JP5097173B2 - 熱伝導性エラストマー組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、主として電気、電子部品に設置される放熱用部材としての熱伝導性エラストマー組成物に関するものである。
例えばコンピューターの中央処理装置(CPU)等に使用されるパワートランジスタ、ドライバー集積回路(IC)等の電気、電子機器用部品は発熱体であり、近年これら部品の高密化によって発熱量が増大し、上記発熱体に対する放熱対策が重要視されている。
上記発熱体に対する放熱対策としては、現在上記発熱体から放熱性ハウジング等の冷却部品への熱伝導率を向上せしめるため、上記発熱体と上記冷却部品との間にスペーサーとして放熱材料が使用されている。上記放熱材料は上記発熱体から上記冷却部品への伝熱効率を高めるために、上記発熱体と上記冷却部品の双方に対して密着性が良好な材料を使用しなければならない。
従来から上記放熱材料としては、上記発熱体と上記冷却部品との双方に密着性がある柔軟なシリコンゴムが多用されている。しかし上記シリコンゴムは低分子シロキサンを発生させるので電気回路の接触不良等を惹き起こすと云う問題点がある。また該シリコンゴムは加硫ゴムであるため、熱可塑性がなく、リサイクルが不可能である。
そこで上記シリコンゴムに代わる放熱材料として、スチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマーを主体とし、それに熱伝導性フィラーを混合した熱伝導性組成物が提供されている。
上記熱伝導性フィラーとしては、例えば高温処理した酸化マグネシウム、アルミナ、タングステン粉末等が使用されている。
特開2001−106865号公報 特開平1−174564号公報 特許第3176416号公報 特許第4119840号公報
上記熱伝導フィラーにおいて、酸化マグネシウムは耐水性に乏しいために高温処理を施して結晶を成長させることによって不活性化して耐水性を改良している。しかしこのような高温処理によっても、高温、高圧、高湿度と云う過酷条件下では耐水性が充分でない。またアルミナは硬度が高いために、アルミナを添加した熱可塑性エラストマーを混練したり成形したりすると、混練機や成形装置を激しく摩耗させてしまう、と云う問題点がある。
更にタングステン粉末はアルミナ同様硬度が高く、混練機や成形装置を摩耗させると云う問題点の他に、タングステン粉末は電気伝導性が高く、電気、電子機器用部品には使用できないと云う問題点がある。
上記酸化マグネシウムの耐水性を改良する手段として、酸化マグネシウム粉末表面をシラン、チタネート等のカップリング剤によって被覆することが提案されている。
しかし上記カップリング剤による被覆膜は、混練時の剪断力によって剥離しやすいので、耐久性のある耐水被覆膜ではないと云う問題点がある。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、スチレン系単量体からなる重合体のブロック単位(S)と、共役ジエン化合物からなる重合体のブロック単位(B)と、からなるブロック共重合体(Z)の水素添加物であり、重量平均分子量15万〜50万、スチレン系単量体の含有割合が20〜50質量%である水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)100質量部と、動粘度が40℃において50〜500センチストークス(cSt)のゴム用軟化剤100〜500質量部と、オレフィン系樹脂1〜100質量部と、無機物によって表面が被覆されている酸化マグネシウム粉体500〜6000質量部とからなる熱伝導性エラストマー組成物を提供するものである。
上記水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)の上記共役ジエン化合物を主体とする重合体のブロック単位(B)における1,2−ビニル結合量が10〜75質量%であることが望ましい。
更に、上記酸化マグネシウム粉体表面を被覆する無機物の新モース硬度は10未満であることが望ましく、上記新モース硬度10未満の無機物として望ましいものはケイ素含有酸化物である。
〔作用〕
上記水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)は熱可塑性であるからリサイクルが可能であり、かつ柔軟であるから発熱体、冷却部品双方に良好に密着する。そして重量平均分子量が15万以上であるから良好な耐熱性を有するが、重量平均分子量を50万以下として組成物が良好な成形性を有するように図っている。
