JP4369594B2 - 熱伝導性成形体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種電子・電気機器に搭載される冷却が必要な電気部品等の冷却用のヒートシンクの接続等に用いられる熱伝導性成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピューター等に代表される各種電子・電気機器に搭載されている半導体素子等の冷却の問題は、近年、重要課題として注目されてきている。このような冷却が必要な半導体素子等の冷却方法として、それが搭載される機器筺体にファンを取り付け、その機器筺体内の空気を冷却する方法や、その冷却すべき半導体素子等に冷却体(ヒートシンク)を取り付けて冷却する方法等が代表的である。
冷却すべき半導体素子等(以下、被冷却部品と呼ぶ)にヒートシンクを取り付ける場合、その被冷却部品とヒートシンクとの間の熱的接続性が低いと十分な冷却性能が得られない。通常、単に被冷却部品にヒートシンクを接触させるだけでは、その部分の接触抵抗が大き過ぎて十分な冷却が実現しにくい場合が多い。
被冷却部品とヒートシンクとを半田接合等により接合すれば、これらを熱抵抗小さく接続することができる。しかしそれらの熱膨張率の相違等による熱的整合性の問題が生ずることが多い。具体的には、ヒートシンクとしては、通常、熱伝導性に優れるアルミニウム材等が好適に適用される場合が多いが、被冷却部品である半導体素子はそれより大幅に熱膨張率が小さい場合が多く、従ってヒートシンクと被冷却部品との接合部で整合性が悪くなってしまう。こうなると、熱膨張率の大きな相違による反りの発生や、接合部での剥離の発生等の問題が生じることになる。
【0003】
そこで被冷却部品とヒートシンクとの間にゴムシート等の成形品を挟んで接触させる方法が有力視されている。その材料としては、耐熱性が高くベース樹脂に多様な粘度のものがあり、柔軟性に優れるという点で、シリコーンゴムをベースとして、熱伝導性が高いフィラーである酸化アルミニウムや窒化ホウ素等を混合させたゴムシートを、被冷却部品とヒートシンクとの間に介在させる方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
また、上記ゴムシートは放熱性能発揮のためには被冷却部品とヒートシンクとの間に密着させて使用する必要があるが、シリコーンゴムは長期にわたり密着させて使用した後でもゴムシートはゴム弾性を有し、放熱性能の低下が少ないという点で優れた材料である。しかし、シリコーンゴムはシロキサンの発生により電気的な接点部分に悪影響を及ぼす(導電性を阻害する)恐れがあり、この点の改良が望まれていた。
さらに、電子機器の電磁波シールド対策は、最終製品の筺体をシールド部材で電磁波遮蔽を行い輻射ノイズを抑制することが行われてきた。しかし、近年、電気機器から出される輻射ノイズ対策ばかりでなく、機内干渉(機器内に閉じこめられた電磁波により機能障害を起こす)の発生が増加しており、電磁波シールド性能を併せ持った放熱部材の提供が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、ベース樹脂として熱可塑性エラストマーを必須成分とし必要によりアクリルゴムを使用し所定量の、軟磁性体を配合することにより、十分な放熱性能を長期にわたり発揮でき、その上電磁波シールド性を有する熱伝導性成形体が得られることを見いだし、この知見に基づき本発明をなすに至った。 すなわち、本発明は、
(1)熱可塑性エラストマー10〜100質量%およびアクリルゴム90質量%以下(0質量%も含む)を含有するベース樹脂100質量部に対し、酸化アルミニウム、酸化マグネシウウム、チッ化ホウ素及びチッ化アルミニウムからなる群から選ばれたすくなくとも1種250〜700質量部、軟磁性体粉末450〜900質量部を含有してなる熱伝導性エラストマー組成物を成形してなることを特徴とする電磁波シールド性に優れる熱伝導性成形体、
(2)ベース樹脂が、熱可塑性エラストマー20〜70質量%、アクリルゴム80〜30質量%を含有してなることを特徴とする(1)記載の電磁波シールド性に優れる熱伝導性成形体、
前記軟磁性体粉末は、軟磁性体に対して0.2〜10質量%のカップリング剤で表面を処理されたものであることを特徴とする(1)または(2)記載の電磁波シールド性に優れる熱伝導性成形体、
)含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物を、前記ベース樹脂100質量部に対し20質量部以下の量含有する(1)〜(3)のいずれか1項記載の電磁波シールド性に優れる熱伝導性成形体、及び
