JP2003155358A - 生分解性フィルム - Google Patents
生分解性フィルムInfo
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Abstract
ョン法で製膜された、包装用フィルムのシーラントフィ
ルム、接着層フィルムとしての機械的強度を有し且つ熱
融着性、寸法安定性に優れたポリ乳酸系樹脂フィルムを
提供する。 【解決手段】 インフレーション法で製膜された主とし
てポリ乳酸系樹脂からなるフィルムにおいて、面配向度
ΔPが0.0005以上0.010以下で、且つAST
M D882に従って測定した引張破断強度が30MP
a以上、引張破断伸びが20%以上であることを特徴と
する生分解性フィルム。
Description
量%以上)ポリ乳酸系樹脂からなる生分解性フィルムに
関するものであり、更に詳しくは、インフレーション法
で製膜された、包装用フィルムのシーラントフィルム、
接着層フィルムとしての機械的強度を有し且つ熱融着
性、寸法安定性に優れたポリ乳酸系樹脂フィルムに関す
るものである。
プラスチックとして広範囲に使用されるようになった
が、 その使用量の増加と共に廃棄物量も増大しており、
この廃棄プラスチックをどの様に処理するかが大きな社
会問題になっている。焼却すると発熱量が大きいため焼
却炉を傷めやすい事や、有害物質を生成するおそれがあ
ること等の問題点があり、埋め立てても腐らないためい
つまでも環境中に残留するという問題点もある。更に、
分別・回収、再生のコストを考えるとリサイクルだけで
は完全な問題解決は困難である。この様な環境問題の高
まりの中で、環境への負荷を低減して、社会を持続可能
なものにするために、廃棄後に自然環境下で分解する生
分解性プラスチックが求められるようになっている。
ックとしては、澱粉系、微生物によって生産された脂肪
族ポリエステル系樹脂、化学合成による脂肪族ポリエス
テル系樹脂、及びそれらの化学構造を一部変性したタイ
プの樹脂、生分解性の脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂
などが知られている。これらの生分解性プラスチックの
中で、ポリ乳酸系樹脂は他の生分解性プラスチックに比
べて、透明性、剛性、加工性に優れ、特にその延伸フィ
ルムは、腰が強く、透明性に優れる点から、各種包装用
フィルム、袋、窓付き容器の窓貼り用フィルム、封筒窓
貼り用フィルム、セロファン代替用フィルムとして適し
ている。
態では脆い樹脂でフィルムとしての機械的強度に欠ける
樹脂である。そこで、二軸延伸する事により機械的強度
を向上させフィルムとして使用できる物性と成り、その
ままでは熱収縮性のフィルムとなり、その後熱処理する
事により、寸法安定性を付与できることが特開平6−2
3836号報、「材料」Vol.43, No.495, pp.1520-152
4, Dec. 1994 に記載の論文、特開平7−207041
号報及び特開平7−256753号報に開示されてい
る。しかしながら、これらの公報の実施例および論文で
開示されているのは、テンター法による二軸延伸フィル
ムであり、インレーション法によるポリ乳酸系樹脂フィ
ルムは開示されておらず、また、テンター法で延伸倍率
がフィルム長手方向(MD方向)、横方向(TD方向)
で2倍以下、面配向度ΔPが0.006未満では機械的
強度の劣る脆いフィルム、特に引張破断伸びの低いフィ
ルムしか得られていない。
フレーション法に比べてフィルムの厚み斑が少なく、ま
た単位時間あたりの生産量を大きくできる点およびフィ
ルムの厚みが厚い場合にはテンター法でないと製膜でき
ない点でインフレーション法に比べて有利であるが、設
備建設費はインフレーション法の設備に比べて数倍以上
となり、また、少品種大量生産には向くが、フィルムの
市場規模が比較的小さく、多品種少量生産の必要な場
合、および厚みが薄くなりインフレーション法が適用で
きるようになるとインフレーション法が経済的に有利に
なってくる。一方、生分解性樹脂フィルムの用途におい
ては、フィルムとフィルムを接着するためのシーラント
フィルム、接着層フィルムが必要であり、特に生分解性
フィルムどおしの接着時にはそれらのフィルムの生分解
性を生かすためにシーラントフィルム、接着層フィルム
にも生分解性が必要である。
有するフィルムで、インフレーション法で製膜された、
