JP2003175544A - 生分解性インフレーションフィルム - Google Patents

生分解性インフレーションフィルム

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JP2003175544A
JP2003175544A JP2001378613A JP2001378613A JP2003175544A JP 2003175544 A JP2003175544 A JP 2003175544A JP 2001378613 A JP2001378613 A JP 2001378613A JP 2001378613 A JP2001378613 A JP 2001378613A JP 2003175544 A JP2003175544 A JP 2003175544A
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film
polylactic acid
biodegradable
resin
inflation
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JP2001378613A
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Masayuki Sukigara
正幸 鋤柄
Mitsuyoshi Itada
光善 板田
Hisao Koike
尚生 小池
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インフレーション法で製膜された、主として
ポリ乳酸系樹脂からなる生分解性を有するフィルムで高
速カット性とオートスプライサー適性(耐衝撃性)と透
明性に優れ、一般包装用フィルムとして、また特に封筒
窓貼り用フィルムとして適する生分解性インフレーショ
ンフィルムを提供する。 【解決手段】 インフレーション法で製膜された、主と
してポリ乳酸系樹脂からなるフィルムにおいて、JIS
K7128(B法)で測定したフィルムの幅方向(T
D方向)の引裂強度が10〜200mNで、ASTM
D1709−91(A法)に準拠して測定した衝撃強度
が100mJ以上であることを特徴とする生分解性イン
フレーションフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてポリ乳酸
系樹脂からなる生分解性インフレーションフィルムに関
するものであり、更に詳しくは、生分解性を有し高速カ
ット性と耐衝撃性、透明性に優れ、一般包装用フィルム
として、また、特に封筒窓貼り用フィルムとして適する
ポリ乳酸系樹脂からなる生分解性インフレーションフィ
ルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成高分子化合物はその優れた特性から
プラスチックとして広範囲に使用されるようになった
が、 その使用量の増加と共に廃棄物量も増大しており、
この廃棄プラスチックをどの様に処理するかが大きな社
会問題になっている。焼却すると発熱量が大きいため焼
却炉を傷めやすい事や、有害物質を生成するおそれがあ
ること等の問題点があり、埋め立てても腐らないためい
つまでも環境中に残留するという問題点もある。更に、
分別・回収、再生のコストを考えるとリサイクルだけで
は完全な問題解決は困難である。この様な環境問題の高
まりの中で、環境への負荷を低減して、社会を持続可能
なものにするために、廃棄後に自然環境下で分解する生
分解性プラスチックが求められるようになっている。
【0003】これまでに知られている生分解性プラスチ
ックとしては、澱粉系ポリマー、微生物によって生産さ
れた脂肪族ポリエステル系樹脂、化学合成による脂肪族
ポリエステル系樹脂、及びそれらの化学構造を一部変性
したタイプの樹脂、生分解性の脂肪族芳香族ポリエステ
ル系樹脂などが知られている。これらの生分解性プラス
チックの中で、ポリ乳酸系樹脂は他の生分解性プラスチ
ックに比べて、透明性、剛性、加工性に優れ、特にその
延伸フィルムは、腰が強く、透明性に優れる点から、各
種包装用フィルム、袋、窓付き容器の窓貼り用フィル