また上記水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)に含まれる1,2−ビニル結合量は75質量%以下として組成物にべたつきが発生しないようにすることが望ましい。
ゴム用軟化剤は、本発明の組成物に柔軟性を付与し、発熱体や冷却部品への密着性を向上させる成分であるが、動粘度が40℃で50センチストークス(cSt)に満たない軟化剤を使用した場合には、組成物を成形する際にガスの発生が著しくなりブリードを生じやすくなる。また500cStを超えると得られる成形品のべたつきが激しく、作業性が低下する。
オレフィン系樹脂は、本発明の組成物に適度な硬さと剛性と耐熱性とを与える成分であり、そのためにはJIS K 6921−2に準拠して測定した荷重たわみ温度が80℃〜140℃の範囲であることが望ましい。
本発明に使用される熱伝導材料としては、硬度があまり高くなく混練機や成形装置を摩耗させたり傷つけたりしない酸化マグネシウム粉体が選択される。しかし酸化マグネシウム粉体は吸湿性があり、吸湿を防ぐために酸化マグネシウム粉体表面を無機物によって被覆する。上記無機物からなる被覆層は酸化マグネシウム粉末表面から剥落しにくく、耐久性のある耐水被覆層となる。該被覆層の材料の新モース硬度を10未満とすると、混練機や成形装置を摩耗させることが確実に防止できる。望ましい無機物としては、新モース硬度10未満のケイ素含有酸化物を使用する。上記ケイ素含有酸化物は酸化マグネシウム粉体表面の酸化マグネシウムとの反応性が高く、密着性の良い被膜を形成する。
〔効果〕
本発明では、熱伝導性の良好な、かつ発熱体や冷却部品のような対象物と密着性の良い熱可塑性エラストマー組成物が提供される。
接触熱抵抗の測定法を説明する図面
本発明を以下に詳細に説明する。
〔水添熱可塑性スチレン系エラストマー〕
本発明に使用する水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)とは、スチレン系単量体からなる重合体のブロック単位(S)と、共役ジエン化合物からなる重合体のブロック単位(B)とからなるブロック共重合体であって、上記ブロック共重合体(E)中の共役ジエン化合物を主体とする重合体のブロック単位(B)は、一部または全部が水素添加されている。
上記スチレン系単量体からなる重合体のブロック単位(S)とは、例えばスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−t(ターシャリー)−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等のスチレン系単量体からなる重合体のブロックである。
上記共役ジエン化合物からなる重合体のブロック単位(B)とは、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等の共役ジエン系化合物を主体とする重合体のブロックである。
本発明が使用する上記水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)としては、例えばスチレン−エチレンーブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム(SIR)、スチレン−エチレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン(SIS)、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)(α−MeSBα−MeS)、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリイソプレン−ポリ(α−メチルスチレン)、エチレン−プロピレン共重合体(EP)、スチレン−クロロプレンゴム(SCR)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)共重合体等が例示される。
本発明においては、上記水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)として、重量平均分子量が15万〜50万の範囲のものを使用する。上記水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)の重量平均分子量が15万未満のものでは耐熱性が悪く熱変形を生じやすくなり、また軟化剤の保持性が低くなって軟化剤がブリードしやすくなり、組成物にべたつきが発生する恐れがあるが、重量平均分子量が50万を超えるものでは成形時の溶融物の流動性が低下して成形性が悪くなる。