前記(1)〜(4)のいずれか1項記載の電磁波シールド性に優れる熱伝導性成形体を、被冷却部品とヒートシンクの間に配置した放熱構造体
が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の熱伝導性成形体に用いる熱伝導性エラストマー組成物を構成する成分について説明する。
(A)熱可塑性エラストマー
本発明において熱可塑性エラストマーは、ビニル芳香族化合物をその構成成分の主体とした少なくとも2個の重合体ブロックAと、共役ジエン化合物をその構成成分の主体とした少なくとも1個の重合体ブロックBとからなるブロック共重合体又はこれを水素添加して得られるもの、あるいはこれらの混合物であり、例えば、A−B−A、B−A−B−A、A−B−A−B−Aなどの構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体、あるいはこれらの水素添加されたもの等を挙げることができる。上記(水添)ブロック共重合体(以下、(水添)ブロック共重合体とは、ブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体を意味する)は、ビニル芳香族化合物を好ましくは5〜60質量%、より好ましくは、20〜50質量%含む。
ビニル芳香族化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックAは、好ましくはビニル芳香族化合物のみから成るか、または50質量%より多い、好ましくは70質量%以上のビニル芳香族化合物と(水素添加された)共役ジエン化合物(以下、(水素添加された)共役ジエン化合物とは、共役ジエン化合物及び/又は水素添加された共役ジエン化合物を意味する)との共重合体ブロックである。
【0007】
(水素添加された)共役ジエン化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックBは、好ましくは(水素添加された)共役ジエン化合物のみから成るか、または50質量%より多い、好ましくは70質量%以上の(水素添加された)共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブロックである。これらのビニル芳香族化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックA、(水素添加された)共役ジエン化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックBのそれぞれにおいて、分子鎖中のビニル芳香族化合物または(水素添加された)共役ジエン化合物由来の繰り返し単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組合せでなっていてもよい。ビニル芳香族化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックA或いは(水素添加された)共役ジエン化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックBが2個以上ある場合には、それぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
【0008】
(水添)ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上が選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
共役ジエン化合物をその構成成分の主体とする重合体ブロックBにおけるミクロ構造は任意に選ぶことができる。例えばポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50%、より好ましくは25〜45%であり、ブタジエンに基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが特に好ましい。ポリイソプレンブロックにおいては、該イソプレン化合物の70〜100質量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつ該イソプレン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
