JP2012211250A - 熱伝導性ゴム組成物及び熱伝導性成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】極性ゴムを主成分とするベースゴム100質量部に対して、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種のフィラーを900質量部以上2000質量部以下含み、更にチタネート系カップリング剤またはシラン系カップリング剤を0.2〜2質量%含むことを特徴とする熱伝導性ゴム組成物である。
【選択図】なし
Description
(1)極性ゴムを主成分とするベースゴム100質量部に対して、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種のフィラーを900質量部以上2000質量部以下含み、更にチタネート系カップリング剤またはシラン系カップリング剤を0.2〜2質量%含むことを特徴とする熱伝導性ゴム組成物。
(2)前記極性ゴムが、アクリルゴムまたはニトリルゴムであることを特徴とする(1)に記載の熱伝導性ゴム組成物。
(3)前記ベースゴムが、熱可塑性エラストマーを含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の熱伝導性ゴム組成物。
(4)さらに、前記ベースゴム100質量部に対して、オイル30〜100質量部を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の熱伝導性ゴム組成物。
(5)前記オイルがポリエーテルエステル系オイルまたはパラフィン系オイルであって、前記ベースゴム100質量部に対して、前記ポリエーテルエステル系オイル30〜70質量部を含むことを特徴とする(4)に記載の熱伝導性ゴム組成物。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の熱伝導性ゴム組成物を成形してなることを特徴とする熱伝導性成形体。
ベースゴムは、極性ゴムを主成分とする。極性ゴムとは非極性であるオレフィン系ゴムより極性の高いゴムを指す。極性ゴムとしては、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴムが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を任意の比率及び組合せで用いることができる。また、主成分とするとは、ベースゴムのうち、50質量%以上が前記極性ゴムであることを意味し、より好ましくは、70質量%以上が前記極性ゴムである。
アクリルゴムは、単量体成分としてのアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルと、各種官能基を有する単量体とを少量共重合させて得られるゴム弾性体であり、高い耐熱性を有する。具体的には、アクリルゴムとして、Nipol(登録商標) AR(商品名、日本ゼオン製)、JSR AR(商品名、JSR製)、トアアクロン(登録商標) AR(商品名、トウペ製)等を使用することができる。また、共重合させる単量体としては、2−クロルエチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、アクリル酸、アクリロニトリル、ブタジエン等を適宜使用することができる。
ニトリルゴムは、アクリロニトリルと炭素数4〜8の共役ジエンとの共重合体であり、共役ジエンはブタジエンが好ましい。具体的には、クライナック(商品名、ランクセス製)などを使用することができる。
ベースゴムに、熱可塑性エラストマーを添加することもできる。熱可塑性エラストマーは、ビニル芳香族化合物をその構成成分の主体とした少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物をその構成成分の主体とした少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体又はこれを水素添加して得られるもの、あるいはこれらの混合物である。
上記熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマーが挙げられ、具体例としては、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレンブロックコポリマー)、SIS(スチレン・イソプレン・スチレンブロックコポリマー)、SEBS(水素化SBS)、SEPS(水素化SIS)、SEEPS(スチレン・エチレン・エチレンプロピレン・スチレンブロックコポリマー)等を挙げることができる。
本発明にかかる熱伝導性ゴム組成物は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種のフィラーを含む。
カップリング剤はポリマーとフィラーの結合を強くする働きをするものであるが、本チタネート系カップリング剤またはシラン系カップリング剤は極性樹脂とフィラー高充填の系において、少量配合する事でコンパウンドの硬さを大きく低下させる事が出来ることを発見した。ベースゴムに対してフィラーを添加し、さらに必要に応じてオイルを加えた後のゴム組成物に対して、これらカップリング剤を0.2〜2.0質量%加えることが好ましい。0.2質量%未満では、硬度の低下の十分な効果がなく、2質量%を超えると、ロールでの加工性が悪化する。
本発明で使用されるチタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等を用いることができる。
