JP2006193626A - 非架橋樹脂組成物およびそれを用いた熱伝導性成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】シロキサンの発生がなく、高い放熱特性と、弾性、柔軟性を併せ持った熱可塑性エラストマー組成物の熱伝導性成形体、およびその成形体を形成しうる非架橋樹脂組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性エラストマー100質量部に対し、パラフィン系オイル100〜500質量部、および球状アルミナ1000〜5000質量部を含有する非架橋樹脂組成物。また、さらに金属水和物1000〜3000質量部を含有する非架橋樹脂組成物。ならびに、この非架橋樹脂組成物を成形した熱伝導性成形体。
【選択図】なし

Description

本発明は各種電子・電気機器に搭載される冷却が必要な電気部品等の冷却用のヒートシンクの接続等に用いられる熱伝導性成形体に最適な非架橋樹脂組成物およびそれを用いた熱伝導性成形体に関する。
コンピューター等に代表される各種電子・電気機器に搭載されている半導体素子等の冷却の問題は、近年、重要課題として注目されてきている。このような冷却が必要な半導体素子等の冷却方法として、それが搭載される機器筺体にファンを取り付け、その機器筺体内の空気を冷却する方法や、その冷却すべき半導体素子等に冷却体(ヒートシンク)を取り付けて冷却する方法等が代表的である。冷却すべき半導体素子等(以下、被冷却部品と呼ぶ)にヒートシンクを取り付ける場合、その被冷却部品とヒートシンクとの間の熱的接続性が低いと十分な冷却性能が得られない。通常、単に被冷却部品にヒートシンクを接触させるだけでは、その部分の接触抵抗が大き過ぎて十分な冷却が実現しにくい場合が多い。被冷却部品とヒートシンクとを半田接合等により接合すれば、これらを小さい熱抵抗で接続することができる。しかし前記被冷却部品とヒートシンクとの熱膨張率の相違等による熱的整合性の問題が生ずることが多い。具体的には、ヒートシンクとしては、通常、熱伝導性に優れるアルミニウム材等が好適に適用される場合が多いが、被冷却部品である半導体素子はそれより大幅に熱膨張率が小さい場合が多く、従ってヒートシンクと被冷却部品との接合部で整合性が悪くなってしまう。こうなると、熱膨張率の大きな相違による反りの発生や、接合部での剥離の発生等の問題が生じることになる。
そこで被冷却部品とヒートシンクとの間にゴムシート等の成形品を挟んで接触させる方法が有力視されている。その材料としては、耐熱性が高くベース樹脂に多様な粘度のものがあり、柔軟性に優れるという点で、シリコーンゴムをベースとして、熱伝導性が高いフィラーである酸化アルミニウムや窒化ホウ素等を混合させたゴムシートを、被冷却部品とヒートシンクとの間に介在させる方法が提案されている。また、上記ゴムシートは放熱性能発揮のためには被冷却部品とヒートシンクとの間に密着させて使用する必要があるが、シリコーンゴムは長期にわたり密着させて使用した後でもゴム弾性を有し、放熱性能の低下が少ないという点で優れた材料である。しかし、シリコーンゴムはシロキサンの発生により電気的な接点部分に悪影響を及ぼす(接点障害を起こす)恐れがあり、この点の改良が望まれていた。
これに対して、例えば、熱可塑性エラストマー、又はアクリルゴムを90質量%以下含有し、残部が熱可塑性エラストマーであるベース樹脂100質量部に対し、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、チッ化ホウ素及びチッ化アルミニウムからなる群から選ばれたすくなくとも1種200〜700質量部、軟磁性体粉末400〜900質量部を含有する熱伝導性エラストマー組成物を成形してなる、高い放熱特性と、優れた電磁波シールド性能を併せ持った熱伝導性成形体が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、近年、より一層の放熱性能、並びに弾性と柔軟性をも有する熱伝導性成形体が求められていた。
特開2001−310984号公報
本発明は、上記の従来の問題点を解決し、シロキサンの発生がなく、高い放熱特性を有し、さらに非架橋でも弾性、柔軟性を併せ持ったゴム組成物の成形体、およびその成形体を形成しうる非架橋樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行ったところ、ベースポリマーとして熱可塑性エラストマーを必須成分とし、所定量の熱伝導性フィラーを配合することにより、十分な放熱性能を長期にわたり発揮でき、その上、非架橋でも弾性と柔軟性が得られ、さらにオイルを使用しなくとも加工が可能であることを見いだし、この知見に基づき本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