更にスチレン系単量体の含有量は20〜50質量%のものを使用する。スチレン系単量体の含有量が20質量%に満たないものでは耐熱性が悪くなり熱変形を生じやすくなる。しかしスチレン系単量体の含有量が50質量%を超えるとエラストマーのゴム弾性が乏しくなり、発熱体や冷却部品等への密着性が悪くなる。
また上記水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)を構成する共役ジエン化合物からなるブロック単位(B)に含まれる1,2−ビニル結合量は10〜75質量%、望ましくは15〜45質量%、更に望ましくは20〜40質量%とする。上記1,2−ビニル結合量が75質量%を超えると結果物である組成物にべたつきが発生するおそれがある。
上記水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)の重量平均分子量(Mw)としては、下記するゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法による測定値を用いる。
〔GPC(ゲル浸透クロマトグラフ)法によるポリスチレン換算分子量測定〕
・測定条件
a)測定機器:SIC Autosampler Model 09
Sugai U−620 COLUMN HEATER
Uniflows UF−3005S2B2
b)検出器 :MILLIPORE Waters 410
Differential Refractometer
c)カラム :Shodex KF806M×2本
d)オーブン温度:40℃
e)溶離液 :THF 1.0ml/min
f)標準試料:ポリスチレン
g)注入量 :100μl
h)濃度 :0.020g/10ml
i)試料調整:2,6−ジ−t−ブチル−p−フェノール(BHT)が0.2重量%添加されたTHFを溶媒として、室温で攪拌して溶解させた。
j)補正 :検量線測定時と試料測定時とのBHTのピークのずれを補正して、分子量計算を行った。
上記水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)は、1種のみを用いてもよく、重量平均分子量や1,2−ビニル結合量等が異なる2種以上を併用することも可能である。
〔ゴム用軟化剤〕
本発明において使用されるゴム用軟化剤としては、非芳香族系のオイルが使用され、例えばパラフィン系オイル、ナフテン系オイルが使用されるが、本発明の水添熱可塑性スチレン系エラストマーと良好な相溶性を示すパラフィン系オイルは望ましいゴム用軟化剤である。
上記ゴム用軟化剤としては、動粘度が40℃で50センチストークス(cSt)以上であるものを使用する。動粘度が50cStに満たない場合には、組成物を成形する際にガスの発生が著しくなり、ブリードが発生しやすくなる。また動粘度が40℃で500cStを超えると、成形品のべたつきが激しくなり、作業性が低下する。
〔オレフィン系樹脂〕
本発明に使用するオレフィン系樹脂として代表的なものは、ポリプロピレンである。上記ポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、ポリプロピレンにポリエチレンやエチレン−プロピレン共重合体を添加した変性ポリプロピレン等が含有される。
上記オレフィン系樹脂は、組成物を混練して調製する際につなぎの役割を果たし、更に組成物に耐熱性と適度な剛性および成形時の溶融物の流動性を付与する材料であるが、JIS K 6921−2に準拠して測定した荷重たわみ温度が80℃〜140℃の範囲のものを用いると、耐熱性の点で好ましい。荷重たわみ温度が80℃未満のものでは、高温高湿度雰囲気下で成形品に変形が生じる。
〔熱伝導材料〕
本発明において使用される熱伝導材料は、無機物によって表面が被覆されている酸化マグネシウム粉体である。上記酸化マグネシウム粉体は硬度が高くないので、混練機や成形装置を摩耗させることが少ない。しかし、酸化マグネシウムには吸湿性があるので、吸湿を防止するために、酸化マグネシウム粉体表面を無機物によって被覆する。上記の無機物は酸化マグネシウム表面から剥落しにくく、耐久性のある耐水被覆層を形成する。
このような無機物被覆酸化マグネシウムは、例えば酸化マグネシウム粉体と、無機物粉体、例えば酸化ケイ素微粉末であるコロイダルシリカとを混合し、該混合物を1200℃〜1800℃の高温で加熱処理することによって得られる。このような処理によって該酸化マグネシウム粉体表面にはケイ素とマグネシウムの複合酸化物からなる被覆層が形成され、該被覆層は該酸化マグネシウム粉体表面と良好な密着性を有し、剥がれにくく耐久性があり、酸化マグネシウムを吸湿から確実に保護する。