包装用フィルムのシーラントフィルム、接着層フィルム
としての機械的強度を有し且つ熱融着性、寸法安定性に
優れたポリ乳酸系樹脂フィルムを提供することを目的と
するものである。
を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、インフレーシ
ョン法を用いて特定の面配高度ΔPのフィルムとする事
で包装用フィルムのシーラントフィルム、接着層フィル
ムとしての機械的強度を有し且つ熱融着性、寸法安定性
に優れたポリ乳酸系樹脂フィルムが得られる事を見出
し、本発明を完成した。
樹脂からなるフィルムにおいて、面配向度ΔPが0.0
005以上0.010以下で、且つASTM D882
に従って測定した引張破断強度が30MPa以上、引張
破断伸びが20%以上であることを特徴とする生分解性
フィルムを提供するものである。また 面配向度ΔPが0.0005以上0.0050以下で
あることを特徴とするに記載の生分解性フィルムを提
供するものである。また、 80℃、30分加熱時の熱収縮率が10%以下で、且
つ80℃における最大熱収縮応力が0.3MPa以下で
あることを特徴とする又はに記載の生分解性フィル
ムを提供するものである。また、 ASTM−F1921−98に準拠したヒートシール
部位25.4mm幅当りのホットタック強度のピーク値
が5N以上であることを特徴とする〜のいずれかに
記載の生分解性フィルムを提供するものである。
る。本発明のフィルムは、主として(50重量%以上)
ポリ乳酸系樹脂からなる。該ポリ乳酸系樹脂とは、乳酸
単量体単位を85重量%以上含有する重合体であって、
ポリ乳酸、または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸、脂
肪族環状エステル、ジカルボン酸、ジオール類との共重
合体、または乳酸単量体単位を85重量%以上含有する
これら重合体の組成物である。乳酸には光学異性体とし
て、L−乳酸とD−乳酸が存在し、それらが重合してで
きるポリ乳酸には、D−乳酸単位が約10%以下でL−
乳酸単位が約90%以上、又はL−乳酸単位が約10%
以下でD−乳酸単位が約90%以上であるポリ乳酸で、
光学純度が約80%以上の結晶性ポリ乳酸と、D−乳酸
単位が10%〜90%でL−乳酸単位が90%〜10%
であるポリ乳酸で、光学純度が約80%以下の非晶性ポ
リ乳酸とがあることが知られている。
度が85%以上の結晶性ポリ乳酸単独、又はそれと光学
純度が80%以下の非晶性ポリ乳酸とからなる混合物で
あり、好ましくは該混合物であって、特に好ましくは光
学純度が85%以上の結晶性ポリ乳酸80〜60重量部
と光学純度が80%以下の非晶性ポリ乳酸20〜40重
量部とからなる混合物であるポリ乳酸系樹脂である。共
重合成分として用いられる単量体として、ヒドロキシカ
ルボン酸としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪
酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−
ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等が挙げ
られる。
コリド、ラクチド、β−プロピオラクトン、γ−ブチロ
ラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンお
よびこれらにメチル基などの種々の基が置換したラクト
ン類が挙げられる。また、ジカルボン酸としては、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等、多価アルコール
としてはビスフェノール/エチレンオキサイド付加反応
物などの芳香族多価アルコール、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオ
ール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、ト
リメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなどの
脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコールなどのエーテルグリコール等が挙げら
れる。
重合法、開環重合法などの公知の方法を採用できる。ま
た、ポリイソシアネート、ポリエポキシ化合物、酸無水
