JP2001310984A - 熱伝導性成形体 - Google Patents
熱伝導性成形体Info
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Abstract
を併せ持ったエラストマー組成物の成形体を提供する。 【解決手段】 熱可塑性エラストマー、又はアクリルゴ
ムを90質量%以下の量含有し残部が熱可塑性エラスト
マーであるベース樹脂100質量部に対し、酸化アルミ
ニウム、酸化マグネシウム、チッ化ホウ素及びチッ化ア
ルミニウムからなる群から選ばれたすくなくとも1種2
00〜700質量部、軟磁性体粉末400〜900質量
部を含有する熱伝導性エラストマー組成物を成形してな
る熱伝導性成形体。
Description
に搭載される冷却が必要な電気部品等の冷却用のヒート
シンクの接続等に用いられる熱伝導性成形体に関する。
・電気機器に搭載されている半導体素子等の冷却の問題
は、近年、重要課題として注目されてきている。このよ
うな冷却が必要な半導体素子等の冷却方法として、それ
が搭載される機器筺体にファンを取り付け、その機器筺
体内の空気を冷却する方法や、その冷却すべき半導体素
子等に冷却体(ヒートシンク)を取り付けて冷却する方
法等が代表的である。冷却すべき半導体素子等(以下、
被冷却部品と呼ぶ)にヒートシンクを取り付ける場合、
その被冷却部品とヒートシンクとの間の熱的接続性が低
いと十分な冷却性能が得られない。通常、単に被冷却部
品にヒートシンクを接触させるだけでは、その部分の接
触抵抗が大き過ぎて十分な冷却が実現しにくい場合が多
い。被冷却部品とヒートシンクとを半田接合等により接
合すれば、これらを熱抵抗小さく接続することができ
る。しかしそれらの熱膨張率の相違等による熱的整合性
の問題が生ずることが多い。具体的には、ヒートシンク
としては、通常、熱伝導性に優れるアルミニウム材等が
好適に適用される場合が多いが、被冷却部品である半導
体素子はそれより大幅に熱膨張率が小さい場合が多く、
従ってヒートシンクと被冷却部品との接合部で整合性が
悪くなってしまう。こうなると、熱膨張率の大きな相違
による反りの発生や、接合部での剥離の発生等の問題が
生じることになる。
ゴムシート等の成形品を挟んで接触させる方法が有力視
されている。その材料としては、耐熱性が高くベース樹
脂に多様な粘度のものがあり、柔軟性に優れるという点
で、シリコーンゴムをベースとして、熱伝導性が高いフ
ィラーである酸化アルミニウムや窒化ホウ素等を混合さ
せたゴムシートを、被冷却部品とヒートシンクとの間に
介在させる方法が提案されている。
は放熱性能発揮のためには被冷却部品とヒートシンクと
の間に密着させて使用する必要があるが、シリコーンゴ
ムは長期にわたり密着させて使用した後でもゴムシート
はゴム弾性を有し、放熱性能の低下が少ないという点で
優れた材料である。しかし、シリコーンゴムはシロキサ
ンの発生により電気的な接点部分に悪影響を及ぼす(導
電性を阻害する)恐れがあり、この点の改良が望まれて
いた。さらに、電子機器の電磁波シールド対策は、最終
製品の筺体をシールド部材で電磁波遮蔽を行い輻射ノイ
ズを抑制することが行われてきた。しかし、近年、電気
機器から出される輻射ノイズ対策ばかりでなく、機内干
渉(機器内に閉じこめられた電磁波により機能障害を起
こす)の発生が増加しており、電磁波シールド性能を併
せ持った放熱部材の提供が望まれていた。
に鑑み鋭意検討を行ったところ、ベース樹脂として熱可
塑性エラストマーを必須成分とし必要によりアクリルゴ
ムを使用し所定量の、軟磁性体を配合することにより、
十分な放熱性能を長期にわたり発揮でき、その上電磁波
シールド性を有する熱伝導性成形体が得られることを見
いだし、この知見に基づき本発明をなすに至った。すな
わち、本発明は、(1)熱可塑性エラストマー、又はア
クリルゴムを90質量%以下の量含有し残部が熱可塑性
エラストマーであるベース樹脂100質量部に対し、酸
化アルミニウム、酸化マグネシウム、チッ化ホウ素及び
チッ化アルミニウムからなる群から選ばれたすくなくと
も1種200〜700質量部、軟磁性体粉末400〜9
00質量部を含有する熱伝導性エラストマー組成物を成
形してなることを特徴とする熱伝導性成形体、(2)ベ
ース樹脂が、熱可塑性エラストマー20〜70質量%、
アクリルゴム80〜30質量%を含有してなることを特
徴とする(1)項記載の熱伝導性成形体、及び(3)含
水珪酸マグネシウム質粘土鉱物を、前記ベース樹脂10
0質量部に対し20質量部以下の量含有する(1)又は
