JP2011153227A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】成形性及び生産性が良好であるとともに、耐塩素水性に優れ、圧縮後の復元力も良好な熱可塑性エラストマー組成物を提供すること。
【解決手段】(A)スチレン系単量体からなる重合体のブロック単位(s)と、共役ジエン化合物からなる重合体のブロック単位(b)とからなるブロック共重合体(Z)の水素添加物である、重量平均分子量が180,000〜500,000の水添熱可塑性スチレン系エラストマー、(B)40℃での動粘度が20〜1000mm2/sのパラフィンオイル、及び(C)密度が870〜940kg/m3、メルトマスフローレイトが100g/10min以下のポリエチレンを含有してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、前記パラフィンオイルの含有量が、前記水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、50〜300質量部であり、前記ポリエチレンの含有量が、前記水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、10〜200質量部である、熱可塑性エラストマー組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、シール材・パッキン・制振部材・チューブ・工業用品、雑貨、スポーツ用途等に用いられる熱可塑性エラストマー組成物に関する。
従来、柔軟性やゴム弾性を有する熱可塑性エラストマー組成物としては、スチレン系単量体からなる重合体のブロック単位を含むブロック共重合体の水素添加物、オイル及びポリオレフィン系重合体を含む組成物が汎用されている(特許文献1、2参照)。ポリオレフィン系重合体としては、ポリプロピレンが一般的であるが、ポリエチレンを配合した組成物も一部知られている(特許文献3参照)。
また、耐塩素水性が良好な熱可塑性エラストマー組成物としては、シラン架橋ポリオレフィンを用いた組成物がある(特許文献4、5参照)。
特開2000−103934号公報 特開平8−34900号公報 特開2001−240720号公報 特開昭61−159441号公報 特開2000−219785号公報
特許文献3に記載の組成物は、ブロック共重合体の分子量が大きいため、流動性が不十分であり、成形性に欠けている。
また、柔軟性の高い熱可塑性エラストマー組成物は、塩素水等の環境下において共重合体が劣化し易い。特許文献4、5に記載の組成物は、耐塩素水性は良好であるものの、シラン架橋による生産性の低さや衛生面に欠点があり、コスト的にも高価である。
本発明の課題は、成形性及び生産性が良好であるとともに、耐塩素水性に優れ、圧縮後の復元力も良好な熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
本発明は、
(A)スチレン系単量体からなる重合体のブロック単位(s)と、共役ジエン化合物からなる重合体のブロック単位(b)とからなるブロック共重合体(Z)の水素添加物である、重量平均分子量が180,000〜500,000の水添熱可塑性スチレン系エラストマー、
(B)40℃での動粘度が20〜1000mm2/sのパラフィンオイル、及び
(C)密度が870〜940kg/m3、メルトマスフローレイトが100g/10min以下のポリエチレン
を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、前記パラフィンオイルの含有量が、前記水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、50〜300質量部であり、前記ポリエチレンの含有量が、前記水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、10〜200質量部である、熱可塑性エラストマー組成物
に関する。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、成形性及び生産性が良好であるとともに、耐塩素水性に優れ、圧縮後の復元力も良好であるという優れた効果を奏するものである。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
(A)スチレン系単量体からなる重合体のブロック単位(s)と、共役ジエン化合物からなる重合体のブロック単位(b)とからなるブロック共重合体(Z)の水素添加物である、水添熱可塑性スチレン系エラストマー、
(B)パラフィンオイル、及び
(C)ポリエチレン
を含有し、水添熱可塑性スチレン系エラストマーに対して、特定量のパラフィンオイルとポリエチレンを含有するものである。
ブロック共重合体(Z)の水素添加物において、ブロック単位(s)を構成するスチレン系単量体としては、スチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、1,3-ジメチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等が挙げられる。
ブロック共重合体(Z)は、ブロック単位(s)からなる硬い部分(ハードセグメント)と、ブロック単位(b)とからなる柔らかい部分(ソフトセグメント)とからなり、全体の物性を決定する観点から、ブロック共重合体(Z)におけるブロック単位(s)の含有量は、5〜80質量%が好ましく、10〜70質量%がより好ましく、15〜40質量%がさらに好ましい。
ブロック単位(b)を構成する共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン等が挙げられる。