上記構造を有する本発明に用いる(水添)ブロック共重合体の質量平均分子量は好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは10,000〜550,000、さらに好ましくは100,000〜550,000、特に好ましくは100,000〜400,000の範囲である。分子量分布(質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn))は好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、より好ましくは2以下である。(水添)ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0009】
これらの(水添)ブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒またはチーグラー型触媒を用い、不活性溶媒中にてブロック重合させて得ることができる。また、例えば、上記方法により得られたブロック共重合体に、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下にて水素添加することにより水添ブロック共重合体が得られる。
上記(水添)ブロック共重合体の具体例としては、SBS(スチレン・ブタジエンブロックコポリマー)、SIS(スチレン・イソプレンブロックコポリマー)、SEBS(水素化SBS)、SEPS(水素化SIS)等を挙げることができる。本発明において、特に好ましい(水添)ブロック共重合体は、スチレンをその構成成分の主体とする重合体ブロックAと、イソプレンをその構成成分の主体としかつイソプレンの70〜100質量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつ該イソプレンに基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたところの重合体ブロックBとからなる質量平均分子量が50,000〜550,000の水添ブロック共重合体である。更に好ましくは、イソプレンの90〜100質量%が1,4−ミクロ構造を有する上記水添ブロック共重合体である。
ベース樹脂100質量部中、熱可塑性エラストマー10〜100%、アクリルゴム0〜90%とされる。
熱可塑性エラストマーは配合量10質量部以上で弾性の発現に寄与する。アクリルゴムは耐熱性、耐候性等ヘの寄与及び粘着性の付与等に寄与する。
【0010】
(B)アクリルゴム
アクリルゴムは単量体成分としてはアクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸アルキルと各種官能基を有する単量体を少量共重合させて得られるゴム弾性体であり、共重合させる単量体としては、2−クロルエチルビニルエーテル、メチルビニルケトン、アクリル酸、アクリロニトリル、ブタジエン等を適宜使用することができる。具体的には、Nipol AR(商品名、日本ゼオン社製)、JSR AR(商品名、JSR社製)トアアクロン AR(商品名、トウペ製)等を使用することができる。
特に単量体成分としてはアクリル酸メチルを使用するのが好ましく、その場合には、エチレンとの2元共重合体や、これにさらにカルボキシル基を側鎖に有する不飽和炭化水素をモノマーとして共重合させた3元共重合体を特に好適に使用することができる。具体的には、2元共重合体の場合にはベイマックDやベイマックDLSを、3元共重合体の場合にはベイマックG、ベイマックHG、ベイマックLS、ベイマックGLS(商品名、いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)を使用することができる。
アクリルゴムはムーニー粘度(JIS K 6300 ML1+4(100℃))で50以下の低粘度のものが好ましい。これは硬いと熱的接触が悪くなるためである。架橋剤としては、ジメチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチル・ジチオカルバミン酸鉄、アンモニウムベンゾエート、トリアジン、ジ‐n‐ブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛、イソシアネート、ブチル化メラミン等を適宜用いる。
このアクリルゴムを使用する場合はベース樹脂中の90質量%以下が好ましいが、より好ましくは80〜30質量%、さらに好ましくは80〜50質量%である。このアクリルゴムを用いることにより耐熱性、耐候性、耐油性を向上させることができる。
【0011】
(C)軟磁性体
