JP3739311B2 - 生分解性フィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として(50重量%以上)ポリ乳酸系樹脂からなる生分解性フィルムに関するものであり、更に詳しくは、インフレーション法で製膜された、包装用フィルムのシーラントフィルム、接着層フィルムとしての機械的強度を有し且つ熱融着性、寸法安定性に優れたポリ乳酸系樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
合成高分子化合物はその優れた特性からプラスチックとして広範囲に使用されるようになったが、 その使用量の増加と共に廃棄物量も増大しており、この廃棄プラスチックをどの様に処理するかが大きな社会問題になっている。焼却すると発熱量が大きいため焼却炉を傷めやすい事や、有害物質を生成するおそれがあること等の問題点があり、埋め立てても腐らないためいつまでも環境中に残留するという問題点もある。更に、 分別・回収、再生のコストを考えるとリサイクルだけでは完全な問題解決は困難である。
この様な環境問題の高まりの中で、環境への負荷を低減して、社会を持続可能なものにするために、廃棄後に自然環境下で分解する生分解性プラスチックが求められるようになっている。
【0003】
これまでに知られている生分解性プラスチックとしては、澱粉系、微生物によって生産された脂肪族ポリエステル系樹脂、化学合成による脂肪族ポリエステル系樹脂、及びそれらの化学構造を一部変性したタイプの樹脂、生分解性の脂肪族芳香族ポリエステル系樹脂などが知られている。
これらの生分解性プラスチックの中で、ポリ乳酸系樹脂は他の生分解性プラスチックに比べて、透明性、剛性、加工性に優れ、特にその延伸フィルムは、腰が強く、透明性に優れる点から、各種包装用フィルム、袋、窓付き容器の窓貼り用フィルム、封筒窓貼り用フィルム、セロファン代替用フィルムとして適している。
【0004】
しかしながらポリ乳酸系樹脂は未延伸の状態では脆い樹脂でフィルムとしての機械的強度に欠ける樹脂である。そこで、二軸延伸する事により機械的強度を向上させフィルムとして使用できる物性と成り、そのままでは熱収縮性のフィルムとなり、その後熱処理する事により、寸法安定性を付与できることが特開平6−23836号報、「材料」Vol.43, No.495, pp.1520-1524, Dec. 1994 に記載の論文、特開平7−207041号報及び特開平7−256753号報に開示されている。しかしながら、これらの公報の実施例および論文で開示されているのは、テンター法による二軸延伸フィルムであり、インレーション法によるポリ乳酸系樹脂フィルムは開示されておらず、また、テンター法で延伸倍率がフィルム長手方向(MD方向)、横方向(TD方向)で2倍以下、面配向度ΔPが0.006未満では機械的強度の劣る脆いフィルム、特に引張破断伸びの低いフィルムしか得られていない。
【0005】
また、テンター法による製膜技術は、インフレーション法に比べてフィルムの厚み斑が少なく、また単位時間あたりの生産量を大きくできる点およびフィルムの厚みが厚い場合にはテンター法でないと製膜できない点でインフレーション法に比べて有利であるが、設備建設費はインフレーション法の設備に比べて数倍以上となり、また、少品種大量生産には向くが、フィルムの市場規模が比較的小さく、多品種少量生産の必要な場合、および厚みが薄くなりインフレーション法が適用できるようになるとインフレーション法が経済的に有利になってくる。
一方、生分解性樹脂フィルムの用途においては、フィルムとフィルムを接着するためのシーラントフィルム、接着層フィルムが必要であり、特に生分解性フィルムどおしの接着時にはそれらのフィルムの生分解性を生かすためにシーラントフィルム、接着層フィルムにも生分解性が必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生分解性を有するフィルムで、インフレーション法で製膜された、包装用フィルムのシーラントフィルム、接着層フィルムとしての機械的強度を有し且つ熱融着性、寸法安定性に優れたポリ乳酸系樹脂フィルムを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、インフレーション法を用いて特定の面配高度ΔPのフィルムとする事で包装用フィルムのシーラントフィルム、接着層フィルムとしての機械的強度を有し且つ熱融着性、寸法安定性に優れたポリ乳酸系樹脂フィルムが得られる事を見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