本発明で使用されるシラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシラン、メチルトリエトキシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、N−〔β−(N−ビニルベンザルアミノ)エチル〕−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等を挙げることができる。
なお、上記の実施の形態に係る熱伝導性ゴム組成物に対して、柔らかさを向上させるために軟化剤を配合してもよい。軟化剤としては、ベースゴムに対して相溶性に優れたオイルが適用できる。たとえば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリエーテルエステル系、トリメリット酸系オイルからなる群から選ばれた少なくとも1種からなる軟化剤Aと、パラフィン系オイルからなる軟化剤Bとを配合したオイルである。
以上のように、本実施の形態に係る熱伝導性ゴム組成物は、高い熱伝導性を発揮できるので放熱性が高くなり、その上硬度が適度に小さく適度な柔らかさを有するので、凹凸や段差のある面に対しても高い密着性を有し、さらには良好な成形性をも確保できるものとなる。
つぎに、本発明のその他の実施の形態としての熱伝導性成形体について説明する。本実施の形態に係る熱伝導性成形体は、上記実施の形態に係る熱伝導性ゴム組成物、またはこれに上記軟化剤を配合したものを、常法により所望の形状に成形して作製したものである。本実施の形態に係る熱伝導性成形体の形状は、シート状の他にテープ状、ブロック状、型成形品などであるが、その用途に応じて適宜選択され、特に限定はされない。また、本発明のさらに他の実施の形態に係る熱伝導性成形体としては、上記実施の形態に係る熱伝導性ゴム組成物を金属シートの両面に被覆した成形体(シートなど)や、この熱伝導性ゴム組成物の少なくとも片面に粘着剤を塗布したものでもよい。上記した熱伝導性成形体のうちシート状にしたものは、熱伝導性シートとして、被冷却部品とヒートシンクとの間に介在させるものとして好適である。
TTS)またはシラン系カップリング剤(日本ユニカー製A-172)を所定の質量部、さらに軟化剤として、ポリエーテルエステル系オイルであるオイルA(ADEKA製、商品名アデカサイザー(登録商標)RS700)、パラフィン系オイルであるオイルB(出光興産製、商品名ダイアナ(登録商標)プロセスPW380)を所定の質量部だけ配合して、これらを混練して熱伝導性ゴム組成物を作製した。さらにこの熱伝導性ゴム組成物を押出機で厚さ6mmのシート状に押し出し熱伝導性成形体とした(実施例、比較例)。
ロール加工性は、コンパウンドをロールに投入し、板取りする際の作業性により評価した。○は、ロールを回転させながら板取りが問題なくできたことを意味し、△は、ロールを止めないと板取りが出来ない状態を意味し、×はロールから剥がれず板取りが出来なかった状態を意味する
熱伝導率はJIS R2616に規定する熱線法に準拠し、京都電子工業製の迅速熱伝導率計により、各実施例、比較例に係る熱伝導性成形体を2枚重ねとして厚さ12mmの状態で測定した。なお、熱伝導率としては、各種電子・電気機器に搭載されている半導体素子等の冷却用としての実用性能面からは、1.5W/mK以上が好ましい。
また、硬度はJIS K7312に準拠し高分子計器製のアスカーC型硬度計を用いて0秒値及び15秒値を測定した。熱伝導性シートは放熱性能発揮のためには被冷却部品とヒートシンクとの間に密着させて使用する必要があるため軟らかいものが好ましく、硬度として実用性能面からは、15秒値で60以下が好ましい。
カップリング剤添加による硬度低下効果として、15秒値で、同一配合比較例のものと比較し、5%以上低下したものを効果有とした。同一配合とはオイルとカップリング剤以外の配合を同一とし、比較例はこれにオイルを配合し、実施例はカップリング剤とオイルを配合したもので、カップリング剤とオイルの合計量は同一配合比較例のオイル量と同一である。なお、各実施例、比較例の番号は関連させている。
Claims (6)
- 極性ゴムを主成分とするベースゴム100質量部に対して、
酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムからなる群から選ばれた少なくとも1種のフィラーを900質量部以上2000質量部以下含み、
更にチタネート系カップリング剤またはシラン系カップリング剤を0.2〜2質量%含むことを特徴とする熱伝導性ゴム組成物。 - 前記極性ゴムが、アクリルゴムまたはニトリルゴムであることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性ゴム組成物。
- 前記ベースゴムが、熱可塑性エラストマーを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の熱伝導性ゴム組成物。
- さらに、前記ベースゴム100質量部に対して、オイル30〜100質量部を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱伝導性ゴム組成物。
- 前記オイルがポリエーテルエステル系オイルまたはパラフィン系オイルであって、
前記ベースゴム100質量部に対して、前記ポリエーテルエステル系オイル30〜70質量部を含むことを特徴とする請求項4に記載の熱伝導性ゴム組成物。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱伝導性ゴム組成物を成形してなることを特徴とする熱伝導性成形体。
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