水添熱可塑性スチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン−エチレンーブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ピリジン−ブタジエンゴム、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリ(α-メチルスチレン)-ポリブタジエン−ポリ(α-メチルスチレン)、ポリ(α-メチルスチレン)-ポリイソプレン−ポリ(α-メチルスチレン)、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−クロロプレンゴム等が挙げられる。これらは、単独であっても、2種以上の混合物であってもよいが、原料調製及び作業性の観点から、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、及びスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)からなる群より選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、特にブロック単位(b)を構成する共役ジエン化合物部に分岐鎖の少ないSEBSがより好ましい。
ブロック共重合体(Z)の水素添加は、一部であっても、全部であってもよいが、水素添加することにより不飽和結合が減少し、耐熱性、耐候性及び機械的特性が得られる。それらの観点から、水素添加率は、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
水添熱可塑性スチレン系エラストマーの重量平均分子量は、180,000〜500,000である。耐熱性や機械特性の観点から、180,000以上であり、好ましくは190,000以上、より好ましくは200,000以上である。また、加熱時の流れやすさ、つまり製造時における成形性の観点から、500,000以下であり、好ましくは300,000以下、より好ましくは250,000以下である。これらの観点から、水添熱可塑性スチレン系エラストマーの重量平均分子量は、好ましくは190,000〜300,000、より好ましくは200,000〜250,000である。
パラフィンオイルの40℃での動粘度は、20〜1000mm2/sである。動粘度が低すぎると、揮発し易く、得られる組成物の保存安定性が低下することがあるため、20mm2/s以上であり、好ましくは25mm2/s以上、より好ましくは30mm2/s以上である。また、動粘度が高すぎると製造時における操作性に不備が生じるため、1000mm2/s以下であり、好ましくは700mm2/s以下、より好ましくは500mm2/s以下である。これらの観点から、パラフィンオイルの40℃での動粘度は、好ましくは25〜700mm2/s、より好ましくは30〜500mm2/sである。
パラフィンオイルの含有量は、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、50〜300質量部である。パラフィンオイルの含有量が少なすぎると、各種配合成分の分散性が低下するため、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、50質量部以上であり、好ましくは55質量部以上、より好ましくは60質量部以上である。また、パラフィンオイルの含有量が多すぎると、オイルブリードが生じ、物性等の劣化にもつながるため、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、300質量部以下であり、好ましくは290質量部以下、より好ましくは280質量部以下である。これらの観点から、パラフィンオイルの含有量は、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、好ましくは55〜290質量部、より好ましくは60〜280質量部である。
ポリエチレンの密度は、870〜940kg/m3である。密度が低すぎると、圧縮永久歪み(CS)の数値が上昇し、圧縮後の復元力が低下するため、870kg/m3以上であり、好ましくは875kg/m3以上、より好ましくは880kg/m3以上である。また、密度が高すぎると、パラフィンオイルとのなじみが悪くなり、オイルブリードが生じやすくなるため、940kg/m3以下であり、好ましくは935kg/m3以下、より好ましくは930kg/m3以下である。これらの観点から、ポリエチレンの密度は、好ましくは875〜935kg/m3、より好ましくは880〜930kg/m3である。
ポリエチレンのメルトマスフローレイト(MFR)は、100g/10min以下である。MFRが高すぎると、混練時にせん断力がかからず練り込みが行えないため、100g/10min以下であり、好ましくは80g/10min以下、より好ましくは50g/10min以下である。また、MFRが低すぎると成形時に成形材料に加える温度がより高温となるため加工が困難になるため、好ましくは0.3g/10min以上、より好ましくは0.5g/10min以上である。これらの観点から、ポリエチレンのメルトマスフローレイトは、好ましくは0.3〜80g/10min、より好ましくは0.5〜50g/10minである。
ポリエチレンの含有量は、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、10〜200質量部である。ポリエチレンには、可塑性(自由な形に成形することができる)を持たせる効果と、混練時に練りあげるための「つなぎ」の効果があり、ポリエチレンの含有量が少ないと両方の効果が適切に発揮されない。かかる観点から、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、10質量部以上であり、好ましくは15質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。また、ポリエチレンの含有量が多すぎると硬い性質が強くなるため、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、200質量部以下であり、好ましくは180質量部以下、より好ましくは160質量部以下である。これらの観点から、ポリエチレンの含有量は、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、好ましくは15〜180質量部、より好ましくは20〜160質量部である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、ベタツキを低減し、使用感を向上する観点から、さらに相溶化剤を含有していることが好ましい。