(1)熱可塑性エラストマー100質量部に対し、球状アルミナ1000〜5000質量部を含有することを特徴とする非架橋樹脂組成物、
(2)熱可塑性エラストマー100質量部に対し、パラフィン系オイル100〜500質量部、球状アルミナ1000〜5000質量部を含有することを特徴とする非架橋樹脂組成物、
(3)熱可塑性エラストマー100質量部に対し、パラフィン系オイル100〜500質量部、球状アルミナ1000〜5000質量部、および金属水和物300〜3000質量部を含有することを特徴とする非架橋樹脂組成物、
(4)前記球状アルミナが、(1)少なくとも90質量%が10〜100μmの粒度を有するアルミナ、および(2)少なくとも90質量%が50μm以下の粒度を有するアルミナからなり、各アルミナの割合(質量比)が(1):(2)で95:5〜60:40であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の非架橋樹脂組成物、
(5)前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の非架橋樹脂組成物、
(6)前記パラフィン系オイルが、粘度比重定数(VGC)0.849以下であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の非架橋樹脂組成物、
(7)(1)〜(6)のいずれか1項に記載の非架橋樹脂組成物を成形した熱伝導性成形体、
を提供するものである。
本発明の熱可塑性エラストマーベースの非架橋樹脂組成物は、非架橋でも弾性と柔軟性を有し、オイルをしなくとも加工が可能であり、更に高い放熱特性を併せ持った非架橋樹脂組成物である。
さらに本発明の熱可塑性エラストマーベースの非架橋樹脂組成物を成形してなる熱伝導性成形体(例えばシート)は、高い放熱特性を有し、弾性と柔軟性を併せ持っており、半導体素子等の被冷却部品やヒートシンクとの熱的接合により優れた冷却性能を実現させることができ、かつ、シロキサンの発生がない放熱部材として好適である。
まず、本発明の熱伝導性成形体に用いる非架橋樹脂組成物を構成する成分について説明する。
(a)熱可塑性エラストマー
本発明に用いられる熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマー等を挙げることが出来る。
実用的にはフィラーやオイルを多量配合しても加工性が良く、強度と柔軟性を保てるように高分子量のものが好ましいが、高分子量のものと低分子量のものをブレンドしてもかまわない。
上記の熱可塑性エラストマーは、柔軟性を優先にした場合、スチレン系が好ましい。スチレン系熱可塑性エラストマーは ポリスチレン相(S)を両末端に持つブロック共重合体で、中間相にポリブタジエン(B)、ポリイソプレン(I)、およびポリオレフィン(エチレン/ブチレン:EB、エチレン/プロピレン:EP、エチレン・エチレン/プロピレン:EEP)を持つものが挙げられ、それぞれSBS、SIS、SEBS、SEPS、SEEPSと呼ばれる。この中でもSEBS,SEPS、SEEPSがさらに好ましい。SEBS、SEPS、SEEPSは二重結合を含まないため耐熱性や耐候性が良好となる。
(b)パラフィン系オイル
本発明の非架橋樹脂組成物には、必要に応じて、柔軟性を高めるためにパラフィン系オイルを配合してもよい。
本発明に用いられるパラフィン系オイルは、例えば、流動パラフィン、パラフィン系プロセスオイル、またはこれらの混合オイルである。これらのパラフィン系オイルは、前記した熱可塑性エラストマーとの相溶性が良好で、組成物の成形加工時にその組成物がロールなどに粘着することを防止し、適度に軟質化することが可能である。これに反し、ナフテン系やアロマティック系のオイルを用いると組成物がロールなどに粘着して成形加工性が悪くなるばかりでなく、熱可塑性エラストマーとの相溶性が劣るので時間が経過すると、表面にブリードしてきてしまう。