(2)項記載の熱伝導性成形体が提供される。
用いる熱伝導性エラストマー組成物を構成する成分につ
いて説明する。 (A)熱可塑性エラストマー 本発明において熱可塑性エラストマーは、ビニル芳香族
化合物をその構成成分の主体とした少なくとも2個の重
合体ブロックAと、共役ジエン化合物をその構成成分の
主体とした少なくとも1個の重合体ブロックBとからな
るブロック共重合体又はこれを水素添加して得られるも
の、あるいはこれらの混合物であり、例えば、A−B−
A、B−A−B−A、A−B−A−B−Aなどの構造を
有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック
共重合体、あるいはこれらの水素添加されたもの等を挙
げることができる。上記(水添)ブロック共重合体(以
下、(水添)ブロック共重合体とは、ブロック共重合体
及び/又は水添ブロック共重合体を意味する)は、ビニ
ル芳香族化合物を好ましくは5〜60質量%、より好ま
しくは、20〜50質量%含む。ビニル芳香族化合物を
その構成成分の主体とする重合体ブロックAは、好まし
くはビニル芳香族化合物のみから成るか、または50質
量%より多い、好ましくは70質量%以上のビニル芳香
族化合物と(水素添加された)共役ジエン化合物(以
下、(水素添加された)共役ジエン化合物とは、共役ジ
エン化合物及び/又は水素添加された共役ジエン化合物
を意味する)との共重合体ブロックである。
の構成成分の主体とする重合体ブロックBは、好ましく
は(水素添加された)共役ジエン化合物のみから成る
か、または50質量%より多い、好ましくは70質量%
以上の(水素添加された)共役ジエン化合物とビニル芳
香族化合物との共重合体ブロックである。これらのビニ
ル芳香族化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロ
ックA、(水素添加された)共役ジエン化合物をその構
成成分の主体とする重合体ブロックBのそれぞれにおい
て、分子鎖中のビニル芳香族化合物または(水素添加さ
れた)共役ジエン化合物由来の繰り返し単位の分布がラ
ンダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増
加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれら
の任意の組合せでなっていてもよい。ビニル芳香族化合
物をその構成成分の主体とする重合体ブロックA或いは
(水素添加された)共役ジエン化合物をその構成成分の
主体とする重合体ブロックBが2個以上ある場合には、
それぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよ
い。
ル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチル
スチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンな
どのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもス
チレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例
えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエ
ン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうち
から1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、
イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。共役ジエ
ン化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックB
におけるミクロ構造は任意に選ぶことができる。例えば
ポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構
造が好ましくは20〜50%、より好ましくは25〜4
5%であり、ブタジエンに基づく脂肪族二重結合の少な
くとも90%が水素添加されたものが特に好ましい。ポ
リイソプレンブロックにおいては、該イソプレン化合物
の70〜100質量%が1,4−ミクロ構造を有し、か
つ該イソプレン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なく