ム、封筒窓貼り用フィルム、セロファン代替用フィルム
として適している。
【0004】しかしながら、ポリ乳酸系樹脂は未延伸の
状態では脆い樹脂でフィルムとしての機械的強度に欠け
る樹脂である。そこで、二軸延伸する事により機械的強
度を向上させフィルムとして使用できる物性と成り、そ
のままでは熱収縮性のフィルムとなり、その後熱処理す
る事により、寸法安定性を付与できることが特開平6−
23836号報、「材料」Vol.43, No.495, pp.1520-15
24, Dec. 1994 に記載の論文、特開平7−207041
号報及び特開平7−256753号報に開示されてい
る。しかしながら、これらの公報の実施例および論文で
開示されているのは、テンター法による二軸延伸フィル
ムであり、インフレーション法によるポリ乳酸系樹脂フ
ィルムは開示されていない。
【0005】また、テンター法による製膜技術は、イン
フレーション法に比べてフィルムの厚み斑が少なく、ま
た単位時間あたりの生産量を大きくできる点およびフィ
ルムの厚みが厚い場合にはテンター法でないと製膜でき
ない点でインフレーション法に比べて有利であるが、設
備建設費はインフレーション法の設備に比べて数倍以上
となり、また、少品種大量生産には向くが、フィルムの
市場規模が比較的小さく、多品種少量生産の必要な場
合、および厚みが薄くなりインフレーション法が適用で
きるようになるとインフレーション法が経済的に有利に
なってくる。
【0006】一方、樹脂フィルムの用途においては、加
工機の進歩によって、加工速度の高速化が進んでいる。
封筒へのフィルムの窓貼りを例にあげると、従来は40
0〜600枚/分の処理速度で封筒の窓貼りを行ってい
たものが、窓貼り機の進歩によって、最近では800〜
1000枚/分、更には1000枚/分以上と高速化が
進み、フィルムの走行速度もより高速になり、高速カッ
ト性の優れたフィルムが求められているのが現状であ
る。加えて加工速度の高速化に対応した機械適性が求め
られており、特に高速運転しながらロール状のフィルム
が使用し終わる時に、次の新しいロールに自動的に切り
替え、自動的にフィルムをつなぐオートスプライサーで
はフィルムに衝撃力が働くためにフィルムの耐衝撃性も
必要になってくる。この様に透明性の優れるポリ乳酸系
樹脂フィルムにおいて、高速カット性と耐衝撃性の両方
の優れた生分解性のインフレーションフィルムは未だに
得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、インフレー
ション法で製膜された、主としてポリ乳酸系樹脂からな
る生分解性を有するフィルムに関するものであり、更に
詳しくは、生分解性を有し高速カット性と耐衝撃性と透
明性に優れ、一般包装用フィルムとして、また特に封筒
窓貼り用フィルムとして適する生分解性インフレーショ
ンフィルムを提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記課題
を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、主としてポリ
乳酸系樹脂からなる重合体を、インフレーション法を用
いてフィルム幅方向(TD方向)の引裂強度と衝撃強度
を特定の範囲とする事で、生分解性を有し高速カット性
と耐衝撃性と透明性に優れ、一般包装用フィルムとし
て、また特に封筒窓貼り用フィルムとして適する生分解
性インフレーションフィルムが得られる事を見出し、本
発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は、 インフレーション法で製膜された、主としてポリ乳酸
系樹脂からなるフィルムにおいて、JIS K7128
(B法)で測定したフィルムの幅方向(TD方向)の引
裂強度が10〜200mNで、ASTM D1709−
91(A法)に準拠して測定した衝撃強度が100mJ
以上であることを特徴とする生分解性インフレーション
フィルムを提供するものである。また JIS K7128(B法)で測定したフィルムの幅
方向(TD方向)の引裂強度が20〜150mNで、A
STM D1709−91(A法)に準拠して測定した