物、多官能酸塩化物などの結合剤を使用して分子量を増
大する方法を用いることもできる。ポリ乳酸系樹脂の重
量平均分子量は10000〜1000000の範囲が好
ましい。分子量が10000未満では機械的物性の劣る
フィルムしか得られず、1000000を超えると溶融
粘度が高くなり、通常の加工機械では物性の安定したフ
ィルムが得られなくなる。本発明のポリ乳酸系樹脂フィ
ルムには、上記の樹脂の他に、他の生分解性樹脂、熱安
定剤、酸化防止剤、および紫外線吸収剤などの公知の添
加剤を、本発明の要件と特性を損なわない範囲で配合す
ることが可能である。
%以上)とする生分解性フィルムの製造方法は、インフ
レーション法である。インフレーション法によるフィル
ム形成方法とは、例えば株式会社産業調査会 事典出版
センターの1997年3月24日発行の「実用プラスチ
ック成型加工事典」のページ199ページから202ペ
ージに記載されている様な方法である。具体的には単軸
又は二軸押出機に原料樹脂を供給して溶融混合し、その
まま円筒ダイよりチューブ状に押出された溶融樹脂を封
入した空気の力でバブル状に膨らませ空冷または水冷し
てピンチロールで挟み込んでフラットにして引き取る方
法である。このインフレーション法のメリットは設備費
が比較的安価で操作が容易である事、適用樹脂の範囲が
広い事、大量生産には向かないが、中規模の生産、多品
種な生産に適す事、成形条件をコントロールする事でフ
ィルムの長手方向(MD方向)および横方向(TD方
向)のバランスの取れたフィルムが得られる事、Tダイ
法に比べて耳ロスが少ない事、チューブ状で得られるの
で包装用の袋には、シームレスの袋が得られ、底シール
のみでよく便利である事、一端を切り開いて広幅のフィ
ルムにもでき、また両端を切って2枚のフィルムにする
事もできる事、空気の吹き込み量の調整でフィルム幅を
広範囲に変えられる事などである。
解性フィルムを得るためには、樹脂の押出量と注入する
空気量およびピンチロールでできたフィルムを巻き取る
速度をコントロールする事で、フィルムの流れ方向の流
動配向の程度と幅方向の流動配向の程度をコントロール
する事により、目的とする面配高度ΔPが0.0005
以上で0.010以下にする事が必要である。ΔPが
0.0005未満ではフィルムの機械的強度が得られな
くて、脆いフィルムとなる。また、ΔPが0.010を
超えるフィルムは上記インフレーション法では安定して
生産でき難い。好ましくはΔPが0.0005以上で
0.005以下の範囲であり、特に好ましくはΔPが
0.0010から0.0025の範囲である。
めには、MD方向速度比およびブローアップ比をコント
ロールする事が必要である。MD方向速度比、ブローア
ップ比は、MD方向速度比=(バブル形成し冷却後のフ
ィルムをピンチロールで巻き取る速度)÷(押出量とダ
イリップ開口部面積から計算で求めたダイ出口で溶融樹
脂の流れ出るMD方向の速度)、ブローアップ比=(最
終的に得られたチューブ状フィルムを切り開きフラット
状にした時のフィルムの全幅)÷(外側ダイリップ周長
と内側ダイリップ周長との平均値)から求めた。好まし
くはMD方向速度比が3以上であり、ブローアップ比が
1.2以上であり、特に好ましくはMD方向速度比が7
以上であり、ブローアップ比が2以上である。また、ポ
リ乳酸系樹脂の溶融押出温度としては、通常100〜2
50℃の温度範囲が選ばれる。好ましくは130℃〜2
20℃の範囲であり、特に好ましくは140℃〜200
℃の範囲である。製膜後の最終的なフィルム厚みは、好
ましくは5〜100μm以下であり、より好ましくは7
〜50μmである。
めには、製膜後に、使用したポリ乳酸系樹脂のガラス転
移温度以上で融点以下の温度範囲内でフィルムを熱処理
することで寸法安定性を向上させる事が好ましい。その
方法としては、製膜後に内部に気体を密封して圧力を保
持してフィルムを緊張状態にして外部より熱風等で加
熱、熱処理する方法、または一旦フラットフィルムに切
り出した後にクリップで両端を把持した状態で熱処理ゾ
ーンを通過させる方法、または熱ロールに接触させて熱
処理する方法がある。好ましい熱処理条件としては、フ
ィルムのガラス転移温度以上で融点以下の温度範囲で、
1秒以上熱処理する方法であり、特に好ましくは65℃
以上、融点以下の温度範囲で2秒以上熱処理する方法で
ある。熱収縮率を下げる目的で、TD方向、及び/又は
