」)。
(PLA):
ポリ乳酸樹脂(NatureWorksLLC製、商品名「Ingeo 4032D」)。
(PBAT):
ポリブチレンアジペートテレフタレート樹脂(BASFジャパン(株)製、商品名「エコフレックス FBX7011」)。
(PBS):
ポリブチレンサクシネート樹脂(三菱化学(株)製、商品名「GSPla AZ91T」)。
(混合物1):
上記PETを10.00質量部、上記PBTを8.95質量部ドライブレンドして、混合物1を得た。
(混合物2):
上記PLAを79.3質量部、上記PBATを20.0質量部ドライブレンドして、混合物2を得た。
(混合物3):
上記PLAを60.00質量部、上記PMMAを20.00質量部、上記PBSを19.12質量部ドライブレンドして、混合物3を得た。
[使用したイオン系界面活性剤]
(B−1):
アルキルスルホン酸ナトリウム塩(三洋化成社製、商品名「ケミスタット 3033」)。
(B−2):
アルキルベンゼンスルホン酸リチウム塩(竹本油脂社製、商品名「エレカット S−417」)。
[使用した非イオン系界面活性剤]
(C−1):
高級脂肪酸アミド(竹本油脂社製、商品名「エレカット S−154」)。
(C−2):
ポリグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、商品名「ポエム J−40481V」)。
(C−3):
脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物(花王社製、商品名「エレクトロストリッパー TS9B」)。
(C−4):
ソルビタン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、商品名「ポエム S−250」)。
(C−5):
脂肪酸アミン(ライオン・アクゾ社製、商品名「アーミン2C」)。
(C−6):
ポリオキシエチレン グリセリンモノステアレート(理研ビタミン社製、商品名「ポエム S−105」)。
[帯電防止性シートの作成]
(実施例1〜9)
表1記載の熱可塑性樹脂(A)、イオン系界面活性剤(B)、非イオン系界面活性剤(C)を、表1記載の各質量%の割合でベント式二軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、Tダイ口金より共押出し、互いに接する方向に回転し40℃に冷却した、一対のキャスティングドラムとポリッシングロール間に吐出してキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、表1記載の厚みの未延伸シートを作製した後に、ワインダーにてシートを巻き取った。得られたシートの評価結果を表1に示した。
(実施例10)
表1記載の熱可塑性樹脂(A)、イオン系界面活性剤(B)、非イオン系界面活性剤(C)を、表1記載の各質量%の割合でベント式二軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、Tダイ口金より共押出し、互いに接する方向に回転し40℃に冷却した、一対のキャスティングドラムとポリッシングロール間に吐出してキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、厚み1mmの未延伸シートを得た。得られた未延伸シートをシート流れ方向に2.0倍延伸し、さらにシート幅方向に2.5倍延伸し、表1記載の厚みの二軸延伸シートを作製した後に、ワインダーにてシートを巻き取った。得られたシートの評価結果を表1に示した。
(比較例1)
表2記載の熱可塑性樹脂(A)をベント式二軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、Tダイ口金より共押出し、互いに接する方向に回転し40℃に冷却した、一対のキャスティングドラムとポリッシングロール間に吐出してキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、表2記載の厚みの未延伸シートを作製した後に、ワインダーにてシートを巻き取った。得られたシートの評価結果を表2に示した。
(比較例2)
表2記載の熱可塑性樹脂(A)、イオン系界面活性剤(B)を、表2記載の各質量%の割合でベント式二軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、Tダイ口金より共押出し、互いに接する方向に回転し40℃に冷却した、一対のキャスティングドラムとポリッシングロール間に吐出してキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、表2記載の厚みの未延伸シートを作製した後に、ワインダーにてシートを巻き取った。得られたシートの評価結果を表2に示した。
(比較例3,4)
表2記載の熱可塑性樹脂(A)、非イオン系界面活性剤(C)を、表2記載の各質量%の割合でベント式二軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、Tダイ口金より共押出し、互いに接する方向に回転し40℃に冷却した、一対のキャスティングドラムとポリッシングロール間に吐出してキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、表2記載の厚みの未延伸シートを作製した後に、ワインダーにてシートを巻き取った。得られたシートの評価結果を表2に示した。
(比較例5,6)
表2記載の熱可塑性樹脂(A)、イオン系界面活性剤(B)、非イオン系界面活性剤(C)を、表2記載の各質量%の割合でベント式二軸押出機に供給し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、Tダイ口金より共押出し、互いに接する方向に回転し40℃に冷却した、一対のキャスティングドラムとポリッシングロール間に吐出してキャスティングドラムに密着させ冷却固化し、表2記載の厚みの未延伸シートを作製した後に、ワインダーにてシートを巻き取った。得られたシートの評価結果を表2に示した。
Figure 2014105299
Figure 2014105299
実施例1〜10の帯電防止性シートは、いずれの水準においてもシートの耐熱性、帯電防止性、インキ密着性、耐ブロッキング性に優れていた。
一方、比較例1、2、3のシートは帯電防止性に劣っており、実施例との間に明らかな差があった。また、比較例4のシートは帯電防止性および耐ブロッキング性が劣っており、成型品用途としては使用できないレベルであり、実施例との間に明らかな差があった。さらに、比較例5のシートは帯電防止性および耐ブロッキング性には問題ないものの、インキ密着性が劣っており、成形品用途としては使用できないレベルであり、実施例との間に明らかな差があった。さらに、比較例6のシートは帯電防止性、インキ密着性、および耐ブロッキング性に劣っており、成形品用途としては使用できないレベルであり、実施例との間に明らかな差があった。

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂(A)、イオン系界面活性剤(B)、および非イオン系界面活性剤(C)を含有する組成物(D)からなる層を有し、
    組成物(D)に含有されるイオン系界面活性剤(B)および非イオン系界面活性剤(C)の質量比が、2≦(B)/(C)≦20であることを特徴とする帯電防止性シート。
  2. 熱可塑性樹脂(A)が、芳香族ポリエステル系樹脂(a1)、脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)、ポリオレフィン系樹脂(a3)、アクリル系樹脂(a4)、ポリ塩化ビニル系樹脂(a5)、ポリ酢酸ビニル系樹脂(a6)、ポリビニルアルコール系樹脂(a7)、およびエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(a8)からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の帯電防止性シート。
  3. 芳香族ポリエステル系樹脂(a1)が、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、およびポリエチレンナフタレート系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする請求項2に記載の帯電防止性シート。
  4. 脂肪族ポリエステル系樹脂(a2)が、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンサクシネート系樹脂、およびポリカプロラクトン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の帯電防止性シート。
  5. ポリオレフィン系樹脂(a3)が、ポリエチレン系樹脂、およびポリプロピレン系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の帯電防止性シート。
  6. アクリル系樹脂(a4)が、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の帯電防止性シート。
  7. イオン系界面活性剤(B)がスルホン基を持ち、
    非イオン系界面活性剤(C)が下記化合物群から選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の帯電防止性シート。
    化合物群:脂肪族アルカノールアミド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級アルコール(i)、アルキルフェノール(ii)、脂肪酸(iii)、脂肪族アミン(iv)、脂肪族アミド(v)、ポリプロピレングリコール(vi)、ソルビタン脂肪酸エステル(vii)、前記(i)〜(vii)のエチレンオキサイド付加物。
  8. ヘイズが10%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の帯電防止性シート。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の帯電防止性シートからなる成形品。
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