衝撃強度が150mJ以上、濁度計(ASTM D10
03−95)で測定した曇り度(Haze)が5%以下
であることを特徴とするに記載の生分解性インフレー
ションフィルムを提供するものである。また、 封筒窓貼り用フィルムであることを特徴とする又は
に記載の生分解性インフレーションフィルムを提供す
るものである。 主としてポリ乳酸系樹脂からなるフィルムをインフレ
ーション法によって成形する際において、ブローアップ
比が5倍以上で製膜することを特徴とする〜のいず
れかに記載の生分解性インフレーションフィルムの製造
方法を提供するものである。
【0010】本発明について、以下に具体的に説明す
る。本発明のフィルムは、主として(50重量%以上)
ポリ乳酸系樹脂からなる。該ポリ乳酸系樹脂とは、乳酸
単量体単位を85重量%以上含有する重合体であって、
ポリ乳酸、または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸、脂
肪族環状エステル、ジカルボン酸、ジオール類との共重
合体、または乳酸単量体単位を85重量%以上含有する
これら重合体の組成物である。乳酸には光学異性体とし
て、L−乳酸とD−乳酸が存在し、それらが重合してで
きるポリ乳酸には、D−乳酸単位が約10%以下でL−
乳酸単位が約90%以上、又はL−乳酸単位が約10%
以下でD−乳酸単位が約90%以上であるポリ乳酸で、
光学純度が約80%以上の結晶性ポリ乳酸と、D−乳酸
単位が10%〜90%でL−乳酸単位が90%〜10%
であるポリ乳酸で、光学純度が約80%以下の非晶性ポ
リ乳酸とがあることが知られている。
【0011】本発明で用いるポリ乳酸系樹脂は、光学純
度が85%以上の結晶性ポリ乳酸単独、又は光学純度が
85%以上の結晶性ポリ乳酸と光学純度が80%以下の
非晶性ポリ乳酸とからなる混合物であり、好ましくは該
混合物であって、特に好ましくは光学純度が85%以上
の結晶性ポリ乳酸80〜60重量部と光学純度が80%
以下の非晶性ポリ乳酸20〜40重量部とからなる混合
物であるポリ乳酸系樹脂である。共重合成分として用い
られる単量体として、ヒドロキシカルボン酸としては、
グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪
酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6
−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。
【0012】また、脂肪族環状エステルとしては、グリ
コリド、ラクチド、β−プロピオラクトン、γ−ブチロ
ラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンお
よびこれらにメチル基などの種々の基が置換したラクト
ン類が挙げられる。また、ジカルボン酸としては、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシ
ン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等、多価アルコール
としてはビスフェノール/エチレンオキサイド付加反応
物などの芳香族多価アルコール、エチレングリコール、
プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオ
ール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、ト
リメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなどの
脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロ
ピレングリコールなどのエーテルグリコール等が挙げら
れる。
【0013】ポリ乳酸系樹脂の重合方法としては、縮合
重合法、開環重合法などの公知の方法を採用できる。ま
た、ポリイソシアネート、ポリエポキシ化合物、酸無水
物、多官能酸塩化物などの結合剤を使用して分子量を増
大する方法を用いることもできる。ポリ乳酸系樹脂の重