MD方向に張力を緩和させて熱処理することも熱収縮率
を低下させるのに有効である。
樹脂フィルムは、ASTM D882に従って測定した
引張破断強度が30MPa以上で、且つ引張破断伸びが
20%以上あることが必要である。これらの値がどちら
かでも下回るようでは、フィルムとしての機械的物性に
劣り、ロール状からの巻き出し、巻き取り、スリット、
他のフィルムとのラミなどの際の取り扱いが難しくな
る。好ましくは引張破断強度が40MPa以上であり、
且つ引張破断伸びが100%以上ある。
は、80℃、30分加熱時の熱収縮率が10%以下であ
り、且つ80℃における最大熱収縮応力が0.3MPa
以下であることが好ましい。80℃、30分加熱時の熱
収縮率が10%を超えるか、80℃における最大熱収縮
応力が0.3MPaを超えるフィルムはシーラントフィ
ルムとして他の生分解性フィルムにラミされる場合に収
縮してシワなどを生じやすい。特に好ましくは80℃、
30分加熱時の熱収縮率が6%以下であり、且つ80℃
における最大熱収縮応力が0.2MPa以下のフィルム
である。加えて、本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは、
ASTM−F1921−98に準拠したヒートシール部
位25.4mm幅当りのホットタック強度のピーク値が
5N以上であることが好ましい。ホットタック強度のピ
ーク値が5N未満ではヒートシール強度が不足して、シ
ーラントフィルムとしての機能を果たせない。特に好ま
しくはホットタック強度のピーク値が10N以上のフィ
ルムである。
ては帯電防止剤、滑り剤およびブロッキング防止剤など
のコーティングを行って使用されることが好ましい。こ
の場合、ポリ乳酸系樹脂フィルムは、 ポリオレフィン系
樹脂フィルムやポリスチレン系樹脂フィルムに比べて親
水性であるが、帯電防止剤、滑り剤およびブロッキング
防止剤などを、本発明のポリ乳酸系樹フィルム表面に均
一に塗布するためには、塗布面となるフィルム表面をコ
ロナ処理によりさらに親水化処理することが好ましい。
この親水化処理によって、塗膜の均一性が向上し、帯電
防止性や滑り性が効率的に発揮される。その際の表面張
力としては、400μN/cm〜600μN/cmの範
囲が好ましい。本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは、イ
ンフレーション法で製膜された生分解性を有するフィル
ムで、必要とする機械的強度を有し且つ熱融着性、寸法
安定性に優れたポリ乳酸系樹脂フィルムであるので、生
分解性の包装用フィルムのシーラントフィルム、接着層
フィルムとして有効である。
明を説明する。実施例および比較例で用いた評価方法に
ついて以下に説明する。 (1)ポリ乳酸重合体のD、L乳酸組成、光学純度 ポリ乳酸重合体の光学純度は、前述の通りポリ乳酸重合
体を構成するL−乳酸及び/又はD−乳酸単量体単位の
構成比率から下記式により計算される。 光学純度(%)=|[L]−[D]| ,但し、[L]
+[D]=100 (|[L]−[D]|は[L]−[D]の絶対値を表
す。) ポリ乳酸重合体を構成するL−乳酸及び/又はD−乳酸
単量体単位の構成比率は、試料を1N−NaOHでアル
カリ分解後に1N−HClで中和して蒸留水で濃度調整
した加水分解試料(液)について、光学異性体分離カラ
ムを装着した島津製作所製の高速液体クロマトグラフィ
ー(HPLC:LC−10A−VP)にて、紫外線UV
254nmでのL−乳酸とD−乳酸の検出ピーク面積比
(垂線法による面積測定)から、ポリ乳酸重合体を構成
するL−乳酸の重量比率[L](単位%)、ポリ乳酸重
合体を構成するD−乳酸の重量比率[D](単位%)を
求め、1重合体当り3点の算術平均(四捨五入)をもっ
て測定値とした。
w 東ソー製のゲルパーミエイションクロマトグラフィー装
置(GPC:データ処理部GPC−8020、検出器R
I−8020)を用いて、以下の測定条件で、標準ポリ
スチレンを用いてポリスチレン換算して重量平均分子量
Mwを求め、1重合体当り3点の算術平均(四捨五入)
をもって測定値とした。 カラム:昭和電工製Shodex K −805とK −801の
連結カラム[7.8mm経×60cm長] 溶離液:クロロホルム 試料溶液濃度:0.2wt/vol% 試料溶液注入量:200μL 溶媒流速:1ml/分 カラム・検出器温度:40℃