とも90%が水素添加されたものが好ましい。上記構造
を有する本発明に用いる(水添)ブロック共重合体の質
量平均分子量は好ましくは5,000〜1,500,0
00、より好ましくは10,000〜550,000、
さらに好ましくは100,000〜550,000、特
に好ましくは100,000〜400,000の範囲で
ある。分子量分布(質量平均分子量(Mw)と数平均分
子量(Mn)の比(Mw/Mn))は好ましくは10以
下、更に好ましくは5以下、より好ましくは2以下であ
る。(水添)ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、
分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれ
であってもよい。
方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的
な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報
に記載された方法により、リチウム触媒またはチーグラ
ー型触媒を用い、不活性溶媒中にてブロック重合させて
得ることができる。また、例えば、上記方法により得ら
れたブロック共重合体に、不活性溶媒中で水素添加触媒
の存在下にて水素添加することにより水添ブロック共重
合体が得られる。上記(水添)ブロック共重合体の具体
例としては、SBS(スチレン・ブタジエンブロックコ
ポリマー)、SIS(スチレン・イソプレンブロックコ
ポリマー)、SEBS(水素化SBS)、SEPS(水
素化SIS)等を挙げることができる。本発明におい
て、特に好ましい(水添)ブロック共重合体は、スチレ
ンをその構成成分の主体とする重合体ブロックAと、イ
ソプレンをその構成成分の主体としかつイソプレンの7
0〜100質量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつ該
イソプレンに基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%
が水素添加されたところの重合体ブロックBとからなる
質量平均分子量が50,000〜550,000の水添
ブロック共重合体である。更に好ましくは、イソプレン
の90〜100質量%が1,4−ミクロ構造を有する上
記水添ブロック共重合体である。ベース樹脂100質量
部中、熱可塑性エラストマー10〜100%、アクリル
ゴム0〜90%とされる。熱可塑性エラストマーは配合
量10質量部以上で弾性の発現に寄与する。アクリルゴ
ムは耐熱性、耐候性等ヘの寄与及び粘着性の付与等に寄
与する。
アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルと各種官能基
を有する単量体を少量共重合させて得られるゴム弾性体
であり、共重合させる単量体としては、2−クロルエチ
ルビニルエーテル、メチルビニルケトン、アクリル酸、
アクリロニトリル、ブタジエン等を適宜使用することが
できる。具体的には、Nipol AR(商品名、日本
ゼオン社製)、JSR AR(商品名、JSR社製)ト
アアクロン AR(商品名、トウペ製)等を使用するこ
とができる。特に単量体成分としてはアクリル酸メチル
を使用するのが好ましく、その場合には、エチレンとの
2元共重合体や、これにさらにカルボキシル基を側鎖に
有する不飽和炭化水素をモノマーとして共重合させた3
元共重合体を特に好適に使用することができる。具体的
には、2元共重合体の場合にはベイマックDやベイマッ
クDLSを、3元共重合体の場合にはベイマックG、ベ
イマックHG、ベイマックLS、ベイマックGLS(商
品名、いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)を使
用することができる。アクリルゴムはムーニー粘度(J
IS K 6300 ML1+4(100℃))で50
以下の低粘度のものが好ましい。これは硬いと熱的接触
が悪くなるためである。架橋剤としては、ジメチル・ジ
チオカルバミン酸亜鉛、ジメチル・ジチオカルバミン酸
鉄、アンモニウムベンゾエート、トリアジン、ジ‐n‐
ブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、イソシアネート、ブ
チル化メラミン等を適宜用いる。このアクリルゴムを使
用する場合はベース樹脂中の90質量%以下が好ましい
が、より好ましくは80〜30質量%、さらに好ましく