量平均分子量は20000〜1000000の範囲が好
ましい。分子量が20000未満では機械的物性の劣る
フィルムしか得られず、1000000を超えると溶融
粘度が高くなり、通常の加工機械では物性の安定したフ
ィルムが得られなくなる。本発明のポリ乳酸系樹脂を主
体とする生分解性インフレーションフィルムには、上記
の樹脂の他に、他の生分解性樹脂、熱安定剤、酸化防止
剤、および紫外線吸収剤などの公知の添加剤を、本発明
の要件と特性を損なわない範囲で配合することが可能で
ある。
【0014】本発明のポリ乳酸系樹脂を主体(50重量
%以上)とする生分解性インフレーションフィルムの製
造方法は、インフレーション法である。インフレーショ
ン法によるフィルム形成方法とは例えば株式会社産業調
査会 事典出版センターの1997年3月24日発行の
「実用プラスチック成型加工事典」のページ199ペー
ジから202ページに記載されている様な方法である。
具体的には単軸又は二軸押出機に原料樹脂を供給して溶
融混合し、そのまま円筒ダイよりチューブ状に押出され
た溶融樹脂を封入した空気の力でバブル状に膨らませ空
冷または水冷してピンチロールで挟み込んでフラットに
して引き取る方法である。このインフレーション法のメ
リットは設備費が比較的安価で操作が容易である事、適
用樹脂の範囲が広い事、大量生産には向かないが、中規
模の生産、多品種な生産に適す事、成形条件をコントロ
ールする事でフィルムの長手方向(MD方向)および横
方向(TD方向)のバランスの取れたフィルムが得られ
る事、Tダイ法に比べて耳ロスが少ない事、チューブ状
で得られるので包装用の袋には、シームレスの袋が得ら
れ、底シールのみでよく便利である事、一端を切り開い
て広幅のフィルムにもでき、また両端を切って2枚のフ
ィルムにする事もできる事、空気の吹き込み量の調整で
フィルム幅を広範囲に変えられる事などである。
【0015】本発明のポリ乳酸系樹脂を主体とする生分
解性インフレーションフィルムを得るためには、樹脂温
度、樹脂押出量と注入する空気量、ダイ出のフィルム冷
却速度およびピンチロールでできたフィルムを巻き取る
速度をコントロールするなどして、フィルムの流れ方向
の流動配向の程度と幅方向の流動配向の程度をコントロ
ールし、JIS K7128(B法)で測定したフィル
ムの幅方向(TD方向)の引裂強度が10〜200mN
で、ASTM D1709−91(A法)に準拠して測
定した衝撃強度が100mJ以上のフィルムとする事が
必要である。
【0016】TD方向の引裂強度が200mNを超える
フィルムでは高速カット性が劣り、例えば、高速の封筒
の窓貼り機に対応できなくなる。また、10mN未満で
はフィルムのスリット作業時などにフィルム切れが多発
するようになる。好ましくはTD方向の引裂強度が20
〜150mNの範囲であり、特に好ましくは20〜10
0mNの範囲である。また、ASTM D1709−9
1(A法)に準拠して測定した衝撃強度が100mJ未
満のフィルムでは、前述の通り高速運転しながらロール
状のフィルムが使用し終わる時に、次の新しいロールに
自動的に切り替え、自動的にフィルムをつなぐオートス
プライサーにおいてフィルムに働く衝撃強度のためにフ
ィルムが破断することが多くなる。好ましくは、衝撃強
度は150mJ以上であり、特に好ましくは200mJ
以上である。
【0017】本発明のポリ乳酸系樹脂を主体とする生分
解性インフレーションフィルムを得るために、ダイ出口
での溶融樹脂温度およびフィルム冷却速度、樹脂押出量
と注入する空気量およびピンチロールでのフィルム巻き
取り速度を調整することでMD方向速度比およびブロー
アップ比をコントロールする。MD方向速度比、ブロー
アップ比は、MD方向速度比=(バブル形成し冷却後の
フィルムをピンチロールで巻き取る速度)÷(押出量と
ダイリップ開口部面積から計算で求めたダイ出口で溶融
樹脂の流れ出るMD方向の速度)、ブローアップ比=
(最終的に得られたチューブ状フィルムを切り開きフラ
ット状にした時のフィルムの全幅)÷(外側ダイリップ
周長と内側ダイリップ周長との平均値)から求めた。好
ましくはブローアップ比が5以上であり、更に好ましく
は、MD方向速度比が10以上であり且つブローアップ