m) JIS−K7121及びJIS−K7122に準拠し
て、示差走査熱量計(DSC)で0℃から200℃まで
昇温して、Tg、Tmを測定した。すなわち、標準状態
(23℃65%RH)で状態調節(23℃1週間放置)
したサンプルから約10mgを切り出した後、パーキン
エルマー(Perkin−Elmer)社製の示差走査
熱量計(熱流速型DSC)、DSC−7型を用いて、窒
素ガス流量25ml/分、10℃/分で0℃から200
℃まで昇温し、描かれるDSC曲線の昇温時の融解(吸
熱)ピーク頂点から融点Tm(℃)、昇温時の階段状変
化部分曲線と各ベースライン延長線から縦軸方向に等距
離にある直線との交点(中間点ガラス転移温度)をTg
(単位℃)として測定し、1製品当り4点の算術平均
(四捨五入)をもって測定値とした。
(倍) MD方向速度比、ブローアップ比は、以下の式で求め
た。 MD方向速度比=(バブル形成し冷却後のフィルムをピ
ンチロールで巻き取る速度)÷(押出量とダイリップ開
口部面積から計算で求めたダイ出口で溶融樹脂の流れ出
るMD方向の速度) ブローアップ比=(最終的に得られたチューブ状フィル
ムを切り開きフラット状にした時のフィルムの全幅)÷
(外側ダイリップ周長と内側ダイリップ周長との平均
値)
ADHを用いて、「材料」Vol.43, No.495, pp.1520-15
24, Dec. 1994 に記載の論文に従いフィルム状サンプル
の3主軸方向に関する複屈折Δx、Δy、Δz(図1参
照)を求め、Δx=γ−β、Δy=γ−α、Δz=α−
β(γ≧β、αはフィルムの厚さ方向の屈折率)の関係
より面配向度ΔPを下記の式から求めた。 ΔP={(γ+β)/2}−α =(Δy−Δz)/2 (6)引張破断強度(MPa)、 引張破断伸び(%) フィルムの引張破断強度、 引張破断伸びはASTM D
882に従って測定した。
間放置)したフィルムサンプルから試験片として長手方
向(MD)に250mm長×25.4mm幅(=1in
ch幅)の短冊状フィルムを3点切り出した後、AST
M−F1921−98に準拠してTheller社製の
ホットタック測定器を用いて、ダイの開放後1000m
S(=1秒)までの間に観測されるピーク強度であるホ
ットタック強度(HT強度:単位N/1inch幅)を
以下のシール条件で測定した。 上部ダイ形状:60度V字型(先端断面R=1mmの半
丸状×5.25inch長)金属製ダイ 下部ダイ形状:平型(0.5inch幅×5.25in
ch長)ゴムライニングダイ シール面寸法:1inch×1mm シール温度:(上部ダイ温度)110℃、(下部ダイ温
度)25℃ シール時間:1000mS シール圧力:13±1MPa
原反フィルムの状態から包装機械又は製袋機にて連続し
て包装体やバッグ等にヒートシール加工される場合に、
被包装物がシール部より破出したりシール部が部分的に
剥離(又は破断)しない連続ヒートシール安定性の観点
から、包装機械や製袋機における高速ヒートシール強度
に相当するホットタック強度(HT強度:ピーク強度、
単位N/1inchW)により、以下のように評価し
た。 ◎:ホットタック強度が10N/1inch幅以上で、
十分な強度があり、被包装体の破出やシール線破れが全
くなく、非常に良好である。 ○:ホットタック強度が5N/1inch幅以上で、実
用上問題ないレベルで被包装体の破出やシール線破れが
ない。 ×:ホットタック強度が5N/1inch幅未満でシー
ル部が剥離(破断)し、被包装物が破出する場合があ
る。
になる様に150mm角の試験片を切り出し、1辺がM
D方向に平行になる様に100mm角の正方形を描き、
その中に更に10mm間隔でMD方向、TD方向に平行
に各9本の直線を引き、10mm角の升目を描いた試験
片を作成し、それを80℃に設定した熱風乾燥機中に3
0分間保持してフィルムを自由収縮させた。熱収縮率
は、MD方向、TD方向に引いた11本の線の寸法より
次式を使って求め、MD方向、TD方向それぞれの平均
値を求めて熱収縮率とした。 熱収縮率(%)=[ (加熱収縮前の線の寸法)−(加熱
収縮後の線の寸法)]/(加熱収縮前の線の寸法)×1
00
の時の最大収縮応力の値を用いた。以下の実施例および
比較例に用いたポリ乳酸系樹脂は、特開平9−3117
1号公報、特表平4−504731号公報および特表平
6−504799号公報に記載された方法に従い重合し
て得られたものであり、表1に示した重量平均分子量、