は80〜50質量%である。このアクリルゴムを用いる
ことにより耐熱性、耐候性、耐油性を向上させることが
できる。
ではなく、Znフェライトとの複合フェライト、例え
ば、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、N
i−Zn−Cuフェライト、更にFe−Al−Si系三
元合金,純鉄などの金属粉末等を挙げることができる。
軟磁性体の形状は特に限定されるものではなく、球状、
繊維状、不定形状等の所望の形状のものを用いることが
できる。そのうち、軟磁性体粉末はMn−Zn系ソフト
フェライト、Fe−Al−Si系三元合金または純鉄
(純度95%以上)のものを使用することが好ましい。
その理由は、電磁波吸収性能から来るものであり、周波
数帯100〜1000KHzにおける透磁率、磁性損が
比較的大きいからである。その粒径は特に限定されない
が、エラストマーとの相溶性、補強性、吸収性能等から
1〜100μm程度が好適である。
充填材との混合性を高め、均一な成形体を得るため、表
面をカップリング剤で処理することができる。このカッ
プリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシ
シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシ
シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス
(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシ
シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、γ−ユレイドプロピル
トリエトキシシラン、イソプロピルトリイソステアロイ
ルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロ
ホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミ
ノエチル-アミノエチル)チタネート、ビス(オクチル
パイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート、
テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタ
ネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)エチ
レンチタネート等を挙げることができる。カップリング
剤の使用量は、軟磁性体に対して約0.2〜10質量%
が好ましい。このような軟磁性体の配合量は、十分な電
磁波吸収性を付与し、良好な成形性を確保するため、ベ
ース樹脂100質量部に対して、400〜900質量部
が好ましい。さらに好ましくは500〜800質量部使
用することができる。その理由は少ないと電磁波吸収性
能が十分でなく、多過ぎると硬くなり熱伝導性に悪影響
となる為である。
は、熱伝導性を向上させるための成分として、酸化アル
ミニウム、酸化マグネシウム、チッ化ホウ素、チッ化ア
ルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種を配
合することができる。本発明において使用される酸化ア
ルミニウムとしては、従来から製造されている電融アル
ミナ、焼成アルミナおよび焼結アルミナが挙げられる。
このうち、非常に粒度の細かいものは充填時に粘度が上
昇し、充填しにくく、一方、粒度が比較的大きなものを
使用すれば、エラストマー材との親和性がわるくなるた
め、粒径が0.5〜100μmの範囲のものが好まし
い。本発明において使用される酸化マグネシウムとして
は、疎水化された酸化マグネシウム粉末を用いる。通
常、酸化マグネシウム粉末は吸湿性が極めて高く、その
ため特に高温高湿下では吸湿してボロボロになりやすい
という欠点がある.本発明ではこの為疎水化された酸化
マグネシウム粉末を用いる。具体的には、特開平6−1
71928号公報に記載された高耐水和性、高流動性酸
化マグネシウム粉末が好適に適用できる。チッ化ホウ素
については通常市販されている1〜200μm粒径のも
のが使用できる。チッ化ホウ素は熱伝導性が高いが、配
合量が多いとコンパウンドが硬くなる点及び非常に高価
である点から主にブレンドして用いる。チッ化アルミニ
ウムについてもチッ化ホウ素とほぼ同様の使い方をす
る。 このような熱伝導性無機充填材の配合量は、十分
な熱伝導性を付与し、良好な成形性を確保するため、ベ