本発明で用いる軟磁性体としては、特に限定されるものではなく、Znフェライトとの複合フェライト、例えば、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Ni−Zn−Cuフェライト、更にFe−Al−Si系三元合金,純鉄などの金属粉末等を挙げることができる。軟磁性体の形状は特に限定されるものではなく、球状、繊維状、不定形状等の所望の形状のものを用いることができる。
そのうち、軟磁性体粉末はMn−Zn系ソフトフェライト、Fe−Al−Si系三元合金または純鉄(純度95%以上)のものを使用することが好ましい。その理由は、電磁波吸収性能から来るものであり、周波数帯100〜1000KHzにおける透磁率、磁性損が比較的大きいからである。
その粒径は特に限定されないが、エラストマーとの相溶性、補強性、吸収性能等から1〜100μm程度が好適である。
【0012】
また、軟磁性体はアクリルゴムと熱伝導性充填材との混合性を高め、均一な成形体を得るため、表面をカップリング剤で処理することができる。このカップリング剤としては、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル・トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、ビス(オクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)エチレンチタネート等を挙げることができる。
カップリング剤の使用量は、軟磁性体に対して約0.2〜10質量%が好ましい。
このような軟磁性体の配合量は、十分な電磁波吸収性を付与し、良好な成形性を確保するため、ベース樹脂100質量部に対して、450〜900質量部が好ましい。さらに好ましくは500〜800質量部使用することができる。その理由は少ないと電磁波吸収性能が十分でなく、多過ぎると硬くなり熱伝導性に悪影響となる為である。
【0013】
本発明の熱伝導性エラストマー成形体には、熱伝導性を向上させるための成分として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、チッ化ホウ素、チッ化アルミニウムからなる群から選ばれた少なくとも1種を配合することができる。
本発明において使用される酸化アルミニウムとしては、従来から製造されている電融アルミナ、焼成アルミナおよび焼結アルミナが挙げられる。このうち、非常に粒度の細かいものは充填時に粘度が上昇し、充填しにくく、一方、粒度が比較的大きなものを使用すれば、エラストマー材との親和性がわるくなるため、粒径が0.5〜100μmの範囲のものが好ましい。
本発明において使用される酸化マグネシウムとしては、疎水化された酸化マグネシウム粉末を用いる。通常、酸化マグネシウム粉末は吸湿性が極めて高く、そのため特に高温高湿下では吸湿してボロボロになりやすいという欠点がある。本発明ではこの為疎水化された酸化マグネシウム粉末を用いる。具体的には、特開平6−171928号公報に記載された高耐水和性、高流動性酸化マグネシウム粉末が好適に適用できる。
チッ化ホウ素については通常市販されている1〜200μm粒径のものが使用できる。
チッ化ホウ素は熱伝導性が高いが、配合量が多いとコンパウンドが硬くなる点及び非常に高価である点から主にブレンドして用いる。
チッ化アルミニウムについてもチッ化ホウ素とほぼ同様の使い方をする。
このような熱伝導性無機充填材の配合量は、十分な熱伝導性を付与し、良好な成形性を確保するため、ベース樹脂100質量部に対し、250〜700質量部配合することが好ましい。さらに好ましくは、300〜500質量部である。
【0014】
また、含水珪酸マグネシウム質粘上鉱物(水沢化学工業(株)製、商品名エードプラス70DS−NV)を配合することにより、成形体の耐熱性を向上することができる。含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物は繊維状で、レンガを交互に積み重ねたような結晶構造で大きな表面積を有するものである。このような構造である含水桂酸マグネシウム質粘土鉱物をエラストマーに配合することで、絡み合いが強くなり耐熱性の向上に大きく寄与するものと考えられる。その配合量はベース樹脂100質量部に対し20部以下が好適である。配合量が増すと耐熱性が向上していくが、20部を過ぎると変わらなくなり、逆に硬くなり、熱伝導性に悪影響となる。
【0015】