相溶化剤としては、非晶部分(ゴム部分)のブロックAと結晶性ポリオレフィンブロックBをそれぞれ分子中に少なくとも1個有するブロック共重合体が好ましい。
また、上記のブロックAとブロックBをそれぞれ分子中に少なくとも1個有するブロック共重合体の構造は特に制限されず、(B−A)n1、(B−A)n2−B、(A−B)n3-A(n1、n2及びn3は1以上の整数)や、これらをカップリング剤で結合した構造が例示される。これらの中ではトリブロックの共重合体またはそれ以上の数のブロックを有する共重合体が好ましい。
このような共重合体としては、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックA’と、共役ジエン化合物を主体とし、架橋処理等により結晶性ポリオレフィンとなり得る部分を有するブロックB’からなる共重合体がある。
共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン等が挙げられる。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックA’は、水素添加された後に非晶質ポリオレフィンゴム質の重合体ブロックになり得るブロックである。例えば、ポリブタジエンのビニル結合(1,2-及び3,4-結合の含有量)が、25〜85%程度であれば水素添加により、ゴム状のエチレン-ブテン共重合体ブロックと類似の構造を示す非晶性のブロックとなる。
結晶性ポリオレフィンとなり得る部分を有するブロックB’は、例えばポリブタジエンのビニル結合(1,2-及び3,4-結合の含有量)が、25%以下程度であれば水素添加により、エチレン重合体に類似の構造を示す結晶性のブロックとなる。
このようなブロック共重合体としては、硬質部となるポリプロピレン等の結晶性の高いポリマーを形成するオレフィンブロックと、軟質部となる非晶性を示すモノマー共重合体ブロックとのブロック共重合体が挙げられ、具体的には、オレフィン結晶・エチレン−ブチレン共重合体・オレフィン結晶(CEBC)等のオレフィン結晶系ブロックポリマー、エチレン−エチレン・ブチレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ポリエチレンオキシド−プロピレンブロック共重合体、プロピレン-オレフィン(非晶性)−プロピレンブロック共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
さらに、本発明において相溶化剤として用いられ得るブロック共重合体としては、前記一般式で示したブロック共重合体を構成するブロックBの一部をビニル芳香族化合物の重合体のブロックCで置き換えたブロック共重合体があってもよい。
ビニル芳香族化合物の具体例としては、スチレン、t-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルスチレン、1,1-ジフェニルスチレン等が挙げられ、これらの中では、スチレン及びα一メチルスチレンが好ましい。
ビニル芳香族化合物の重合体からなるブロックCを含むブロック共重合体としては、B−A−Cで表されるブロック共重合体があり、スチレン−エチレン−ブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体等が挙げられる。
本発明において、相溶化剤は、単独であっても、2種以上の混合物であってもよいが、ポリエチレンは、次亜塩素酸ナトリウム水溶液に対しほとんど影響しない。耐塩素水性が強いポリエチレンを水添熱可塑性スチレン系エラストマーと「馴染ませる」ことにより、耐塩素水性が向上する観点から、スチレン−エチレン−ブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体(SEBC)が好ましい。
相溶化剤の含有量は、水添熱可塑性スチレン系エラストマーとポリエチレンの「馴染み」の観点から、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。また、耐塩素水性や機械特性の低下を防止する観点から、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。これらの観点から、相溶化剤の含有量は、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、好ましくは5〜30質量部、より好ましくは10〜20質量部である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、圧縮永久歪みの改良の観点から、さらにポリフェニレンエーテルを含有していることが好ましい。
ポリフェニレンエーテルは、得られるエラストマー組成物の高温化(例えば70℃)での引張強度を向上させる作用を有し、エラストマー組成物に圧縮永久歪みの低下を付与するものである。ポリフェニレンエーテルは、スチレン系の樹脂がブレンド又はグラフト化された変性ポリフェニレンエーテル等であってもよい。