比が7以上であり、特に好ましくはMD方向速度比が1
0以上であり且つブローアップ比が10以上である。
【0018】また、ポリ乳酸系樹脂の溶融押出温度とし
ては、通常100〜250℃の温度範囲が選ばれる。好
ましくは130℃〜200℃の範囲であり、特に好まし
くは140℃〜180℃の範囲である。製膜後の最終的
なフィルム厚みは、好ましくは5〜100μm以下であ
り、より好ましくは7〜50μmである。
【0019】本発明のポリ乳酸系樹脂を主体とする生分
解性インフレーションフィルムを得るためには、製膜後
に、使用したポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度以上で融
点以下の温度範囲内でフィルムを熱処理することで寸法
安定性を向上させる事が好ましい。その方法としては、
製膜後に内部に気体を密封して圧力を保持してフィルム
を緊張状態にして外部より熱風等で加熱、熱処理する方
法、または一旦フラットフィルムに切り出した後にクリ
ップで両端を把持した状態で熱処理ゾーンを通過させる
方法、または熱ロールに接触させて熱処理する方法があ
る。好ましい熱処理条件としては、フィルムのガラス転
移温度以上で融点以下の温度範囲で、1秒以上熱処理す
る方法であり、特に好ましくは65℃以上、融点以下の
温度範囲で2秒以上熱処理する方法である。熱収縮率を
下げる目的で、TD方向、及び/又はMD方向に張力を
緩和させて熱処理することも熱収縮率を低下させるのに
有効である。
【0020】上記の方法で得られる本発明のポリ乳酸系
樹脂を主体とする生分解性インフレーションフィルム
は、好ましくは濁度計(ASTM D1003−95)
で測定した曇り度(Haze)が5%以下である。特に
好ましくは曇り度(Haze)が3%以下である。通
常、ガラス転移温度が0℃以下の生分解性ポリマーをポ
リ乳酸系樹脂にブレンドすることにより衝撃強度が向上
することは知られているが、曇り度が増加して透明性が
劣るフィルムとなる。
【0021】本発明のポリ乳酸系樹脂を主体とする生分
解性インフレーションフィルムは、用途によっては帯電
防止剤、滑り剤およびブロッキング防止剤などのコーテ
ィングを行って使用されることが好ましい。この場合、
ポリ乳酸系樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂フィ
ルムやポリスチレン系樹脂フィルムに比べて親水性であ
るが、帯電防止剤、滑り剤およびブロッキング防止剤な
どを、本発明のポリ乳酸系樹フィルム表面に均一に塗布
するためには、塗布面となるフィルム表面をコロナ処理
によりさらに親水化処理することが好ましい。この親水
化処理によって、塗膜の均一性が向上し、帯電防止性や
滑り性が効率的に発揮される。その際の表面張力として
は、400μN/cm〜600μN/cmの範囲が好ま
しい。本発明のポリ乳酸系樹脂を主体とする生分解性イ
ンフレーションフィルムは、生分解性を有するフィルム
で、高速カット性と耐衝撃性、透明性に優れ、一般包装
用フィルムとして適すると共に、特に封筒窓貼り用フィ
ルムとして適するフィルムである。
【0022】
【発明の実施の形態】実施例および比較例によって本発
明を説明する。実施例および比較例で用いた評価方法に
ついて以下に説明する。 (1)ポリ乳酸重合体のD、L乳酸組成、光学純度 ポリ乳酸重合体の光学純度は、前述の通りポリ乳酸重合
体を構成するL−乳酸及び/又はD−乳酸単量体単位の
構成比率から下記式により計算される。 光学純度(%)=|[L]−[D]| ,但し、[L]
+[D]=100 (|[L]−[D]|は[L]−[D]の絶対値を表
す。) ポリ乳酸重合体を構成するL−乳酸及び/又はD−乳酸
単量体単位の構成比率は、試料を1N−NaOHでアル
カリ分解後に1N−HClで中和して蒸留水で濃度調整
した加水分解試料(液)について、光学異性体分離カラ
ムを装着した島津製作所製の高速液体クロマトグラフィ
ー(HPLC:LC−10A−VP)にて、紫外線UV
254nmでのL−乳酸とD−乳酸の検出ピーク面積比
(垂線法による面積測定)から、ポリ乳酸重合体を構成
するL−乳酸の重量比率[L](単位%)、ポリ乳酸重