上記無機物としては、炭素を含まないものが望ましく、例えばアルミニウム化合物、ケイ素化合物、チタン化合物が例示され、上記無機物は2種以上混合使用されてもよい。上記無機物には例えば、酸化物、窒化物、ホウ化物等のセラミック系化合物、硝酸塩、硫酸塩、塩化物等の塩、水酸化物等がある。
上記被覆層の新モース硬度は10未満として混練機や成形装置に対する摩耗性を抑制することが好ましい。
ここに新モース硬度とは、硬さの異なる15種類の標準鉱物で固体表面を順次ひっかき、そのときの傷の有無により1〜15の数値で表した硬さである。新モース硬度10未満とは、ざくろ石でひっかくと傷がつくことを示す。
〔第3成分〕
上記成分以外にも所望により、本発明の特徴を損なわない範囲において、必要に応じて他の配合成分を配合することができる。望ましい第3成分としては、本発明の組成物を押出成形、射出成形等によって成形する際、溶融物の延展性を向上させる加工助剤がある。上記加工助剤として代表的なものは、アクリル変性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、高分子量特殊アクリル樹脂等のポリオレフィン用改質剤である。上記加工助剤を添加すると、本発明の組成物の溶融物の延展性や張力が向上して伸び易くなるから、該溶融物に引張り力を及ぼしても切れにくくなる。その結果、例えば押出成形によってシートやフィルムを成形する際、形状が維持されるので成形不良が起こりにくくなる。
その他の第3成分としては、例えばタルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、燐酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、珪藻土、ドロマイト、石膏、焼成クレー、アスベスト、マイカ、ケイ酸カルシウム、ベントナイト、ホワイトカーボン、カーボンブラック、鉄粉、アルミニウム粉、石粉、高炉スラグ、フライアッシュ、セメント、ジルコニア粉等の無機充填材や、リンター、リネン、サイザル、木粉、ヤシ粉、クルミ粉、でん粉、小麦粉、米粉等の有機充填材や、木綿、麻、羊毛等の天然繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ビスコース繊維、アセテート繊維等の有機合成繊維や、アスベスト繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、金属繊維、ウィスカー繊維等の繊維充填材や、色素、顔料、カーボンブラックなどの着色剤や、あるいは、帯電防止剤、導電性付与剤、老化防止剤、難燃剤、防炎剤、撥水剤、撥油剤、防虫剤、防腐剤、ワックス類、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、DBP、DOP、熱安定剤、キレート剤、分散剤等の各種添加剤を添加してもよい。
また、本発明の組成物は、本発明の特徴を損なわない範囲であれば、他のポリマーをブレンドして使用することも可能である。
〔配合〕
本発明の組成物は、上記水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)100質量部と、上記ゴム用軟化剤100〜500質量部と、上記オレフィン系樹脂1〜100質量部と、上記被覆酸化マグネシウム粉体500〜6000質量部とからなり、上記加工助剤を添加する場合には、上切加工助剤は200質量部以下の量で添加される。
上記水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)(以下エラストマーと云う)100質量部に対して、上記ゴム用軟化剤の添加量が500質量部を超えた組成物を使用して成形することによって得られた成形物では、該成形物の表面に該軟化剤がブリードしてきて顕著にべたつきが発生する。一方該軟化剤の添加量が100質量部以下の組成物の場合には、成形時の溶融物の流動性が低下し、成形が困難となる。上記加工助剤の量が200質量部を超える場合には、溶融物の張力が高くなり過ぎ、成形性が悪くなる。
上記エラストマー100質量部に対して、上記オレフィン系樹脂の添加量が1質量部に満たない組成物では、オレフィン系樹脂のつなぎの作用が不充分となり、混練中に混練物がまとまりにくくなりくずれやすくなる。一方該オレフィン樹脂の添加量が100質量部を超えた組成物では、ゴム弾性がなくなって対象物に対する密着性が悪くなる。
上記エラストマー100質量部に対して、上記被覆酸化マグネシウム粉体の添加量が500質量部に満たない場合には、組成物の熱伝導率が低くなり、一方上記被覆酸化マグネシウム粉体の添加量が6000質量部を超えると、成形時の溶融物の流動性が殆んどなくなり、成形不能となる。