ポリフェニレンエーテルの含有量は、圧縮永久歪みの改良する観点から、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。また、エラストマー組成物のゴム弾性の低下に伴う永久伸びの増大を防止する観点から、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。これらの観点から、改質剤の含有量は、水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、好ましくは3〜30質量部、より好ましくは5〜20質量部である。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、カーボンブラック、シリカ、炭素繊維、ガラス繊維等の補強剤;炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化チタン、マイカ等の充填剤;滑剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、粘着付与剤、架橋剤、架橋助剤、発泡剤、香料等の各種添加剤を含有していてもよい。
また、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他のポリマーを適宜含有していてもよい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、例えば、水添熱可塑性スチレン系エラストマー、パラフィンオイル、ポリエチレン、必要に応じて、相溶化剤、ポリフェニレンエーテル等を含む原料の混合物を混合し、冷却により固化させて得られる。原料の混合物は、均一分散の観点から、パラフィンオイル以外の原料を乾式混合し、得られた混合物に、パラフィンオイルを含浸させる等の方法により、パラフィンオイルと混合して得られたものが好ましい。溶融混練物を固化させる方法や形状は特に限定されないが、射出成形等により、取り扱いが容易なペレット状に成形することが好ましい。
本発明でいう「混合」とは、各種成分が良好に混合される方法であれば特に限定されず、各種成分を溶解可能な有機溶媒中に溶解させて混合してもよいし、溶融混練によって混合してもよい。前者の混合方法では、比較的多量の有機溶媒が必要であり、コスト、自然環境、職場環境、消防法等による規制等を考慮して、工業的に簡便である後者の溶融混練法が好ましい。
溶融混練する場合には、一般的な押出機を用いることができ、混練状態の向上のため、二軸の押出機を使用することが好ましい。押出機への供給は、予め各種成分を混合したものを一つのホッパーから供してもよいし、二つのホッパーにそれぞれの成分を仕込みホッパー下のスクリュー等で定量しながら供してもよい。溶融混練する温度は、エラストマー等の融点の温度以上であることが好ましい。また、上限は、エラストマーの酸化や熱分解を防止する観点から、350℃以下であることが好ましく、300℃以下であることがより好ましい。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物の硬さは、シール材やパッキンとして用いる場合等において、良好な柔軟性を発揮し、十分なシール性(密閉性)を得る観点から、80以下が好ましく、50以下がより好ましい。また、形状保持、機械特性、オイルブリードの観点から、20以上が好ましく、30以上が好ましい。これらの観点から、熱可塑性エラストマー組成物の硬さは、好ましくは80以下、より好ましくは20〜50、さらに好ましくは30〜50である。組成物の硬さは、JIS K 6253Aに従って測定されるものである。
実施例及び比較例で使用した原料の各種物性は、以下の方法により測定した。
〔水添熱可塑性エラストマーの重量平均分子量(Mw)〕
以下の測定条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより、ポリスチレン換算で分子量を測定し、重量平均分子量を求める。
測定機器:SIC Autosampler Model 109
Sugai U-620 COLUMN HEATER
Uniflows UF-3005S2B2
検出器:MILLIPORE Waters 410
Differential Refractometer
カラム:Shodex KF806M×2本
オーブン温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF) 1.0ml/min
標準試料:ポリスチレン
試料溶液:濃度が0.020g/10mlとなるように、試料を2,6-ジ-t-ブチル-p-フェノール(BHT)を0.2質量%添加したTHFと混合し、室温で攪拌して溶解させる。
試料溶液の注入量:100μl
補正:検量線測定時と試料測定時とのBHTのピークのずれを補正して、分子量計算を行う。
〔パラフィンオイルの動粘度〕
JIS-Z-8803に従って、40℃の温度で測定する。
〔ポリエチレンのメルトマスフローレイト(MFR)〕
JIS K6922-2に準拠し、190℃、2.16kg荷重の試験条件で測定する。
実施例1〜9及び比較例1〜14
パラフィンオイル以外の表1、2に示す原料を乾式混合した後、パラフィンオイルを含浸させて混合物を得た。得られた混合物を、押出機((株)テクノベル製、KZW32TW-60MG-NH、シリンダー温度:160〜220℃、スクリュー回転数:300r/min)により、溶融混練した。ただし、動粘度が高すぎるパラフィンオイルを使用した比較例2では、パラフィンオイルが原料に含浸せず、溶融混練を行うことができなかった。
実施例及び比較例で使用した表1、2に記載の原料の詳細は以下の通り。
〔SBC(水添熱可塑性スチレン系エラストマー)〕
SEBS A:G1651(クレイトン社製)、Mw 210,000、ブロック単位(s)の含有量 33質量%
SEBS B:G1650(クレイトン社製)、Mw 109,000、ブロック単位(s)の含有量 29質量%
SEEPS:セプトン4099(クラレ社製)、Mw 422,000、ブロック単位(s)の含有量 30質量%
〔オイル〕