本発明に用いられるパラフィン系オイルは、その粘度比重定数(VGC)が好ましくは0.849以下、さらに好ましくは0.819以下である。VGCが大きすぎると、上記のナフテン系やアロマティック系の性状に近づき、上記した不都合な問題が生じ始めるからである。パラフィン系オイルを使用する場合、その含有量は熱可塑性エラストマー100質量部に対し、100〜500質量部であり、150〜400質量部が好ましく、200〜350質量部がさらに好ましい。含有量が多すぎると、樹脂組成物が軟らかくなりすぎて、シート状に成形することが困難になる場合がある。
(c)球状アルミナ
アルミナは熱伝導性が良好であり、電気絶縁性も良好であるが、不定形のものは硬度が高く研磨性があり、高充填した場合に硬くなる度合いが大きいため、本発明においては、球状のものを使用する。球状アルミナの含有量は、熱可塑性エラストマー100質量部に対し、1000〜3000質量部であり、1200〜2700質量部が好ましく、1500〜2500質量部がさらに好ましい。球状アルミナの含有量が少なすぎると熱伝導性が不十分であり、多すぎると硬度が高くなりすぎる。また、球状アルミナの粒度を細密充填にすることが好ましい。球状アルミナは、(1)少なくとも90質量%が10〜100μmの粒度を有する球状アルミナ、および(2)少なくとも90質量%が50μm以下の粒度を有するアルミナからなることが好ましく、この場合、各アルミナの割合(質量比)は、(1):(2)で95:5〜60:40とすることが好ましく、90:10〜70:30 がさらに好ましい。(1)の割合が大きすぎると 樹脂組成物の機械的強度が弱くなり、(2)の割合が大きすぎると 樹脂組成物が硬くなり脆くなる。また、何れも熱伝導率、熱抵抗の点から所望の領域が好ましい。
(d)金属水和物
本発明においては、難燃性を付与するために金属水和物を配合しても良い。金属水和物としては例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが挙げられる。前記金属水和物は環境に対応したノンハロゲンで難燃性を付加するために有用なものであり、製品に難燃性が必要な場合に適量配合する。含有量としては、熱可塑性エラストマー100質量部に対し1000〜3000質量部が好ましく、1500〜2500 質量部がさらに好ましい。金属水和物の含有量が多すぎると得られる成形体が硬くなりすぎる場合がある。また、含有量が少なすぎると得られる難燃性が十分でない場合がある。
本発明の熱伝導性成形体は、上記の樹脂組成物を所望の形状に、常法により成形して作成できる。その形状は、シート状の他にテープ状、ブロック状、型成形品などである。また成形体は上記の非架橋樹脂組成物を金属シートの両面に被覆した成形体(シートなど)でもよい。さらに少なくとも片面に粘着剤を塗布したものでもよい。上記した熱伝導性成形体のうちシート状にした熱伝導性シートは被冷却部品とヒートシンクとの間に介在させるものとして好適である。
次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。
実施例1〜8および比較例1〜5
表1〜2に示す熱可塑性エラストマーと配合剤(材料)をニーダーで混合し、それを逆L4本カレンダーロールでシート状に成形し、厚さ1mmの熱伝導性シートを得た。なお、表1〜2における組成を示す数値の単位は質量部である。
Figure 2006193626
Figure 2006193626
以下に、表1〜2で用いた材料(1)〜(14)について説明する。
(1)TPR-1
(株)クラレ製:商品名セプトン4055、
スチレン系熱可塑性エラストマーで中間層はオレフィンのエチレン・エチレン/プロピレンであり、SEEPSと呼称される。
(2)TPR-2
(株)クラレ製:商品名セプトン2063、
スチレン系熱可塑性エラストマーで中間層はオレフィンのエチレン/プロピレンであり、SEPSと呼称される。
(3)TPR-3
シェル化学(株)製:商品名クレイトンG1650、
スチレン系熱可塑性エラストマーで中間層はオレフィンのエチレン/ブチレンであり、SEBSと呼称される。
(4)TPR-4
Monsanto社製:商品名Santoprene101-64、
オレフィン系熱可塑性エラストマー。
(5)EPゴム
三井化学(株)製:商品名三井EPT3045、
エチレン・プロピレンゴム。
(6)球状アルミナA
マイクロン社製:商品名AX35−125、
90%以上が10〜100μmの粒度である球状アルミナ。
(7)アルミナB
日本軽金属(株)製:商品名A31、
90%以上が50μm以下の粒度であるアルミナ。
(8)球状アルミナC
昭和電工(株)製:商品名AS−20、