▲1▼インフレーション法で製膜された主としてポリ乳酸系樹脂からなるフィルムにおいて、面配向度ΔPが0.0005以上0.010以下で、且つASTM D882に従って測定した引張破断強度が30MPa以上、引張破断伸びが20%以上であることを特徴とする生分解性フィルムを提供するものである。また
▲2▼面配向度ΔPが0.0005以上0.0050以下であることを特徴とする▲1▼に記載の生分解性フィルムを提供するものである。また、
▲3▼80℃、30分加熱時の熱収縮率が10%以下で、且つ80℃における最大熱収縮応力が0.3MPa以下であることを特徴とする▲1▼又は▲2▼に記載の生分解性フィルムを提供するものである。また、
▲4▼ASTM−F1921−98に準拠したヒートシール部位25.4mm幅当りのホットタック強度のピーク値が5N以上であることを特徴とする▲1▼〜▲3▼のいずれかに記載の生分解性フィルムを提供するものである。
【0009】
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明のフィルムは、主として(50重量%以上)ポリ乳酸系樹脂からなる。
該ポリ乳酸系樹脂とは、乳酸単量体単位を85重量%以上含有する重合体であって、ポリ乳酸、または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸、脂肪族環状エステル、ジカルボン酸、ジオール類との共重合体、または乳酸単量体単位を85重量%以上含有するこれら重合体の組成物である。
乳酸には光学異性体として、L−乳酸とD−乳酸が存在し、それらが重合してできるポリ乳酸には、D−乳酸単位が約10%以下でL−乳酸単位が約90%以上、又はL−乳酸単位が約10%以下でD−乳酸単位が約90%以上であるポリ乳酸で、光学純度が約80%以上の結晶性ポリ乳酸と、D−乳酸単位が10%〜90%でL−乳酸単位が90%〜10%であるポリ乳酸で、光学純度が約80%以下の非晶性ポリ乳酸とがあることが知られている。
【0010】
本発明で用いるポリ乳酸系樹脂は、光学純度が85%以上の結晶性ポリ乳酸単独、又はそれと光学純度が80%以下の非晶性ポリ乳酸とからなる混合物であり、好ましくは該混合物であって、特に好ましくは光学純度が85%以上の結晶性ポリ乳酸80〜60重量部と光学純度が80%以下の非晶性ポリ乳酸20〜40重量部とからなる混合物であるポリ乳酸系樹脂である。
共重合成分として用いられる単量体として、ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ吉草酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。
【0011】
また、脂肪族環状エステルとしては、グリコリド、ラクチド、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンおよびこれらにメチル基などの種々の基が置換したラクトン類が挙げられる。また、ジカルボン酸としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等、多価アルコールとしてはビスフェノール/エチレンオキサイド付加反応物などの芳香族多価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテルグリコール等が挙げられる。
【0012】
ポリ乳酸系樹脂の重合方法としては、縮合重合法、開環重合法などの公知の方法を採用できる。また、ポリイソシアネート、ポリエポキシ化合物、酸無水物、多官能酸塩化物などの結合剤を使用して分子量を増大する方法を用いることもできる。
ポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は10000〜1000000の範囲が好ましい。分子量が10000未満では機械的物性の劣るフィルムしか得られず、1000000を超えると溶融粘度が高くなり、通常の加工機械では物性の安定したフィルムが得られなくなる。
本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムには、上記の樹脂の他に、他の生分解性樹脂、熱安定剤、酸化防止剤、および紫外線吸収剤などの公知の添加剤を、本発明の要件と特性を損なわない範囲で配合することが可能である。
【0013】