ース樹脂100質量部に対し、200〜700質量部配
合することが好ましい。さらに好ましくは、300〜5
00質量部である。
(水沢化学工業(株)製、商品名エードプラス70DS
−NV)を配合することにより、成形体の耐熱性を向上
することができる。含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物は
繊維状で、レンガを交互に積み重ねたような結晶構造で
大きな表面積を有するものである。このような構造であ
る含水桂酸マグネシウム質粘土鉱物をエラストマーに配
合することで、絡み合いが強くなり耐熱性の向上に大き
く寄与するものと考えられる。その配合量はベース樹脂
100質量部に対し20部以下が好適である。配合量が
増すと耐熱性が向上していくが、20部を過ぎると変わ
らなくなり、逆に硬くなり、熱伝導性に悪影響となる。
性エラストマー組成物を所望の形状に、常法により成形
して作成できる。その形状は、シート状の他にテープ
状、ブロック状、型成形品などである。また成形体は前
記の熱伝導性エラストマー組成物を金属シートの両面に
被覆した成形体(シートなど)でもよい。さらに少なく
とも片面に粘着剤を塗布したものでもよい。上記した熱
伝導性成形体のうちシート状にした熱伝導性シートは被
冷却部品とヒートシンクとの間に介在させるものとして
好適である。
明する。下記表1に示すベースの組成とフィラーその他
を表1に記す質量部で混練した。 (実施例No.1〜3および比較例No.1、2)表1
に示すエラストマー組成とフィラーとをニーダーで混線
し、それをオープンロールでシート状に成形し、更に1
80℃×10分間の加熱プレスを施して、厚さ1mm厚
の熱伝導性シートを得た。
抗を測定した。通常よく用いられる半導体素子の発熱量
は5〜6W程度であるが、更に発熱量増大の傾向にある
ことから、ここでは、仮に発生熱量が2倍の12Wの被
冷却部品(半導体素子等)を想定し、これを熱伝導性エ
ラストマーシートを挟んで接続した場合を考えることに
した。この条件をもとに10mm×32.5mm×3
2.5mmの2枚のアルミニウム板の間に、25mm×
25mmの熱伝導性エラストマーシートを挟み、四隅を
0.3Nmで締め付けた試料を用意し、その上部に熱伝
導性グリスを介してヒーター、下部に熱伝導性グリスを
介してヒートシンクを熱的に接続した。ここで、ヒータ
ーに12Wの熱をかけ、上のアルミ板と下のアルミ板の
温度を熱電対で測定し、10分後の温度を記録し、その
温度差ΔTを求めた。次に、透磁率、磁性損をHewl
ett Pacard社製RFインピーダンス/マテリ
アルアナライザーにより、測定した。また硬度を高分子
計器(株)製のアスカーC型硬度計を用いて測定した。
結果を表2に記す。更に、同様に成形した1mm(厚
さ)×25mm(幅)×50mm(長さ)の熱伝導性エ
ラストマーシートについて耐熱性の評価を行った。その
長手方向の一端を保持し、80℃と120℃のオーブン
の中にそれぞれ吊るして、96時間経過後のシートの破
断の発生状況を目視で確認した。破断が認められなかっ
た場合を○、認められた場合を×として結果を表2に併
記する。
3、4)表1の示すエラストマー組成とフィラーを混練
し、それをオープンロールでシート状に成形した後の加
熱プレス処理において、90℃×5分間の条件で行った
点以外は実施例No.1〜3、比較例No.1、2の場
合と同様にして、熱伝導性エラストマーシートを作製
し、それらの熱抵抗、透磁率、磁性損、硬度、耐熱性の
評価を行った。以上の結果を表2に記す。
チレンプロピレンゴムをベースにフェライト及び酸化マ
グネシウム粒子を混合した例である。成形は加熱プレス
処理を160℃×15分とした以外は上記と同様であ
る。これについても上記同様の評価を行った。
サイズは、例えば25mm×25mm程度のものが代表
例の一つである。ここで熱特性としては被冷却部品の温
度上昇(△T)10℃以下が1つの目安といえる。電磁
波吸収性としては、必要とする周波数帯において論議す
るべきものであるが、ここでは比較的使用範囲の多い1
00MHz〜1GHzを基準とし、経験的に透磁率は10
0MHzで3.0以上、1GHzで2.5以上、磁性損は
100MHzで0.35以上、1GHzで1.5以上を目
安とした。弾性度は圧縮解放後の復元性能を評価したも
ので、圧縮試験機(オートグラフ)を用いて1mm厚のシ
ートを25%圧縮し、その直後の応力に対する10分後の
応力の保持率(%)で表したものである。表2の結果に
より次のことが分かる。