上記材料は、例えばヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー等の混合装置によって混合され、混合物は、通常、押出機によって溶融混練してストランドに押出し、冷水中で冷却しつつカッターによってペレットに切断する。得られたペレットは、通常、射出成形、押出成形によって所定の成形品とする。また、混練した組成物をルーダー等でペレットにし成形加工原料とすることもできる。
以下に、本発明を更に具体的に説明するための実施例および比較例を記載する。
(実施例1〜12、比較例1〜6)
〔材料〕
下記の材料を使用した。
1.水添熱可塑性スチレン系エラストマー(SEBS)
(1)G1651H〔商品名、クレイトンポリマージャパン(株)製〕、PS含有量:33%、Mw:29万、1,2−ビニル結合量37質量%
(2)MD1633〔商品名、クレイトンポリマージャパン(株)製〕、PS含有量:30%、Mw:45万、1,2−ビニル結合量37質量%
(3)G1650〔商品名、クレイトンポリマージャパン(株)製〕、PS含有量:29%、Mw:11万、1,2−ビニル結合量37質量%
2.ゴム用軟化剤
(1)PW90〔商品名、出光石油化学(株)製〕、動粘度(40℃):84.0cSt
(2)Hydrobrite HV〔商品名、sonneborn社製〕、動粘度(40℃):250〜350cSt
3.オレフィン系樹脂
(1)PX600A〔商品名、サンアロマー(株)製〕、曲げ弾性率:1600MPa、メルトインデックス(MI):5g/min、荷重たわみ温度:105℃
(2)PH943B〔商品名、サンアロマー(株)製〕、曲げ弾性率:470MPa、MI:21g/min、荷重たわみ温度:60℃
4.熱伝導材料(フィラー)
(1)クールフィラーCF2−100A〔商品名、タテホ化学工業(株)製〕、ケイ素−マグネシウム複合酸化物被覆酸化マグネシウム粉体、平均粒径30μm、被覆層の新モース硬度8
(2)アルミナビーズCBA30S〔商品名、昭和電工(株)製〕、アルミナ、平均粒径28μm、新モース硬度12
(3)パイロキスマ5301K(商品名、協和化学工業(株)製〕、シランカップリング剤被覆酸化マグネシウム、平均粒径2μm
(4)U99NC〔商品名、宇部マテリアルズ(株)製〕、表面焼成マグネシアクリンカー(高温処理酸化マグネシウム粉末)、平均粒径7μm
5.加工助剤
メタブレンA−3000〔商品名、三菱レイヨン(株)製〕、アクリル変性PTFE
実施例1〜12の配合は表1に、比較例1〜6の配合は表2に示した。
〔エラストマー組成物(ベース材)の製造条件〕
ゴム用軟化剤、フィラー以外の材料をドライブレンドし、これにゴム用軟化剤を含浸させて混合物を作製する。その後、混合物を下記の条件で押出機で溶融混練して、エラストマー組成物のベース材を製造する。
押出機・・・KZW32TW−60MG−NH(商品名、(株)テクノベル製)
シリンダー温度・・・180〜220℃
スクリュー回転数・・・300rpm
〔熱伝導性エラストマー組成物の製造条件〕
上記のようにして製造した上記エラストマー組成物のベース材をブラベンダープラストグラフに投入し、加熱溶融した後上記熱伝導材料を投入し混練を行ない、熱伝導性エラストマー組成物を製造する。
Brabender Plastograph(ブラベンダープラストグラフ、商品名、Brabender社製)
槽温度・・・160℃
ローター回転数・・・100rpm
混練時間・・・11min
〔熱伝導性エラストマー組成物の成形条件〕
射出成形機・・・100MSIII−10E(商品名、三菱重工業(株)製)
射出成形温度・・・170℃
射出圧力・・・30%
射出時間・・・10sec
金型温度・・・40℃
上記条件で厚さ2mm、幅125mm、長さ125mmのプレート、厚さ6mm、幅25mm、長さ125mmのバーを作製した。
〔熱伝導率、接触熱抵抗の測定〕
厚さ0.5mmおよび1.0mm、幅200mm、長さ200mmのプレートを打ち抜いて試料を作製した。
プレス機・・・40ton電動油圧成形機
加熱温度・・・上型:195℃、下型:200℃
加熱時間・・・2分
プレス圧・・・5MPa
冷却時間・・・2分
〔評価方法〕
実施例1〜12、比較例1〜6のそれぞれについて下記の評価を行った。なお、各物性の評価結果は、実施例1〜12については表1、比較例1〜6については表2に示した。
硬さ測定・・・厚さ6mmの試験片を用いJIS K 6253Aに準拠して行った。
熱伝導率・・・レーザーフラッシュ法により熱拡散率を測定(温度19〜30℃)(JIS R 1611)