本発明のポリ乳酸系樹脂を主体(50重量%以上)とする生分解性フィルムの製造方法は、インフレーション法である。インフレーション法によるフィルム形成方法とは、例えば株式会社産業調査会 事典出版センターの1997年3月24日発行の「実用プラスチック成型加工事典」のページ199ページから202ページに記載されている様な方法である。具体的には単軸又は二軸押出機に原料樹脂を供給して溶融混合し、そのまま円筒ダイよりチューブ状に押出された溶融樹脂を封入した空気の力でバブル状に膨らませ空冷または水冷してピンチロールで挟み込んでフラットにして引き取る方法である。このインフレーション法のメリットは設備費が比較的安価で操作が容易である事、適用樹脂の範囲が広い事、大量生産には向かないが、中規模の生産、多品種な生産に適す事、成形条件をコントロールする事でフィルムの長手方向(MD方向)および横方向(TD方向)のバランスの取れたフィルムが得られる事、Tダイ法に比べて耳ロスが少ない事、チューブ状で得られるので包装用の袋には、シームレスの袋が得られ、底シールのみでよく便利である事、一端を切り開いて広幅のフィルムにもでき、また両端を切って2枚のフィルムにする事もできる事、空気の吹き込み量の調整でフィルム幅を広範囲に変えられる事などである。
【0014】
本発明のポリ乳酸系樹脂を主体とする生分解性フィルムを得るためには、樹脂の押出量と注入する空気量およびピンチロールでできたフィルムを巻き取る速度をコントロールする事で、フィルムの流れ方向の流動配向の程度と幅方向の流動配向の程度をコントロールする事により、目的とする面配高度ΔPが0.0005以上で0.010以下にする事が必要である。ΔPが0.0005未満ではフィルムの機械的強度が得られなくて、脆いフィルムとなる。また、ΔPが0.010を超えるフィルムは上記インフレーション法では安定して生産でき難い。好ましくはΔPが0.0005以上で0.005以下の範囲であり、特に好ましくはΔPが0.0010から0.0025の範囲である。
【0015】
本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムを得るためには、MD方向速度比およびブローアップ比をコントロールする事が必要である。MD方向速度比、ブローアップ比は、MD方向速度比=(バブル形成し冷却後のフィルムをピンチロールで巻き取る速度)÷(押出量とダイリップ開口部面積から計算で求めたダイ出口で溶融樹脂の流れ出るMD方向の速度)、ブローアップ比=(最終的に得られたチューブ状フィルムを切り開きフラット状にした時のフィルムの全幅)÷(外側ダイリップ周長と内側ダイリップ周長との平均値)から求めた。好ましくはMD方向速度比が3以上であり、ブローアップ比が1.2以上であり、特に好ましくはMD方向速度比が7以上であり、ブローアップ比が2以上である。
また、ポリ乳酸系樹脂の溶融押出温度としては、通常100〜250℃の温度範囲が選ばれる。好ましくは130℃〜220℃の範囲であり、特に好ましくは140℃〜200℃の範囲である。
製膜後の最終的なフィルム厚みは、好ましくは5〜100μm以下であり、より好ましくは7〜50μmである。
【0016】
本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムを得るためには、製膜後に、使用したポリ乳酸系樹脂のガラス転移温度以上で融点以下の温度範囲内でフィルムを熱処理することで寸法安定性を向上させる事が好ましい。その方法としては、製膜後に内部に気体を密封して圧力を保持してフィルムを緊張状態にして外部より熱風等で加熱、熱処理する方法、または一旦フラットフィルムに切り出した後にクリップで両端を把持した状態で熱処理ゾーンを通過させる方法、または熱ロールに接触させて熱処理する方法がある。好ましい熱処理条件としては、フィルムのガラス転移温度以上で融点以下の温度範囲で、1秒以上熱処理する方法であり、特に好ましくは65℃以上、融点以下の温度範囲で2秒以上熱処理する方法である。熱収縮率を下げる目的で、TD方向、及び/又はMD方向に張力を緩和させて熱処理することも熱収縮率を低下させるのに有効である。
【0017】
上記の方法で得られる本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは、ASTM D882に従って測定した引張破断強度が30MPa以上で、且つ引張破断伸びが20%以上あることが必要である。これらの値がどちらかでも下回るようでは、フィルムとしての機械的物性に劣り、ロール状からの巻き出し、巻き取り、スリット、他のフィルムとのラミなどの際の取り扱いが難しくなる。好ましくは引張破断強度が40MPa以上であり、且つ引張破断伸びが100%以上ある。
【0018】