エラストマーベースで、混合する軟磁性体粉末としてM
n-Fe系フェライト(戸田工業製)、熱伝導性無機充填
剤として酸化マグネシウム粉末(協和化学工業製)を用い
た場合である。やや硬いが、熱特性、透磁率、磁性損と
もバランスが取れている。実施例No.2はNo.1と
同様であるが、軟磁性体粉末としてフェライトの1部を
純鉄に置換えたものである。熱特性、透磁率、磁性損と
もに良好であり、好適な例である。実施例No.3はN
o.1と同様であるが、アクリルゴムの1部を軟らかい
PS200に置換えたものであり、硬度を低めにした例
である。実施例の中でNo.1〜3はアクリルゴムによ
る加硫を採用したものであり、機械的な強靭さがあり、
耐熱性、耐候性、耐油性等に優れ、実用上も特に有用で
ある。実施例No.4はアクリルゴム/熱可塑性エラス
トマーベース非架橋タイプでNo.1と同様の軟磁性
体、熱伝導性充填剤を用いている。架橋していないが、
熱可塑性エラストマーの効果で弾性度は良好であり、熱
特性、透磁率、磁性損ともにNo.1と同様にバランス
が取れている。実施例No.5はNo.4と同様である
が、軟磁性体粉末としてフェライトの1部をFe−Al
−Si三元合金に置換えたものである。熱特性、透磁
率、磁性損ともに良好であり、好適な例である。実施例
No.6はNo.4と同様であるが、熱伝導性充填剤酸
化マグネシウムの1部を窒化ホウ素に置換えたものであ
る。熱特性が良好となっている。
が、軟磁性体粉末としてフェライトの1部を純鉄に置換
えたものである。熱特性、透磁率、磁性損ともに良好で
あり、好適な例である。実施例No.8は熱可塑性エラ
ストマーの多い配合であり、弾性度が良好な例である。
実施例No.9はNo.8と同様であるが、軟磁性体粉
末フェライトの配合量を650部から450部へ減量し
熱伝導性充填剤酸化マグネシウムを400部から600
部へ増量したものである。透磁率、磁性損は、やや低め
であるが熱特性は良好である。実施例No.10はN
o.8と同様であるが、軟磁性体粉末フェライトの配合
量を650部から800部へ増量し熱伝導性充填剤酸化
マグネシウムを400部から250部へ減量したもので
ある。熱特性はやや低めであるが透磁率、磁性損は、良
好である。実施例No.11は熱可塑性エラストマーベ
ースの例である。非加硫タイプであるが弾性率が良好で
ある。
であるが、軟磁性体粉末フェライトの配合量が300部
と少なくしたものである。透磁率、磁性損が低過ぎ良好
とは言えない。比較例2は軟磁性体粉末フェライトの配
合量を増量したものである。透磁率、磁性損は高くなっ
たが、硬くなりすぎて熱特性が悪いまた、耐熱性評価で
亀裂が発生した。比較例3はアクリルゴムベースである
が、熱伝導性充填剤酸化マグネシウムを減量したもので
ある。熱特性が悪くなっている。また熱可塑性エラスト
マーがなく弾性度も低い。比較例4は実施例No.4と
同様であるが、熱伝導性充填剤酸化マグネシウムを増量
したものである。硬度が上がり、耐熱性評価で亀裂が発
生した。比較例5はベースポリマーにエチレンプロピレ
ンゴムを用いた例であるが、硬度が上がり、熱特性が悪
くなった。
マー組成物を成形してなる電磁波吸収性に優れた本発明
の熱伝導性成形体(例えばシート)は、半導体素子等の
被冷却部品やヒートシンクとの熱的接合により優れた冷
却性能を実現させることが出来、かつ、電磁波シールド
性能を併せ持った放熱部材として優れた作用効果を奏す
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 熱可塑性エラストマー、又はアクリルゴ
ムを90質量%以下の量含有し残部が熱可塑性エラスト
マーであるベース樹脂100質量部に対し、酸化アルミ
ニウム、酸化マグネシウム、チッ化ホウ素及びチッ化ア
ルミニウムからなる群から選ばれたすくなくとも1種2
00〜700質量部、軟磁性体粉末400〜900質量
部を含有する熱伝導性エラストマー組成物を成形してな
ることを特徴とする熱伝導性成形体。 - 【請求項2】 ベース樹脂が、熱可塑性エラストマー2
0〜70質量%、アクリルゴム80〜30質量%を含有
してなることを特徴とする請求項1記載の熱伝導性成形
体。 - 【請求項3】 含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物を、前
記ベース樹脂100質量部に対し20質量部以下の量含
有する請求項1又は2記載の熱伝導性成形体。
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