光学純度をもつ結晶性ポリ乳酸(a)、(b)および非
晶性ポリ乳酸(c)である。ただし、本発明におけるポ
リ乳酸系樹脂の組成がこれに限定されるものではない。
1の結晶性ポリ乳酸(a)、(b)および非晶性ポリ乳
酸(c)のペレットを表2の組成にドライブレンドした
後、同方向2軸押出機を用いて溶融ブレンドし、樹脂温
度190℃で溶融樹脂を外側ダイリップ直径を110ミ
リで固定し、内側ダイリップ直径108.8ミリから1
09.2ミリの範囲で製膜条件に合わせて最終フィルム
厚みが20μmとなる様に選択して、リップクリアラン
ス0.4から0.6ミリの円筒ダイより押出し、チュー
ブ状に押出された溶融樹脂に冷却リングより約25℃の
エアーを吹き付けながらチューブ内へエアーを注入して
バブルを形成し、得られたフィルムをピンチロールへ導
きチューブ状のフィルムをフラット状2枚のフィルムと
して巻き取りロールで巻き取った。次に、バブルが安定
してから、樹脂押出速度、バブル中へのエアー注入量、
ピンチロールにおけるフィルム巻き取り速度を微調整し
た後にピンチロールで巻き取り、最終厚みが20μmの
フィルムを得た。ただし、比較例1においては薄いフィ
ルムは得られず、350μmのシートを得て物性評価に
使用した。実施例1〜5で得られたフィルム、および比
較例1で得られたシートの物性評価結果を表2に示し
た。なお、比較例1のシートは実施例1〜5のフィルム
より厚いため、薄い場合に比べて熱の伝わり方が悪く、
正確な熱融着性(ホットタック強度)のデータが得られ
ないことから、熱の熱融着性(ホットタック強度)の測
定は行わなかった。
(a)を用いて、190℃に加熱して圧縮成形法により
50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を
表2に示した。なお、比較例2のフィルムは実施例1〜
5のフィルムより厚いため、比較例1と同じ理由で熱融
着性(ホットタック強度)の測定は行わなかった。
乳酸(b)を使用して、上記の二軸押出機を用いて円筒
ダイの代わりにTダイを用いて、樹脂温度190℃で押
出し、35℃に温調したキャスティングロールにて急冷
し、実質的に非晶質のシートを得た。続いて、 得られた
シートを75℃に加熱して表2に示した延伸倍率にMD
方向にロール延伸し、次いでテンターで延伸温度80℃
にて表2に示した延伸倍率にTD方向に延伸した。その
後フィルムを室温まで冷却することで、厚さ20μmの
テンター法によるポリ乳酸系樹脂の二軸延伸フィルムを
得た。得られたフィルムの物性を表2に示した。表2よ
り、インフレ法で得られた本発明のポリ乳酸系樹脂フィ
ルムは、面配向度ΔPが0.0005〜0.010の範
囲内で、引張破断強度が30MPa以上、 引張破断伸び
20%以上で包装用フィルムのシーラントフィルム、接
着層フィルムとしての機械的強度を有し且つ熱融着性、
寸法安定性に優れたポリ乳酸系樹脂フィルムであること
が分かる。
ンフレーション法で製膜されたフィルムであり、ポリ乳
酸系樹脂を主体(50重量%以上)とするフィルムであ
るので生分解性を有し、包装用フィルムのシーラントフ
ィルム、接着層フィルムとしての機械的強度を有し且つ
熱融着性、寸法安定性に優れたポリ乳酸系樹脂フィルム
である。
屈折Δx、Δy、Δzを説明する概略図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 インフレーション法で製膜された主とし
てポリ乳酸系樹脂からなるフィルムにおいて、面配向度
ΔPが0.0005以上0.010以下で、且つAST
M D882に従って測定した引張破断強度が30MP
a以上、引張破断伸びが20%以上であることを特徴と
する生分解性フィルム。 - 【請求項2】 面配向度ΔPが0.0005以上0.0
050以下であることを特徴とする請求項1に記載の生
分解性フィルム。 - 【請求項3】 80℃、30分加熱時の熱収縮率が10
%以下で、且つ80℃における最大熱収縮応力が0.3
MPa以下であることを特徴とする請求項1又は請求項
2に記載の生分解性フィルム。 - 【請求項4】 ASTM−F1921−98に準拠した
ヒートシール部位25.4mm幅当りのホットタック強
度のピーク値が5N以上であることを特徴とする請求項
1〜3のいずれかに記載の生分解性フィルム。
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