合体を構成するD−乳酸の重量比率[D](単位%)を
求め、1重合体当り3点の算術平均(四捨五入)をもっ
て測定値とした。
【0023】(2)ポリ乳酸重合体の重量平均分子量M
w 東ソー製のゲルパーミエイションクロマトグラフィー装
置(GPC:データ処理部GPC−8020、検出器R
I−8020)を用いて、以下の測定条件で、標準ポリ
スチレンを用いてポリスチレン換算して重量平均分子量
Mwを求め、1重合体当り3点の算術平均(四捨五入)
をもって測定値とした。 カラム:昭和電工製Shodex K −805とK −801の
連結カラム[7.8mm経×60cm長] 溶離液:クロロホルム 試料溶液濃度:0.2wt/vol% 試料溶液注入量:200μL 溶媒流速:1ml/分 カラム・検出器温度:40℃
【0024】(3)ガラス転移点(Tg)、融点(T
m) JIS−K7121及びJIS−K7122に準拠し
て、示差走査熱量計(DSC)で0℃から200℃まで
昇温して、Tg、Tmを測定した。すなわち、標準状態
(23℃65%RH)で状態調節(23℃1週間放置)
したサンプルから約10mgを切り出した後、パーキン
エルマー(Perkin−Elmer)社製の示差走査
熱量計(熱流速型DSC)、DSC−7型を用いて、窒
素ガス流量25ml/分、10℃/分で0℃から200
℃まで昇温し、描かれるDSC曲線の昇温時の融解(吸
熱)ピーク頂点から融点Tm(℃)、昇温時の階段状変
化部分曲線と各ベースライン延長線から縦軸方向に等距
離にある直線との交点(中間点ガラス転移温度)をTg
(単位℃)として測定し、1製品当り4点の算術平均
(四捨五入)をもって測定値とした。
【0025】(4)MD方向速度比(倍)、ブローアッ
プ比(倍) MD方向速度比、ブローアップ比は、以下の式で求め
た。 MD方向速度比=(バブル形成し冷却後のフィルムをピ
ンチロールで巻き取る速度)÷(押出量とダイリップ開
口部面積から計算で求めたダイ出口で溶融樹脂の流れ出
るMD方向の速度) ブローアップ比=(最終的に得られたチューブ状フィル
ムを切り開きフラット状にした時のフィルムの全幅)÷
(外側ダイリップ周長と内側ダイリップ周長との平均
値) (5)衝撃強度(mJ) 標準状態(23℃65%RH)で状態調節(23℃1週
間放置)したポリ乳酸系樹脂フィルムから試験片として
25μm厚み×225mm×250mm角の四角形状フ
ィルムを1種フィルム当り30枚切り出した後、AST
M−D1709−91(A法)に準拠して、東洋精機製
のダート衝撃試験装置を用いて、50%破壊エネルギー
(Dart強度:単位mJ)を標準状態下で測定した
(有効数字2桁)。
【0026】(6)引張破断強度(MPa)、 引張破断
伸び(%) フィルムの引張破断強度、 引張破断伸びはASTM D
882に従って測定した。 (7)引裂強度(mN) フィルムのTD方向の引裂強度(mN)は、JIS K
7128(B法)に従って測定した。 (8)曇り度(Haze、%) 標準状態(23℃65%RH)で状態調節(23℃1週
間放置)したフィルムサンプルから試験片として25μ
m厚み×50mm角の正方形状フィルムに切り出した
後、ASTM D1003−95に準拠して、日本電色
工業製の濁度計(ヘーズメーター)、NDH−1001
DP型を用いて、曇り度(Haze:単位%)を標準状
態下で測定し、1種フィルム当たり6点の算術平均値
(有効数字2桁)をもって測定値とした。
【0027】(9)高速カット性と封筒窓貼り適性 フィルムの高速カット性と封筒窓貼り適性を評価するた
め、封筒窓貼り機(WINKLER+DUNNERBIER社製のHELIOS2
02型)にて、135×235mmの封筒(紙製)にあ
る50×90mmの窓枠に、カット速度を変えて封筒の
窓貼りを行い、封筒窓枠の位置ズレを目視で評価して、
位置ズレを起こさずに窓貼りができる、実用可能な上限
のカット速度を測定した。その結果から、以下の基準で
フィルムの高速カット性、封筒窓貼り適性を評価した。 ◎:カット速度600枚/分を超えてカットでき且つ位
置ズレを生じないで窓貼りできるフィルム。 ○〜◎:カット速度500枚〜600枚/分でカットで