90%以上が50μmの粒度である球状アルミナ。
(9)アルミナD
日本軽金属(株)製:商品名アルミナA11、
結晶形が六角板状で平均粒径50μmの標準的なアルミナ。
(10)水酸化アルミニウム
日本軽金属(株)製:商品名日軽金B−103。
(11)水酸化マグネシウム
神島化学工業(株)製:商品名日軽金B−54。
(12)オイルA
(株)ジャパンエナジー製:商品名流動パラフィン350、
VGC0.796のパラフィンオイル。
(13)オイルB
出光興産(株)製:商品名ダイアナプロセスPW380、
VGC0.794のパラフィン系プロセスオイル。
(14)オイルC
日本サン石油(株)製:商品名 サンセン480、
VGC0.873のナフテン系プロセスオイル。
実施例No.1〜8および比較例No.1〜5において、混合時の加工性をニーダー及びロールの状況により判断した。 ニーダーでコンパウンドとして固まりとなり、ロールでシート状に成形できたものを○とし、 ニーダーで固まりとならないもの又はロールでシート状にならないもの×とした。
次に、実施例No.1〜8および比較例No.1〜5の熱伝導性シートにつき、その硬度を測定した。硬度はSRIS(日本ゴム協会規格)0101規定のアスカーC型硬度計にて測定した。この硬度は熱伝導性能に大きく係る指標であり、硬度が大きいものは密着性が損なわれ、熱抵抗が大きくなる。実用的には80以下、好ましくは70以下が目安であり、それ以上になると熱抵抗が大きく損なわれる。
次に、熱性能評価の1つとして熱伝導率を測定した。熱伝導率は材料自体の熱性能を評価するもので、測定は京都電子工業製の迅速熱伝導率測定機で行った。実用的には1W/mk以上が目安となる。
次に、最も重要な熱性能評価として、熱抵抗の測定を行った。通常よく用いられる半導体素子の発熱量は5〜6W程度であるが、更に発熱量増大の傾向にあることから、ここでは、仮に発生熱量が2倍の12Wの被冷却部品(半導体素子等)を想定し、これに熱伝導性シートを挟んで接続した場合を考えることにした。この条件をもとに10mm×32.5mm×32.5mmの2枚のアルミニウム板の間に、25mm×25mmの熱伝導性シートを挟み、四隅を0.3Nmで締め付けた試料を用意し、その上部に熱伝導性グリスを介してヒーター、下部に熱伝導性グリスを介してヒートシンクを熱的に接続した。ここで、ヒーターに12Wの熱をかけ、上のアルミ板と下のアルミ板の温度を熱電対で測定し、10分後の温度を記録し、その温度差ΔTを求め次の式により熱抵抗を求めた。
熱抵抗(℃/W)=ΔT(℃)/12(W)
熱抵抗値は0.65以下であることが求められる。
更に、同様に成形した1mm(厚さ)×25mm(幅)×50mm(長さ)の熱伝導性シートについて25℃常温経過96時間後(常温経時試験)及び、耐熱性として100℃のオーブンの中に吊るして、96時間経過後(高温経時試験)のシートの外観を目視で確認した。異常(オイル分のブリード、亀裂、ダレ等)が認められなかった場合を○、認められた場合は、その異常の状態を記録した。なお、ここで「ダレ」とは、 シートが熱で変形した状態をいう。
また、ゴム弾性の評価として、圧縮試験後の戻りを評価した。具体的には2mm×20mm×20mmのシートを圧縮試験機で0.5mm/分の速度で、1mmまで圧縮し直後の力とそのまま10分経過後の力を比較し、保持率(%)=(圧縮直後の力/10分経過後の力)×100で表す。保持率が大きいほどゴム弾性が良好であり、目安は50%以上である。
更に、難燃性の評価として、2mm厚のシートを用いて、UL94の垂直燃焼試験を行った。
結果を表3および表4に記した。
Figure 2006193626
Figure 2006193626
実施例1は、スチレン系熱可塑性エラストマーのSEEPSベースで、球状アルミナの配合量、およびパラフィン系オイルの配合量が少ない例であり、熱伝導率は1.20とやや低い値であるが、実用上問題のないレベルであった。保持率も高く、ゴム弾性は良好であった。本実施例では、硬度が低く、特に軟らかいシートが必要な場合に適する。
実施例2は、スチレン系熱可塑性エラストマーのSEEPSとSEPSのブレンドベースで、アルミナとして、少なくとも90質量%が10〜100μmの粒度を有する球状アルミナ(以下球状アルミナAと称する)と少なくとも90質量%が50μm以下の粒度を有する非球状アルミナ(以下アルミナBと称する)をブレンドし、かつ難燃剤として水酸化アルミニウム最低量を配合したものである。硬度も比較的低く、熱伝導率も1.58と高めで、熱抵抗、常温経時試験および高温経時試験の結果も良好である。難燃性はUL94 V−2相当であった。