本発明の熱伝導性成形体は、上記の熱伝導性エラストマー組成物を所望の形状に、常法により成形して作成できる。その形状は、シート状の他にテープ状、ブロック状、型成形品などである。また成形体は前記の熱伝導性エラストマー組成物を金属シートの両面に被覆した成形体(シートなど)でもよい。さらに少なくとも片面に粘着剤を塗布したものでもよい。
上記した熱伝導性成形体のうちシート状にした熱伝導性シートは被冷却部品とヒートシンクとの間に介在させるものとして好適である。
【0016】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。
下記表1に示すベースの組成とフィラーその他を表1に記す質量部で混練した。
(実施例No.1〜3および比較例No.1、2)
表1に示すエラストマー組成とフィラーとをニーダーで混線し、それをオープンロールでシート状に成形し、更に180℃×10分間の加熱プレスを施して、厚さ1mm厚の熱伝導性シートを得た。
【0017】
【表1】
Figure 0004369594
【0018】
さて上記熱伝導性シートにつき、その熱抵抗を測定した。通常よく用いられる半導体素子の発熱量は5〜6W程度であるが、更に発熱量増大の傾向にあることから、ここでは、仮に発生熱量が2倍の12Wの被冷却部品(半導体素子等)を想定し、これを熱伝導性エラストマーシートを挟んで接続した場合を考えることにした。この条件をもとに10mm×32.5mm×32.5mmの2枚のアルミニウム板の間に、25mm×25mmの熱伝導性エラストマーシートを挟み、四隅を0.3Nmで締め付けた試料を用意し、その上部に熱伝導性グリスを介してヒーター、下部に熱伝導性グリスを介してヒートシンクを熱的に接続した。ここで、ヒーターに12Wの熱をかけ、上のアルミ板と下のアルミ板の温度を熱電対で測定し、10分後の温度を記録し、その温度差ΔTを求めた。
次に、透磁率、磁性損をHewlett Pacard社製RFインピーダンス/マテリアルアナライザーにより、測定した。また硬度を高分子計器(株)製のアスカーC型硬度計を用いて測定した。結果を表2に記す。
更に、同様に成形した1mm(厚さ)×25mm(幅)×50mm(長さ)の熱伝導性エラストマーシートについて耐熱性の評価を行った。その長手方向の一端を保持し、80℃と120℃のオーブンの中にそれぞれ吊るして、96時間経過後のシートの破断の発生状況を目視で確認した。破断が認められなかった場合を○、認められた場合を×として結果を表2に併記する。
【0019】
(実施例No.4〜9および比較例No.3、4)
表1の示すエラストマー組成とフィラーを混練し、それをオープンロールでシート状に成形した後の加熱プレス処理において、90℃×5分間の条件で行った点以外は実施例No.1〜3、比較例No.1、2の場合と同様にして、熱伝導性エラストマーシートを作製し、それらの熱抵抗、透磁率、磁性損、硬度、耐熱性の評価を行った。
以上の結果を表2に記す。
【0020】
【表2】
Figure 0004369594
【0021】
(比較例No.5)
比較例No.5は、エチレンプロピレンゴムをベースにフェライト及び酸化マグネシウム粒子を混合した例である。成形は加熱プレス処理を160℃×15分とした以外は上記と同様である。これについても上記同様の評価を行った。
【0022】
被冷却部品として想定される半導体素子のサイズは、例えば25mm×25mm程度のものが代表例の一つである。ここで熱特性としては被冷却部品の温度上昇(△T)10℃以下が1つの目安といえる。電磁波吸収性としては、必要とする周波数帯において論議するべきものであるが、ここでは比較的使用範囲の多い100MHz〜1GHzを基準とし、経験的に透磁率は100MHzで3.0以上、1GHzで2.5以上、磁性損は100MHzで0.35以上、1GHzで1.5以上を目安とした。
弾性度は圧縮解放後の復元性能を評価したもので、圧縮試験機(オートグラフ)を用いて1mm厚のシートを25%圧縮し、その直後の応力に対する10分後の応力の保持率(%)で表したものである。
表2の結果により次のことが分かる。
【0023】
実施例No.1はアクリルゴム/熱可塑性エラストマーベースで、混合する軟磁性体粉末としてMn-Fe系フェライト(戸田工業製)、熱伝導性無機充填剤として酸化マグネシウム粉末(協和化学工業製)を用いた場合である。やや硬いが、熱特性、透磁率、磁性損ともバランスが取れている。
実施例No.2はNo.1と同様であるが、軟磁性体粉末としてフェライトの1部を純鉄に置換えたものである。熱特性、透磁率、磁性損ともに良好であり、好適な例である。