き且つ位置ズレを生じないで窓貼りできるフィルム。 ○:カット速度400枚〜500枚/分でカットでき且
つ位置ズレを生じないで窓貼りできるフィルム。 ×:カット速度400枚/以上ではカットできないか、
カットできても遅れを生じて位置ズレを生じるフィル
ム。
【0028】(10)オートスプライサー適性 ロール状のフィルムが使用し終わる時に、次の新しいロ
ールに自動的に切り替え、自動的にフィルムをつなぐオ
ートスプライサーではフィルムに衝撃力が働くため、フ
ィルムには一定以上の耐衝撃性(衝撃強度(mJ))が
必要になってくる。そこで、このオートスプライサーに
よるフィルムのつなぎ操作性の難易(即ち、オートスプ
ライサー適性)をフィルムの衝撃強度(mJ)に基づい
て以下のように評価した。 ◎:衝撃強度が200mJ以上で、オートスプライサー
適性が特に優れる。 ○:衝撃強度が100mJ以上200mJ未満で、オー
トスプライサー適性が優れる。 ×:衝撃強度が100mJ未満で、オートスプライサー
適性がなく、フィルムのつなぎ操作の際破断する。
【0029】(11)総合評価 高速カット性(封筒窓貼り適性)、オートスプライサー
適性の2項目において下記の通りの基準で総合評価を行
った。 ◎:上記2項目共に◎のフィルム。 ○:上記2項目の内、1項目以上が○で且つ×の無いフ
ィルム。 ×:上記2項目の内、1項目以上で×のあるフィルム。
【0030】以下の実施例および比較例に用いたポリ乳
酸系樹脂は、特開平9−31171号公報、特表平4−
504731号公報および特表平6−504799号公
報に記載された方法に従い重合して得られたものであ
り、表1に示した重量平均分子量、光学純度をもつ結晶
性ポリ乳酸(a)、(b)および非晶性ポリ乳酸(c)
である。ただし、本発明におけるポリ乳酸系樹脂の組成
がこれに限定されるものではない。
【0031】
【実施例1〜7】実施例1〜7においては、表1の結晶
性ポリ乳酸(a)、(b)および非晶性ポリ乳酸(c)
のペレットを表2の組成にドライブレンドした後、同方
向2軸押出機を用いて溶融ブレンドし、ギアポンプを用
いて、実施例1では樹脂温度180℃で、実施例2〜7
では樹脂温度165℃で溶融樹脂を押し出した。その
際、外側ダイリップ直径を50ミリで固定し、内側ダイ
リップ直径を40ミリから46ミリの範囲で製膜条件に
合わせて変更し、最終フィルム厚みが25μmとなる様
に選択して、リップクリアランス2ミリから5ミリの円
筒ダイより押出し、チューブ状に押出された溶融樹脂に
冷却リングより約40℃のエアーを吹き付けながらチュ
ーブ内へエアーを注入してバブルを形成し、得られたフ
ィルムをピンチロールへ導きチューブ状のフィルムをフ
ラット状2枚のフィルムとして巻き取りロールで巻き取
った。次に、バブルが安定してから、樹脂押出速度、バ
ブル中へのエアー注入量、ピンチロールにおけるフィル
ム巻き取り速度を微調整した後にピンチロールで巻き取
り、最終厚みが25μmのフィルムを得た。実施例1〜
7で得られたフィルムの物性評価結果を表2に示した。
【比較例1】比較例1においては、表1のポリ乳酸
(a)を用いて、200℃に加熱して圧縮成形法により
25μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を
表2に示した。
【0032】
【比較例2〜5】比較例2〜5では、表1に示したポリ
乳酸(a)、(b)および(c)を使用して、表2の組
成にドライブレンドした後、同方向2軸押出機を用いて
溶融ブレンドし、樹脂温度200℃で溶融樹脂を外側ダ
イリップ直径を110ミリで固定し、内側ダイリップ直
径109.0ミリから109.2ミリの範囲で製膜条件
に合わせて最終フィルム厚みが25μmとなる様に選択
して、リップクリアランス0.4から0.5ミリの円筒
ダイより押出し、チューブ状に押出された溶融樹脂に冷
却リングより約25℃のエアーを吹き付けながらチュー
ブ内へエアーを注入してバブルを形成し、得られたフィ
ルムをピンチロールへ導きチューブ状のフィルムをフラ
ット状2枚のフィルムとして巻き取りロールで巻き取っ
た。次に、バブルが安定してから、樹脂押出速度、バブ
ル中へのエアー注入量、ピンチロールにおけるフィルム