パラフィンオイルA:PW-90(出光興産社製)、動粘度(40℃) 84mm2/s
パラフィンオイルB:ルーカントHC-100(三井化学社製)、動粘度(40℃) 1300mm2/s
〔PE(ポリエチレン)〕
LLDPE(超低密度ポリエチレン):NUCG5651(日本ユニカー社製)、密度 920kg/m3、MFR 1.0g/10min、曲げ弾性率 215MPa
LDPE(低密度ポリエチレン) A:ノバテックLJ-808(日本ポリエチレン社製)、密度 917kg/m3、MFR 21g/10min、曲げ弾性率 110MPa
LDPE B:ペトロセン353(東ソー社製)、密度 915kg/m3、MFR 145g/10min、曲げ弾性率 90MPa
HDPE(高密度ポリエチレン):ニポロンハードHD-1000(東ソー社製)、密度964kg/m3、MFR 20g/10min、曲げ弾性率 1160MPa
〔PP(ポリプロピレン)〕
ホモPP:PM600A(サンアロマー社製)、密度900kg/m3、曲げ弾性率 1650MPa
〔相溶化剤〕
SEBC:ダイナロン4600P(JSR社製)、MFR 5.6g/10min、スチレン系単量体の含有量 20質量%
〔その他添加剤〕
PPE(ポリフェニレンエーテル):PX100L(三菱エンジニアリングプラスチックス社製)
得られた溶融混練物を、ストランドに押出し、冷水中で冷却しつつカッターによって、直径3mm程度、厚さ3mm程度のペレットに切断した。
ペレットを、下記の条件で射出成形し、大きさの異なる2種のプレート:
プレートA:厚さ2mm×幅125mm×長さ125mm
プレートB:厚さ6mm×幅25mm×長さ125mm
に成形した。
〔射出成形条件〕
射出成形機:三菱重工業(株)製、100MSIII-10E
射出成形温度:170℃
射出圧力:30%
射出時間:10秒
金型温度:40℃
プレートA又はプレートBを用い、以下の方法により、硬さ、耐塩素水性、圧縮永久歪み、分散性及びベタツキを測定又は評価した。
〔硬さ〕
プレートBを用い、JIS K 6253Aに従って測定する。
〔耐塩素水性〕
60℃の100ppmの活性塩素濃度の次亜塩素酸ナトリウムに、プレートAを15日間浸漬させる。活性塩素濃度は温度が高いと時間が経つにつれて失活するため、24時間ごとに新しい塩素水を入れ替える。15日後、プレートを取り出して水洗し、外観の変化を目視により観察し、以下の評価基準に従って、耐塩素水性を評価する。
<評価基準>
○:外観に変化なし
△:黄変、膨潤等に若干の変化あり
×:黄変、膨潤あり
〔圧縮永久歪み(CS)〕
プレートAを7枚重ね、圧縮により厚さ13mmに調整した試験片を用い、JIS K 6262に従って、70℃×24時間の条件にて測定する。
〔分散〕
プレートBを切断し、断面における未溶融物等の分散状態及び表面におけるムラを目視にて観察し、○:良又は×:悪を評価する。
〔ベタツキ〕
プレートの感触により、以下の評価基準に従って、ベタツキを評価する。
<評価基準>
◎:ベタツキがない
○:少しべたつく
△:べたつく
×:ベタツキが激しい
Figure 2011153227
Figure 2011153227
以上の結果より、実施例1〜9では、比較例1〜14と対比して、組成物の柔軟性及び耐塩素水性に優れ、圧縮後の復元力も良好であり、各種成分の分散や使用感も良好であることが分かる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、シール材・パッキン・制振部材・チューブ・工業用品、雑貨、スポーツ用途等に用いられる。

Claims (6)

  1. (A)スチレン系単量体からなる重合体のブロック単位(s)と、共役ジエン化合物からなる重合体のブロック単位(b)とからなるブロック共重合体(Z)の水素添加物である、重量平均分子量が180,000〜500,000の水添熱可塑性スチレン系エラストマー、
    (B)40℃での動粘度が20〜1000mm2/sのパラフィンオイル、及び
    (C)密度が870〜940kg/m3、メルトマスフローレイトが100g/10min以下のポリエチレン
    を含有してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、前記パラフィンオイルの含有量が、前記水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、50〜300質量部であり、前記ポリエチレンの含有量が、前記水添熱可塑性スチレン系エラストマー100質量部に対して、10〜200質量部である、熱可塑性エラストマー組成物。
  2. JIS K 6253Aに従って測定した組成物の硬さが80以下である、請求項1記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 水添熱可塑性スチレン系エラストマーが、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体、及びスチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体からなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項1又は2記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  4. さらに、相溶化剤を含有してなる、請求項1〜3いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 相溶化剤がスチレン−エチレン−ブチレン−オレフィン結晶ブロック共重合体である、請求項4記載の熱可塑性エラストマー組成物。
  6. さらに、ポリフェニレンエーテルを含有してなる、請求項1〜5いずれか記載の熱可塑性エラストマー組成物。
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