また、本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは、80℃、30分加熱時の熱収縮率が10%以下であり、且つ80℃における最大熱収縮応力が0.3MPa以下であることが好ましい。80℃、30分加熱時の熱収縮率が10%を超えるか、80℃における最大熱収縮応力が0.3MPaを超えるフィルムはシーラントフィルムとして他の生分解性フィルムにラミされる場合に収縮してシワなどを生じやすい。特に好ましくは80℃、30分加熱時の熱収縮率が6%以下であり、且つ80℃における最大熱収縮応力が0.2MPa以下のフィルムである。
加えて、本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは、ASTM−F1921−98に準拠したヒートシール部位25.4mm幅当りのホットタック強度のピーク値が5N以上であることが好ましい。ホットタック強度のピーク値が5N未満ではヒートシール強度が不足して、シーラントフィルムとしての機能を果たせない。特に好ましくはホットタック強度のピーク値が10N以上のフィルムである。
【0019】
本発明の生分解性フィルムは、用途によっては帯電防止剤、滑り剤およびブロッキング防止剤などのコーティングを行って使用されることが好ましい。この場合、ポリ乳酸系樹脂フィルムは、 ポリオレフィン系樹脂フィルムやポリスチレン系樹脂フィルムに比べて親水性であるが、帯電防止剤、滑り剤およびブロッキング防止剤などを、本発明のポリ乳酸系樹フィルム表面に均一に塗布するためには、塗布面となるフィルム表面をコロナ処理によりさらに親水化処理することが好ましい。この親水化処理によって、塗膜の均一性が向上し、帯電防止性や滑り性が効率的に発揮される。その際の表面張力としては、400μN/cm〜600μN/cmの範囲が好ましい。
本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは、インフレーション法で製膜された生分解性を有するフィルムで、必要とする機械的強度を有し且つ熱融着性、寸法安定性に優れたポリ乳酸系樹脂フィルムであるので、生分解性の包装用フィルムのシーラントフィルム、接着層フィルムとして有効である。
【0020】
【発明の実施の形態】
実施例および比較例によって本発明を説明する。
実施例および比較例で用いた評価方法について以下に説明する。
(1)ポリ乳酸重合体のD、L乳酸組成、光学純度
ポリ乳酸重合体の光学純度は、前述の通りポリ乳酸重合体を構成するL−乳酸及び/又はD−乳酸単量体単位の構成比率から下記式により計算される。
光学純度(%)=|[L]−[D]| ,但し、[L]+[D]=100
(|[L]−[D]|は[L]−[D]の絶対値を表す。)
ポリ乳酸重合体を構成するL−乳酸及び/又はD−乳酸単量体単位の構成比率は、試料を1N−NaOHでアルカリ分解後に1N−HClで中和して蒸留水で濃度調整した加水分解試料(液)について、光学異性体分離カラムを装着した島津製作所製の高速液体クロマトグラフィー(HPLC:LC−10A−VP)にて、紫外線UV254nmでのL−乳酸とD−乳酸の検出ピーク面積比(垂線法による面積測定)から、ポリ乳酸重合体を構成するL−乳酸の重量比率[L](単位%)、ポリ乳酸重合体を構成するD−乳酸の重量比率[D](単位%)を求め、1重合体当り3点の算術平均(四捨五入)をもって測定値とした。
【0021】
(2)ポリ乳酸重合体の重量平均分子量Mw
東ソー製のゲルパーミエイションクロマトグラフィー装置(GPC:データ処理部GPC−8020、検出器RI−8020)を用いて、以下の測定条件で、標準ポリスチレンを用いてポリスチレン換算して重量平均分子量Mwを求め、1重合体当り3点の算術平均(四捨五入)をもって測定値とした。
カラム:昭和電工製Shodex K −805とK −801の連結カラム[7.8mm経×60cm長]
溶離液:クロロホルム
試料溶液濃度:0.2wt/vol%
試料溶液注入量:200μL
溶媒流速:1ml/分
カラム・検出器温度:40℃
【0022】
(3)ガラス転移点(Tg)、融点(Tm)
JIS−K7121及びJIS−K7122に準拠して、示差走査熱量計(DSC)で0℃から200℃まで昇温して、Tg、Tmを測定した。すなわち、標準状態(23℃65%RH)で状態調節(23℃1週間放置)したサンプルから約10mgを切り出した後、パーキンエルマー(Perkin−Elmer)社製の示差走査熱量計(熱流速型DSC)、DSC−7型を用いて、窒素ガス流量25ml/分、10℃/分で0℃から200℃まで昇温し、描かれるDSC曲線の昇温時の融解(吸熱)ピーク頂点から融点Tm(℃)、昇温時の階段状変化部分曲線と各ベースライン延長線から縦軸方向に等距離にある直線との交点(中間点ガラス転移温度)をTg(単位℃)として測定し、1製品当り4点の算術平均(四捨五入)をもって測定値とした。