巻き取り速度を微調整した後にピンチロールで巻き取
り、最終厚みが25μmのフィルムを得た。得られたフ
ィルムの物性を表2に示した。表2より、本発明のイン
フレーション法で得られたポリ乳酸系樹脂を主体とする
生分解性インフレーションフィルムは、JIS K71
28(B法)で測定したフィルムの幅方向(TD方向)
の引裂強度が10〜200mNで、ASTMD1709
−91(A法)に準拠して測定した衝撃強度が100m
J以上のフィルムであり、高速カット性と耐衝撃性、且
つ透明性に優れ、一般包装用フィルムとして適すると共
に、特に封筒窓貼り用フィルムとして適するフィルムで
ある。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明のポリ乳酸系樹脂を主体とする生
分解性インフレーションフィルムは、ポリ乳酸系樹脂を
主体とするフィルムであるので生分解性を有し、一般包
装用フィルムとして、また特に封筒窓貼り用フィルムと
しての高速カット性と耐衝撃性と透明性に優れた生分解
性インフレーションフィルムである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小池 尚生 三重県鈴鹿市平田中町1番1号 旭化成株 式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA43 AF16Y AF23Y AF30Y AH19 BB09 BC01 4F210 AA24 AE10 AG01 AG08 AH54 AR12 QA01 QC07 QG04 QG18 QK01 QK05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インフレーション法で製膜された、主と
    してポリ乳酸系樹脂からなるフィルムにおいて、JIS
    K7128(B法)で測定したフィルムの幅方向(T
    D方向)の引裂強度が10〜200mNで、ASTM
    D1709−91(A法)に準拠して測定した衝撃強度
    が100mJ以上であることを特徴とする生分解性イン
    フレーションフィルム。
  2. 【請求項2】 JIS K7128(B法)で測定した
    フィルムの幅方向(TD方向)の引裂強度が20〜15
    0mNで、ASTM D1709−91(A法)に準拠
    して測定した衝撃強度が150mJ以上、濁度計(AS
    TM D1003−95)で測定した曇り度(Haz
    e)が5%以下であることを特徴とする請求項1に記載
    の生分解性インフレーションフィルム。
  3. 【請求項3】 封筒窓貼り用フィルムであることを特徴
    とする請求項1又は請求項2に記載の生分解性インフレ
    ーションフィルム。
  4. 【請求項4】 主としてポリ乳酸系樹脂からなるフィル
    ムをインフレーション法によって成形する際において、
    ブローアップ比が5倍以上で製膜することを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性インフレーシ
    ョンフィルムの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004256795A (ja) * 2003-02-07 2004-09-16 Toray Ind Inc ポリ乳酸系フィルムおよびこれを用いた積層構成体
JP2010013498A (ja) * 2008-07-01 2010-01-21 Toray Ind Inc パッケージ窓貼り用フィルム。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004256795A (ja) * 2003-02-07 2004-09-16 Toray Ind Inc ポリ乳酸系フィルムおよびこれを用いた積層構成体
JP2010013498A (ja) * 2008-07-01 2010-01-21 Toray Ind Inc パッケージ窓貼り用フィルム。

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