実施例No.3はNo.1と同様であるが、アクリルゴムの1部を軟らかいPS200に置換えたものであり、硬度を低めにした例である。
実施例の中でNo.1〜3はアクリルゴムによる加硫を採用したものであり、機械的な強靭さがあり、耐熱性、耐候性、耐油性等に優れ、実用上も特に有用である。
実施例No.4はアクリルゴム/熱可塑性エラストマーベース非架橋タイプでNo.1と同様の軟磁性体、熱伝導性充填剤を用いている。架橋していないが、熱可塑性エラストマーの効果で弾性度は良好であり、熱特性、透磁率、磁性損ともにNo.1と同様にバランスが取れている。
実施例No.5はNo.4と同様であるが、軟磁性体粉末としてフェライトの1部をFe−Al−Si三元合金に置換えたものである。熱特性、透磁率、磁性損ともに良好であり、好適な例である。
実施例No.6はNo.4と同様であるが、熱伝導性充填剤酸化マグネシウムの1部を窒化ホウ素に置換えたものである。熱特性が良好となっている。
【0024】
実施例No.7はNo.4と同様であるが、軟磁性体粉末としてフェライトの1部を純鉄に置換えたものである。熱特性、透磁率、磁性損ともに良好であり、好適な例である。
実施例No.8は熱可塑性エラストマーの多い配合であり、弾性度が良好な例である。
実施例No.9はNo.8と同様であるが、軟磁性体粉末フェライトの配合量を650部から450部へ減量し熱伝導性充填剤酸化マグネシウムを400部から600部へ増量したものである。透磁率、磁性損は、やや低めであるが熱特性は良好である。
実施例No.10はNo.8と同様であるが、軟磁性体粉末フェライトの配合量を650部から800部へ増量し熱伝導性充填剤酸化マグネシウムを400部から250部へ減量したものである。熱特性はやや低めであるが透磁率、磁性損は、良好である。
実施例No.11は熱可塑性エラストマーベースの例である。非加硫タイプであるが弾性率が良好である。
【0025】
これに対し比較例1はアクリルゴムベースであるが、軟磁性体粉末フェライトの配合量が300部と少なくしたものである。透磁率、磁性損が低過ぎ良好とは言えない。比較例2は軟磁性体粉末フェライトの配合量を増量したものである。透磁率、磁性損は高くなったが、硬くなりすぎて熱特性が悪いまた、耐熱性評価で亀裂が発生した。
比較例3はアクリルゴムベースであるが、熱伝導性充填剤酸化マグネシウムを減量したものである。熱特性が悪くなっている。また熱可塑性エラストマーがなく弾性度も低い。
比較例4は実施例No.4と同様であるが、熱伝導性充填剤酸化マグネシウムを増量したものである。硬度が上がり、耐熱性評価で亀裂が発生した。
比較例5はベースポリマーにエチレンプロピレンゴムを用いた例であるが、硬度が上がり、熱特性が悪くなった。
【0026】
【発明の効果】
以上詳述したように、熱伝導性エラストマー組成物を成形してなる電磁波吸収性に優れた本発明の熱伝導性成形体(例えばシート)は、半導体素子等の被冷却部品やヒートシンクとの熱的接合により優れた冷却性能を実現させることが出来、かつ、電磁波シールド性能を併せ持った放熱部材として優れた作用効果を奏する。

Claims (5)

  1. 熱可塑性エラストマー10〜100質量%およびアクリルゴム90質量%以下(0質量%も含む)を含有するベース樹脂100質量部に対し、酸化アルミニウム、酸化マグネシウウム、チッ化ホウ素及びチッ化アルミニウムからなる群から選ばれたすくなくとも1種250〜700質量部、軟磁性体粉末450〜900質量部を含有してなる熱伝導性エラストマー組成物を成形してなることを特徴とする電磁波シールド性に優れる熱伝導性成形体。
  2. ベース樹脂が、熱可塑性エラストマー20〜70質量%、アクリルゴム80〜30質量%を含有してなることを特徴とする請求項1記載の電磁波シールド性に優れる熱伝導性成形体。
  3. 前記軟磁性体粉末は、軟磁性体に対して0.2〜10質量%のカップリング剤で表面を処理されたものであることを特徴とする請求項1または2記載の電磁波シールド性に優れる熱伝導性成形体。
  4. 含水珪酸マグネシウム質粘土鉱物を、前記ベース樹脂100質量部に対し20質量部以下の量含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の電磁波シールド性に優れる熱伝導性成形体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の電磁波シールド性に優れる熱伝導性成形体を、被冷却部品とヒートシンクの間に配置した放熱構造体。
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