実施例3は、実施例2のアルミナBの替わりに少なくとも90質量%が50μm以下の粒度を有する球状アルミナ(以下アルミナCと称する)を用いたものであり、実施例2以上に良好な特性を示している。難燃性はUL94 V−0相当であった。
実施例4は、実施例2のアルミナA、アルミナCを増量、水酸化アルミニウムも増量したものであり、硬度はやや大きくなっているが、実用上問題のないレベルであった。熱伝導率が高く、良好な特性を示している。このシートの難燃性を求めたところ、UL94 V−0相当であった。本実施例では、熱伝導率が高く、硬さに大きな制限がない場合に適している。
実施例5は、スチレン系熱可塑性エラストマーのSEBSベースで、球状アルミナAの配合量が多く、熱伝導率が高く最も良好な熱特性を示している。難燃性はUL94 V−0相当であった。
実施例6は、難燃フィラーとして水酸化マグネシウムを用いたものであり、良好な特性を示している。難燃性はUL94 V−0相当であった。
実施例7はベースポリマーとしてオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用した例であり、良好な特性を示している。難燃性はUL94 V−0相当であった。
実施例8は、スチレン系熱可塑性エラストマーのSEEPSとSEPSのブレンドベースで、球状アルミナを配合したオイル無配合の例である。硬度が高く、難燃性はないが保持率が高く機械的強度が必要な場合に適する。
これに対し、比較例1は、平均粒径50μmの不定形アルミナを配合したものであり、混合加工性が悪い。また、硬度が高く熱抵抗が悪い。更に、高温経時で亀裂が見られる。
比較例2は、球状アルミナAの配合量が800質量部と少なく、熱伝導率、熱抵抗が悪い。
比較例3は、球状アルミナAの配合量が5500質量部と多く、混合加工性が悪い。
比較例4は、オイルにナフテン系を使っており、ベースポリマーとの相溶性が劣り、表面にブリードが見られた。
比較例5はベースポリマーにエチレン・プロピレンゴムを用い、非架橋で成形したものであり、保持率が低く、ゴム弾性に劣っている。
以上のように、本発明の熱可塑性エラストマーベースの非架橋樹脂組成物は、非架橋でも弾性と柔軟性を有し、オイルをしなくとも加工が可能であり、更に高い放熱特性を併せ持った非架橋樹脂組成物である。
さらに本発明の熱可塑性エラストマーベースの非架橋樹脂組成物を成形してなる熱伝導性成形体(例えばシート)は、高い放熱特性を有し、弾性と柔軟性を併せ持っており、半導体素子等の被冷却部品やヒートシンクとの熱的接合により優れた冷却性能を実現させることができ、かつ、シロキサンの発生がない放熱部材として好適である。

Claims (7)

  1. 熱可塑性エラストマー100質量部に対し、球状アルミナ1000〜5000質量部を含有することを特徴とする非架橋樹脂組成物。
  2. 熱可塑性エラストマー100質量部に対し、パラフィン系オイル100〜500質量部、球状アルミナ1000〜5000質量部を含有することを特徴とする非架橋樹脂組成物。
  3. 熱可塑性エラストマー100質量部に対し、パラフィン系オイル100〜500質量部、球状アルミナ1000〜5000質量部、および金属水和物300〜3000質量部を含有することを特徴とする非架橋樹脂組成物。
  4. 前記球状アルミナが、(1)少なくとも90質量%が10〜100μmの粒度を有するアルミナ、および(2)少なくとも90質量%が50μm以下の粒度を有するアルミナからなり、各アルミナの割合(質量比)が(1):(2)で95:5〜60:40であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の非架橋樹脂組成物。
  5. 前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の非架橋樹脂組成物。
  6. 前記パラフィン系オイルが、粘度比重定数(VGC)0.849以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の非架橋樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の非架橋樹脂組成物を成形した熱伝導性成形体。
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