【0023】
(4)MD方向速度比、ブローアップ比(倍)
MD方向速度比、ブローアップ比は、以下の式で求めた。
MD方向速度比=(バブル形成し冷却後のフィルムをピンチロールで巻き取る速度)÷(押出量とダイリップ開口部面積から計算で求めたダイ出口で溶融樹
脂の流れ出るMD方向の速度)
ブローアップ比=(最終的に得られたチューブ状フィルムを切り開きフラット状にした時のフィルムの全幅)÷(外側ダイリップ周長と内側ダイリップ周長
との平均値)
【0024】
(5)面配向度ΔP
王子計測機器(株)社製自動複屈折計KOBRA−21ADHを用いて、「材料」Vol.43, No.495, pp.1520-1524, Dec. 1994 に記載の論文に従いフィルム状サンプルの3主軸方向に関する複屈折Δx、Δy、Δz(図1参照)を求め、Δx=γ−β、Δy=γ−α、Δz=α−β(γ≧β、αはフィルムの厚さ方向の屈折率)の関係より面配向度ΔPを下記の式から求めた。
ΔP={(γ+β)/2}−α
=(Δy−Δz)/2
(6)引張破断強度(MPa)、 引張破断伸び(%)
フィルムの引張破断強度、 引張破断伸びはASTM D882に従って測定した。
【0025】
(7)熱融着性
標準状態(23℃65%RH)で状態調節(23℃1週間放置)したフィルムサンプルから試験片として長手方向(MD)に250mm長×25.4mm幅(=1inch幅)の短冊状フィルムを3点切り出した後、ASTM−F1921−98に準拠してTheller社製のホットタック測定器を用いて、ダイの開放後1000mS(=1秒)までの間に観測されるピーク強度であるホットタック強度(HT強度:単位N/1inch幅)を以下のシール条件で測定した。
上部ダイ形状:60度V字型(先端断面R=1mmの半丸状×5.25inch長)金属製ダイ
下部ダイ形状:平型(0.5inch幅×5.25inch長)ゴムライニングダイ
シール面寸法:1inch×1mm
シール温度:(上部ダイ温度)110℃、(下部ダイ温度)25℃
シール時間:1000mS
シール圧力:13±1MPa
【0026】
フィルムの熱融着性は、フィルムが巻物状原反フィルムの状態から包装機械又は製袋機にて連続して包装体やバッグ等にヒートシール加工される場合に、被包装物がシール部より破出したりシール部が部分的に剥離(又は破断)しない連続ヒートシール安定性の観点から、包装機械や製袋機における高速ヒートシール強度に相当するホットタック強度(HT強度:ピーク強度、単位N/1inchW)により、以下のように評価した。
◎:ホットタック強度が10N/1inch幅以上で、十分な強度があり、被包装体の破出やシール線破れが全くなく、非常に良好である。
○:ホットタック強度が5N/1inch幅以上で、実用上問題ないレベルで被包装体の破出やシール線破れがない。
×:ホットタック強度が5N/1inch幅未満でシール部が剥離(破断)し、被包装物が破出する場合がある。
【0027】
(8)熱収縮率(%)
フィルムサンプルから1辺がフィルムのMD方向に平行になる様に150mm角の試験片を切り出し、1辺がMD方向に平行になる様に100mm角の正方形を描き、その中に更に10mm間隔でMD方向、TD方向に平行に各9本の直線を引き、10mm角の升目を描いた試験片を作成し、それを80℃に設定した熱風乾燥機中に30分間保持してフィルムを自由収縮させた。熱収縮率は、MD方向、TD方向に引いた11本の線の寸法より次式を使って求め、MD方向、TD方向それぞれの平均値を求めて熱収縮率とした。
熱収縮率(%)=[ (加熱収縮前の線の寸法)−(加熱収縮後の線の寸法)] /(加熱収縮前の線の寸法)×100
【0028】
(9)最大熱収縮応力(MPa)
ASTM D2838に準拠して測定し、温度が80℃の時の最大収縮応力の値を用いた。
以下の実施例および比較例に用いたポリ乳酸系樹脂は、特開平9−31171号公報、特表平4−504731号公報および特表平6−504799号公報に記載された方法に従い重合して得られたものであり、表1に示した重量平均分子量、光学純度をもつ結晶性ポリ乳酸(a)、(b)および非晶性ポリ乳酸(c)である。ただし、本発明におけるポリ乳酸系樹脂の組成がこれに限定されるものではない。
【0029】
【実施例1〜5】及び
【比較例1】