DSCにより比熱を測定(JIS K 7123に準拠)
水中置換法により比重を測定(JIS K 7112に準拠)
上記測定結果を基に、次の通りに熱伝導率を算出した。
熱伝導率=熱拡散率×比熱×比重
試料:直径15mm、厚さ1.0mmの円盤
耐湿性・・・プレッシャークッカー試験により、JIS C 0096に準拠して測定。上記試験は電子部材に対して高温高湿時の特性劣化を評価する加速試験としてJIS規格化されているものである。変形に関しては次の通りに評価した。
◎:変形なし、○:わずかに変形、△:変形、×:激しく変形
接触熱抵抗・・・定常熱流計法により測定
図1に示すように2枚の金属(SUS304)間に、金網(ステンレス製、網の眼:7メッシュ)を挟んだ試料を配置し、ASTM E 1530に基づき全体の熱抵抗(R0)を求め、さらに金網と試料を挟まない状態での接触熱抵抗(R1)から次式により金属(SUS304)間の熱抵抗(R:(cm2・K)/W)を算出した。
R=R0−R1
試料:直径50mm、厚さ0.5mmの円盤
スクリュー摩耗性・・・ブラベンダープラストグラフによる混練後に目視で判断
○:摩耗していない、△:若干摩耗している、×:摩耗が激しい
べたつき・・・触感で判断
◎:べたつきがない、○:少しべたつく、△:べたつく、×:べたつきが激しい
〔必要性能〕
熱伝導性・・・1.0W/m・K以上(熱伝導率が低いと、熱伝達効率が低下し、充分な放熱効果を得ることができない。)
耐湿性・・・吸水率1.0%未満(吸水率が高いと電気絶縁性の低下、熱伝導材料の劣化が起こる。)、変形しないこと
スクリュー摩耗性・・・射出成形、押出成形等でスクリューが摩耗しないこと。
実施例1〜12の試料はいずれも熱伝導率が1.0W/m・K以上であり、優れた熱伝導性を有し、またプレッシャークッカー試験において1%以下の少ない吸水率を示しかつ変形もないか、あるいはわずかである。更にスクリュー摩耗性もなく、かつべたつきも殆んどない。また、組成物の硬度(HsA)は80以下であれば良好な接触熱抵抗値を示すことが判る。
一方新モース硬度が10以上(12)のアルミナフィラーであるアルミナビーズCBA30Sを使用した比較例1は、著しいスクリュー摩耗性を示し、シランカップリング剤被覆酸化マグネシウム粉体であるパイロキスマ5301Kを使用した比較例2の試料は被覆層の剥落によりプレッシャークッカー試験による吸水、変形が著しい。
更に高温処理酸化マグネシウムを使用した比較例3の試料はプレッシャークッカー試験における吸水が大きくかつ変形も著しい。
熱伝導材料の添加量が500質量部に満たない(300質量部)比較例4の試料は、熱伝導性が不良であり、また軟化剤が500質量部を超えた量(550質量部)添加されている比較例5の試料はべたつきを有し、またエラストマーとして重量平均分子量が15万よりも小さい(11万)エラストマーG1650を使用した比較例6の試料は、プレッシャークッカー試験における変形が著しく、かつべたつきを有する。
本発明のエラストマー組成物は、良好な熱伝導性を有し、かつ対象物に対する密着性も良いので、電子部品等の放熱用部材に有用であるから産業上利用可能である。

Claims (4)

  1. スチレン系単量体からなる重合体のブロック単位(S)と、共役ジエン化合物からなる重合体のブロック単位(B)と、からなるブロック共重合体(Z)の水素添加物であり、重量平均分子量15万〜50万、スチレン系単量体の含有割合が20〜50質量%である水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)100質量部と、
    動粘度が40℃において50〜500センチストークス(cSt)のゴム用軟化剤100〜500質量部と、
    オレフィン系樹脂1〜100質量部と、
    無機物によって表面が被覆されている酸化マグネシウム粉体500〜6000質量部と
    からなることを特徴とする熱伝導性エラストマー組成物。
  2. 上記水添熱可塑性スチレン系エラストマー(E)の上記共役ジエン化合物を主体とする重合体のブロック単位(B)における1,2−ビニル結合量が10〜75質量%である請求項1に記載の熱伝導性エラストマー組成物。
  3. 上記酸化マグネシウム粉体表面を被覆する無機物の新モース硬度は10未満である請求項1または2に記載の熱伝導性エラストマー組成物。
  4. 上記新モース硬度10未満の無機物はケイ素含有酸化物である請求項3に記載の熱伝導性エラストマー組成物。
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