実施例1〜5及び比較例1においては、表1の結晶性ポリ乳酸(a)、(b)および非晶性ポリ乳酸(c)のペレットを表2の組成にドライブレンドした後、同方向2軸押出機を用いて溶融ブレンドし、樹脂温度190℃で溶融樹脂を外側ダイリップ直径を110ミリで固定し、内側ダイリップ直径108.8ミリから109.2ミリの範囲で製膜条件に合わせて最終フィルム厚みが20μmとなる様に選択して、リップクリアランス0.4から0.6ミリの円筒ダイより押出し、チューブ状に押出された溶融樹脂に冷却リングより約25℃のエアーを吹き付けながらチューブ内へエアーを注入してバブルを形成し、得られたフィルムをピンチロールへ導きチューブ状のフィルムをフラット状2枚のフィルムとして巻き取りロールで巻き取った。次に、バブルが安定してから、樹脂押出速度、バブル中へのエアー注入量、ピンチロールにおけるフィルム巻き取り速度を微調整した後にピンチロールで巻き取り、最終厚みが20μmのフィルムを得た。ただし、比較例1においては薄いフィルムは得られず、350μmのシートを得て物性評価に使用した。実施例1〜5で得られたフィルム、および比較例1で得られたシートの物性評価結果を表2に示した。
なお、比較例1のシートは実施例1〜5のフィルムより厚いため、薄い場合に比べて熱の伝わり方が悪く、正確な熱融着性(ホットタック強度)のデータが得られないことから、熱の熱融着性(ホットタック強度)の測定は行わなかった。
【0030】
【比較例2】
比較例2においては、表1のポリ乳酸(a)を用いて、190℃に加熱して圧縮成形法により50μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表2に示した。
なお、比較例2のフィルムは実施例1〜5のフィルムより厚いため、比較例1と同じ理由で熱融着性(ホットタック強度)の測定は行わなかった。
【0031】
【比較例3,4】
比較例3、4では、表1に示したポリ乳酸(b)を使用して、上記の二軸押出機を用いて円筒ダイの代わりにTダイを用いて、樹脂温度190℃で押出し、35℃に温調したキャスティングロールにて急冷し、実質的に非晶質のシートを得た。続いて、 得られたシートを75℃に加熱して表2に示した延伸倍率にMD方向にロール延伸し、次いでテンターで延伸温度80℃にて表2に示した延伸倍率にTD方向に延伸した。その後フィルムを室温まで冷却することで、厚さ20μmのテンター法によるポリ乳酸系樹脂の二軸延伸フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表2に示した。
表2より、インフレ法で得られた本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは、面配向度ΔPが0.0005〜0.010の範囲内で、引張破断強度が30MPa以上、 引張破断伸び20%以上で包装用フィルムのシーラントフィルム、接着層フィルムとしての機械的強度を有し且つ熱融着性、寸法安定性に優れたポリ乳酸系樹脂フィルムであることが分かる。
【0032】
【表1】
Figure 0003739311
【0033】
【表2】
Figure 0003739311
【0034】
【発明の効果】
本発明のポリ乳酸系樹脂フィルムは、インフレーション法で製膜されたフィルムであり、ポリ乳酸系樹脂を主体(50重量%以上)とするフィルムであるので生分解性を有し、包装用フィルムのシーラントフィルム、接着層フィルムとしての機械的強度を有し且つ熱融着性、寸法安定性に優れたポリ乳酸系樹脂フィルムである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フィルム状サンプルの3主軸方向に関する複屈折Δx、Δy、Δzを説明する概略図である。

Claims (4)

  1. インフレーション法で製膜された主としてポリ乳酸系樹脂からなるフィルムにおいて、面配向度ΔPが0.0005以上0.010以下で、且つASTM D882に従って測定した引張破断強度が30MPa以上、引張破断伸びが20%以上であることを特徴とする生分解性フィルム。
  2. 面配向度ΔPが0.0005以上0.0050以下であることを特徴とする請求項1に記載の生分解性フィルム。
  3. 80℃、30分加熱時の熱収縮率が10%以下で、且つ80℃における最大熱収縮応力が0.3MPa以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生分解性フィルム。
  4. ASTM−F1921−98に準拠したヒートシール部位25.4mm幅当りのホットタック強度のピーク値が5N以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生分解性フィルム。
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